特許第5716968号(P5716968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5716968
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】物品保管設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20150423BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   B65G1/00 521D
   H01L21/68 T
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-205(P2012-205)
(22)【出願日】2012年1月4日
(65)【公開番号】特開2013-139319(P2013-139319A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2013年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149331
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 昌人
(72)【発明者】
【氏名】高原 正裕
(72)【発明者】
【氏名】上田 俊人
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−182747(JP,A)
【文献】 特開2010−016199(JP,A)
【文献】 特開2004−119488(JP,A)
【文献】 特開2008−100805(JP,A)
【文献】 特開平06−183511(JP,A)
【文献】 特開2001−338971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00− 1/20
H01L 21/67−21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を密閉状態で収容する搬送容器を収納自在な複数の収納部と、前記複数の収納部に対して前記搬送容器を搬送自在な搬送装置とが設けられ、
前記複数の収納部の夫々について、不活性気体を吐出する吐出口と、前記吐出口から吐出する前記不活性気体の流量を調節自在な流量調節装置とを備えて前記収納部に収納された前記搬送容器の内部に前記不活性気体を供給自在な不活性気体供給部が設けられ、
前記搬送装置と前記流量調節装置との作動を制御する制御手段が設けられた物品保管設備であって、
複数の前記不活性気体供給部のうちの一部又は全部を特定供給部として選択自在な特定供給部選択手段が設けられ、
前記制御手段が、前記搬送容器が収納された前記収納部における前記不活性気体供給部にて、前記搬送容器に対して所定の供給形態で前記不活性気体を供給する容器保管モードにて前記流量調節装置を作動させるように構成され
前記収納部に前記搬送容器が収納される前に、当該収納部における前記不活性気体の供給が停止している前記吐出口に、吐出口浄化用の目標流量により吐出口浄化用の設定時間継続して前記不活性気体を供給するように前記流量調節装置を作動させ、当該収納部に前記搬送容器が収納されている間は、前記容器保管モードにて前記流量調節装置を作動させるように構成され、且つ、
前記特定供給部選択手段によって選択された前記特定供給部にて、前記吐出口から特定供給部用供給形態で前記不活性気体を供給する特定供給部用供給モードにて前記流量調節装置の作動を制御するように構成された物品保管設備。
【請求項2】
前記特定供給部選択手段が、前記不活性気体を通流させて前記不活性気体供給部を清掃する清掃用供給形態とすべく不活性気体を供給する清掃指令を人為操作で指令する清掃指令手段である請求項1記載の物品保管設備。
【請求項3】
前記制御手段が、前記搬送容器が収納された収納部における前記不活性気体供給部に対して供給する前記不活性気体の目標流量を第1目標流量値とすべく前記流量調節装置を作動させる第1供給状態と、前記目標流量を前記第1目標流量値より小さな第2目標流量値とすべく前記流量調節装置を作動させる第2供給状態とを、前記搬送容器が前記収納部に収納された時点を始点に前記第1供給状態とし、その後、前記第1目標流量値より小さな第2目標流量値とすべく前記流量調節装置を作動させる第2供給状態に切換える節約供給パターンにて前記不活性気体を供給するように前記流量調節装置の作動を制御する請求項1記載の物品保管設備。
【請求項4】
前記制御手段が、複数種の前記節約供給パターンを記憶自在に構成され、
前記搬送容器の収納状態において、前記複数種の節約供給パターンのうちいずれを使用するかを選択自在なパターン選択手段が設けられ、
前記制御手段が、前記複数種の節約供給パターンのうち前記パターン選択手段にて選択された節約供給パターンで前記搬送容器内に前記不活性気体を供給すべく前記流量調節装置の作動を制御する請求項3記載の物品保管設備。
【請求項5】
前記パターン選択手段が、前記複数種の節約供給パターンのうちいずれを使用するかを人為的に選択自在に構成されている請求項4記載の物品保管設備。
【請求項6】
前記節約供給パターンを特定するパターン特定パラメータとして、前記不活性気体供給部から前記不活性気体を前記搬送容器に供給する供給時間と、前記不活性気体供給部から前記不活性気体を前記搬送容器に供給する供給流量とが変更設定自在であり、前記パターン特定パラメータを人為的に設定入力自在な設定入力手段が設けられている請求項4記載の物品保管設備。
【請求項7】
前記複数の収納部のうち一群の収納部についての前記不活性気体供給部を対象として前記不活性気体を供給する供給源が設けられ、
前記供給源から前記一群の不活性気体供給部に対して供給可能な最大許容流量が設定され、
前記制御手段が、前記一群の不活性気体供給部に供給する前記不活性気体の前記目標流量の合計が前記最大許容流量以上になる場合には、前記一群の不活性気体供給部の一部又は全部から供給される前記不活性気体の前記目標流量を低減させるべく流量抑制処理を実行するように構成されている請求項3〜6のいずれか1項記載の物品保管設備。
【請求項8】
前記制御手段が、前記流量抑制処理において、前記一群の不活性気体供給部の全てについての前記目標流量を一定の低減率で低減させるように構成されている請求項7記載の物品保管設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を密閉状態で収容する搬送容器を収納自在な複数の収納部と、前記複数の収納部に対して前記搬送容器を搬送自在な搬送装置とが設けられ、前記複数の収納部の夫々について、不活性気体を吐出する吐出口と、前記吐出口から吐出する前記不活性気体の流量を調節自在な流量調節装置とを備えて前記収納部に収納された前記搬送容器の内部に前記不活性気体を供給自在な不活性気体供給部が設けられ、前記搬送装置と前記流量調節装置との作動を制御する制御手段が設けられた物品保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品保管設備の従来例として、半導体ウェハーを収容するFOUP等の搬送容器を収納自在な複数の収納部を備えた保管棚が設けられ、収納部の夫々に、例えば窒素ガスやアルゴンガス等の不活性気体を搬送容器の内部に供給自在な不活性気体供給部としての供給ノズルが備えられたパージ機能付きの物品保管棚を備えたものが知られている。
【0003】
