特許第5716744号(P5716744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5716744
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】感放射線性組成物及び新規化合物
(51)【国際特許分類】
   C07C 309/17 20060101AFI20150423BHJP
   C07C 381/12 20060101ALI20150423BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20150423BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20150423BHJP
   C08F 20/56 20060101ALI20150423BHJP
   C08F 12/04 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   C07C309/17CSP
   C07C381/12
   C09K3/00 K
   C08F20/10
   C08F20/56
   C08F12/04
【請求項の数】7
【全頁数】55
(21)【出願番号】特願2012-528623(P2012-528623)
(86)(22)【出願日】2011年7月20日
(86)【国際出願番号】JP2011066496
(87)【国際公開番号】WO2012020627
(87)【国際公開日】20120216
【審査請求日】2014年2月5日
(31)【優先権主張番号】特願2010-178987(P2010-178987)
(32)【優先日】2010年8月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】丸山 研
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/030737(WO,A1)
【文献】 特開2009−149588(JP,A)
【文献】 特開2008−069146(JP,A)
【文献】 特開2008−013551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 309/00
C07C 381/00
C08F 12/00
C08F 20/00
C09K 3/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される感放射線性酸発生剤と、溶剤と、を含有することを特徴とする感放射線性組成物。
【化1】
〔一般式(1)において、Rは相互に独立に、水素原子、フッ素原子、又は、水素原子の一部若しくは全てがフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基を示し、且つRのうち少なくとも1つは、フッ素原子、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基を示す。Rは相互に独立に、−COOR基を示す。Rは相互に独立に、(a1)置換若しくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基、(a2)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する前記炭化水素基(a1)、(a3)置換若しくは非置換の炭素数3〜30の環状若しくは環状構造を有する1価の脂肪族炭化水素基、(a4)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する前記脂肪族炭化水素基(a3)、(a5)置換若しくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、又は、(a6)置換若しくは非置換の炭素数4〜30の1価のヘテロ原子を有してもよい環状有機基を示す。nは0〜3の整数を示す。Mは1価のオニウムカチオンを示す。〕
【請求項2】
前記感放射線性酸発生剤が、下記一般式(2)で表される感放射線性酸発生剤である請求項1に記載の感放射線性組成物。
【化2】
〔一般式(2)において、Rは相互に独立に、水素原子、フッ素原子、又は、水素原子の一部若しくは全てがフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基を示し、且つRのうち少なくとも1つは、フッ素原子、又は水素原子の一部若しくは全てがフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基を示す。Rは相互に独立に、(a1)置換若しくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基、(a2)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する前記炭化水素基(a1)、(a3)置換若しくは非置換の炭素数3〜30の環状若しくは環状構造を有する1価の脂肪族炭化水素基、(a4)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する前記脂肪族炭化水素基(a3)、(a5)置換若しくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、又は、(a6)置換若しくは非置換の炭素数4〜30の1価のヘテロ原子を有してもよい環状有機基を示す。Mは1価のオニウムカチオンを示す。〕
【請求項3】
前記一般式(2)におけるRのうち少なくとも1つが、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である請求項2に記載の感放射線性組成物。
【請求項4】
前記一般式(2)におけるRが、相互に独立に、(a3)置換若しくは非置換の炭素数3〜30の環状若しくは環状構造を有する1価の脂肪族炭化水素基、(a4)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する前記炭化水素基(a3)、又は、(a5)置換若しくは非置換の炭素数6〜30のアリール基である請求項2又は3に記載の感放射線性組成物。
【請求項5】
前記一般式(1)又は(2)における1価のオニウムカチオン(M)が、下記一般式(m1−1)で示されるスルホニウムカチオンである請求項1乃至4のいずれかに記載の感放射線性組成物。
【化3】
〔一般式(m1−1)において、R111〜R113は、各々独立に、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、−S−R114基(R114は置換基を有していてもよいアルキル基、又はアリール基を示す。)、又は、−SO−R115基(R115は、置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を示す。)を示す。但し、R111のうち少なくとも1つは−SO−R115基である。lは1〜5の整数である。mは0〜5の整数である。nは0〜5の整数である。〕
【請求項6】
更に、下記一般式(b−1)〜(b−5)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種を含む樹脂を含有する請求項1乃至5のいずれかに記載の感放射線性組成物。
【化4】
〔一般式(b−1)において、R11は、水素原子又はメチル基を示す。R12は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を示す。kは0〜3の整数を示し、lは0〜3の整数を示し、且つk+l≦5を満たす。〕
【化5】
〔一般式(b−2)において、R13は、水素原子又はメチル基を示す。R14は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を示す。mは0〜3の整数を示し、nは0〜3の整数を示し、且つm+n≦5を満たす。〕
【化6】
〔一般式(b−3)において、R15は、水素原子又はメチル基を示す。R16は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を示す。pは0〜3の整数を示し、qは0〜3の整数を示し、且つp+q≦5を満たす。〕
【化7】
〔一般式(b−4)において、R17は、水素原子又はメチル基を示す。R18は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を示す。rは0〜3の整数を示し、sは0〜3の整数を示す。〕
【化8】
〔一般式(b−5)において、R19は、水素原子又はメチル基を示す。〕
【請求項7】
下記一般式(1)で示されることを特徴とする化合物。
【化9】
〔一般式(1)において、Rは相互に独立に、水素原子、フッ素原子、フルオロアルキルを示し、且つRのうち少なくとも1つは、フッ素原子、又はフルオロアルキルを示す。Rは相互に独立に、アルコキシカルボニル(アルコキシ基は、フッ素原子で置換されていてもよい)、シクロアルコキシカルボニル(シクロアルキル基は、縮合多環式ラクトンを包含する)を示す。nはを示す。Mは1価の有機スルホニウムカチオンを示す。〕
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、その他のフォトリソグラフィー工程に使用される感放射線性組成物及び新規化合物に関する。更に詳しくは、本発明は、220nm以下の遠紫外線等の露光光源、例えば、ArFエキシマレーザーや電子線等を光源とするフォトリソグラフィー工程に好適な感放射線性組成物、及びこの感放射線性組成物に配合される酸発生剤として好適な新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
化学増幅型の感放射線性樹脂組成物は、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーに代表される遠紫外光等の放射線照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応により、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度を変化させ、基板上にレジストパターンを形成させる組成物である(特許文献1及び非特許文献1参照)。
【0003】
このような化学増幅型の感放射線性樹脂組成物に含有される感放射線性酸発生剤には、放射線に対する透明性が優れ、且つ酸の発生に際して高い量子収率を有しているという特性が求められる。更に、感放射線性酸発生剤が発生する酸には、十分に強く、沸点が十分に高く、レジスト被膜中の拡散距離(以下、「拡散長」という場合がある)が適切であること等の特性が求められる。
【0004】
上述の特性のうち、酸の強さ、沸点及び拡散長を発揮するためには、イオン性の感放射線性酸発生剤ではアニオン部分の構造が重要である。
例えば、トリフルオロメタンスルホニル構造を有する感放射線性酸発生剤は、発生する酸が十分強い酸となり、フォトレジストとしての解像性能は十分高くなる。しかし、酸の沸点が低く、酸の拡散長が適切でない。即ち、酸の拡散長が長いため、解像性能が十分でないという欠点がある。
また、10−カンファースルホニル構造のような大きな有機基に結合したスルホニル構造を有する感放射線性酸発生剤は、発生する酸の沸点が十分高く、酸の拡散長が適切である。即ち、酸の拡散長が十分短い。しかし、カンファースルホニル構造を有する感放射線性酸発生剤は溶解性に乏しく、感放射線性樹脂組成物において一般的に使用されている溶剤に溶解し難いという欠点がある。
【0005】
一方、より精密な線幅制御を行う場合、例えば、デバイスの設計寸法がサブハーフミクロン以下であるような場合には、化学増幅型レジストは、解像性能が優れているだけでなく、レジストパターン形成後の膜表面の平滑性が優れていることも重要となってきている。膜表面の平滑性が劣る化学増幅型レジストは、エッチング等の処理により基板にレジストパターンを転写する際に、膜表面の凹凸形状(以下、「ナノエッジラフネス」という場合がある)が基板に転写されてしまい、その結果として、パターンの寸法精度が低下してしまう。そのため、最終的にデバイスの電気特性が損なわれるおそれがあることが報告されている(例えば、非特許文献2〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59−45439号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Perfluorooctyl Sulfonates;Proposed Significant New Use Rule
【非特許文献2】J.Photopolym.Sci.Tech.,p.571(1998)
【非特許文献3】Proc.SPIE,Vol.3333,p.313
【非特許文献4】Proc.SPIE,Vol.3333,p.634
【非特許文献5】J.Vac.Sci.Technol.B16(1),p.69(1998)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、溶剤への溶解性が高く、解像性能に優れ、且つナノエッジラフネスの小さい化学増幅型レジストを形成可能な感放射線性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有するスルホン酸オニウム塩を含有する感放射線性組成物によって、課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は以下の通りである。
[1]下記一般式(1)で示される感放射線性酸発生剤と、溶剤と、を含有することを特徴とする感放射線性組成物。
【化1】
