(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5717040
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】米飯食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 1/10 20060101AFI20150423BHJP
【FI】
A23L1/10 F
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-173912(P2014-173912)
(22)【出願日】2014年8月28日
【審査請求日】2014年9月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510280383
【氏名又は名称】山田 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 荘一
【審査官】
北田 祐介
(56)【参考文献】
【文献】
人力検索はてな[online], 2014年4月5日最終更新, 2014年9月30日検索, <URL= http://q.hatena.ne.jp/1396083014>
【文献】
クックパッド[online], 2010年6月24日最終更新, 2014年10月2日検索, <URL= http://cookpad.com/recipe/1167685>
【文献】
クックパッド[online], 2012年10月29日最終更新, 2015年2月2日検索, <URL= http://cookpad.com/recipe/2005141>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 1/10
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
G−Search
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
具材と、前記具材の周りに巻かれたシート状食材及び米飯とからなり、外周表層部が前記米飯により形成された食品を用意する第一工程と、
前記食品の外周表面及び端面を焼く第二工程と
を含む米飯食品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の米飯食品の製造方法であって、
前記第二工程の前に、前記端面を調味する工程
を含む米飯食品の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の米飯食品の製造方法であって、
前記第二工程の後に、焼かれた前記端面を調味する工程
を含む米飯食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯食品、及び米飯食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば巻き寿司に代表されるように、米飯及び海苔で具材を巻いて包んだ米飯食品が知られている。また、具材に近い順に海苔及び米飯で具材を巻いて包んだ米飯食品(例えば「裏巻き」などと呼ばれる)が知られている。
【0003】
特許文献1には、海苔を具材の周囲に巻き付けて巻物とした後、当該巻物を加熱して中芯を製造し、当該中芯の周囲に米飯を巻回すことにより、巻き寿司を製造することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−188137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したいわゆる裏巻きの米飯食品は、その外周が米飯層である。そのため、例えば、当該米飯食品を食べる際に、外周の米飯層が崩れたり剥がれたりし易く、食べにくい。これに対して通常の巻き寿司は、その外周が海苔であるため、崩れにくく、食べやすい。
【0006】
そこで、本発明は、具材に近い順に海苔等のシート状食材及び米飯を具材に巻いた米飯食品を、より崩れにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。
【0011】
上記の課題を解決する本発明の
一態様は、具材と、前記具材の周りに巻かれたシート状食材及び米飯とからなり、外周表層部が前記米飯により形成された食品を用意する第一工程と、前記食品の外周表面
及び端面を焼く第二工程とを含む米飯食品の製造方法である。
【0012】
前記製造方法は
、前記第二工程の
前に、前記
端面を調味する工程を含んでいてもよい。
【0013】
前記製造方法は、前記第二工程の後に、焼かれた前記
端面を調味する工程を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、具材に近い順に海苔等のシート状食材及び米飯を具材に巻いた米飯食品を、より崩れにくくすることができる。
【0017】
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る米飯食品の製造工程の一例を説明する図(その1)である。
【
図2】米飯食品の製造工程の一例を説明する図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る米飯食品の製造工程の一例を説明する図(その1)である。
図1は、米飯食品10A及びその材料を平面視した図である。
図2は、米飯食品の製造工程の一例を説明する図(その2)である。
図2は、米飯食品10A及び米飯食品10Bを正面視(又は背面視)した図である。
【0020】
まず、広げた巻き簾(図示せず)の上に、シート状に乾燥させた板海苔1を置く(
図1(A))。
【0021】
次に、板海苔1の上面に、寿司飯等の米飯2を敷き詰める(
図1(B))。
【0022】
それから、板海苔1及び米飯2を裏返し、板海苔1の上面に、具材3を配置する(
図1(C))。具材3は、巻き始めの位置(板海苔1の下端辺)の近傍に、巻き方向Rと直交する方向に配置する。このとき、具材3から近い順に、板海苔1の層、米飯2の層が並んでいる。
【0023】
そして、巻き簾を使って、具材3を中芯として板海苔1及び米飯2を巻き方向Rに巻き付け、略棒状に仕上げる(
