(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る電磁弁システムについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁システムを示す。
【0028】
この電磁弁システム10は、
図1に示されるように、電源部12と、マニホールド化された複数の第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dと、前記電源部12から前記第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dへの通電状態を制御する制御ユニット19とを備える。
【0029】
制御ユニット19は、シリアル伝送ユニット(以下、単にSIユニットという)(電磁弁制御部)20と、安全電源制御部(電源制御部)22とを備える。SIユニット20は、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dに制御信号sc1を出力して順次制御する。また、安全電源制御部22は、前記第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dにおける電磁弁(図示せず)を制御信号sc1に拘らず制御する。すなわち、安全電源制御部22は、前記電磁弁を直接的に制御することができる。
【0030】
また、電磁弁システム10には、シーケンサ、シリアル/パラレル変換ユニット又は安全対策用のPLC(Programmable Logic Controller)等の外部コントローラとしての外部制御機器23が設けられている。外部制御機器23は、バス24を介して制御ユニット19と接続され、指示信号sc2を出力する。そのため、制御ユニット19のSIユニット20及び安全電源制御部22は、外部制御機器23からバス24を介して、前記指示信号sc2の供給を受けることになる。
【0031】
ここで、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dは、それぞれ、複数の第1〜第3グループ14、16及び18にグループ分けされている。
【0032】
また、電磁弁システム10では、第1〜第3グループ14、16及び18毎に、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dの動作を指示する指示信号sc2を外部制御機器23から入力可能である。
【0033】
電源部12は、電磁弁システム10における各部、特に、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dにおける電磁弁(図示せず)を動作させるために、所要の電圧及び電流、すなわち、所要の電力を供給する。この電源部12は、例えば、安全電源制御部22を介して、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dに電気的に接続され、前記電力を供給する。
【0034】
第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dは、それぞれ、図示しない入力端子と、出力端子と、ソレノイドで動作する電磁弁とを有する。前記電磁弁は、例えば、単動式、複動式や3ポジションの電磁弁とするとよい。
【0035】
例えば、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dは、制御ユニット19側から前記第1電磁弁ユニット14a〜14d、第2電磁弁ユニット16a〜16d、第3電磁弁ユニット18a〜18dの順に設けられる。従って、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dは、それぞれ、4つの電磁弁ユニットが順に並列で設けられている。そして、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dは、隣り合う一方の電磁弁ユニットの出力端子と他方の電磁弁ユニットの入力端子とを接続して連結されている。
【0036】
なお、この連結状態において、一端を構成する第1電磁弁ユニット14aの入力端子は、制御ユニット19のSIユニット20に接続されている。従って、前記入力端子には、前記SIユニット20から制御信号sc1が入力される。
【0037】
例えば、この第1電磁弁ユニット14aは、SIユニット20からの制御信号sc1に応じて、該第1電磁弁ユニット14aの電磁弁を動作させる。また、第1電磁弁ユニット14aは、この制御信号sc1を、出力端子を介して、隣り合う第
1電磁弁ユニット14bの入力端子へと入力する。このようにして、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dは、順次制御信号sc1が入力されて動作することになる。
【0038】
また、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dには、第1〜第3グループ14、16及び18毎に電力供給路26、28及び30が設けられる。
【0039】
電力供給路26、28及び30は、例えば、制御ユニット19の安全電源制御部22に接続されて、それぞれ、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dに渡って設けられる。そして、電力供給路26、28及び30は、安全電源制御部22を介して電源部12から供給された電力を、それぞれ、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dへと供給する。
【0040】
従って、第1グループ14に配設される第1電磁弁ユニット14a〜14dの電磁弁(図示せず)は、第1グループ14用の電力供給路26から電力供給される場合には、SIユニット20からの制御信号sc1に応じて制御可能な状態(以下、作動可能状態ともいう)となる。一方、電源部12から前記電磁弁への電力供給がない場合、当該電磁弁は、前記制御信号sc1が入力されても、制御することができない状態(以下、非作動状態ともいう)となる。
【0041】
同様にして、第2及び第3グループ16及び18にそれぞれ配設される第2及び第3電磁弁ユニット16a〜16d及び18a〜18dの電磁弁(図示せず)は、それぞれ第2及び第3グループ16及び18用の電力供給路28及び30からの電力供給に応じて作動可能状態又は非作動状態となる。
【0042】
なお、電磁弁システム10において、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dの個数は、例えば、
図1に示す12個に限定されることはない。すなわち、電磁弁システム10では、所望の個数の電磁弁ユニットを備えていればよい。
【0043】
また、
図1において、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dは、3つの第1〜第3グループ14、16、18にグループ分けされている。電磁弁システム10は、
図1に示す場合に限定されることはなく、少なくとも2つ以上の所望のグループにグループ分けされていればよい。
【0044】
さらに、
図1において、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dは、4つずつで第1〜第3グループ14、16及び18にグループ分けされている。電磁弁システム10は、