〔一般式(1)において、Rは相互に独立に、水素原子、フッ素原子、又は、水素原子の一部若しくは全てがフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基を示し、且つRのうち少なくとも1つは、フッ素原子、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基を示す。Rは相互に独立に、−COOR基を示す。Rは相互に独立に、(a1)置換若しくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基、(a2)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する前記炭化水素基(a1)、(a3)置換若しくは非置換の炭素数3〜30の環状若しくは環状構造を有する1価の脂肪族炭化水素基、(a4)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する前記脂肪族炭化水素基(a3)、(a5)置換若しくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、又は、(a6)置換若しくは非置換の炭素数4〜30の1価のヘテロ原子を有してもよい環状有機基を示す。nは0〜3の整数を示す。Mは1価のオニウムカチオンを示す。〕
[2]前記感放射線性酸発生剤が、下記一般式(2)で表される感放射線性酸発生剤である前記[1]に記載の感放射線性組成物。
【化2】
〔一般式(2)において、Rは相互に独立に、水素原子、フッ素原子、又は、水素原子の一部若しくは全てがフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基を示し、且つRのうち少なくとも1つは、フッ素原子、又は水素原子の一部若しくは全てがフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基を示す。Rは相互に独立に、(a1)置換若しくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基、(a2)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する前記炭化水素基(a1)、(a3)置換若しくは非置換の炭素数3〜30の環状若しくは環状構造を有する1価の脂肪族炭化水素基、(a4)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する前記脂肪族炭化水素基(a3)、(a5)置換若しくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、又は、(a6)置換若しくは非置換の炭素数4〜30の1価のヘテロ原子を有してもよい環状有機基を示す。Mは1価のオニウムカチオンを示す。〕
[3]前記一般式(2)におけるRのうち少なくとも1つが、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である前記[2]に記載の感放射線性組成物。
[4]前記一般式(2)におけるRが、相互に独立に、(a3)置換若しくは非置換の炭素数3〜30の環状若しくは環状構造を有する1価の脂肪族炭化水素基、(a4)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する前記炭化水素基(a3)、又は、(a5)置換若しくは非置換の炭素数6〜30のアリール基である前記[2]又は[3]に記載の感放射線性組成物。
[5]前記一般式(1)又は(2)における1価のオニウムカチオン(M)が、下記一般式(m1−1)で示されるスルホニウムカチオンである前記[1]乃至[4]のいずれかに記載の感放射線性組成物。
【化3】
〔一般式(m1−1)において、R111〜R113は、各々独立に、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、−S−R114基(R114は置換基を有していてもよいアルキル基、又はアリール基を示す。)、又は、−SO−R115基(R115は、置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を示す。)を示す。但し、R111のうち少なくとも1つは−SO−R115基である。lは1〜5の整数である。mは0〜5の整数である。nは0〜5の整数である。〕
[6]更に、下記一般式(b−1)〜(b−5)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種を含む樹脂を含有する前記[1]乃至[5]のいずれかに記載の感放射線性組成物。
【化4】
〔一般式(b−1)において、R11は、水素原子又はメチル基を示す。R12は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を示す。kは0〜3の整数を示し、lは0〜3の整数を示し、且つk+l≦5を満たす。〕
【化5】
〔一般式(b−2)において、R13は、水素原子又はメチル基を示す。R14は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を示す。mは0〜3の整数を示し、nは0〜3の整数を示し、且つm+n≦5を満たす。〕
【化6】
〔一般式(b−3)において、R15は、水素原子又はメチル基を示す。R16は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を示す。pは0〜3の整数を示し、qは0〜3の整数を示し、且つp+q≦5を満たす。〕
【化7】
〔一般式(b−4)において、R17は、水素原子又はメチル基を示す。R18は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を示す。rは0〜3の整数を示し、sは0〜3の整数を示す。〕
【化8】
〔一般式(b−5)において、R19は、水素原子又はメチル基を示す。〕
[7]下記一般式(1)で示されることを特徴とする化合物。
【化9】
〔一般式(1)において、Rは相互に独立に、水素原子、フッ素原子、フルオロアルキルを示し、且つRのうち少なくとも1つは、フッ素原子、又はフルオロアルキルを示す。Rは相互に独立に、アルコキシカルボニル(アルコキシ基は、フッ素原子で置換されていてもよい)、シクロアルコキシカルボニル(シクロアルキル基は、縮合多環式ラクトンを包含する)を示す。nはを示す。Mは1価の有機スルホニウムカチオンを示す。〕
【発明の効果】
【0011】
本発明の感放射線性組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV等の(極)遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線に有効に感応し、ナノエッジラフネス、感度及び解像度に優れ、微細パターンを高精度に且つ安定して形成可能な化学増幅型ポジ型レジスト膜を成膜することができる。
また、本発明の新規化合物は、溶剤への溶解性が高く、酸の拡散長が十分短いため、上述の感放射線性組成物における感放射線性酸発生剤として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ラインパターンを上方から見た際の模式的な平面図である。
図2】ラインパターン形状の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
また、本明細書における「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。
【0014】
[1]感放射線性組成物
本発明の感放射線性組成物は、特定の感放射線性酸発生剤と、溶剤と、を含有するものである。
【0015】
[1−1]感放射線性酸発生剤(A)
上記感放射線性酸発生剤〔以下、「酸発生剤(A)」ともいう。〕は、下記一般式(1)で示される化合物からなる。この酸発生剤(A)は溶剤への溶解性が高く、この酸発生剤(A)を含有する感放射線性組成物によれば、良好なレジストパターンを得ることができるレジスト被膜を形成することができる。また、この酸発生剤(A)は、沸点が高く、フォトリソグラフィー工程中に揮発し難く、レジスト被膜中での酸の拡散長が短い。即ち、酸の拡散長が適度であるという特性を有する。
【0016】
【化11】
〔一般式(1)において、Rは相互に独立に、水素原子、フッ素原子、又は、水素原子の一部若しくは全てがフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基を示し、且つRのうち少なくとも1つは、フッ素原子、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基を示す。Rは相互に独立に、−COOR基を示す。Rは相互に独立に、(a1)置換若しくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基、(a2)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する前記炭化水素基(a1)、(a3)置換若しくは非置換の炭素数3〜30の環状若しくは環状構造を有する1価の脂肪族炭化水素基、(a4)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する前記脂肪族炭化水素基(a3)、(a5)置換若しくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、又は、(a6)置換若しくは非置換の炭素数4〜30の1価のヘテロ原子を有してもよい環状有機基を示す。nは0〜3の整数を示す。Mは1価のオニウムカチオンを示す。〕
【0018】
一般式(1)のRにおける炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、2−エチルヘキシル基、及びn−ドデシル基等の炭化水素基が挙げられる。
【0019】
また、上記R炭化水素基における1又は2以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい
尚、一般式(1)におけるRのうち少なくとも1つは、フッ素原子、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基である。
【0021】
上記Rの示す有機基としては、例えば、下記式(1−1a−1)〜(1−1a−4)で表される基を挙げることができるが、本発明においては、下記式(1−1a−2)で表される基とする。
【0022】
【化12】
【0023】
一般式(1−1a−1)及び(1−1a−2)におけるRで表される基は、(a1)置換若しくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基、(a2)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する上記炭化水素基(a1)、(a3)置換若しくは非置換の炭素数3〜30の環状若しくは環状構造を有する1価の脂肪族炭化水素基、(a4)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する上記脂肪族炭化水素基(a3)、(a5)置換若しくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、又は、(a6)置換若しくは非置換の炭素数4〜30の1価のヘテロ原子を有してもよい環状有機基を示す。
【0024】
一般式(1−1a−2)におけるXは、単結合を表す。
一般式(1−1a−)〜(1−1a−4)におけるXは、単結合、メチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜30のアリール基を表す。
一般式(1−1a−3)におけるYは、メチレン基、又は炭素数2〜6のアルキレン基を表す。
一般式(1−1a−4)におけるZは、メチレン基、エチレン基、酸素原子、又は硫黄原子を表す。
【0025】
一般式(1−1a−1)及び(1−1a−2)のRにおける非置換の炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、2−エチルヘキシル基、及びn−ドデシル基等が挙げられる。
【0026】
また、上述の炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基の置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、アリール基、アルケニル基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含むアルキル基等の有機基等を挙げることができる。更には、炭化水素基の同一炭素上の2つの水素原子が1つの酸素原子で置換されたケト基を例示することができる。これらの置換基は、構造上可能な範囲内でいくつ存在していても良い。
【0027】
このような置換基で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基としては、例えば、ベンジル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、アセチルメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、2−フルオロプロピル基、トリフルオロアセチルメチル基、トリクロロアセチルメチル基、ペンタフルオロベンゾイルメチル基、アミノメチル基、シクロヘキシルアミノメチル基、ジフェニルホスフィノメチル基、トリメチルシリルメチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、2−アミノエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、及びヒドロキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0028】
また、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する炭化水素基[上記(a2)]としては、上述の置換若しくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基[上記(a1)]の一部に、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる少なくとも1つが挿入された基を挙げることができる。
