(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
現在、顧客がスーパー等の小売店で購入した商品を持ち帰る手段として、無料で配布される樹脂フィルム製の買物袋が主に使用されている。そして中でも広く利用されているのは、低密度ポリエチレンの薄いフィルムを溶着して袋状に製造された買物袋である。しかしながら、この種の買物袋は伸び耐性が低く、重い商品を詰めて提げると、樹脂フィルムがたやすく延伸して該買物袋が裂けたり変形したりしてしまい、このため該樹脂フィルム製買物袋は多くの場合使い捨てで使用されている。
樹脂フィルム製の買物袋は石油を原料として製造されるものであるので、その使い捨ては、貴重な石油資源の浪費に繋がる。また、樹脂フィルム製買物袋には一般に種々の添加剤が配合されるため、これを焼却により処分すると、例えばCO
2等の有害なガスの発生
源となる。二酸化炭素は、温室効果ガスとも呼ばれ、地球温暖化の原因となることが知られている。従って、樹脂フィルム製買物袋の使い捨てという使用態様は環境保全・資源節約の観点より非常に好ましくない。
そこで、本発明者は、この課題を考慮し、これまでに主にポリエステル樹脂製の不織布を袋状に縫製して製造したところの回収・再生産(リサイクル化)を目指す買物袋を提案している(特許文献1及び特許文献2)。
【0003】
ところで、一般に、小売店で配布される買物袋には、各小売店独自のロゴマーク等が印刷される。ロゴマークは小売店ごとに識別する機能、宣伝広告する機能を果たすことから、小売店としては再利用を目的とした上記の不織布製買物袋にもロゴマーク等を印刷することを望んでいる。
しかしながら、従来の不織布からなる買物袋にロゴマークなどを印刷した場合、買物袋の基材となる不織布を再生するためにそれら印刷インクを取り除く必要があるが、その技術が未だ開発提案されていない。
また、未だ不織布の再生利用に関しては、再生された不織布は強度が不十分であり、かつ表面外観が求められる基準を満たさないことなどを理由に、使用済み不織布にさまざまな処理を施す必要があり、その煩雑さ及び採算性の観点から再利用が十分に展開しないのが実状であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来の買物袋におけるこれらの問題を解決する持ち帰り袋を提供すること、すなわち、使用済み不織布から得られる再生された不織布を再利用した持ち帰り袋であり、低コストでかつ容易に、必要な強度及び良好な表面外観を有する薄肉の持ち帰り袋を提供することである。
また、小売店のロゴマークなどが袋の表面上に印刷されても回収された持ち帰り袋から未印刷の新たな持ち帰り袋への再生産が容易であり、更なる強度を有するところの持ち帰り袋及びそのリサイクル方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、持ち帰り袋の縫製に用いる糸及び持ち帰り袋に取り付ける取っ手を持ち帰り袋に仕上げる再生されたポリオレフィン不織布シートの素材と同じポリオレフィン素材から構成することで、容易かつ低コストでリサイクル可能な持ち帰り袋を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の(1)乃至(14)に記載される持ち帰り袋、及びその再生・再利用方法に関する。
(1)再生されたポリオレフィン不織布シートを裁断し、糸を用いて袋状に縫製し、そして該袋の開口部近傍に取っ手を取り付けてなる持ち帰り袋であって、
前記糸及び前記取っ手は、前記不織布シートの素材と同じポリオレフィン素材からなることを特徴とする、持ち帰り袋。
(2)前記袋表面上に印刷インク層を設け、且つ、該印刷インク層と該袋との間に高い温水溶解性を有する高分子域を介在させてなることを特徴とする、(1)に記載の持ち帰り袋。
(3)前記ポリオレフィン不織布シートは再生されたポリプロピレン不織布シートからなり、前記糸はポリプロピレン連続フィラメントからなり、前記取っ手はポリプロピレン布材からなることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の持ち帰り袋。
(4)前記持ち帰り袋は、バージンポリオレフィン繊維からなる表面側のバージン繊維と再生ポリオレフィン繊維からなる裏面側の再生繊維層とが積層一体化された再生されたポリオレフィン不織布シートから作られていることを特徴とする、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の持ち帰り袋。
