特許第5716878号(P5716878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5716878光学材料用組成物及びそれを用いた光学材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5716878
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】光学材料用組成物及びそれを用いた光学材料
(51)【国際特許分類】
   C08G 75/08 20060101AFI20150423BHJP
   C08G 59/66 20060101ALI20150423BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   C08G75/08
   C08G59/66
   G02B1/04
【請求項の数】3
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-557272(P2014-557272)
(86)(22)【出願日】2014年10月14日
(86)【国際出願番号】JP2014077303
【審査請求日】2014年11月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-214479(P2013-214479)
(32)【優先日】2013年10月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】下田 直嗣
(72)【発明者】
【氏名】堀田 明伸
(72)【発明者】
【氏名】嘉村 輝雄
(72)【発明者】
【氏名】輿石 英二
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−124363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 75/08
C08G 59/66
G02B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記i)からiii)のいずれかを満たすポリチオール化合物と、
i)アンモニウムカチオン濃度が0.1〜150μmol/kgである;
ii)チオシアン酸アニオン濃度が0.1〜300μmol/kgである;または
iii)アンモニウムカチオン濃度が0.1〜150μmol/kgであり、チオシアン酸アニオン濃度が0.1〜300μmol/kgであり、さらにアンモニウムカチオンとチオシアン酸アニオンのイオン濃度積が0.01〜15000(μmol/kg)である;
ポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物と、を含む光学材料用組成物であって、
前記ポリチオール化合物が、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2− ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、及び2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、前記光学材料用組成物
【請求項2】
下記i)からiii)のいずれかを満たすポリチオール化合物と、
i)アンモニウムカチオン濃度が0.1〜150μmol/kgである;
ii)チオシアン酸アニオン濃度が0.1〜300μmol/kgである;または
iii)アンモニウムカチオン濃度が0.1〜150μmol/kgであり、チオシアン酸アニオン濃度が0.1〜300μmol/kgであり、さらにアンモニウムカチオンとチオシアン酸アニオンのイオン濃度積が0.01〜15000(μmol/kg)である;
ポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物と、を混合することを特徴とする光学材料用組成物の製造方法であって、
前記ポリチオール化合物が、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2− ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、及び2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、前記光学材料用組成物の製造方法
【請求項3】
請求項に記載の光学材料用組成物を重合することにより得られる光学材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料用組成物等に関し、特に、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター、光学接着剤等の光学材料、中でもプラスチックレンズに好適である光学材料用組成物等に関する。さらに詳しくは、ポリチオール化合物とポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物を含む光学材料用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製の光学材料は、無機材料からなる光学材料に比べ軽量で割れ難く、染色が可能である。したがって、近年、例えば眼鏡レンズ、カメラレンズ等の用途に急速に普及してきている。
【0003】
光学材料用樹脂には、さらなる高性能化が要求されてきている。具体的には、高屈折率化、高アッベ数化、低比重化、高耐熱性化等が求められてきた。その様な要求に応じて、これまでに様々な光学材料用樹脂が開発され、使用されている。
【0004】
その中でも、ポリチオール化合物を含む光学材料用組成物を重合硬化させてなる樹脂に関する提案が盛んに行われてきている。例えば、特許文献1、2に示されるようなポリチオール化合物とポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物とを重合反応させて得られるポリスルフィド系樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、無色透明、高屈折率で、衝撃性、染色性、加工性等に優れている。中でも樹脂の透明性は、光学材料として必要不可欠な性質である。
【0005】
しかしながら、光学材料用樹脂を製造する際に、重合して得られた樹脂や光学材料中に白濁が生じることがある。光学材料用途では、硬化後に白濁が生じるとすべて不良となり膨大な損失が生じることになる。したがって、硬化前の段階において、硬化後の白濁の発生の有無を予測し、良否の判断を可能にする手法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−298287号公報
【特許文献2】国際公開第89−10575号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、重合硬化後の樹脂の白濁発生の有無を予測、判別し、良否の判断が可能なポリチオール化合物を含む光学材料用組成物等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、ポリチオール化合物におけるアンモニウムカチオン濃度、チオシアン酸アニオン濃度、更には、アンモニウムカチオンとチオシアン酸アニオンのイオン濃度積に着目し、これらの特定の数値範囲を満たすポリチオール化合物を含む光学材料用組成物により、上記本課題を解決しうることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
<1> 下記i)からiii)のいずれかを満たすポリチオール化合物と、
i)アンモニウムカチオン濃度が0.1〜150μmol/kgである;
ii)チオシアン酸アニオン濃度が0.1〜300μmol/kgである;または
iii)アンモニウムカチオン濃度が0.1〜150μmol/kgであり、チオシアン酸アニオン濃度が0.1〜300μmol/kgであり、さらにアンモニウムカチオンとチオシアン酸アニオンのイオン濃度積が0.01〜15000(μmol/kg)である;
ポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物と、を含む光学材料用組成物である。
<2> 前記ポリチオール化合物が、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2− ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、及び2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である上記<1>に記載の光学材料用組成物である。
<3> 下記i)からiii)のいずれかを満たすポリチオール化合物と、
i)アンモニウムカチオン濃度が0.1〜150μmol/kgである;
ii)チオシアン酸アニオン濃度が0.1〜300μmol/kgである;または
iii)アンモニウムカチオン濃度が0.1〜150μmol/kgであり、チオシアン酸アニオン濃度が0.1〜300μmol/kgであり、さらにアンモニウムカチオンとチオシアン酸アニオンのイオン濃度積が0.01〜15000(μmol/kg)である;
ポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物と、を混合することを特徴とする光学材料用組成物の製造方法である。