このような物品保管棚の一例として、例えば、搬送容器が収納部に収納されている場合と収納されていない場合とで、供給ノズルから吐出する不活性気体の流量を変更自在に構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1では、搬送容器が収納部に収納されていない場合の不活性気体の流量を搬送容器が収納部に収納されている場合の流量よりも小さくするように構成されている。すなわち、搬送容器が収納部に収納されている場合における不活性気体の流量が、搬送容器内に十分な不活性気体を供給するために必要な流量(第1流量と称する)として設定され、搬送容器が収納部に収納されていない場合における吐出流量が、上記供給ノズルに不純物粒子が蓄積することを防止すべく、上記第1流量よりも小さい値に設定された流量(第2流量と称する)に設定されている。これにより、搬送容器が収納部に収納されていない場合においても供給ノズルから第1流量の不活性気体を吐出する場合に較べて、パージに要する不活性気体のコストを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−16199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の場合においては、物品保管棚の全ての収納部に対して、収納部に搬送容器が収納されているときの不活性気体の供給流量と収納部に搬送容器が収納されていないときの不活性気体の供給流量とを切換えるという1つの供給形態(通常供給形態と称する)を備えるのみであり、複数の収納部のうちの一部の収納部について、上記通常供給形態以外の供給形態で不活性気体を供給することはできなかった。
なお、上記通常供給形態以外の供給形態を必要とする場合として、例えば、不活性気体を供給する不活性気体供給部としての供給ノズル等を交換した後にその不活性気体供給部に付着した不純物粒子を除去すべく不活性気体の供給を行う場合が考えられる。この場合、収納部に搬送容器が収納されていないときの不活性気体の供給形態では流量が小さいため十分な清掃ができないか、またはできたとしても、不純物粒子を十分に除去するまでに長い時間を要する虞がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の不活性気体供給部のうちの選択された不活性気体供給部における不活性気体の供給形態を変更できる物品保管設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係る物品保管設備の第1特徴構成は、基板を密閉状態で収容する搬送容器を収納自在な複数の収納部と、前記複数の収納部に対して前記搬送容器を搬送自在な搬送装置とが設けられ、前記複数の収納部の夫々について、不活性気体を吐出する吐出口と、前記吐出口から吐出する前記不活性気体の流量を調節自在な流量調節装置とを備えて前記収納部に収納された前記搬送容器の内部に前記不活性気体を供給自在な不活性気体供給部が設けられ、前記搬送装置と前記流量調節装置との作動を制御する制御手段が設けられたものであって、
複数の前記不活性気体供給部のうちの一部又は全部を特定供給部として選択自在な特定供給部選択手段が設けられ、前記制御手段が、前記搬送容器が収納された前記収納部における前記不活性気体供給部にて、前記搬送容器に対して所定の供給形態で前記不活性気体を供給する容器保管モードにて前記流量調節装置を作動させるように構成され、前記収納部に前記搬送容器が収納される前に、当該収納部における前記不活性気体の供給が停止している前記吐出口に、吐出口浄化用の目標流量により吐出口浄化用の設定時間継続して前記不活性気体を供給するように前記流量調節装置を作動させ、当該収納部に前記搬送容器が収納されている間は、前記容器保管モードにて前記流量調節装置を作動させるように構成され、且つ、前記特定供給部選択手段によって選択された前記特定供給部にて、前記吐出口から特定供給部用供給形態で前記不活性気体を供給する特定供給部用供給モードにて前記流量調節装置の作動を制御するように構成されている点にある。
【0009】
すなわち、複数の不活性気体供給部のうちの一部又は全部を特定供給部として、その特定供給部にて、吐出口から特定供給部用供給形態で不活性気体を供給することができるから、複数の不活性気体供給部のうち、特定供給部においては容器保管モードとは別の供給形態に変更して、複数の不活性気体供給部のうちの特定供給部に対して適切な供給形態で不活性気体を供給することができる。
【0010】
説明を加えると、例えば、前述した従来の構成のように、搬送容器に対して容器保管モードで不活性気体供給部を作動させて不活性気体を供給することしかできないものである場合、ある不活性気体供給部にて必要とされる不活性気体の流量が容器保管モードにおける流量よりも大きい場合には、必要な流量の不活性気体を供給できないこととなる。
【0011】
これに対して、第1特徴構成によれば、特定供給部に対して特定供給部用供給形態で不活性気体を供給することができるので、特定供給部用供給形態として特定供給部にて必要とされる不活性気体の供給形態を設定しておけば、上記のように特定供給部において必要な流量の不活性気体を供給できない状況の発生を抑制することができる。
【0012】
すなわち、第1特徴構成によれば、複数の不活性気体供給部のうちの選択された不活性気体供給部における不活性気体の供給形態を変更できる物品保管設備を提供することができる。
【0013】
本発明に係る物品保管設備の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記特定供給部選択手段が、前記不活性気体を通流させて前記不活性気体供給部を清掃する清掃用供給形態とすべく不活性気体を供給する清掃指令を人為操作で指令する清掃指令手段である点にある。
【0014】
すなわち、清掃指令手段により指令されたときには、選択された特定供給部を清掃対象の不活性気体供給部として、当該特定供給部に対して不活性気体供給部に付着した除去対象物を適切に清掃する流量の不活性気体を供給することができるから、適切に不活性気体供給部を清掃することができるものとなる。
【0015】
本発明に係る物品保管設備の第3特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記搬送容器が前記収納部に収納された時点を始点に第1供給状態とし、その後、第2供給状態に切換える節約供給パターンにて不活性気体を供給するように前記流量調節装置の作動を制御する点にある。
【0016】
すなわち、搬送容器が前記収納部に収納された時点を始点に第1供給状態とすることにより、搬送容器を収納部に収納した初期段階において、搬送容器内に存在する不活性気体以外の気体を迅速に不活性気体に置換し、その後、第2供給状態に切換えることによって、高価な不活性気体(例えば窒素ガス等)の使用量を低減することができる。
このように、第3特徴構成によれば、不活性気体の使用量を抑制しつつ、基板が汚損するリスクが低い状態を適切に維持することができる。
【0017】
本発明に係る物品保管設備の第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、前記制御手段が、複数種の前記節約供給パターンを記憶自在に構成され、前記搬送容器の収納状態において、前記複数種の節約供給パターンのうちいずれを使用するかを選択自在なパターン選択手段が設けられ、前記制御手段が、前記複数種の節約供給パターンのうち前記パターン選択手段にて選択された節約供給パターンで前記搬送容器内に前記不活性気体を供給すべく前記流量調節装置の作動を制御する点にある。
【0018】
すなわち、複数種の節約供給パターンを予め記憶しておくものであるから、不活性気体の供給パターンとして単一のパターンのみを備える場合に較べて、収納部に収納された搬送容器の種別や収納される基板の状態に応じて適切なパターンで不活性気体を供給することができるものになる。
なお、上記の如く複数種の節約供給パターンのうちいずれを使用するかを選択する構成として、制御手段によって自動的に選択する構成と、人為手段によって選択する構成とが考えられる。
【0019】
制御手段によって自動的に選択する場合として、例えば搬送容器の種別や収容している基板の状態によって、上記複数の節約供給パターンのうち適切な節約供給パターンに選択的に変更することが考えられる。また、人為手段によって選択する場合には、複数の節約供給パターンのうち、搬送容器内の環境を汚損リスクの低い内部環境とするために適切な節約供給パターンに設定するために、試験的に節約供給パターンを変更することが考えられる。
このように、第4特徴構成によれば、上記第3特徴構成による作用効果に加えて、複数種の節約供給パターンを選択して切換えることができるため、不活性気体の使用量を極力抑制しつつ、搬送容器の内部に収容されている基板にとって有利な節約供給パターンで不活性気体を供給することが可能になり、搬送容器内に収容した基板を、極力劣化しない状態で保管可能な物品保管設備を提供することができる。
