(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上ブロックと、前記上フレームまたは前記上プレートの間に、前記上ブロックの平面形状と略同一形状のスペーサが設けられ、前記スペーサの厚みに応じて前記上プレートの高さ調整が可能であることを特徴とする請求項1記載のフリーアクセスフロア用架台。
【背景技術】
【0002】
従来、フリーアクセスフロアを構成するフロアパネルは、支持体の上に配置され、フロアパネル下には空間が形成される。この床下は、配線等を配置したり空気を流したりするために用いられ、作業性等を考慮して、フロアパネルは軽量なものが使用される。
【0003】
しかし、フリーアクセスフロアに設備等の重量物を設置する場合は、フロアパネルおよび支持体にはある程度の強度が要求される。特に、半導体基盤などの製造設備は振動に弱く、フロアパネル及び支持体の剛性が不足すると、床面の振動を支持体等が増幅してしまい、大きな振動を設備に伝達する。
【0004】
このため、半導体基盤製造設備等の振動を嫌う重量物である設備をフリーアクセスフロアに設置する場合には、予め設備の設置位置にコンクリートを打設して設備設置部を設けたり、または、強固な鉄骨構造により補強を行う必要がある。しかし、クリーンルーム内でのコンクリートの打設や溶接作業は困難であり、レイアウト変更などによる設備の移設や増設が困難である。
【0005】
このような強度を考慮したフロアパネルとしては、連続した凹凸形状背面に設けたフリーアクセスフロア用パネルがある(特許文献1)。
【0006】
また、壁面近傍にボーダーパネル支持脚および支持ビームを設けて、壁面近傍の設置強度を高めたフリーアクセスフロアがある(特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載のフリーアクセスフロア用パネルでは、パネル自体の強度向上に限界があり、また、パネルを支える支持体についても強度向上を図る必要があるが、支持体の強度の向上については考慮されていないため、パネル上への重量物の設置には限界があるという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載のフリーアクセスフロアは、壁面近傍での支持体の強度を向上させたものであるが、部屋の中央部での支持体の強度向上方法については、支持体下部の固定板と床部との接着面積を向上する旨のみが記載されており、上部からの重量物を支持し、高い剛性を有するための具体的な支持体構造については記載が無く、特許文献1と同様にパネル上への重量物の設置には限界があるという問題がある。
【0010】
このため、特許文献1及び特許文献2のいずれに記載のパネル及び支持体でも、設備を設置するための強度を十分に確保することが困難であるとともに、床面からの振動を増幅することがないような高い剛性を確保することは困難であるという問題がある。
【0011】
また、従来の架台では、上プレートを水平にするために、例えば上プレートの四隅に高さ調整ボルト等を設けていたが、ボルトによって上プレートを支持すると、ボルトまたはボルトと接触する上フレームに対する面圧が大きくなるため、部分的な変形や摩耗等の恐れがある。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、床からの振動を増幅することなく、上部に重量のある設備を設置することが可能であり、設置及び施工が容易であり、剛性を確保しつつ、上プレートの水平調整が容易なフリーアクセスフロア用架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するため、本発明は、下プレートと、前記下プレート上の四隅にそれぞれ設けられた下ブロックと、前記下ブロックを介して、前記下プレートと接合された下フレームと、前記下フレーム上の四隅にそれぞれ設けられた支柱と、前記支柱を介して、前記下フレームと接合された上フレームと、前記上フレーム上の四隅にそれぞれ接合された上ブロックと、前記上ブロックを介して、前記上フレームと接合された上プレートと、を具備し、前記上ブロックは板状部材であり、前記上ブロックの下面は、前記上フレームと面接触するとともに、前記上ブロックの上面は前記上プレートと面接触して接合されることを特徴とするフリーアクセスフロア用架である。
【0014】
前記上ブロックと、前記上フレームまたは前記上プレートの間に、前記上ブロックの平面形状と略同一形状のスペーサが設けられ、前記スペーサの厚みに応じて前記上プレートの高さ調整が可能であることが望ましい。
【0015】
本発明によれば、上ブロックが板状部材であり、上ブロックと上プレートとが面接触するため、上プレートからの荷重を確実に上ブロックで受け、上フレームに伝達することができる。
【0016】
