特許第5716218号(P5716218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5716218
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/02 20060101AFI20150423BHJP
【FI】
   F25D17/02 304
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-207070(P2011-207070)
(22)【出願日】2011年9月22日
(65)【公開番号】特開2013-68357(P2013-68357A)
(43)【公開日】2013年4月18日
【審査請求日】2013年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今福 明男
(72)【発明者】
【氏名】杉本 清太郎
(72)【発明者】
【氏名】菊池 隆文
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠喜
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 淳一
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−243064(JP,A)
【文献】 特開2002−021050(JP,A)
【文献】 特開2007−032037(JP,A)
【文献】 特開2002−213396(JP,A)
【文献】 特開2010−156495(JP,A)
【文献】 特開平11−252864(JP,A)
【文献】 特開2000−039246(JP,A)
【文献】 実公昭42−015247(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、被冷却対象との間で循環させる液を貯留しておく液槽と、液を前記液槽から液槽出口を介して前記被冷却対象に送り出すとともに液槽入口を介して前記液槽に回収するための圧送ポンプと、前記液を冷却するための冷却回路と、前記液槽と前記圧送ポンプを接続する配管と、前記液槽と前記圧送ポンプとを接続する配管を液槽に接続するための継手を備える装置であって、前記液槽の下部の壁面に取り付けられた前記継手は前記圧送ポンプと同じ高さか、前記圧送ポンプよりも高い位置に配置し、前記継手の前記液を導入する吸込位置は、前記液槽出口下端よりも低い位置に設定され、且つ前記継手には所定の大きさの孔が設けられており、前記孔は、前記継手の上面で、液槽出口の液槽出口中心位置以上の高さの面に設けられていることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記孔は液の流れ方向に沿った方向に複数個加工したことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記孔は液の流れ方向に沿った方向に対して垂直な方向に複数個加工したことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記継手の形状は、T字型であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の冷却装置。
【請求項5】
前記継手の形状は、曲線調逆V字型であることを特徴とする。請求項1〜3いずれかに記載の冷却装置。
【請求項6】
前記継手の形状は、段付L字型であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の冷却装置。
【請求項7】
前記継手の形状は、勾配部を有することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の冷却装置。
【請求項8】
前記継手の形状は、水平導入部と勾配部を有することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の冷却装置。
【請求項9】
前記配管は、水平部と勾配部を有することを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の冷却装置。
【請求項10】
前記配管は、勾配部のみを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産現場で用いるレーザー加工機や医療現場で用いるMRI等の被冷却対象に冷却液を循環させて当該冷却物を冷却する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却装置は、被冷却対象との間で循環させる冷却液を貯留しておく液槽と、冷却液を液槽から冷却液出口を介して被冷却対象に送り出すとともに冷却液入口を介して液槽に回収するための圧送ポンプと、冷却液を冷却するための冷却器と、液槽と圧送ポンプを接続する配管などを搭載している。
【0003】
特許文献1に記載されているように、冷却液タンクから水を送り出すには、送液ポンプを用いる。特許文献2に記載されている渦流防止装置では、吸水槽内の終端側にポンプを設けると共に、該吸槽内のポンプよりも上流側に下方に延びる渦流防止壁が設けられ、渦流の発生を防止している。特許文献3に記載されている渦流防止装置では、ベルマウスを有する縦軸ポンプを吸水槽内に設置し、かつ吸水槽内底面の該ベルマウスに直下対向する位置に吸水槽底面に対して垂直方向に突出する渦防止板を設置して、渦流を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−322658号公報
【特許文献2】特開平5−321897号公報
