特許第5717009号(P5717009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5717009自動販売機用セグメント表示装置及び商品選択スイッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717009
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】自動販売機用セグメント表示装置及び商品選択スイッチ
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/02 20060101AFI20150423BHJP
   G07F 9/00 20060101ALI20150423BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20150423BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20150423BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   G07F9/02 103
   G07F9/00 H
   G09F9/30 349D
   G09F9/302 Z
   G09F9/33
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-1299(P2013-1299)
(22)【出願日】2013年1月8日
(65)【公開番号】特開2014-134893(P2014-134893A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2014年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153236
【氏名又は名称】株式会社光波
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 謙治
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−119357(JP,A)
【文献】 特開平09−022259(JP,A)
【文献】 特開平09−237054(JP,A)
【文献】 特開2004−192883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/02
G07F 9/00
G09F 9/30
G09F 9/302
G09F 9/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセグメントにより紙幣挿入金額表示、貨幣投入金額表示あるいは商品価格表示などを表示する自動販売機用のセグメント表示装置であって、
基板と、
前記基板に搭載された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれに対応する複数の貫通開口を有するリフレクタと、
を備え、
前記貫通開口は、前記リフレクタの厚み方向を前後方向として前記基板側を後側、前記基板側と反対側を前側としたとき、内壁面が前後に分けられた複数の前後二段の開口からなり、
前記前段の開口及び前記後段の開口は、それぞれ一方向に延びた開口であり、
前記複数の開口の一部は、前記前段の開口及び前記後段の開口がそれぞれの前記一方向が互いに交差するように配置された構成を有してなることを特徴とする自動販売機用セグメント表示装置。
【請求項2】
前記前段の開口は、第1の方向に延びた開口及び前記第1の方向と交差する第2の方向に延びた開口により前記セグメントの領域が構成され、前記後段の開口は、前記第2の方向に延びた開口により前記発光素子の領域が構成されてなることを特徴とする請求項1記載の自動販売機用セグメント表示装置。
【請求項3】
前記発光素子は、長方形状の配置スペースを必要とする発光素子であり、その長辺を前記後段の開口に沿って挿入されてなることを特徴する請求項1又は2記載の自動販売機用セグメント表示装置。
【請求項4】
前記前段の開口は、7つのセグメントを構成することを特徴する請求項1〜3のいずれかに記載の自動販売機用セグメント表示装置。
【請求項5】
販売機本体に着脱可能に取り付けられるベースと、前記ベースに取り付けられるケースとを備えており、
前記ベースには、上記請求項1に記載のセグメント表示装置と、前記セグメント表示装置の前記貫通開口に対応する位置に光透過領域を有する表示シートとが設けられ、