図1に示す場合に限定されることはなく、グループ毎に少なくとも1つ以上の所望の個数の電磁弁ユニットが備えられていればよい。
【0045】
SIユニット20は、バス24と第1電磁弁ユニット14aとに接続され、外部制御機器23からバス24を介して入力される指示信号sc2に応じた制御信号sc1を、前記第1電磁弁ユニット14aへと入力する。
【0046】
安全電源制御部22は、バス24と第1電磁弁ユニット14aとに接続され、外部制御機器23からバス24を介して入力される指示信号sc2に応じて、第1〜第3グループ14、16及び18毎に、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dの電磁弁(図示せず)に対する電力供給を制御する。
【0047】
また、安全電源制御部22は、例えば、
図1に示すように、第1〜第3グループ14、16及び18毎にセーフティスイッチ(切換手段)32、34及び36を備える。セーフティスイッチ32、34及び36は、その一端がそれぞれ電源部12に接続され、また、その他端は、第1〜第3グループ14、16及び18における電力供給路26、28及び30とそれぞれ接続される。
【0048】
そして、セーフティスイッチ32、34及び36は、外部制御機器23からの指示信号sc2に応じて、第1〜第3グループ14、16及び18毎に、電源部12から電力供給路26、28及び30への電力供給状態をオン又はオフに切り換え可能に構成される。また、セーフティスイッチ32、34及び36は、電源部12のプラス側とマイナス側との両方に対して配設されていてもよい。
【0049】
なお、安全電源制御部22は、指示信号sc2に応じて、第1〜第3グループ14、16及び18に対して個別の制御信号を出力することにより、該制御信号によって、前記第1〜第3グループ14、16及び18毎に、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dを制御するように構成されてもよい。
【0050】
バス24は、制御ユニット19に接続されると共に、外部制御機器23に接続される。前記バス24は、例えば、外部制御機器23から入力される第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dの動作に関する指示信号sc2を、制御ユニット19を構成するSIユニット20及び安全電源制御部22へと出力する。
【0051】
本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁システム10は、基本的には以上のように構成されるものである。次に、電磁弁システム10の動作及び作用効果について説明する。
【0052】
先ず、電磁弁システム10を通常使用する場合には、安全電源制御部22におけるセーフティスイッチ32、34及び36は全てオン状態にされる。すなわち、安全電源制御部22を介して電源部12と電力供給路26、28及び30とがそれぞれ接続される。なお、
図1において、セーフティスイッチ32、34及び36は、オフ状態として図示されている。
【0053】
この場合、電源部12から供給される電力は、セーフティスイッチ32、34及び36を介して電力供給路26、28及び30へとそれぞれ供給される。この結果、全ての第1〜第3グループ14、16及び18における全ての第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dに電力が供給される。
【0054】
これにより、全ての第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dの電磁弁(図示せず)は、SIユニット20から入力される制御信号sc1に応じて作動可能状態となる。
【0055】
一方、電磁弁システム10を使用するにあたり、一部の電磁弁ユニットの電磁弁のみ、例えば、第2グループ16に備えられる第2電磁弁ユニット16a〜16dの電磁弁のみを非作動状態にする場合がある。この場合、外部制御機器23から第2グループ16の非作動を指示する指示信号sc2を、バス24を介して安全電源制御部22へと入力する。
【0056】
これにより、安全電源制御部22では、前記指示信号sc2に応じて、セーフティスイッチ34のみをオフ状態へと切り換える(セーフティスイッチ32、36はオン状態)。この場合、電源部12からの電力は、セーフティスイッチ32及び36を介して電力供給路26及び30に供給され、第1及び第3グループ14、18における第1及び第3電磁弁ユニット14a〜14d、18a〜18dに電力が供給される。また、セーフティスイッチ34はオフ状態であるため、電力供給路28には電力が供給されず、第2グループ16における第2電磁弁ユニット16a〜16dには電力が供給されない。
【0057】
その結果、第1及び第3電磁弁ユニット14a〜14d及び18a〜18dの電磁弁は作動可能状態となり、SIユニット20から入力される制御信号sc1に応じて作動することができる。一方、第2電磁弁ユニット16a〜16dの電磁弁は非作動状態となり、SIユニット20から制御信号sc1が入力されても作動することがない。
【0058】
以上のように、第1の実施の形態では、電磁弁システム10において、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dが、複数の第1〜第3グループ14、16及び18にグループ分けされている。そして、電磁弁システム10は、前記第1〜第3グループ14、16及び18毎に前記第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dの電磁弁(図示せず)を直接的に制御する安全電源制御部22を備える。これにより、安全電源制御部22は、前記電磁弁の作動制御を第1〜第3グループ14、16及び18毎にそれぞれ行うことができる。
【0059】
その結果、非作動状態にすべき電磁弁を有するグループに対しては、電磁弁をSIユニット20からの制御信号sc1では作動できないようにしつつ、その他のグループに対しては電磁弁を前記制御信号sc1に応じて作動できるように選択的に制御することができる。これにより、マニホールド化された複数の第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dにおいて、非作動にすべき電磁弁について効果的、且つ、確実にその作動を停止することで安全性を高めることができる。
【0060】
例えば、複数の第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dにおいて、一部の電磁弁ユニット(例えば、第2電磁弁ユニット16a〜16d)に異常が発生し、前記一部の電磁弁ユニットを制御信号sc1で制御ができない場合に、前記一部の電磁弁ユニット及び前記一部の電磁弁ユニットと所定の関係を有する電磁弁ユニットの電磁弁を非作動状態にして、電磁弁システム10に接続される流体圧機器等の安全を確保しつつ、他の電磁弁ユニットの電磁弁は作動可能な状態を維持することができる。
【0061】