(5)前記持ち帰り袋の内面にポリオレフィンをコーティングしてなるか、又は、ポリオレフィンフィルムを貼着してなる、(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の持ち帰り袋。
(6)前記持ち帰り袋は、前記バージンポリプロピレン繊維からなる厚さ1.0mm以下の表面側のバージン繊維と、再生ポリプロピレン繊維からなる厚さ1.0mm以下の裏面側の再生繊維層とが積層一体化された再生されたポリオレフィン不織布シートから作られていることを特徴とする、(3)乃至(5)のいずれか一つに記載の持ち帰り袋。
(7)前記再生繊維層中の再生繊維の含有率は、前記再生されたポリオレフィン不織布シートの質量に基いて10乃至90質量%であることを特徴とする、(4)乃至(6)のいずれか一つに記載の持ち帰り袋。
(8)前記高分子域は、20℃の水100gに対して20g未満そして60℃の水100gに対して60g以上の溶解度を有する高分子からなることを特徴とする、(2)乃至(7)のうちいずれか一つに記載の持ち帰り袋。
(9)前記高分子域は、架橋構造を有する変性ポリビニルアルコールを含むことを特徴とする、(2)乃至(8)のうちいずれか一つに記載の持ち帰り袋。
(10)前記変性ポリビニルアルコールは、20℃の水100gに対して20g未満そして60℃の水100gに対して60g以上の溶解度を有する高分子からなることを特徴とする、(9)に記載の持ち帰り袋。
(11)前記高分子域は、該高分子の層が前記袋層の表面上に形成されてなる、(2)乃至(10)のうちいずれか一つに記載の持ち帰り袋。
(12)前記高分子域は、該高分子が前記袋の内部に含浸して形成されてなる、(2)乃至(10)のうちいずれか一つに記載の持ち帰り袋。
(13)使用済みの(1)乃至(12)のうちいずれか一つに記載の持ち帰り袋を卸売店又は小売店より回収する工程と、
回収された持ち帰り袋を細片に切断し、不織布を構成する繊維をばらばらにして、不織布材料を作る袋分解工程と、
得られた不織布材料から再生不織布のシートを作るか、又は、該再生不織布とバージン
不織布とを積層一体化することにより、再生されたポリオレフィン不織布シートを製造するシート製造工程と、
再生されたポリオレフィン不織布シートを裁断し、袋状に縫製することにより、再生された持ち帰り袋を作る袋縫製工程と、
再生された持ち帰り袋を卸売店又は小売店において顧客に提供する袋提供工程とを含む、持ち帰り袋の再生・再利用方法。
(14)前記袋分解工程において、回収された持ち帰り袋を細片に切断する前に、該持ち帰り袋の表面上の印刷インク層を袋本体より除去する脱インク工程を備えてなる、(13)に記載の持ち帰り袋の再生・再利用方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の持ち帰り袋は、再生が容易なポリオレフィン不織布を含め同一のポリオレフィン素材で構成されているため、持ち帰り袋を回収し、再生しそして再利用するという循環を作るためのリサイクル化が容易に可能となる。また、持ち帰り袋に小売店のロゴマークなどが印刷されていても、持ち帰り袋に印刷されたインク層を前記袋表面より容易に取り除くことができるため、前述同様に、持ち帰り袋の再生・再利用方法を提供することができる。すなわち、本発明の持ち帰り袋は、再生が容易なポリオレフィン不織布を含め同じポリオレフィン素材で構成されており、かつ持ち帰り袋に印刷されたインク層を前記袋表面より容易に取り除くことができるため、回収し、再生しそして再利用するという循環からなる実用的なリサイクル化が容易に可能となる。
また、本発明の持ち帰り袋は、バージンポリオレフィン繊維からなる表面側のバージン繊維と再生ポリオレフィン繊維からなる裏面側の再生繊維層とが積層一体化された再生されたポリオレフィン不織布シートを用いた場合には、使用済み不織布から再生される再生ポリオレフィン繊維に特別な手段を加えなくても、バージン繊維を100%用いた不織布シートの場合と同様の表面外観を呈し、かつ再生ポリオレフィン繊維だけでは不十分な強度を十分満足に補うことができ、ゆえに使用済み不織布を再利用したものでありながら、低コストかつ容易に、必要な強度及び良好な表面外観を呈する持ち帰り袋を提供することができる。
