【文献】
AirStation Portable Wi−Fi 取扱説明書,株式会社バッファロー,2010年 5月24日,第1版,p.79−83
【文献】
最新モバイルデータ通信のすべて,週刊アスキー,株式会社アスキー・メディアワークス,2010年 1月12日,第22巻,通巻768号,p.72−75
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
クライアントとの無線通信において用いられる無線通信設定情報として、予め第1の無線通信設定情報が設定されている第1の無線ネットワーク中継装置と、第2の無線ネットワーク中継装置とを備える無線ネットワークシステムの制御方法であって、
(a)前記第1の無線ネットワーク中継装置において、前記第1の無線ネットワーク中継装置と前記第2の無線ネットワーク中継装置との間の装置間距離が、前記第1の無線ネットワーク中継装置と前記第2の無線ネットワーク中継装置とが通信可能な距離である場合に、前記第2の無線ネットワーク中継装置に、前記第1の無線通信設定情報を送信する工程と、
(b)前記第2の無線ネットワーク中継装置において、前記第1の無線ネットワーク中継装置から受信した前記無線通信設定情報を用いて、前記クライアントと無線通信を実行する工程と、
を備える、無線ネットワークシステム制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した家庭等のアクセスポイントと、家庭等から離れた場所のアクセスポイントとの間にTCP/IPセッションを確立する技術では、それぞれの場所にアクセスポイントが配置されていることが前提となる。しかしながら、近年、アクセスポイントとして、可搬型(携帯型)のアクセスポイントが提案され、アクセスポイントが配置されていない場所において、可搬型アクセスポイントを介してクライアントからインターネット等に接続させることができる。
【0005】
家庭等に、無線通信機能を有するルータ装置(例えば、ISP(Internet Services Provider)事業者などから提供されるホームゲートウェイ、以下、「無線ルータ装置」と呼ぶ))が配置されているケースでは、可搬型アクセスポイント及び無線ルータ装置のうち、無線ルータ装置を介してクライアントをインターネット等に接続させることが求められる。これは、一般に、無線ルータ装置からインターネットへのアクセス回線(光回線やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等)は、可搬型アクセスポイントからインターネットへのアクセス回線(3G/HSPA(High Speed Packet Access)回線等)よりも通信帯域が広いので、より高速な通信が実現できるためである。
【0006】
しかしながら、可搬型アクセスポイントと無線ルータ装置とでは、無線通信に用いられる各種設定情報(SSID(Service Set Identifier)や、セキュリティ種別や、セキュリティキーなど、以下、「無線通信設定情報」と呼ぶ)が互いに異なるために、外出先から家庭等に戻されたクライアントは、ルータ装置に無線接続できないという問題があった。同様の理由により、家庭等において無線ルータ装置を介してインターネット等に接続されていたクライアントは、家庭等から離れた場所において、可搬型アクセスポイントに無線接続できないという問題があった。
【0007】
なお、これらの問題は、可搬型アクセスポイントに限らず、据置き型のアクセスポイントなど、任意の無線ネットワーク中継装置を移動させる際に発生し得る。また、これらの問題は、無線ルータ装置に限らず、無線通信機能を有するレイヤ3スイッチなど、任意の無線ネットワーク中継装置が配置されている(据え置かれている)場合には発生し得る。
【0008】
本発明は、同一のクライアントを、2つの無線ネットワーク中継装置のうち、一方の無線ネットワーク中継装置の配置された場所において、この無線ネットワーク中継装置と無線接続させ、一方の無線ネットワーク中継装置が配置されていない場所において、他方の無線ネットワーク中継装置と無線接続させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[形態1]クライアントとの無線通信において用いられる無線通信設定情報が予め設定された無線ネットワーク中継装置が提供される。この無線ネットワーク中継装置は、他の無線ネットワーク中継装置と通信するための通信インターフェイス部と、前記他の無線ネットワーク中継装置との間の装置間距離が、前記他の無線ネットワーク中継装置との間で互いに通信可能な距離である場合に、前記他の無線ネットワーク中継装置に、前記無線通信設定情報を送信する情報送信部と、を備える。
この形態のネットワーク中継装置によれば、他の無線ネットワーク中継装置との間の距離が互いに通信可能な距離である場合に、予め設定されていた無線通信設定情報が、他の無線ネットワーク中継装置に送信される。したがって、無線通信設定情報を用いて無線通信を行い得るクライアントを、他の無線ネットワーク中継装置の配置されていない場所においては、形態1の無線ネットワーク中継装置に無線接続させ、他の無線ネットワーク中継装置の配置されている場所においては、他の無線ネットワーク中継装置に無線接続させることができる。加えて、装置間距離が通信可能な距離の場合に、無線通信設定情報が自動的に他の無線ネットワーク中継装置に送信されて無線通信に用いられるので、無線ネットワーク中継装置において無線通信設定情報の内容を確認し、また、その内容を他の無線ネットワーク中継装置において設定するユーザの作業負担を軽減させることができる。また、ユーザが無線通信設定情報を他の無線ネットワーク中継装置に設定するために必要な入力手段や、入力結果を表示する表示手段を他の無線ネットワーク中継装置に設けることを要しないので、他の無線ネットワーク中継装置の製造コストを抑制できる。
[形態2]クライアントとの無線通信において用いられる無線通信設定情報が予め設定された無線ネットワーク中継装置を制御するためのプログラムが提供される。このプログラムは、他の無線ネットワーク中継装置と通信するための機能と、前記他の無線ネットワーク中継装置との間の装置間距離が、前記他の無線ネットワーク中継装置との間で互いに通信可能な距離である場合に、前記他の無線ネットワーク中継装置に、前記無線通信設定情報を送信する機能と、を前記無線ネットワーク中継装置が備えるコンピュータに実現させる。
この形態のプログラムによれば、他の無線ネットワーク中継装置との間の距離が互いに通信可能な距離である場合に、予め設定されていた無線通信設定情報が、他の無線ネットワーク中継装置に送信される。したがって、無線通信設定情報を用いて無線通信を行い得るクライアントを、他の無線ネットワーク中継装置の配置されていない場所においては、形態2の無線ネットワーク中継装置に無線接続させ、他の無線ネットワーク中継装置の配置されている場所においては、他の無線ネットワーク中継装置に無線接続させることができる。加えて、装置間距離が通信可能な距離の場合に、無線通信設定情報が自動的に他の無線ネットワーク中継装置に送信されて無線通信に用いられるので、無線ネットワーク中継装置において無線通信設定情報の内容を確認し、また、その内容を他の無線ネットワーク中継装置において設定するユーザの作業負担を軽減させることができる。また、ユーザが無線通信設定情報を他の無線ネットワーク中継装置に設定するために必要な入力手段や、入力結果を表示する表示手段を他の無線ネットワーク中継装置に設けることを要しないので、他の無線ネットワーク中継装置の製造コストを抑制できる。
【0010】
[適用例1]第1の無線ネットワーク中継装置と、第2の無線ネットワーク中継装置とを備える無線ネットワークシステムであって、前記第1の無線ネットワーク中継装置には、クライアントとの無線通信において用いられる無線通信設定情報として、予め第1の無線通信設定情報が設定されており、前記第1の無線ネットワーク中継装置は、前記第2の無線ネットワーク中継装置と通信するための第1の通信インターフェイス部と、前記第1の無線ネットワーク中継装置と前記第2の無線ネットワーク中継装置との間の装置間距離が、前記第1の無線ネットワーク中継装置と前記第2の無線ネットワーク中継装置とが互いに通信可能な距離である場合に、前記第2の無線ネットワーク中継装置に、前記第1の無線通信設定情報を送信する情報送信部と、を有し、前記第2の無線ネットワーク中継装置は、前記第1の無線ネットワーク中継装置と通信するための第2の通信インターフェイス部と、前記第2の通信インターフェイス部を介して受信した前記第1の無線通信設定情報を用いて、前記クライアントと無線通信を実行する第1の無線通信部と、を有する、無線ネットワークシステム。適用例1の無線ネットワークシステムによると、第1の無線ネットワーク中継装置と第2の無線ネットワーク中継装置との間の距離が互いに通信可能な距離である場合に、第1の無線ネットワーク中継装置に予め設定されていた第1の無線通信設定情報が、第2の無線ネットワーク中継装置に送信され、第2の無線ネットワーク中継装置において、かかる第1の無線通信設定情報を用いて無線通信が実行される。したがって、第1の無線通信設定情報を用いて無線通信を行い得るクライアントを、第2の無線ネットワーク中継装置の配置されていない場所においては、第1の無線ネットワーク中継装置に無線接続させ、第2の無線ネットワーク中継装置の配置されている場所においては、第2の無線ネットワーク中継装置に無線接続させることができる。加えて、装置間距離が通信可能な距離の場合に、第1の無線通信設定情報が自動的に第2の無線ネットワーク中継装置に送信されて無線通信に用いられるので、第1の無線ネットワーク中継装置において第1の無線通信設定情報の内容を確認し、また、その内容を第2の無線ネットワーク中継装置において設定するユーザの作業負担を軽減させることができる。また、ユーザが第1の無線通信設定情報を第2の無線ネットワーク中継装置に設定するために必要な入力手段や、入力結果を表示する表示手段を第2の無線ネットワーク中継装置に設けることを要しないので、第2の無線ネットワーク中継装置の製造コストを抑制できる。
【0011】
[適用例2]適用例1に記載の無線ネットワークシステムにおいて、前記第1の無線ネットワーク中継装置は、さらに、前記装置間距離が前記通信可能な距離であるか否かを判定する距離判定部を有し、前記情報送信部は、前記装置間距離が前記通信可能な距離であると判定された場合に、前記第2の無線ネットワーク中継装置に、前記第1の無線通信設定情報を送信する、無線ネットワークシステム。このような構成により、装置間距離が通信可能な距離であるか否かが判定された上で第2の無線ネットワーク中継装置に第1の無線通信設定情報を送信できるので、装置間距離が通信可能な距離である場合にのみ、第1の無線通信設定情報の送受信を実現できる。したがって、装置間距離が通信可能な距離でない場合における第1の無線通信設定情報の送受信を抑制することができる。