【0020】
本発明に係る物品保管設備の第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、前記パターン選択手段が、前記複数種の節約供給パターンのうちいずれを使用するかを人為的に選択自在に構成されている点にある。
【0021】
すなわち、複数種の節約供給パターンのうちいずれを使用するかを人為的に選択することができるので、上述のように、作業者が必要なタイミングで節約供給パターンを変更することが可能になり、節約供給パターンと基板の汚損との関係を調べる等の試験が行い易いものとなって、搬送容器内に収容した基板を、極力劣化しない状態で保管可能な物品保管設備を提供することができる。
【0022】
本発明に係る物品保管設備の第6特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、前記節約供給パターンを特定するパターン特定パラメータとして、前記不活性気体供給部から前記不活性気体を前記搬送容器に供給する供給時間と、前記不活性気体供給部から前記不活性気体を前記搬送容器に供給する供給流量とが変更設定自在であり、前記パターン特定パラメータを人為的に設定入力自在な設定入力手段が設けられている点にある。
【0023】
すなわち、不活性気体供給部から不活性気体を搬送容器に供給する供給時間と供給流量とを変更設定することができるから、複数種の節約供給パターンについて供給流量と供給時間とを変更したい場合にはそれらのパラメータを変更設定することによって、単に複数種の節約供給パターンのうちから目的の節約供給パターンを選択するよりも適切に節約供給パターンを設定することができる。
【0024】
本発明に係る物品保管設備の第7特徴構成は、上記第3〜第6特徴構成のいずれかに加えて、前記複数の収納部のうち一群の収納部についての前記不活性気体供給部を対象として前記不活性気体を供給する供給源が設けられ、前記供給源から前記一群の不活性気体供給部に対して供給可能な最大許容流量が設定され、前記制御手段が、前記一群の不活性気体供給部に供給する前記不活性気体の前記目標流量の合計が前記最大許容流量以上になる場合には、前記一群の不活性気体供給部の一部又は全部から供給される前記不活性気体の前記目標流量を低減させるべく流量抑制処理を実行するように構成されている点にある。
【0025】
すなわち、例えば一群の不活性気体供給部に属する不活性気体供給部の夫々について設定されている目標流量の合計が、供給源から一群の不活性気体供給部に対して供給可能な最大許容流量以上になる場合には、実際に一群の不活性気体供給部の夫々が供給可能な不活性気体の流量は設定された目標流量より低い状態となる虞がある。
また、例えば、供給源から不活性気体供給部に至るまでの配管抵抗が大きい不活性気体供給部と小さい不活性気体供給部とが存在する場合、供給源から供給される不活性気体は供給源から不活性気体供給部に至るまでの配管抵抗が小さい不活性気体供給部に優先的に通流し、配管抵抗が大きい不活性気体供給部の流量が目標流量に対して不足する虞がある。
第7特徴構成によれば、上記のような場合において、一群の不活性気体供給部の一部又は全部から供給される不活性気体の目標流量を低減させるように流量調節装置に従前の目標流量よりも小さい新たな目標流量を指令することになる。これにより、不活性気体供給部の一部又は全部から吐出される不活性気体の吐出流量を低減させるから、各不活性気体供給部からの不活性気体の吐出流量が吐出流量調節装置に対して制御手段が指令している目標流量を下回る事態を防止できる。
【0026】
なお、流量調節装置は、制御手段により指令された目標流量の不活性気体を供給すべく制御されるように構成されており、実際に供給する流量が目標流量よりも低い状態が設定時間継続した状態(流量不足状態と称する)に陥ったときにエラーを出力する機能を備えたものがあるが、流量不足状態に陥るまでに制御手段が一群の不活性気体供給部の一部又は全部から供給される不活性気体の目標流量を低減させるように流量調節装置に指令することによって、エラーの発生を抑制して設備を正常に運転することができる。
【0027】
つまり、上記のような流量調節装置では、装置事態に障害が生じていなくても、供給源の供給能力を超える流量が要求されたことに起因する流量不足状態によってエラーを発生する虞があるが、第7特徴構成によれば、一群の不活性気体供給部について節約供給パターンにて供給する不活性気体の目標流量の合計が供給源から一群の不活性気体供給部に対して供給可能な最大許容流量以下となるように構成することによって、流量調節装置が不要なエラーを出力することを防止し、装置の運転が円滑に行える物品保管設備を提供することができる。
【0028】
また、上記の構成に代えて、一群の不活性気体供給部について節約供給パターンにて供給する不活性気体の目標流量の合計が、供給源から一群の不活性気体供給部に対して供給可能な最大許容流量以上になってエラーが出力された場合に、そのエラーをリセットすると共に制御手段が一群の不活性気体供給部の一部又は全部から供給される不活性気体の目標流量を低減させるように流量調節装置に指令するように構成してもよい。
【0029】
なお、複数種の節約供給パターンを選択して切換えたり、またはそのパターン特定パラメータを変更設定した場合、一群の不活性気体供給部に属する不活性気体供給部の夫々について設定されている目標流量の合計が切換え又は変更前よりも大となるように変更設定される可能性がある。このようなときにおいては、切換え又は変更前には目標流量の合計が最大許容流量以下に収まっていたにしても、切換え又は変更後には目標流量の合計が最大許容流量以上となる虞がある。このような場合、第7特徴構成の如く一群の不活性気体供給部の一部又は全部から供給される不活性気体の目標流量を低減させる構成は特に有効である。
【0030】
このように、第7特徴構成によれば、単一の供給源から不活性気体を供給される複数の不活性気体供給部が設定された吐出パターンにて吐出する不活性気体の吐出量の総和が最大許容流量以上になる場合には、不活性気体供給部の一部又は全部から吐出される不活性気体の吐出流量を低減させるから、各不活性気体供給部からの不活性気体の吐出流量が吐出流量調節装置に対して制御手段が指令している目標流量を下回る事態を防止して、設備の円滑な運転が行える。
【0031】
本発明に係る物品保管設備の第8特徴構成は、上記第7特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記流量抑制処理において、前記一群の不活性気体供給部の全てについての前記目標流量を一定の低減率で低減させるように構成されている点にある。
【0032】
すなわち、流量抑制処理において、一群の不活性気体供給部の全てについての目標流量を一定の低減率で低減させるものであるから、不活性気体供給部における不活性気体の供給状態を考慮することなく、簡易な構成で各不活性気体供給部からの不活性気体の吐出流量が吐出流量調節装置に対して制御手段が指令している目標流量を下回る事態を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】物品保管設備の縦断側面図
図2】同設備の一部を示す縦断正面図
図3】収納部の斜視図
図4】収納部と搬送容器との関係を示す概略構成図
図5】複数の収納部への不活性気体の供給形態を表す図
図6】制御手段の接続構成図
図7】不活性気体の供給量の制御形態を示す説明図
図8】パージパターン設定処理を表すフローチャート
図9】設備の運転処理を表すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明をパージ機能付きの物品保管設備に適用した場合の実施形態を図面に基づいて説明する。
(全体構成)
物品保管設備は、図1及び図2に示すように、基板を密閉状態で収容する搬送容器50(以下、容器50と略称する)を保管する保管棚10、搬送手段としてのスタッカークレーン20、及び、容器50の入出庫部としての入出庫コンベヤCVを備えている。
保管棚10及びスタッカークレーン20が、壁体Kにて外周部が覆われた設置空間内に配設され、入出庫コンベヤCVが、壁体Kを貫通する状態で配設されている。