前記ケースには、前記光透過領域を表示させる操作部が設けられてなることを特徴とする自動販売機用商品選択スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機用セグメント表示装置及び商品選択スイッチに係り、特に、チップLEDの発光を利用することで数字や記号等を表示する自動販売機用セグメント表示装置及びこれを備えた商品選択スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発光ダイオード等の発光体を選択的に発光させることで数字や記号等を表示するディジタル表示器が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記特許文献1記載の従来のディジタル表示器は、複数の発光体を実装した絶縁基板と、複数の発光体から発せられる光を案内する複数の光導出穴を有する反射板と、複数の光導出穴を通過する光を散乱させながら透過させる複数の表示セグメントが形成された拡散シートとを備えている。
【0004】
反射板の光導出穴は、縦方向に長い縦長穴と横方向に長い横長穴とを互いに組み合わせた7つのセグメントで数字を表示するように構成されている。絶縁基板には、長方体形状をなす発光体の長辺部が反射板の縦長穴及び横長穴のそれぞれの長手方向と同一方向に配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−22259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1記載の従来のディジタル表示器における発光体の長辺部は、7つのセグメントの配置方向と同一方向に配列されている。そのため、7セグメントの表示は、発光体の大きさに依存することとなり、7セグメントの小型化を図ることは困難であるという問題点があった。
【0007】
本発明の目的は、セグメント表示の小型化を可能とした自動販売機用セグメント表示装置及び商品選択スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明は、複数のセグメントにより紙幣挿入金額表示、貨幣投入金額表示あるいは商品価格表示などを表示する自動販売機用のセグメント表示装置であって、基板と、前記基板に搭載された複数の発光素子と、前記複数の発光素子のそれぞれに対応する複数の貫通開口を有するリフレクタと、を備え、前記貫通開口は、前記リフレクタの厚み方向を前後方向として前記基板側を後側、前記基板側と反対側を前側としたとき、内壁面が前後に分けられた複数の前後二段の開口からなり、前記前段の開口及び前記後段の開口は、それぞれ一方向に延びた開口であり、前記複数の開口の一部は、前記前段の開口及び前記後段の開口がそれぞれの前記一方向が互いに交差するように配置された構成を有してなることを特徴とする自動販売機用セグメント表示装置にある。
【0009】
[2]前記前段の開口は、第1の方向に延びた開口及び前記第1の方向と交差する第2の方向に延びた開口により前記セグメントの領域が構成され、前記後段の開口は、前記第2の方向に延びた開口により前記発光素子の領域が構成されてなることを特徴とする前記[1]に記載の自動販売機用セグメント表示装置。
【0010】
[3]上記[1]又は[2]記載の前記発光素子は、長方形状の配置スペースを必要とする発光素子であり、その長辺を前記後段の開口に沿って挿入されてなることを特徴する。
【0011】
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の前記前段の開口は、7つのセグメントを構成することを特徴する。
【0012】
[5]本発明は更に、販売機本体に着脱可能に取り付けられるベースと、前記ベースに取り付けられるケースとを備えており、前記ベースには、上記請求項1に記載のセグメント表示装置と、前記セグメント表示装置の前記貫通開口に対応する位置に光透過領域を有する表示シートとが設けられ、前記ケースには、前記光透過領域を表示させる操作部が設けられてなることを特徴とする自動販売機用商品選択スイッチを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、セグメント表示を小型化することができるようになり、セグメント表示装置と商品選択スイッチとの体格をコンパクト化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の代表的な第1の実施の形態に係る自動販売機用セグメント表示装置の正面図である。
図2図1のII−II線矢視断面図である。
図3図1のIII−III線矢視断面図である。
図4】(a)は第1の実施の形態に係る発光素子を搭載した回路基板の正面図であり、(b)は上面図、(c)は右側面図である。
図5】(a)は第1の実施の形態に係るリフレクタの正面図であり、(b)は背面図である。
図6】第2の実施の形態に係る自動販売機用商品選択スイッチの一例を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は下面図である。
図7】商品選択スイッチの構成部品を説明するための部分分解斜視図である。
図8】(a)は商品選択スイッチの構成部品であるリフレクタの正面図であり、(b)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0016】