さらに、本発明は、持ち帰り袋に印刷を施しても印刷インク層と袋表面との間に高い温水溶解性を有する高分子域を介在させることで、該高分子域の温水への溶解により、前記印刷インク層を前記袋表面より容易に取り除くことができる持ち帰り袋が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明におけるポリオレフィン不織布シートは、再生されたもの又はバージンポリオレフィン繊維からなる表面側のバージン繊維と再生ポリオレフィン繊維からなる裏面側の再生繊維層とが積層一体化させて再生されたものである。
前記ポリオレフィン不織布シートとしては、例えば、ポリエチレン不織布もしくはポリプロピレン不織布又はそれらが混合した不織布が使われる。特に好ましいのは再生が容易
なポリプロピレン不織布を単一材料として用いることである。このような構成とすることで、即ち再生が容易な材料の適用により、該ポリオレフィン不織布シートは、回収し、再生しそして再利用するという循環を作るためのリサイクル化が容易となる。
【0011】
前記再生繊維層を構成する再生繊維としては、使用済みのポリオレフィン不織布をリサイクル可能な繊維状に解砕、開繊して、再生された繊維が使用される。再生繊維層は強度向上の観点から再生繊維とバージン繊維を併用してもよいが、資源の有効利用の観点からは再生繊維をより多く使用することが好ましい。
前記バージン繊維層を構成するバージン繊維としては、ポリプロピレン樹脂からの繊維化により或いはポリプロピレン繊維への慣用の重合法に従い製造される合成繊維が用いられる。該バージン繊維層の繊維には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の常用の各種添加成分、例えば艶消剤、熱安定剤、顔料、消臭剤、抗菌剤、防ダニ剤、防カビ剤、芳香剤などの添加剤を添加することが出来る。
【0012】
前記バージン繊維層及び前記再生繊維層の厚さは、1.0mm以下が好ましく、特に好ましいのは0.2乃至0.5mmである。本発明の持ち帰り袋において、バージン繊維層及び再生繊維層の厚さは各々0.2乃至0.4mmが好ましく、0.2mmより薄くなると十分な引張・引裂強度を有する持ち帰り袋が得られず、また0.4mmより厚くなると十分な引張・引裂強度が得られるものの持ち帰り袋の厚さが厚くなり持ち帰り袋としては、嵩張るものとなり携帯に適さない。
また前記再生繊維層中の再生繊維の含有率は、1質量%以上であればよく、好ましくは5乃至60質量%、さらに好ましくは10乃至45質量%、特に好ましくは15乃至35質量%である。資源の有効利用の観点からは再生繊維をより多く使用することが好ましいが、再生繊維の含有率が上記の上限を超えると十分な強度が得られず、製品性能上の問題が生じるため好ましくない。
【0013】
前記バージンオレフィン繊維からなる表面側のバージン繊維と再生ポリオレフィン繊維からなる裏面側の再生繊維層とが積層一体化されたポリオレフィン不織布シートの裏表各層はそれぞれ公知の方法を用いて得られるものであり、製造方法、及び積層方法としては不織布の積層化のための従来公知の方法が任意に採用でき、特に制限はない。
再生繊維層としては、使用済み不織布を従来の方法により解砕・開繊する方法が使用される。
一方、バージン繊維層としては、短繊維あるいは長繊維のいずれを用いてもよく、その形成方法としても、スパンボンド法とメルトブロー法に代表される紡糸直結法や、カーディングやエアレイなどの乾式法、抄紙法などの湿式法等いずれの方法を用いても良い。
さらに、バージン繊維層と再生繊維層を接着あるいは絡み合わせる方法としては、例えば、カレンダー法、スルーエアヒーティング法などの熱的接着法、接着剤を用いて吸水性不織布層と熱可塑性樹脂からなる不織布層とを接着させる化学的接着法、ニードルパンチ法、水流交絡法、ステッチボンド法などの機械的接着法等いずれの方法を用いても良い。
【0014】
本発明においてポリオレフィン不織布シートは、無着色のもの、又は慣用の不織布染色技術、例えばビーム染色、液流染色、ディッピングなどの染色法によって染色したものを用いることができる。ポリオレフィン不織布シートの表面に形成されるバージン繊維層を着色することによって、再生繊維層を着色しなくてもポリオレフィン不織布シートの外観は所望な色に着色されたバージン繊維層の色を呈するものとすることができる。
【0015】