【0035】
保管棚10は、容器50を支持する支持部としての収納部10Sを、上下方向及び左右方向に並べる状態で複数備えて、複数の収納部10Sの夫々に、容器50を収納するように構成されており、その詳細は後述する。
【0036】
そして、本実施形態においては、図1に示すように、物品保管設備が設置されたクリーンルームの天井部に敷設のガイドレールGに沿って走行するホイスト式の搬送車Dが装備されて、このホイスト式の搬送車Dによって、入出庫コンベヤCVに対して容器50が搬入及び搬出されるように構成されている。
【0037】
(容器50の構成)
容器50は、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials Institute)規格に準拠した合成樹脂製の気密容器であり、基板としての半導体ウェハーW(図4参照)を収納するために用いられ、FOUP(Front Opening Unified Pod)と呼称されている。そして、詳細な説明は省略するが、容器50の前面には、着脱自在な蓋体にて開閉される基板出入用の開口が形成され、容器50の上面には、ホイスト式の搬送車Dにより把持されるトップフランジ52が形成され、そして、容器50の底面には、位置決めピン10b(図3参照)が係合する3つの係合溝(図示せず)が形成されている。
【0038】
すなわち、容器50は、図4に示すように、内部に上下方向に複数の半導体ウェハーWを載置自在な基板支持体53を備えたケーシング51と、図示しない蓋体とから構成されて、ケーシング51に蓋体を装着した状態においては、内部空間が気密状態に密閉されるように構成され、そして、収納部10Sに収納された状態においては、位置決めピン10bによって位置決めされるように構成されている。
【0039】
また、図4に示すように、容器50の底部には、後述の如く、不活性気体としての窒素ガスを注入するために、給気口50i、及び、排気口50oが設けられ、そして、図示は省略するが、給気口50iには、注入側開閉弁が設けられ、また、排気口50oには、排出側開閉弁が設けられている。
【0040】
注入側開閉弁は、スプリング等の付勢手段によって閉方向に付勢されて、給気口50iに供給される窒素ガスの吐出圧力が大気圧よりも設定値高い設定開弁圧力以上となると、その圧力によって開き操作されるように構成されている。
また、排出側開閉弁は、スプリング等の付勢手段によって閉方向に付勢されて、容器50内部の圧力が大気圧よりも設定値高い設定開弁圧力以上となったときに開き操作されるように構成されている。
【0041】
(スタッカークレーン20の構成)
スタッカークレーン20は、保管棚10の前面側の床部に設けられた走行レールEに沿って走行移動自在な走行台車21と、その走行台車21に立設されたマスト22と、マスト22に案内される状態で昇降移動自在な昇降台24とを備えている。
尚、図示はしないが、マスト22の上端に設けられた上部枠23が、壁体Kにて外周部が覆われた設置空間の天井側に設けた上部ガイドレールに係合して移動するように構成されている。
【0042】
昇降台24には、収納部10Sに対して容器50を移載する移載装置25が装備されている。
移載装置25は、容器50を載置支持する板状の載置支持体25Aを、収納部10Sの内部に突出する突出位置と昇降台24側に引退した引退位置とに出退自在に備えて、載置支持体25Aの出退作動及び昇降台24の昇降作動により、載置支持体25Aに載置した容器50を収納部10Sに降ろす降し処理、及び、収納部10Sに収納されている容器50を取出す掬い処理を行うように構成されている。
つまり、容器50は、搬送車Dによって入出庫コンベヤCV上に載置され、当該入出庫コンベヤCVによって壁体Kの外部から内部に搬送された後、スタッカークレーン20によって複数の収納部10Sのいずれかに搬送される。
すなわち、搬送装置としてのスタッカークレーン20が、複数の収納部10Sに対して容器50を搬送自在に構成されている。
【0043】
スタッカークレーン20には、図示はしないが、走行経路上の走行位置を検出する走行位置検出手段、及び、昇降台24の昇降位置を検出する昇降位置検出手段が装備されており、スタッカークレーン20の作動を制御する制御手段HとしてのクレーンコントローラH3が、走行位置検出手段及び昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、スタッカークレーン20の作動を制御するように構成されている。
【0044】
すなわち、クレーンコントローラH3が、入出庫コンベヤCVに搬入された容器50を収納部10Sに収納する入庫作業、及び、収納部10Sに収納されている容器50を入出庫コンベヤCVに取出す出庫作業を行うように、走行台車21の走行作動及び昇降台24の昇降作動、並びに、移載装置25における載置支持体25Aの出退作動を制御するように構成されている。
【0045】
(収納部10Sの構成)
図3及び図4に示すように、複数の収納部10Sの夫々は、容器50を載置支持する板状の載置支持部10aを備えている。
この載置支持部10aは、移載装置25の載置支持体25Aが上下に通過する空間を形成すべく、平面視形状がU字状となるように形成され、そして、その上面には、上述の位置決めピン10bが起立状態で装備されている。
また、載置支持部10aには、容器50が載置されているか否か(つまり、容器50が収納部10Sに収納されているか否か)を検出する2個の在荷センサ10zが設けられ、それらの検出情報は、後述する流量調節装置としてのマスフローコントローラ40の運転を管理する制御手段HとしてのパージコントローラH1(図6参照)に入力されるように構成されている。
【0046】
載置支持部10aには、不活性気体としての窒素ガスを容器50の内部に供給する吐出口としての吐出ノズル10iと、容器50の内部から排出される気体を通流する排出用通気体10oが設けられている。そして、吐出ノズル10iには、マスフローコントローラ40からの窒素ガスを流動させる供給配管Liが接続され、排出用通気体10oには、端部が開口された排出管Loが接続されている。
また、図1及び図2に示すように、平面視において各収納部10Sの奥側、つまり、容器50が出し入れされる開口に対向する端部側で、かつ、棚左右方向において容器50の端部近傍となる位置に、窒素ガスの供給を制御するマスフローコントローラ40が装備されている。
【0047】
マスフローコントローラ40は、保管棚10における上下方向に並べて備える収納部10Sの各層について、平面視で重複する位置に設けられている。マスフローコントローラ40の配設される箇所は、平面視で載置支持部10a及びそれを支持する柱材等の存在しない箇所であり、かつ、容器50の収納時においても、容器50の存在しない箇所である。したがって、マスフローコントローラ40近傍には、保管棚10の下端から上端に亘って連通し、上下方向に気流が通流可能な空間が形成されることになる。
これにより、マスフローコントローラ40が発生する熱によって生じる気流は、保管棚10の下端から上端に至るまで障害物に阻害されることなく流動することになり、マスフローコントローラ40から放散される熱が滞留することを抑制して、マスフローコントローラ40の熱暴走等の障害を抑制することができる。
なお、上記した気流が通流可能な空間は、例えば保管棚10が不活性気体又はクリーンエアのダウンフローにより清浄に保たれる場合においても、そのダウンフローを抵抗の小さい状態で通流させることができるものとなる。この場合においても、マスフローコントローラ40がダウンフローによって適切に冷却されることになる。
【0048】
つまり、容器50が載置支持部10aに載置支持されると、吐出ノズル10iが容器50の給気口50iに嵌合状態に接続され、かつ、排出用通気体10oが容器50の排気口50oに嵌合状態に接続されるように構成されている。
そして、容器50が載置支持部10aに載置支持された状態において、吐出ノズル10iから大気圧よりも設定値以上高い圧力の窒素ガスを吐出させることにより、容器50の排気口50oより容器内の気体を外部に排出させる状態で、容器50の給気口50iより窒素ガスを容器50の内部に注入できるように構成されている。