なお、以下の説明において、セグメント表示装置の正面側を前面部、背面側を後面部といい、セグメント表示装置を正面からみて上下左右、又は縦横という。複数組の7セグメントのそれぞれの形状及び構造は同一である。そのため、1組の7セグメントのみについて説明し、他の7セグメントについての説明は省略する。
【0017】
[第1の実施の形態]
(セグメント表示装置の全体構成)
図1において、全体を示す符号1は、7つのセグメントで数字を表示するセグメント表示装置の一例を例示している。図示例によるセグメント表示装置1は、例えば各種の飲料を販売する自動販売機の釣銭切れ表示、挿入された紙幣又は投入された硬貨の金額の表示を行う金額表示、あるいは商品価格を表示する商品価格表示などに効果的に用いられる。
【0018】
このセグメント表示装置1は、図1図3に示すように、回路基板2と、回路基板2に実装された複数の薄型のチップLED3,…,3と、回路基板2に一体成形されたリフレクタ4とにより構成されている。
【0019】
この第1の実施の形態に係るセグメント表示装置1は、特に、チップLED3の形状や配置方向、リフレクタ4のセグメント開口の構造や配置方向に主要な特徴部を有している。
【0020】
(チップLEDの構成)
この回路基板2には、図1図4に示すように、複数のチップLED3が「0」から「9」までの数字を表示する7セグメント表示パターンに配列されている。複数のチップLED3を選択的に点灯・消灯動作させることで、数字の表示が可能となっている。
【0021】
図示例では、3桁の7セグメント表示が形成されており、合計21個のチップLED3が回路基板2の上下左右に表面実装されている。なお、回路基板2には、図示しないチップ抵抗などの実装部品が搭載されている。
【0022】
このチップLED3は、図1図4に示すように、平面視で長方形をなしており、光を発する発光部3aと発光部3aの両側一対の端子部3b,3bとを有している。チップLED3は、占有する実装領域が長方形であるチップ状の発光素子であり、長方体の凸状を有する外観形態に形成されている。
【0023】
複数のチップLED3は、図1図4に示すように、回路基板2の前面に長辺部同士を上下方向に配列して搭載されており、複数のチップLED3を実装するための実装領域が小さくなっている。この複数のチップLED3の長辺部が同一方向に表面実装されていることから、複数のチップLED3の実装領域が高密度化されている。
【0024】
従って、長辺部及び短辺部が異なる方向に配列された従来の上記発光体と比較して、回路基板2に対して7セグメント表示パターンが占有する実装面積を小さく設定することが可能となる。この実装面積とは、7セグメント表示パターンを形成するために必要とする縦横面積である。
【0025】
(リフレクタの構成)
一方、リフレクタ4は、図1図5に示すように、回路基板2に固定される矩形状の本体4aを有している。リフレクタ4の材質としては、例えばポリフェニレンエーテル系樹脂に白色系着色剤等を混入させた白色樹脂材が挙げられる。
【0026】
このリフレクタ4の本体4aの内部には、図1図5に示すように、前後に貫通する開口51,52が形成されている。この開口51,52は、段差4bを介して連結されており、本体4aの内壁面が前後二段の開口部に分かれている。この本体4aは、前段の開口51と後段の開口52とを形成する隔壁となっている。
【0027】
この前段の開口51は、図1図5に示すように、8字状に配置された7つのセグメントで数字を表示する第1〜第7の開口51a〜51gを有しており、チップLED3の光出射領域となっている。
【0028】
一方の後段の開口52は、図1図5に示すように、前段の開口51a〜51gと対応する第1〜第7の開口52a〜52gを有しており、チップLED3を挿入する挿入領域となっている。
【0029】
前段の第1、第4及び第7の開口51a,51d,51gは、図1図5に示すように、左右に長い6角形の横長開口に形成されており、互いに平行に配置されている。前段の第2、第3、第5、及び第6の開口51b,51c,51e,51fは、上下に長い6角形の縦長開口に形成されており、互いに平行に配置されている。
【0030】
前段の第2及び第6の開口51b,51fは、図1図5に示すように、第1及び第7の開口51a,51gの対向端部の間に配置されている。前段の第3及び第5の開口51c,51eは、第4及び第7の開口51d,51gの対向端部の間に配置されている。
【0031】
一方、後段の第1〜第7の開口52a〜52gとしては、図1図5に示すように、左右に長い矩形の横長開口に形成されることが肝要である。この後段の開口52a〜52gの全ては、チップLED3の配置方向とは同一方向に形成されており、互いに平行に配置されている。
【0032】