<4> 前記ポリチオール化合物が、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2− ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、及び2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である上記<3>に記載の光学材料用組成物の製造方法である。
<5> 上記<1>または<2>に記載の光学材料用組成物を重合することにより得られる光学材料である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、従来技術では困難であった、重合硬化前の段階における重合硬化後の白濁発生の有無の予測、良否の判断を可能にする、ポリチオール化合物を含む光学材料用組成物等を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に用いるポリチオール化合物は、特に制限されず、1分子中に2個以上のチオール基を有する化合物であれば良いが、有機ハロゲン化合物および/またはアルコール化合物とチオ尿素とを反応させてイソチウロニウム塩を経て、該イソチウロニウム塩を塩基条件下で加水分解して製造したポリチオール化合物が特に好ましく適用される。なお、チオシアン酸イオン及びアンモニウムイオンの少ないポリチオール化合物を得るには、例えば加水分解工程、洗浄工程、蒸留工程での条件の最適化などが挙げられる。より好ましい条件としては、加水分解工程の温度を80℃以上にすること、及び/又は、洗浄工程において6規定以上の強酸を用いて洗浄を行うこと、及び/又は、蒸留工程の後に洗浄工程を行うことが挙げられる。より好ましくは6規定以上の強酸を用いて洗浄を行うこと、及び/又は、蒸留工程の後に洗浄工程を行うことであり、特に好ましくは蒸留工程の後に洗浄工程を行うことが挙げられる。
【0012】
ポリチオール化合物の具体例としては、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1, 1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2 , 2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3− ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス( メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラキス(メルカプトメチル)メタン等の脂肪族ポリチオール化合物;
【0013】
1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン− 2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族ポリチオール化合物;
【0014】
1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、及びこれらの核アルキル化物等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール化合物;
【0015】
ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル) チオ]−3−メルカプトプロパン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11 − ウンデカンジチオール、テトラキス( メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、ビス(1,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール化合物、及びこれらのチオグリコール酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル;
【0016】
ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル) 等のその他のメルカプト基以外に硫黄原子とエステル結合を含有する脂肪族ポリチオール化合物;
【0017】
3,4−チオフェンジチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環化合物;
【0018】
2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、3,4−ジメルカプト−2−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン等のメルカプト基以外にヒドロキシ基を含有する化合物;
【0019】
1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアシクロヘキサン、1,1,5,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−3−チアペンタン、1,1,6,6−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−3,4−ジチアヘキサン、2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタンチオール、2−(4,5−ジメルカプト−2−チアペンチル)−1,3−ジチアシクロペンタン、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−ジチアシクロペンタン、2,5−ビス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアブチル)−1,4−ジチアン、2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−プロパンジチオール、3−メルカプトメチルチオ−1,7−ジメルカプト−2,6−ジチアヘプタン、3,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、3−メルカプトメチルチオ−1,6−ジメルカプト−2,5−ジチアヘキサン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン、1,1,9,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−5−(3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−1−チアプロピル)3,7−ジチアノナン、トリス(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)メタン、トリス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアブチル)メタン、テトラキス(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)メタン、テトラキス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアブチル)メタン、3,5,9,11−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,13−ジメルカプト−2,6,8,12−テトラチアトリデカン、3,5,9,11,15,17−ヘキサキス( メルカプトメチルチオ)−1,19−ジメルカプト−2,6,8,12,14,18−ヘキサチアノナデカン、9−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−3,5,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト− 2,6,8,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3,4,8,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,11−ジメルカプト−2,5,7,10−テトラチアウンデカン、3,4,8,9,13,14−ヘキサキス(メルカプトメチルチオ)−1,16−ジメルカプト−2,5,7,10,12,15−ヘキサチアヘキサデカン、8−{ビス(メルカプトメチルチオ)メチル}−3,4,12,13−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,15−ジメルカプト−2,5,7,9,11,14−ヘキサチアペンタデカン、4,6−ビス{3,5−ビス(メルカプトメチルチオ)−7−メルカプト−2,6−ジチアヘプチルチオ}−1,3−ジチアン、4−{3,5−ビス(メルカプトメチルチオ)−7−メルカプト−2,6−ジチアヘプチルチオ}−6−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチアン、1,1−ビス{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3,3 ビス( メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス{4−(6− メルカプトメチルチオ)−1,3 −ジチアニルチオ}−1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1−{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3−{2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル}−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、1−{ 