また、防水加工、強度向上等の観点から、本発明の持ち帰り袋は、該持ち帰り袋の内面にポリオレフィンをコーティング、又は、ポリオレフィンフィルムを貼着することもできる。
【0016】
さらに、本発明の持ち帰り袋は、袋表面上に印刷インク層を設け、且つ、該印刷インク層と該袋との間に高い温水溶解性を有する高分子域を介在させてなるものである。
【0017】
本発明における高分子域は、本発明の持ち帰り袋が雨に濡れても印刷インク層の溶解分離によって変化しないものであることが求められる観点から低温の水には溶解せず、一方、該高分子域が持ち帰り袋の表面から容易に分離されるようにするために該高分子域が60℃以上の高温の水に接触(浸漬)したときには、容易に溶解してしまう性質を有するものであることが求められる。従って、それら要求を満たすところの高分子としては溶解度が、20℃の水100gに対して20g未満、及び60℃の水100gに対して60g以上であることが好ましい。
【0018】
また、本発明では上記のような特異な耐水性、すなわち60℃以上の高温水には易溶解するが、常温水のような低温水には溶解し難い性質を有する高分子として、ポリビニルアルコールが好適に用いられる。
本発明に用いられるポリビニルアルコールとしては、上記のような耐水性を有するポリビニルアルコールであれば特に限定はされない、例えばアルコキシ基、エステル基、アルキレンエーテル基など各種の修飾基を有する変性ポリビニルアルコールでもよい。けん化度は、97.5モル%以上が好ましい。とりわけ、ポリビニルアルコールと架橋剤とを重合して得られる架橋構造を有する変性ポリビニルアルコールが好適に用いられる。なかでも、例えば下記式
【化1】
(式中、0≦l≦1、0≦m≦1、0≦n≦1、0.8≦l+m+n≦1)で表される構造を含むアセトアセチル化ポリビニルアルコール(l、m及びnは各構造のモル比を表す。この高分子はランダム重合体であってよく、またブロック重合部分を有していてもよい。)を架橋剤と重合することによって得られる変性ポリビニルアルコールが好ましい。市販品としては、例えばゴーセファイマーZ−200、Z−410(日本合成化学工業(株)製)が好ましい。
【0019】
本発明で用いられる架橋剤としては、ポリビニルアルコールを架橋させることで上記のような耐水性を付与しうる化合物であれば特に限定されず、例えば、多価金属化合物、ホウ素化合物、アミン化合物、ヒドラジン化合物、シラン化合物、メチロール基含有化合物、アルデヒド基含有化合物、エポキシ化合物、チオール化合物、イソシアネート化合物等を用いることができる。これらは単独で用いても二種類以上を組み合わせて用いても良い。市販品としては、例えばグリオキザールGX(日本合成化学工業社製)、スミマールM−30W(住友化学社製)、ハイリンクDM(Clariant製)が好ましい。架橋剤は、ポリビニルアルコールの質量に対して、0.1質量%より多く2.0質量%以下、好ましくは1.0質量%より多く1.5質量%以下、また好ましくは0.5質量%より多く1.0質量%以下の量で添加される。架橋剤の添加量が上記の範囲の下限量より少ない場合、架橋度が不十分に低くなるため常温水及び高温水に対する所期の耐水性が得られず、また添加量が上記の範囲の上限量、特に2.0質量%より多くなると、架橋度が相当に高くなるため常温水に対する耐水性が高くなるとともに高温水に対する耐水性も高くなり過ぎ、60℃以上の高温水には易溶解するが、常温水のような低温水には溶解し難いという本発明の高分子域に要求される耐水性が得られない。
【0020】
本発明で用いられるアセトアセチル化ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールをアセトアセチル化したものが望ましく、その方法としては、ポリビニルアルコールを酢
酸溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加させる方法、ポリビニルアルコールをジメチルホルムアルデヒドまたはジオキサンなどの溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法、あるいはポリビニルアルコールにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法等が好適に用いられる。
【0021】
本発明において、アセトアセチル基が側鎖に導入されたポリビニルアルコールと、架橋剤としてアミン化合物とを反応させた場合、下記のような架橋構造を形成する。