【0029】
一般式(1−1a−1)及び(1−1a−2)のRにおける非置換の炭素数3〜30の環状若しくは環状構造を有する1価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ボルニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ピナニル基、ツヨイル基、カルイル基、カンファニル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、ボルニルメチル基、ノルボルニルメチル基、及びアダマンチルメチル基等が挙げられる。
【0030】
また、上述の炭素数3〜30の環状若しくは環状構造を有する1価の脂肪族炭化水素基の置換基としては、上述の炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基の置換基と同様のものを挙げることができる。
【0031】
このような置換基で置換された炭素数3〜30の環状若しくは環状構造を有する1価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、4−フルオロシクロヘキシル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、4−メトキシカルボニルシクロヘキシル基、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル基、3−メトキシカルボニル−1−アダマンチル基、3−ヒドロキシカルボニル−1−アダマンチル基、及び3−ヒドロキシメチル−1−アダマンタンメチル基等が挙げられる。
【0032】
また、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する炭化水素基[上記(a4)]としては、上述の置換若しくは非置換の炭素数3〜30の環状若しくは環状構造を有する1価の脂肪族炭化水素基における環を構成する炭素−炭素結合の一部が、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる少なくとも1つで置換された基を挙げることができる。
【0033】
一般式(1−1a−1)及び(1−1a−2)のRにおける炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、及び1−フェナントリル基等が挙げられる。
【0034】
また、炭素数6〜30のアリール基の置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、アルキル基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等が挙げられる。
【0035】
このような置換基で置換された炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、o−ヒドロキシフェニル基、m−ヒドロキシフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、3,5−ビス(ヒドロキシ)フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、メシチル基、o−クメニル基、2,3−キシリル基、o−フルオロフェニル基、m−フルオロフェニル基、p−フルオロフェニル基、o−トリフルオロメチルフェニル基、m−トリフルオロメチルフェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、p−ブロモフェニル基、p−クロロフェニル基、及びp−ヨードフェニル基等が挙げられる。
【0036】
一般式(1−1a−1)及び(1−1a−2)のRにおける炭素数4〜30の1価のヘテロ原子を有してもよい環状有機基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピラニル基、ピロリル基、チアントレニル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、及び単環式若しくは多環式ラクトンに由来する基等が挙げられる。
単環式若しくは多環式ラクトンとしてはγ−ブチロラクロン、γ−バレロラクトン、アンゲリカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、3−メチル−4−オクタノライド(ウイスキーラクトン)、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、γ−ジャスモラクトン(7−デセノラクトン)、δ−ヘキサラクトン、4,6,6(4,4,6)−トリメチルテトラヒドロピラン−2−オン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−2−デセノラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、δ−トリデカラクトン、δ−テトラデカラクトン、ラクトスカトン、ε−デカラクトン、ε−ドデカラクトン、シクロヘキシルラクトン、ジャスミンラクトン、シスジャスモンラクトン、メチルγ−デカラクトン、及び、下記構造(R−1)や(R−2)のラクトン(点線は結合位置を示す。)等が挙げられる。
【0037】
【化13】
【0038】
また、ヘテロ原子を有してもよい環状有機基の置換基としては、上述の炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基の置換基と同様のものを挙げることができる。
【0039】
このような置換基で置換された炭素数4〜30の1価のヘテロ原子を有してもよい環状有機基としては、例えば、2−ブロモフリル基、及び3−メトキシチエニル基等が挙げられる。
【0040】
本発明では、上記一般式(1)で示される化合物からなる酸発生剤(A)は、下記一般式(2)で示される化合物からなることが好ましい。
【0041】
【化14】
〔一般式(2)において、Rは相互に独立に、水素原子、フッ素原子、又は、水素原子の一部若しくは全てがフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基を示し、且つRのうち少なくとも1つは、フッ素原子、又は水素原子の一部若しくは全てがフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基を示す。Rは相互に独立に、(a1)置換若しくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基、(a2)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する上記炭化水素基(a1)、(a3)置換若しくは非置換の炭素数3〜30の環状若しくは環状構造を有する1価の脂肪族炭化水素基、(a4)エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びスルフィド結合から選ばれる連結基を更に有する上記炭化水素基(a3)、(a5)置換若しくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、又は、(a6)置換若しくは非置換の炭素数4〜30の1価のヘテロ原子を有してもよい環状有機基を示す。Mは1価のオニウムカチオンを示す。〕
【0042】
一般式(2)のRにおける水素原子の一部若しくは全てがフッ素原子で置換された炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、2−エチルヘキシル基、及びn−ドデシル基等の炭化水素基における水素原子の一部若しくは全てがフッ素原子で置換された基が挙げられる。
【0043】
一般式(2)のRで表される基[(a1)〜(a6)]については、上述の一般式(1−1a−1)及び(1−1a−2)のRにおける(a1)〜(a6)と同義である。
【0044】
上記一般式(1)又は(2)で示される具体的な化合物としては、下記(A1)〜(A15)等を例示することができる。尚、各式におけるM(1価のオニウムカチオン)については、後段にて説明する。
【0045】
【化15】
【0046】
【化16】
【0047】
また、上述の各一般式におけるMの1価のオニウムカチオンとしては、例えば、O、S、Se、N、P、As、Sb、Cl、Br、及びI等のオニウムカチオンが挙げられる。これらのなかでも、S及びIの各オニウムカチオンが好ましく、Sのオニウムカチオンが特に好ましい。
【0048】
具体的なスルホニウムカチオン(Sのオニウムカチオン)としては、例えば、下記一般式(m1)で表されるものが挙げられる。また、具体的なヨードニウムカチオン(Iのオニウムカチオン)としては、例えば、下記一般式(m2)で表されるものが挙げられる。
【0049】
【化17】
〔一般式(m1)において、R101、R102及びR103は、相互に独立に、置換若しくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜18のアリール基を示すか、或いは、R101、R102及びR103のうちのいずれか2つが相互に結合して式中の硫黄原子と共に環状構造を形成しており、残りの1つが置換若しくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜18のアリール基を示す。〕
【0050】
【化18】
〔一般式(m2)において、R104及びR105は、相互に独立に、置換若しくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜18のアリール基を示すか、或いは、R104及びR105が相互に結合して式中のヨウ素原子と共に環状構造を形成している。〕
【0051】
一般式(m1)のR101〜R103における非置換の炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、及び2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
また、このアルキル基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等の置換基により置換されていてもよい。
【0052】
一般式(m1)のR101〜R103における非置換の炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、及び1−フェナントリル基等が挙げられる。
また、このアリール基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、アルキル基、アルコキシ基及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等の置換基により置換されていてもよい。
【0053】
一般式(m1)で表されるオニウムカチオンのなかでも、下記一般式(m1−1)又は(m1−2)で表されるオニウムカチオンが好ましく、特に一般式(m1−1)で表されるオニウムカチオンが好ましい。
【0054】
【化19】
【0055】
一般式(m1−1)において、R111〜R113は、各々独立に、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、−S−R114基(R114は置換基を有していてもよいアルキル基、又はアリール基を示す。)、又は、−SO−R115基(R115は、置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を示す。)を示す。但し、R111のうち少なくとも1つは−SO−R115基である。lは1〜5の整数である。mは0〜5の整数である。nは0〜5の整数である。
【0056】
一般式(m1−2)において、R121は、置換若しくは非置換の炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜8のアリール基を示すか、或いは、2個以上のR121が相互に結合して環を形成している。但し、R121が複数存在する場合、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
122は、置換若しくは非置換の炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜7のアリール基を示すか、或いは、2個以上のR122が相互に結合して環を形成している。但し、R122が複数存在する場合、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
oは0〜7の整数を示し、pは0〜6の整数を示し、qは0〜3の整数を示す。
【0057】
一般式(m1−1)のR111〜R113におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記R111〜R113におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等を挙げることができる。これらのなかでも、炭素数1〜4のものが好ましい。
上記R111〜R113におけるシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。これらのなかでも、炭素数5〜6のものが好ましい。
上記R111〜R113におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等を挙げることができる。これらのなかでも、炭素数1〜4のものが好ましい。
尚、アルキル基、シクロアルキル基及びアルコキシ基の各々における1以上の水素原子は置換されていてもよい。具体的な置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フェニル基、アセトキシ基、アルキル基、アルコキシ基等を挙げることができる。
【0058】