具体的には、電磁弁システム10において、セーフティスイッチ32、34及び36のそれぞれの一端が電源部12に対して接続され、また、それぞれの他端が第1〜第3グループ14、16及び18毎に設けられる電力供給路26、28及び30に対して接続される。これにより、安全電源制御部22は、第1〜第3グループ14、16及び18毎にセーフティスイッチ32、34及び36を制御することができる。この結果、電源部12から電力供給路26、28及び30への電力供給を第1〜第3グループ14、16及び18毎にそれぞれ独立して別に切り換えることができる。
【0062】
従って、グループ毎に電磁弁ユニットをマニホールド化したり、グループ毎に電源部を備える必要がなくなる。つまり、1つにマニホールド化された第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dに対して、1つの電源部12を備えた構成で、複数の第1〜第3グループ14、16及び18毎に電力供給を行うことができる。そのため、電磁弁システム10の小型化が可能となり、レイアウトの自由度を高めることができる。
【0063】
また、上述した第1の実施の形態では、電力供給路26、28及び30への電力供給を第1〜第3グループ14、16及び18毎に切り換えるセーフティスイッチ32、34及び36を安全電源制御部22に設ける構成としているが、この構成に限定されるものではない。
【0064】
例えば、セーフティスイッチ32、34及び36を安全電源制御部22に設ける代わりに、
図2に示される変形例に係る電磁弁システム10aのように、電力供給路26a、28a及び30aと、第1〜第3グループ14、16及び18に渡って設けられる共通電力供給路38との間にそれぞれセーフティスイッチ32a、34a及び36aを設けてもよい。
【0065】
この場合、電磁弁システム10aを構成する安全電源制御部22aは、電源部12と接続することなく、バス24と第1電磁弁ユニット14aとに接続される。また、この安全電源制御部22aは、外部制御機器23からの指示信号sc2に応じた第1〜第3グループ14、16及び18毎の制御信号sc3、sc4及びsc5をセーフティスイッチ32a、34a及び36aにそれぞれ入力するように構成される。
【0066】
なお、安全電源制御部22aから第1〜第3グループ14、16及び18への制御信号は、上述したように、それぞれに別々に出力されるパラレル信号(sc3、sc4、sc5)に限定されるものではなく、例えば、シリアル信号として制御信号sc3のみをセーフティスイッチ32a、34a及び36aにそれぞれ入力して制御するようにしてもよい。
【0067】
このセーフティスイッチ32a、34a及び36aは、第1〜第3グループ14、16及び18のそれぞれの一端を構成する電磁弁ユニット、例えば、SIユニット20側に配設される第1〜第3電磁弁ユニット14a、16a及び18aに一体的に備えられる。セーフティスイッチ32a、34a及び36aの一端は、電源部12に接続されて第1〜第3グループ14、16及び18に渡って設けられる共通電力供給路38に接続される。共通電力供給路38は、電源部12から供給される電力を、前記セーフティスイッチ32a、34a及び36aに供給するもので、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dに対して直接供給するものではない。
【0068】
また、セーフティスイッチ32a、34a及び36aの他端は、それぞれ電力供給路26a、28a及び30aに接続され、前記電力供給路26a、28a及び30aは、第1〜第3グループ14、16及び18毎に、それぞれ第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dに渡って設けられる。
【0069】
そして、セーフティスイッチ32a、34a及び36aは、安全電源制御部22aから入力される制御信号sc3、sc4及びsc5に応じて、第1〜第3グループ14、16及び18毎に、電源部12から電力供給路26a、28a及び30aへの電力供給状態をオン又はオフに切り換えるように構成される。
【0070】
以上のように、変形例に係る電磁弁システム10aでは、セーフティスイッチ32a、34a、36aをそれぞれ第1〜第3電磁弁ユニット14a、16a、18aと一体的に設ける。これにより、各第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d、18a〜18dが全ての電力供給路26a、28a、30aを備える必要がないため、小型化が可能となる。また、第1電磁弁ユニット14a〜14d(第2電磁弁ユニット16a〜16d、第3電磁弁ユニット18a〜18d)をまとめて、第1〜第3グループ14、16及び18に共通した1つのモジュールとすること(モジュラー化)も可能である。
【0071】
次に、第2の実施の形態に係る電磁弁システム100を構成する第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14c、16a、16b、18a、18bを
図3及び
図4に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係る電磁弁システム10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0072】
この第2の実施の形態に係る電磁弁システム100は、複数の第1〜第3グループ14、16及び18毎に、第1バルブ102a、104a及び106aと、第2バルブ102b、102c、104b及び106bと、エア等の流体を供給する供給通路108、110及び112とをそれぞれ備える点で、第1の実施の形態に係る電磁弁システム10と相違している。
【0073】
なお、
図3及び
図4では、一例として、第1グループ14が第1バルブ102a及び第2バルブ102b、102cを備え、第2グループ16が第1バルブ104a及び第2バルブ104bを備え、第3グループ18が第1バルブ106a及び第2バルブ106bを備えている。
【0074】
電磁弁システム100は、
図3及び
図4の構成に限定されることはなく、後述する
図5及び
図6に示すような、第1グループ14が第1バルブ102a及び第2バルブ102b〜102dを備え、第2グループ16が第1バルブ104a及び第2バルブ104b〜104dを備え、第3グループ18が第1バルブ106a及び第2バルブ106b〜106dを備える場合にも適用可能である。
【0075】
図3及び
図4に戻り、第1バルブ102a、104a及び106aは、複数の第1〜第3グループ14、16及び18毎に、安全電源制御部22(
図1参照)又は安全電源制御部22a(
図2参照)による制御に応じて切り換わるバルブである。また、第2バルブ102b、102c、104b及び106bは、前記第1バルブ102a、104a及び106aからの外部パイロット流体によって作動状態が切り換わるバルブである。
【0076】
また、電磁弁システム100は、例えば、第1、第2、第3グループ14、16、18が2つ以上の第1、第2、第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d、18a〜18dを備える場合に、1つの第1バルブ102a、104a、106aと、1つ以上の第2バルブ102b、102c、104b、106bを備えるように構成される。
【0077】
なお、
図3及び
図4では、便宜上、第1〜第3電磁弁ユニット14d、16c、16d、18c及び18dについて省略しているが、第1の実施の形態における電磁弁システム10と同様に、それぞれ4つの第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dを備えている。