4−(6− メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3−{ 2 −(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、1,5−ビス{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−2,4−ジチアペンタン、4,6−ビス[3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−5− メルカプト−2,4−ジチアペンチルチオ]−1,3−ジチアン、4,6−ビス{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−1,3−ジチアン、4−{4−(6− メルカプトメチルチオ) −1,3−ジチアニルチオ}−6−{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−1,3−ジチアン、3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,11−ジメルカプト−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、9−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−3,5,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,6,8,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,4,6,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3,7−ビス{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−1,9−ジメルカプト−2,4,6,8−テトラチアノナン、4−{3,4,8,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−11−メルカプト−2,5,7,10−テトラチアウンデシル}−5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラン、4,5−ビス{3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ}−1,3−ジチオラン、4−{3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ}−5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラン、4−{3−ビス(メルカプトメチルチオ)メチル−5,6−ビス( メルカプトメチルチオ)−8−メルカプト−2,4,7−トリチアオクチル}−5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラン、2−[ビス{3,4− ビス( メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ}メチル]−1,3−ジチエタン、2−{3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ}メルカプトメチルチオメチル−1,3−ジチエタン、2−{3,4,8,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−11− メルカプト−2,5,7,10− テトラチアウンデシルチオ}メルカプトメチルチオメチル−1,3−ジチエタン、2−{3−ビス(メルカプトメチルチオ)メチル−5,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−8−メルカプト−2,4,7−トリチアオクチル}メルカプトメチルチオメチル−1,3−ジチエタン、4,5−ビス[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−1,3−ジチオラン、4−[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−5−{1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−4−メルカプト−3−チアブチルチオ}−1,3−ジチオラン、2−[ビス{4−(5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラニル)チオ}]メチル−1,3−ジチエタン、4−{4−(5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラニル)チオ}−5−[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−1,3−ジチオラン、更にこれらのオリゴマー等のジチオアセタールもしくはジチオケタール骨格を有する化合物;
【0020】
トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン、1,1,5,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−2,4−ジチアペンタン、ビス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアブチル( メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアブチル)メタン、2,4,6−トリス(メルカプトメチルチオ)−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、2,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロパン、ビス(メルカプトメチル)メチルチオ−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、トリス((4−メルカプトメチル−2,5−ジチアシクロヘキシル−1−イル)メチルチオ)メタン、2,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、2−メルカプトエチルチオ−4−メルカプトメチル−1,3−ジチアシクロペンタン、2−(2,3−ジメルカプトプロピルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、4−メルカプトメチル−2−(2,3−ジメルカプトプロピルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、4−メルカプトメチル−2−(1,3−ジメルカプト−2−プロピルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、トリス(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−1−チアエチル)メタン、トリス(3,3− ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロピル)メタン、トリス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−3−チアブチル)メタン、2,4,6−トリス(3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロピル)−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、テトラキス(3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロピル) メタン等、さらにこれらのオリゴマー等のオルトトリチオ蟻酸エステル骨格を有する化合物;
【0021】
3,3'−ジ(メルカプトメチルチオ)−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン、2,2'−ジ(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、2,7−ジ(メルカプトメチル)−1,4,5,9−テトラチアスピロ[4.4]ノナン、3,9−ジメルカプト−1,5,7,11−テトラチアスピロ[5.5 ]ウンデカン、更にこれらのオリゴマー等のオルトテトラチオ炭酸エステル骨格を有する化合物等が挙げられる。
【0022】
ただし、ポリチオール化合物は、以上の各例示化合物に限定されるものではない。また以上の各例示化合物は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0023】
以上の例示化合物の中で好ましい化合物は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンである。
【0024】
本発明において、ポリチオール化合物に含まれるアンモニウムカチオン濃度は、ポリチオール化合物と純水とを充分に撹拌混合を行い、ポリチオール化合物に含まれるアンモニウムカチオンを水層に抽出した後、イオンクロマトグラフィーを用いて測定する。本発明ではアンモニウムカチオン濃度が0.1〜150μmol/kgであるポリチオール化合物を用いることが好ましい。より好ましくは、アンモニウムカチオン濃度が0.1〜100μmol/kgであり、さらに好ましくは、アンモニウムカチオン濃度が0.1〜50μmol/kgである。
