(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切替部は、前記基準タグとの所定回数の通信において、前記両側波帯のうち一方の単側波帯から受信した受信信号にもとづく通信の成否と、あらかじめ設定した閾値との比較にもとづいて、前記第1の復号部による復号と前記第2の復号部による復号とを切り替えることを特徴とする請求項1記載の通信装置。
前記第2の復号部は、前記両側波帯のうち低域側の単側波帯から受信した受信信号にもとづく通信の成否と、前記両側波帯のうち高域側の単側波帯から受信した受信信号にもとづく通信の成否との比較にもとづいて、前記低域側の単側波帯または前記高域側の単側波帯から受信した受信信号を復号することを特徴とする請求項2記載の通信装置。
前記切替部は、前記基準タグとの通信において、前記両側波帯のうち一方の単側波帯から受信した受信信号にもとづく通信時間と、あらかじめ設定した閾値との比較にもとづいて、前記第1の復号部による復号と前記第2の復号部による復号とを切り替えることを特徴とする請求項1記載の通信装置。
前記第2の復号部は、前記両側波帯のうち低域側の単側波帯から受信した受信信号にもとづく通信時間と、前記両側波帯のうち高域側の単側波帯から受信した受信信号にもとづく通信時間との比較にもとづいて、前記低域側の単側波帯または前記高域側の単側波帯から受信した受信信号を復号することを特徴とする請求項4記載の通信装置。
所定の周波数帯域のチャネルを使用して送信信号を送信し、前記チャネルの両側波帯から受信信号を受信可能にして、データキャリアとの間で無線によるデータ通信をおこなう通信装置の通信方法であって、
前記受信信号の復号について、前記両側波帯から受信した受信信号を復号する第1の復号と、前記両側波帯のうち一方の単側波帯から受信した受信信号を復号する第2の復号と、を通信品質の基準となる基準タグとの通信にもとづいて切り替える、
ことを特徴とする通信方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態の通信装置について、
図1を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態の通信装置の構成を示す図である。
【0016】
通信装置1は、データキャリア11との間で無線によるデータ通信をおこなうことができる。データキャリア11は、たとえば、RFIDタグなどの無線タグであり、フィルム状の基材にICチップとアンテナを内蔵する。ICチップは、無線通信により読み書き可能な記憶領域を備える。記憶領域は、RFIDタグを一意に識別可能な識別情報や、セキュリティ情報(たとえば、パスワード)を記憶する。データキャリア11は、媒体10に付される。媒体10は、識別対象となるものであり、たとえば、部品、仕掛け品、製品等のモノの他に、帳票や、農産物や、魚介類、家畜等、また、人や人の所持品などがある。
【0017】
通信装置1は、送信部2と、受信部3と、第1の復号部4と、第2の復号部5と、切替部6を備える。
送信部2は、送信周波数帯7aにあるチャネルを使用した送信波7により、データキャリア11に送信信号を送信する。送信周波数帯7aは、通信装置1に割り当てられたデータ送信用の専用チャネルである。
【0018】
受信部3は、送信周波数帯7aにあるチャネルの両側波帯8aの受信波8を受信可能である。両側波帯8aは、送信周波数帯7aに対するデータキャリア11からのデータ受信(データリターン)用の専用チャネルである。
【0019】
第1の復号部4は、両側波帯8aから受信した受信信号を復号する。第2の復号部5は、両側波帯8aのうち一方の単側波帯8bから受信した受信信号を復号する。単側波帯8bは、両側波帯8aのうち高域側にある単側波帯と、両側波帯8aのうち低域側にある単側波帯のいずれか一方とすることができる。
【0020】
たとえば、受信信号の復号は、ミラーサブキャリア方式で行うことができる。ミラーサブキャリア方式とは、送信信号と受信信号(データキャリア応答信号)で異なる周波数帯を使用するものである。ミラーサブキャリア方式においては、他のリーダライタの送信信号が受信信号に干渉することなく通信をおこなえるように、チャネル配置がされている。
【0021】
切替部6は、受信部3が受信した受信信号の復号について、第1の復号部4による復号と第2の復号部5による復号とを所定条件にもとづいて切り替える。
このように、通信装置1は、送信周波数帯7aの両側波帯8aからの復号と、送信周波数帯7aのいずれか一方の単側波帯8bからの復号とを切り替えるものであり、他の通信装置が使用する送信周波数帯を制限するものではない。
【0022】
これにより、通信装置1は、データキャリア11との通信を効率的におこなうことができる。また、通信装置1は、キャリアセンスによる空きチャネルの有無の確認を必要としないことから、周波数帯域を効率的に利用した通信が可能である。また、複数のリーダライタが通信をおこなう環境下において、通信装置1は、利用可能な周波数帯域を効率的に利用することができる。