【0078】
また、電磁弁システム100には、第1〜第3グループ14、16及び18毎に、外部パイロット通路114、116及び118と、第1排気通路120、122及び124と、第2排気通路126、128及び130とが、それぞれ、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dに渡って設けられる。
【0079】
第1バルブ102a、104a及び106aは、第1〜第3グループ14、16及び18のそれぞれの一端を構成する電磁弁ユニット、例えば、制御ユニット19(SIユニット20)側に配設される第1〜第3電磁弁ユニット14a、16a及び18aに設けられる。
【0080】
また、第1バルブ102a、104a及び106aは、安全電源制御部22によるセーフティスイッチ32、34及び36の切換、あるいは、安全電源制御部22aによる制御信号sc3、sc4及びsc5の切換に応じて切り換わる単動式の電磁弁である。
【0081】
第1バルブ102a、104a及び106aは、例えば、ソレノイドによって動作するパイロット弁を備え、前記パイロット弁の動作に応じて切り換わる。このソレノイドは、安全電源制御部22(22a)によって制御される。第1バルブ102a、104a及び106aは、安全電源制御部22(22a)により前記ソレノイドへの電流供給が遮断された際に、供給通路108、110及び112と外部パイロット通路114、116及び118との連通を遮断する。これにより、前記外部パイロット通路114、116及び118は、第2排気通路126、128及び130と連通した状態(すなわち、排気状態)に切り換わる。
【0082】
なお、第1バルブ102a、104a及び106aは、安全電源制御部22(22a)による制御だけでなく、例えば、SIユニット20からの制御信号sc1に応じて切り換わるように構成されてもよい。
【0083】
第2バルブ102b、102c、104b及び106bは、第1〜第3電磁弁ユニット14a、16a及び18a以外となる第1〜第3電磁弁ユニット14b、14c、16b及び18bにそれぞれ設けられる。第2バルブ102b、102c、104b及び106bは、例えば、SIユニット20からの制御信号sc1に応じて切り換わる複動式の電磁弁である。なお、第2バルブ102b、102c、104b及び106bは、単動式の電磁弁であってもよい。
【0084】
また、第2バルブ102b、102c、104b、106bは、例えば、ソレノイドによってそれぞれ切り換わる2つのパイロット弁144a及び144b、146a及び146b、148a及び148b、150a及び150bを備える。これらのパイロット弁144a及び144b、146a及び146b、148a及び148b、150a及び150bは、外部パイロット通路114、116、118にそれぞれ接続される。
【0085】
そして、第2バルブ102b、102c、104b及び106bは、第1バルブ102a、104a及び106aから供給される外部パイロット流体に応じて、供給通路108、110、112に対する第1ポート132b、132c、136b、140bと第2ポート134b、134c、138b及び142bとの連通状態を切り換えることで流体の流通方向を切り換える。
【0086】
第1電磁弁ユニット14a〜14cには、圧力流体の供給される第1ポート132a〜132c及び第2ポート134a〜134cがそれぞれ設けられる。第2及び第3電磁弁ユニット16a、16b、18a及び18bでも、同様に第1ポート136a、136b、140a及び140bと、第2ポート138a、138b、142a及び142bとが設けられる。
【0087】
供給通路108、110及び112は、全ての第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dにおける第1バルブ102a、104a及び106a、並びに第2バルブ102b、102c、104b及び106bに接続される。
【0088】
外部パイロット通路114、116及び118は、第1〜第3電磁弁ユニット14a、16a及び18aの第2ポート134a、138a及び142aに接続されると共に、第1〜第3電磁弁ユニット14b〜14d、16b〜16d及び18b〜18dにおける第2バルブ102b、102c、104b及び106bに接続される。
【0089】
第1排気通路120、122及び124、並びに、第2排気通路126、128及び130は、全ての第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dにおける第1バルブ102a、104a及び106a、並びに、第2バルブ102b、102c、104b及び106bに接続される。
【0090】
なお、供給通路108、110及び112に供給される流体は、同一の流体を第1〜第3グループ14、16及び18毎に分岐したものでよい。すなわち、
図3〜
図6では、各供給通路108、110及び112が独立した形で図示されているが、連結して1本の供給通路に共通化し、同一の流体を流すことも可能である。
【0091】
また、第1排気通路120、122及び124から排出される排気は、同一の流れに集約されてもよい。すなわち、
図3〜
図6では、各第1排気通路120、122及び124が独立した形で図示されているが、連結して1本の排気通路に共通化し、同一の流れに集約することも可能である。
【0092】
さらに、第2排気通路126、128及び130から排出される排気は、同一の流れに集約されてもよい。すなわち、
図3〜
図6では、各第2排気通路126、128及び130が独立した形で図示されているが、連結して1本の排気通路に共通化し、同一の流れに集約することも可能である。
【0093】
本発明の第2の実施の形態に係る電磁弁システム100は、基本的には以上のように構成されるものである。次に、電磁弁システム100の動作及び作用効果について説明する。
【0094】
なお、この場合、供給通路108、110及び112には、予め流体が供給されている。
【0095】
先ず、電磁弁システム100を通常使用する場合には、供給通路108、110及び112と外部パイロット通路114、116及び118とを連通させるために、安全電源制御部22(22a)によって、第1バルブ102a、104a及び106aを作動させる。これにより、
図3に示すように、供給通路108、110、112と、第1ポート132a、136a、140a及び第2ポート134a、138a、142aとが連通した状態へと切り換わる。例えば、安全電源制御部22ではセーフティスイッチ32、34及び36が全てオン状態となり、あるいは、安全電源制御部22aでは制御信号sc3、sc4及びsc5が全てオン状態となる。
【0096】
これにより、第1バルブ102a、104a及び106aの切換作用下に、供給通路108、110及び112と第1ポート132a、136a、140a及び第2ポート134a、138a、142aとが連通する。その結果、流体は、前記第1バルブ102a、104a及び106aを介して、第1ポート132a、136a及び140aと、第2ポート134a、138a及び142aとにそれぞれ供給される。
【0097】
