(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715973
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】拡張されたアップリンクデータ送信を支援するためにトラフィック量測定情報を報告する無線通信の方法および装置
(51)【国際特許分類】
H04W 72/12 20090101AFI20150423BHJP
H04W 72/10 20090101ALI20150423BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20150423BHJP
【FI】
H04W72/12
H04W72/10
H04W72/04 150
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-23238(P2012-23238)
(22)【出願日】2012年2月6日
(62)【分割の表示】特願2007-252314(P2007-252314)の分割
【原出願日】2005年3月7日
(65)【公開番号】特開2012-124937(P2012-124937A)
(43)【公開日】2012年6月28日
【審査請求日】2012年3月7日
(31)【優先権主張番号】60/557,974
(32)【優先日】2004年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10/953,375
(32)【優先日】2004年9月29日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596008622
【氏名又は名称】インターデイジタル テクノロジー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(74)【復代理人】
【識別番号】100115624
【弁理士】
【氏名又は名称】濱中 淳宏
(74)【復代理人】
【識別番号】100185834
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 明
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン グゥォドン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン イー.テリー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ジー.ディック
【審査官】
伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−247048(JP,A)
【文献】
特表2006−513589(JP,A)
【文献】
3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;Feasibility Study for Enhanced Uplink for UTRA FDD;(Release 6),3GPP TR 25.896,3GPP,2004年 3月,V2.0.0,p.21-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張アップリンク(EU)送信に対する無線送受信ユニット(WTRU)による使用のための方法であって、
スケジューリングされたEUデータ送信を許可する情報を、NodeBから受信するステップと、
前記受信された情報に基づいて、媒体アクセス制御(MAC)レイヤにおいて、少なくとも1つの論理チャネルからのEUデータを、トラフィック量測定(TVM)情報と多重化して、同一のEU送信にするステップであって、前記TVM情報は、前記TVM情報に関連付けられた論理チャネルのインジケーションおよびEUデータの量を備え、前記EUデータの量は、前記論理チャネルに関連付けられ、ならびに、前記EUデータは、優先度に関連付けられている、ステップと、
EUチャネル上で、前記多重化されたEUデータ、および、TVM情報を送信するステップと、
追加のEUデータが後の送信に利用可能であることを条件に、更新されたTVM情報を送信するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
EU送信に対してスケジューリングされずに、所定のしきい値までEUデータを送信するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記関連付けられた優先度は、最も高い優先度であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記TVM情報はさらに、EUデータの総量を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
EUデータの前記総量は、すべての論理的チャネルに対するEUデータであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記EUチャネルは、複数の物理チャネル上で送信されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
無線送受信ユニット(WTRU)であって、
スケジューリングされた拡張アップリンク(EU)データ送信を許可する情報を、NodeBから受信する手段と、