アンモニウムカチオン濃度が150μmol/kgを超える場合、重合硬化後の光学材料は白濁して使用不可となる場合が多くなる。したがって、ポリチオール化合物に含まれるアンモニウムカチオン濃度を測定することで、重合硬化しなくとも得られる樹脂の白濁発生の多寡を予測、判別でき、該ポリチオール化合物の光学材料用樹脂組成物への使用可否の判断が可能となる。また、ポリチオール化合物に含まれるアンモニウムカチオン濃度の値は低ければ低いほど白濁の発生率も低くなるが、精製工程などにおける経済的なコストを考慮した場合、0.1μmol/kg以上であれば問題ない。
【0025】
本発明において、ポリチオール化合物に含まれるチオシアン酸アニオン濃度は、ポリチオール化合物と純水とを充分に撹拌混合を行い、ポリチオール化合物に含まれるチオシアン酸アニオンを水層に抽出した後、チオシアン酸アニオン濃度を鉄(III)イオンとの反応により生成する鉄(III)チオシアン酸錯体の呈色により測定する。本発明ではチオシアン酸アニオン濃度が0.1〜300μmol/kgであるポリチオール化合物を用いることが好ましい。より好ましくは、チオシアン酸アニオン濃度が0.1〜150μmol/kgであり、さらに好ましくは、チオシアン酸アニオン濃度が0.1〜100μmol/kgである。また、ポリチオール化合物に含まれるチオシアン酸アニオン濃度の値は低ければ低いほど白濁の発生率も低くなるが、精製工程などにおける経済的なコストを考慮した場合、0.1μmol/kg以上であれば問題ない。
チオシアン酸アニオン濃度が300μmol/kgを超える場合、重合硬化後の光学材料は白濁して使用不可となる場合が多くなる。したがって、ポリチオール化合物に含まれるチオシアン酸アニオン濃度を測定することで、重合硬化しなくとも得られる樹脂の白濁発生の多寡を予測、判別でき、該ポリチオール化合物の光学材料用樹脂組成物への使用可否の判断が可能となる。
【0026】
本発明において、ポリチオール化合物に含まれるアンモニウムカチオンとチオシアン酸アニオンのイオン濃度積は、前記の方法で測定したアンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積を算出する。イオン濃度積が0.01〜15000(μmol/kg)であるポリチオール化合物を用いることが好ましい。より好ましくは、イオン濃度積が0.01〜7500(μmol/kg)であり、さらに好ましくは、イオン濃度積が0.01〜5000(μmol/kg)であり、特に好ましくは、イオン濃度積が0.01〜2000(μmol/kg)である。
ポリチオール化合物に含まれるアンモニウムカチオンとチオシアン酸アニオンのイオン濃度積が15000(μmol/kg)を超える場合、重合硬化後の光学材料は白濁して使用不可となる場合が多くなる。したがって、ポリチオール化合物に含まれるアンモニウムカチオンとチオシアン酸アニオンのイオン濃度積を算出することで、重合硬化しなくとも得られる樹脂の白濁発生の多寡を予測、判別でき、該ポリチオール化合物の光学材料用樹脂組成物への使用可否の判断が可能となる。
【0027】
本発明において、ポリチオール化合物を含む光学材料用組成物は、ポリスルフィド系樹脂を得るポリチオール化合物とポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物とを含む重合性組成物である。本発明におけるポリチオール化合物の添加量に制限はないが、光学材料用組成物の合計を100質量部とした場合、好ましくは1〜50質量部使用するが、より好ましくは1〜40質量部使用し、さらに好ましくは1〜30質量部使用し、最も好ましくは1〜20質量部使用する。
【0028】
本発明において、ポリスルフィド系樹脂を得るポリチオール化合物とポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物とを含む重合性組成物に使用するポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物は、特に制限されず、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物、1分子中に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物、および1分子中に1個以上のエポキシ基と1個以上のエピスルフィド基を有する化合物であれば良い。
【0029】
1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビス(β−エポキシプロピル)スルフィド、ビス(β−エポキシプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エポキシプロピル)トリスルフィド、ビス(β−エポキシプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エポキシプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エポキシプロピルチオ)プロパン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2−(β−エポキシプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ブタン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−3−(βエポキシプロピルチオメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ペンタン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−4−(β−エポキシプロピルチオメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−5−(β−エポキシプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2−〔(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオ〕エタン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2−[〔2−(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオエチル〕チオ]エタン、テトラキス(β−エポキシプロピルチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エポキシプロピルチオメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2−(β−エポキシプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エポキシプロピルチオ)−4−(β−エポキシプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4−(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4,5ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−5−(β−エポキシプロピルチオメチル)−5−〔(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−5,6−ビス〔(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−〔(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エポキシプロピルチオ)4,7−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラ〔2−(β−エポキシプロピルチオ)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エポキシプロピルチオ)アセチルメチル〕プロパン、テトラ〔2−(β−エポキシプロピルチオメチル)アセチルメチル〕メタン、1、1,1−トリ〔2−(β−エポキシプロピルチオメチル)アセチルメチル〕プロパン、ビス(5,6−エポキシ−3−チアヘキシル)テルレド、2,3−ビス(6,7−エポキシ−1−テルラ−4−チアヘプチル)−1−(3,4−エポキシ−1−チアブチル)プロパン、1,1,3,3,−テトラキス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−2−テルラプロパン、ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−3,6,9−トリテレラウンデカン−1,11−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)、1,4−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−2,3−ビス(6,7−エポキシ−1−テルラ−4−チアヘプチル)ブタン、トリス(4,5−エポキシ2−チアペンチル)−3−テルラ−6−チアオクタン−1,8−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)、(1,3または1,4)−ビス(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン、(1,3または1,4)−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン、ビス〔4(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、 2,2−ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エポキシプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアンなどが挙げられる。