【0012】
[適用例3]適用例1に記載の無線ネットワークシステムにおいて、前記情報送信部は、前記第2の無線ネットワーク中継装置から前記無線通信設定情報の送信要求を受信すると、前記第1の無線通信設定情報を、前記第2の無線ネットワーク中継装置に送信し、前記第2の無線ネットワーク中継装置は、さらに、前記装置間距離が前記通信可能な距離であるか否かを判定する距離判定部と、前記装置間距離が前記通信可能な距離であると判定された場合に、前記第1の無線ネットワーク中継装置に前記送信要求を送信する要求送信部と、を有する、無線ネットワークシステム。このような構成により、装置間距離が通信可能な距離であるか否かが判定された上で第2の無線ネットワーク中継装置に第1の無線通信設定情報を送信できるので、装置間距離が通信可能な距離である場合にのみ、第1の無線通信設定情報の送受信を実現できる。したがって、装置間距離が通信可能な距離でない場合における第1の無線通信設定情報の送受信を抑制することができる。また、装置間距離が通信可能な距離であるか否かの判定を第2の無線ネットワーク中継装置において実行するので、第1の無線ネットワーク中継装置の処理負荷を軽減させることができる。
【0013】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の無線ネットワークシステムにおいて、前記第2の無線ネットワーク中継装置は、さらに、前記無線通信設定情報として、予め第2の無線通信設定情報が格納されている格納部と、前記第1の無線ネットワーク中継装置から前記第1の無線通信設定情報を受信して、前記第2の無線通信設定情報に追加して前記格納部に格納する情報受信部と、を有し、前記第1の無線通信部は、前記格納部に格納された前記第1の無線通信設定情報を用いて前記クライアントと無線通信を実行し、前記格納部に予め格納されている前記第2の無線通信設定情報を用いて、前記クライアントとは異なる他のクライアントと無線通信を実行する、無線ネットワークシステム。このような構成により、装置間距離が通信可能な距離であるか否かに関わらず、第2の無線ネットワーク中継装置の格納部に第2の無線通信設定情報を格納しておくことができる。したがって、装置間距離が通信可能な距離でない場合に第2の無線ネットワーク中継装置に無線接続されていたクライアントを、装置間距離が通信可能な距離となった場合であっても、引き続き第2の無線ネットワーク中継装置に無線接続させることができる。
【0014】
[適用例5]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の無線ネットワークシステムにおいて、前記第2の無線ネットワーク中継装置は、さらに、前記無線通信設定情報として、予め第2の無線通信設定情報が格納されている格納部と、前記第1の無線ネットワーク中継装置から前記第1の無線通信設定情報を受信して、前記第1の無線通信設定情報を前記第2の無線通信設定情報に上書きして前記格納部に格納する情報受信部と、を有し、前記第1の無線通信部は、前記格納部に格納された前記第1の無線通信設定情報を用いて前記クライアントと無線通信を実行する、無線ネットワークシステム。このような構成により、第2の無線ネットワーク中継装置では、第1の無線ネットワーク中継装置から受信した第1の無線通信設定情報を、第2の無線通信設定情報に上書きして格納部に格納されるので、格納部の記憶容量を低減でき、第2の無線ネットワーク中継装置の製造コストを抑えることができる。
【0015】
[適用例6]適用例5に記載の無線ネットワークシステムにおいて、前記第1の無線ネットワーク中継装置及び前記第2の無線ネットワーク中継装置のうち、少なくとも一方には、前記第1の無線通信設定情報を前記第2の無線通信設定情報に上書きして前記格納部に格納することの指示入力を許容するユーザインターフェイスを有する、無線ネットワークシステム。このような構成により、ユーザが知らないうちに、第2の無線通信設定情報が第1の無線通信設定情報で上書きされてしまうことを抑制できる。
【0016】
[適用例7]適用例1ないし適用例6のいずれかに記載の無線ネットワークシステムにおいて、前記情報送信部は、前記第1の無線ネットワーク中継装置と前記第2の無線ネットワーク中継装置とが互いに物理的に接触している場合に、前記第2の無線ネットワーク中継装置に、前記第1の無線通信設定情報を送信する、無線ネットワークシステム。このような構成により、距離判定部は、第1の無線ネットワーク中継装置と第2の無線ネットワーク中継装置とが互いに物理的に接触したか否かを判定することにより、装置間距離が通信可能な距離であるか否かを容易に判定することができる。また、第1の無線ネットワーク中継装置及び第2の無線ネットワーク中継装置のうち、いずれか一方から他方に給電する構成であれば、この給電のために第1の無線ネットワーク中継装置及び第2の無線ネットワーク中継装置が互いに接触し得る。したがって、このような給電の際にも、クライアントを第2の無線ネットワーク中継装置に無線接続させることができる。
【0017】
[適用例8]適用例1ないし適用例7に記載の無線ネットワークシステムにおいて、前記第1の無線ネットワーク中継装置は、さらに、前記クライアントと無線通信を実行する第2の無線通信部と、前記第2の無線通信部を制御する無線通信制御部と、を有し、前記無線通信制御部は、前記装置間距離が前記通信可能な距離である場合に、前記第2の無線通信部の動作を停止させる、無線ネットワークシステム。このような構成により、第1の無線ネットワーク中継装置と第2の無線ネットワーク中継装置との間におけるノイズ干渉や電波干渉の発生を抑制できる。加えて、第1の無線ネットワーク中継装置及び第2の無線ネットワーク中継装置がいずれも配置された場所において、クライアントがいずれの無線ネットワーク中継装置に無線接続したらよいか分からずに、他のネットワークに接続できなくなることを抑制できる。
【0018】
[適用例9]適用例1ないし適用例8のいずれかに記載の無線ネットワークシステムにおいて、前記無線通信設定情報は、SSID(Service Set Identifier)と、セキュリティ種別情報と、セキュリティキーと、のうち、いずれかを含む、無線ネットワークシステム。このような構成により、SSIDや、セキュリティ種別情報や、セキュリティキーといった、情報量が比較的大きく、かつ、ユーザが比較的覚え難い情報を、第1の無線ネットワーク中継装置から第2の無線ネットワーク中継装置に自動的に送信して設定させることができるので、ユーザの作業負担を大きく軽減することができる。
【0019】
[適用例10]適用例1ないし適用例9のいずれかに記載の無線ネットワークシステムにおいて、前記第1の無線ネットワーク中継装置は、可搬型無線LAN(Local Area Network)アクセスポイントであり、前記第2の無線ネットワーク中継装置は、据置き型のルータ装置である、無線ネットワークシステム。このような構成により、据置き型のルータ装置の配置されている場所から配置されていない場所に、クライアントと共に可搬型無線LANアクセスポイントが持ち出された場合に、クライアントを可搬型無線LANアクセスポイントに無線接続させることができる。また、据置き型のルータ装置の配置されていない場所から配置されている場所に、クライアントと共に可搬型無線LANアクセスポイントが戻された場合に、クライアントを据置き型のルータ装置に無線接続させることができる。
【0020】
[適用例11]クライアントとの無線通信において用いられる無線通信設定情報が予め設定された無線ネットワーク中継装置であって、他の無線ネットワーク中継装置と通信するための通信インターフェイス部と、前記無線ネットワーク中継装置と前記他の無線ネットワーク中継装置との間の装置間距離が、前記無線ネットワーク中継装置と前記他の無線ネットワーク中継装置とが互いに通信可能な距離であるか否かを判定する距離判定部と、前記装置間距離が前記通信可能な距離であると判定された場合に、前記他の無線ネットワーク中継装置に、前記無線通信設定情報を送信する情報送信部と、を備える、無線ネットワーク中継装置。適用例11の無線ネットワーク中継装置によると、他の無線ネットワーク中継装置との間の距離が互いに通信可能な距離である場合に、予め設定されている無線通信設定情報が他の無線ネットワーク中継装置に送信されるので、他の無線ネットワーク中継装置に、受信した無線通信設定情報を用いたクライアントとの無線通信を実行させることができる。したがって、無線通信設定情報を用いて無線通信を行い得るクライアントを、他の無線ネットワーク中継装置の配置されていない場所においては、無線ネットワーク中継装置に無線接続させ、他の無線ネットワーク中継装置の配置されている場所においては、他の無線ネットワーク中継装置に無線接続させることができる。加えて、装置間距離が通信可能な距離の場合に、無線通信設定情報が自動的に他の無線ネットワーク中継装置に送信されて無線通信に用いられ得るので、無線ネットワーク中継装置において無線通信設定情報の内容を確認し、また、その内容を他の無線ネットワーク中継装置において設定するユーザの作業負担を軽減させることができる。また、ユーザが無線通信設定情報を他の無線ネットワーク中継装置に設定するために必要な入力手段や、入力結果を表示する表示手段を他の無線ネットワーク中継装置に設けることを要しないので、他の無線ネットワーク中継装置の製造コストを抑制できる。
【0021】
[適用例12]クライアントとの無線通信において用いられる無線通信設定情報が予め設定された無線ネットワーク中継装置であって、他の無線ネットワーク中継装置と通信するための通信インターフェイスと、前記他の無線ネットワーク中継装置から前記無線通信設定情報の送信要求を受信すると、前記予め設定されている無線通信設定情報を、前記他の無線ネットワーク中継装置に送信する情報送信部と、を備える、無線ネットワーク中継装置。適用例12の無線ネットワーク中継装置によると、他の無線ネットワーク中継装置から送信要求を受信すると、予め設定されている無線通信設定情報を、他の無線ネットワーク中継装置に送信するので、他の無線ネットワーク中継装置に、受信した無線通信設定情報を用いたクライアントとの無線通信を実現させることができる。したがって、無線通信設定情報を用いて無線通信を行い得るクライアントを、他の無線ネットワーク中継装置の配置されていない場所においては、無線ネットワーク中継装置に無線接続させ、他の無線ネットワーク中継装置の配置されている場所においては、他の無線ネットワーク中継装置に無線接続させることができる。加えて、他の無線ネットワーク中継装置から送信要求を受信すると、無線通信設定情報が自動的に他の無線ネットワーク中継装置に送信され、無線通信に用いられ得るので、無線ネットワーク中継装置において無線通信設定情報の内容を確認し、また、その内容を他の無線ネットワーク中継装置において設定するユーザの作業負担を軽減させることができる。また、ユーザが無線通信設定情報を他の無線ネットワーク中継装置に設定するために必要な入力手段や、入力結果を表示する表示手段を他の無線ネットワーク中継装置に設けることを要しないので、他の無線ネットワーク中継装置の製造コストを抑制できる。