【0023】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態の通信システムについて、
図2、
図3を用いて説明する。
図2は、第2の実施形態の通信システムを示す図である。
図3は、第2の実施形態のリーダライタユニットが無線タグとの通信に使用するチャネル配置を示す図である。
【0024】
通信システム20は、たとえば、工場の生産ラインや、配送センターの仕分けラインなどで、媒体23に付された無線タグ25によりライン22上を搬送される媒体23を識別する。なお、ライン22は、ベルトコンベアなどの他、台車などの搬送手段を含む。
【0025】
通信システム20は、複数のリーダライタユニット30(30a,30b,30c,30d,携帯式リーダライタ31を含む)を備える。リーダライタユニット30は、アンテナ24を介して無線タグ25との間で無線通信をおこなう通信装置である。
【0026】
なお、リーダライタユニット30がアンテナ24を介して無線通信をおこなう対象となる無線タグ25は、一度に1つに限らず、複数の場合がある。たとえば、複数の媒体23が梱包されている場合などには、リーダライタユニット30は、100以上の無線タグ25を通信対象とすることがある。
【0027】
複数のリーダライタユニット30は、ネットワーク21と接続し、サーバ33と通信可能である。リーダライタユニット30は、近接する複数のリーダライタユニット30間の無線通信の干渉を防ぐため、近接する複数のリーダライタユニット30間で異なる周波数帯を使用するように設定される。サーバ33は、無線タグ25との間で無線通信に使用可能なチャネル数が限られているため、相互に干渉しないようにリーダライタユニット30の使用するチャネルを割り当てることができる。
【0028】
リーダライタユニット30は、無線タグ25との間の無線通信に920MHz帯を用いる。920MHz帯は、4つの送信チャネル40,41,42,43を有する。送信チャネル40は、916.8MHz帯を送信周波数帯とする。送信チャネル41は、918.0MHz帯を送信周波数帯とする。送信チャネル42は、919.2MHz帯を送信周波数帯とする。送信チャネル43は、920.4MHz帯を送信周波数帯とする。
【0029】
送信チャネル40は、低域側側波帯としてデータリターン用チャネル46と、高域側側波帯としてデータリターン用チャネル47を有する。送信チャネル41は、低域側側波帯としてデータリターン用チャネル47と、高域側側波帯としてデータリターン用チャネル48を有する。送信チャネル42は、低域側側波帯としてデータリターン用チャネル48と、高域側側波帯としてデータリターン用チャネル49を有する。送信チャネル43は、低域側側波帯としてデータリターン用チャネル49と、高域側側波帯としてデータリターン用チャネル50を有する。
【0030】
すなわち、リーダライタユニット30は、送信チャネル40を使用する場合に、無線タグ25からタグ応答51とタグ応答52を受信可能である。また、リーダライタユニット30は、送信チャネル41を使用する場合に、無線タグ25からタグ応答52とタグ応答53を受信可能である。また、リーダライタユニット30は、送信チャネル42を使用する場合に、無線タグ25からタグ応答53とタグ応答54を受信可能である。また、リーダライタユニット30は、送信チャネル43を使用する場合に、無線タグ25からタグ応答54とタグ応答55を受信可能である。
【0031】
このように、920MHz帯のチャネルプランは、送信チャネルに対応するデータリターン用の専用チャネル(データリターン用チャネル)が設けられている。また、920MHz帯のチャネルプランは、送信チャネルがデータリターン用チャネルを挟むようにして所定の間隔をもって配置されている。
【0032】
これにより、リーダライタユニット30は、送信信号と受信信号とで異なる周波数帯を使用するミラーサブキャリア方式の通信をおこなうことができる。また、リーダライタユニット30は、異なる送信チャネルを使用する他のリーダライタユニット30の送信信号がタグ応答信号に干渉することなく通信をおこなうことができる。
【0033】
また、リーダライタユニット30は、1W以下の出力において、キャリアセンスを必要とせずにデータキャリア11との通信をおこなうことができる。しかしながら、データリターン用チャネル50は、他の送信チャネル44,45と同じ周波数帯を使用しているためにタグ応答55を受信する受信信号は、ノイズ成分を多く含む場合がある。そのため、送信チャネル43を用いるリーダライタユニット30は、送信チャネル40,41,42を用いるリーダライタユニット30よりも通信条件が悪いこととなる。
【0034】
通信システム20が4つ以上のリーダライタユニット30を含む場合、リーダライタユニット30の1つに送信チャネル43が割り当てられる場合がある。また、作業者32とともに移動する携帯式リーダライタ31は、位置が固定されているリーダライタユニット30a,30b,30c,30dとの干渉を防止するため、送信チャネル44,45が割り当てられる場合がある。