【化2】
【0022】
また、分子内にアセトアセチル基を有するポリビニルアルコールと、架橋剤としてアルデヒド基含有化合物とを反応させた場合、下記のような架橋構造を形成する。
【化3】
【0023】
さらに、分子内にアセトアセチル基を有するポリビニルアルコールと、架橋剤としてメチロール基含有化合物とを反応させた場合、下記のような架橋構造を形成する。
【化4】
【0024】
また、分子内にアセトアセチル基を有するポリビニルアルコールと、架橋剤として多価金属化合物とを反応させた場合、下記のような架橋構造を形成する。
【化5】
【0025】
また、本発明の上記のような架橋構造を有するアセトアセチル化ポリビニルアルコールは、酸性に溶けにくく強アルカリ性に溶け易い性質を有するため、60℃以上の高温水以外に、例えば水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水を用いることによって容易に溶解することができる。
【0026】
また、前記高分子域は、例えばフィルムの形態にある高い温水溶解性を有する高分子を前記持ち帰り袋の表面に熱融着によりアイロン接着することによって、該高分子の層が該持ち帰り袋の表面上に形成される。あるいは、前記高分子域は、例えば前記持ち帰り袋の表面に前記高分子の水溶液を塗付又は噴き付け、乾燥することによって、該高分子が該持ち帰り袋の内部に含浸して形成される。持ち帰り袋の表面に高分子を積層する場合、該持ち帰り袋の表面と印刷インク層との間に十分な厚みを有する高分子域が形成されるので、該持ち帰り袋の表面から該印刷インク層を分離するときに容易に分離することができる。一方、持ち帰り袋の内部に高分子を含浸させる場合、該袋層における該高分子の密着性が高くなるので、見た目にも綺麗に仕上がる。
【0027】
また本発明の持ち帰り袋は、その使用用途などによってその袋表面上に印刷が施され、例えば、卸売店又は小売店独自のロゴマーク等が印刷される。卸売店又は小売店ごとに識別する機能、宣伝広告する機能を果たすロゴマークは、上述したような方法によって形成された高分子域を介して前記持ち帰り袋の表面上に印刷される。印刷方法は、従来、袋の表面印刷に採用される方法であれば特に制限はなく、凸版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写印刷等いずれも採用可能である。中でも、厚さ、大小、平面、曲面を問わず印刷が可能なことからシルクスクリーン印刷が好ましい。前記買物袋に印刷する場合、印刷が予め施されたフィルムを該買物袋の表面にアイロン接着してもよく、持ち帰り袋の表面上にフィルムをアイロン接着した後にその上から印刷してもよく、又は高分子溶液を含浸させた持ち帰り袋の表面に印刷をしてもよい。
【0028】
本発明の持ち帰り袋において、再生されたポリオレフィン不織布と印刷インク層との間に高い温水溶解性を有する高分子域を介在させることにより、該持ち帰り袋を一定温度以上の温水に浸漬させることで、前記高分子域が温水中に溶解し、前記印刷インク層を前記再生されたポリオレフィン不織布の表面から容易に分離することができる。このとき温水に浸漬された持ち帰り袋に振動、特に超音波振動を加えることによって更により一層印刷インク層が再生されたポリオレフィン不織布から剥がれ易くなる。また、分離された前記印刷インク層を構成する印刷インクは一般に水不溶性であり、温水であっても溶解しないので、容易に温水から印刷インク層のみを取り除くことができる。また、本発明の持ち帰り袋から印刷インク層を分離する際、有機溶剤などを使用せず水だけを使用するので、作業者の健康面への影響、更には土壌汚染等の環境への影響もない。
【0029】
さらに本発明の持ち帰り袋のリサイクル方法は、使用済みの持ち帰り袋を卸売店又は小売店より回収する工程と、回収された持ち帰り袋を細片に切断し、不織布を構成する繊維をばらばらにして、不織布材料を作る袋分解工程と、得られた不織布材料から再生不織布シートを作るか、又は、該再生不織布とバージン不織布とを積層一体化することにより、