また、第2ポート134a、138a及び142aに供給された流体は、外部パイロット流体としてそれぞれ外部パイロット通路114、116及び118にも供給される。これにより、該外部パイロット流体は、第1〜第3電磁弁ユニット14b〜14d、16b〜16d及び18b〜18dの第2バルブ102b、102c、104b、106bにそれぞれ供給される。
【0098】
次に、第2バルブ102b、102c、104b、106bでは、外部パイロット流体が2つのパイロット弁144a及び144b、146a及び146b、148a及び148b、150a及び150bに供給される。
【0099】
ここで、第1〜第3電磁弁ユニット14b〜14d、16b〜16d及び18b〜18dに対して、制御信号sc1を入力して第2バルブ102b、102c、104b、106bを作動させる。これにより、
図3に示すように、供給通路108、110、112と、第1ポート132b、132c、136b及び140bとが連通した状態へと切り換わる。
【0100】
この場合、例えば、第2バルブ102b、102c、104b、106bでは、一方のパイロット弁144a、146a、148a、150aのみが開弁され、他方のパイロット弁144b、146b、148b、150bは閉弁したままの状態となる。これにより、外部パイロット流体が、前記パイロット弁144a、146a、148a、150aのみに供給され、そのパイロット弁を通過した外部パイロット流体の作用下に、
図3に示すように、第2バルブ102b、102c、104b、106bが切り換わる。
【0101】
そのため、第2バルブ102b、102c、104b及び106bの切換作用下に、供給通路108、110及び112と第1ポート132b、132c、136b及び140bとがそれぞれ連通し、第2排気通路126、128及び130が第2ポート134b、134c、138b及び142bとそれぞれ連通する。その結果、流体は、前記第2バルブ102b、102c、104b及び106bを介して、第1ポート132b、132c、136b及び140bに供給される。
【0102】
なお、第1バルブ102a、104a及び106aは、第1排気通路120、122及び124、並びに、第2排気通路126、128及び130とは連通しない。また、第2バルブ102b、102c、104b及び106bは、第1排気通路120、122及び124とは連通しない。
【0103】
一方、
図4に示されるように、電磁弁システム100を使用するにあたり、一部の電磁弁ユニットの電磁弁のみ、例えば、第2グループ16に備えられる第2電磁弁ユニット16a〜16dの電磁弁のみを非作動状態にする場合がある。
【0104】
この場合、先ず、外部制御機器23から第2グループ16の非作動を指示する指示信号sc2を、バス24を介して安全電源制御部22(22a)へと入力する。
【0105】
この指示信号sc2に応じて、安全電源制御部22(22a)は、第2グループ16の第1バルブ104aを切り換え、供給通路110と外部パイロット通路116との連通状態、すなわち、供給通路110と第1及び第2ポート136a、138aとの連通状態を遮断し、外部パイロット通路116が第2排気通路128と連通するように制御する。例えば、安全電源制御部22では第2グループ16に係るセーフティスイッチ34のみをオフ状態にし、あるいは、安全電源制御部22aでは第2グループ16に係る制御信号sc4のみをオフ状態にする。
【0106】
この場合、第2グループ16では、第1バルブ104aについてソレノイドへ電流又はパイロット弁へ流体が供給されなくなる。これにより、
図4に示されるように、第1バルブ104aのみが強制的に第1バルブ102a、106aとは異なる状態へと切り換わる。
【0107】
なお、供給通路108及び112と外部パイロット通路114及び118との連通状態が維持される他の第1及び第3グループ14及び18に備えられる第1バルブ102a及び106a、並びに、第2バルブ102b、102c、106bについては、上述したため、その詳細な説明は省略する。
【0108】
これにより、第1バルブ104aの切換作用下に、第1排気通路122及び第2排気通路128が第1ポート136a及び第2ポート138aとそれぞれ連通する。すなわち、供給通路110と第1ポート136a及び第2ポート138aとの連通が遮断されるため、流体は、第1ポート136a及び第2ポート138aに供給されない。
【0109】
従って、第2ポート138aと接続している外部パイロット通路116は、第2排気通路128と連通して外部パイロット流体が供給されず、第2グループ16では、外部パイロット流体が第2電磁弁ユニット16b〜16dに供給されることがない。例えば、第2電磁弁ユニット16bの第2バルブ104bでは、そのパイロット弁148a及び148bのいずれにも外部パイロット流体が供給されないため、第2バルブ104bが切り換えられることがない非作動状態(非切換状態)となり、制御信号sc1が入力されても作動することがなく、
図4に示すような状態で維持される。
【0110】
以上のように、第2の実施の形態では、電磁弁システム100において、第1〜第3グループ14、16及び18毎に、安全電源制御部22(22a)による制御に応じて流体の連通状態を切り換え可能な第1バルブ102a、104a及び106aと、前記第1バルブ102a、104a及び106aからの外部パイロット流体によって作動状態が切り換わる第2バルブ102b、102c、104b及び106bと、供給通路108、110及び112とを備える。
【0111】
これにより、安全電源制御部22(22a)が、第1〜第3グループ14、16及び18毎に、少なくとも1つの電磁弁、すなわち第1バルブ102a、104a及び106aの切換動作を直接的に制御すれば、前記第1バルブ102a、104a及び106aから他の電磁弁、すなわち、第2バルブ102b、102c、104b及び106bへの外部パイロット流体の供給を制御することができる。すなわち、前記第2バルブ102b、102c、104b及び106bの作動状態を制御することができる。
【0112】
従って、非作動状態にすべき電磁弁を有するグループに対しては電磁弁をSIユニット20からの制御信号sc1では作動できないように制御しつつ、その他のグループに対しては電磁弁を作動可能に維持することができる。その結果、マニホールド化された複数の第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dにおいて、非作動にすべき電磁弁についてより効果的、且つ、より確実にその作動を停止することで安全性をより高めることができる。
【0113】
次に、第3の実施の形態に係る電磁弁システム200を
図5に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係る電磁弁システム10及び第2の実施の形態に係る電磁弁システム100と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0114】
この第3の実施の形態に係る電磁弁システム200では、第1〜第3グループ14、16及び18毎の電力供給路26、28及び30の制御に応じて、第1〜第3グループ14、16及び18毎に第1バルブ102a、104a及び106aを制御する点で、第1の実施の形態に係る電磁弁システム10及び第2の実施の形態に係る電磁弁システム100と相違している。
【0115】