【0035】
次に、第2の実施形態のリーダライタユニットのハードウェア構成について
図4を用いて説明する。
図4は、第2の実施形態のリーダライタユニットのハードウェア構成例を示す図である。
【0036】
リーダライタユニット30は、制御装置100に入出力装置を接続する。制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)101によって制御されている。CPU101には、バス107を介してRAM(Random Access Memory)102、フラッシュROM(Read Only Memory)103、グラフィック処理装置105、通信インタフェース104、および入出力インタフェース106が接続されている。
【0037】
RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。フラッシュROM103には、OSやアプリケーションプログラムが格納される。
【0038】
グラフィック処理装置105には、図示しない表示装置が接続されている。グラフィック処理装置105は、CPU101からの命令に従って、画像を表示装置に表示させる。
入出力インタフェース106には、アンテナ24および図示しないスピーカ等が接続されている。また、入出力インタフェース106は、可搬型記録媒体108への情報の書込み、および可搬型記録媒体108からの情報の読出しが可能な可搬型記録媒体インタフェースと接続可能になっている。入出力インタフェース106は、アンテナ24から送られてくる信号を、バス107を介してCPU101に送信する。
【0039】
通信インタフェース104は、たとえば、無線または有線のネットワーク通信、またはRS−232C(Recommended Standard 232 version C)やUSB(Universal Serial Bus)接続の接続形式で、リーダライタユニット30を外部装置に通信可能に接続する。通信インタフェース104は、外部装置との間でデータの送受信をおこなう。
【0040】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。また、携帯式リーダライタ31、サーバ33も同様のハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
【0041】
なお、リーダライタユニット30は、それぞれFPGA(Field Programmable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processer)などからなるモジュールを含んで構成することもでき、CPU101を有しない構成とすることもできる。その場合、リーダライタユニット30は、それぞれ不揮発性メモリ(たとえば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、フラッシュメモリ型メモリカードなど)を備え、モジュールのファームウェアを記憶する。不揮発性メモリは、可搬型記録媒体108、あるいは通信インタフェース104を介してファームウェアを書き込むことができる。このようにリーダライタユニット30は、不揮発性メモリに記憶されているファームウェアを書き換えることにより、ファームウェアの更新をおこなうこともできる。
【0042】
次に、リーダライタユニット30が受信信号の復号時に実行する復号設定処理について
図5を用いて説明する。
図5は、第2の実施形態の復号設定処理のフローチャートである。復号設定処理は、無線タグ25との通信開始に先立ち、所定のタイミングで実行される。
【0043】
[ステップS11]リーダライタユニット30(制御装置100)は、送信周波数が920.4MHz帯(送信チャネル43)であるか否かを判定する。リーダライタユニット30は、送信周波数が920.4MHz帯である場合にステップS12にすすみ、送信周波数が920.4MHz帯でない場合にステップS13にすすむ。
【0044】
たとえば、リーダライタユニット30は、RAM102、またはフラッシュROM103が記憶する送信周波数の設定情報を参照することにより、送信周波数が920.4MHz帯であるか否かの判定をおこなうことができる。送信周波数の設定情報は、リーダライタユニット30が備える設定入力装置により設定された情報とすることもできるし、サーバ33から通知された情報とすることもできる。この場合、リーダライタユニット30は、設定情報にもとづいて、無線タグ25との通信に使用する送信周波数(送信チャネル)を決定する。
【0045】
[ステップS12]リーダライタユニット30は、低域側のSSB(Single SideBand:単側波帯)であるタグ応答54を復号に用いる信号に設定し、復号設定処理を終了する。
【0046】