また、上ブロックと略同一形状のスペーサを用いることで、上プレートを確実に水平に調整することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、床からの振動を増幅することなく、上部に重量のある設備を設置することが可能であり、設置及び施工が容易であり、剛性を確保しつつ、上プレートの水平調整が容易なフリーアクセスフロア用架台を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態にかかる架台1について説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかる架台1を示す分解斜視図であり、
図2は、架台1の組立斜視図、
図3は架台1の正面図である。
【0020】
架台1は、主に下プレート3、下ブロック11、下フレーム15、支柱21、板部材33、上フレーム39、上ブロック45a、45b、上プレート53等により構成される。
【0021】
下プレート3は、架台1を床上に設置する際に、床と接着される部位である。下プレート3は例えば鋼製の板状部材であり、架台1の四隅に該当する部分に切り欠き部7が設けられる。切り欠き部7は、架台1を設置する際に、フリーアクセス用フロアパネル設置用の支持体との干渉を防ぐためのものである。すなわち、架台1は、既設の支持体の脚部と干渉することなく設置することができる。なお、下プレート3は、水平になるように調整されて床面に設置される。
【0022】
下プレート3には、孔5が形成される。下プレート3の各切欠き部7に対応する部位には下ブロック11が設けられる。
【0023】
図4は下ブロック11を示す図であり、
図4(a)は斜視図、
図4(b)は平面図、
図4(c)は
図4(b)のA−A線断面図である。下ブロック11には、下フレーム接合部12a、下プレート接合部12bが設けられる。下フレーム接合部12aと下プレート接合部12bとの間には段差が形成される。下フレーム接合部12aには、孔13aが形成される。下プレート接合部12bには、孔13bが形成される。
【0024】
図5は、下プレート3に下ブロック11が取り付けられた状態を示す部分平面図である。下プレート接合部12bの孔13bにはボルト9が挿通され、下プレート3の孔5に固定される。すなわち、下ブロック11は、下プレート3の上面に固定される。この際、下プレート3の切欠き部7において、下ブロック11の下部は、下プレート3の厚み分だけ床面から上方に浮いた状態となる。
【0025】
切欠き部7には、前述したフリーアクセス用フロアパネル設置用の支持体の支持脚部61が配置される。支持脚部61の厚みは、下プレート3の厚みよりも薄い。したがって、下ブロック11は、支持脚部61の上方に張り出すように形成され、下ブロック11と支持脚部61との干渉が防止される。
【0026】
なお、下フレーム接合部12aと下プレート接合部12bとの段差の高さは、ボルト9の頭部の厚みよりも高い。したがって、下ブロック11を下プレート3に固定した状態において、ボルト9の頭部が、下フレーム接合部12aの接合面よりも上方に突出することがない。
【0027】
図1〜
図3に示すように、下ブロック11の上面には、下フレーム15が設けられる。下フレーム15は鋼製の矩形形状の板状部材である。下フレーム15は、後述する支柱21との接続部である。下フレーム15の上面側には平板状の突起部であるリブ17が形成される。リブ17は、略矩形の下フレーム15の各辺に形成され、外縁部から中心方向に僅かにずれた位置に形成される。
【0028】
また、下フレーム15の四隅近傍には、孔19が設けられる。孔19は、下ブロック11の孔13aに対応した位置に形成される。なお、孔13aは、下ブロック11の下プレート3との接合部(孔13b)よりも外方に形成される。
【0029】
下フレーム15の四隅近傍には、支柱21が設けられる。
図6は、支柱21を示す斜視図である。支柱21の上下端部にはフランジ部27a、27bが形成される。下方のフランジ部27aには孔29aが形成される。また、上部のフランジ部27bには、孔29bが形成される。孔29aは、下フレーム15の孔19および下ブロック11の孔13aに対応する位置に形成される。
【0030】
したがって、支柱21は、孔29a、孔19および孔13aを貫通するボルト31によって下フレーム15および下ブロック11に固定される。この際、ボルト31の固定位置とボルト9の固定位置とが、平面においてずれているため、下フレーム15の取り付け作業時に、ボルト9の固定作業も容易である。また、それぞれの固定位置を平面においてずらしているため、互いのボルトの干渉を避ける必要がなく、下フレーム15の固定高さを低く抑えることができる。
【0031】
支柱21の側面には、支柱21の軸方向に沿って2方向にリブ23が形成される。リブ23は、隣り合う支柱21同士の互いの方向に向かって互いに略垂直に形成される。リブ23には、孔25が形成される。
【0032】
支柱21同士の間には補強部材である板部材33が設けられる。