【0022】
[適用例13]無線ネットワーク中継装置であって、クライアントとの無線通信において用いられる無線通信設定情報が予め設定された他の無線ネットワーク中継装置と、通信するための通信インターフェイス部と、前記通信インターフェイス部を介して前記他の無線ネットワーク中継装置から受信した前記無線通信設定情報を用いて、前記クライアントと無線通信を実行する無線通信部と、を備える、無線ネットワーク中継装置。適用例13の無線ネットワーク中継装置によると、他の無線ネットワーク中継装置から、他の無線ネットワーク中継装置に予め設定されている無線通信設定情報を受信して、受信した無線通信設定情報を用いて無線通信を実行するので、無線通信設定情報を用いて無線通信を行い得るクライアントを、無線ネットワーク中継装置の配置されていない場所においては、他の無線ネットワーク中継装置に無線接続させ、無線ネットワーク中継装置の配置されている場所においては、無線ネットワーク中継装置に無線接続させることができる。加えて、他の無線ネットワーク中継装置から受信した無線通信設定情報を用いて無線通信を実行するので、他の無線ネットワーク中継装置において無線通信設定情報の内容を確認し、また、その内容を無線ネットワーク中継装置において設定するユーザの作業負担を軽減させることができる。また、ユーザが無線通信設定情報を無線ネットワーク中継装置に設定するために必要な入力手段や、入力結果を表示する表示手段を無線ネットワーク中継装置に設けることを要しないので、無線ネットワーク中継装置の製造コストを抑制できる。
【0023】
[適用例14]適用例13に記載の無線ネットワーク中継装置において、さらに、前記他の無線ネットワーク中継装置と前記無線ネットワーク中継装置との間の装置間距離が、前記他の無線ネットワーク中継装置と前記無線ネットワーク中継装置とが互いに通信可能な距離であるか否かを判定する距離判定部と、前記装置間距離が前記通信可能な距離であると判定された場合に、前記他の無線ネットワーク中継装置に前記無線通信設定情報の送信要求を送信する要求送信部と、を備える、無線ネットワーク中継装置。このような構成により、装置間距離が通信可能な距離であるか否かの判定を無線ネットワーク中継装置が行うので、他の無線ネットワーク中継装置の処理負荷を軽減させることができる。
【0024】
[適用例15]クライアントとの無線通信において用いられる無線通信設定情報として、予め第1の無線通信設定情報が設定されている第1の無線ネットワーク中継装置と、第2の無線ネットワーク中継装置とを備える無線ネットワークシステムの制御方法であって、(a)前記第1の無線ネットワーク中継装置において、前記第1の無線ネットワーク中継装置と前記第2の無線ネットワーク中継装置との間の装置間距離が、前記第1の無線ネットワーク中継装置と前記第2の無線ネットワーク中継装置とが通信可能な距離である場合に、前記第2の無線ネットワーク中継装置に、前記第1の無線通信設定情報を送信する工程と、(b)前記第2の無線ネットワーク中継装置において、前記第1の無線ネットワーク中継装置から受信した前記無線通信設定情報を用いて、前記クライアントと無線通信を実行する工程と、を備える、無線ネットワークシステム制御方法。適用例15の無線ネットワークシステム制御方法によると、第1の無線ネットワーク中継装置と第2の無線ネットワーク中継装置との間の距離が互いに通信可能な距離である場合に、第1の無線ネットワーク中継装置に予め設定されていた第1の無線通信設定情報が、第2の無線ネットワーク中継装置に送信され、第2の無線ネットワーク中継装置において、かかる第1の無線通信設定情報を用いて無線通信が実行される。したがって、第1の無線通信設定情報を用いて無線通信を行い得るクライアントを、第2の無線ネットワーク中継装置の配置されていない場所においては、第1の無線ネットワーク中継装置に無線接続させ、第2の無線ネットワーク中継装置の配置されている場所においては、第2の無線ネットワーク中継装置に無線接続させることができる。加えて、装置間距離が通信可能な距離の場合に、第1の無線通信設定情報が自動的に第2の無線ネットワーク中継装置に送信されて無線通信に用いられるので、第1の無線ネットワーク中継装置において第1の無線通信設定情報の内容を確認し、また、その内容を第2の無線ネットワーク中継装置において設定するユーザの作業負担を軽減させることができる。また、ユーザが第1の無線通信設定情報を第2の無線ネットワーク中継装置に設定するために必要な入力手段や、入力結果を表示する表示手段を第2の無線ネットワーク中継装置に設けることを要しないので、第2の無線ネットワーク中継装置の製造コストを抑制できる。
【0025】
[適用例16]クライアントとの無線通信において用いられる無線通信設定情報が予め設定された無線ネットワーク中継装置を制御するためのプログラムであって、前記無線ネットワーク中継装置と他の無線ネットワーク中継装置との間の装置間距離が、前記無線ネットワーク中継装置と前記他の無線ネットワーク中継装置とが互いに通信可能な距離であるか否かを判定する機能と、前記装置間距離が前記通信可能な距離であると判定された場合に、前記他の無線ネットワーク中継装置に、前記無線通信設定情報を送信する機能と、を前記無線ネットワーク中継装置が備えるコンピュータに実現させるためのプログラム。適用例16のプログラムによると、他の無線ネットワーク中継装置との間の距離が互いに通信可能な距離である場合に、予め設定されている無線通信設定情報が他の無線ネットワーク中継装置に送信されるので、他の無線ネットワーク中継装置に、受信した無線通信設定情報を用いたクライアントとの無線通信を実行させることができる。したがって、無線通信設定情報を用いて無線通信を行い得るクライアントを、他の無線ネットワーク中継装置の配置されていない場所においては、無線ネットワーク中継装置に無線接続させ、他の無線ネットワーク中継装置の配置されている場所においては、他の無線ネットワーク中継装置に無線接続させることができる。加えて、装置間距離が通信可能な距離の場合に、無線通信設定情報が自動的に他の無線ネットワーク中継装置に送信されて無線通信に用いられ得るので、無線ネットワーク中継装置において無線通信設定情報の内容を確認し、また、その内容を他の無線ネットワーク中継装置において設定するユーザの作業負担を軽減させることができる。また、ユーザが無線通信設定情報を他の無線ネットワーク中継装置に設定するために必要な入力手段や、入力結果を表示する表示手段を他の無線ネットワーク中継装置に設けることを要しないので、他の無線ネットワーク中継装置の製造コストを抑制できる。
【0026】
[適用例17]クライアントとの無線通信において用いられる無線通信設定情報が予め設定された無線ネットワーク中継装置を制御するためのプログラムであって、他の無線ネットワーク中継装置から前記無線通信設定情報の送信要求を受信すると、前記予め設定されている無線通信設定情報を、前記他の無線ネットワーク中継装置に送信する機能を、前記無線ネットワーク中継装置が備えるコンピュータに実現させるためのプログラム。適用例17のプログラムによると、他の無線ネットワーク中継装置から送信要求を受信すると、予め設定されている無線通信設定情報を、他の無線ネットワーク中継装置に送信するので、他の無線ネットワーク中継装置に、受信した無線通信設定情報を用いたクライアントとの無線通信を実現させることができる。したがって、無線通信設定情報を用いて無線通信を行い得るクライアントを、他の無線ネットワーク中継装置の配置されていない場所においては、無線ネットワーク中継装置に無線接続させ、他の無線ネットワーク中継装置の配置されている場所においては、他の無線ネットワーク中継装置に無線接続させることができる。加えて、他の無線ネットワーク中継装置から送信要求を受信すると、無線通信設定情報が自動的に他の無線ネットワーク中継装置に送信され、無線通信に用いられ得るので、無線ネットワーク中継装置において無線通信設定情報の内容を確認し、また、その内容を他の無線ネットワーク中継装置において設定するユーザの作業負担を軽減させることができる。また、ユーザが無線通信設定情報を他の無線ネットワーク中継装置に設定するために必要な入力手段や、入力結果を表示する表示手段を他の無線ネットワーク中継装置に設けることを要しないので、他の無線ネットワーク中継装置の製造コストを抑制できる。
【0027】
[適用例18]無線ネットワーク中継装置を制御するためのプログラムであって、クライアントとの無線通信において用いられる無線通信設定情報が予め設定された他の無線ネットワーク中継装置から、前記無線通信設定情報を受信する機能と、前記受信された無線通信設定情報を用いて、前記クライアントと無線通信を実行する機能と、を前記無線ネットワーク中継装置が備えるコンピュータに実現させるためのプログラム。適用例18のプログラムによると、他の無線ネットワーク中継装置から、他の無線ネットワーク中継装置に予め設定されている無線通信設定情報を受信して、受信した無線通信設定情報を用いて無線通信を実行するので、無線通信設定情報を用いて無線通信を行い得るクライアントを、無線ネットワーク中継装置の配置されていない場所においては、他の無線ネットワーク中継装置に無線接続させ、無線ネットワーク中継装置の配置されている場所においては、この無線ネットワーク中継装置に無線接続させることができる。加えて、他の無線ネットワーク中継装置から受信した無線通信設定情報を用いて無線通信を実行するので、他の無線ネットワーク中継装置において無線通信設定情報の内容を確認し、また、その内容を無線ネットワーク中継装置において設定するユーザの作業負担を軽減させることができる。また、ユーザが無線通信設定情報を無線ネットワーク中継装置に設定するために必要な入力手段や、入力結果を表示する表示手段を無線ネットワーク中継装置に設けることを要しないので、無線ネットワーク中継装置の製造コストを抑制できる。
【0028】
[適用例19]適用例18に記載のプログラムにおいて、さらに、前記他の無線ネットワーク中継装置と前記無線ネットワーク中継装置との間の装置間距離が、前記他の無線ネットワーク中継装置と前記無線ネットワーク中継装置とが互いに通信可能な距離であるか否かを判定する機能と、前記装置間距離が前記通信可能な距離であると判定された場合に、前記他の無線ネットワーク中継装置に前記無線通信設定情報の送信要求を送信する機能と、を前記コンピュータに実現させるためのプログラム。このような構成により、装置間距離が通信可能な距離であるか否かの判定を無線ネットワーク中継装置が行うので、他の無線ネットワーク中継装置の処理負荷を軽減させることができる。