前記受信された情報に基づいて、媒体アクセス制御(MAC)レイヤにおいて、少なくとも1つの論理チャネルからのEUデータを、トラフィック量測定(TVM)情報と多重化して、同一のEU送信にする手段であって、前記TVM情報は、前記TVM情報に関連付けられた論理チャネルのインジケーションおよびEUデータの量を備え、前記EUデータの量は、前記論理チャネルに関連付けられ、ならびに、前記EUデータは、優先度に関連付けられている、手段と、
EUチャネル上で、前記多重化されたEUデータ、および、TVM情報を送信する手段と、
追加のEUデータが後の送信に利用可能であることを条件に、更新されたTVM情報を送信する手段と
を備えることを特徴とするWTRU。
【請求項8】
EU送信に対してスケジューリングされずに、所定のしきい値までEUデータを送信する手段をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のWTRU。
【請求項9】
前記関連付けられた優先度は、最も高い優先度であることを特徴とする請求項7に記載のWTRU。
【請求項10】
前記TVM情報はさらに、EUデータの総量を含むことを特徴とする請求項7に記載のWTRU。
【請求項11】
EUデータの前記総量は、すべての論理チャネルに対するEUデータであることを特徴とする請求項10に記載のWTRU。
【請求項12】
前記EUチャネルは、複数の物理チャネル上で送信されることを特徴とする請求項7に記載のWTRU。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WTRU(無線送受信ユニット:Wireless Transmit/Receive Unit)およびノード−Bを含む、無線通信システムに関する。より詳細には、本発明は、限られた容量を有するシグナリングチャネル上での、WTRUおよびノード−Bの間のEU(拡張されたアップリンク:Enhanced Uplink)データ送信を支援するために、EUのTVM(トラフィック量測定:Traffic Volume Measurement)情報を報告することに関する。
【背景技術】
【0002】
FDD(周波数分割複信:Frequency Division Duplex)などの無線通信システムにおける、UL(アップリンク:UpLink)カバレッジ、スループット、および送信待ち時間を拡張する方法が、3GPP(third Generation Partnership Project)のR6(6版:Release 6)にて現在、検討されている。RNC(無線ネットワーク制御装置:Radio Network Controller)でアップリンクの物理チャネルをスケジューリングし、割り当てる代わりに、RNCがシステムの全体的な制御を維持していても、RNCより効率的な決定をさせることができ、短期的にはアップリンクの無線リソースをより良く管理できるように、ノード−B(すなわち、基地局)制御装置は使用される。同様の手法は、FDDモードおよびTDD(時分割複信:Time Division Duplex)モードの両方のための、UMTS(統合無線通信システム:Universal Mobile Telecommunications System)における、HSDPA(高速データ・パケットアクセス:High Speed Data Packet Access)のR5(5版:Release 6)のためのダウンリンクにおいて既に適用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ノード−Bに効率的な割り当て決定をさせ、異なる優先度フローの間で優先付けるために、ノード−Bは、関連付けられた優先度に沿ってTVMの情報を把握しなければならない。しかしながら、従来のULのシグナリング方式は、容量が限られ、したがって、関連付けられた優先度に沿ってTVMの報告に対応できない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、WTRU(すなわち移動局)およびノード−Bの間のEUデータ送信を支援するためにEU TVM情報を報告する無線通信の方法および装置である。本装置は、無線通信システム、WTRU、および/またはIC(集積回路:Integrated Circuit)であってよい。EUデータは、生成され、WTRUのバッファに格納される。WTRUは、ノード−Bに転送するべきEUデータをWTRUが有することを示す初期TVM情報要求メッセージを、ノード−Bに送信する。その初期TVM情報要求メッセージの受信に応答して、ノード−Bは、EUデータのスケジューリングメッセージをWTRUに送信することによって、WTRUおよびノード−Bの間の1つまたは複数の許可されたEUデータをスケジューリングする。
【0005】
許可されたEUデータ送信が、バッファに格納されているすべてのEUデータの送信を支援するのに十分ならば、WTRUは、バッファに格納されているすべてのEUデータをノード−Bに送る。そうでなければ、WTRUはEUデータの少なくとも一部と多重化された詳細なTVM情報をノード−Bに送ることができる。
【0006】
TVM情報は、格納されたEUデータの量を示すことができる。詳細なTVM情報は、
複数のトラフィック優先度クラスのそれぞれに関連付けられたバッファされたEUデータの量を示すことができる。詳細なTVM情報は、レイヤ2のMAC(媒体アクセス制御:Medium Access Control)のエンティティにおいて、またはレイヤ3のRRC(無線リソース管理:Radio Resource Control)、あるいは他の同等なレイヤ3のシグナリングエンティティにおいて多重化することができる。