ただし、エポキシ化合物は、以上の各例示化合物に限定されるものではない。また、以上の各例示化合物は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
以上の例示化合物の中で好ましい化合物は、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビス(β−エポキシプロピル)スルフィド、ビス(β−エポキシプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エポキシプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エポキシプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピルチオ)プロパン、1,4−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ブタンなどのエポキシ基を分子内に2個有するエポキシ化合物である。中でも好ましい具体例は、ビス(β−エポキシプロピル)スルフィドおよび/またはビス(β−エポキシプロピル)ジスルフィドであり、最も好ましい具体例は、ビス(β−エポキシプロピル)スルフィドである。
【0031】
1分子中に2個以上のエピスルフィド基を有するポリエピスルフィド化合物の具体例としては、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)トリスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−3−(βエピチオプロピルチオメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオエチル〕チオ]エタン、テトラキス(β−エピチオプロピルチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)4,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラ〔2−(β−エピチオプロピルチオ)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エピチオプロピルチオ)アセチルメチル〕プロパン、テトラ〔2−(β−エピチオプロピルチオメチル)アセチルメチル〕メタン、1、1,1−トリ〔2−(β−エピチオプロピルチオメチル)アセチルメチル〕プロパン、ビス(5,6−エピチオ3−チアヘキシル)テルレド、2,3−ビス(6,7−エピチオ1−テルラ−4−チアヘプチル)−1−(3,4−エピチオ1−チアブチル)プロパン、1,1,3,3,−テトラキス(4,5−エピチオ2−チアペンチル)−2−テルラプロパン、ビス(4,5−エピチオ2−チアペンチル)−3,6,9−トリテレラウンデカン−1,11−ビス(3,4−エピチオ1−チアブチル)、1,4−ビス(3,4−エピチオ1−チアブチル)−2,3−ビス(6,7−エピチオ1−テルラ−4−チアヘプチル)ブタン、トリス(4,5−エピチオ2−チアペンチル)−3−テルラ−6−チアオクタン−1,8−ビス(3,4−エピチオ1−チアブチル)、(1,3または1,4)−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、(1,3または1,4)−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、ビス〔4(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、 2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアンなどが挙げられる。
ただし、エピスルフィド化合物は、以上の各例示化合物に限定されるものではない。また、以上の各例示化合物は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0032】
以上の例示化合物の中で好ましい化合物は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタンなどのエピスルフィド基を分子内に2個有するエピスルフィド化合物である。中でも好ましい具体例は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドおよび/またはビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドであり、最も好ましい具体例は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドである。
【0033】
1分子中に1個以上のエポキシ基と1個以上のエピスルフィド基を有する化合物の具体例としては、前記のポリエポキシ化合物のエポキシ基の一部をエピスルフィド基に置き換えた化合物が挙げられ、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いてもよいし、前記のポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物を混合して用いても良い。
【0034】
ポリチオール化合物と、ポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物との使用割合は、通常、SH基/(エポキシ基+エピスルフィド基)=0.01〜0.5、好ましくは0.02〜0.3、さらに好ましくは0.02〜0.2の範囲内である。SH基/(エポキシ基+エピスルフィド基)が0.01未満の場合、重合硬化により得られるポリスルフィド系樹脂の耐熱黄変性が大幅に低下する場合があり、SH基/(エポキシ基+エピスルフィド基)が0.5を超える場合、重合硬化により得られるポリスルフィド系樹脂の耐熱性が大幅に低下する場合がある。
【0035】
本発明の光学材料用組成物に、必要に応じて、触媒、内部離型剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤などの任意成分を加えて、得られる材料の実用性をより向上せしめることはもちろん可能である。
【0036】
本発明において、ポリスルフィド系樹脂を得るポリチオール化合物とポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物とを含む光学材料用組成物を重合硬化する触媒としては、公知のエピスルフィド開環重合触媒が用いられ、特に限定されるものではないが、アミン類、ホスフィン類、第4級アンモニウム塩類、第4級ホスホニウム塩類などを挙げることができる。重合触媒の添加量は、組成物の成分、混合比および重合硬化方法によって変化するため一概には決められないが、通常は光学材料用組成物全量に対して0.001質量%以上5質量%以下、好ましくは、0.002質量%以上4質量%以下、最も好ましくは、0.005質量%以上3質量%以下使用する。重合触媒の添加量が5質量%より多いと硬化物の屈折率、耐熱性が低下し、着色する場合がある。また、0.001質量%より少ないと十分に硬化せず耐熱性が不十分となる場合がある。
さらに、重合硬化する際に、ポットライフの延長や重合発熱の分散化などを目的として、必要に応じて重合調節剤を添加することができる。重合調節剤はケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンのハロゲン化物である。好ましくはケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンの塩化物であり、さらに好ましくはアルキル基を有するゲルマニウム、スズ、アンチモンの塩化物である。最も好ましいものの具体例は、ジブチルスズジクロライド、ブチルスズトリクロライド、ジオクチルスズジクロライド、オクチルスズトリクロライド、ジブチルジクロロゲルマニウム、ブチルトリクロロゲルマニウム、ジフェニルジクロロゲルマニウム、フェニルトリクロロゲルマニウム、トリフェニルアンチモンジクロライドである。これら重合調節剤は、単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。重合調節剤の添加量は、光学材料用組成物全量に対して、0.001〜5質量%であり、好ましくは0.002〜5質量%であり、より好ましくは0.005〜3質量%である。
【0037】
本発明の光学材料用組成物が重合後に型から剥がれにくい場合は、公知の外部および/または内部離型剤を使用または添加して、得られる硬化物の型からの離型性を向上せしめることも可能である。離型剤とは、フッ素系ノニオン界面活性剤、シリコン系ノニオン界面活性剤、燐酸エステル、酸性燐酸エステル、オキシアルキレン型酸性燐酸エステル、酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、オキシアルキレン型酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エステル、パラフィン、ワックス、高級脂肪族アミド、高級脂肪族アルコール、ポリシロキサン類、脂肪族アミンエチレンオキシド付加物などがあげられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。添加量は通常、光学材料用組成物全量に対して0.0001〜5質量%である。