後段の第2及び第6の開口52b,52fは、図1図5に示すように、第1及び第7の開口52a,52gの対向長辺部の間に配置されている。後段の第3及び第5の開口は、第4及び第7の開口の対向長辺部の間に配置されている。
【0033】
後段の第1、第4、及び第7の開口は、図1図5に示すように、前段の第1、第4、及び第7の横長の開口51a,51d,51gと同一方向に配置されている。
【0034】
後段の第2、第3、第5、及び第6の開口52b,52c,52e,52fは、図1図5に示すように、前段の第2、第3、第5、及び第6の縦長の開口51b,51c,51e,51fと交差する方向に配置されている。
【0035】
後段の第1〜第7の開口52a〜52gの全ては、図1図5に示すように、左右に長い矩形の横長開口に形成された構成となっていることから、リフレクタ4の開口の広がりを抑制する構造とすることが可能となる。
【0036】
この前後の開口51,52と、この開口51,52のそれぞれに対応するチップLED3とにより、セグメント表示領域における1組のセグメントが構成されている。このセグメントを一組として三組を左右一列に配置することで、3桁の7セグメント表示領域を有するセグメント表示装置1が構成される。
【0037】
チップLED3からの光は、全ての開口51,52から外方へ出射されることで、セグメント全体が点灯する。従って、複数のチップLED3のうちの任意のチップLED3が点灯することで、7セグメント表示領域のうちの任意のセグメントが点灯し、任意の数字が表示可能となる。
【0038】
なお、リフレクタ4の開口51の形態、配置位置や設置個数などは、図示例に限定されるものではなく、他の様々な形態を採用できることは勿論である。また、リフレクタ4の開口52ごとに2個以上のチップLED3を配置する構成であっても適用することができる。リフレクタ4の前面側には、チップLED3からの光を拡散させる拡散シートを配置することが好適である。
【0039】
(第1の実施の形態の効果)
以上のように構成された第1の実施の形態に係るセグメント表示装置1は、上記効果に加えて、次の効果が得られる。
【0040】
(1)左右に長い長方体のチップLED3の長辺部同士を上下方向に配列した構成であるので、セグメント表示装置1の体格の増大を抑制することができるようになる。
(2)リフレクタ4のセグメント領域が、チップLED3の実装領域によって制限されることなく、小さな表示に効果的に用いることができる。
(3)リフレクタ4のセグメント領域が、チップLED3の実装領域により制限されないことから、セグメント表示装置1のデザインの自由度を向上させることができる。
【0041】
[第2の実施の形態]
図6図8を参照すると、これらの図には、上記第1の実施の形態であるセグメント表示装置1を備えた商品選択スイッチ20の一構成例が例示されている。なお、これらの図において、上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材に関する詳細な説明は省略する。
【0042】
(商品選択スイッチの外観構成)
この商品選択スイッチ20(以下単に、「スイッチ20」という。)は、販売機本体に装着されるものである。この販売機本体は、従来から用いられている各種の構造及び機能を採用することができるものであるので、その詳細な説明は省略する。
【0043】
このスイッチ20の外観は、図6(a)及び(b)に示すように、左右に長い平面矩形状のベース21と、そのベース21に取り付けられる平面矩形状のケース22と、そのケース22の前面部に形成された楕円形状の開口22aを介してプッシュ操作可能に支持された操作部である押釦61との三つの部材により主に構成されている。このスイッチ20は、ケース22の前面部に複数の押釦61,…,61を左右一列に配列したスイッチユニットとして構成されている。
【0044】
このベース21及びケース22は、例えばアクリル系樹脂あるいはポリカーボネイト系樹脂などの着色された樹脂により形成されている。一方、押釦61は、例えば操作面61aがレンズ状に形成されたアクリル系樹脂あるいはポリカーボネイト系樹脂などの透光性樹脂材料により形成されている。
【0045】
このベース21は、図示しない販売機本体の背面パネルに着脱可能に取り付けられる。ベース21の背面部には、図6(a)及び(b)に示すように、下方開口した筒状の取付ボス21aが突設されている。この取付ボス21aは、背面パネルに穿設された固定用孔に嵌挿され、取付ボス21aを介してネジにより締付固定される。
【0046】
この販売機本体の背面パネルに対するベース21の固定には、ボルト・ナットやネジなどの締付固定、クリップによるクリップ固定、あるいは両面テープによる接着固定などによる各種の固定手段が用いられる。その固定手段の配置個数や配置位置などは、スイッチユニットに対して必要な取付強度などを考慮して設定される。
【0047】
一方のケース22は、図6(a)及び(b)に示すように、ベース21に固着一体化されている。このベース21に対するケース22の結合には、ケース22を液密かつ気密に固着する構造であればよく、例えば接着材や溶着による結合方法が採用されている。