電磁弁システム200では、第1バルブ102a、104a及び106aは、電力供給路26、28及び30、あるいは、セーフティスイッチ32、34及び36の他端とそれぞれ接続される。このため、前記電力供給路26、28及び30に供給された電力は、第1バルブ102a、104a及び106aに供給され、第1バルブ102a、104a及び106aが電磁弁として動作するために用いられる。
【0116】
すなわち、第1バルブ102a、104a及び106aは、電力供給路26、28及び30への電力供給に応じてそれぞれ作動状態が切り換えられる。
【0117】
本発明の第3の実施の形態に係る電磁弁システム200は、基本的には以上のように構成されるものである。次に、電磁弁システム200の動作及び作用効果について説明する。
【0118】
先ず、安全電源制御部22がセーフティスイッチ32、34、36をオン状態にすると、電源部12から電力供給路26、28、30へと電力が供給され、前記電力は、第1バルブ102a、104a、106aにも供給される。
【0119】
この場合、第1バルブ102a、104a、106aでは、電力供給路26、28、30からの電力がソレノイドへ供給された作動可能状態となる。
【0120】
第1バルブ102a、104a、106aが作動可能状態である場合の以降の動作については第2の実施の形態において説明したため、その詳細な説明は省略する。
【0121】
一方、安全電源制御部22がセーフティスイッチ32、34、36をオフ状態にすると、電源部12から電力供給路26、28、30に電力が供給されず、第1バルブ102a、104a、106aにも電力が供給されなくなる。
【0122】
この場合、第1バルブ102a、104a、106aは、供給通路108、110及び112と外部パイロット通路114、116及び118との連通状態を遮断するように切り換えられる。
【0123】
第1バルブ102a、104a、106aが非作動状態である場合の以降の動作については上述したため、その詳細な説明は省略する。
【0124】
すなわち、
図5では、外部パイロット通路114に第2バルブ102b〜102dが接続され、外部パイロット通路116に第2バルブ104b〜104dが接続され、外部パイロット通路118に第2バルブ106b〜106dが接続されている。前述のように、
図3及び
図4の電磁弁システム100では、第1バルブ102a、104a及び106aからの外部パイロット流体によって第2バルブ102b、102c、104b及び106bの作動状態が切り換わる。そのため、
図5の電磁弁システム200でも、
図3及び
図4の場合と同様に、第1バルブ102a、104a及び106aからの外部パイロット流体によって、第2バルブ102b〜102d、104b〜104d及び106b〜106dの作動状態を切り換えることができる。
【0125】
以上のように、第3の実施の形態では、電磁弁システム200において、安全電源制御部22による第1〜第3グループ14、16及び18毎の電力供給路26、28及び30の制御に応じて、第1バルブ102a、104a及び106aを第1〜第3グループ14、16及び18毎にそれぞれ作動する。
【0126】
これにより、安全電源制御部22が電力供給路26、28及び30に対する電力の供給状態を制御すると共に、該電力制御に基づいて第1バルブ102a、104a及び106aの作動状態を制御し、さらには、該第1バルブ102a、104a及び106aの作動状態に基づいて第2バルブ102b〜102d、104b〜104d及び106b〜106dの作動状態を制御することができる。
【0127】
その結果、第1〜第3グループ14、16及び18毎の電磁弁の作動状態の制御を、電力供給による制御と、外部パイロット流体の供給制御とによって二重に行うことができる。これにより、マニホールド化された複数の電磁弁ユニットにおいて、非作動にすべき電磁弁について一層効果的、且つ、一層確実にその作動を停止し、安全性を一層高めることができる。
【0128】
次に、第4の実施の形態に係る電磁弁システム300を
図6に示す。なお、上述した第3の実施の形態に係る電磁弁システム200と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0129】
この第4の実施の形態に係る電磁弁システム300では、外部パイロット通路114、116及び118における外部パイロット流体に係る供給状態を検出する供給状態検出部302、304及び306を備える点で、第3の実施の形態に係る電磁弁システム200と相違している。また、電磁弁システム300では、制御ユニット19は、前記供給状態検出部302、304及び306により検出された外部パイロット流体の供給状態に係る判定を行う供給状態判定部308を備える。
【0130】
供給状態検出部302、304及び306は、例えば、第1〜第3グループ14、16及び18毎に配設され、第1〜第3電磁弁ユニット14b〜14d、16b〜16d及び18b〜18dと供給状態判定部308との間にそれぞれ設けられる。供給状態検出部302、304及び306は、例えば、流体の圧力を検出可能な圧力センサからなり、外部パイロット通路114、116及び118とそれぞれ接続される。この場合、供給状態検出部302、304及び306は、外部パイロット通路114、116及び118に供給される外部パイロット流体、すなわち、第2バルブ102b〜102d、104b〜104d及び106b〜106dに供給される外部パイロット流体の圧力を検出することで供給状態を検出し、その供給状態を電気信号として供給状態判定部308へと出力する。
【0131】
供給状態判定部308は、供給状態検出部302、304及び306とバス24との間に設けられ、供給状態検出部302、304及び306で検出された外部パイロット流体の供給状態が入力される。供給状態判定部308は、入力された前記供給状態に基づいて、外部パイロット流体が第1バルブ102a、104a及び106aから外部パイロット通路114、116及び118へとそれぞれ適切に供給されているか否か、すなわち、外部パイロット流体が第2バルブ102b〜102d、104b〜104d及び106b〜106dに適切に供給されているか否かを判定する。
【0132】
そして、供給状態判定部308は、例えば、第1〜第3グループ14、16及び18毎の外部パイロット流体の供給状態について、外部制御機器23からバス24を介して制御ユニット19に入力される第1〜第3グループ14、16及び18毎の指示信号sc2と比較して整合しているか否かを判定し、その整合が論理的に矛盾するグループについては、電磁弁の故障等の異常が生じたことを判断することができる。
【0133】
本発明の第4の実施の形態に係る電磁弁システム300は、基本的には以上のように構成されるものである。次に、電磁弁システム300の動作及び作用効果について説明する。
【0134】
先ず、電磁弁システム300の起動時に、第1〜第3グループ14、16及び18の全てに対して電磁弁を作動可能にする指示信号sc2を安全電源制御部22へと入力する。この指示信号sc2によってセーフティスイッチ32、34、36がオン状態に切り換えられると、電源部12からの電力が電力供給路26、28、30へと供給され、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d、18a〜18dに電力が供給される。
【0135】