上記R111〜R113の−S−R114基におけるR114のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
また、上記R114のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、及び1−フェナントリル基等を挙げることができる。これらのなかでも、炭素数6〜12のものが好ましい。
尚、R114のアルキル基及びアリール基の各々における1以上の水素原子は前述の置換基により置換されていてもよい。
【0059】
上記R111〜R113の−SO−R115基におけるR115の置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、及びアリール基としては、上記R111〜R114において説明したものを挙げることができる。
上記−SO−R115基の具体例としては、例えば、下記式(h1)〜(h8)で表される構造の基等を挙げることができる。これらのなかでも、(h1)、(h2)で表される基が好ましい。
【0060】
【化20】
【0061】
一般式(m1−2)のR121における非置換の炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、及び2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
また、このアルキル基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等の置換基により置換されていてもよい。
【0062】
121における非置換の炭素数6〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
また、このアリール基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、アルキル基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等の置換基により置換されていてもよい。
【0063】
一般式(m1−2)のR122における非置換の炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、及びn−ヘプチル基等が挙げられる。
また、このアルキル基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等の置換基により置換されていてもよい。
【0064】
122における非置換の炭素数6〜7のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
また、このアリール基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、アルキル基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等の置換基により置換されていてもよい。
【0065】
上記一般式(m1)で表されるスルホニウムカチオンのなかでも、下記式(i−1)〜(i−13)で表されるものが好ましい。
【0066】
【化21】
【0067】
【化22】
【0068】
一般式(m2)のR104及びR105における非置換の炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、及び2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
また、このアルキル基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等の置換基により置換されていてもよい。
【0069】
一般式(m2)のR104及びR105における非置換の炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、及び1−フェナントリル基等が挙げられる。
また、このアリール基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、アルキル基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等の置換基により置換されていてもよい。
【0070】
一般式(m2)で表されるオニウムカチオンのなかでも、下記一般式(m2−1)で表されるオニウムカチオンが好ましい。
【0071】
【化23】
【0072】
一般式(m2−1)において、R131及びR132は、相互に独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12のアリール基を示すか、或いは、R131及びR132のうちの2個以上が相互に結合して環を形成している。但し、R131及びR132が複数存在する場合、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
rは0〜5の整数を示し、sは0〜5の整数を示す。
【0073】
一般式(m2−1)のR131及びR132における非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、このアルキル基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等の置換基により置換されていてもよい。
【0074】
131及びR132における非置換の炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
また、このアリール基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、アルキル基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等の置換基により置換されていてもよい。
【0075】
一般式(m2)で表されるヨードニウムカチオンのなかでも、下記式(ii−1)〜(ii−3)で表されるものが好ましい。
【0076】
【化24】
【0077】
また、上述の1価のオニウムカチオンのなかでも、特に、上記式(i−1)、(i−6)〜(i−13)で表されるスルホニウムカチオン、上記式(ii−1)又は(ii−2)で表されるヨードニウムカチオンが好ましい。
【0078】
酸発生剤(A)におけるMで表される1価のオニウムカチオンは、例えば、Advances in Polymer Science,Vol.62,p.1−48(1984)に記載されている一般的な方法に準じて製造することができる。
【0079】
また、本発明の感放射線性組成物に含有される酸発生剤(A)は、露光又は加熱を契機として1価のオニウムカチオン(M)が解離し、酸を発生する。具体的には、下記一般式(1a)で表されるスルホン酸を発生するものであり、好ましくは下記一般式(2a)で表されるスルホン酸を発生するものである。
【0080】
【化25】
【0081】
【化26】
【0082】
一般式(1a)におけるR及びRは、それぞれ、一般式(1)におけるR及びRと同義であり、上述の各説明をそのまま適用することができる。
また、一般式(2a)におけるR及びRは、それぞれ、一般式(2)におけるR及びRと同義であり、上述の各説明をそのまま適用することができる。
【0083】
また、このような酸発生剤(A)の合成方法は特に限定されないが、例えば、下記の各反応式で表されるように、一般式(X1)や(X2)で表される化合物を、所望のオニウムカチオン(M)のハロゲン化物(例えば、MBr)と水溶液中にて反応させることにより合成することができる。
【0084】
【化27】
【0085】
【化28】
【0086】
上記反応式におけるR〜R及びMは、それぞれ、一般式(1)及び(2)におけるR〜R及びMと同義であり、上述の各説明をそのまま適用することができる。
【0087】
尚、本発明の感放射線性組成物は、上述の酸発生剤(A)を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
【0088】
本発明の感放射線性組成物における酸発生剤(A)の含有量は、後述の樹脂(B)及び酸分解性溶解阻止化合物の合計100質量部に対して、通常0.1〜50質量部、好ましくは1〜40質量部、更に好ましくは5〜30質量部である。酸発生剤(A)の含有量が0.1質量部未満の場合、本発明の所期の効果が十分発現され難くなるおそれがある。一方、50質量部を超える場合、放射線に対する透明性、パターン形状、耐熱性等が低下するおそれがある。
【0089】
[1−2]樹脂(B)
また、本発明の感放射線性組成物は、樹脂を更に含有していてもよい。
上記樹脂(以下、「樹脂(B)」ともいう。)は、酸解離性基を有する繰り返し単位を含むアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性のものであり、酸の作用によりアルカリ易溶性となる樹脂である。ここで、本明細書において「アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性」とは、樹脂(B)を含有する感放射線性組成物から形成されたレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、上記レジスト被膜の代わりに樹脂(B)のみを用いた膜厚100nmの被膜を現像した場合に、上記レジスト被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
【0090】
本発明の感放射線性組成物がこのような樹脂(B)を含有している場合、リソグラフィープロセスにおいて、電子線又は極紫外線に有効に感応し、微細パターンを高精度に、かつ、安定して形成することができる化学増幅型ポジ型レジスト被膜を成膜可能であり好ましい。
【0091】
樹脂(B)に含まれる酸解離性基を有する繰り返し単位は、酸の作用によって酸解離性基が解離するものである。この繰り返し単位は、上述の作用を有するものである限り特に限定されないが、下記一般式(p−1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(p−1)」という。)、及び、下記一般式(p−2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(p−2)」という。)のうちの少なくとも一方であることが好ましい。
このような酸解離性基を有する繰り返し単位として、繰り返し単位(p−1)及び(p−2)のうちの少なくとも一方を用いることによって、良好な感度が得られるという利点がある。
【0092】
【化29】
〔一般式(p−1)において、R21は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を示す。R22は、相互に独立に、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜22のアリール基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を示すか、或いは、いずれか2つのR22が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに2価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を形成し、残りの1つのR22が、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜22のアリール基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を示す。〕
【0093】
【化30】
〔一般式(p−2)において、R23は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を示す。R24は、相互に独立に、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を示すか、或いは、いずれか2つのR24が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに2価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を形成し、残りの1つのR24が、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を示す。〕
【0094】
上記一般式(p−1)のR22における炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0095】
一般式(p−1)のR22における炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタンや、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類等に由来する脂環族環からなる基等が挙げられる。
また、この脂環式炭化水素基から誘導される基としては、上述の1価の脂環式炭化水素基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基等が挙げられる。
【0096】
一般式(p−1)のR22における炭素数6〜22のアリール基としては、下記の(x−1)〜(x−3)等の構造に由来する基が挙げられる。尚、R22が下記の(x−2)に由来する基(即ち、ナフチル基)である場合、上記一般式(p−1)の[−O−C(R22]部位における炭素原子(酸素原子に結合している炭素原子)に結合する結合位置は、1位及び2位のいずれであってもよい。また、R22が下記の(x−3)に由来する基(即ち、アントリル基)である場合、上記一般式(p−1)の[−O−C(R22]部位における炭素原子に結合する結合位置は、1位、2位及び9位のいずれであってもよい。
また、このアリール基は置換されていてもよい。置換基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0097】
【化31】
【0098】