[ステップS13]リーダライタユニット30は、送信周波数が916.8MHz帯(送信チャネル40)である場合に、DSB(Double SideBand:両側波帯)であるタグ応答51とタグ応答52を復号に用いる信号に設定する。また、リーダライタユニット30は、送信周波数が918.0MHz帯(送信チャネル41)である場合に、DSBであるタグ応答52とタグ応答53を復号に用いる信号に設定する。また、リーダライタユニット30は、送信周波数が919.2MHz帯(送信チャネル42)である場合に、DSBであるタグ応答53とタグ応答54を復号に用いる信号に設定する。リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を設定した後に、設定復号設定処理を終了する。
【0047】
これにより、リーダライタユニット30は、送信チャネル43を用いる場合に、送信チャネル44,45を用いる他の通信装置の送信信号からの干渉を低減することができる。そのため、リーダライタユニット30は、無線タグ25との間で安定した無線通信を可能にする。
【0048】
なお、送信チャネル43を用いるリーダライタユニット30は、送信チャネル40,41,42を用いるリーダライタユニット30に比較して、使用できる帯域が半分になるため、一般にS/N比が悪くなる(たとえば、約3dB)おそれがある。しかしながら、他の通信装置との干渉時において、リーダライタユニット30は、DSBよりも良好な通信を可能にし得る。
【0049】
なお、復号設定処理は、リーダライタユニット30の起動時に実行することができる他、リーダライタユニット30が使用する送信チャネルの設定変更時、リーダライタユニット30が使用する送信チャネルのサーバ33からの通知時などとすることができる。
【0050】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態の復号設定処理について、
図6を用いて説明する。
図6は、第3の実施形態の復号設定処理のフローチャートである。復号設定処理は、無線タグ25との通信開始に先立ち、所定のタイミングで実行される。なお、第2の実施形態と同様の構成については、符号を同じにして説明を省略する。
【0051】
[ステップS21]リーダライタユニット30(制御装置100)は、送信周波数が920.4MHz帯(送信チャネル43)であるか否かを判定する。リーダライタユニット30は、送信周波数が920.4MHz帯である場合にステップS22にすすみ、送信周波数が920.4MHz帯でない場合にステップS24にすすむ。
【0052】
たとえば、リーダライタユニット30は、RAM102、またはフラッシュROM103が記憶する送信周波数の設定情報を参照することにより、送信周波数が920.4MHz帯であるか否かの判定をおこなうことができる。送信周波数の設定情報は、リーダライタユニット30が備える設定入力装置により設定された情報とすることもできるし、サーバ33から通知された情報とすることもできる。
【0053】
[ステップS22]リーダライタユニット30は、復号方式がSSB復号設定であるか否かを判定する。リーダライタユニット30は、復号方式がSSB復号設定である場合にステップS23にすすみ、復号方式がSSB復号設定でない場合にステップS24にすすむ。
【0054】
たとえば、リーダライタユニット30は、RAM102、またはフラッシュROM103が記憶する復号方式の設定情報を参照することにより、復号方式がSSB復号設定であるか否かの判定をおこなうことができる。復号方式の設定情報は、リーダライタユニット30が備える設定入力装置により設定された情報とすることもできるし、サーバ33から通知された情報とすることもできる。
【0055】
[ステップS23]リーダライタユニット30は、低域側のSSBであるタグ応答54を復号に用いる信号に設定し、復号設定処理を終了する。
[ステップS24]リーダライタユニット30は、DSBであるタグ応答54とタグ応答55を復号に用いる信号に設定し、復号設定処理を終了する。
【0056】
これにより、リーダライタユニット30は、送信チャネル43を用いる場合に、送信チャネル44,45を用いる他の通信装置の送信信号からの干渉を低減することができる。そのため、リーダライタユニット30は、無線タグ25との間で安定した無線通信を可能にする。また、リーダライタユニット30は、送信チャネル43を用いる場合であっても、SSBとDSBとを選択可能であるため、通信システム20の環境に応じて柔軟に対応可能である。
【0057】
なお、復号設定処理は、リーダライタユニット30の起動時に実行することができる他、リーダライタユニット30が使用する送信チャネルの設定変更時、リーダライタユニット30が使用する送信チャネルのサーバ33からの通知時などとすることができる。
【0058】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態の復号設定処理について、
図7を用いて説明する。