【0049】
本実施形態においては、主にマスフローコントローラ40、供給配管Li、及び吐出ノズル10iより不活性気体供給部Fが構成される。
すなわち、複数の収納部10Sの夫々について、不活性気体を吐出する吐出ノズル10iと、その吐出ノズル10iから供給する不活性気体の流量を調節自在なマスフローコントローラ40とを備えて、収納部10Sに収納された容器50の内部に不活性気体を供給自在な不活性気体供給部Fが設けられている。
【0050】
尚、図3に示すように、供給配管Liには、手動操作式の開閉弁Viが装備されており、マスフローコントローラ40が故障する緊急時等においては、窒素ガスの供給を停止する状態に切り替えることができるように構成されている。
【0051】
(窒素ガスの供給構成)
図5に示すように、保管棚10における不活性気体供給部Fの夫々に窒素ガスを供給するための窒素ガスの供給源として元ガス供給配管Lmが備えられ、その元ガス供給配管Lmから2分岐する状態で第1分岐供給配管Lb1及び第2分岐供給配管Lb2が備えられている。元ガス供給配管Lmには元ガス開閉弁V1が設けられ、保管棚10単位で窒素ガスの供給及び供給停止を切換えることができる。
【0052】
第1分岐供給配管Lb1及び第2分岐供給配管Lb2の夫々は、さらに12本の供給配管Lsに分岐されており、これら供給配管Lsの夫々が、マスフローコントローラ40の流入側ポート40iに接続される。以下、第1分岐供給配管Lb1から窒素ガスを供給される一群の不活性気体供給部Fをチャネル1(CH1)と呼称し、第2分岐供給配管Lb2から窒素ガスを供給される一群の不活性気体供給部Fをチャネル2(CH2)と呼称する。
【0053】
第1分岐供給配管Lb1には第1電磁開閉弁V21が設けられ、第2分岐供給配管Lb2には第2電磁開閉弁V22が設けられている。そして、これら第1電磁開閉弁V21及び第2電磁開閉弁V22は、後述するIO拡張モジュールAを介して後述するパージコントローラH1に電気的に接続されており、パージコントローラH1が第1電磁開閉弁V21及び第2電磁開閉弁V22の開閉を制御するようになっている。
【0054】
さらに、第1分岐供給配管Lb1及び第2分岐供給配管Lb2の夫々は、第1電磁開閉弁V21及び第2電磁開閉弁V22の下流側でバイパス配管Lbpにて相互に接続され、バイパス配管Lbpには手動で開閉操作自在なバイパス弁Vbが設けられている。したがって、バイパス弁Vbを開放すると、CH1とCH2とは互いに窒素ガスを供給可能に接続されることになる。
【0055】
本実施形態において、チャネルCH1、CH2の夫々が、複数の収納部のうち一群の収納部についての不活性気体供給部Fに相当し、第1分岐供給配管Lb1及び第2分岐供給配管Lb2の夫々が、一群の不活性気体供給部Fを対象として窒素ガスを供給する供給源に相当する。
【0056】
(マスフローコントローラ40の構成)
図3及び図4に示すように、マスフローコントローラ40は、流入側ポート40iと吐出側ポート40oとを備えており、吐出側ポート40oには、上述した供給配管Liが接続され、流入側ポート40iには、窒素ガスの供給源としての第1分岐供給配管Lb1及び第2分岐供給配管Lb2からの窒素ガスを導く供給配管Lsが接続されている。
尚、窒素ガス供給源には、窒素ガスの供給圧力を大気圧よりも設定値以上高い設定圧力に調整するガバナや、窒素ガスの供給を断続する手動操作式の開閉弁等が装備される。
【0057】
マスフローコントローラ40には、流入側ポート40iから吐出側ポート40oに向かう内部流路を流動する窒素ガスの流量を変更調節する流量調節弁、内部流路を流動する窒素ガスの流量を計測する流量センサ、及び、流量調節弁の作動を制御する内部制御部が装備されている。
【0058】
そして、内部制御部が、流量センサの検出情報に基づいて、容器50への供給流量を上述したパージコントローラH1から指令される目標流量に調整すべく、流量調節弁を制御するように構成されている。すなわち、パージコントローラH1が、マスフローコントローラ40の作動を制御するように構成されている。
【0059】
(制御手段Hの構成)
図6に示すように、制御手段Hは、マスフローコントローラ40を制御するパージコントローラH1、保管棚10における容器50の在庫状態等を管理するストッカコントローラH2、及び、スタッカークレーン20の作動を制御するクレーンコントローラH3を備えて構成されている。パージコントローラH1、ストッカコントローラH2、及びクレーンコントローラH3は、例えば蓄積プログラム方式で情報を処理自在なコンピュータで構成され、相互にLAN等のネットワークC1で接続され、また、プログラマブルロジックコントローラP及びIO拡張モジュールAが、上記制御手段Hと通信自在にネットワークC1に接続されている。
【0060】
プログラマブルロジックコントローラPには、制御バスC2経由で12台のマスフローコントローラ40が接続されている。また、IO拡張モジュールAには、上記12台のマスフローコントローラ40が備えられている収納部10Sに対応する在荷センサ10zが、夫々信号線C3で接続されている。
パージコントローラH1は、プログラマブルロジックコントローラPを経由して、複数の収納部10Sの夫々に対応して設置されたマスフローコントローラ40に対して目標流量を指令することになる。
尚、パージコントローラH1には、各種の情報を入力するための操作卓HSが装備されている。
【0061】
パージコントローラH1が指令する目標流量としては、容器50が収納部10Sに収納されている状態において、容器50の内部に窒素ガスを注入すべく、マスフローコントローラ40に対して指令される保管用の目標流量、容器50が収納部10Sに収納される直前において、吐出ノズル10iを清浄化するために指令されるノズル浄化用の目標流量、及び、保管棚10の設置時等において、吐出ノズル10iや供給配管Li等を清浄化するために指令されるクリーニング用の目標流量がある。
【0062】
すなわち、パージコントローラH1が、図7に示すように、目標流量と供給時間とを定めた複数のパージパターンとして、ノズルパージパターンP1、クリーニングパターンP2、及び、4つの保管用パージパターンP3〜P6を記憶している。
そして、パージコントローラH1が、保管棚10の設置時等において、操作卓HSにてクリーニング開始指令が指令されると、クリーニングパターンP2に応じてクリーニング用の清掃用流量としての目標流量の窒素ガスを清掃用時間だけ通流させて不活性気体供給部Fを清掃する清掃用供給形態とすべくマスフローコントローラ40の作動を制御するように構成されている。
なお、操作卓HSは、清掃が必要な不活性気体供給部Fを選択自在に構成され、選択された不活性気体供給部Fに対してクリーニング開始指令を指令自在に構成されている。
つまり、操作卓HSが、窒素ガスを通流させて不活性気体供給部Fを清掃する清掃指令を人為操作で指令する清掃指令手段として機能し、当該操作卓HSから、複数の不活性気体供給部Fのうちの一部又は全部を特定供給部としてクリーニング開始指令を指令自在に構成されている。すなわち、本実施形態では操作卓HSが特定供給部選択手段に相当する。
【0063】
すなわち、本実施形態においては、操作卓HSが不活性気体を通流させて不活性気体供給部Fを清掃する清掃指令を人為操作で指令する清掃指令手段に相当し、パージコントローラH1が、操作卓HSにて清掃指令が指令されたときに、容器50が収納部10Sに収納されていない状態で、不活性気体供給部Fに清掃用時間だけ清掃用流量の不活性気体を供給するように構成されている。
【0064】
また、制御手段Hが、容器50が入出庫コンベヤCVに搬入されると、ノズルパージパターンP1に応じてノズル浄化用の目標流量を指令するように構成されている。
本実施形態においては、制御手段Hは、容器50が入出庫コンベヤCVに搬入された時点を、ホイスト式の搬送車Dの運転を制御する搬送車コントローラ(図示せず)から収納指令が通信されることによって判別するように構成されている。
つまり、搬送車コントローラが、容器50を入出庫コンベヤCVに搬入したときに、収納指令を制御手段Hに指令するように構成されている。
【0065】