【特許文献3】特公平7−103879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来における渦流防止装置は、次のような解決すべき課題が存在した。
特許文献1では、液槽内の液位が一定の液位以下になると、液槽内の液全体の重量と体積が小さくなるので、液槽内の液がポンプによる吸引力の影響を受けやすくなり、図9に示すように渦流20が発生し易くなる。渦流20が発生すると、渦流20は空気を液中へ巻き込む。一般に、液用のポンプは、真空状態をつくり出すことにより液を吸い込むので、空気を巻き込むと、真空状態をつくり出すことができない。圧送ポンプ3は液を吸い込むことができず、空運転をする。圧送ポンプ3が空運転をすると、シール部材の膨張を促し、液漏れにつながったり、モータ発熱による故障につながったりする。
【0006】
また、渦流を防止するためには、特許文献2や特許文献3に示すように液槽内に渦流防止壁や、渦流防止板を設けることで、液槽内の加工、組立をしなければならないので、部品点数や組立工数が増加する。従って、全体のコストが増加し、製品価格が上昇してしまう。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するもので、ポンプによる吸引力の影響を受けることにより液槽内の液が吸い込んだ空気をポンプが吸込まないようにしてポンプが動作不良或いは故障に至ることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冷却装置は、少なくとも、被冷却対象17との間で循環させる液8を貯留しておく液槽2と、液8を液槽2から液槽出口11を介して被冷却対象17に送り出すとともに液槽入口10を介して液槽に回収するための圧送ポンプ3と、液8を冷却するための冷却回路13と、これらを接続する配管4と、液槽2と圧送ポンプ3とを接続する配管4を液槽2に接続するための継手6を備える装置であって、液槽2の下部の壁面に取り付けられた継手6は圧送ポンプ3と同じ高さか、圧送ポンプ3よりも高い位置に配置し、継手6の液8を導入する吸込位置6aは、液槽出口下端11bよりも低い位置に設定され、且つ継手6には所定の大きさの孔7が設けられており、孔7は、前記継手の上面で、液槽出口の液槽出口中心位置以上の高さの面に設けられていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る請求項2の冷却装置によれば、孔7は液8の流れ方向に沿った方向に複数個加工したことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係る請求項3の冷却装置によれば、孔7は液8の流れ方向に沿った方向に対して垂直な方向に複数個加工したことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明に係る請求項4の冷却装置によれば、継手6の形状は、T字型であることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係る請求項5の冷却装置によれば、継手6の形状は、曲線調逆V字型であることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明に係る請求項6の冷却装置によれば、継手6の形状は、段付L字型であることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明に係る請求項7の冷却装置によれば、継手6の形状は、勾配部を有することを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明に係る請求項8の冷却装置によれば、継手6の形状は、水平導入部と勾配部を有することを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明に係る請求項9の冷却装置によれば、配管4は、水平部と勾配部を有することを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明に係る請求項10の冷却装置によれば、配管4は、勾配部のみを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
このような構成を有する本発明に係る請求項1の冷却装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1)液槽2内部に取り付けた継手6の液8を導入する吸込位置6aを液槽出口11よりも低い位置に設定し、且つ継手6に所定の大きさの孔7を設けたため、例えば、液面12が一定の液位より低下して、液槽2内の液8に空気9が混入した場合であっても、圧送ポンプ3により液8が送り出される際には、継手6に設けた孔7から空気9が上方に抜けるため、圧送ポンプ3が空気9を吸い込むことを防ぐことができる。
【0020】
(2)
圧送ポンプ3が空気9を吸い込むことを防ぐことができるため、圧送ポンプ3が
空運転し、モータが発熱することにより、シール部材(図示なし)の膨張を促し、液漏れが発生したりすることや、モータ本体(図示なし)が損傷したりすることによる不具合を回避できる。
【0021】

(3)
継手6に所定の大きさの孔7を設ける単純な加工で済むので、液槽2内に渦流防
止壁や渦流防止板を設ける必要がなく、部品点数と組立工数を増やすこともないので、製品全体としてのコストダウンに寄与できる。
【0022】
(4)
孔7を継手6の上面、液槽出口中心位置11b以上の高さの面に加工することで、液8が継手6の中を流れる際に、比重の軽い空気9が孔7から抜けやすくなる。
【0023】
さらに本発明に係る請求項2の冷却装置によれば、孔7は液8の流れ方向に沿った方向に複数個加工したことにより、空気9が継手6から抜ける確実性を流れ方向において高めることができる。