また、いずれか2つのR22が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子(酸素原子に結合している炭素原子)とともに形成する2価の脂環式炭化水素基としては、炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。具体的には、例えば、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタン、シクロペンタン又はシクロヘキサン等に由来する脂環族環からなる基等が挙げられる。
更に、R22が相互に結合して形成された2価の脂環式炭化水素基から誘導される基としては、上述の2価の脂環式炭化水素基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基等が挙げられる。
【0099】
繰り返し単位(p−1)のなかでも、下記一般式(p−1−1)〜(p−1−7)で表される繰り返し単位が好ましく、下記一般式(p−1−2)、(p−1−3)又は(p−1−4)で表される繰り返し単位が更に好ましい。樹脂(B)がこれらの繰り返し単位を含む場合、ナノエッジラフネスにより優れたレジストパターンを形成することができる。
【0100】
【化32】
〔一般式(p−1−1)〜(p−1−7)において、R21は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を示す。R25は、相互に独立に、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数6〜22のアリール基を示す。〕
【0101】
一般式(p−1−1)〜(p−1−7)のR25における「炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基」及び「炭素数6〜22のアリール基」については、それぞれ、上記一般式(p−1)のR22における「炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基」及び「炭素数6〜22のアリール基」の説明をそのまま適用することができる。
【0102】
尚、樹脂(B)は、繰り返し単位(p−1)を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
【0103】
また、上記一般式(p−2)のR24における「炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」、「炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基」及び「いずれか2つのR24が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに2価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基」については、それぞれ、上記一般式(p−1)のR22における「炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基」、「炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基」及び「いずれか2つのR22が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに2価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基」の説明をそのまま適用することができる。
【0104】
繰り返し単位(p−2)のなかでも、下記一般式(p−2−1)で表される繰り返し単位が好ましい。樹脂(B)がこれらの繰り返し単位を含む場合、ナノエッジラフネスにより優れたレジストパターンを形成することができる。
【0105】
【化33】
〔一般式(p−2−1)において、R23は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を示す。R26は、相互に独立に、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。〕
【0106】
一般式(p−2−1)のR26における「炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基」については、上記一般式(p−1)のR22における「炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基」の説明をそのまま適用することができる。
【0107】
尚、樹脂(B)は、繰り返し単位(p−2)を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
【0108】
また、本発明における樹脂(B)は、上述の繰り返し単位(p−1)及び(p−2)以外に、下記一般式(b−1)〜(b−5)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0109】
【化34】
〔一般式(b−1)において、R11は、水素原子又はメチル基を示す。R12は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を示す。kは0〜3の整数を示し、lは0〜3の整数を示し、且つk+l≦5を満たす。〕
【0110】
【化35】
〔一般式(b−2)において、R13は、水素原子又はメチル基を示す。R14は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を示す。mは0〜3の整数を示し、nは0〜3の整数を示し、且つm+n≦5を満たす。〕
【0111】
【化36】
〔一般式(b−3)において、R15は、水素原子又はメチル基を示す。R16は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を示す。pは0〜3の整数を示し、qは0〜3の整数を示し、且つp+q≦5を満たす。〕
【0112】
【化37】
〔一般式(b−4)において、R17は、水素原子又はメチル基を示す。R18は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を示す。rは0〜3の整数を示し、sは0〜3の整数を示す。〕
【0113】
【化38】
〔一般式(b−5)において、R19は、水素原子又はメチル基を示す。〕
【0114】
本発明における樹脂(B)が、一般式(b−1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(b−1)」という。)を含有する場合、ナノエッジラフネスにより優れたレジストパターンを形成することができる。
【0115】
一般式(b−1)のR12における炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。これらのなかでも、ナノエッジラフネスに優れるため、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基が好ましい。
【0116】
一般式(b−1)のR12における炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。これらのなかでも、ナノエッジラフネスに優れるため、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0117】
一般式(b−1)におけるkは、0〜3の整数であり、1又は2であることが好ましい。また、lは、0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましい。
【0118】
繰り返し単位(b−1)としては、具体的には、下記式(b−1−1)〜(b−1−4)で表される繰り返し単位等が挙げられる。
尚、繰り返し単位(b−1)は、樹脂(B)に1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0119】
【化39】
【0120】
繰り返し単位(b−1)は、対応するヒドロキシスチレン誘導体を単量体として用いることにより得ることができる。また、加水分解することにより、ヒドロキシスチレン誘導体が得られる化合物を単量体として用いることにより得ることもできる。
【0121】
繰り返し単位(b−1)を生成するために用いられる単量体としては、例えば、p−アセトキシスチレン、p−(1−エトキシ)スチレン、p−イソプロペニルフェノール等が挙げられる。尚、p−アセトキシスチレンを用いた場合には、重合反応後、側鎖の加水分解反応を行うことにより、繰り返し単位(b−1)を生成する。
【0122】
本発明における樹脂(B)が、一般式(b−2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(b−2)」という。)を含有する場合、ナノエッジラフネスにより優れたレジストパターンを形成することができる。
【0123】
一般式(b−2)のR14における炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及び炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基としては、それぞれ、上述した一般式(b−1)のR12における炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及び炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基と同様のものを例示することができる。
【0124】
一般式(b−2)におけるmは、0〜3の整数であり、0又は1であることが好ましい。また、nは、0〜3の整数であり、1又は2であることが好ましい。
【0125】
繰り返し単位(b−2)としては、具体的には、下記式(b−2−1)や(b−2−2)で表される繰り返し単位等が挙げられる。
尚、繰り返し単位(b−2)は、樹脂(B)に1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0126】
【化40】
【0127】
繰り返し単位(b−2)は、対応する単量体を用いることにより得ることができる。
この繰り返し単位(b−2)を生成するために用いられる単量体としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルアクリレート、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート等が挙げられる。
【0128】
本発明における樹脂(B)が、一般式(b−3)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(b−3)」という。)を含有する場合、ナノエッジラフネスにより優れたレジストパターンを形成することができる。
【0129】
一般式(b−3)のR16における炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及び炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基としては、それぞれ、上述した一般式(b−1)のR12における炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及び炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基と同様のものを例示することができる。
【0130】
一般式(b−3)におけるpは、0〜3の整数であり、1又は2であることが好ましい。また、qは、0〜3の整数であり、0又は1であることが好ましい。
【0131】
繰り返し単位(b−3)としては、具体的には、下記式(b−3−1)や(b−3−2)で表される繰り返し単位等が挙げられる。
尚、繰り返し単位(b−3)は、樹脂(B)に1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0132】
【化41】
【0133】
繰り返し単位(b−3)は、対応する単量体を用いることにより得ることができる。
この繰り返し単位(b−3)を生成するために用いられる単量体としては、例えば、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等が挙げられる。
【0134】
本発明における樹脂(B)が、一般式(b−4)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(b−4)」という。)を含有する場合、ナノエッジラフネスにより優れたレジストパターンを形成することができる。
【0135】
一般式(b−4)のR18における炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及び炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基としては、それぞれ、上述した一般式(b−1)のR12における炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及び炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基と同様のものを例示することができる。
【0136】
一般式(b−4)におけるrは、0〜3の整数であり、1又は2であることが好ましい。また、sは、0〜3の整数であり、0又は1であることが好ましい。
【0137】
繰り返し単位(b−4)としては、具体的には、下記式(b−4−1)や(b−4−2)で表される繰り返し単位等が挙げられる。
尚、繰り返し単位(b−4)は、樹脂(B)に1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0138】
【化42】
【0139】
繰り返し単位(b−4)は、対応する単量体を用いることにより得ることができる。