【0029】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、無線ネットワーク中継装置の制御方法や、無線ネットワーク中継装置の制御用のコンピュータプログラムや、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
A.第1実施例:
A1.システム構成:
図1は、本発明の一実施例としての無線ネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。無線ネットワークシステムNSは、ホームゲートウェイ20と、可搬型アクセスポイント10とを備えている。無線ネットワークシステムNSは、クライアントCL1及びクライアントCL2をインターネットINTに接続するためのシステムである。無線ネットワークシステムNSは、ホームゲートウェイ20及び可搬型アクセスポイント10の接続態様として複数の接続態様を許容しており、
図1に示す接続態様(第1接続態様)では、ホームゲートウェイ20は、図示しないアクセス回線(例えば、光回線や、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線など)を介してインターネットINTに接続されている。可搬型アクセスポイント10は、ホームゲートウェイ20に物理的に接続(接触)されている。なお、2つのクライアントCL1,CL2は、無線通信によりホームゲートウェイ20に接続されている。後述するように、第1接続態様では、可搬型アクセスポイント10の無線通信機能は停止している。
【0032】
第1接続態様では、可搬型アクセスポイント10及びホームゲートウェイ20は、いずれも同一のロケーション(ロケーションA)に配置されている。「同一のロケーションに配置されている」とは、互いに物理的に近接して配置されていることを意味し、例えば、本実施例の第1接続態様では、可搬型アクセスポイント10及びホームゲートウェイ20は、ユーザの自宅や外出先において、互いに物理的に接触して配置されている。また、第1接続態様では、2つのクライアントCL1,CL2が、いずれも可搬型アクセスポイント10及びホームゲートウェイ20と物理的に近接して配置されている(すなわち、ロケーションAに配置されている)。具体的には、例えば、2つのクライアントCL1,CL2は、ユーザの自宅や外出先において、2つのクライアントCL1,CL2から出力される無線信号が可搬型アクセスポイント10及びホームゲートウェイ20により受信できる範囲内に配置されている。第1接続態様では、ロケーションAにおいて、ホームゲートウェイ20と2つのクライアントCL1,CL2とで無線LAN31が形成されている。具体的には、ホームゲートウェイ20は、無線LANアクセスポイントとして動作し、2つのクライアントCL1,CL2は、無線LANクライアントとして動作する。また、第1接続態様において、ホームゲートウェイ20は、ルータとしても動作し、2つのクライアントCL1,CL2は、ホームゲートウェイ20を介してインターネットINTに接続することができる。本実施例において、2つのクライアントCL1,CL2は、無線LANクライアントの機能を有する一般的なパーソナルコンピュータであるので、説明を省略する。なお、2つのクライアントCL1,CL2として、パーソナルコンピュータに代えて、ゲーム機や携帯電話端末などを採用することもできる。
【0033】
図2は、無線ネットワークシステムの第2接続態様を示す説明図である。第2接続態様では、各構成要素が2つのロケーションに分かれて配置されている。具体的には、
図2上段に示すように、ロケーションAには、ホームゲートウェイ20とクライアントCL2とが配置されている。また、
図2下段に示すように、ロケーションBには、可搬型アクセスポイント10とクライアントCL1とが配置されている。なお、第2接続態様では、ロケーションAとロケーションBとは互いに物理的に大きく離れており、例えば、自宅と外出先などクライアントCL1とホームゲートウェイ20とは、互いに相手が出力する無線信号を受信できない程度に離れて配置されている。
【0034】
第2接続態様では、ロケーションBにおいて、可搬型アクセスポイント10とクライアントCL1とで無線LAN32が形成されている。具体的には、第2接続態様において、可搬型アクセスポイント10は、無線LANアクセスポイントとして動作し、クライアントCL1は、無線LANクライアントとして動作する。可搬型アクセスポイント10は、無線LANアクセスポイントとしての機能に加えて、移動体通信網CNの移動体基地局CBと無線通信を行う機能と、ルータ機能とを有する。なお、移動体通信網CNとしては、例えば、3G/HSPA(High Speed Packet Access)回線を採用することができる。第2接続態様において、クライアントCL1は、可搬型アクセスポイント10及び移動体通信網CNを介してインターネットINTに接続することができる。
【0035】
第2接続態様は、例えば、
図1に示す第1接続態様から、ユーザが、可搬型アクセスポイント10をホームゲートウェイ20から取り外し、クライアントCL1と可搬型アクセスポイント10とをロケーションBに移動させた場合に形成され得る。また、第1接続態様は、例えば、
図2に示す第2接続態様から、ユーザが、ロケーションAに、クライアントCL1と可搬型アクセスポイント10とを持ち帰り、可搬型アクセスポイント10をホームゲートウェイ20に接続した場合に形成され得る。無線ネットワークシステムNSでは、後述する設定更新処理を実行することにより、接続態様の変化が生じた場合でも、クライアントCL1を継続してインターネットINTに接続させることができる。
【0036】
図3は、第1実施例の可搬型アクセスポイントの詳細構成を示すブロック図である。可搬型アクセスポイント10は、CPU(Central Processing Unit)110と、ROM(Read Only Memory)130と、RAM(Random Access Memory)140と、WPS(Wi-Fi Protected Setup)ボタン145と、無線LAN制御回路152と、移動体通信制御回路154と、USB(Universal Serial Bus)制御回路160と、USB接続インターフェイス162と、バッテリー170と、受電部172と、電源接続インターフェイス174とを備えている。
【0037】
CPU110は、ROM130に格納されているパケット中継用のアプリケーションプログラムを実行することにより、転送処理部112及び転送制御部113として機能する。転送処理部112は、ルータ機能部112r及びブリッジ機能部112bを有しており、各通信インターフェイス(無線LAN制御回路152、移動体通信制御回路154,USB接続インターフェイス162)を介して入力されるパケット(レイヤ3パケット及びレイヤ2フレーム)を、宛先アドレスに従って転送する。転送制御部113は、転送処理部112を制御する。
【0038】
また、CPU110は、ROM130に格納されている無線通信設定情報の更新用のアプリケーションプログラムを実行することにより、接続監視部114及び設定情報送信制御部115として機能する。接続監視部114は、可搬型アクセスポイント10のホームゲートウェイ20への接続を監視する。設定情報送信制御部115は、後述する設定更新処理において、自らに設定されている無線通信設定情報をホームゲートウェイ20に送信する。また、設定情報送信制御部115は、WPSボタン145が押された場合に、無線通信設定情報を無線LANクライアントに送信する。
【0039】
無線通信設定情報とは、無線LANにおける通信を行うために用いられる情報であり、無線LANアクセスポイント及び無線LANクライアントに共通して設定される情報である。本実施例では、無線通信設定情報として、SSID(Service Set Identifier)及びセキュリティキーを採用する。なお、本実施例において、各装置には、予め同一の無線LANのセキュリティ種別(方式)が設定されている。無線LANのセキュリティ種別とは、無線LANにおいてやりとりされるデータの暗号化種別(方式)を意味し、例えば、WEP(Wired Equivalent Privacy)や、WPA(Wi-Fi Protected Access)などを採用することができる。無線通信設定情報の「セキュリティキー」とは、予め設定されている暗号化方式において用いられる暗号鍵を意味する。
【0040】
ROM130には、上述した各アプリケーションプログラムに加えて、無線通信設定情報格納部130aを有する。無線通信設定情報格納部130aには、予め無線通信設定情報群131が格納されている。
図3に示すように、無線通信設定情報群131には、SSID「SSID_MR」及びセキュリティキー「aaaaaaaa」が格納されている。無線通信設定情報群131は、可搬型アクセスポイント10とクライアントCL1との間の無線通信において用いられる情報であり、ユーザによって予め設定されている。
【0041】
WPSボタン145は、Wi−Fiアライアンスにより規定された仕様に則り、可搬型アクセスポイント10に接続されるクライアントに対して、無線通信設定情報群131を通知して設定させるためのボタンである。
【0042】
無線LAN制御回路152は、変調器やアンプ、アンテナを含み、例えばIEEE802.11a/b/gに準拠した無線LANのアクセスポイントとして動作し、無線LANクライアントと無線通信を行う。移動体通信制御回路154は、変調器やアンプ、アンテナを含み、例えば3G/HSPAに準拠した移動体通信の端末として、移動体通信網の基地局と無線通信を行う。
【0043】
USB制御回路160は、USB規格に従ったデータのやりとりを制御する。USB接続インターフェイス162は、制御回路160に接続されており、USB規格に従った物理的な接続インターフェイス群からなる。USB接続インターフェイス162は、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続される際に、ホームゲートウェイ20において対向する後述のUSB接続インターフェイスと接続(接触)される。受電部172は、ホームゲートウェイ20から電源接続インターフェイス174を介して供給される電力を受けて、バッテリー170に電力を供給する。電源接続インターフェイス174は、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続される際に、ホームゲートウェイ20において対向する後述の電源接続インターフェイスと接続(接触)される。電源接続インターフェイス174は、後述するホームゲートウェイ20の電源接続インターフェイスから供給される電力を、受電部172に送る。
【0044】