【0048】
(商品選択スイッチの内部構成)
このベース21とケース22とを互いに組み付けることで形成される内部空間には、図7に示すように、購入商品に関する各種の情報を照明表示する照明表示用部品を構成する表示ユニット部30と、その表示ユニット部30からの光により情報が透過表示される操作用部品を構成する操作ユニット部60とが収容される。
【0049】
この表示ユニット部30は、図7に示すように、固定側の回路基板2に照明表示用部品を集約一体化している。一方の操作ユニット部60は、可動側の押釦61に操作用部品を集約一体化している。固定側の回路基板2に照明表示機能を集約化することで、スイッチ20は、押釦61における透過表示の視認性や光取り出し効率を確保しつつ、小型化されている。
【0050】
(表示ユニット部の構成)
この表示ユニット部30は、図7に示すように、上記セグメント表示装置1と、このセグメント表示装置1からの反射光により透過表示する表示シート32とを一組として複数組を回路基板2の長手方向に所要の間隔をもって実装している。表示シート32を除く表示ユニット部30の照明表示用部品は、接着剤を用いることなく、機械的な固定手段により組み付けられる。
【0051】
この回路基板2には、図7に示すように、押釦61のプッシュ操作により動作するスイッチ素子であるタクトスイッチ41や図示しないチップ抵抗などの実装部品が搭載されている。回路基板2の材質としては、例えばガラス基材又はエポキシ系・ポリエステル系コンポジット基材が挙げられる。
【0052】
このチップLED3は、図7に示すように、任意の金額表示を照明するための複数のセグメントLED31a,…,31aと、任意の情報表示を照明するための複数の表示LED31b,…,31bとを備えている。このセグメントLED31aと表示LED31bとは、任意の金額及び任意の情報表示を表示するリフレクタ4の表示領域に対応して回路基板2の前面部に集中して配置されている。
【0053】
このリフレクタ4は、図7図8(b)に示すように、平面楕円形状をなしており、回路基板2のチップLED3を囲む前面部に搭載されている。リフレクタ4は、任意の金額を表示するセグメント表示領域53と、任意の情報を表示する販売情報表示領域55とを備えている。この販売情報表示領域55は、販売機本体の稼動を表示する稼動表示、購入商品を指定する押釦61の操作面61aを表示する操作面表示などの各種の情報表示を含んでいる。
【0054】
このセグメント表示領域53には、図8(a)及び(b)に示すように、複数の開口(以下、「セグメント開口」という。)51が形成されている。一方の販売情報表示領域55には、複数の表示開口54,…,54が形成されている。
【0055】
この表示開口54は、図8(a)及び(b)に示すように、販売情報表示に対応して貫通形成されている。この表示開口54は、リフレクタ4の背面から前面に向けて次第に拡開したテーパ形状を有しており、表示LED31bからの光を押釦61側に向けて反射させるように構成されている。
【0056】
なお、表示開口54の形態、配置位置や設置個数などは、図示例に限定されるものではなく、他の様々な形態を採用できることは勿論である。
【0057】
このリフレクタ4の背面部は、回路基板2に挿入固定する際の配置方向を決定するための誤挿入防止部材を備えている。この誤挿入防止部材は、図8(a)及び(b)に示すように、リフレクタ4の中心からの間隔が互いに異なる位置に突出して形成された複数の突出ピン4d,…,4dからなる。
【0058】
一方、回路基板2には、図7に示すように、リフレクタ4の突出ピン4dの挿入位置を決定するための複数のピン孔部2a,…,2aが貫通して形成されている。この突出ピン4dとピン孔部2aとは、回路基板2にリフレクタ4を装着する際に誤って挿入することでチップLED3の破損や破壊などを回避することを可能としている。
【0059】
このリフレクタ4には更に、図7図8(b)に示すように、回路基板2に位置決め固定する位置決め部材である複数の弾性片42,…,42が備えられている。一方、回路基板2には、弾性片42を挿入するための複数の位置決め孔部2b,…,2bが貫通して形成されている。
【0060】
この突出ピン4d及び弾性片42の配置位置や設置個数などの形態としては、図示例に限定されるものではなく、他の様々な形態を採用できることは勿論である。
【0061】
この表示シート32は、図7に示すように、リフレクタ4からの反射光の透過により所要の表示デザインを表示する楕円形状のプレート基材からなり、リフレクタ4の前面部に貼り付けられている。表示シート32としては、例えばガラス板、アクリル系樹脂あるいはポリカーボネイト系樹脂などのプラスチック板、プラスチックフィルム又はプラスチックシートが好適に用いられる。
【0062】