この繰り返し単位(b−4)を生成するために用いられる単量体としては、例えば、5−ヒドロキシナフタレン−1−イルメタクリレート、5−ヒドロキシナフタレン−1−イルアクリレート等が挙げられる。
【0140】
本発明における樹脂(B)が、一般式(b−5)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(b−5)」という。)を含有する場合、ナノエッジラフネスにより優れたレジストパターンを形成することができる。
【0141】
繰り返し単位(b−5)としては、具体的には、下記式(b−5−1)や(b−5−2)で表される繰り返し単位等が挙げられる。
尚、繰り返し単位(b−5)は、樹脂(B)に1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0142】
【化43】
【0143】
繰り返し単位(b−5)は、対応する単量体を用いることにより得ることができる。
この繰り返し単位(b−5)を生成するために用いられる単量体としては、例えば、下記一般式(M−5−1)や下記一般式(M−5−2)で表される化合物等が挙げられる。
【0144】
【化44】
【0145】
尚、樹脂(B)は、上述した繰り返し単位(p−1)、(p−2)、及び繰り返し単位(b−1)〜(b−5)以外に、非酸解離性化合物[酸の作用によって解離する基(酸解離性基)を含有しない化合物]に由来する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(b−6)」という。)を更に含有していてもよい。
本発明における樹脂(B)が、繰り返し単位(b−6)を含有する場合、ナノエッジラフネスにより優れたレジストパターンを形成することができる。
【0146】
繰り返し単位(b−6)を生成するための非酸解離性化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、イソボロニルアクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデセニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのなかでも、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、トリシクロデカニルアクリレートが好ましい。
尚、繰り返し単位(b−6)は、樹脂(B)に1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0147】
樹脂(B)における酸解離性基を有する繰り返し単位の含有割合[特に、繰り返し単位(p−1)及び(p−2)の合計の含有割合]は、樹脂(B)に含まれる全ての繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、1モル%以上であることが好ましく、より好ましくは10〜70モル%、更に好ましくは20〜60モル%である。この含有割合が1モル%未満である場合、ナノエッジラフネスが悪化するおそれがある。尚、この含有割合が1モル%以上(特に10〜70モル%)である場合、優れたナノエッジラフネスを発揮するレジスト被膜を形成することができる。
【0148】
樹脂(B)における繰り返し単位(b−1)〜(b−5)の合計の含有割合は、樹脂(B)に含まれる全ての繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、95モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜95モル%、更に好ましくは10〜95モル%、特に好ましくは40〜80モル%である。この含有割合が、95モル%を超える場合、ナノエッジラフネスが悪化するおそれがある。尚、この含有割合が1モル%以上である場合、ナノエッジラフネスにより優れたレジスト被膜を形成することができる。
【0149】
樹脂(B)における繰り返し単位(p−1)、(p−2)、及び(b−1)〜(b−5)の合計の含有割合は、樹脂(B)に含まれる全ての繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、10モル%以上であることが好ましく、より好ましくは40〜100モル%、更に好ましくは50〜100モル%である。この含有割合が10モル%未満である場合、ナノエッジラフネスが悪化するおそれがある。尚、この含有割合が10モル%以上である場合、優れたナノエッジラフネスを発揮するレジスト被膜を形成することができる。
【0150】
樹脂(B)における繰り返し単位(b−6)の含有割合は、樹脂(B)に含まれる全ての繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、60モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0〜50モル%である。この含有割合が60モル%を超える場合、ナノエッジラフネスが悪化するおそれがある。また、60モル%以下である場合、解像性能とナノエッジラフネスとの性能のバランスに優れたレジスト被膜を形成することができる。
【0151】
上記樹脂(B)の合成方法は特に限定されないが、例えば、公知のラジカル重合又はアニオン重合により得ることができる。また、上述の繰り返し単位(b−1)〜(b−4)における側鎖のフェノール部位又はナフトール部位は、得られた樹脂(B)を有機溶媒中で塩基又は酸の存在下でアセトキシ基等の加水分解を行なうことにより得ることができる。
【0152】
樹脂(B)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)は、3000〜100000であることが好ましく、より好ましくは3000〜40000、更に好ましくは3000〜25000である。
また、樹脂(B)のMwと、GPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」ともいう。)との比(Mw/Mn)は、1〜5であることが好ましく、より好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2.5である。
【0153】
尚、本発明の感放射線性組成物は、上述の樹脂(B)を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
【0154】
[1−3]酸分解性溶解阻止化合物
また、本発明の感放射線性組成物は、酸分解性溶解阻止化合物を更に含有していてもよい。
上記酸分解性溶解阻止化合物とは、その構造中に酸で分解し得る基(酸分解性基)を少なくとも2個有する化合物である。
酸分解性溶解阻止化合物としては、好ましくは、特開平1−289946号、特開平1−289947号、特開平2−2560号、特開平3−128959号、特開平3−158855号、特開平3−179353号、特開平3−191351号、特開平3−200251号、特開平3−200252号、特開平3−200253号、特開平3−200254号、特開平3−200255号、特開平3−259149号、特開平3−279958号、特開平3−279959号、特開平4−1650号、特開平4−1651号、特開平4−11260号、特開平4−12356号、特開平4−12357号、特開平4−271349号、特開平5−045869号、特開平5−158233号、特開平5−224409号、特開平5−257275号、特開平5−297581号、特開平5−297583号、特開平5−303197号、特開平05−303200号、特開平5−341510号等の明細書に記載されたポリヒドロキシ化合物のフェノール性OH基の一部若しくは全部を酸で分解し得る基(酸分解性基)で保護した化合物が挙げられる。
【0155】
更に、酸分解性溶解阻止化合物としては、特開2009−222920等の明細書に記載された化合物等が挙げられる。
【0156】
[1−4]酸拡散制御剤
本発明の感放射線性組成物は、上記酸発生剤(A)、樹脂(B)及び酸分解性溶解阻止化合物以外では、酸拡散制御剤(以下、「酸拡散制御剤(C)」ともいう)を更に含有していることが好ましい。
この酸拡散制御剤(C)は、露光により酸発生剤(A)から生じる酸の、レジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有するものである。
【0157】
このような酸拡散制御剤(C)を含有させることにより、得られる感放射線性組成物の貯蔵安定性が向上する。また、形成したレジスト被膜の解像度が更に向上するとともに、露光後から露光後の加熱処理までの引き置き時間(PED)の変動に起因するレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れる感放射線性組成物が得られる。
【0158】
酸拡散制御剤(C)としては、例えば、含窒素有機化合物や、感光性塩基性化合物を挙げることができる。
上記含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(4)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(i)」という)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(ii)」という)、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体(以下、これらをまとめて「含窒素化合物(iii)」という)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0159】
【化45】
【0160】
一般式(4)において、各R41は、相互に独立に、水素原子、置換されていてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいアラルキル基である。
【0161】
含窒素化合物(i)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類の他、芳香族アミン類が挙げられる。
【0162】
含窒素化合物(ii)としては、例えば、ジアミン類、イミダゾリジノン類等の同一分子内に窒素原子を2個有する化合物等が挙げられる。
【0163】
含窒素化合物(iii)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等が挙げられる。
【0164】
アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物の他、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
【0165】
ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
【0166】
含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール類、ピリジン類、ピペラジン類の他、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0167】
上記感光性塩基性化合物としては、上述の性質を有する限り特に限定されないが、例えば、下記一般式(5−1)や(5−2)で表される化合物等が挙げられる。
【0168】
【化46】
【0169】
一般式(5−1)において、R51〜R53は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換若しくは非置換の脂環式炭化水素基、−OSO−R56基、又は−SO−R57基を示す(但し、R56及びR57は、相互に独立に、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換若しくは非置換の脂環式炭化水素基、又は、置換若しくは非置換のアリール基である。)。また、R51〜R53のうちの2個以上が相互に結合して環状構造を形成していてもよい。Aは、OH、R58、又はR58COOを示す(但し、R58は1価の有機基を示す)。
また、一般式(5−2)において、R54及びR55は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、又は、置換若しくは非置換の脂環式炭化水素基を示す。Aは、OH、R59、又はR59COOを示す(但し、R59は1価の有機基を示す。)。
【0170】
一般式(5−1)のR51〜R53におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、臭素原子等が挙げられる。
一般式(5−1)及び(5−2)のR51〜R57における非置換の炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、このアルキル基は、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ基等)等の置換基により置換されていてもよい。
【0171】
51〜R57における非置換の脂環式炭化水素基としては、炭素数5〜25の脂環式炭化水素基等が挙げられる。具体的には、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、この脂環式炭化水素基は、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ基等)等の置換基により置換されていてもよい。
【0172】
56及びR57における非置換のアリール基としては、炭素数6〜12のアリール基等が挙げられる。具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
また、このアリール基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、アルキル基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等の置換基により置換されていてもよい。
【0173】
また、一般式(5−1)及び(5−2)のR51〜R55は、それぞれ、水素原子、メチル基、又はt−ブチル基であることが好ましい。