図4は、第1実施例のホームゲートウェイの詳細構成を示す説明図である。ホームゲートウェイ20は、CPU210と、ROM230と、RAM240と、WPSボタン245と、無線LAN制御回路252と、USB制御回路260と、USB接続インターフェイス262と、Ethernet(登録商標)インターフェイス268と、Ethernetスイッチ部266と、USB/Ethernet変換部264と、受電部272と、給電部273と、電源接続インターフェイス274とを備えている。
【0045】
CPU210は、ROM230に格納されているパケット中継用のアプリケーションプログラムを実行することにより、転送処理部212及び転送制御部213として機能する。転送処理部212は、ルータ機能部212rを備えている。転送処理部212は、
図3に示す可搬型アクセスポイント10の転送処理部112と同様であるので、説明を省略する。同様に、ルータ機能部212rは
図3に示す可搬型アクセスポイント10のルータ機能部112rと、転送制御部213は
図3に示す可搬型アクセスポイント10の転送制御部113と、それぞれ同様であるので、説明を省略する。
【0046】
また、CPU210は、ROM230に格納されている無線通信設定情報の更新用のアプリケーションプログラムを実行することにより、設定情報送信制御部214及び設定情報更新制御部215として機能する。設定情報送信制御部214は、WPSボタン245が押された場合に、無線LANクライアントに無線通信設定情報を送信する。設定情報送信制御部214は、いわゆるマルチSSIDに対応している。マルチSSIDとは、複数の無線通信設定情報の設定を許容し、各々の無線通信設定情報を用いた無線通信を実行することができる機能を意味する。したがって、設定情報送信制御部214は、複数の無線通信設定情報のうち、いずれかの無線通信設定情報を、無線LANクライアントに送信することができる。設定情報更新制御部215は、後述の設定更新処理において、自らに設定されている無線通信設定情報を更新(無線通信設定情報群を追加)する。
【0047】
ROM230には、上述した各アプリケーションプログラムに加えて、無線通信設定情報格納部230aを有する。無線通信設定情報格納部230aには、予め無線通信設定情報群231が格納されている。
図4に示すように、無線通信設定情報群231には、SSID「SSID_HGW」及びセキュリティキー「bbbbbbbb」が格納されている。無線通信設定情報群231は、ホームゲートウェイ20とクライアントCL2との間の無線通信において用いられる情報であり、ユーザによって予め設定されている。
【0048】
WPSボタン245は、
図3に示す可搬型アクセスポイント10のWPSボタン145と同じであるので、説明を省略する。同様に、無線LAN制御回路252は
図3に示す可搬型アクセスポイント10の無線LAN制御回路152と、USB制御回路260は
図3に示す可搬型アクセスポイント10のUSB制御回路160と、それぞれ同様であるので、説明を省略する。
【0049】
USB接続インターフェイス262は、USB規格に従った物理的な接続インターフェイス群からなり、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続される際に、可搬型アクセスポイント10において対向するUSB接続インターフェイス160と接続(接触)される。
【0050】
Ethernetインターフェイス268は、Ethernetにおけるレイヤ1,2のプロトコルを処理する機能部であり、図示しないアクセス回線と接続するためのネットワークケーブルが接続されている。Ethernetスイッチ部266は、Ethernetインターフェイス268及びUSB/Ethernet変換部264に接続されており、Ethernetインターフェイス268及びUSB/Ethernet変換部264から入力されるEthernetフレームを、宛先MAC(Media Access Control)アドレスに従って中継する。
【0051】
USB/Ethernet変換部264は、USB制御回路260及びUSB/Ethernet変換部264に接続されている。USB/Ethernet変換部264は、USB制御回路260から受信したUSBパケットをEthernetフレームに変換してEthernetスイッチ部266に出力し、また、Ethernetスイッチ部266から受信したEthernetフレームを、USBパケットに変換してUSB制御回路260に出力する。
【0052】
受電部272は、外部電源より供給される電力を受けて、給電部273に供給する。給電部273は、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続される際に、受電部272から供給される電力を、電源接続インターフェイス274を介してホームゲートウェイ20に供給する。
【0053】
前述の可搬型アクセスポイント10は、請求項における第1の無線ネットワーク中継装置に相当する。また、ホームゲートウェイ20は請求項における第2の無線ネットワーク中継装置に、無線通信設定情報群131は請求項における第1の無線通信設定情報に、USB接続インターフェイス162は請求項における第1の通信インターフェイス部に、接続監視部114は請求項における距離判定部に、設定情報送信制御部115は請求項における情報送信部に、USB接続インターフェイス262は請求項における第2の通信インターフェイス部に、設定情報送信制御部214と転送処理部212と転送制御部213と無線LAN制御回路252とは請求項における第1の無線通信部に、無線通信設定情報群231は請求項における第2の無線通信設定情報に、無線通信設定情報格納部230aは請求項における格納部に、設定情報更新制御部215は請求項における情報受信部に、転送処理部112及び無線LAN制御回路152は請求項における第2の無線通信部に、設定情報送信制御部115及び転送制御部113は請求項における無線通信制御部に、それぞれ相当する。
【0054】
A2.設定更新処理:
図5は、第1実施例の無線ネットワークシステムにおいて実行される設定更新処理の手順を示すシーケンス図である。
図5において、左側は可搬型アクセスポイント10において実行される手順を示すフローチャートを、右側はホームゲートウェイ20において実行される手順を示すフローチャートを、それぞれ示す。可搬型アクセスポイント10及びホームゲートウェイ20では、それぞれ、電源がオンされると、設定更新処理が実行される。
【0055】
可搬型アクセスポイント10において、接続監視部114は、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続されたか否かを監視している(ステップS105)。この監視は、例えば、電源接続インターフェイス174への給電の有無により実現することができる。また、例えば、USB規格における装置間の接続検出シーケンスによって実現することができる。
【0056】
前述のステップS105において、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20との接続が検出されると(ステップS105:YES)、可搬型アクセスポイント10において、設定情報送信制御部115は、無線LAN制御回路152の動作を停止させる(ステップS110)。例えば、
図2に示す第2接続態様から、可搬型アクセスポイント10及びクライアントCL1がロケーションAに戻って
図1に示す第1接続態様となった場合には、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続されたと判定され、可搬型アクセスポイント10の無線通信機能(無線LANアクセスポイントと無線LANクライアントとの間の通信機能)は停止する。このように、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20とが接続されたと判定された場合に可搬型アクセスポイント10の無線通信機能を停止させるのは、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20との間におけるノイズ干渉や、電波干渉の発生を抑制するためである。
【0057】
可搬型アクセスポイント10において、設定情報送信制御部115は、USB制御回路160を制御して、ホームゲートウェイ検索パケットを、USB接続インターフェイス162を介して出力(ブロードキャスト)する(ステップS115)。このホームゲートウェイ検索パケットには、可搬型アクセスポイント10のMACアドレスが含まれている。
【0058】
ホームゲートウェイ20において、設定情報更新制御部215は、電源オンの後、USB接続インターフェイス262を介したホームゲートウェイ検索パケットの受信を監視している(ステップS205)。設定情報更新制御部215は、ホームゲートウェイ検索パケットの受信を検出すると(ステップS205:YES)、かかるパケットに含まれるMACアドレスを宛先アドレスとして、応答パケットを送信(返信)する(ステップS210)。この応答パケットには、ホームゲートウェイ20のMACアドレスが含まれている。
【0059】
可搬型アクセスポイント10において、設定情報送信制御部115は、ホームゲートウェイ検索パケットを送信した後(前述のステップS115の後)、応答パケットの受信を監視している(ステップS120)。設定情報送信制御部115は、応答パケットの受信を検出すると(ステップS120:YES)、自らに設定されている無線通信設定情報を含む更新要求パケットを、USB接続インターフェイス162を介してホームゲートウェイ20に送信する(ステップS125)。
図3に示すように、可搬型アクセスポイント10には、予め無線通信設定情報群131(SSID「SSID_MR」,セキュリティキー「aaaaaaaa」)が格納されている。したがって、設定情報送信制御部115は、ステップS125において、この無線通信設定情報群131を含む更新要求パケットを、ホームゲートウェイ20に送信する。
【0060】
ホームゲートウェイ20において、設定情報更新制御部215は、応答パケットを送信した後(前述のステップS210の後)、更新要求パケットの受信を監視している(ステップS215)。設定情報更新制御部215は、更新要求パケットの受信を検出すると(ステップS215:YES)、応答パケットを可搬型アクセスポイント10に送信し(ステップS220)、更新要求パケットに含まれている無線通信設定情報を、ROM230に格納する(ステップS225)。上述したように、ホームゲートウェイ20は、マルチSSIDに対応しており、複数の無線通信設定情報の設定が可能である。設定情報更新制御部215は、可搬型アクセスポイント10から受信した無線通信設定情報群を、既に格納されている無線通信設定情報群に追加して格納する。設定情報更新制御部215は、設定情報送信制御部214を制御して、ステップS225においてROM230に追加格納された無線通信設定情報群を、マルチSSIDのエントリーとして設定(認識)させる(ステップS230)。
