【実施例】
【0014】
実施例に係る筐体の流体管への取付方法及び取付構造につき、
図1から
図8を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施例の流体管1は、略円筒形状に形成された高密度ポリエチレン等の樹脂製管から成り、略水平方向に延設され、内部には流体としての上水が流れている。この流体管1は、例えば、故障等の不具合を生じた既設弁を交換するために、
図7及び
図8に示すように、該既設弁よりも上流側及び下流側に筐体2を取り付け、これら筐体2内に挿入配置される制流体11によって流体管1の管路を遮断することで流体管1の前記既設弁の取り付けられている箇所を一時的に断水し、前記既設弁の交換を、流体管1と略同一の外径を有するバイパス管12を経由して不断流状態で行うようになっている。
【0015】
尚、流体管1の材質は高密度ポリエチレンに限らずその他ポリオレフィン樹脂或いは所定の樹脂から成る熱融着可能なものでもよい。また、本実施例では流体管1内の流体は上水であるが、流体管1の内部を流れる流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水や下水等であってもよいし、また気体や気液混合状態の流体が流れる流体管であっても構わない。
【0016】
図1及び
図3に示すように、流体管1の外周面1aに固定に取り付けられる筐体2は、流体管1における前記既設弁の上流側と下流側とに取り付けられる(
図7参照)。これら筐体2は、流体管1に対して上方から配設され、流体管1の外周の上側を被覆する第1ケース3と、流体管1に対して下方から配設され、流体管1の外周の下側を被覆する第2ケース4と、から構成されている。これら第1ケース3及び第2ケース4は、鋳鉄等の金属材により構成されている。
【0017】
また、
図3及び
図4に示すように、第1ケース3は、流体管1の管軸方向に向けて流体管1の外周面1aの略半周に亘り当接する当接部3aを管軸方向に沿って一対に備えている。各当接部3aの流体管1の外周面1aに対向する内壁には、第1ケース3の周方向の略全長に沿って流体管1の外周面1aに当接する止水部材20aが、流体管1の管軸方向に沿って一対設けられている。
【0018】
第1ケース3の当接部3a,3a間には、第1ケース3の内方を向く平面視で略円形状の円周面3hが形成されている。この円周面3hの上部には、流体管1の管軸と略直交するように、流体管1における管軸方向に沿って上方に向けて分岐口3gが形成されている。分岐口3g内は、上下方向に向けて貫通形成されており、分岐口3gの上端部には、上フランジ3iが形成されている。
【0019】
更に、第1ケース3における流体管1の管軸方向側の両端部には、流体管1の外径方向に向けて突出形成したフランジ3nが第1ケース3の周方向の略全周に亘って延設されている。更に、これらフランジ3n,3nにおける流体管1の外径方向側の端部には、第1ケース3における流体管1の管軸方向の中央部に向けて突出形成した突出部3pがフランジ3nの周方向の略全長に亘って延設されている。また、フランジ3n,3nの周方向の略中央部には、本発明における回動規制手段としての係止ピン21の先端部を挿入する挿入孔3qが形成されている。
【0020】
図1及び
図4に示すように、第1ケース3の流体管1における管軸方向の略中央部には、側断面視半円弧形状の半筒部3eが、流体管1の外径方向である水平方向に向けて突出形成されている。半筒部3eの内壁には、周方向の略全長に沿って後述するようにバイパス管12の外周面12aに当接する止水部材20bが、設けられている。
【0021】
また、半筒部3eの端部には、半筒部3eの外径方向に向けて突出形成したフランジ3rが半筒部3eの周方向の略全周に亘って延設されている。このフランジ3rにおける半筒部3eの外径方向側の端部には、流体管1に向けて突出形成した突出部3sがフランジ3rの周方向の略全長に亘って延設されている。また、フランジ3rの周方向の略中央部には、係止ピン21の先端部を挿入する挿入孔3tが形成されている。