【0024】
さらに、本発明に係る請求項3の冷却装置によれば、孔7は液8の流れ方向に沿った方向に対して垂直な方向に複数個加工したことにより、空気9が液6から抜ける確実性を液8の流れ方向と垂直な方向において高めることができる。
【0025】
さらに、本発明に係る請求項4の冷却装置によれば、次のような顕著な効果を奏する。
継手6がT字型であることにより、空気の量が比較的に多くなっても少なくとも液槽出口中心位置11b以上の高さの位置に形成された空気溜用空間6dを確保することで、液8が空気9を混入したまま流出することを防止できる。
【0026】
さらに、本発明に係る請求項5の冷却装置によれば、次のような顕著な効果を奏する。継手6が曲線調逆V字型であることにより、継手6の中を流れる液8の流れをスムーズにすることができる。
【0027】
さらに、本発明に係る請求項6の冷却装置によれば、次のような顕著な効果を奏する。継手6が段付L字型であることにより、工具を用いて継手6を水槽2に取り付ける際の取付け易さを向上させることができる。
【0028】
さらに、本発明に係る請求項7の冷却装置によれば、次のような顕著な効果を奏する。
継手6の形状は、継手勾配部6cを有することにより、継手6の中を流れる液8の流れをある程度スムーズにすることができ、且つ、継手6を水槽2に取り付ける際の取付け易さも確保することができる。
【0029】
さらに、本発明に係る請求項8の冷却措置によれば、継手6が水平導入部6eと勾配部6cを有することにより、液8の継手6へ導入をスムーズにすることができる。
【0030】
さらに、本発明に係る請求項9の冷却装置によれば、配管4が水平部と液槽出口11から下降する方向に形成された勾配部を有することで、配管4の水槽2への取付け易さを確保した上で、配管4の中を流れる液8のポンプ3への流れをスムーズにすることができる。
【0031】
さらに、本発明に係る請求項10の冷却装置によれば、配管4が液槽出口11から下降する方向に形成された勾配部のみを有することで、配管4の中を流れる液8のポンプ3への流れを更にスムーズにすることができる。また、継手6を液槽2に取り付ける位置を圧送ポンプ3より高くし、液槽2と圧送ポンプ3を接続する配管4内と圧送ポンプ3内を液8により満たすため、圧送ポンプ3が作動開始する際に、空気9が混入することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態1に係る冷却装置の概略構成を示す図である。
図2図1における継手を拡大明示する図である。
図3図1の主要部の構成を拡大明示する図である。
図4】本発明実施形態2に係る冷却装置の概略構成を示す図である。
図5】本発明の継手の各実施例を示す図である。
図6】本発明の継手の孔配置の実施例を示す図である。
図7】本発明の液槽と配管の接続構造の各実施例を示す図である。
図8】本発明の実施例を組みわせたものの1例を示した図である。
図9】従来の冷却装置において渦流発生状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0033】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る冷却装置1の構成について、図1を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の概略回路構成を示す。冷却装置1は、大別して、被冷却対象17との間で循環させる液8を貯留しておく液槽2と、液8を液槽2から液槽出口11を介して被冷却対象17に送り出すとともに液槽入口10を介して液槽2に回収するための圧送ポンプ3と、液8を冷却するための冷却回路13と、液槽2と圧送ポンプ3を接続する配管4と、液槽2と圧送ポンプ3とを接続する配管4を液槽2に接続するための継手6を備える。
【0034】
冷却回路13は、冷媒を圧縮して高圧化させる圧縮機14と、冷媒を凝縮して液化させる凝縮器15と、冷媒を膨張させるための膨張弁16と、冷媒を蒸発させ、その気化熱を利用して液を冷却するための蒸発器5とを基本とする回路で構成する。
【0035】
液槽2内の継手6が取り付けられた液槽出口11から圧送ポンプ3により送り出された液8は、被冷却対象入口18から被冷却対象17内へ導入され、被冷却対象17を冷却した後に、被冷却対象出口19から蒸発器5へと流れ、蒸発器5にて冷却された液8は液槽入口10から液槽2内へと戻され、貯留される。貯留された液8は、再び圧送ポンプ3により送り出される。
【0036】
液槽出口11に取り付けられた継手6は側面視でL字型に加工された管状の継手で、一方が液槽底面2aに向けられ、もう一方が液槽出口11に接続され、液槽底面2aに向けられた側、つまり吸込位置6aから液8を導入するように構成されている。この液8を導入する吸込位置6aは液槽出口下端11aより低い位置に設定される。低い位置に設定された分だけ液面12は継手6を介して圧送ポンプ3に吸い込まれる力の影響を受けにくくなるので、図9に示すような渦流20の発生を抑制することができる。なお、ここでいう、高い、低いという表現は地上平面に対して垂直方向の高低を表現するものとする。
【0037】
図2図1における継手6を拡大明示する図であり、(1)は継手6を上からみた平面図で、(2)は継手6を側面から見た側面図である。継手6は上面、液槽出口中心位置11b以上の高さの面に所定の大きさの孔7を有する(具体例としては、径約30mmの継手の場合、φ5mm程度の孔)。
【0038】
図3図1の主要部の構成を拡大明示する図である。液槽2内の液8が圧送ポンプ3により送り出される際に、継手6内に空気9が混入していたとしても、液8よりも比重の軽い空気9は、液流により孔7から継手6の外へ押し出される。空気9が外へ押し出された後、圧送ポンプ3が液8を吸い込む。これにより、圧送ポンプ3が空気9を吸い込むことを防止する。