図7は、第4の実施形態の復号設定処理のフローチャートである。復号設定処理は、所定のタイミング(たとえば、1msごとなどの所定周期)で実行される。なお、第2の実施形態と同様の構成については、符号を同じにして説明を省略する。
【0059】
[ステップS31]リーダライタユニット30(制御装置100)は、設定更新タイミングであるか否かを判定する。リーダライタユニット30は、設定更新タイミングである場合にステップS32にすすみ、設定更新タイミングでない場合に復号設定処理を終了する。
【0060】
たとえば、リーダライタユニット30は、あらかじめ設定するタイマにより監視時間を設定し、所定周期で設定更新をおこなうことができる。監視時間は、リーダライタユニット30が備える設定入力装置により設定された情報とすることもできるし、サーバ33から通知された情報とすることもできる。
【0061】
[ステップS32]リーダライタユニット30は、送信チャネルの低域側側波帯のノイズ(ノイズ量)を計測する。
[ステップS33]リーダライタユニット30は、送信チャネルの高域側側波帯のノイズ(ノイズ量)を計測する。
【0062】
なお、ステップS32、ステップS33でおこなうノイズの計測は、通信品質を評価可能であれば、その他の指標であってもよい。
[ステップS34]リーダライタユニット30は、送信チャネルの低域側側波帯のノイズが閾値を超えるものか否かを判定する。リーダライタユニット30は、送信チャネルの低域側側波帯のノイズが閾値を超える場合にステップS35にすすみ、閾値を超えない場合にステップS38にすすむ。
【0063】
[ステップS35]リーダライタユニット30は、送信チャネルの低域側側波帯のノイズが送信チャネルの高域側側波帯のノイズを超えるものか否かを判定する。リーダライタユニット30は、送信チャネルの低域側側波帯のノイズが送信チャネルの高域側側波帯のノイズを超える場合にステップS36にすすみ、高域側側波帯のノイズを超えない場合にステップS37にすすむ。
【0064】
[ステップS36]リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を高域側のSSBに設定し、復号設定処理を終了する。
[ステップS37]リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を低域側のSSBに設定し、復号設定処理を終了する。
【0065】
[ステップS38]リーダライタユニット30は、送信チャネルの高域側側波帯のノイズが閾値を超えるものか否かを判定する。リーダライタユニット30は、送信チャネルの高域側側波帯のノイズが閾値を超える場合にステップS37にすすみ、閾値を超えない場合にステップS39にすすむ。
【0066】
なお、ステップS34、ステップS38で判定に用いる閾値は、低域側側波帯のノイズと高域側側波帯のノイズとで、異なる閾値を用いてもよいし、同じ閾値を用いてもよい。
[ステップS39]リーダライタユニット30は、復号に用いる信号をDSBに設定し、復号設定処理を終了する。
【0067】
これにより、リーダライタユニット30は、他の通信装置の送信信号からの干渉を低減することができる。そのため、リーダライタユニット30は、無線タグ25との間で安定した無線通信を可能にする。また、リーダライタユニット30は、通信状況に応じて、SSBとDSBとを選択可能であるため、通信システム20の環境に応じた通信が可能である。
【0068】
なお、リーダライタユニット30は、RAM102、またはフラッシュROM103を参照して閾値を取得することができる。また、閾値は、リーダライタユニット30が備える設定入力装置により設定された情報とすることもできるし、サーバ33から通知された情報とすることもできる。
【0069】
なお、リーダライタユニット30は、ステップS31のタイマ監視による設定更新タイミングの判定に代えて、イベント監視による設定更新タイミングの判定をおこなうようにしてもよい。たとえば、リーダライタユニット30は、ライン22を搬送される媒体23の搬送速度や、搬送間隔、搬送密度など、リーダライタユニット30と無線タグ25の通信余裕時間や、通信密度が変化するイベントを監視対象とすることができる。
【0070】
なお、リーダライタユニット30は、送信チャネル43を用いる場合に限って復号設定処理をおこなうようにしてもよいし、すべての送信チャネルを用いる場合に復号設定処理をおこなうようにしてもよい。
【0071】
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態の復号設定処理について、
図8を用いて説明する。
図8は、第5の実施形態の復号設定処理のフローチャートである。復号設定処理は、所定のタイミング(たとえば、1msごとなどの所定周期)で実行される。なお、第2の実施形態と同様の構成については、符号を同じにして説明を省略する。
【0072】