【0022】
第1ケース3内での半筒部3eの流体管1における管軸方向の両端側部には、制流体11を筐体2内に挿入し易い様に下方に向けて傾斜をなす平坦面3j,3kが、円周面3hから第1ケース3の下端部にかけて膨出形成されている。更に、
図3に示すように、第1ケース3内での半筒部3eに対向する内壁には、平坦面3j,3kと同様に、制流体11を筐体2内に挿入し易い様に下方に向けて傾斜をなす平坦面3mが、円周面3hから第1ケース3の下端部にかけて膨出形成されている。
【0023】
図1及び
図3に示すように、第1ケース3には、当接部3aに連続して流体管1の外径方向に向けて対向する一対のフランジ3c,3c(一方は図示せず)が流体管1の管軸方向に沿って突出形成されている。図示しない他方のフランジ3cは、第1ケース3の流体管1における管軸方向の両端部から半筒部3eに沿って平面視で一対の略L字状を成すように形成されている。
【0024】
第2ケース4は、
図1、
図2及び
図3に示すように、第1ケース3と略同一の流体管1における管軸方向の幅寸法を有し、流体管1の下部における外周面1aに当接する当接部4aを備えている。当接部4aの流体管1の外周面1aに対向する内壁には、第2ケース4の周方向の略全長に沿って流体管1の外周面1aに当接する止水部材20cが、流体管1の管軸方向に沿って一対設けられている。
【0025】
更に、第2ケース4における流体管1の管軸方向側の両端部には、流体管1の外径方向に向けて突出形成したフランジ4nが第1ケース3の周方向の略全周に亘って延設されている。これらフランジ4n,4nにおける流体管1の外径方向側の端部には、第2ケース4における流体管1の管軸方向の中央部に向けて突出形成した突出部4pがフランジ4nの周方向の略全長に亘って延設されている。また、フランジ4n,4nの周方向の略中央部には、係止ピン21の先端部を挿入する挿入孔4qが形成されている。
【0026】
また、第2ケース4の流体管1における管軸方向の略中央部には、側断面視半円弧形状の半筒部4eが、流体管1の外径方向方向である水平方向に向けて突出形成されている。半筒部4eの内壁には、周方向の略全長に沿って後述するようにバイパス管12の外周面12aに当接する止水部材20dが、設けられている。この止水部材20dと、止水部材20c,20cとは、後述する止水部材24を介して連続して一体に形成されている。
【0027】
半筒部4eの端部には、半筒部4eの外径方向に向けて突出形成したフランジ4rが半筒部4eの周方向の略全周に亘って延設されている。このフランジ4rにおける半筒部4eの外径方向側の端部には、流体管1に向けて突出形成した突出部4sがフランジ4rの周方向の略全長に亘って延設されている。また、フランジ4rの周方向の略中央部には、係止ピン21の先端部を挿入する挿入孔4tが形成されている。
【0028】
尚、前述したフランジ3n,3r,4n,4rの各当接部3a,4a及び半筒部3e,4eからの突出寸法は全て同一に形成されているとともに、突出部3p,3s,4p,4sのフランジ3n,3r,4n,4rからの突出寸法は全て同一に形成されている。
【0029】
第2ケース4内での半筒部4eの流体管1における管軸方向の両端側部には、制流体11を筐体2内に挿入し易い様に下方に向けて傾斜をなす平坦面4j,4kが、第2ケース4の上端部から下部にかけて膨出形成されている。
【0030】
更に、第2ケース4内での半筒部4eに対向する内壁には、平坦面4j,4kと同様に、制流体11を筐体2内に挿入し易い様に下方に向けて傾斜をなす平坦面4mが、第2ケース4の上端部から下部にかけて膨出形成されている。更に、これら平坦面4j,4k,4mは、第2ケース4の内底部に延設され、水平を成して交差している。
【0031】
また、
図1及び
図2に示すように、第2ケース4には、当接部4aに連続して流体管1の外径方向に向けて対向する一対のフランジ4c,4cが流体管1の管軸方向に沿って突出形成されている。また、他方のフランジ4cは、第2ケース4の流体管1における管軸方向の両端部から半筒部4eに沿って平面視で一対の略L字状を成すように形成されている。