【0061】
可搬型アクセスポイント10において、設定情報送信制御部115は、更新要求パケットの送信後(前述のステップS125の後)、所定期間内にホームゲートウェイ20から更新要求パケットに対する応答パケットを受信するか否かを判定し(ステップS130)、所定期間内に応答パケットを受信しない場合には(ステップS130:NO)、前述のステップS125に戻り、再度更新要求パケットを送信する。これに対し、所定期間内に更新要求パケットに対する応答パケットを受信すると(ステップS130:YES)、設定更新処理は終了する。
【0062】
図6は、設定更新処理実行前における無線ネットワークシステムの第2接続態様を示す説明図である。
図7は、設定更新処理実行後のホームゲートウェイの構成を示す説明図である。
図8は、設定更新処理実行後における無線ネットワークシステムの第1接続態様を示す説明図である。
【0063】
図6に示すように、無線ネットワークシステムNSは、設定更新処理の実行前において第2接続態様であり、ホームゲートウェイ20及びクライアントCL2には、いずれもSSID「SSID_HGW」及びセキュリティキー「bbbbbbbb」が設定されている。また、可搬型アクセスポイント10及びクライアントCL1には、いずれもSSID「SSID_MR」及びセキュリティキー「aaaaaaaa」が設定されている。
【0064】
図6に示す第1接続態様から、可搬型アクセスポイント10及びクライアントCL1がロケーションAに戻され、
図8に示すように、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続されて設定更新処理が実行されると、
図7に示すように、ホームゲートウェイ20の無線通信設定情報格納部230aには、無線通信設定情報群232が追加して格納される。この無線通信設定情報群232の内容は、
図3に示す無線通信設定情報群131と同じであり、SSIDとして「SSID_MR」が、セキュリティキーとして「aaaaaaaa」が、それぞれ設定されている。なお、設定更新処理の実行前後において、各クライアントCL1,CL2におけるSSID及びセキュリティキーの設定内容に変更はない。
【0065】
図8に示すように、ホームゲートウェイ20には、各クライアントCL1,CL2に設定されているSSID及びセキュリティキーが、それぞれ設定されることとなる。したがって、第1接続態様において、クライアントCL1は、可搬型アクセスポイント10に代えて、ホームゲートウェイ20に無線接続でき、ホームゲートウェイ20を介してインターネットINTに接続することができる。また、クライアントCL2は、設定更新処理実行後においても、実行前と変わらずに、ホームゲートウェイ20に無線接続でき、ホームゲートウェイ20を介してインターネットINTに接続することができる。
【0066】
以上説明した第1実施例の無線ネットワークシステムNSでは、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続されると、可搬型アクセスポイント10に設定されている無線通信設定情報がホームゲートウェイ20に送信され、ホームゲートウェイ20において追加して設定される。したがって、第2接続態様から第1接続態様に変化した場合に、クライアントCL1は、第1の無線通信設定情報を用いてホームゲートウェイ20と無線接続することができ、ホームゲートウェイ20を介してインターネットINTに接続することができる。また、可搬型アクセスポイント10には、予めクライアントCL1との間の無線通信に用いられる無線通信設定情報(無線通信設定情報群131)が設定されている。したがって、クライアントCL1は、第2接続態様において、可搬型アクセスポイント10と無線接続することができ、可搬型アクセスポイント10を介してインターネットINTに接続することができる。
【0067】
このように、第1実施例の無線ネットワークシステムNSによると、クライアントCL1を、ホームゲートウェイ20の配置されたロケーションAにおいてホームゲートウェイ20と無線接続させ、ホームゲートウェイ20の配置されていないロケーションBにおいて可搬型アクセスポイント10と無線接続させることができる。
【0068】
加えて、第2接続態様から第1接続態様に変わった場合に、可搬型アクセスポイント10に設定されている無線通信設定情報群が、自動的にホームゲートウェイ20に送信されて設定されるので、無線通信設定情報群131の内容を確認し、また、無線通信設定情報群131の内容をホームゲートウェイ20に設定するユーザの作業負担を軽減させることができる。また、ユーザが無線通信設定情報群131の内容をホームゲートウェイ20に設定するための入力手段や、入力結果を表示する表示手段をホームゲートウェイ20に設けることを要しないので、ホームゲートウェイ20の製造コストを抑制できる。
【0069】
また、更新設定処理の実行前と実行後のいずれにおいても、ホームゲートウェイ20には、クライアントCL2との間の無線通信のために用いられる無線通信設定情報群231が設定されている。したがって、クライアントCL2は、第1,2接続態様のいずれにおいても、継続してホームゲートウェイ20に接続することができる。
【0070】
また、可搬型アクセスポイント10では、ホームゲートウェイ20との接続を検出した場合に、無線通信設定情報を送信するので、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20と接続されていない場合における無線通信設定情報の送受信を抑制することができる。
【0071】
B.第2実施例:
図9は、第2実施例の無線ネットワークシステムにおいて実行される設定更新処理の手順を示すシーケンス図である。
図9において左側及び右側は、
図5に示す第1実施例のシーケンス図の左側及び右側と同じであるので、説明を省略する。
【0072】
第2実施例の無線ネットワークシステムは、ホームゲートウェイ20の設定情報送信制御部214がマルチSSIDに対応していない点と、設定更新処理における可搬型アクセスポイント10側の手順としてステップS112を追加する点と、設定更新処理におけるホームゲートウェイ20側の手順としてステップS225及びS230に代えて、ステップS225aを実行する点において、第1実施例の無線ネットワークシステムNSと異なり、他の構成は、第1実施例の無線ネットワークシステムNSと同じである。
【0073】
第2実施例の設定更新処理では、可搬型アクセスポイント10において、設定情報送信制御部115は、ステップS110の後、WPSボタン145が押されるまで待機し(ステップS112)、WPSボタン145が押された場合に(ステップS112:YES)、前述のステップS115を実行する。このように、WPSボタン145が押されるまで待機して、WPSボタン145が押された場合にステップS115以降の処理を実行するのは、以下の理由による。後述するように、第2実施例では、ホームゲートウェイ20において無線通信設定情報が上書きされるため、クライアントCL2は、クライアントCL2に設定されている無線通信設定情報を変更しないかぎり、ホームゲートウェイ20と無線接続できなくなる。そこで、ホームゲートウェイ20における無線通信設定情報が上書きされ、かつ、クライアントCL2がホームゲートウェイ20に無線接続できなくなるような処理を進めることをユーザが認識していることを、WPSボタン145が押されたことにより確認し、ユーザが知らないうちに処理が進められてしまうことを抑制する。
【0074】
ホームゲートウェイ20において、設定情報更新制御部215は、更新要求パケットの受信(ステップS215)及び応答パケットの送信(ステップS220)の後、更新要求パケットに含まれている無線通信設定情報を、ROM230に既に格納されている無線通信設定情報に上書きして格納する(ステップS225a)。
【0075】
図10は、第2実施例における設定更新処理実行後のホームゲートウェイの構成を示す説明図である。
図11は、第2実施例における設定更新処理実行後の無線ネットワークシステムの第1接続態様を示す説明図である。
【0076】
設定更新処理前の
図6に示す第2接続態様から、可搬型アクセスポイント10及びクライアントCL1がロケーションAに移動され、第2実施例の設定更新処理が実行されると、
図10に示すように、設定更新処理実行後のホームゲートウェイにおいて、無線通信設定情報格納部230aには、
図4に示す無線通信設定情報群231に代えて、可搬型アクセスポイント10から受信した内容と同じ内容の無線通信設定情報群232(SSID「SSID_MR」,セキュリティキー「aaaaaaaa」)が格納される。
【0077】
したがって、
図11に示すように、クライアントCL1は、ホームゲートウェイ20に無線接続でき、ホームゲートウェイ20を介してインターネットINTに接続することができる。なお、ホームゲートウェイ20において、クライアントCL2との間の無線通信のための無線通信設定情報(
図4の無線通信設定情報群231)は、設定更新処理の後には、無線通信設定情報格納部230aには格納されていない。したがって、第2実施例において、クライアントCL2は、第1実施例と異なり、設定更新処理の後にホームゲートウェイ20に無線接続することができない。この場合、ホームゲートウェイ20においてWPSボタン245を押して、無線通信設定情報群232をクライアントCL2に通知して設定させることにより、クライアントCL2をホームゲートウェイ20に無線接続させることができる。
【0078】
以上の構成を有する第2実施例の無線ネットワークシステムでは、第1実施例と同様に、クライアントCL1を、ホームゲートウェイ20の配置されたロケーションAにおいてホームゲートウェイ20と無線接続させ、ホームゲートウェイ20の配置されていないロケーションBにおいて可搬型アクセスポイント10と無線接続させることができる。加えて、マルチSSIDに対応していないホームゲートウェイ20を用いることができるので、無線ネットワークシステムの構築コストを抑制することができる。また、ホームゲートウェイ20では、可搬型アクセスポイント10から受信した無線通信設定情報を、既存の無線通信設定情報に上書きして格納するので、ROM230の容量を低減でき、無線ネットワークシステムの構築コストを抑制することができる。なお、第2実施例において、WPSボタン145は、請求項におけるユーザインターフェイスに相当する。
【0079】
C.第3実施例:
図12は、第3実施例の無線ネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。
図12では、第3実施例の無線ネットワークシステムNSaの第1接続態様を示している。第3実施例の無線ネットワークシステムNSaは、可搬型アクセスポイント10がクレードル40を介してホームゲートウェイ20aと接続される点において、