図7は、支柱21に板部材33が固定された状態を示す平面断面図である。板部材33には孔35が形成される。孔35は支柱21の孔25に対応する部位に形成される。板部材33は、孔35を貫通するボルト37によって、支柱21に固定される。
【0033】
すなわち、隣り合う各支柱21それぞれのリブ23は、同一平面上に形成され、各支柱21のリブ23同士にまたがるように板部材33が配置される。したがって、板部材33の端部を、架台1の四隅に形成される支柱21に近づけることが可能である。このため、板部材33による補強効果が大きく、高い剛性を確保することができる。
【0034】
図1〜
図3に示すように、支柱21の上部のフランジ部27bの上面には上フレーム39が設けられる。上フレーム39は下フレーム15と略同様の構成であり、上下面を反転させた形態である。すなわち、上フレーム39の各辺には、下方に向けて突起部であるリブ41が形成される。
【0035】
上フレーム39の上面の四隅近傍には、上ブロック45a、45bが重ねられて設けられる。上ブロック45a、45bはそれぞれ略同一形状の板状部材である。
【0036】
図8は、上ブロック45a、45bの取り付け状態を示す図で、
図8(a)は平面図、
図8(b)は
図8(a)のB−B線断面図である。
【0037】
上方の上ブロック45bには、孔49a、49bが設けられる。また、下方の上ブロック45aには、孔47が設けられる。上ブロック45bの孔49aと上ブロック45aの孔47と上フレーム39の孔43は、互いに対応する部位に設けられ、ボルト51によって、上ブロック45a、45bが上フレーム39に固定される。この際、上ブロック45bの孔49bの上部は拡径されており、ボルト51の頭部は、上ブロック45bの上面に突出することがない。
【0038】
また、上ブロック45b上部には、上プレート53が設けられる。上プレート53はアルミニウム製の矩形形状の部材であり、上部に設備等が設置される部位である。上プレート53としては、従来のフロアパネルを流用することもでき、その他の材質であってもよい。上プレート53には、孔55が設けられる。
【0039】
孔55は、上ブロック45bの孔49bに対応する部位に形成され、ボルト57によって上プレート53が上ブロック45bに固定される。なお、孔55の上部は拡径されており、ボルト57の頭部は、上プレート53の上面に突出することがない。
【0040】
ここで、上ブロック45a、45bは平板状であるため、上ブロック45a、45b同士および上プレート53は面接触させることができる。ここで、面接触させることができるとは、例えば、平板状の上ブロック45bの上面の略全面を上プレート53の下面に接触させることができることをいう。
【0041】
なお、上ブロック45a、45bは必ずしも二枚重ねである必要はない。また、必要に応じて、上ブロック45aまたは上ブロック45bの上下の一部にスペーサを設けてもよい。スペーサを設けることで、上プレート53の水平微調整を行うことができる。また、四隅の各部における上ブロック45a、45bの厚みをわずかに変えることで、上プレート53の水平微調整を行ってもよい。なお、スペーサを別途設ける際には、上ブロック45a、45bの平面形状と略同一形状のスペーサを設けることが望ましい。
【0042】
また、上プレート53の四隅下面には切り欠きが設けられる。切り欠きは隣接するフリーアクセス用フロアパネル設置用の支持体との干渉を防ぐためのものである。すなわち、架台1は、既設の支持体の脚部と干渉することなく設置することができる。
【0043】
次に、架台1の設置状態を説明する。
図9は、フロアパネル63が複数配置されたフロアの、設備設置部位65に該当する位置に架台1を設置した状態を示す平面図である。架台1の上面は、フロアパネル63と同じサイズである。すなわち、上プレート53はフロアパネル63と同じサイズである。
【0044】
フリーアクセスフロア上に設備設置部位65が決定されると、設備設置部位65に該当するフロアパネル63が取り外され、代わりに架台1が設置される。架台1は、上部に設置される設備の大きさによって、1台のみで使用しても良く、または、
図9に示すように縦横2台としてもよい。設備の大きさ及び設備設置部位65に応じて、架台1の設置台数は適宜決定することができる。たとえば、より広範囲の設備設置部位65を得るためには、隣接するフロアパネル63を架台1と入れ替えればよい。なお、隣り合う架台1同士は、互いに連結される。
【0045】
フロアパネル63のそれぞれの角の合流部には、通常、支持体が設置されており、フロアパネル63は支持体上に配置される。架台1は下プレート3の四隅に切り欠き部7を有し、下ブロック11の下部に隙間が形成されるため、既設の支持体の支持脚部61と干渉することが無い。また、上プレート53の四隅下面も、角部がカットされて切り欠き部が設けられているため、支持体と干渉することがない。このため、支持体を設置した状態で、架台1を設置することができる。