これにより、電力供給路26、28、30から第1バルブ102a、104a、106aに電力が供給され、該第1バルブ102a、104a、106aの切換作用下に、供給通路108、110、112が第2ポート134a、138a、142a(
図3参照)を介して外部パイロット通路114、116、118と連通する。その結果、供給通路108、110、112からの外部パイロット流体が、第1〜第3電磁弁ユニット14b〜14d、16b〜16d、18b〜18dの第2バルブ102b〜102d、104b〜104d、106b〜106dへとそれぞれ供給される。これにより、第1〜第3電磁弁ユニット14b〜14d、16b〜16d、18b〜18dの作動制御を、セーフティスイッチ32、34、36の切換作用下に電源部12から供給される電力と、外部パイロット通路114、116、118を通じて供給される外部パイロット流体とによって行うことができる。
【0136】
一方、セーフティスイッチ32、34、36がオフ状態に切り換えられると、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d、18a〜18dに電力が供給されなくなることで、第1バルブ102a、104a、106aにも電力が供給されず、通電が遮断された状態となる。そのため、第1バルブ102a、104a、106aの作動による、外部パイロット通路114、116、118から第1〜第3電磁弁ユニット14b〜14d、16b〜16d、18b〜18dへの外部パイロット流体の供給が停止する。その結果、セーフティスイッチ32、34、36をオフ状態とすることで、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d、18a〜18dを電気的に非作動状態としつつ、外部パイロット流体の供給を停止することで非作動状態とし、安全性を高めることが可能となる。
【0137】
また、供給状態検出部302、304及び306は、外部パイロット通路114、116及び118における外部パイロット流体の圧力等を検出する。
【0138】
次に、供給状態判定部308は、供給状態検出部302、304及び306により検出され入力された供給状態(圧力)を判定し、例えば、前記供給状態と第1〜第3グループ14、16及び18毎の指示信号sc2との整合性について論理的に矛盾するか否かを判定する。
【0139】
これにより、供給状態判定部308では、外部パイロット通路114、116及び118に外部パイロット流体が適切に供給されているか否かを確認することができる。
【0140】
以上のように、第4の実施の形態では、電磁弁システム300において、外部パイロット通路114、116及び118の外部パイロット流体の供給状態を検出する供給状態検出部302、304及び306と、前記供給状態検出部302、304及び306により検出された供給状態を判定する供給状態判定部308とを備える。これにより、第1バルブ102a、104a及び106aを介して外部パイロット流体が外部パイロット通路114、116及び118に供給されているか否かを確認することができる。
【0141】
その結果、電磁弁を非作動状態にすることを指示した指示信号sc2の供給にも拘わらず、外部パイロット流体が外部パイロット通路114、116又は118へ供給されていれば、安全電源制御部22、あるいはセーフティスイッチ32、34又は36の故障や、電力供給路26、28又は30の断線等の損傷であると検出することができる。従って、第1バルブ102a、104a、106aの動作不良を確実に検出することができる。そのため、マニホールド化された複数の電磁弁ユニットにおいて、非作動にすべき電磁弁についてより一層効果的、且つ、より一層確実にその作動を停止し、安全性をより一層高めることができる。
【0142】
また、第4の実施の形態では、上記の構成に代えて、供給状態検出部302を圧力スイッチとし、供給状態判定部308を入力回路部310に代替し、外部制御機器23に供給状態判定部312を具備させた電磁弁システム300aを構成してもよい。
【0143】
ここで、電磁弁システム300とは異なる電磁弁システム300aの動作について、
図7のタイミングチャートも参照しながら説明する。なお、
図7は、安全上の観点から、各電磁弁を非作動状態にして外部パイロット流体の供給を確実に停止させる必要がある場合に、電磁弁の非作動による外部パイロット流体の供給停止を指示する指示信号sc2の供給から外部制御機器23に残圧情報が入力されるまでの各部の時間変化を示すタイミングチャートである。
【0144】
先ず、外部制御機器23は、時点t0において、バス24を介して制御ユニット19に供給する指示信号を、オン信号からオフ信号に切り替えることで、第1〜第3グループ14、16及び18の全てに対して電磁弁を非作動にすることを指示する。これにより、安全電源制御部22は、指示信号sc2に従って、時点t1で、セーフティスイッチ32、34、36をオン状態からオフ状態に切り換える。なお、時点t0から時点t1までの時間は、外部制御機器23からバス24を介して安全電源制御部22に指示信号sc2が供給されるまでに要する時間(時間遅れ)である。
【0145】
この結果、電力供給路26、28、30は、電源部12との通電が遮断された状態となるため、電力供給路26、28、30の電圧は、時点t1から時点t2にかけて、電源部12から供給される電圧Vonから0Vまで低下する。従って、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d、18a〜18dに電力が供給されなくなって、第1バルブ102a、104a、106aに電力が供給されなくなる。
【0146】
そのため、第1バルブ102a、104a、106aの作動による、外部パイロット通路114、116、118から第1〜第3電磁弁ユニット14b〜14d、16b〜16d、18b〜18dへの外部パイロット流体の供給も停止する。その結果、外部パイロット通路114、116及び118を流れる外部パイロット流体は、時点t2以降、徐々に排気され、該外部パイロット流体の圧力は、時間経過に伴って、電圧Vonに応じた圧力Ponから低下する。
【0147】
次に、時点t3において、外部パイロット流体の圧力が、所定の圧力Poffに到達したときに、圧力スイッチである供給状態検出部302、304、306は、外部パイロット流体の圧力が圧力Poffにまで低下したことを示す圧力確認信号(出力信号)を入力回路部310に出力する。
【0148】
なお、圧力Poffとは、第2バルブ102b〜102d、104b〜104d及び106b〜106dが作動状態に切り換わるために必要な外部パイロット流体の圧力の最低値(例えば、大気圧、又は、大気圧近傍の圧力)である。従って、外部パイロット流体の圧力が圧力Poffまで低下すれば、第2バルブ102b〜102d、104b〜104d及び106b〜106dは、作動状態から非作動状態に切り換わる。
【0149】
入力回路部310は、供給状態検出部302、304、306から圧力確認信号が入力された場合、圧力確認信号の入力によりセーフティスイッチ32、34、36がオフ状態になっていることを確認できたこと等を含む情報を、外部パイロット流体の圧力に関する残圧情報(作動状態(オン)から非作動状態(オフ)に切り替わったことを示す情報)として、バス24を介して、外部制御機器23に出力する。
【0150】
この場合、入力回路部310には、供給状態検出部302、304、306から圧力確認信号がそれぞれ入力されるので、入力回路部310から外部制御機器23に出力される残圧情報は、供給状態検出部302、304、306毎の情報となる。