図1に示す第1実施例の無線ネットワークシステムNSと異なり、他の構成は、第1実施例の無線ネットワークシステムNSと同じである。クレードル40は、ネットワークケーブルCa1によりホームゲートウェイ20aに接続されている。クレードル40は、接触により可搬型アクセスポイント10に物理的に接続されると、可搬型アクセスポイント10に給電すると共に、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20aとの間のデータのやりとりを仲介する。
【0080】
図13は、
図12に示すクレードルの詳細構成を示すブロック図である。クレードル40は、USB制御回路460と、USB接続インターフェイス462と、USB/Ethernet変換部464と、Ethernetスイッチ部466と、Ethernetインターフェイス468と、受電部472と、給電部473と、電源接続インターフェイス474とを備えている。
【0081】
USB制御回路460は、
図4に示す第1実施例のUSB制御回路260と同じ機能を有するので、説明を省略する。同様に、USB接続インターフェイス462は
図4に示すUSB接続インターフェイス262と、USB/Ethernet変換部464は
図4に示すUSB/Ethernet変換部264と、Ethernetスイッチ部466は
図4に示すEthernetスイッチ部266と、受電部472は
図4に示す受電部272と、給電部473は
図4に示す給電部273と、電源接続インターフェイス474は
図4に示す電源接続インターフェイス274と、それぞれ同じ機能を有するので、説明を省略する。
【0082】
図14は、第3実施例のホームゲートウェイの詳細構成を示すブロック図である。第3実施例のホームゲートウェイ20aは、USB制御回路260と、USB接続インターフェイス462と、USB/Ethernet変換部264と、電源接続インターフェイス274とを備えていない点において、
図4に示す第1実施例のホームゲートウェイ20と異なり、他の構成は、第1実施例と同じである。すなわち、第3実施例では、第1実施例のホームゲートウェイ20の一部の機能部が、クレードル40によって実現されている。換言すると、第3実施例のホームゲートウェイ20a及びクレードル40は、第1実施例のホームゲートウェイ20に相当する。
【0083】
第3実施例における設定更新処理の手順は、ホームゲートウェイ20aと可搬型アクセスポイント10との間の情報のやりとりを、クレードル40が中継する点において、
図5に示す第1実施例の設定更新処理と異なり、他の手順は第1実施例と同じである。
【0084】
以上の構成を有する第3実施例の無線ネットワークシステムNSaは、第1実施例と同じ効果を有する。加えて、第3実施例では、USB/Ethernetの変換は、クレードル40が実行するので、USB/Ethernet変換を行う機能部を有していないホームゲートウェイを用いて無線ネットワークシステムNSaを実現することができる。
【0085】
D.第4実施例:
図15は、第4実施例の可搬型アクセスポイントの詳細構成を示すブロック図である。
図16は、第4実施例のホームゲートウェイの詳細構成を示すブロック図である。
図14に示す可搬型アクセスポイント10aは、CPU110が接続監視部として機能しない点において、
図3に示す第1実施例の可搬型アクセスポイント10と異なり、他の構成は、第1実施例の可搬型アクセスポイント10と同じである。
図16に示すホームゲートウェイ20bは、CPU210が接続監視部216として機能する点において、
図4に示す第1実施例のホームゲートウェイ20と異なり、他の構成は、第1実施例のホームゲートウェイ20と同じである。
【0086】
図17は、第4実施例の無線ネットワークシステムにおいて実行される設定更新処理の手順を示すシーケンス図である。
図17において左側及び右側は、
図5に示す第1実施例のシーケンス図の左側及び右側と同じであるので、説明を省略する。第4実施例の無線ネットワークシステムでは、可搬型アクセスポイント10aがホームゲートウェイ20bに接続されると、ホームゲートウェイ20bから可搬型アクセスポイント10aに無線通信設定情報群の送信を要求し、この要求に応じて、可搬型アクセスポイント10aが無線通信設定情報群を送信する。
【0087】
具体的には、ホームゲートウェイ20bにおいて、接続監視部216は、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続されたか否かを監視する(ステップS405)。この処理は、
図5に示す第1実施例のステップS105と同様である。
【0088】
ステップS405において、可搬型アクセスポイント10aとホームゲートウェイ20bとの接続が検出されると(ステップS405:YES)、ホームゲートウェイ20bにおいて、設定情報更新制御部215は、可搬型アクセスポイント検索パケットを、USB接続インターフェイス262を介して送信(ブロードキャスト)する(ステップS410)。この処理は、
図5に示すステップS115と同様である。
【0089】
可搬型アクセスポイント10aにおいて、設定情報送信制御部115は、電源オンの後、USB接続インターフェイス162を介した可搬型アクセスポイント検索パケットの受信を監視している(ステップS305)。設定情報更新制御部215は、可搬型アクセスポイント検索パケットの受信を検出すると(ステップS305:YES)、前述のステップS110(無線LAN機能停止)を行い、応答パケットをホームゲートウェイ20bに送信する(ステップS315)。
【0090】
ホームゲートウェイ20bにおいて、設定情報送信制御部115は、前述のステップS410の後、応答パケットを受信するまで待機している(ステップS415)。設定情報送信制御部115は、応答パケットを受信すると(ステップS415:YES)、無線通信設定情報群の送信要求パケットを、USB接続インターフェイス262を介して可搬型アクセスポイント10aに送信する(ステップS420)。
【0091】
可搬型アクセスポイント10aにおいて、設定情報送信制御部115は、前述のステップS315の後、無線通信設定情報群の送信要求パケットを受信するまで待機している(ステップS320)。設定情報送信制御部115は、無線通信設定情報群の送信要求パケットを受信すると(ステップS320:YES)、前述のステップS125,S130を実行する。したがって、可搬型アクセスポイント10aに予め設定されている無線通信設定情報がホームゲートウェイ20bに送信される。
【0092】
ホームゲートウェイ20bにおいて、設定情報更新制御部215は、前述のステップS420の後、無線通信設定情報を受信するまで待機し(ステップS425)、無線通信設定情報を受信すると(ステップS425:YES)、応答パケットを可搬型アクセスポイント10aに送信する(ステップS430)。その後、設定情報更新制御部215は、前述のステップS225,S230を実行する。したがって、可搬型アクセスポイント10aから送信された無線通信設定情報群が、無線通信設定情報格納部230aに追加して格納される(ステップS225)。
【0093】
以上の構成を有する第4実施例の無線ネットワークシステムは、第1実施例の無線ネットワークシステムNSと同じ効果を有する。加えて、可搬型アクセスポイント10aは、ホームゲートウェイ20bとの接続監視や、無線通信設定情報群の能動的な送信を行わないので、可搬型アクセスポイント10aにおける処理負荷を軽減できる。
【0094】
E.第5実施例:
図18は、第5実施例の無線ネットワークシステムにおいて実行される設定更新処理の手順を示すシーケンス図である。
図18において左側及び右側は、
図17に示す第4実施例のシーケンス図の左側及び右側と同じであるので、説明を省略する。
【0095】
第5実施例の無線ネットワークシステムは、ホームゲートウェイ20bの設定情報送信制御部214がマルチSSIDに対応していない点と、設定更新処理における可搬型アクセスポイント10a側の手順としてステップS310を追加する点と、設定更新処理におけるホームゲートウェイ20b側の手順としてステップS225及びS230に代えて、ステップS225aを実行する点において、第4実施例の無線ネットワークシステムと異なり、他の構成は、第4実施例の無線ネットワークシステムと同じである。
【0096】
図18に示すように、可搬型アクセスポイント10aにおいて、設定情報送信制御部115は、前述のステップS110の後、WPSボタン145が押されるまで待機し(ステップS310)、WPSボタン145が押された場合に(ステップS310:YES)、前述のステップS315を実行する。このように、WPSボタン145が押されるまで待機して、WPSボタン145が押された場合にステップS315以降の処理を実行するのは、第2実施例と同じ理由である。
【0097】
ホームゲートウェイ20bにおいて、設定情報更新制御部215は、前述のステップS430の後、第2実施例と同様に、前述のステップS225aを実行する。したがって、可搬型アクセスポイント10aから送信された無線通信設定情報群によって、ホームゲートウェイ20bに予め設定されている無線通信設定情報群が上書きされる。
【0098】
以上の構成を有する第5実施例の無線ネットワークシステムは、第4実施例の無線ネットワークシステムと同じ効果を有する。加えて、第5実施例の無線ネットワークシステムは、第2実施例の無線ネットワークシステムと同様に、マルチSSIDに対応していないホームゲートウェイ20bを用いることができるので、無線ネットワークシステムの構築コストを抑制することができる。また、ホームゲートウェイ20bでは、可搬型アクセスポイント10aから受信した無線通信設定情報を、既存の無線通信設定情報に上書きして格納するので、ROM230の容量を低減でき、無線ネットワークシステムの構築コストを抑制することができる。
【0099】
F.変形例:
この発明は、上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0100】
F1.変形例1:
各実施例では、可搬型アクセスポイントがホームゲートウェイに物理的に接続されたこと、すなわち、可搬型アクセスポイントとホームゲートウェイとの間の距離が0「ゼロ」であることの検出を契機として、可搬型アクセスポイントからホームゲートウェイへの無線通信設定情報の送信が実行されていたが、本発明は、これに限定されるものではない。可搬型アクセスポイントとホームゲートウェイとの間の距離が所定値以下となったことの検出を契機として、可搬型アクセスポイントからホームゲートウェイへの無線通信設定情報の送信を実行することもできる。
【0101】