第5の実施形態の通信システム20は、リーダライタユニット30のアンテナ24の周辺に、リーダライタユニット30の読み取り(通信品質)の基準となる無線タグ(基準タグ)を設ける。基準タグは、リーダライタユニット30から安定的に読み取ることができる場所に設けられる。なお、基準タグは、ノイズのない環境で読み取り限界に近い場所に設けられることが望ましい。リーダライタユニット30は、基準タグの読み取りの成否の回数にもとづいて復号方式の切替を判断する。
【0073】
[ステップS41]リーダライタユニット30(制御装置100)は、設定更新タイミングであるか否かを判定する。リーダライタユニット30は、設定更新タイミングである場合にステップS42にすすみ、設定更新タイミングでない場合に復号設定処理を終了する。
【0074】
たとえば、リーダライタユニット30は、あらかじめ設定するタイマにより監視時間を設定し、所定周期で設定更新をおこなうことができる。監視時間は、リーダライタユニット30が備える設定入力装置により設定された情報とすることもできるし、サーバ33から通知された情報とすることもできる。
【0075】
[ステップS42]リーダライタユニット30は、復号に用いる信号をDSBに設定する。
[ステップS43]リーダライタユニット30は、あらかじめ設定した回数の基準タグの読み取りをおこなう。ここで、リーダライタユニット30は、DSBを復号に用いたときの読み取りの成功回数を取得する。
【0076】
[ステップS44]リーダライタユニット30は、正常な読取回数が閾値を超えるものか否かを判定する。リーダライタユニット30は、正常な読取回数が閾値を超えない場合にステップS45にすすみ、正常な読取回数が閾値を超える場合に復号設定処理を終了する。すなわち、リーダライタユニット30は、正常な読取回数が閾値を超える場合には、復号に用いる信号をDSBに設定する。
【0077】
[ステップS45]リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を低域側SSBに設定する。
[ステップS46]リーダライタユニット30は、あらかじめ設定した回数の基準タグの読み取りをおこなう。ここで、リーダライタユニット30は、低域側SSBを復号に用いたときの読み取りの成功回数を取得する。
【0078】
[ステップS47]リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を高域側SSBに設定する。
[ステップS48]リーダライタユニット30は、あらかじめ設定した回数の基準タグの読み取りをおこなう。ここで、リーダライタユニット30は、高域側SSBを復号に用いたときの読み取りの成功回数を取得する。
【0079】
[ステップS49]リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を高域側SSBに設定したときの正常な読取回数が、復号に用いる信号を低域側SSBに設定したときの正常な読取回数を超えるものか否かを判定する。リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を高域側SSBに設定したときの正常な読取回数が、復号に用いる信号を低域側SSBに設定したときの正常な読取回数を超えない場合にステップS50にすすみ、超える場合に復号設定処理を終了する。すなわち、リーダライタユニット30は、高域側SSBに設定したときの正常な読取回数が、復号に用いる信号を低域側SSBに設定したときの正常な読取回数を超える場合には、復号に用いる信号を高域側SSBに設定する。
【0080】
[ステップS50]リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を低域側SSBに設定して、復号設定処理を終了する。
これにより、リーダライタユニット30は、他の通信装置の送信信号からの干渉を低減することができる。そのため、リーダライタユニット30は、無線タグ25との間で安定した無線通信を可能にする。また、リーダライタユニット30は、通信状況に応じて、SSBとDSBとを選択可能であるため、通信システム20の環境に応じた通信が可能である。
【0081】
なお、リーダライタユニット30は、RAM102、またはフラッシュROM103を参照して設定回数を取得することができる。また、設定回数は、リーダライタユニット30が備える設定入力装置により設定された情報とすることもできるし、サーバ33から通知された情報とすることもできる。
【0082】
なお、リーダライタユニット30は、ステップS41のタイマ監視による設定更新タイミングの判定に代えて、イベント監視による設定更新タイミングの判定をおこなうようにしてもよい。たとえば、リーダライタユニット30は、ライン22を搬送される媒体23の搬送速度や、搬送間隔、搬送密度など、リーダライタユニット30と無線タグ25の通信余裕時間や、通信密度が変化するイベントを監視対象とすることができる。
【0083】
なお、基準タグは、リーダライタユニット30から安定的に読み取ることができる程度を違えて複数を設けるようにしてもよい。これにより、リーダライタユニット30は、ノイズの程度に応じた読み取りの成否の回数にもとづいて復号方式の切替を判断することができる。