【0174】
一般式(5−1)及び(5−2)のAにおけるR58及びR59の1価の有機基としては、例えば、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基等が挙げられる。
具体的なAとしては、OH、CHCOO、下記式(6−1)〜(6−5)で表される化合物が好ましい。
【0175】
【化47】
【0176】
上述の感光性塩基性化合物としては、具体的には、トリフェニルスルホニウム化合物(上記一般式(5−1)で表される化合物)であって、そのアニオン部(A)がOH、CHCOO、上記式(6−2)、(6−3)又は(6−4)で表される化合物が好ましい。
【0177】
尚、これらの酸拡散制御剤(C)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0178】
酸拡散制御剤(C)の含有量は、樹脂(B)及び酸分解性溶解阻止化合物の合計100質量部に対して、15質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.001〜10質量部、更に好ましくは0.005〜5質量部である。酸拡散制御剤(C)の含有量が15質量部を超える場合、形成したレジスト被膜の感度や露光部の現像性が低下するおそれがある。尚、0.001質量部未満である場合、プロセス条件によっては、形成したレジスト被膜のパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0179】
[1−5]その他の感放射線性酸発生剤
本発明の感放射線性組成物には、上述した酸発生剤(A)以外にも、その他の感放射線性酸発生剤(以下、「他の酸発生剤」ともいう。)を更に配合することができる。
この他の酸発生剤としては、例えば、上記酸発生剤(A)を除く、オニウム塩化合物、スルホン酸化合物等が挙げられる。
【0180】
オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、及びピリジニウム塩等が挙げられる。
具体的には、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパフルオロ−n−オクタンスルホネート、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0181】
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロオクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホネート、ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウムノナフルオロメタンスルホネート、ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、(p−フルオロフェニル)(フェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0182】
トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロベンゼンスルホネート、4−ヒドロキシフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムベンゼンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート、トリス(p−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−フルオロフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、(p−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ブトキシ−1―ナフチルテトラヒドロチオフェニウムノナフルオロブタンスルホネート、及び4−ブトキシ−1―ナフチルテトラヒドロチオフェニウム−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0183】
スルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、アルキルスルホン酸イミド、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、及びイミノスルホネート等が挙げられる。
具体的には、ベンゾイントシレート、ピロガロールのトリス(トリフルオロメタンスルホネート)、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、パーフルオロ−n−オクタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシイミドトリフルオロメタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、及び1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドパーフルオロ−n−オクタンスルホネート等が挙げられる。
【0184】
これらの他の酸発生剤のなかでも、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0185】
トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、パーフルオロ−n−オクタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシイミドトリフルオロメタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムノナフルオロブタンスルホネート、及び4−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウム−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネートが好ましい。
尚、これらの他の酸発生剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0186】
他の酸発生剤の配合量は、感放射線性組成物により形成されるレジスト被膜の感度及び現像性を確保する観点から、酸発生剤(A)100質量部に対して、0〜80質量部であることが好ましく、より好ましくは0〜50質量部である。他の酸発生剤の配合量が80質量部を超える場合、解像性能が低下するおそれがある。
【0187】
[1−6]その他の成分
本発明の感放射線性組成物には、上述した酸発生剤(A)、樹脂(B)、酸拡散制御剤(C)、他の酸発生剤以外にも、その他の成分として、溶剤や、界面活性剤、増感剤、脂肪族添加剤等の各種の添加剤を更に配合することができる。
【0188】
上記溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート及びエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル及びプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレグリコールジ−n−プロピルエーテル及びプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
【0189】
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル及び乳酸i−プロピル等の乳酸エステル類;ぎ酸n−アミル及びぎ酸i−アミル等のぎ酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸i−アミル、3−メトキシブチルアセテート及び3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類;プロピオン酸i−プロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−ブチル及び3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のプロピオン酸エステル類;ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル及びピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン及びシクロヘキサノン等のケトン類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクン等のラクトン類等が挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0190】
本発明においては、特に、塗布性の観点から、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、及びプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類から選ばれる少なくとも1種を溶剤として含んでいることが好ましい。
エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、及びプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類の含有量の合計は、溶剤全体を100質量部とした場合に、70〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは70〜80質量部である。
【0191】
溶剤の配合量は、感放射線性組成物の全固形分濃度が、1〜70質量%となる量であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%となる量、更に好ましくは1〜10質量%となる量である。この配合量が上述の範囲となる量である場合、組成物の粘度が高くなり過ぎて塗工が困難になることがなく、十分な厚さのレジスト被膜を形成することができる。
【0192】
また、本発明の感放射線性組成物は、上述の酸発生剤(A)、樹脂(B)、及び、必要により、酸拡散制御剤(C)、他の酸発生剤、界面活性剤、増感剤等の添加剤を、全固形分濃度が上述の範囲となるように、溶剤に均一に溶解して調製することができる。尚、このように調製した後、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することが好ましい。
【0193】
上記界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。
界面活性剤の配合量は、樹脂(B)及び酸分解性溶解阻止化合物の合計100質量部に対して、2質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.001〜2質量部である。
【0194】
上記増感剤は、放射線のエネルギーを吸収し、吸収したエネルギーを酸発生剤(A)に伝達して酸の生成量を増加させる作用を有するものであり、感放射線性組成物のみかけの感度を向上させる効果を有するものである。
【0195】
増感剤の配合量は、樹脂(B)及び酸分解性溶解阻止化合物の合計100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量部である。
【0196】
また、染料又は顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和することができる。また、接着助剤を含有させることにより、レジスト被膜と基板との接着性を改善することができる。
【0197】
上記脂環族添加剤は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を更に改善する作用を有する成分である。
このような脂環族添加剤としては、例えば、アダマンタン誘導体類、デオキシコール酸エステル類、リトコール酸エステル類、3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン等を挙げることができる。尚、これらの脂環族添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0198】
更に、これらの添加剤以外にも、アルカリ可溶性重合体、酸解離性の保護基を有する低分子のアルカリ溶解性制御剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等を配合することもできる。
【0199】
[2]レジストパターンの形成方法
本発明の感放射線性組成物は、化学増幅型ポジ型レジスト膜を成膜可能な材料として有用である。具体的には、例えば、上記樹脂(B)を含有する感放射線性組成物からなる化学増幅型ポジ型レジスト膜においては、露光により酸発生剤(A)から発生した酸の作用によって、樹脂(B)中の酸解離性基が脱離し、樹脂(B)がアルカリ可溶性となる。即ち、レジスト被膜に、アルカリ可溶性部位が生じる。このアルカリ可溶性部位は、レジストの露光部であり、この露光部はアルカリ現像液によって溶解、除去することができる。このようにして所望の形状のポジ型のレジストパターンを形成することができる。以下、具体的に説明する。
【0200】
本発明の感放射線性組成物を用いてレジストパターンを形成するには、先ず、本発明の感放射線性組成物によってレジスト被膜を形成する。
感放射線性組成物としては、例えば、上述したように、全固形分濃度を調整した後、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過したものを用いることができる。この感放射線性組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウェハー等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成する。その後、場合により、予め70〜160℃程度の温度で加熱処理(以下、「PB」という)を行ってもよい。