具体的には、例えば、第1実施例におけるステップS105に代えて、ホームゲートウェイ20から無線出力されるビーコンの受信信号強度に基づき可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20との間の距離を推定する処理と、推定した距離が所定値以下(例えば、数メートル以下)であるか否かを判定する処理とを実行して、所定値以下であると判定された場合に、ステップS110を実行する構成を採用することもできる。この構成では、予め受信信号強度と距離との関係を実験等で求めて可搬型アクセスポイント10に設定しておくことで、ビーコンの受信信号強度に基づき可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20との間の距離を推定することができる。この構成においては、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20との間の距離を推定し、かつ、推定した距離が所定値以下であるか否かを判定する機能部は、請求項における距離判定部に相当する。なお、ビーコンの受信信号強度に代えて、ホームゲートウェイ20から無線出力されるプローブ応答の受信信号強度を用いて、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20との間の距離を推定することもできる。
【0102】
また、例えば、RFID(Radio Frequency IDentification)などの近距離(数センチメートル〜数メートル)無線通信を利用して、所定のID情報を可搬型アクセスポイント10又はホームゲートウェイ20から受信した場合に、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20との間の距離が所定値以下であると判定することもできる。この構成においては、RFIDにおけるID情報を受信する機能部は、請求項における距離判定部に相当する。なお、「可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20との間の距離が所定値以下であるか否か」の判定を省略することもできる。例えば、RFIDなどの無線通信を利用する構成では、ステップS105やS405に代えて、RFIDにより所定のID情報を受信したことを契機として、設定更新処理を進めることもできる。なお、この構成においては、RFID等により無線通信設定情報群を可搬型アクセスポイント10かホームゲートウェイ20に送信することもできる。すなわち、一般には、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20との間の距離が、互いに通信可能な距離である場合に、可搬型アクセスポイント10からホームゲートウェイ20に無線通信設定情報群を送信する任意の構成を、本発明の無線ネットワークシステムに採用することができる。
【0103】
以上の各実施例及び変形例からも理解できるように、可搬型アクセスポイント10,10aと、ホームゲートウェイ20,20a,20bとの装置間距離が、互いに通信可能な距離である場合に、可搬型アクセスポイント10,10aからホームゲートウェイ20,20a,20bに無線通信設定情報を送信する任意の構成を、本発明の無線ネットワークシステムに適用することができる。
【0104】
F2.変形例2:
各実施例において、無線通信設定情報は、SSID及びセキュリティキーであったが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、SSID及びセキュリティキーのいずれか一方のみを無線通信設定情報として採用することもできる。また、例えば、SSID及びセキュリティキーに加えて、セキュリティ種別(方式)を示す情報を、無線通信設定情報として採用することができる。すなわち、一般には、SSIDと、セキュリティ種別情報と、セキュリティキーと、のうち、いずれかを含む情報を、本発明の無線通信設定情報として採用することができる。
【0105】
また、SSID,セキュリティキー,セキュリティ種別(方式)を示す情報に代えて、または、加えて、無線通信に用いられる任意の情報を、無線通信設定情報として採用することもできる。例えば、可搬型アクセスポイント及びホームゲートウェイが、いわゆるMACアドレス制限機能(予め登録されているMACアドレス以外のMACアドレスの無線LANクライアントからの接続要求を拒否する機能)を有する構成においては、登録されているMACアドレス情報を、無線通信設定情報として採用することもできる。すなわち、一般には、無線通信において用いられる任意の情報を、本発明の無線通信設定情報として採用することができる。
【0106】
F3.変形例3:
第2,5実施例では、ホームゲートウェイ20,20bにおける無線通信設定情報が上書きされ、かつ、クライアントCL2がホームゲートウェイ20,20bに無線接続できなくなるような処理を進めることをユーザが認識していることを、可搬型アクセスポイント10,10aに通知する手段として、WPSボタン145が用いられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、WPBボタン145とは異なる専用のボタンを可搬型アクセスポイント10,10aに設け、かかるボタンを通知手段として採用することもできる。また、ホームゲートウェイ20,20bのWPSボタン245を通知手段として用いることもできる。この構成においては、WPSボタン245が押下されたことを、可搬型アクセスポイント10,10aに通知することが好ましい。すなわち、一般には、可搬型アクセスポイント及びホームゲートウェイのうち、少なくとも一方には、可搬型アクセスポイントに予め設定されている無線通信設定情報を、ホームゲートウェイに上書きして格納することの指示入力を許容する任意のユーザインターフェイスを、本発明のネットワークシステム及び無線ネットワーク中継装置に採用することができる。
【0107】
なお、第2実施例におけるステップS112及び第5実施例におけるステップS310を省略することもできる。すなわち、可搬型アクセスポイントにおいて、WPSボタン145が押されたか否かに関わらず、ステップS115以降の処理、及びステップS315以降の処理を実行する構成を採用することもできる。
【0108】
F4.変形例4:
各実施例では、可搬型アクセスポイント10,10aがホームゲートウェイ20,20a,20bに接続された場合に、可搬型アクセスポイント10,10aの無線LAN機能を停止していたが、これに代えて、無線LAN機能を停止させない構成を採用することもできる。この構成では、可搬型アクセスポイント10,10aとホームゲートウェイ20,20a,20bとの間のノイズ干渉や電波干渉の発生を抑制するために、各装置間にシールドを設ける対応や、各装置が使用する無線チャンネルとして、互いに大きく離れた周波数帯域のチャンネルを設定する対応を行うことが好ましい。
【0109】
F5.変形例5:
第3実施例では、設定更新処理の手順は第1実施例と同じであったが、第1実施例に代えて、他の実施例及び変形例とすることもできる。例えば、第2実施例の無線ネットワークシステムのハードウェア構成を
図12に示す第3実施例の無線ネットワークシステムNSaと同様に構成し、
図9に示す第2実施例の設定更新処理を実行することもできる。この構成においても、第3実施例と同様に、ホームゲートウェイ20と可搬型アクセスポイント10との間の情報のやりとりを、クレードル40が中継することにより、設定更新処理を実現させることができる。
【0110】
F6.変形例6:
各実施例では、クライアントCL1,CL2をインターネットINTに接続させるための無線ネットワーク中継装置として、可搬型アクセスポイント及びホームゲートウェイを用いていたが、本発明は、これらの装置に限定されるものではない。可搬型アクセスポイント10,10aに代えて、無線LANアクセスポイントの機能や、移動体通信網の移動体基地局と無線通信を行う機能や、ルータ機能を有する任意の装置(例えば、携帯電話端末)を採用することができる。なお、可搬型アクセスポイント10や携帯電話端末などの可搬型の装置に代えて、据置き型の装置(例えば、ホームゲートウェイ)を採用することもできる。無線ネットワークシステムが2台のホームゲートウェイ及びクライアントCL1,CL2より構成される例では、古いホームゲートウェイを新しいホームゲートウェイに更改する場合において、クライアントCL1を継続してインターネットINTに接続させることができると共に、古いホームゲートウェイから新しいホームゲートウェイに無線通信設定情報を容易に移行させることができるという効果を奏する。
【0111】
また、ホームゲートウェイ20,20a,20bに代えて、レイヤ3スイッチなど、無線LANアクセスポイント及びルータとして動作し、インターネットに接続可能な任意の無線ネットワーク中継装置を採用することができる。なお、各実施例において、ホームゲートウェイ20,20a,20bは、インターネットINTに接続されていなくともよい。例えば、各ホームゲートウェイ20,20a,20bが、無線LAN31以外のLANや、VPN(Virtual Private Network)に接続される構成を採用することができる。すなわち、一般には、2つの任意の無線ネットワーク中継装置を、本発明の無線ネットワークシステムに採用することができる。
【0112】
F7.変形例7:
各実施例における可搬型アクセスポイント10,10aや、ホームゲートウェイ20,20a,20bの構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、各実施例において、無線LAN制御回路152,252は、IEEE802.11a/b/gに準拠した無線LANに限らず、将来的に利用可能となる無線LAN一般により無線通信を行う無線通信インターフェイスであるとしてもよい。また、移動体通信制御回路154は、3G/HSPAに準拠した移動体通信に限らず、例えばLTEや次世代モバイルWiMAX(IEEE802.16m)、次世代PHS(XGP:eXtended Global Platform)といった将来的に利用可能となる移動体通信一般により無線通信を行う無線通信インターフェイスであるとしてもよい。
【0113】
また、第3実施例を除く各実施例では、可搬型アクセスポイントとホームゲートウェイとの間におけるデータのやりとりのための接続インターフェイスは、USBであったが、USBに代えて、他の任意の通信インターフェイスを採用することができる。また、本発明は、無線LANや移動体通信に限らず、所定の無線ネットワークにおける無線通信一般に適用することができる。
【0114】
また、上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。すなわち、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、データを一時的ではなく固定可能な任意の記録媒体を含む広い意味を有している。