【0084】
なお、リーダライタユニット30は、あらかじめ設定した回数の基準タグの読み取りをおこなうようにしたが、これに代えて、あらかじめ設定した回数の読み取り成功または失敗まで基準タグの読み取りをおこなうようにしてもよい。また、安定的に読み取ることができる程度を違えた複数の基準タグがある場合、リーダライタユニット30は、すべての基準タグについて、あらかじめ設定した回数の基準タグの読み取りをおこなうようにしてもよい。
【0085】
なお、リーダライタユニット30は、送信チャネル43を用いる場合に限って復号設定処理をおこなうようにしてもよいし、すべての送信チャネルを用いる場合に復号設定処理をおこなうようにしてもよい。
【0086】
[第6の実施形態]
次に、第6の実施形態の復号設定処理について、
図9を用いて説明する。
図9は、第6の実施形態の復号設定処理のフローチャートである。復号設定処理は、所定のタイミング(たとえば、1msごとなどの所定周期)で実行される。なお、第2の実施形態と同様の構成については、符号を同じにして説明を省略する。
【0087】
第6の実施形態の通信システム20は、第5の実施形態と同様の基準タグを設ける。リーダライタユニット30は、基準タグの読み取りに要する時間にもとづいて復号方式の切替を判断する。一般に、ノイズが多い場合には、通信が不安定となり、アンチコリジョンによるリトライなどが発生する。そのため、基準タグの読み取り時間は、ノイズの量に応じて長くなる。第6の実施形態の復号設定処理は、基準タグの読み取り時間を監視し、処理時間が長い場合にはノイズが多いと判断して復号方式を切り替える。
【0088】
[ステップS51]リーダライタユニット30(制御装置100)は、設定更新タイミングであるか否かを判定する。リーダライタユニット30は、設定更新タイミングである場合にステップS52にすすみ、設定更新タイミングでない場合に復号設定処理を終了する。
【0089】
たとえば、リーダライタユニット30は、あらかじめ設定するタイマにより監視時間を設定し、所定周期で設定更新をおこなうことができる。監視時間は、リーダライタユニット30が備える設定入力装置により設定された情報とすることもできるし、サーバ33から通知された情報とすることもできる。
【0090】
[ステップS52]リーダライタユニット30は、復号に用いる信号をDSBに設定する。
[ステップS53]リーダライタユニット30は、基準タグの読み取りをおこなう。ここで、リーダライタユニット30は、基準タグの読み取りに要した時間を取得する。基準タグの読み取りに要した時間は、基準タグの読み取りを一回おこなったときの読み取り時間である。
【0091】
なお、基準タグの読み取りに要した時間は、基準タグの読み取りを所定回数おこなったときの代表時間(平均値、中央値、最頻値など)としてもよい。
[ステップS54]リーダライタユニット30は、読み取り時間が閾値を超えるものか否かを判定する。リーダライタユニット30は、読み取り時間が閾値を超える場合にステップS55にすすみ、読み取り時間が閾値を超えない場合に復号設定処理を終了する。すなわち、リーダライタユニット30は、読み取り時間が閾値を超えない場合には、復号に用いる信号をDSBに設定する。
【0092】
[ステップS55]リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を低域側SSBに設定する。
[ステップS56]リーダライタユニット30は、基準タグの読み取りをおこなう。ここで、リーダライタユニット30は、基準タグの読み取りに要した時間を取得する。
【0093】
[ステップS57]リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を高域側SSBに設定する。
[ステップS58]リーダライタユニット30は、基準タグの読み取りをおこなう。ここで、リーダライタユニット30は、基準タグの読み取りに要した時間を取得する。
【0094】
[ステップS59]リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を高域側SSBに設定したときの読み取り時間が、復号に用いる信号を低域側SSBに設定したときの読み取り時間を超えるものか否かを判定する。リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を高域側SSBに設定したときの読み取り時間が、復号に用いる信号を低域側SSBに設定したときの読み取り時間を超える場合にステップS60にすすみ、超えない場合に復号設定処理を終了する。すなわち、リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を高域側SSBに設定したときの読み取り時間が、復号に用いる信号を低域側SSBに設定したときの読み取り時間を超える場合には、復号に用いる信号を高域側SSBに設定する。