【0038】
本発明の光学材料用組成物に添加する場合の紫外線吸収剤の好ましい例としては、ベンゾトリアゾール系化合物が挙げられる。中でも好ましい化合物の具体例は、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2Hベンゾトリアゾールがあげられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。添加量は通常、光学材料用組成物全量に対して0.01〜10質量%である。
【0039】
本発明の光学材料用組成物に添加する場合のブルーイング剤の好ましい例としてはアントラキノン系化合物があげられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。添加量は通常、光学材料用組成物全量に対して0.0001〜5質量%である。
【0040】
本発明における、ポリチオール化合物を含む光学材料用組成物を重合硬化してなるポリスルフィド系樹脂からなる光学材料は、通常、注型重合により製造される。具体的には、ポリチオール化合物と、ポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物とを混合する。この混合液(光学材料用組成物)を必要に応じて適当な方法で脱泡を行った後、光学材料用モールド型中に注入し、通常、低温から高温へ徐々に加熱し重合させる。その後、脱型することにより光学材料が得られる。
本発明では、光学材料用組成物に対し、光学材料用モールド型注入前にあらかじめ脱気処理を行うことが好ましい。脱気処理は、組成成分の一部もしくは全部と反応可能な化合物、重合触媒、及び添加剤の混合前、混合時あるいは混合後に、減圧下で行う。好ましくは、混合時あるいは混合後に、減圧下で行う。処理条件は、0.001〜50torrの減圧下、1分間〜24時間、0℃〜100℃で行う。減圧度は、好ましくは0.005〜25torrであり、より好ましくは0.01〜10torrであり、これらの範囲で減圧度を可変しても構わない。脱気時間は、好ましくは5分間〜18時間であり、より好ましくは10分間〜12時間である。脱気の際の温度は、好ましくは5℃〜80℃であり、より好ましくは10℃〜60℃であり、これらの範囲で温度を可変しても構わない。脱気処理の際に、撹拌、気体の吹き込み、超音波などによる振動などによって、樹脂用組成物の界面を更新することは、脱気効果を高める上で好ましい操作である。
さらには、これらの光学材料用組成物および/または混合前の各原料を0.05〜10μmの孔径を有するフィルターで不純物等を濾過し精製することは、本発明の光学材料の品質をさらに高める上からも好ましい。
上述の反応、処理がなされた光学材料用組成物は、ガラスや金属製の型に注入され、加熱や紫外線などの活性エネルギー線の照射によって重合硬化反応が進められた後、型から外される。このようにして、光学材料が製造される。光学材料用組成物は、好ましくは加熱によって重合硬化され、光学材料が製造される。この場合、硬化時間は0.1〜200時間、通常1〜100時間であり、硬化温度は−10〜160℃、通常0〜140℃である。重合は、所定の重合温度で所定時間のホールド、0.1℃〜100℃/時間の昇温、0.1℃〜100℃/時間の降温およびこれらの組み合わせで行うことができる。また、本発明の光学材料の製造方法において、重合終了後に、硬化物に対して50〜150℃の温度で10分〜5時間程度アニール処理を施すことは、光学材料の歪を除くために好ましい処理である。
【0041】
本発明の方法により製造されるポリスルフィド系樹脂は、透明性に極めて優れ白濁のない特徴を有し、さらには色相が良好である。したがって、この樹脂はレンズやプリズム等の光学材料の用途に適している。特に、眼鏡レンズ、カメラレンズ等のレンズの用途に非常に好適である。
【0042】
また、光学材料は、必要に応じ反射防止、高硬度付与、耐磨耗性向上、耐薬品性向上、防雲性付与、あるいはファッション性付与等の改良を目的として、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理、調光処理等の物理的、化学的処理を施す事ができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、評価は以下の方法で行った。
【0044】
<ポリチオール化合物に含まれるアンモニウムカチオン濃度>
ポリチオール化合物50gと純水50gとをガラス製バイアルに入れ密栓後、振とう器を用いて充分に撹拌混合を行った。その後、ポリチオール化合物層と水層が充分に分離するまで静置し、水層中のアンモニウムカチオン濃度をイオンクロマトグラフィーを用いて測定し、ポリチオール化合物1kgあたりに含まれるアンモニウムカチオンの物質量(mol)を算出し、アンモニウムカチオン濃度[NH]とした。
<ポリチオール化合物に含まれるチオシアン酸アニオン濃度>
ポリチオール化合物50gと純水50gとをガラス製バイアルに入れ密栓後、振とう器を用いて充分に撹拌混合を行った。その後、ポリチオール化合物層と水層が充分に分離するまで静置し、水層中のチオシアン酸アニオン濃度をMACHEREY−NAGEL社製の「ポータブル多項目水質計PF−12」およびMACHEREY−NAGEL社製の「チオシアン酸検査試薬NANOCOLOR Tube Test Thiocyanate50」を用いて測定し、ポリチオール化合物1kgあたりに含まれるチオシアン酸アニオンの物質量(mol)を算出し、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]とした。
<ポリチオール化合物に含まれるアンモニウムカチオンとチオシアン酸アニオンのイオン濃度積>
前記の方法で測定したアンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]を算出した。
<樹脂の透明性(白濁)>
光学材料用組成物の重合により製造した光学材料(光学レンズ)を暗室内で蛍光灯下、白濁の有無を観察した。また、光学レンズは100枚製造し、以下の5段階で評価した。評価A、B、Cが合格である。
A:100枚中、白濁の有る光学レンズがない。
B:100枚中、白濁の有る光学レンズが1枚以上3枚未満。
C:100枚中、白濁の有る光学レンズが3枚以上5枚未満。
D:100枚中、白濁の有る光学レンズが5枚以上10枚未満。
E:100枚中、白濁の有る光学レンズが10枚以上。
<光学材料の色調(YI値)>
厚さ2.5mm、φ60mmの円形平板の光学材料を製造し、分光色彩計(カラーテクノシステム社製、JS555)を用いてYI値を測定した。
【0045】
本実施例および比較例で使用したポリチオール組成物は、適宜合成したものや市販のポリチオール化合物をそのまま使用するか、それらポリチオール化合物に対して水洗浄、酸洗浄、蒸留精製などの手法から1つまたは複数の手法を組み合わせてアンモニウムカチオン濃度やチオシアン酸アニオン濃度を低減させたものを用いた。また、イオン濃度を調整するために、適宜混合を行ってイオン濃度の調整をしたポリチオール化合物も使用した。
【0046】
<ポリチオール化合物の合成例>
通常の1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン(化合物a−2)の合成
攪拌機、還流冷却管、窒素ガスパージ管、および温度計を取り付けた1L4つ口反応フラスコ内に、m−キシリレンジクロライド74.1g、チオ尿素67.2g、水270gを混合し、2.5時間加熱還流を行った。室温に冷却した後、窒素雰囲気下で、50%苛性ソーダ水溶液を134.1g加え、2時間加熱還流を行った。次いで、反応液を40℃に冷却し、希塩酸をpHが3になるまで加え、そのまま30分間攪拌して中和を実施した。反応終了後、トルエン360mLで抽出を行った後、加熱減圧下でトルエンおよび微量の水分を除去して、m−キシリレンジチオールを含むポリチオール組成物を68.7g得た。このポリチオール組成物中のアンモニウムカチオン濃度[NH]は448μmol/kgでチオシアン酸アニオン濃度[SCN]は612μmol/kgであった。
【0047】
アンモニウムカチオン濃度およびチオシアン酸アニオン濃度を下げた1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン(化合物a−2)の合成1
トルエン抽出および加熱減圧下でのトルエンおよび微量の水分の除去までは上述の通り行った。その後、得られたm−キシリレンジチオールを含むポリチオール組成物の蒸留精製を行った後に、水洗を実施し、再度蒸留精製を行った。得られたポリチオール組成物は55.0gであった。このポリチオール組成物中のアンモニウムカチオン濃度[NH]は10μmol/kgでチオシアン酸アニオン濃度[SCN]は42μmol/kgであった。
【0048】
アンモニウムカチオン濃度およびチオシアン酸アニオン濃度を下げた1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン(化合物a−2)の合成2
トルエン抽出までは通常の1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンと同様に合成し、その後、そのトルエン溶液を6規定の塩酸で洗浄後、水洗を実施した後に、加熱減圧下でトルエンおよび微量の水分を除去した。得られたポリチオール組成物の重量は58.0gであった。このポリチオール組成物中のアンモニウムカチオン濃度[NH]は30μmol/kgでチオシアン酸アニオン濃度[SCN]は66μmol/kgであった。