この表示シート32には、図7に示すように、リフレクタ4におけるセグメント開口51と表示開口54とに対応した部分を除いて遮光性印刷層が形成されている。このセグメント開口51と表示開口54とに対応した部分には、表示部である光透過性印刷層が光透過領域として形成されている。
【0063】
この光透過領域は、例えば「HOT」及び「COLD」を表示する冷温表示と、「売切」を表示する売切表示と、「準備中」を表示する準備中表示と、「¥」を表示する日本円表示と、商品価格を表示するセグメント表示との各種の表示からなる。リフレクタ4からの反射光は、遮光性印刷層で遮光され、光透過性印刷層で透過される。
【0064】
この光透過領域は、印刷が施されていない抜き表示部であっても構わない。光透過領域の配置や表示などの形態としては、図示例に限定されるものではなく、他の様々な形態を採用できることは勿論である。
【0065】
(操作ユニット部の構成)
一方の操作ユニット部60は、図7に示すように、ケース22の開口22aを介してプッシュ操作可能な操作面61aを有する押釦61と、押釦61をプッシュ操作可能に弾性支持する弾性カバー62と、チップLED3から照射された光を拡散させる拡散部材63とを備えている。この操作ユニット部60は、接着剤を用いることなく、機械的な固定手段により集約一体化して組み付けられる。
【0066】
この押釦61は、図7に示すように、下方に開口した楕円形状の凹部を有するキャップ状に形成されている。押釦61の凹部の下部開口端縁に形成された環状の鍔部61bが、回路基板2を液密かつ気密に覆う弾性カバー62により、ケース22の開口22aの開口縁部と当接した状態で配置される。
【0067】
この押釦61は、外部の光を反射するとともに、チップLED3からの光を透過する性質を有する着色剤や顔料等を混入させて形成されている。押釦61の材質としては、例えばスモークブラウンやスモークグレーなどに着色した樹脂材料が好適に用いられる。
【0068】
このチップLED3が消灯している際には、押釦61は、光反射作用により着色自体の色調で視認される。一方、チップLED3が点灯すると、押釦61は、チップLED3からの光を透過させるので、表示シート32の光透過領域が押釦61の操作面61aに透過表示されることとなる。
【0069】
この弾性カバー62は、図7に示すように、下部が開口した楕円形状の凹部を有しており、ドーム状の空間を形成している。この凹部に囲まれた底部には、押釦61のプッシュ操作に連動して回路基板2のタクトスイッチ41を作動させる柱状をなす一対のスイッチ作動部が突出して形成されている。
【0070】
この弾性カバー62は、透明又は半透明なシリコンゴムなどのゴム状弾性体により形成されている。弾性カバー62の材質は、ゴム状弾性体に限定されるものではなく、各種の弾性変形可能な透明又は半透明な部材を適宜に選択すればよい。
【0071】
この弾性カバー62は、図7に示すように、表示ユニット部30を液密かつ気密に覆った状態で回路基板2に搭載される。弾性カバー62の凹部を形成する壁部には、押釦61の凹部が嵌め込まれ、弾性カバー62の凹部内に嵌め込まれた拡散部材63により、押釦61が弾性カバー62に固定支持される。
【0072】
この弾性カバー62のスイッチ作動部は、拡散部材63、表示シート32、及びリフレクタ4のそれぞれに貫通形成された貫通孔63a,32a,4cを介してタクトスイッチ41に対して所要の間隔をもって配置される。
【0073】
この拡散部材63は、図7に示すように、剛性の楕円板状部材からなる。この拡散部材63の材質は、例えばアクリル系樹脂あるいはポリカーボネイト系樹脂などの透光性樹脂材料からなる。
【0074】
この拡散部材63を剛性の楕円板状部材に形成することで弾性カバー62よりも剛性が高められている。この拡散部材63は、押釦61を弾性カバー62に固定支持する固定部材としての機能を有しており、押釦61に対する弾性カバー62の取付強度と保形性とが確保されている。
【0075】
この拡散部材63の前面部は、図7に示すように、楕円形の中心から偏った位置を中心とする楕円形状の中間領域を除く外周領域に微細なローレット形状の凹凸形状部63bを有している。この外周領域は、チップLED3からの光を拡散させることで押釦61へ導く拡散レンズとして機能する。
【0076】
この拡散部材63の中間領域には、図7に示すように、複数の微小な突起63cが突出して形成されている。この突起63cは、拡散部材63が弾性カバー62に貼り付くことを防止する機能を有している。弾性カバー62に対する拡散部材63の貼り付きを防止していることから、斑模様の発生を防止することができるようになり、押釦61の外観意匠性を向上することが可能となる。
【0077】
押釦61と弾性カバー62との間に形成される隙間は、空気層を有する。弾性カバー62と拡散部材63との間に形成される隙間にあっても、突起44bの凹凸により空気層を有する。空気層の存在により、弾性カバー62が押釦61や拡散部材63に接触したときの貼り付きや斑模様の発生を防止することができるようになり、表示品質を向上することができる。