【0032】
このように第1ケース3と第2ケース4とから構成される筐体2は、本実施例においては、筐体2における流体管1の管軸方向側の端部であるフランジ3n,4n及びフランジ3n,4nと、半筒部3e,4eの端部であるフランジ3r,4rに取り付けられる樹脂材から構成された取付部材22によって流体管1に対して移動不能に固定されるようになっている。尚、各フランジ3n,4n,3r,4rに取り付けられる取付部材22は同一構成につき、フランジ3nに取り付けられる取付部材22についてのみ説明する。
【0033】
図3に示すように、取付部材22は、流体管1及びバイパス管12の外径と略同一の内径を有する略半円弧形状に形成されている。この取付部材22は、内部に電流が流れることで発熱する本発明における加熱部としての電熱線22bが取付部材22の周方向の略全長に亘って配設された融着部22aを有している。電熱線22bの各端部は、外部電源と電気的に接続可能に取付部材22の外面に設けた接続部23に接続されている。
【0034】
更に、融着部22aの外径側端部には、流体管1の管軸方向に向けて延設部22cが延設されている。この延設部22cにおける流体管1の管軸方向側の端部には、流体管1の内径方向に延び、更に先端が融着部22aに向けて突出する側断面視で略鈎形状の鈎部22dが形成されている。これら融着部22a、延設部22c及び鈎部22dによって囲まれる空間は、フランジ3n及び突出部3pと略同一形状の嵌合空間22eに形成されている。尚、延設部22cにおける周方向の略中央部には、フランジ3nの径方向を向く貫通孔22fが貫通形成されている。
【0035】
このように構成された第1ケース3、第2ケース4及び取付部材22を流体管1に対して配設して筐体2を構成するには、先ず、取付部材22をフランジ3nの周方向に沿って進行させていき、フランジ3n及び突出部3pを嵌合空間22e(
図1及び
図2参照)内に挿入させていく。そして、取付部材22をフランジ3nの周方向に沿って進行させることで、フランジ3n及び突出部3pを全長に渡って嵌合空間22e内に配置させ、貫通孔22fと挿入孔3qとを連通させる。つまり、フランジ3n及び突出部3pと取付部材22とは、凸状の突出部3pと取付部材22の延設部22c及び鉤部22dとにより凹凸嵌合する。
【0036】
フランジ3nは、取付部材22の嵌合空間22e内に配置されることで、流体管1の管軸方向において融着部22aと鈎部22dにより挟持されるため、取付部材22は、第1ケース3に対して流体管1の管軸方向に相対移動不能に取り付けられる。更に、突出部3pが流体管1の径方向において鈎部22dと延設部22cとにより挟持されるため、取付部材22は、第1ケース3に対して流体管の径方向に相対移動不能に取り付けられる。
【0037】
また、フランジ3n及び突出部3pが嵌合空間22e内に配置されることで、フランジ3n及び突出部3pと延設部22c及び鈎部22dとは、側面視で密封性を有するラビリンス構造を構築する。
【0038】
この状態で貫通孔22fと挿入孔3tにかけて係止ピン21を挿入することで、係止ピン21が取付部材22とフランジ3nとを係止し、フランジ3nと取付部材22との周方向の相対回動が規制される。以下、第1ケース3及び第2ケース4のその他のフランジ3r,4n,4rにおいても同様に取付部材22の取り付けを行う。
【0039】
尚、本実施例では、取付部材22とフランジ3nとを1本の係止ピン21により係止しているが、取付部材22とフランジ3nとを周方向に沿って所定間隔おきに設けた複数本の係止ピン21により係止し、より強力にフランジ3nと取付部材22との周方向の相対回動を規制してもよい。
【0040】
次に、
図1に示すように、取付部材22を取り付けた第1ケース3を流体管1及びバイパス管12の一端側の上部に配設する。そして、フランジ3c,4c間に止水部材24を配した状態で第2ケース4を流体管1に対して下方から配設することで、
