(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
底面における前後、左右方向の略中心線上にそれぞれ一対の転輪が前後方向に転動するよう配設され後側面には手押し用のハンドルが突設されたミートワゴンを移動させる電動カートであって、電動カートが前方左右位置に延設された支持脚の先端部に車輪を備えており、ミートワゴンとフォークとを係合させるとき、左右の支持脚がミートワゴンの前転輪を挟みミートワゴン底面と支持脚の上面との間に適宜な隙間を保って、ミートワゴンの底面と床面との間隙に進入可能とされた請求項1に記載のミートワゴン用電動カート。
底面における前後、左右方向の略中心線上にそれぞれ一対の転輪が前後方向に転動するよう配設され後側面には手押し用のハンドルが突設されたミートワゴンを移動させる電動カートであって、電動カートには反フォーク側に操作ハンドルが延設され、操作ハンドルを人手で押し下げて電動駆動輪を床面に接地させるように構成された請求項1に記載のミートワゴン用電動カート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面を参照しながら本発明を実施したミートワゴン用電動カートについて説明する。
図1は第1実施例における側面図で、
図2は
図1の平面図、
図3は第2実施例における側面図、
図4は第3実施例における側面図、
図5は別の形態のミートワゴンを移動させるときの側面図である。
【0011】
先ず、本願発明におけるミートワゴン1について詳細に説明する。
ミートワゴン1は、
食肉加工場などで主として食肉を収納して工程間の移動、一時貯留などに利用される枡形をした人力による移動用容器であって、容量が200l程度の大きさであってステンレス鋼板で造られる。
図1〜4に仮想線表示されているように通常ミートワゴン1は、
図5に記載する別の形態のものを除いて、底面における前後、左右方向の略中心線上にそれぞれ一対の樹脂製の転輪2,2‥が前後方向に転動するよう配設されとおり、前後転輪は左右転輪より若干上方位置に取着されている。後側面からは手押し用のハンドル3が突設され人手によって移動可能とされる。
また、ミートワゴン1の左右側面の下端部付近には短冊状の
係合用突片4,4が突設される。この
係合用突片4,4は、主としてワゴンリフターと呼ばれる装置のリフトアーム
と係合させ、
ミートワゴン
1を持ち上げ反転させて加工機のホッパーに材料を投下供給する場合などに使用されるものであり、ミートワゴン
1に必須のものとして標準化され装備されている。
尚、
係合用突片4,4の一端にはリフトアーム
と係合させたときの抜け出し防止用の係止部41が下方に向けて突設されている。
【0012】
次いで
図1、
図2に基づき第1実施例について説明する。本例におけるミートワゴン用電動カート(以下カートと略称)5は、
図2に示すようにミートワゴン(以下ワゴンと略称)1の外巾と同程度の巾寸法内に納まるように構成することが操行上好ましく、詳細は省略しているが適宜構成された電動駆動輪6と、前方の左右側方には支持脚52、
52が延設され先端部には車輪7,7が軸着されている。
ワゴン1の転輪2は外径寸法が17cm程度あり、ワゴン1の底面と床面との間
隙は20cm位あるので、ワゴン1の底面と支持脚52の上面との間に適宜
な隙間を保って、
ワゴン1の底面における左右方向の略中心線上にある
前転輪2を挟
み、
前記の間隙へ進入
可能とされた支持脚52、52の先端部に軸着させる車輪7,7も通常のフォークリフトより比較的大径に構成することができるので走行安定性が高められる。
尚、電動駆動輪6を自在キャスターとし、代わりに車輪7,7を電動駆動輪としてもよい。
【0013】
カート5には、ワゴン1の
係合用突片4
と係合する鍵形の
係合溝8が形成されたワゴン1の外巾より若干広い間隔をおいて配設された左右一対の平板材からなるフォーク9
、9を備えている。この左右一対の平板材
には比較的厚板の平鋼材などが使われワゴン1を両側から挟むようにカート5に装備された昇降機構10に連結されている。
尚、11はカート5の操行用ハンドルである。
カート5は、
図2に示すように巾方向においてはフォーク9
、9の巾内に収まるように構成するとコンパクトになり工場内での移動が楽に行える。
【0014】
上述したカート5を使って食肉などが収容されたワゴン1を移動させるときには、フォーク9
、9は下降した位置即ちワゴン1の
係合用突片4,4と
係合溝8、8とが合致する位置に合わせてからカート5又はワゴン1を移動させて
図1のように
係合させる。
この場合ワゴン1の手押しハンドル3を持って反ハンドル側からフォーク9
と係合させるように押し込むと位置合わせがやり易い。
次いで、昇降機構10を作動させてフォーク9
、9を
上昇させてワゴン1を床面から持ち上げ電動駆動輪6を駆動して走行移動させる。
走行移動中においては、
係合用突片4
に突設
された係止部
41が鍵形の
係合溝8
と係合するのでワゴン1が抜け出すおそれがなく安全に移動させることができる。
尚、フォーク9
、9を適宜形状のフォークに付け替えてワゴン1以外の移動、運搬に使用することもできる。
【0015】
続いて、第2実施例について
図3に基づいて説明する。
第2実施例におけるカート5は、ハンドリフトと呼ばれて広く普及している簡易型リフト(例えば特開2010−222123号公報)をベースとしてワゴン1を移動可能にしたもので、リフト自体の構成についての詳細な説明は省略するが、油圧ジャッキ51などによって昇降可能にカート5のフレームに支持された昇降枠体91から延設された左右一対の支持脚52
、52の先端部には昇降枠体91の昇降と連動して起伏される車輪7
、7が設けられている。
【0016】
このよう
な構成において、車輪7が倒伏された状態(昇降範囲における下限位置)で、
係合溝8が床面に置かれたワゴン1の
係合
用突
片4と
係合するよう昇降枠体91に左右一対のフォーク9
、9を保持させる。
ワゴン1を移動させる際には、
図3に示されるように昇降枠体91を上昇させると共に図示しないリンク機構を介して車輪7を起こしながら支持脚52とフォーク9を一緒に上昇させてワゴン1を持ち上げ電動駆動輪6を駆動して移動させる。
移動時において支持脚52の上面とワゴン1の底面との間に
適宜な隙間を保持できるように関係位置を設定してあるので、ワゴン1の重量によってフォーク9の
係合溝8とワゴンの
係合
用突
片4とが当接して確実に
係合され、抜け出し防止用の係止部41の効果もあって移動中にずれたり脱落するおそれがない。
【0017】
この第2実施例においてもフォーク9を適宜な手段で昇降枠体91に着脱自在とすれば多用途のリフトとして活用できる。
【0018】
次に
図4によって第3実施例について説明する。
第3実施例におけるカート5は、第1、第2実施例と同様にフォーク9を構成する左右一対の平板材がワゴン1との
係合側は開放され、反対側は連結軸14で連結されて一体化されている。
連結軸14には、単一の電動駆動輪6が支持アーム13を介して固着される。この電動駆動輪6は、機体巾の中心位置周辺であって、床面に置かれた状態の
ワゴン1の
係合用突片4
と、フォーク9の
係合溝8
とが
係合可能な関係を保って固着される。
図示は省略するが、電動駆動輪6にはモーターを電動駆動輪6に内蔵したものが簡潔で望ましいが、別置きしたモーターから適宜伝動機構を介して駆動するようにしてもよい。
連結軸14からは図
4に示されるように操行ハンドル11が反フォーク9側に延設される。
又図示しないが連結棒14からは適宜受台が延設されて電源用の電池などが載置される。
【0019】
このように構成された第3実施例のカート5を使って食肉などが収容されたワゴン1を移動させる要領を説明する。
本例によるカート5は
第1、第2実施例と異なり、ワゴン1を全面的に持ち上げて移動させるものではなく、ワゴン1は自身が有する転輪2,2に支持されて移動される。
即ち、
図3に示されるようにカート5とワゴン1とが
係合され、操行ハンドル11が矢印の方向に人手によって押し下げられて、ワゴン1の前方の転輪が矢印の方向に浮き上がって移動される。
操行ハンドル11を押し下げることにより、電動駆動輪6の外周面が床面に押付けられ、フォーク9は前方が持ち上げられ
係合溝8の下面が
係合用突片4の下面に当接し抜け出し防止用の係止部41が
係合溝8の鍵溝に入り込んだ状態でワゴン1の荷重の一部を支える。この際に電動駆動輪6が受ける荷重に見合う駆動力がワゴン1を移動させる推進力となる。
ワゴン1の移動中においては、操行ハンドル11の人手による押し下げ量を加減しながら移動すると安全な作業ができる。
【0020】
通常、食肉加工場における床面は、硬質樹脂材などで覆われ平滑に仕上げられていて、ワゴン1の走行時においては樹脂製の転輪2との摩擦抵抗が少なく転輪2を横滑りさせて容易に方向転換ができるので、第3実施例のようなカート5で移動させるときも操行ハンドル11を望む方向に移動させて操舵することができる。
床面が平滑でなく方向転換が難しい加工場向けとして、電動駆動輪6を水平方向に回動可能となるよう連結軸14に支持させるとともに、電動駆動輪6を保持する部材から操行ハンドル11を延設し、操行ハンドル11を押し下げながら電動駆動輪6を水平方向に回動させて操舵する構成とすることもできる。
【0021】
ワゴン1の移動が終ってカート5をワゴン1との
係合状態から分離させる際には、操行ハンドル11を押し下げられる前の状態に戻すと、
係合用突片4との当接が解かれて分離可能となる。
【0022】
ワゴン1と分離されたカート5は、電動駆動車輪6への駆動力を適宜方法で遮断しフリーで操行できるようにすると、手押し一輪車として操行ハンドル11を操作して次の移動を要するワゴン1のところまで簡単に移動することもできる。
尚、カート5が単体のときの安定性を高めるため図示はしないがフォーク9、
9の先端部付近に補助車輪を取り付けて3輪車としても良い。尚、この補助車輪はワゴン1を移動させるときにはフォーク9とともに床面から浮き上がるので走行の支障とはならない。
【0023】
前述した
ワゴンの別の形態のものとしては、図
5に示される台車分離式と呼ばれるものがある。
この
ワゴン101は、容器部分102と底部に転輪202と、手押し用のハンドル110とを有した台車103とは、床面に接する転輪202からの汚染を防止しようとする衛生管理上の理由から別体とされている。
この形態の
ワゴン101に適合する
カート5は、第1実施例若しくは第2実施例の
ようなワゴンを持ち上げて移動させるものに限られるが、
ワゴン101を移動させるには、フォーク9の
係合溝8
と台車103に載置されている容器部分102の
係合
用突
片4
とを係合させて容器部分102のみを持ち上げ(図
5に示す状態)台車103を残して移動させる。
この場合、台車103を使用しないで
容器部分102単体と第1、第2実施例いずれかのカート5の組み合わせで作業することもできる。