さらに、制御手段Hが、2個の在荷センサ10zが容器50を検出しているときには、節約供給パターンとしての4つの保管用パージパターンP3〜P6のうち、操作卓HSにて予め選択された一つのパターンに基づいて保管用の目標流量(供給流量)を指令するように構成されている。
【0066】
ちなみに、ノズルパージパターンP1及びクリーニングパターンP2における目標流量と供給時間とは、予め基準状態に設定されているが、4つの保管用パージパターンP3〜P6の夫々の目標流量と供給時間とは、設備の設置時に、使用者が設定することになる。なお、上記基準状態は、設定入力手段としての操作卓HSから変更設定自在に構成されている。
【0067】
つまり、使用者は、4つの保管用パージパターンP3〜P6の夫々について、パターン特定パラメータとして、不活性気体供給部Fから不活性気体を容器50に供給する目標流量と不活性気体供給部Fから不活性気体を容器50に供給する供給時間とを操作卓HSにて変更設定しながら、4つの保管用パージパターンP3〜P6の夫々を試験的に使用して、4つの保管用パージパターンP3〜P6のうちの好適なパターンについての目標流量と供給時間とを設定し、かつ、その好適なパターンを選択することになる。すなわち、本実施形態では、操作卓HSがパターン特定パラメータを人為的に設定入力自在な設定入力手段に相当する。
【0068】
(パージパターン)
次に、ノズルパージパターンP1、クリーニングパターンP2、及び、4つの保管用パージパターンP3〜P6の夫々について、図7に基づいて説明する。
【0069】
ノズルパージパターンP1は、上述の収納指令が指令された時点から収納前供給時間として設定された供給時間t1の間、ノズル浄化用の目標流量として設定された目標流量L1にて窒素ガスを供給するパターンとして定められている。
供給時間t1は、例えば、5秒に設定され、そして、目標流量L1は、例えば、30リットル/分に設定されている。
【0070】
クリーニングパターンP2は、操作卓HSにてクリーニング開始指令が指令されてから設置初期供給時間として設定された供給時間t2の間、クリーニング用の目標流量として設定された目標流量L2にて窒素ガスを供給するパターンとして定められている。
供給時間t2は、例えば、1800秒に設定され、そして、目標流量L2は、例えば、20リットル/分に設定されている。
【0071】
4つの保管用パージパターンP3〜P6の夫々については、保管用の目標流量として、初期目標流量値Lαと、その初期目標流量よりも少ない定常目標流量値Lβとが設定されている。
初期目標流量値Lαは、例えば、50リットル/分に設定され、そして、定常目標流量値Lβは、例えば、5リットル/分に設定されることになるが、上述の如く、使用者によって変更設定されることになる。
【0072】
そして、4つの保管用パージパターンP3〜P6の夫々は、容器50に窒素ガスを供給する際には、先ず、保管用の目標流量値を初期目標流量値Lαとし、その後、保管用の目標流量値を定常目標流量値Lβに変更する点が共通するが、互いに異なるパターンに定められている。
以下、4つの保管用パージパターンP3〜P6を、第1の保管用パージパターンP3、第2の保管用パージパターンP4、第3の保管用パージパターンP5、及び、第4の保管用パージパターンP6と記載して、各パターンについて説明を加える。
【0073】
第1の保管用パージパターンP3は、容器50を収納部10Sに収納することが完了した容器収納完了時点を始点とし、容器収納完了時点から設定供給時間t3の間、初期目標流量値Lαとしての供給流量L31にて窒素ガスを供給し、その後、定常目標流量値Lβとしての供給流量L32にて窒素ガスを供給することを、一対の在荷センサ10zが容器50の存在を検出している間は継続するパターンとして定められている。
なお、設定供給時間t3は初期値として例えば5分に設定されることになるが、上述の如く、使用者によって変更設定されることになる。
【0074】
第2の保管用パージパターンP4は、容器収納完了時点から設定供給時間t41の間、初期目標流量値Lαとしての供給流量L41にて窒素ガスを供給し、その後は、定常目標流量値Lβとしての供給流量L42にて窒素ガスを間欠的供給することを、一対の在荷センサ10zが容器50の存在を検出している間は継続するパターンに定められている。
【0075】
すなわち、第2の保管用パージパターンP4は、初期目標流量値Lαとしての供給流量L41から定常目標流量値Lβとしての供給流量L42に変更した後は、設定供給時間t43が経過すると、設定休止時間の間は窒素ガスの供給を停止することを繰り返すパターンに定められている。
【0076】
つまり、初期目標流量値Lαとしての供給流量L41から定常目標流量値Lβとしての供給流量L42に変更した後は、インターバル時間t42のうちの、設定供給時間t43の間は、供給流量L42にて窒素ガスが供給され、設定休止時間t42−t43の間は、窒素ガスの供給を停止することが、一対の在荷センサ10zにて容器50を検出している間は繰り返されることになる。
なお、設定供給時間t41は初期値として例えば5分に設定され、インターバル時間t42は初期値として例えば10分に設定され、設定供給時間t43は初期値として例えば5分に設定されることになるが、上述の如く、使用者によって変更設定されることになる。
【0077】
第3の保管用パージパターンP5は、容器収納完了時点から設定供給時間t51の間、初期目標流量値Lαとしての供給流量L51にて窒素ガスを供給し、続いて、設定供給時間t52の間、定常目標流量値Lβとしての供給流量L52にて窒素ガスを供給することを基本パターンとして、この基本パターンを、一対の在荷センサ10zが容器50の存在を検出している間は繰り返すパターンに定められている。
なお、設定供給時間t51は初期値として例えば5分に設定され、設定供給時間t52は初期値として例えば5分に設定されることになるが、上述の如く、使用者によって変更設定されることになる。
【0078】
第4の保管用パージパターンP6は、容器収納完了時点から設定供給時間t61の間、初期目標流量値Lαとしての供給流量L61にて窒素ガスを供給し、続いて、設定供給時間t63の間、定常目標流量値Lβとしての供給流量L62にて窒素ガスを間欠的に供給することを基本パターンとして、この基本パターンを、一対の在荷センサ10zが容器50の存在を検出している間は継続するパターンに定められている。
【0079】
すなわち、第4の保管用パージパターンP6には、初期目標流量値Lαとしての供給流量L61にて窒素ガスを供給することを繰り返すための大インターバル時間t64、及び、定常目標流量値Lβとしての供給流量L62にて窒素ガスを間欠的に供給することを繰り返すための小インターバル時間t62が設定されている。
【0080】
そして、容器収納完了時点及び大インターバル時間t64が経過した時点においては、設定供給時間t61の間、初期目標流量値Lαとしての供給流量L61にて窒素ガスが供給されることになり、また、初期目標流量値Lαとしての供給流量L61での窒素ガスの供給が終了した後は、設定供給時間t63の間、定常目標流量値Lβとしての供給流量L42にて窒素ガスを供給することと、設定休止時間t62−t63の間、窒素ガスの供給を停止することが繰り返されることになる。
【0081】
なお、設定供給時間t41は初期値として例えば5分に設定され、大インターバル時間t64は初期値として例えば30分に設定され、小インターバル時間t62は初期値として例えば5分に設定されることになる。
この第4の保管用パージパターンP6においては、大インターバル時間t64、及び、小インターバル時間t62も、使用者によって変更設定されることになる。
【0082】
本実施形態においては、保管用パージパターンP3〜P6のいずれかのパージパターンでパージを実行する形態が、搬送容器に対して所定の供給形態で前記不活性気体を供給する容器保管モードに相当する。
すなわち、パージコントローラH1は、容器50が収納された収納部10Sにおける不活性気体供給部Fにて、容器50に対して所定の供給形態で不活性気体を供給する容器保管モードにてマスフローコントローラ40を作動させるように構成されている。
【0083】