図3に示すように、第1ケース3のフランジ3c,3cと第2ケース4のフランジ4c,4cとをそれぞれ対向させるとともに、対向した各フランジ3c,4cをボルト・ナット25により緊締することで、筐体2を流体管1及びバイパス管12に対して仮固定する。
【0041】
このとき、各フランジ3n,4n及びフランジ3r,4rは、周方向の両端部同士で当接することで、第1ケース3及び第2ケース4からの突出寸法が周方向の略全長に亘って一様な環状に形成される。フランジ3n,4n及びフランジ3r,4rに取り付けられている取付部材22,22も同様に、周方向の両端部同士で当接することで、環状に形成される。
【0042】
更に、各止水部材20a,20c及び止水部材20b,20dにおいても、止水部材20a,20bの周方向の両端部が止水部材20c,20dの周方向の両端部に密接することで、各止水部材20a,20cと止水部材20b,20dとが環状に形成されるとともに、流体管1の外周面1aと当接部3a,3a間及びバイパス管12の外周面12aと分岐部2a間を密封する。
【0043】
このとき、筐体2と流体管1及びバイパス管12との間は、フランジ3c,4c間で止水部材24が弾性変形することで、フランジ3c,4cが略全長に亘って止水部材24に密着するとともに、各止水部材20aが当接部3a,4aと流体管1の外周面1a及び半筒部3e,4eとバイパス管12の外周面12aとの間で当接部3a,4aと流体管1の外周面1a及び半筒部3e,4eとバイパス管12の外周面12aとの略全長に亘って密着することで密封される。
【0044】
また、平坦面3j,4j間は、突起や段差等の非連続面を有さない連続面2bとして構成される。同様に、平坦面3k、4k間及び平坦面3m,4m間も、それぞれ連続面2c,2dとして構成される。
【0045】
各フランジ3n,4nに取り付けられている取付部材22の融着部22aは、流体管1の外周面1aに、流体管1の周方向の略全長に亘って当接する。同様に、フランジ3r,4rに取り付けられている取付部材22の融着部22aは、バイパス管12の外周面12aに、バイパス管12の周方向の略全長に亘って当接する。また、両半筒部3e,4eは、フランジ3c,3cとフランジ4c,4cが対向配置されることで、筐体2の側方に向けて分岐する分岐部2aを構成する。
【0046】
次に、図示しない外部電源に接続されている電源ケーブルをフランジ3n,4nに取り付けられている各取付部材22の接続部23に接続し、前記外部電源から所定時間電力を供給する。電力供給された電熱線22bが高温に発熱することで、樹脂材からなる融着部22aと流体管1の外周面1aとを加熱し次第に溶融する。
【0047】
溶融された融着部22aと流体管1の外周面1aとは、互いに混ぜ合わされ、電熱線22bによる発熱を停止し常温に下がることで一体化して凝固し、筐体2が流体管1に対して移動不能に固定される。更にこのとき、電熱線22bにより溶融された融着部22aの一部が当接部3a,4aと流体管1の外周面1aとの間に入り込む。このため、筐体2は、溶融された融着部22aの一部が当接部3a,4aと流体管1の外周面1aとの間に入り込むことと、前述のフランジ3n及び突出部3pと延設部22c及び鈎部22dが構築するラビリンス構造によって、流体管1の外周面1aとの間を密封することで、止水部材20a,20b,20c、20dによる密封を補助することができる。
【0048】
このため、筐体2は、流体管1の管軸方向の両端部に配置された取付部材22の融着部と流体管の外周面とを融着したことによって、流体管の管軸方向に向けての相対移動と流体管1の周方向に向けての相対回動が規制されるため、流体管1への取付位置を位置ずれすることなく維持することができる。
【0049】
更に、フランジ3n,4nに取り付けられた取付部材22の融着部22aと流体管1の外周面1a間と同様に、フランジ3r,4rに取り付けられた取付部材22の接続部23に前記外部電源と接続部23を接続して電熱線22bを発熱させることで、融着部22aとバイパス管12の外周面12aとを溶融させるとともに、電熱線22bの発熱を停止させて溶融された融着部22aとバイパス管12の外周面12aとを一体化させて凝固させる。