【0046】
このように、本実施の形態にかかる架台1によれば、高い剛性(特に水平方向の剛性)を有するため、床からの振動を増幅することがなく、このため、上部に重量があり、振動に弱い設備等を設置しても、床からの振動を増幅して伝達することが無い。
【0047】
また、下プレート3の四隅が切り欠かれているため、既設の支持体等の支持脚部61と干渉することが無く、設備の移設や増設時に、既設のフロアパネル63に代えて架台1を設置することが可能である。特に、架台1は各部材の組立及び解体が容易であるため、クリーンルーム内での溶接作業等を行うことなく、また、特殊なクレーン等の設備を必要としなくても、現場で容易に設置作業を行なうことができる。
【0048】
また、下ブロック11は、下プレート3の切欠き部7の上部に張り出すように形成されるため、下フレーム15および支柱21等を架台1の四隅近傍に配置することができる。このため、より高い剛性を得ることができる。また、下ブロック11の張り出し部の下部は、下プレート3の厚み分だけ床面と隙間が形成される。このため、支持体等の支持脚部61と干渉することが無い。
【0049】
また、下ブロック11には、下フレーム接合部12aと下プレート接合部12bが設けられ、境界部には断差が形成される。下フレーム接合部12aと下プレート接合部12bとが平面で重ならないため、それぞれを接合するボルト等による接合作業が容易である。また、下ブロック11の上部に、ボルト等の取り付けのための逃げ部を形成する必要がないため、下ブロック11を過剰に厚くする必要がなく、架台1の全高を低くすることができる。
【0050】
また、支柱21にはリブ23が形成されるため、支柱21の強度が高い。また、隣り合う支柱21のリブ23同士にまたがるように板部材33が設けられるため、水平方向の剛性を高めることができる。この際、板部材33が直接支柱21のリブ23に接合され、接合部を支柱21に近づけることができるため、剛性向上の効果が大きい。また、支柱21に対して、補強部材を固定することができるため、上下のフレームに補強部材固定用のリブを形成する必要がなく、このため、支柱の長さを短くすることができる。したがって、架台の全高を低くすることができる。
【0051】
また、板部材33は、任意の部位にダクト等を配置することも可能である。すなわち、板部材33の任意の部位に、板部材を貫通するダクト等を設置することが容易であるため、ダクト等を架台下部に配置する場合において、そのレイアウトの自由度が高い。
【0052】
また、上ブロック45a、45bによって上プレート53が上フレーム39に接合される。この際、上ブロック45a、45bが板状部材であり、互いに面接触させることができるため、面圧を小さくすることができ、より確実に上プレート53からの荷重を上フレーム39に伝達することができる。
【0053】
この際、上ブロック45aまたは上ブロック45bの一方の厚みを変化させて、スペーサとして機能させることで、上プレート53の水平微調整を行うこともできる。
【0054】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0055】
例えば、架台1においては、補強部材として板部材33を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。
図10は補強部材としてターンバックル59を用いた架台1aを示す正面図である。
【0056】
前述のように、支柱21にはリブ23が形成され、リブ23には孔25(
図6)が形成される。架台1aでは、隣り合う支柱21間のリブ23同士を略対角線上に接合するようにターンバックル59が設けられる。
【0057】
ターンバックル59を用いた架台1aによっても、架台1と略同様の効果を得ることができる。
【0058】
また、板部材33を用いた架台1において、支柱21のみではなく、上下のフレームに板部材33を接合してもよい。
図11は、支柱21および上下フレームに板部材33を接合した状態を示す部分断面図である。
【0059】
前述の通り、上フレーム39には、リブ41が設けられる。同様に、図示を省略するが、下フレーム15には、リブ17が設けられる(
図1)。架台1においては、支柱21のリブ23同士が同一平面上に形成されて、板部材33が接合されたが、本実施形態では、リブ23に加え、上下のリブ17、41が同一平面上に配置される。
【0060】
また、図示したように、リブ41には孔44が形成される。板部材33の上部は、ボルト42によってリブ41に固定される。同様に、下方のリブ17にも孔が形成されて、ボルトで板部材33が固定される。すなわち、本実施形態では、板部材33の側端部が支柱21のリブ23に固定されるとともに、板部材の上下端部が、それぞれ上下の各フレームのリブ17、41に固定される。したがって、より確実に板部材33が固定され、高い剛性を得ることができる。