【0049】
アンモニウムカチオン濃度およびチオシアン酸アニオン濃度を下げた1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン(化合物a−2)の合成3
加水分解工程の温度を80℃以上に保持して行うこと以外は、通常の1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンと同様に合成して、m−キシリレンジチオールを含むポリチオール組成物を66.3g得た。このポリチオール組成物中のアンモニウムカチオン濃度[NH4+]は39μmol/kgでチオシアン酸アニオン濃度[SCN−]は153μmol/kgであった。
【0050】
通常の1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チオ〕−3−メルカプトプロパン(化合物a−3)の合成
攪拌機、還流冷却管、窒素ガスパージ管、および温度計を取り付けた2L4つ口反応フラスコ内に、水76.0gと48質量%の水酸化ナトリウム水溶液90.0g(1.08mol)を装入した。30℃にて2−メルカプトエタノール169g(2.16mol)を30分かけて滴下装入した後、エピクロロヒドリン99.9g(1.08mol)を同温度にて3時間かけて滴下装入し1時間熟成を行った。次に、36質量%塩酸水450.1g(4.32mol)、チオ尿素304.5g(4.00mol)を装入し、8時間110℃還流を行ってチウロニウム塩化を行った。50℃に冷却した後、トルエン450.0g、28質量%のアンモニア水溶液298g(5.21mol)を装入し、加水分解を行い、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チオ〕−3−メルカプトプロパンを主成分とするポリチオールのトルエン溶液を得た。該トルエン溶液を、水洗浄を行い、加熱減圧下でトルエンおよび微量の水分を除去した。その後、濾過して1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チオ〕−3−メルカプトプロパン化合物を主成分とするポリチオール組成物271.2gを得た。このポリチオール組成物中のアンモニウムカチオン濃度[NH4+]は223μmol/kgでチオシアン酸アニオン濃度[SCN−]は356μmol/kgであった。
【0051】
アンモニウムカチオン濃度およびチオシアン酸アニオン濃度を下げた1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チオ〕−3−メルカプトプロパン(化合物a−3)の合成
ポリチオールのトルエン溶液を得るまでは、上述の通常の1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チオ〕−3−メルカプトプロパンの合成と同様に行い、その後、該トルエン溶液を、6規定の塩酸で洗浄した後に水洗浄を行い、加熱減圧下でトルエンおよび微量の水分を除去した。その後、濾過して1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チオ〕−3−メルカプトプロパン化合物を主成分とするポリチオール組成物268.3gを得た。このポリチオール組成物中のアンモニウムカチオン濃度[NH4+]は8μmol/kgでチオシアン酸アニオン濃度[SCN−]は14μmol/kgであった。
【0052】
実施例1〜6
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表1に示す値のペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(以下、化合物a−1とする)を用いて、下記の製法1に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表1にまとめた。
【0053】
実施例7〜12
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表1に示す値の化合物a−1を用いて、下記の製法2に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表1にまとめた。
【0054】
実施例13〜15
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表1に示す値の化合物a−1を用いて、下記の製法3に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表1にまとめた。
【0055】
実施例16〜18
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表1に示す値の1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン(以下、化合物a−2とする)を用いた以外は、下記の製法1に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表1にまとめた。
【0056】
実施例19〜25
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表1に示す値の化合物a−2を用いて、下記の製法2に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表1にまとめた。
【0057】
実施例26〜28
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表1に示す値の化合物a−2を用いて、下記の製法3に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表1にまとめた。
【0058】
実施例29〜31
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表2に示す値の1,2− ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン(以下、化合物a−3とする)を用いた以外は、下記の製法1に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表2にまとめた。
【0059】
実施例32〜35
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表2に示す値の化合物a−3を用いて、下記の製法2に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表2にまとめた。
【0060】
実施例36〜39
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表2に示す値の化合物a−3を用いて、下記の製法3に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表2にまとめた。
【0061】
実施例40〜42
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表2に示す値のビス(メルカプトエチル)スルフィド(以下、化合物a−4とする)を用いた以外は、下記の製法2に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表2にまとめた。
【0062】
実施例43〜45
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表2に示す値の2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン(以下、化合物a−5とする)を用いた以外は、下記の製法2に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表2にまとめた。
【0063】
実施例46〜50
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表2に示す値の1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン(以下、化合物a−6とする)を用いた以外は、下記の製法2に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表2にまとめた。
【0064】
実施例51〜55
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表2に示す値の化合物a−6を用いて、下記の製法3に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表2にまとめた。
【0065】
実施例56〜60
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表3に示す値の化合物a−1及び化合物a−2を用いた以外は、下記の製法2に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表3にまとめた。
【0066】
実施例61
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表3に示す値の化合物a−1及び化合物a−2を用いた以外は、下記の製法3に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表3にまとめた。