【0050】
そして、
図7に示すように、同様の手順によりもう一方の筐体2を流体管1及びバイパス管12の他端側に対して密封状に取り付けることで、流体管1における前記既設弁の上流側と下流側とに筐体2,2を配置する。
【0051】
次に、このように流体管1に対して取り付けられた各筐体2内への制流体11の挿入配置について説明する。尚、各筐体2及び制流体11は同一構成につき、一方の筐体2及び制流体11についてのみ説明する。
【0052】
先ず、
図4に示すように、分岐口3gの上フランジ3iに、内部に作業弁36及び切断装置50を配設した上部ケース35を水密に接続する。切断装置50は、図示しない駆動手段に接続され分岐口3g内を流体管1に向け軸方向に進出する軸部材51と、軸部材51の先端に固設され流体管1よりも大径の円筒形状に形成されたカッタ部材52と、から主として構成されている。このうち、上部ケース35には、図示しない空気抜きのための注水弁が設けられており、カッタ部材52は、鋭利な切断刃52aを備えている。
【0053】
このように構成された切断装置50は、
図4及び
図5に示すように、前記注水弁を介し注水することで筐体2及び上部ケース35内の空気を水で置換した後に、軸部材51を流体管1に向けて進出させることで、カッタ部材52の切断刃52aを流体管1の外周面1aに押し付けるとともに、更に軸部材51を流体管1に向けて進出させることで、カッタ部材52により流体管1を不断流状態で切断していく。
【0054】
尚、本実施例では、このように軸部材51を流体管1に向けて進出させることでカッタ部材52の切断刃52aを介して流体管1に圧力を加える押し切りにより流体管1を切断し、流体管1の切断の際に切り粉が生じることを防止しているが、流体管1の切断の際に切り粉が生じない範囲であれば、カッタ部材52を軸部材51回りに回転させながら流体管1を切断するようにしてもよい。
【0055】
流体管1内を流れる流体は、流体管1が切断されることで流体管1内から筐体2及び上部ケース35内に流出する。尚、カッタ部材52内には、特に図示しないが、カッタ部材52が流体管1を切断することで生じる切片を保持する保持手段が設けられており、カッタ部材52が流体管1を切断することで、前記切片はカッタ部材52内に保持される。
【0056】
次に、軸部材51を退行させ、切片を保持した状態のカッタ部材52を筐体2内から上部ケース35内に向けて移動させる。軸部材51の退行によって上部ケース35内にカッタ部材52を収納した後は、作業弁36をスライド移動させることで筐体2を水密に閉塞するとともに、上部ケース35内からカッタ部材52を取り外し、切断装置50による流体管1の切断を終了する。
【0057】
上部ケース35内からカッタ部材52を取り外した後は、
図5及び
図6に示すように、筐体2に制流体設置装置60を取り付け、筐体2内に制流体11を設置する。制流体設置装置60は、前述したように流体管1に取り付けられている筐体2と、軸部材51と、軸部材51の先端に固設され筐体2内に挿入配置される制流体11と、この制流体11を収納する上部ケース35と、から主に構成されている。
【0058】
このうち、制流体11は、弁箱13と、この弁箱13内で上下方向を向く枢軸15によって回動自在に枢支される弁本体14と、から主に構成されている。弁箱13の上部には、筐体2の円周面3hの全周に亘って密着可能な環状の環状シール部16aが形成されている。また、弁箱13には、平坦面3j,4jの全長に亘って密着可能なシール部16bが環状シール部16aから下方に向けて延設されている。
【0059】
弁箱13には、シール部16bと同様に、平坦面3k,4kの全長に亘って密着可能なシール部16c及び平坦面3m,4mの全長に亘って密着可能なシール部16dがそれぞれ環状シール部16aから可能に向けて延設されている。そして、これらシール部16b,16c,16dは、弁箱13の底部にて水平をなして交差している。