【0007】
WTRUのバッファに格納されているEUデータを送るために使用される手順は、EUデータの量が設定された閾値を超えるか否かに依存することができる。初期TVM情報要求メッセージは、格納されているEUデータの量が設定された閾値を超えた後にのみ、ノード−Bに送信することができる。設定された閾値を超えない場合、WTRUは、ノード−Bからのスケジューリングの情報を要求することなく、すべてのEUデータをWTRUのバッファからノード−Bに送ることができる。設定された閾値がゼロにセットされている場合には、WTRUは、ノード−Bからのスケジューリングの情報を受信した後にのみ、WTRUのバッファから格納されているEUデータをノード−Bに送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明によって動作する無線通信システムを示す。
【
図2】WTRU中にバッファされているすべてのEUデータを送信するのに、2回以上のEU送信が必要である場合の、
図1のシステムの信号フロー図である。
【
図3】WTRU中にバッファされているすべてのEUデータを送信するのに、1回のみのEU送信が必要である場合の、
図1のシステムの信号フロー図である。
【
図4】本発明によるTVMの報告を実装するための方法ステップを含む処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例として与えられ、ここで添付図面と共に理解されることになる好適な例の以下の記述から、本発明のより詳細な理解を得ることができる。
【0010】
以降、専門用語「WTRU」は、UE(ユーザ設備:User Equipment)、移動局、固定または移動の加入者ユニット、ページャ、または無線環境において動作可能な他のあらゆるタイプの装置を含むが、それに限定しない。
【0011】
以降、参照される際、専門用語「ノードB」は、基地局(base station)、サイト制御装置、アクセスポイント、または無線環境におけるあらゆるタイプの他のインタフェース装置を含むがそれに限定しない。
本発明は、一般にUMTS、CDMA2000、およびCDMAに適用されるように、さらに、TDD、FDD、およびTD−SCDMA(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)へ適用可能とすることができるが、他の無線システムにも同様に適用可能であると想定される。
【0012】
本発明の特徴は、ICに組み込まれてよく、または多数の相互接続コンポーネントを含む回路に構成されてもよい。
【0013】
図1は、本発明によって動作する無線通信システム100を示す。システム100は、
無線信号115を介して互いに通信するWTRU105およびノード−B110を含む。WTRU105は少なくとも1つのバッファ120を含む。
【0014】
図2は、最初のEUデータスケジューリングメッセージにより許可されたEUデータ送信が、WTRU105のバッファ120に格納されているすべてのEUデータを送信するのに十分でない場合の、無線通信システム100の信号フロー図である。EUデータ205は、WTRU105で生成され、WTRU105のバッファ120に格納される。バッファ120中のEUデータの量が、設定されたEUデータバッファ閾値を超える場合、WTRU105は、EUシグナリングチャネルを介して初期TVM情報要求メッセージ210をノード−B110へ送る。EUシグナリングチャネルのペイロード容量が限られているため、詳細なTVM情報は、初期TVM情報要求メッセージ210と共に含めることができないかもしれない。初期TVM情報要求メッセージ210はただ、WTRU105が送信する準備ができているEUデータを有することを示してもよく、および/またはEUデータの量の概算値を含むことによって、ノード−B110へレート要求として機能してもよい。
【0015】
さらに
図2を参照して、初期TVM情報要求メッセージ210を受信すると、ノード−B110は、最初のEUデータスケジューリングメッセージ215を介してWTRU105およびノード−B110の間の1つまたは複数のEU送信をスケジューリングする。最初のEUデータスケジューリングメッセージ215の受信に応答して、WTRU105は、最初のEUデータスケジューリングメッセージ215によって許可された1つまたは複数のEU送信220を、ノード−B110に送信する。ノード−B110によりスケジューリングされたEUデータ送信が、WTRU105でバッファされているすべてのすべてのEUデータを送信するのに十分でない場合、WTRU105は、WTRU105でバッファされているデータの概算量を示す詳細なTVM情報を含むEUデータ送信220を送る。随意的に、詳細なTVM情報は、各関連トラフィック優先度クラス、またはEU−DCH(EU専用チャネル:EU Dedicated Channel)にマップされた論理チャネルに関連付けられたバッファされたデータの量を示してもよい。詳細なTVM情報は、レイヤ2またはレイヤ3にてEUデータと多重化してもよい。レイヤ2において、詳細なTVM情報は、EU−DCHのMACヘッダにおいて識別してもよく、そしてレイヤ3において、詳細なTVM情報は、RRC(無線リソース管理:Radio Resource Control)または他の同等なレイヤ3シグナリングエンティティでシグナリングしてもよい。EUデータ送信220は、いくつかの独立な物理的送信を含んでもよい。
【0016】