【0067】
実施例62〜64
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表3に示す値の化合物a−2及び化合物a−3を用いた以外は、下記の製法2に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表3にまとめた。
【0068】
実施例65
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表3に示す値の化合物a−2及び化合物a−6を用いた以外は、下記の製法2に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表3にまとめた。
【0069】
実施例66
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表3に示す値の化合物a−2及び化合物a−6を用いた以外は、下記の製法3に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表3にまとめた。
【0070】
実施例67
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表3に示す値の化合物a−3及び化合物a−6を用いた以外は、下記の製法2に従って、本発明の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表3にまとめた。
【0071】
比較例1、2
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表4に示す値の化合物a−1を用いて、下記の製法1に従って、比較例の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表4にまとめた。
【0072】
比較例3、4
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表4に示す値の化合物a−2を用いて、下記の製法1に従って、比較例の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表4にまとめた(ただし、比較例4は硬化物が得られなかった)。
【0073】
比較例5〜7
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表4に示す値の化合物a−2を用いて、下記の製法2に従って、比較例の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表4にまとめた(ただし、比較例7は硬化物が得られなかった)。
【0074】
比較例8
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表4に示す値の化合物a−2を用いて、下記の製法3に従って、比較例の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表4にまとめた。
【0075】
比較例9
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表4に示す値の化合物a−3を用いて、下記の製法2に従って、比較例の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表4にまとめた。
【0076】
比較例10
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表4に示す値の化合物a−4を用いて、下記の製法2に従って、比較例の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表4にまとめた。
【0077】
比較例11
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表4に示す値の化合物a−5を用いて、下記の製法2に従って、比較例の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表4にまとめた。
【0078】
比較例12
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表4に示す値の化合物a−6を用いて、下記の製法2に従って、比較例の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表4にまとめた。
【0079】
比較例13
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表4に示す値の化合物a−1及び化合物a−2を用いて、下記の製法2に従って、比較例の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表4にまとめた。
【0080】
比較例14
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表4に示す値の化合物a−2及び化合物a−3を用いて、下記の製法2に従って、比較例の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表4にまとめた。
【0081】
比較例15
重量部、アンモニウムカチオン濃度[NH]、チオシアン酸アニオン濃度[SCN]、アンモニウムカチオン濃度とチオシアン酸アニオン濃度の積[NH] [SCN]が表4に示す値の化合物a−3及び化合物a−6を用いて、下記の製法2に従って、比較例の光学材料用組成物および光学材料を作製した。結果を表4にまとめた。
【0082】
上記実施例および比較例で用いた製法の詳細は、以下のとおりである。
<製法1>
エポキシ樹脂としてビスフェノールFジグリシジルエーテル(以下、化合物b−1とする)(エポキシ当量174)95重量部(値は表1〜4に従う)と、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(化合物a−1)5重量部(値は表1〜4に従う)を混合し、トリエチルアミン0.6質量部、内部離型剤としてジブチルアシッドホスヘート0.08質量部を加え、均一とした後、この組成物をレンズ用ガラスモールドへ注入し、2時間室温で放置し重合硬化させた。その後脱型し、光学材料を得た。
<製法2>
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(化合物a−1)5重量部(値は表1〜4に従う),(ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド(以下、化合物b−2とする)95重量部(値は表1〜4に従う)の合計100重量部に触媒として2−ジエチルアミノエタノール0.5重量部を混合し、室温で撹拌し均一液とした後、この組成物をレンズ用ガラスモールドに注入し、オーブン中で10℃から120℃まで22時間かけて昇温して重合硬化させた。その後脱型し、光学材料を得た。
<製法3>
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(化合物a−1)5重量部(値は表1〜4に従う),(ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド(以下、化合物b−3とする)95重量部(値は表1〜4に従う)の合計100重量部に触媒として2−ジエチルアミノエタノール0.5重量部を混合し、室温で撹拌し均一液とした後、この組成物をレンズ用ガラスモールドに注入し、オーブン中で10℃から120℃まで22時間かけて昇温して重合硬化させた。その後脱型し、光学材料を得た。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
表1〜4における化合物の略号の説明:
a−1:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
a−2:1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン
a−3:1,2− ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン
a−4:ビス(メルカプトエチル)スルフィド
a−5:2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン
a−6:1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン
b−1:ビスフェノールFジグリシジルエーテル
b−2:ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド
b−3:ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド
【要約】
本発明によれば、下記i)からiii)のいずれかを満たすポリチオール化合物と、
i)アンモニウムカチオン濃度が0.1〜150μmol/kgである;
ii)チオシアン酸アニオン濃度が0.1〜300μmol/kgである;または
iii)アンモニウムカチオン濃度が0.1〜150μmol/kgであり、チオシアン酸アニオン濃度が0.1〜300μmol/kgであり、さらにアンモニウムカチオンとチオシアン酸アニオンのイオン濃度積が0.01〜15000(μmol/kg)である;
ポリエポキシ化合物および/またはポリエピスルフィド化合物と、を含む光学材料用組成物を提供することができる。