また、本実施形態においては、清掃指令手段としての操作卓HSによって選択された清掃対象の不活性気体供給部Fが特定供給部に相当し、クリーニングパターンP2でパージを実行する形態が、吐出ノズル10iから特定供給部用供給形態で不活性気体を供給する特定供給部用供給モードに相当する。
すなわち、操作卓HSによって選択された特定供給部にて、吐出ノズル10iから特定供給部用供給形態で不活性気体を供給する特定供給部用供給モードにてマスフローコントローラ40の作動を制御するように構成されている。
【0084】
さらに、本実施形態では、初期目標流量値Lαが第1目標流量値に相当し、定常目標流量値Lβが第2目標流量値に相当する。
すなわち、制御手段Hが、収納部10Sに収納された容器50に対して供給する不活性気体の目標流量を初期目標流量値Lαとすべくマスフローコントローラ40を作動させる第1供給状態と、目標流量を初期目標流量値より小さな定常目標流量値Lβとすべくマスフローコントローラ40を作動させる第2供給状態とを切換える形態でマスフローコントローラ40の作動を制御するように構成されている。
そして、制御手段Hが、容器50が収納部10Sに収納された時点を始点に第1供給状態とし、その後、第2供給状態に切換える不活性気体節約供給パターンにて不活性気体を供給するようにマスフローコントローラ40の作動を制御するように構成されている。
【0085】
(制御手段Hによるパージパターンの選択)
本実施形態では、制御手段HとしてのパージコントローラH1が、前記複数のパージパターン(P1〜P6)を記憶自在に構成されている。そして、複数のパージパターンP1〜P6のうち、節約供給パターンとして保管用パージパターンP3〜P6を記憶自在に構成されている。
操作卓HSは、容器50を収納部10Sに収納した収納状態において、保管用パージパターンP3〜P6に係る情報を表示し、図示しない入力手段(マウス、キーボード等)によってそのいずれを選択するかを人為的に選択自在に構成されている。すなわち、保管用パージパターンP3〜P6のうちいずれを使用するかを人為的に選択自在な供給パターン選択手段が設けられ、パージコントローラH1が、保管用パージパターンP3〜P6のうち操作卓HSにて予め選択された節約供給パターンで容器50内に活性気体を供給すべくマスフローコントローラ40の作動を制御するように構成されている。
【0086】
次に、制御手段Hが実行する制御について、図8及び図9に基づいて説明する。
物品保管設備が設置されてシステムが起動されたときにおいて、パージコントローラH1は、まず、使用者にパージパターンの選択及び設定をさせるべくパージパターン設定処理を実行する。
【0087】
このパージパターン設定処理は、図8に示すように、まず「ノズルパージパターンP1に対してパターン特定パラメータの設定入力が必要か否か」を使用者に確認する(#11)。#11にてYesが選択されると、パージコントローラH1は、操作卓HSにノズルパージパターンP1についてのパターン特定パラメータとして目標流量(供給流量)と供給時間との入力を促す入力画面表示指令を指令し、使用者は、表示された入力画面において、目標流量(供給流量)と供給時間とを設定入力する(#12)。
【0088】
#11においてNoが選択された場合、または、#12の設定入力の完了に引き続いて、パージコントローラH1は、「クリーニングパターンP2に対してパターン特定パラメータの設定入力が必要か否か」を使用者に確認する(#13)。#13にてYesが選択されると、パージコントローラH1は、操作卓HSにクリーニングパターンP2についてのパターン特定パラメータとして目標流量(供給流量)と供給時間との入力を促す入力画面を表示させるべく表示指令を指令し、使用者は、表示された入力画面において、目標流量(供給流量)と供給時間とを設定入力する(#14)。
【0089】
#13においてNoが選択された場合、または、#14の設定入力の完了に引き続いて、パージコントローラH1は、保管用パージパターンについて、P3〜P6のいずれを使用するかが選択されているかを確認する選択確認処理を実行する(#15)。#15にてP3〜P6のいずれを使用するかが選択されていないと判別されると、パージコントローラH1は、操作卓HSに保管用パージパターンP3〜P6のいずれを使用するかの選択を促す選択入力画面を表示させるべく表示指令を指令し、使用者は、表示された選択入力画面において、保管用パージパターンP3〜P6のうち使用するパージパターンを選択入力する(#16)。
【0090】
#15においてYesと判別された場合、または、#16の設定入力の完了に引き続いて、パージコントローラH1は、「#16で選択された保管用パージパターンに対してパターン特定パラメータの設定入力が必要か否か」を使用者に確認する(#17)。#17にてYesが選択されると、パージコントローラH1は、操作卓HSに選択されたパージパターン(P3〜P6のいずれか)についてのパターン特定パラメータとして目標流量(供給流量)と供給時間との入力を促す入力画面表示指令を指令し、使用者は、表示された入力画面において、目標流量(供給流量)と供給時間とを設定入力する(#18)。
【0091】
なお、上記パージパターン設定処理は、物品保管設備が設置されてシステムが起動されたときのほか、使用者の更新設定指令によっても実行される。
【0092】
次に、図9のフローチャートに基づいて、物品保管設備の設置後における設備の運転を表す処理の流れを説明する。
まず、パージコントローラH1は、清掃指令手段により清掃開始が指令されたか否かを判別する(#21)。#21において清掃開始が指令されていないと判別されると、引き続き容器50を収納する収納指令が指令されたか否かを判別する(#22)。#22において収納指令が指令されたと判別されると、パージコントローラH1は、ノズルパージパターンP1として設定されたパターンにしたがって窒素ガスを供給するようにマスフローコントローラ40を制御する(#23)。ノズルパージパターンP1によるパージは収納前用設定時間としての供給時間t1の間継続される(#24)。そして、供給時間t1が経過したと判別されると、続いてマスフローコントローラ40にパージを終了するパージ終了指令を指令し、パージ完了信号をストッカコントローラH2に出力する(#25)。
【0093】
続いて、パージコントローラH1は、#16で選択されたパージパターンで窒素ガスを供給するように容器50が収納された収納部10Sに対応するマスフローコントローラ40を制御する(#26)。#26で指令されたパージは、収納部10Sに容器50が存在する間継続される(#27)。#27において、収納部10Sに容器50が存在しない状態と判別されると、その収納部10Sに対応するマスフローコントローラ40パージを終了するパージ終了指令を指令し、パージ完了信号をストッカコントローラH2に出力する(#28)。
【0094】
また、#21において、清掃開始が指令されたと判別されると、クリーニングパターンP2として設定されたパターンにしたがって窒素ガスを供給するようにマスフローコントローラ40を制御する(#29)。
#28の処理の完了若しくは#29の処理の完了に引き続き、又は#22において収納指令が指令されていないと判別された場合には、上記フローを完了しリターンする。
【0095】
(流量抑制処理について)
本実施形態において、パージコントローラH1は、CH1に属する全ての不活性気体供給部Fに対して供給可能な最大許容流量Lmaxを記憶するように構成されている。
そして、パージコントローラH1は、一群の不活性気体供給部Fについて節約供給パターンにて供給する窒素ガスの流量の合計Ltotalが最大許容流量以上になる場合には、一群の不活性気体供給部Fの全てについての目標流量を低減させるべく、次の式1のように目標流量を更新する流量抑制処理を実行する。
目標流量=目標流量×(最大許容流量Lmax)/(流量の合計Ltotal) ・・・(式1)
すなわち、パージコントローラH1が、例えば一群の不活性気体供給部Fについて節約供給パターンにて供給する窒素ガスの流量の合計が最大許容流量以上になる場合、または、第1分岐供給配管Lb1から不活性気体供給部Fに至るまでの配管抵抗が大きい不活性気体供給部Fと小さい不活性気体供給部Fとが存在し、第1分岐供給配管Lb1から供給される不活性気体が第1分岐供給配管Lb1から不活性気体供給部Fに至るまでの配管抵抗が小さい不活性気体供給部に優先的に通流することによって配管抵抗が大きい不活性気体供給部Fの流量が目標流量に対して不足する場合には、一群の不活性気体供給部Fの全てから供給される不活性気体の目標流量を一定の低減率で低減させるべく流量抑制処理を実行するように構成されている。