【0060】
また、弁箱13の内部は、弁箱13を上下方向に貫通する枢軸15を中心として、3つの弁室V1,V2,V3に分割形成されている。これら弁室V1,V2,V3は、弁箱13内でそれぞれ連通しているとともに、弁箱13外では、シール部16b,16c,16dにより互いが仕切られている。更に、弁室V1は、シール部16bとシール部16dの間で、弁箱13の流体管1における上流側に連通し、弁室V2は、シール部16bとシール部16cの間で、弁箱13の分岐部2a側に連通し、弁室V3は、シール部16cとシール部16dの間で、弁箱13の流体管1における下流側に連通している。尚、枢軸15の上端部は、弁箱13の上方に配置された枢軸操作部15aに接続されている。
【0061】
一方、弁本体14は、
図6及び
図7に示すように、枢軸15を回動操作することで、弁箱13内を弁箱13の内壁に摺接しながら弁室V1,V2,V3間を水平回動可能となっている。弁本体14は、枢軸15の回動操作によって弁室V1に配置されることで、弁室V1を流体管1の上流側に対して閉塞するとともに、弁室V2,V3間のみを連通可能となっている。同様に、弁本体14は、枢軸15の回動操作によって弁室V2に配置されることで、弁室V2を分岐部に2a対して閉塞するとともに、弁室V1,V3間のみを連通可能となっているとともに、枢軸15の回動操作によって弁室V3に配置されることで、弁室V3を流体管1の下流側に対して閉塞するとともに、弁室V1,V2間のみを連通可能となっている。
【0062】
このように構成された制流体11を筐体2内に挿入配置するには、
図4及び
図5に示すように、前記注水弁を介し注水することで上部ケース35内の空気を水で置換した後に、作業弁36をスライド移動させることで筐体2を開放し、筐体2内及び上部ケース35内に流体を満たす。そして、前記注水弁を閉塞した後に先端部に制流体11が固設された軸部材51を筐体2内に向けて進出させていく。尚、このとき、枢軸操作部15aは、軸部材51の先端部内に挿入配置されている。
【0063】
軸部材51を筐体2内に向けて進出させていくことで、環状シール部16aを筐体2の円周面3hの全周に亘って密着させる。同時に、平坦面3j,4jとシール部16b、平坦面3k,4kとシール部16c及び平坦面3m,4mとシール部16dをそれぞれ密着させ、弁箱13と筐体2との間を水密に保持することで筐体2内に制流体11を挿入配置する。
【0064】
筐体2内に制流体11を挿入配置した後は、上部ケース35内の流体を排水した後、上部ケース35に設けられた図示しない操作口から作業者が手を入れることで、軸部材51から制流体11を取り外す。最後に、上部ケース35を筐体2から取り外した後、上フランジ3i上に蓋体17を配置するとともに、蓋体17と上フランジ3iとをボルト・ナット18により緊締する。尚、蓋体17には、上下方向に貫通する貫通孔17aが形成されており、この貫通孔17aに枢軸操作部15aが挿入されることで、枢軸操作部15aは、蓋体17の上方に突出して配置される。
【0065】
この蓋体17と上フランジ3iとをボルト・ナット18により緊締することで、制流体11を蓋体17によって下方に向けて押圧し、円周面3hと環状シール部16a、平坦面3j,4jとシール部16b、平坦面3k,4kとシール部16c及び平坦面3m,4mとシール部16dとをより確実に密着させ、制流体11を筐体2内において固定し、制流体11の筐体2内への挿入配置を終了する。
【0066】
以後、作業者が枢軸操作部15aにハンドル等を取り付けて弁本体14を弁室V1に移動させることで、制流体11は、流体管1における流体の流路を閉塞するとともに、流体管1における筐体2よりも下流側と分岐部2aとを連通させることが可能となる。同様に、作業者が枢軸操作部15aにハンドル等を取り付けて弁本体14を弁室V3に移動させることで、制流体11は、流体管1における流体の流路を閉塞するとともに、流体管1における筐体2よりも上流側と分岐部2aとを連通させることが可能となる。
【0067】