【0151】
そして、時点t4で、外部制御機器23の供給状態判定部312には、バス24を介して残圧情報が入力される。なお、時点t3から時点t4までの時間は、供給状態検出部302、304、306が圧力確認信号を出力し、入力回路部310が残圧情報を生成し、入力回路部310からバス24を介して外部制御機器23に残圧情報が供給されるまでに要する時間(時間遅れ)である。
【0152】
供給状態判定部312は、入力された残圧情報と、指示信号sc2の示す指示内容とに基づいて、全ての電磁弁を非作動にする当該指示内容と、供給状態検出部302、304、306に応じた各残圧情報の示す結果とが整合しているか否かを判定する。
【0153】
この場合、供給状態判定部312は、指示信号sc2がオン信号からオフ信号に切り替わった時点t0から残圧情報が入力された時点t4までの時間T0が、予め設定した閾値時間Tよりも短いか否かを判定する。
【0154】
具体的に、供給状態判定部312は、時間T0が閾値時間Tよりも短ければ(T0<T)、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dが正常であると判定する。また、供給状態判定部312は、時間T0が閾値時間T以上であれば(T0≧T)、例えば、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dのうち、T0≧Tとなる時間T0を検出した供給状態検出部302、304、306に対応する電磁弁ユニットに故障等の異常が発生していると判定する。
【0155】
ここで、閾値時間Tとは、正常な電磁弁ユニットでの時間T0よりも長く、且つ、調整可能な時間であって、時間T0に余裕時間Tαを加えた時間(T=T0+Tα)である。
【0156】
すなわち、時点t2から時点t3までの時間T1は、例えば、第1バルブ102a、104a及び106a等の空気圧機器の容積及び長さや、外部パイロット通路114、116及び118等の配管の容積及び長さのような、電磁弁システム300aで接続される空気圧機器(空気圧回路)の構成によって変化する。そのため、正常な時間T0についても、前記空気圧機器によって様々な長さに変化する。
【0157】
また、時間T0には、時間T1に加え、時点t1から時点t2までの時間遅れや、時点t3から時点t4までの時間遅れも含まれる。
【0158】
そこで、第4の実施の形態では、このような電磁弁システム300aの構成の変化や時間遅れを考慮して、閾値時間Tを任意に設定できるようにしている。
【0159】
つまり、閾値時間Tは、正常な動作時間である時間T0よりも余裕を持たせて長く設定された、外部パイロット流体の圧力に関わる時間であり、ユーザが任意の時間に自由に設定することができるパラメータ設定値でもある。そのため、供給状態判定部312は、時間T0が予め設定された閾値時間T内であれば、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dが正常であると的確に判定することができる。また、供給状態判定部312は、時間T0が閾値時間T以上であれば、いずれかの電磁弁ユニットに異常が発生していると的確に判定することができる。
【0160】
なお、第4の実施の形態では、供給状態判定部312で判定される異常等の故障について、一例として、電磁弁ユニットの異常について説明した。第4の実施の形態の形態は、電磁弁ユニットの異常に対する判定に限定されるものではない。
【0161】
例えば、供給状態検出部302、304、306の故障、第1バルブ102a、104a及び106aの故障、セーフティスイッチ32、34及び36の固着又は短絡、第1バルブ102a、104a及び106aに至る配線の断線又は短絡、上述した各種の空気圧機器の異常に起因して、閾値時間T内に残圧情報がオンからオフに切り替わらない場合がある。
【0162】
すなわち、第4の実施の形態において、供給状態判定部312は、閾値時間T内に残圧情報がオンからオフに切り替わらない場合、指示信号sc2の供給から残圧情報の入力までの間の、
図7に示す一連の動作に関わる電磁弁システム300aの各部のうち、いずれかの箇所で、故障等の異常が発生しているものと判定することができる。
【0163】
以上のように、本発明の第4の実施の形態の電磁弁システム300の変形例である電磁弁システム300aでは、外部制御機器23から制御ユニット19に指示信号sc2が供給される場合、入力回路部310は、バス24を介して外部制御機器23に残圧情報を出力する。これにより、外部制御機器23からの指示信号sc2に対する第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18d側での応答結果(残圧情報)を、外部制御機器23にフィードバックすることができる。
【0164】
また、外部制御機器23の供給状態判定部312は、指示信号sc2の示す指示内容と残圧情報とが整合しているか否かを判定する。これにより、外部制御機器23からの指示信号sc2に示す指示内容通りに、第1〜第3電磁弁ユニット14a〜14d、16a〜16d及び18a〜18dが動作したか否かを外部制御機器23側で把握することができる。
【0165】
さらに、指示信号sc2の示す指示内容と残圧情報とが整合していない場合、すなわち、時間T0が閾値時間T以上の結果がある場合には、例えば、当該時間T0を検出した供給状態検出部302、304、306に対応する電磁弁ユニットに故障等の異常が発生していることを、外部制御機器23側で確実に把握することができる。
【0166】
なお、電磁弁システム300aでは、電磁弁システム300と同様に、制御ユニット19内の供給状態判定部308に、外部制御機器23の供給状態判定部312と同様の機能を持たせ、当該供給状態判定部308に指示信号sc2と残圧情報との整合性を判定させてもよい。この場合、供給状態判定部308は、バス24を介して外部制御機器23に判定結果のみ通知すればよい。
【0167】
また、電磁弁システム300aでは、外部制御機器23から指示信号sc2を供給する方式に代えて、供給状態判定部308、312で指示信号sc2を生成し、
図7のタイミングチャートに示す動作を行ってもよい。外部制御機器23内に供給状態判定部312を設ける場合には、供給状態判定部312から指示信号sc2が供給される。一方、制御ユニット19内に供給状態判定部308を設ける場合には、供給状態判定部308から指示信号sc2が供給される。この場合でも、電磁弁ユニットの故障等の異常が発生していることを判定することができる。
【0168】
さらに、電磁弁システム300aでは、供給状態検出部302〜306が圧力スイッチである場合について説明したが、電磁弁システム300の場合と同様に圧力センサを用いてもよい。この場合、入力回路部310は、供給状態検出部302〜306が検出した外部パイロット流体の圧力がPoffまで低下したこと等を含めた残圧情報を、バス24を介して外部制御機器23に出力する。この場合も、外部制御機器23の供給状態判定部312は、時間T0と閾値時間Tとの比較により、電磁弁ユニットの故障等の異常が発生しているか否かを判定することができる。
【0169】
なお、本発明に係る電磁弁システムは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。