ノードB110は、後続のアップリンクスケジューリングにおいて、EUデータ送信220を介して報告されたTVM情報、および潜在的に関連付けられた優先度および/または論理チャネルについての包括的な知識を利用することができる。WTRU105が後に追加EUデータを獲得すると、WTRU105は、更新されたTVM情報をノード−B110に報告することを選択してもよい。ノード−B110は次に、後続のEUデータスケジューリングメッセージ225a〜225nを介して、WTRU105からノード−B110への後続のEUデータ送信をスケジューリングする。
【0017】
図3は、EUデータスケジューリングメッセージにより許可された1つまたは複数のEUデータ送信が、WTRU105のバッファ120に格納されているすべてのEUデータを送信するのに十分な場合の、無線通信システム100の信号フロー図である。EUデータ305は、WTRU105で生成され、WTRU105のバッファ120に格納される。バッファ120内のEUデータの量が設定されたEUデータバッファ閾値を超える場合、WTRU105は、EUシグナリングチャネルを介して初期TVM情報要求メッセージ310をノード−B110へ送る。
【0018】
設定されたEUデータバッファ閾値を超えない場合、WTRU105によって送られたEUデータ送信は、ノード−B110によってスケジューリングされる必要はない。
【0019】
さらに
図3を参照して、初期TVM情報要求メッセージ310を受信すると、ノード−Bは、EUデータスケジューリングメッセージ315を介して、WTRU105およびノード−B110の間の1つまたは複数のEUデータ送信をスケジューリングする。EUデータスケジューリングメッセージ315の受信に応答して、WTRU105は、EUデータスケジューリングメッセージ315により許可された1つまたは複数のEUデータ送信320を送る。EUデータスケジューリングメッセージ315により許可されたEU送信が、WTRU105でバッファされているすべてのEUデータを送信するのに十分な場合、WTRU105のバッファ120に格納されているすべてのEUデータはノード−Bに送られる。WTRU105は、ノード−B110に送るべき追加EUデータはないことを承知しているため、追加のTVM報告は必要でない。
【0020】
優先度クラスまたはTVMに関連付けられた論理チャネル/MAC−dフローに関連付けられたデータは、より正確なチャネル割り当て、および無線リソースのより効率的な使用のために、ノード−B110に格納してもよい。ノード−B110は、そのTVMおよび関連優先度を利用して、WTRU105によって提供された追加のTVMの詳細により、より高い精度で後続のEUデータのスケジューリングを構築する。
【0021】
図4は本発明に従って、WTRU105からノード−B110にユーザデータを転送する方法ステップを含む処理400のフロー図である。ステップ405において、EUデータは、生成され、WTRU105のバッファ120に格納される。随意的ステップ410において、WTRU105のバッファ120に格納されているEUデータの量が設定されたEUデータバッファ閾値を超えるか否かに関して、決定がなされる。WTRU105のバッファ120内に格納されているEUデータの量が設定された閾値を超えない場合、EU送信はノード−Bのスケジューリングなしで許可され、格納されているすべてのEUデータはノード−B110に送信される(ステップ430)。格納されているEUデータの量が設定された閾値を超える場合、WTRU105は、WTRU105がノード−B110に送るべきEUデータを有することを示す、初期TVM情報要求メッセージをノード−B110に送る(ステップ415)。
【0022】
設定されたEUデータバッファ閾値をゼロに設定してもよいことに留意するべきである。この場合には、WTRU105のバッファ120内の任意の量のEUデータの格納により、初期TVM情報要求メッセージ210の送信が常にトリガされることになる。
【0023】
さらに
図4を参照して、ステップ420において、ノード−B110は、許可された1つまたは複数のEUデータ送信の情報を含む、EUデータスケジューリングメッセージをWTRU105に送り、WTRU105でバッファされているEUデータのノード−B110への送信をスケジューリングする。ステップ425において、WTRU105は、許可されたEUデータ送信がバッファされているすべてのEUデータを送信するのに十分であるかを決定する。現在のスケジューリング情報により許可されたEUデータ送信が、バッファ120に格納されているすべてのEUデータの送信を支援するのに十分ならば、WTRU105にバッファされているすべてのEUデータは、許可されたEUデータ送信においてノード−B110に送信される(ステップ430)。
【0024】
現在のスケジューリング情報により許可されたEUデータ送信が、WTRU105にバッファされているすべてのEUデータを送信するのに十分でないならば、WTRU105は、格納されているEUデータの一部と多重化された詳細なTVM情報を含む1つまたは複数のEUデータ送信を、ノード−B110に送信する(ステップ435)。ステップ440において、WTRU105にバッファされたEUデータが無くなるまで、ノード−B110は、1つまたは複数の追加EUデータ送信をスケジューリングし、送信する。
【0025】
本発明が、好適な実施形態を参照して特に示され、記述されてきたが、上記に記述された本発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細において様々な変更がなされうることは、当業者によって理解されるであろう。