更に、作業者が枢軸操作部15aにハンドル等を取り付けて弁本体14を弁室V2に移動させることで、制流体11は、流体管1における流体の流路を開放するとともに、分岐部2aと流体管1とを遮断させることが可能となる。尚、前記既設弁の交換等を行わない通常時は、
図6に示すように、弁本体14を弁箱13内の弁室V2に配置しておくことで、流体管1と分岐部2aとの間を閉塞し、流体管1内における流体の流路を維持する。
【0068】
このように流体管1の前記既設弁の上流側と下流側とに、内部に制流体11が挿入配置された筐体2を取り付けることで、前記既設弁の交換作業等を行う場合には、
図8に示すように、流体管1の前記既設弁よりも上流側に取り付けられた筐体2内の弁本体14を弁室V3に配置させるとともに、流体管1の前記既設弁よりも下流側に取り付けられた筐体2内の弁本体14を弁室V1に配置させ、両筐体2,2間の流路を閉止させる。
【0069】
そして、流体管1内を流れる流体は、両筐体2,2間をバイパス管12を介して迂回することができるので、流体管1の接続先である一般家庭等では、断水すること無く上水を使用することができる。
【0070】
以上、本実施例における筐体2の流体管1への取付方法にあっては、電熱線22bが配設され流体管1の外周面1aと当接する融着部22aを備えるとともに、筐体2に係止されることで筐体2との管軸方向への相対移動を規制可能な取付部材22を、筐体2に取り付けるとともに、電熱線22bを加熱して融着部22aと流体管1の外周面1aとを熱融着することで、筐体2を流体管1に対して移動不能に固定するので、筐体2は、融着部22aによって流体管1の外周面1aと融着した取付部材22によって流体管1の管軸方向に向けての相対移動が規制されるので、地震等により筐体2に不測の外力が作用しても、流体管1における取付位置を、流体管1の管軸方向に位置ずれすること無く維持することができる。
【0071】
また、筐体2は、取付部材22を取り付けた後に流体管1に取り付けられるので、筐体2に予め取付部材22を取り付けた後に流体管1に一体に筐体2を取り付けることで、自ずと取付部材22を流体管1の外周面1aと熱融着する箇所に配置することができる。
【0072】
また、本実施例における筐体2を樹脂製の流体管1に密封状に取り付けるための筐体2の流体管1への取付構造にあっては、電熱線22bが配設され流体管1の外周面1aと当接する融着部22aを備えるとともに、筐体2に係止されることで筐体2との管軸方向への相対移動を規制可能な取付部材22を、筐体2に取り付けるとともに、電熱線22bを加熱して融着部22aと流体管1の外周面1aとを熱融着することで、筐体2を流体管1に対して移動不能に固定するので、筐体2は、融着部22aによって流体管1の外周面1aと融着した取付部材22によって流体管1の管軸方向に向けての相対移動が規制されるので、地震等により筐体2に不測の外力が作用しても、流体管1における取付位置を、流体管1の管軸方向に位置ずれすること無く維持することができる。
【0073】
また、取付部材22は、筐体2の流体管1の周方向への相対回動を規制する係止ピン21を有しているので、筐体2は、融着部22aによって流体管1の外周面1aと融着した取付部材22と係止ピン21を介して接続されているので、流体管1における取付位置を、流体管1の周方向に位置ずれすること無く維持することができる。
【0074】
また、取付部材22は、筐体2の管軸方向における両端部に取り付けられているので、取付部材22を流体管1の外周面1aに熱融着させることで、両取付部材22,22により筐体2を流体管1の管軸方向において挟持することができるので、筐体2の流体管1における管軸方向への移動をこれら取付部材22,22により強力に規制することができる。
【0075】
また、取付部材22は、筐体2に凹凸嵌合により取り付けられるので、取付部材22と筐体2とが確実に凹凸嵌合した箇所で当接するので、筐体2の管軸方向への相対移動をより強力に規制することができる。