再生されたポリオレフィン不織布シートを製造するシート製造工程と、再生されたポリオレフィン不織布シートを裁断し、袋状に縫製することにより、再生された持ち帰り袋を作る袋縫製工程と、再生された持ち帰り袋を卸売店又は小売店において顧客に提供する袋提供工程とを含むものである。また本発明の持ち帰り袋の表面上に卸売店又は小売店のロゴマーク等が印刷されている場合には、前記袋分解工程において、回収された持ち帰り袋を細片に切断する前に、該持ち帰り袋の表面上の印刷インク層を袋本体より除去する脱インク工程を有する。回収工程では、本発明の持ち帰り袋が複数回使用された後、使用済み持ち帰り袋として回収される。袋分解工程では、回収された持ち帰り袋から、不織布材料が作られる。シート製造工程では、不織布材料を原料としてからポリオレフィン不織布シートが製造される。袋縫製工程では、ポリオレフィン不織布シートを原料として持ち帰り袋が作られる。袋提供工程では、再生された持ち帰り袋を小売店等で顧客に提供する。また、脱インク工程では、上述の方法により、持ち帰り袋の表面から印刷インク層から取り除かれる。
【0030】
本発明の持ち帰り袋は、公知の方法により作られるものであり、製造方法として従来公知の方法が任意に採用でき、特に制限はない。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の望ましい実施態様について詳細に説明するが、本発明は本実施例の態様に限定されるものではない。
【0032】
<製造例1>
ポリプロピレン樹脂(PP)を常用のスパンボンド溶融紡糸装置に供給し、230℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して速度3000m/分にて引き取り、2.2dtexのポリプロピレン繊維を得た。得られたバージンポリプロピレン繊維を開繊分散して目付が30g/m
2 のウェブを形成した。次に公知の開繊機にて使用済みポリエステル不織布を開繊させ、再生繊維からなるウェブを形成した。
得られたバージン繊維からなるウェブと再生繊維からなるウェブを、135℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して60g/m
2 のポリプロピレン不織布シート1Aを作成した。再生繊維の含有率は不織布シート中20質量%である。
【0033】
<製造例2>
製造例1と同様にして、不織布シート中30質量%の再生繊維を含有するポリプロピレン不織布シート1Bを作成した。
【0034】
<製造例3>
製造例1と同様にして、不織布シート中40質量%の再生繊維を含有するポリプロピレン不織布シート1Cを作成した。
【0035】
<比較例1>
製造例1と同様にして、再生繊維だけから構成されるポリプロピレン不織布シートを作成した。
【0036】
製造例1乃至3、並びに比較例1において得られたポリプロピレン不織布シートにおける物性を以下の方法で測定した。
[厚み]
厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデルCR−60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm
2あたり2.94cNの荷重を加えた状態で
測定した。
[引張強度]
JIS L 1096 6.12.1 A法(ストリップ法)に準じて、定速緊張形引張試験機を用いて、幅5cm、長さ15cmの試料片を幅50mm、つかみ間隔100mm、引張速度300±20mm/分の条件で引張試験に付し、切断時の荷重値及び伸長率を測定し、引張強度とした。引張試験は、再利用不織布シートの機械方向(MD方向)及びMD方向に直交する方向(CD方向)のそれぞれについて、試料5本を測定し、平均値を求めた。単位は、N/50mmである。
製造例1乃至3、並びに比較例1で得られたポリプロピレン不織布シートの各物性を下記表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
<実施例1>
本発明の持ち帰り袋1は、細長い長方形の再生されたポリプロピレン不織布シート2を用意し、該再生されたポリプロピレン不織布シート2を一方の短辺部が他方の短辺部に重なるように折り畳んだ。そして折り畳まれた長辺部を糸で縫い袋状に仕上げ、次にその袋の開口部近傍に取っ手3を取り付けた。最後に持ち帰り袋1を裏返し、本発明の持ち帰り袋1を製造することができた(
図1及び
図2)。
【0039】
<実施例2>