【0201】
次いで、所定のレジストパターンが形成されるように、このレジスト被膜を露光する。この露光に使用することができる放射線としては、例えば、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、EUV(極紫外線、波長13.5nm等)等の(極)遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線等が挙げられる。また、露光量等の露光条件は、感放射線性組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定することができる。尚、この露光においては、液浸露光とすることもできる。
【0202】
露光後には、加熱処理(以下、「PEB」という)を行うことが好ましい。このPEBにより、樹脂(B)の酸解離性基の脱離を円滑に進行させることが可能となる。PEBの加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成によって適宜選定することができるが、30〜200℃であることが好ましく、より好ましくは50〜170℃である。
【0203】
本発明においては、感放射線性組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば、特公平6−12452号公報(特開昭59−93448号公報)等に開示されているように、使用される基板上に有機系又は無機系の反射防止膜を形成することもできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に保護膜を設けることもできる。尚、これらの技術は併用することができる。
【0204】
次いで、露光したレジスト被膜を現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも一種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
【0205】
アルカリ性水溶液の濃度は、10質量%以下であることが好ましい。アルカリ性水溶液の濃度が10質量%を超えると、非露光部も現像液に溶解するおそれがある。また、現像液は、pH8〜14であることが好ましく、より好ましくはpH9〜14である。
【0206】
また、アルカリ性水溶液からなる現像液には、例えば、有機溶媒を添加することもできる。有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0207】
有機溶媒の配合量は、アルカリ性水溶液100体積部に対して、100体積部以下であることが好ましい。有機溶媒の配合量が100体積部を超えると、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがある。また、アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。尚、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像した後は、水で洗浄して乾燥することもできる。
【0208】
[3]新規化合物
本発明の新規化合物は、記一般式(1)で示されることを特徴とする。
【化54】

〔一般式(1)において、Rは相互に独立に、水素原子、フッ素原子、フルオロアルキルを示し、且つRのうち少なくとも1つは、フッ素原子、又はフルオロアルキルを示す。Rは相互に独立に、アルコキシカルボニル(アルコキシ基は、フッ素原子で置換されていてもよい)、シクロアルコキシカルボニル(シクロアルキル基は、縮合多環式ラクトンを包含する)を示す。nは1を示す。Mは1価の有機スルホニウムカチオンを示す。〕
尚、この「新規化合物」については、上述の感放射線性組成物の酸発生剤(A)における説明をそのまま適用することができる。
本発明の新規化合物は、溶剤への溶解性が高く、上述の感放射線性組成物における酸発生剤(A)として好適に用いることができる。
【実施例】
【0209】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準である。また、本実施例においては、レジスト被膜の露光にEB(電子線)を使用しているが、EUV等の短波長放射線を使用した場合でも、基本的なレジスト特性は類似しており、それらの間に相関性があることも知られている。
【0210】
[1]樹脂の合成
(合成例1)樹脂(B−1)の合成
p−アセトキシスチレン55g、下記式(M−1)で表される化合物(以下、「化合物(M−1)」ともいう)45g、アゾビスイソブチロニトリル4g、及びt−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル100gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を1000gのn−ヘキサン中に滴下して、共重合体を凝固精製した。次いで、この共重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、更に、メタノール150g、トリエチルアミン34g、及び水6gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた共重合体をアセトン150gに溶解した後、2000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた共重合体は、Mwが10000、Mw/Mnが2.1であり、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンに由来する繰り返し単位及び化合物(M−1)に由来する繰り返し単位の含有比(モル比)が65:35の共重合体であった。以下、この共重合体を、樹脂(B−1)とする。
【0211】
【化48】
【0212】
(合成例2)樹脂(B−2)の合成
p−アセトキシスチレン53g、下記式(M−2)で表される化合物(以下、「化合物(M−2)」ともいう)47g、アゾビスイソブチロニトリル4g、及びt−ドデシルメルカプタン0.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル200gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、6時間重合させた。重合後、反応溶液を2000gのn−ヘキサン中に滴下して、共重合体を凝固精製した。次いで、この共重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、更に、メタノール150g、トリエチルアミン37g、及び水7gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた共重合体をアセトン150gに溶解した後、2000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた共重合体は、Mwが13000、Mw/Mnが2.4であり、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンに由来する繰り返し単位及び化合物(M−2)に由来する繰り返し単位の含有比(モル比)が50:50の共重合体であった。以下、この共重合体を、樹脂(B−2)とする。
【0213】
【化49】
【0214】
(合成例3)樹脂(B−3)の合成
下記式(M−3)で表される化合物(以下、「化合物(M−3)」ともいう)55g、下記式(M−4)で表される化合物(以下、「化合物(M−4)」ともいう)45g、及びアゾビスイソブチロニトリル3gを、メチルエチルケトン300gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を78℃に保持して、6時間重合させた。重合後、反応溶液を2000gのメタノール中に滴下して、共重合体を凝固精製した。次いで、この共重合体を300gのメタノールで2回洗浄し、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた共重合体は、Mwが7000、Mw/Mnが2.1であり、13C−NMR分析の結果、化合物(M−3)に由来する繰り返し単位及び化合物(M−4)に由来する繰り返し単位の含有比(モル比)が47:53の共重合体であった。以下、この共重合体を、樹脂(B−3)とする。
【0215】
【化50】
【0216】
尚、本実施例における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、東ソー社製GPCカラム(G2000HXL2本、G3000HXL1本、G4000HXL1本)を用い、流量:1.0ミリリットル/分、溶出溶剤:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。更に、分散度Mw/Mnは測定結果より算出した。
また、13C−NMR分析は、日本電子社製の型式「JNM−EX270」を用いて測定した。
【0217】
[2]感放射線性組成物の調製
(実施例1)
表1に示すように、合成例1で調製した樹脂(B−1)100部、酸発生剤(A−1)20部、酸拡散制御剤(C−1)2部、溶剤(D−1)1400部、及び溶剤(D−2)3300部を混合し、得られた混合液を孔径200nmのメンブランフィルターでろ過することにより、組成物溶液(実施例1の感放射線性組成物)を調製した。
【0218】
(実施例2〜9及び比較例1)
表1に示す仕込み量にて、樹脂(B)、酸発生剤(A)、酸拡散制御剤(C)、溶剤(D)を混合し、得られた混合液を孔径200nmのメンブランフィルターでろ過することにより、実施例2〜9及び比較例1の各組成物溶液(感放射線性組成物)を調製した。
【0219】
【表1】
【0220】
尚、表1における酸発生剤(A)、樹脂(B)、酸拡散制御剤(C)及び溶剤(D)の詳細を以下に示す。
【0221】
<酸発生剤(A)>
(A−1)〜(A−7):以下に示す式(A−1)〜(A−7)で表わさせる化合物
【化51】
【0222】
【化52】
【0223】
<樹脂(B)>
(B−1):上記合成例1で得られた樹脂(B−1)
(B−2):上記合成例2で得られた樹脂(B−2)
(B−3):上記合成例3で得られた樹脂(B−3)
<酸拡散制御剤(C)>
(C−1):トリ−n−オクチルアミン
(C−2):下記式(C−2)で表される化合物
【0224】
【化53】
【0225】
<溶剤(D)>
(D−1):乳酸エチル
(D−2):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0226】
[3]感放射線性組成物の評価
東京エレクトロン社製の「クリーントラックACT−8」内で、シリコンウエハー上に組成物溶液(実施例1〜9及び比較例1の各感放射線性組成物)をスピンコートした後、表2に示す条件でPB(加熱処理)を行い、膜厚50nmのレジスト被膜を形成した。その後、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社製、型式「HL800D」、出力;50KeV、電流密度;5.0アンペア/cm)を用いてレジスト被膜に電子線を照射した。電子線の照射後、表2に示す条件でPEBを行った。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で1分間、パドル法により現像した後、純水で水洗し、乾燥して、レジストパターンを形成した。
このようにして形成されたレジストパターンについて各評価試験を行い、その評価結果を表2に示した。
【0227】
(1)感度(L/S)
線幅130nmのライン部と、隣り合うライン部によって形成される間隔が130nmのスペース部(即ち、溝)と、からなるパターン(いわゆる、ライン・アンド・スペースパターン(1L1S))を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量により感度(μC/cm)を評価した。
【0228】
(2)ナノエッジラフネス
設計線幅130nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)のラインパターンを、半導体用走査電子顕微鏡(高分解能FEB測長装置、商品名「S−9220」、日立製作所社製)にて観察した。観察された形状について、図1及び図2に示すように、シリコンウエハー1上に形成したレジスト被膜のライン部2の横側面2aに沿って生じた凹凸の最も著しい箇所における線幅と、設計線幅130nmとの差「ΔCD」を、CD−SEM(日立ハイテクノロジーズ社製、「S−9220」)にて測定することにより、ナノエッジラフネスを評価した。尚、図1及び図2で示す凹凸は、実際より誇張している。
【0229】
(3)解像度(L/S)
ライン・アンド・スペースパターン(1L1S)について、最適露光量により解像されるラインパターンの最小線幅(nm)を解像度とした。
【0230】
【表2】
【0231】
表2から明らかなように、酸発生剤(A−1)〜(A−3)及び(A−5)〜(A−7)のいずれかを含有する実施例1〜9の感放射線性組成物は、酸発生剤(A−1)〜(A−3)及び(A−5)〜(A−7)ではなく、酸発生剤(A−4)を含有する比較例1の感放射線性組成物に比べて、電子線又は極紫外線に有効に感応し、低ラフネスであると共に解像性にも優れており、微細パターンを高精度に且つ安定して形成することが可能な化学増幅型ポジ型レジスト膜を成膜することができた。
【産業上の利用可能性】
【0232】
本発明の感放射線性組成物は、レジストパターン形成時におけるライン・アンド・スペースパターンの解像度に優れるだけでなく、ナノエッジラフネスにも優れるので、EB、EUVやX線による微細パターン形成に有用である。従って、本発明の感放射線性組成物は、今後更に微細化が進行すると予想される半導体デバイス製造用の化学増幅型レジストを形成可能なものとして極めて有用である。
【符号の説明】
【0233】
1;基材、2;レジストパターン、2a;レジストパターンの横側面。
図1
図2