【0076】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0077】
例えば、前記実施例では、制流体11を弁箱13と弁本体14とで構成し、弁本体14を弁箱13内の弁室V1,V2,V3間で移動させることで流路の開閉を行うようにしたが、制流体は流路の流路の開閉が可能であれば、例えば、バタフライ弁等の異なる形状の弁体であってもよい。
【0078】
また、前記実施例では、制流体11を、弁本体14を弁箱13内で回動させることで、流体管1の上流側または下流側及び分岐部2a側の三方のいずれか一方を閉塞するように構成したが、制流体は、例えばゲート弁、緊急遮断弁、あるいはプラグ等で構成されていてもよく、流体管1の上流側または下流側の一方のみを閉塞することで流体の流路のみを閉塞するようにしてもよい。
【0079】
また、前記実施例では、筐体2における流体管1の管軸方向の端部に形成されたフランジ3n及び突出部3pを取付部材22の嵌合空間22eに配置することで、フランジ3n及び突出部3pと取付部材22とを凹凸嵌合させ、取付部材22を、第1ケース3に対して流体管1の管軸方向に相対移動不能に取り付けたが、筐体2における流体管1の管軸方向の端部に突出部3pを有さず外径方向に突出するのみのフランジを形成するとともに、該フランジの突出形状と略同一形状の嵌合空間が形成された取付部材を流体管1の径方向から近接させることで、前記嵌合空間内に前記フランジを配置して、取付部材22を、第1ケース3に対して流体管1の管軸方向に相対移動不能に取り付けるようにしてもよい。
【0080】
また、前記実施例では、筐体2における流体管1の管軸方向側の両端部と流体管1の外周面1aとを熱融着するとともに、筐体2における分岐部2aとバイパス管12の外周面12aとを熱融着することで、筐体2を流体管1に対して移動不能に固定したが、少なくとも流体管1と筐体2との間を熱融着していれば、分岐部2aとバイパス管12の外周面12aの接続は熱融着に限らず、例えば、分岐部2a内に分岐部2aの内径側を向く刃部を有する係止体を複数配置し、分岐部2a内に配置されたバイパス管12の一端に向けて前記係止体を押圧することで刃部をバイパス管12の外周面12aに食い込ませることで、接続部23内にバイパス管12の一端を固定してもよい。
【0081】
また、前記実施例では、第1ケース3のフランジ3n,3r及び第2ケース4のフランジ4n,4rにそれぞれ予め取付部材22を取り付けた後、第1ケース3及び第2ケース4を流体管1に取り付けて筐体2を構成したが、フランジ3n,3r,4n,4rが流体管の径方向から嵌合空22e間内に挿入可能な形状であれば、第1ケース3及び第2ケース4を流体管1に対して取り付けた後に各フランジ3n,3r,4n,4rに取付部材22を取り付けてもよい。
【0082】
また、前記実施例では、第1ケース3及び第2ケース4のフランジ3n,3r,4n,4rに個別に取付部材22を取り付けたが、第1ケース3及び第2ケース4を流体管1の上下方向から取り付けた後、第1ケース3及び第2ケース4の側方から各取付部材22を、両フランジ3n,3r(両フランジ4n,4r)に架けて取り付けるようにしてもよい。
【0083】
また、前記実施例では、取付部材22を流体管1の外周面1aとの間で熱融着することで筐体2を流体管1に対して移動不能に固定したが、第1ケース3と第2ケース4とが流体管1に取り付けられたことで環状に形成された取付部材22,22の外周にバンド等の緊締部材を取り付け、該緊締部材により取付部材22を流体管1に対して緊締することで、筐体2を流体管1に対してより強力に固定するようにしてもよい。
【0084】
また、前記実施例では、流体管1に対して第1ケース3と第2ケース4を取り付けることで筐体2を構成し、筐体2内で切断装置50によって流体管1を切断した後に筐体2内に制流体11を配置したが、流体管1を部分的に切断することで流体管1に穿孔を穿設し、該穿孔を介して流体管1内に制流体等を挿入配置してもよく、この場合には、流体管1の上部に第1ケース3のみを取り付けることで筐体を構成するようにしてもよい。