本発明の持ち帰り袋4は、細長い長方形の再生されたポリプロピレン不織布シートを裁断して、袋本体用の部分シート5と左右のマチ用の部分シート6を2枚用意し、袋本体用の部分シート5を折り畳んで袋底面を形成するための折り目を設け、またマチ用の部分シート6を中心に沿って折り畳んで折り目を設け、そして袋本体用の部分シート5の辺と左右のマチ用の部分シート6の辺を糸で縫いマチありの袋状に仕上げ、次にその袋の開口部近傍に取っ手7を取り付けた。最後に持ち帰り袋4を裏返し、本発明のマチを有する持ち帰り袋4を製造することができた(
図3〜
図5)。
【0040】
<実施例3>
実施例1と同様に作られた持ち帰り袋8の袋表面9に、変性ポリビニルアルコールフィルム10を重ね合わせ、熱溶着により袋表面9上に変性ポリビニルアルコールフィルム10を貼り合わせた。さらにその上からシルクスクリーン印刷をすることによって印刷インク層11が形成され、本発明の持ち帰り袋8を製造することができた(
図6及び
図7参照)。この変性ポリビニルアルコールフィルム10は、20℃の水100gには約2gしか
溶解しないが、60℃の温水に対しては約80gも易溶解するものである。また、変性ポリビニルアルコールフィルム10は、架橋剤としてハイリンクDM(Clariant製)をゴーセファイマーZ−200(日本合成化学工業(株)製)に対して1.0質量%となるように調製し、約40μmの厚さのフィルムに成形されたものである。
【0041】
また、持ち帰り袋8を65℃に保たれた温水槽に入れ、超音波による振動を与えながら約3分間浸漬したところ、持ち帰り袋8の表面から印刷インク層11を分離することができた。前記温水槽から印刷インク層11が分離された持ち帰り袋を取り出し、分離した印刷インクは水よりも比重が大きいことから該温水槽の底に沈んだ。沈んだ印刷インクを該温水槽から取り出した。
このように、持ち帰り袋8は、該持ち帰り袋8の表面上に印刷を施しても、袋表面9と印刷インク層11との間に高分子域として変性ポリビニルアルコールを介在させることによって、印刷インク層11を容易に分離することができた。
さらに、印刷インク層が取り除かれた買物袋を原料として不織布を再生しそして袋形成することにより、新たな持ち帰り袋を再生産することができた。
従って、持ち帰り袋8は
図8に示されるようなリサイクル方法によりリサイクル化することができた。
【0042】
<実施例4>
実施例3と同様に作られた持ち帰り袋12の袋表面13に、予めシルクスクリーン印刷によって印刷インク層14を有する変性ポリビニルアルコールフィルム15を重ね合わせ、アイロンによる熱溶着により袋表面13上に変性ポリビニルアルコールフィルム15を貼り合わせ、本発明の持ち帰り袋12を製造した(
図9参照)。前記変性ポリビニルアルコールフィルム15は、実施例1において使用したものと同じである。
また、実施例3と同様な方法により、持ち帰り袋12から印刷インク層14を分離した。その結果、予め表面に印刷がなされた変性ポリビニルアルコールフィルム15を用いても実施例1の持ち帰り袋8と同様に、袋表面13と印刷インク層14との間に高分子域として変性ポリビニルアルコールを介在させることによって、印刷インク層14を容易に分離することができた。
さらに、印刷インク層が取り除かれた買物袋を原料として不織布を再生しそして袋形成することにより、
図8に示されるようなリサイクル方法により新たな持ち帰り袋を再生産することができた。
従って、持ち帰り袋12は
図8に示されるようなリサイクル方法によりリサイクル化することができた。
【0043】
<実施例5>
実施例3と同様に作られた持ち帰り袋16の袋表面17に、変性ポリビニルアルコール水溶液18を塗布し、水分を蒸発させた後、その表面にシルクスクリーン印刷によって印刷をすることにより印刷インク層19を形成し、本発明の持ち帰り袋16を製造した(
図10参照)。また、前記変性ポリビニルアルコール水溶液18は、架橋剤としてハイリンクDM(Clariant製)をゴーセファイマーZ−200(日本合成化学工業(株)製)に対して1.0質量となるように混合して調製したものである。
次に、実施例3と同様な方法により、持ち帰り袋16から印刷インク層19を分離した。その結果、上記のようにして得られた持ち帰り袋16は実施例3の持ち帰り袋8と同様に、袋表面17と印刷インク層19との間に高分子域として変性ポリビニルアルコールを介在させることによって、印刷インク層19を容易に分離することができた。
さらに、印刷インク層が取り除かれた買物袋を原料として不織布を再生しそして袋形成することにより、
図8に示されるようなリサイクル方法により新たな持ち帰り袋を再生産することができた。