本実施形態の場合、上記低減率は、一群の不活性気体供給部Fの全ての目標流量の合計が最大許容流量Lmaxとなるように設定される。
なお、上記説明ではCH1を対象とした場合を説明したが、CH2についても同様である。
【0096】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、搬送容器50をFOUPとし、収容する物品を半導体ウェハーWとし、不活性気体として搬送容器に窒素ガスを供給する構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、収容する物品をレチクルとし、搬送容器50をレチクル容器としてもよい。また、搬送容器に供給する不活性気体としては、窒素ガス以外にもアルゴンガス等、収容される基板に対して反応性の低い各種の気体を使用することができる。
【0097】
(2)上記実施形態では、流量検出手段をマスフローコントローラ40に内蔵する状態で設ける構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、流量検出手段を供給配管Liに備える構成としてもよい。
【0098】
(3)上記実施形態では、特定供給部選択手段を、不活性気体を通流させて不活性気体供給部Fを清掃する清掃指令を人為操作で指令する清掃指令手段として構成したが、特定供給部選択手段としては、清掃指令手段以外にも各種の選択手段を適用可能である。例えば、試験対象の不活性気体供給部を特定供給部として、当該特定供給部における不活性気体の通流状態を試験するための試験用供給選択手段を特定供給部選択手段とするなど、各種の構成が考えられる。
【0099】
(4)上記実施形態では、保管用パージパターンP3〜P6のうちいずれを使用するかを、供給パターン選択手段としての操作卓HSから人為的に選択する構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、パージコントローラH1が、収納される容器50の種別や収納される容器50に収容される基板の状態に応じて保管用パージパターンP3〜P6のうちいずれを使用するかを判別し、その判別結果にしたがって保管用パージパターンP3〜P6のうちいずれを使用するかを選択するように構成してもよい。この場合、供給パターン選択手段は、パージコントローラH1にプログラムモジュールとして備えられることになる。
【0100】
(5)上記実施形態においては、保管用パージパターンP3〜P6に対して、パターン特定パラメータとして、不活性気体供給部Fから不活性気体を容器50に供給する供給時間と、不活性気体供給部Fから不活性気体を容器50に供給する供給流量とを変更設定自在に構成したが、上記保管用パージパターンP3〜P6に加えて、ノズルパージパターンP1及びクリーニングパターンP2についても、パターン特定パラメータとしての供給時間及び供給流量を変更設定自在に構成することができる。
【0101】
(6)上記実施形態では、パージコントローラH1が、流量抑制処理において、一群の不活性気体供給部Fの全てについての目標流量を一定の低減率で低減させるように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、供給流量値として初期目標流量値が設定されている不活性気体供給部Fについてのみ目標流量を低減させるように構成したり、容器50に収容されている半導体ウェハーWの状態を管理し、不活性気体の供給量を低減させても半導体ウェハーWの汚損や劣化が進行する虞の少ない容器50が収納されている収納部10Sに対応する不活性気体供給部Fを選択して目標流量を低減させる等、目標流量を低減させる不活性気体供給部Fの選択方法については容器50に収容される半導体ウェハーWへの影響が許容限度内におさまる限りにおいて様々な方法を設定することができる。
【0102】
(7)上記実施形態では、流量抑制処理として、式1に基づいて目標流量を更新する構成としたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、低減率を一定値(例えば15%)に固定し、一群の不活性気体供給部Fについて節約供給パターンにて供給する窒素ガスの流量の合計Ltotalが最大許容流量以上になる場合には、一群の不活性気体供給部Fの全てについての目標流量を上記一定値だけ低減させるように構成してもよい。
【0103】
(8)上記実施形態では、容器50に対して供給する不活性気体の目標流量を第1目標流量値と当該第1目標流量値より小さな第2目標流量値との2段階とするように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば不活性気体の目標流量を3段階又はそれ以上設定し、第1目標流量値の後に第2目標流量値、第3目標流量値(或いはそれ以上の目標流量値)を切換える状態でマスフローコントローラ40を作動させるように構成してもよい。
【0104】
(9)上記実施形態では、パージコントローラH1が、一群の不活性気体供給部Fについて節約供給パターンにて供給する窒素ガスの流量の合計Ltotalが最大許容流量Lmax以上になる場合には、一群の不活性気体供給部Fの全てについての目標流量を低減させる流量抑制処理を実行するように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、目標流量を変更しない状態で窒素ガスを供給し、マスフローコントローラ40が流量不足状態としてエラーを出力した場合に、そのエラーをリセットすると共に、パージコントローラH1によって一群の不活性気体供給部Fの一部又は全部から供給される不活性気体の目標流量を低減させるようにマスフローコントローラ40に指令するように構成してもよい。
【0105】
(10)上記実施形態では、第1分岐供給配管Lb1から窒素ガスを供給される12個の不活性気体供給部FをCH1とし、第2分岐供給配管Lb2から窒素ガスを供給される12個の不活性気体供給部FをCH2とする状態で、パージコントローラH1が、それらCH1又はCH2を対象として、節約供給パターンにて供給する窒素ガスの流量の合計Ltotalが最大許容流量Lmax以上になる場合には、一群の不活性気体供給部Fの全てについての目標流量を低減させる流量抑制処理を実行するように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば第1分岐供給配管Lb1から窒素ガスを供給される12個の不活性気体供給部Fと第2分岐供給配管Lb2から窒素ガスを供給される12個の不活性気体供給部Fとの双方を一群の不活性気体供給部Fとしてもよい。また、上記実施形態では、チャネルを2つ備える構成を説明したが、チャネルを単一又は3つ以上備える構成としてもよい。さらに、チャネルと1つのみ備える構成である場合、元ガス供給配管Lmから供給配管Lsが分岐する構成としてもよい。
【0106】
(11)上記実施形態では、容器50を収納する収納部として、保管棚10の収納部10Sを例示したが、収納部としては、例えば、ホイスト式の搬送車DのガイドレールGの横側脇に設けた収納部でもよい。
【0107】
(12)上記実施形態では、4つの保管用パージパターンP3〜P6を例示したが、保管用パージパターンとしては、例えば、初期目標流量にて不活性ガスを供給することを間欠的に行うパターン等、種々のパターンを用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0108】
10S 収納部
10i 吐出口
20 搬送装置
40 流量調節装置
50 搬送容器
F 不活性気体供給部
H 制御手段
HS パターン選択手段、清掃指令手段
Lα 第1目標流量値
Lβ 第2目標流量値
Lmax 最大許容流量
Lb1、Lb2 供給源
P3〜P6 節約供給パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9