【0095】
[ステップS60]リーダライタユニット30は、復号に用いる信号を低域側SSBに設定して、復号設定処理を終了する。
これにより、リーダライタユニット30は、他の通信装置の送信信号からの干渉を低減することができる。そのため、リーダライタユニット30は、無線タグ25との間で安定した無線通信を可能にする。また、リーダライタユニット30は、通信状況に応じて、SSBとDSBとを選択可能であるため、通信システム20の環境に応じた通信が可能である。
【0096】
なお、リーダライタユニット30は、RAM102、またはフラッシュROM103を参照して閾値を取得することができる。また、閾値は、リーダライタユニット30が備える設定入力装置により設定された情報とすることもできるし、サーバ33から通知された情報とすることもできる。
【0097】
なお、リーダライタユニット30は、ステップS51のタイマ監視による設定更新タイミングの判定に代えて、イベント監視による設定更新タイミングの判定をおこなうようにしてもよい。たとえば、リーダライタユニット30は、ライン22を搬送される媒体23の搬送速度や、搬送間隔、搬送密度など、リーダライタユニット30と無線タグ25の通信余裕時間や、通信密度が変化するイベントを監視対象とすることができる。
【0098】
なお、基準タグは、リーダライタユニット30から安定的に読み取ることができる程度を違えて複数を設けるようにしてもよい。これにより、リーダライタユニット30は、ノイズの程度に応じた読み取り時間にもとづいて復号方式の切替を判断することができる。
【0099】
なお、リーダライタユニット30は、送信チャネル43を用いる場合に限って復号設定処理をおこなうようにしてもよいし、すべての送信チャネルを用いる場合に復号設定処理をおこなうようにしてもよい。
【0100】
[第7の実施形態]
次に、第7の実施形態の使用周波数帯指示処理について、
図10を用いて説明する。
図10は、第7の実施形態の使用周波数帯指示処理のフローチャートである。使用周波数帯指示処理は、サーバ33により、所定のタイミングで実行される。なお、第2の実施形態と同様の構成については、符号を同じにして説明を省略する。
【0101】
[ステップS61]サーバ33(管理装置)は、通信システム20内にあるリーダライタユニット30からリーダライタユニット30が使用する周波数帯(送信チャネル)を取得する。なお、サーバ33は、周波数帯の取得対象となるリーダライタユニット30を、通信システム20内にあるすべてのリーダライタユニット30としてもよいし、通信干渉のある任意のリーダライタユニット30としてもよい。
【0102】
[ステップS62]サーバ33は、周波数帯の取得対象としたリーダライタユニット30からリーダライタユニット30の通信状態を取得する。
[ステップS63]サーバ33は、リーダライタユニット30の通信状態にもとづいて、周波数帯の取得対象としたリーダライタユニット30が使用する周波数帯を振り分ける。
【0103】
[ステップS64]サーバ33は、振り分けた周波数帯を各リーダライタユニット30に通知する。なお、このとき、サーバ33は、周波数帯の通知に加えて、復号に用いる信号に、低域側SSB、高域側SSB、あるいはDSBのいずれを用いるのかを指示してもよい。
【0104】
これにより、リーダライタユニット30は、通信システム20内の通信環境に応じた安定した無線通信をおこなうことができる。なお、サーバ33は、ライン22上を搬送される媒体23の位置や、移動する携帯式リーダライタ31の位置を取得して、周波数帯の振り分けの判断に用いるようにしてもよい。
【0105】
これによれば、サーバ33は、通信の干渉をあらかじめ予測して周波数帯の振り分けをおこなうことができる。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、通信装置1、リーダライタユニット30(30a,30b,30c,30d)、携帯式リーダライタ31、サーバ33が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(可搬型記録媒体を含む)に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0106】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0107】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムにしたがった処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムにしたがった処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムにしたがった処理を実行することもできる。
【0108】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではない。