特許第5716237号(P5716237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本キャリア工業の特許一覧

<>
  • 特許5716237-ミートワゴン用電動カート 図000002
  • 特許5716237-ミートワゴン用電動カート 図000003
  • 特許5716237-ミートワゴン用電動カート 図000004
  • 特許5716237-ミートワゴン用電動カート 図000005
  • 特許5716237-ミートワゴン用電動カート 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5716237
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】ミートワゴン用電動カート
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/06 20060101AFI20150423BHJP
【FI】
   B62B3/06 A
   B62B3/06 C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-222326(P2011-222326)
(22)【出願日】2011年9月20日
(65)【公開番号】特開2013-67361(P2013-67361A)
(43)【公開日】2013年4月18日
【審査請求日】2014年9月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】大西 秀明
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−084016(JP,A)
【文献】 特開2005−001749(JP,A)
【文献】 特開2001−130413(JP,A)
【文献】 実開平07−021473(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右側面に合用突片が突設されたミートワゴンを移動させる電動カートであって、合用突片と係脱可能な合溝が形成された左右一対の平板材からなるフォークと、フォークの昇降手段と、合溝と合用突片とを合させた状態でミートワゴンを移動させる電動駆動輪を有したミートワゴン用電動カート
【請求項2】
底面における前後、左右方向の略中心線上にそれぞれ一対の転輪が前後方向に転動するよう配設され後側面には手押し用のハンドルが突設されたミートワゴンを移動させる電動カートであって、電動カートが前方左右位置に延設された支持脚の先端部に車輪を備えており、ミートワゴンフォークとを係合させるとき、左右の支持脚がミートワゴンの転輪を挟ミートワゴン底面と支持脚の上面との間に適宜な隙って、ミートワゴンの底面と床面との間隙に進入可能とされ請求項1に記載のミートワゴン用電動カート。
【請求項3】
底面における前後、左右方向の略中心線上にそれぞれ一対の転輪が前後方向に転動するよう配設され後側面には手押し用のハンドルが突設されたミートワゴンを移動させる電動カートであって、電動カートには反フォーク側に操作ハンドルが延設され、操作ハンドルを人手で押し下げて電動駆動輪を床面に接地させるように構成された請求項1に記載のミートワゴン用電動カート。
【請求項4】
ミートワゴンが反手押し用ハンドル側からフォークと係合可能に構成された請求項1から請求項3の何れかに記載のミートワゴン用電動カート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食肉加工場などで主に食肉を収容して次工程まで運搬したり、一時貯留するときに使用される手押し式のミートワゴンを移動させる電動カートに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のミートワゴンを移動させるには専ら人手によって行われており、労力低減のための改善が要望されている。
【0003】
重量物の移動手段としては、例えば特許文献1に開示されたようなフォークリフトがあるが高価な上、取扱いが難しく特にフォークとの合が確実性に乏しく、ミートワゴンの移動用としては適当でなく殆ど利用されていない。
【0004】
簡易なリフトとしては特許文献2に開示されているハンドリフトがあるが、フォークの受面が平面であってミートワゴンのような座面が平滑なものは移送中にずれたり脱落するおそれがある。
【特許文献1】特開2010−269903号公報
【特許文献2】特開2010−222123号公報(図3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述のような現状に鑑み成されたものであって、従来から使用されているミートワゴンに簡単にしかも確実に合されて楽に移動させることができる、取り扱い易くて簡便なミートワゴン用電動カートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、左右側面に合用突片が突設されたミートワゴンを移動させる電動カートであって、合用突片と係脱可能な合溝が形成された左右一対の平板材からなるフォークと、フォークの昇降手段と、合溝と合用突片とを合させた状態でミートワゴンを移動させる電動駆動輪を有したミートワゴン用電動カートとする。
【0007】
又、底面における前後、左右方向の略中心線上にそれぞれ一対の転輪が前後方向に転動するよう配設され後側面には手押し用のハンドルが突設されたミートワゴンを移動させる電動カートであって、電動カートが前方左右位置に延設された支持脚の先端部に車輪を備えており、ミートワゴンフォークとを係合させるとき、左右の支持脚がミートワゴンの転輪を挟ミートワゴン底面と支持脚の上面との間に適宜な隙って、ミートワゴンの底面と床面との間隙に進入可能とされミートワゴン用電動カートとすることが好ましい。
【0008】
底面における前後、左右方向の略中心線上にそれぞれ一対の転輪が前後方向に転動するよう配設され後側面には手押し用のハンドルが突設されたミートワゴンを移動させる電動カートであって、電動カートには反フォーク側に操作ハンドルが延設され、操作ハンドルを人手で押し下げて電動駆動輪を床面に接地させるように構成されたミートワゴン用電動カートとしてもよく、更には、ミートワゴンが反手押し用ハンドル側からフォークと係合可能に構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、左右側面の合用突片フォークに形成された合溝とを係合さた状態でミートワゴンを移動させる電動カートとしたので、ミートワゴンが確実に保持され安全な状態で移動される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面を参照しながら本発明を実施したミートワゴン用電動カートについて説明する。図1は第1実施例における側面図で、図2図1の平面図、図3は第2実施例における側面図、図4は第3実施例における側面図、図5は別の形態のミートワゴンを移動させるときの側面図である。
【0011】
先ず、本願発明におけるミートワゴン1について詳細に説明する。
ミートワゴン1は、肉加工場などで主として食肉を収納して工程間の移動、一時貯留などに利用される枡形をした人力による移動用容器であって、容量が200l程度の大きさであってステンレス鋼板で造られる。
図1〜4に仮想線表示されているように通常ミートワゴン1は、図5に記載する別の形態のものを除いて、底面における前後、左右方向の略中心線上にそれぞれ一対の樹脂製の転輪2,2‥が前後方向に転動するよう配設されとおり、前後転輪は左右転輪より若干上方位置に取着されている。後側面からは手押し用のハンドル3が突設され人手によって移動可能とされる。
また、ミートワゴン1の左右側面の下端部付近には短冊状の合用突片4,4が突設される。この合用突片4,4は、主としてワゴンリフターと呼ばれる装置のリフトアームと係合させ、ミートワゴンを持ち上げ反転させて加工機のホッパーに材料を投下供給する場合などに使用されるものであり、ミートワゴンに必須のものとして標準化され装備されている。
尚、合用突片4,4の一端にはリフトアームと係合させたときの抜け出し防止用の係止部41が下方に向けて突設されている。
【0012】
次いで図1図2に基づき第1実施例について説明する。本例におけるミートワゴン用電動カート(以下カートと略称)5は、図2に示すようにミートワゴン(以下ワゴンと略称)1の外巾と同程度の巾寸法内に納まるように構成することが操行上好ましく、詳細は省略しているが適宜構成された電動駆動輪6と、前方の左右側方には支持脚52、52が延設され先端部には車輪7,7が軸着されている。
ワゴン1の転輪2は外径寸法が17cm程度あり、ワゴン1の底面と床面との間は20cm位あるので、ワゴン1の底面と支持脚52の上面との間に適宜な隙間を保って、ワゴン1の底面における左右方向の略中心線上にある転輪2を挟前記の間隙へ進入可能とされた支持脚52、52の先端部に軸着させる車輪7,7も通常のフォークリフトより比較的大径に構成することができるので走行安定性が高められる。
尚、電動駆動輪6を自在キャスターとし、代わりに車輪7,7を電動駆動輪としてもよい。
【0013】
カート5には、ワゴン1の合用突片4と係合する鍵形の合溝8が形成されたワゴン1の外巾より若干広い間隔をおいて配設された左右一対の平板材からなるフォーク9、9を備えている。この左右一対の平板材は比較的厚板の平鋼材などが使われワゴン1を両側から挟むようにカート5に装備された昇降機構10に連結されている。
尚、11はカート5の操行用ハンドルである。
カート5は、図2に示すように巾方向においてはフォーク9、9の巾内に収まるように構成するとコンパクトになり工場内での移動が楽に行える。
【0014】
上述したカート5を使って食肉などが収容されたワゴン1を移動させるときには、フォーク9、9は下降した位置即ちワゴン1の合用突片4,4と合溝8、8とが合致する位置に合わせてからカート5又はワゴン1を移動させて図1のように合させる。
この場合ワゴン1の手押しハンドル3を持って反ハンドル側からフォーク9と係合させるように押し込むと位置合わせがやり易い。
次いで、昇降機構10を作動させてフォーク9、9昇させてワゴン1を床面から持ち上げ電動駆動輪6を駆動して走行移動させる。
走行移動中においては、合用突片4突設された係止部41が鍵形の合溝8と係合するのでワゴン1が抜け出すおそれがなく安全に移動させることができる。
尚、フォーク9、9を適宜形状のフォークに付け替えてワゴン1以外の移動、運搬に使用することもできる。
【0015】
続いて、第2実施例について図3に基づいて説明する。
第2実施例におけるカート5は、ハンドリフトと呼ばれて広く普及している簡易型リフト(例えば特開2010−222123号公報)をベースとしてワゴン1を移動可能にしたもので、リフト自体の構成についての詳細な説明は省略するが、油圧ジャッキ51などによって昇降可能にカート5のフレームに支持された昇降枠体91から延設された左右一対の支持脚52、52の先端部には昇降枠体91の昇降と連動して起伏される車輪7、7が設けられている。
【0016】
このよう構成において、車輪7が倒伏された状態(昇降範囲における下限位置)で、合溝8が床面に置かれたワゴン1の4と合するよう昇降枠体91に左右一対のフォーク9、9を保持させる。
ワゴン1を移動させる際には、図3に示されるように昇降枠体91を上昇させると共に図示しないリンク機構を介して車輪7を起こしながら支持脚52とフォーク9を一緒に上昇させてワゴン1を持ち上げ電動駆動輪6を駆動して移動させる。
移動時において支持脚52の上面とワゴン1の底面との間に適宜な隙間を保持できるように関係位置を設定してあるので、ワゴン1の重量によってフォーク9の合溝8とワゴンの4とが当接して確実に合され、抜け出し防止用の係止部41の効果もあって移動中にずれたり脱落するおそれがない。
【0017】
この第2実施例においてもフォーク9を適宜な手段で昇降枠体91に着脱自在とすれば多用途のリフトとして活用できる。
【0018】
次に図4によって第3実施例について説明する。
第3実施例におけるカート5は、第1、第2実施例と同様にフォーク9を構成する左右一対の平板材がワゴン1との合側は開放され、反対側は連結軸14で連結されて一体化されている。
連結軸14には、単一の電動駆動輪6が支持アーム13を介して固着される。この電動駆動輪6は、機体巾の中心位置周辺であって、床面に置かれた状態のワゴン1の合用突片4、フォーク9の合溝8合可能な関係を保って固着される。
図示は省略するが、電動駆動輪6にはモーターを電動駆動輪6に内蔵したものが簡潔で望ましいが、別置きしたモーターから適宜伝動機構を介して駆動するようにしてもよい。
連結軸14からは図に示されるように操行ハンドル11が反フォーク9側に延設される。
又図示しないが連結棒14からは適宜受台が延設されて電源用の電池などが載置される。
【0019】
このように構成された第3実施例のカート5を使って食肉などが収容されたワゴン1を移動させる要領を説明する。
本例によるカート5は第1、第2実施例と異なり、ワゴン1を全面的に持ち上げて移動させるものではなく、ワゴン1は自身が有する転輪2,2に支持されて移動される。
即ち、図3に示されるようにカート5とワゴン1とが合され、操行ハンドル11が矢印の方向に人手によって押し下げられて、ワゴン1の前方の転輪が矢印の方向に浮き上がって移動される。
操行ハンドル11を押し下げることにより、電動駆動輪6の外周面が床面に押付けられ、フォーク9は前方が持ち上げられ合溝8の下面が合用突片4の下面に当接し抜け出し防止用の係止部41が合溝8の鍵溝に入り込んだ状態でワゴン1の荷重の一部を支える。この際に電動駆動輪6が受ける荷重に見合う駆動力がワゴン1を移動させる推進力となる。
ワゴン1の移動中においては、操行ハンドル11の人手による押し下げ量を加減しながら移動すると安全な作業ができる。
【0020】
通常、食肉加工場における床面は、硬質樹脂材などで覆われ平滑に仕上げられていて、ワゴン1の走行時においては樹脂製の転輪2との摩擦抵抗が少なく転輪2を横滑りさせて容易に方向転換ができるので、第3実施例のようなカート5で移動させるときも操行ハンドル11を望む方向に移動させて操舵することができる。
床面が平滑でなく方向転換が難しい加工場向けとして、電動駆動輪6を水平方向に回動可能となるよう連結軸14に支持させるとともに、電動駆動輪6を保持する部材から操行ハンドル11を延設し、操行ハンドル11を押し下げながら電動駆動輪6を水平方向に回動させて操舵する構成とすることもできる。
【0021】
ワゴン1の移動が終ってカート5をワゴン1との合状態から分離させる際には、操行ハンドル11を押し下げられる前の状態に戻すと、合用突片4との当接が解かれて分離可能となる。
【0022】
ワゴン1と分離されたカート5は、電動駆動車輪6への駆動力を適宜方法で遮断しフリーで操行できるようにすると、手押し一輪車として操行ハンドル11を操作して次の移動を要するワゴン1のところまで簡単に移動することもできる。
尚、カート5が単体のときの安定性を高めるため図示はしないがフォーク9、9の先端部付近に補助車輪を取り付けて3輪車としても良い。尚、この補助車輪はワゴン1を移動させるときにはフォーク9とともに床面から浮き上がるので走行の支障とはならない。
【0023】
前述したゴンの別の形態のものとしては、図に示される台車分離式と呼ばれるものがある。
このゴン101は、容器部分102と底部に転輪202と、手押し用のハンドル110とを有した台車103とは、床面に接する転輪202からの汚染を防止しようとする衛生管理上の理由から別体とされている。
この形態のゴン101に適合するート5は、第1実施例若しくは第2実施例のようなワゴンを持ち上げて移動させるものに限られるが、ゴン101を移動させるには、フォーク9の合溝8台車103に載置されている容器部分102のとを係合させて容器部分102のみを持ち上げ(図に示す状態)台車103を残して移動させる。
この場合、台車103を使用しないで容器部分102単体と第1、第2実施例いずれかのカート5の組み合わせで作業することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る第1実施例の側面図。
図2図1の平面図。
図3】本発明に係る第2実施例の側面図。
図4】本発明に係る第3実施例の側面図。
図5】別の形態のミートワゴンを移動させるときの側面図。
【符号の説明】
【0025】
1 ミートワゴン(ワゴン)
2 転輪
3 手押し用ハンドル
合用突片
5 ミートワゴン用電動カート(カート)
6 電動駆動輪
合溝
9 フォーク
10 昇降機構
11 操行ハンドル
図1
図2
図3
図4
図5