【0039】
圧送ポンプ3が空気9を吸い込むことを防止することで、圧送ポンプ3は連続的に液8を吸い込み、送り出すことができるので、圧送ポンプ3が空運転し、モータが過熱することにより、シール部材(図示なし)が膨張して液漏れが発生したりすることや、モータ本体(図示なし)が故障したりすることによる不具合を防ぐことができる。
【実施例2】
【0040】
図4は実施例2に係る冷却装置100の概略構成を示す図である。実施例1とは液槽2と蒸発器5の位置関係が異なる。本実施例1において、液8は、液槽2、圧送ポンプ3、被冷却対象17、蒸発器5の順番で流れ、液槽2へ戻るが、実施例2においては、液8は、液槽2、圧送ポンプ3、蒸発器5、被冷却対象17の順番で流れ液槽2へ戻る。その他の構成は実施例1と同じである。従って、実施形態1の作用効果と同様な作用効果を有する。
【実施例3】
【0041】
図5の(a)〜(e)は、本発明の継手の各実施例を示す図である。(a)は、T字型の継手である。Tの字が左へ90度回転した向きになるように取り付けられている。図の下側から右側へと液8が流れる。継手の上側には孔7が形成されている。液槽出口中心位置11b以上の高さの位置に空気溜用空間6dを確保することで、液8と混入した空気9とが分離する際に、分離状態をより安定的にすることができる。
【0042】
図5の(b)は、曲線調逆V字型の継手である。継手(a)同様、上側には、孔7が形成されている。曲線調にすることで、流れ易さをより高める効果がある。また、孔7が継手6のV次型の頂部に形成されていることで、液8の中に混在する空気9を分離させ易くする効果がある。
【0043】
図5の(c)は、段付L字型の継手である。継手(a)同様、上側には、孔7が形成されている。液槽出口11側の径を小さくすることで、圧送ポンプ3が空気9を吸い込む可能性をより小さくすることができる。また、継手6を液槽2に取り付ける際に、径の小さくなっている部分を取り付けるため、工具の使用性を向上することもできる。
【0044】
図5の(d)は、継手勾配部6cを有する継手である。継手勾配部6cは液槽出口11に対して継手6の反対側の端に当たる吸込口6aから液槽出口11へ向かい上昇する向きである。液8の流れ易さを高める効果があると同時に、継手水平部6bも構成されているので、液槽壁面2bに取付けもし易くなるという利点がある。
【0045】
図5の(e)は、水平導入部6e及び継手勾配部6cを有する継手である。継手勾配部6cの勾配は吸込口6aから液槽出口11へ向かい上昇する向きである。液8の継手6への流入のし易さと継手内における流れ易さを高め、取付けもし易いという利点がある。
【実施例4】
【0046】
図6(a)〜(c)は、本発明の継手の孔配置の実施例を示す図で、各々(1)は平面図、(2)は(1)の側面図である。図6の(a)は、継手6の上面に孔7が2つ加工されている。1つの孔7では混入した空気9を押し出しきれない場合に、空気9をより押し出し易くすることができる。
【0047】
図6の(b)は、継手の上面に孔7が液8の流れ方向に沿った方向に3つ加工されている。液8の流速が比較的速い場合でも、空気9を押し出すことができる。
【0048】
図6の(c)は、継手の上面に継手の上面に孔7が液8の流れ方向に沿った方向に対して垂直な方向に3つ加工されている。液8の流速が比較的遅く、混入した空気9の量が比較的多い場合でも、空気9を押し出すことができる。
図6の(a)〜(c)の孔7は2つ又は3つに限定されずそれ以上設けても良い。また、各複数の孔7は同一の大きさまたは形状でも良いし、異なった形状でも良い。
【0049】
また、図5に示す(a)〜(e)の実施例と図6(a)〜(c)の実施例を組み合わせても良い。図8にその例を示す。図8に示すのは、図5に示す(b)と図6に示す(c)を組み合わせた例である。(1)は上から継手6を見た平面図、(2)は横から見た側面図である。この例では、曲線調V字型継手の頂点に3つの孔7を加工したものである。こうすることにより、液8と空気9との分離をし易くし、分離する空気量も増やすことができる。このように、図4に示す実施例と図5に示す実施例を組みわせることにより、相乗効果を図ることが可能となる。
【実施例5】
【0050】
図7は本発明の液槽と配管の接続構造の各実施例を示す図である。図7の(a)は、液槽2に、配管水平部4bと配管勾配部4cを有する配管を取り付けた場合で、配管水平部4bがあることで、取付け易さを確保できることに加え、圧送ポンプ3への流入のし易さを高めることができる。
【実施例6】
【0051】
図7の(b)は、液槽2に、配管勾配部4cのみの配管4を取り付けた場合で、液槽2への取付け易さに対する考慮が不要であれば、圧送ポンプ3への流入のし易さをより高めることができる。
【0052】
以上、好適な実施形態及び実施例を詳細に説明したが、本発明は各実施形態及び実施例に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更,追加,削除することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:冷却装置,2:液槽,2a:液槽底面,3:圧送ポンプ,4:配管,配管水平部:4b,配管勾配部:4c,5:蒸発器,6:継手,6a:吸込位置,継手水平部:6b,継手勾配部6c,空気溜用空間6d,水平導入部6e,7:孔,8:液,9:空気,10:液槽入口,11:液槽出口,11a:液槽出口下端,11b:液槽出口中心位置,12:液面,13:冷却回路,14:圧縮機,15:凝縮器,16:膨張弁,17:被冷却対象,18:被冷却対象入口,19:被冷却対象出口,20:渦流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9