図1(C)、(D))。ここまでの工程により、いわゆる裏巻きの米飯食品10Aを得ることができる。米飯食品10Aの端面(外周表面に略直交する面)に表れるように、具材3を中芯として板海苔1及び米飯2が左回りに巻き付いている(
図2(A))。
図2の例では、板海苔1及び米飯2の層は、具材3に対して2重又は3重に巻かれている(もちろん、3重以上にしてもよい)。また、米飯食品10Aの外周の表層部は、米飯2の層により形成されている(
図1(C)、
図2(A))。なお、米飯食品10Aは、その長手方向の両端を切って、両端面を平らにしてもよい。
【0024】
最後に、例えばオーブンや火で加熱することにより(図示せず)、米飯食品10Aの外周表面を焼き、米飯食品10Bを得る(
図2(B))。例えば、米飯食品10Aの外周表面全体を淡い褐色の焼き色が付くように焼けばよい。米飯食品10Bは、その内側は焼成されていない米飯層2Aで形成され、外側は焼成された米飯層2Bで形成される。なお、「焼く」とは、加熱することで焼き色を付けた状態にする場合に限らず、加熱することで表面を乾燥させて米飯の粘着性を低下させた状態にする場合も含む。また、加熱方法は特に限定されず、例えば、炭火、ガス火、電熱、高温の水蒸気等の熱源で直接加熱する場合や、これらの熱源で加熱した鉄板等により加熱する場合も含む。
【0025】
このようにして、表層部が焼成された裏巻きの米飯食品10Bを製造することができる。この米飯食品10Bは、表層部が焼き固められているため、焼かれていない米飯食品10Aと比べ、形状が崩れにくい。その結果、米飯食品10Bをお箸や手で持って食べる際に、型崩れしにくく、食べ易い。また、米飯食品10Bを例えば輪切りにして切り分ける際も、型崩れしにくい。また、米飯食品10Bは、焼かれていない米飯食品10Aと比べ、表層部のパリパリとした食感や、表層部が焼かれることによる香ばしい香り等の風味が得られる。
【0026】
上記の製造工程には、下記のような製造工程を1つ以上加えてもよい。
【0027】
例えば、米飯食品10Aの両端面の少なくとも一方を焼いてもよい。このようにすれば、例えば、米飯食品10Bの外周表層部だけでなく両端面の表層部を含む米飯食品全体を焼き固めることができる。
【0028】
例えば、米飯食品10Aの外周表面又は端面を焼く前に、食用油を塗布してもよい。このようにすれば、例えば、表層部をより固く仕上げることができる。
【0029】
例えば、米飯食品10Aの外周表面又は端面を焼く前、又は焼いた後に、醤油等の調味料を塗布したり、ゴマ等の食材を付着させたりしてもよい。このようにすれば、例えば、よりよい風味が得られる。
【0030】
また、上記の製造工程では、巻き簾を使って米飯食品10Aを得ているが、米飯食品10Aを用意できれば、米飯食品10Aの製造工程は特に限定されない。既存の各種の製造工程を用いることもできるし、既存の製造装置を用いることもできる。
【0031】
また、上記の米飯食品10Bの材料は、上述した例に限定されない。例えば、シート状食材としては板海苔1に限らず、ライスペーパー、チーズ、卵焼きなどの他の食材を用いてもよい。また、例えば、米飯2は、酢飯であってもなくてもよいし、油や調味料を添加して混ぜてもよい。また、例えば、米飯2は、炊く、蒸す、煮るなど適宜の調理方法で得ればよい。また、例えば、米飯2には、麦などの雑穀類の飯が混ざっていてもよい。また、例えば、米飯2の替わりに、麦などの雑穀類の飯を用いるようにしてもよい。また、例えば、米飯2は、炒飯やピラフのように具材とともに味付けして調理した米飯を用いるようにしてもよい。また、例えば、具材3は、握り飯や手巻き寿司に使われる、ツナ、アボカドなどの様々な食材を用いることができる。
【0032】
また、上記の米飯食品10A、10Bは、板海苔1及び米飯2の層を、具材3に対して2重又は3重に巻いているが、このような形態に限られない。例えば、
図3(米飯食品の他の例を説明する図)に示すように、板海苔1及び米飯2の層は1重にしてもよい。なお、板海苔1の上面に米飯2を敷き詰める工程で、板海苔1の一端に帯状ののり付け領域(米飯2を敷き詰めない領域)を作り、巻いた際に板海苔1の両端部を当該領域によりのり付けして、1重の米飯食品10Aを得ることができる。この場合、米飯食品10Bの内側は、焼成されていない具材3で形成され、外側は焼成された米飯層2Bで形成される(
図3(B))。すなわち、
図2(B)に示す米飯食品10Bのように焼成されていない米飯層2Aがほとんど残らない。このようにしても、型崩れしにくく風味のよい米飯食品を得ることができる。また、米飯2の層数を少なくすることで、具材3を収容する空間の体積を大きくし、具材3の量を増やすことができる。
【0033】
<実施例>
材料として、全型(縦:約21cm、横:約19cm)の板海苔を1枚、炊飯した米飯を約240g、カットした胡瓜(径:約1cm、長さ:約9.5cm)を4本、キムチを約50g、醤油を約10cc用意した。
【0034】
上述の製造工程に従って、板海苔の上面に米飯を敷き詰め、板海苔及び米飯を裏返し、巻き方向Rと直交する方向に胡瓜の長さ方向が沿うように胡瓜を2本2列配置し、胡瓜の傍に胡瓜の長さ方向に沿うようにキムチを配置し、具材(胡瓜とキムチ)を中芯として板海苔及び米飯で巻き、米飯食品を作った。それから、スプーンの背を使って醤油を米飯食品の表面全体に塗布した。そして、約200度(セ氏)に温めたオーブンに米飯食品を入れ、米飯食品の表面全体が淡い褐色となるまで適宜米飯食品を転がしながら焼いた。
【0035】
このようにして、型崩れしにくくかつ新しい風味の裏巻きの米飯食品を作ることができた。
【0036】
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。また、本発明には、例えば、米飯、具材、及び板海苔の長期保存や冷凍保存のための前処理など、様々な公知の技術を適用することができる。また、本発明は、外周部が米飯層により形成された米飯食品全般に適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1:板海苔
2:米飯
2A:米飯層
2B:米飯層
3:具材
10A:米飯食品
10B:米飯食品
【要約】
【課題】具材に近い順に海苔等のシート状食材及び米飯を具材に巻いた米飯食品を、より崩れにくくする。
【解決手段】具材と、前記具材の周りに巻かれたシート状食材及び米飯とからなる米飯食品であって、前記米飯食品の外周表層部は、前記米飯により形成されており、前記米飯食品の外周表面は、焼かれている。
【選択図】
図2