【0078】
1つのスイッチユニットに装着された回路基板2は、図7に示すように、表示ユニット部30を一組として複数組を実装した長尺状の単一の回路基板2により構成されている。この回路基板2の背面部には、図6に示すように、複数のスイッチ20のそれぞれに対応してコネクタ21bが実装されている。
【0079】
このコネクタ21bの図示しない相手側コネクタを差し込むための差し込み口は、ベース21に形成された図示しないコネクタ挿入開口を介して外部に露出した状態で配置されている。相手側コネクタは、販売機本体の制御ユニットに接続された外部コネクタの配線と電気的に接続される。
【0080】
(第2の実施の形態の効果)
以上のように構成された自動販売機用商品選択スイッチ20は、固定側の回路基板2にリフレクタ4及び表示シート32を配置した構成であるので、上記効果に加えて、次の効果が得られる。
【0081】
(1)セグメント表示装置1の体格をコンパクト化することができることから、余分な空きスペースが不要となり、光の利用効率を高めることが可能となり、省電力化と小型化とが簡単な構成をもって実現することが可能となる。
(2)回路基板2側のチップLED3から押釦61の背面部までの間の距離を近づけることができるので、リフレクタ4からの反射光を有効に取り出せるとともに、押釦61に対する照光量を十分に確保することができる。
(3)回路基板2側のチップLED3から表示シート32までの間の距離を近づけることができるので、セグメント表示領域53及び販売情報表示領域55を維持したままの状態で、スイッチ全体の大きさを短縮することができるようになる。
【0082】
[変形例]
以上より、本発明に係る自動販売機用セグメント表示装置1及びこれを備えた商品選択スイッチ20の代表的な構成例を実施の形態、及び図示例を挙げて説明したが、上記実施の形態、及び図示例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。本発明の技術思想の範囲内において種々の構成が可能であり、例えば次に示すような変形例も可能である。
【0083】
上記実施の形態及び図示例では、7セグメントの構成を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば8以上のセグメントであっても効果的に適用することができる。
【0084】
上記実施の形態及び図示例では、押釦61を操作部とした構成例を例示したが、これに限定されるものではない。販売機本体の前面パネルに近接又は接触した商品購入者の手指、あるいは販売機本体の周囲に商品購入者が近づいたことを検知するための各種のセンサを用いることができる。これにより、押釦61に代えて、ケース22の前面部の一部をタッチ操作面として利用することができる。
【0085】
そのセンサの一例としては、例えば静電容量の変化を利用した静電容量型の近接センサが好適に用いられる。他の一例としては、例えば測距センサ、光電センサ、高周波発振型近接センサ、磁気近接センサや赤外線近接センサなどの人感センサが挙げられる。
【0086】
上記実施の形態及び図示例では、弾性カバー62の凹部内に突出形成されたスイッチ作動部を例示したが、押釦61の背面部に突出形成されたスイッチ作動部により、回路基板2に実装されたスイッチ素子を作動させる構成を採用することもできる。
【0087】
たばこ等のパッケージ商品、缶又はペットボトル等に充填した飲料商品などの各種の自動販売機に効果的に適用することができることは勿論である。
【0088】
以上の説明からも明らかなように、本発明に係る代表的な実施の形態、変形例、及び図示例を例示したが、上記実施の形態、変形例、及び図示例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。従って、上記実施の形態、変形例、及び図示例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0089】
1…セグメント表示装置、2…回路基板、2a…ピン孔部、2b…位置決め孔部、3…チップLED、3a…発光部、3b…端子部、4…リフレクタ、4a…本体、4b…段差、4c,32a,63a…貫通孔、4d…突出ピン、20…商品選択スイッチ、21…ベース、21a…取付ボス、21b…コネクタ、22…ケース、22a…開口、30…表示ユニット部、31a…セグメントLED、31b…表示LED、32…表示シート、41…タクトスイッチ、42…弾性片、51,51a〜51g…前段の開口、52,52a〜52g…後段の開口、53…セグメント表示領域、54…表示開口、55…販売情報表示領域、60…操作ユニット部、61…押釦、61a…操作面、61b…鍔部、62…弾性カバー、63…拡散部材、63b…凹凸形状部、63c…突起
図1
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図8