(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明について、以下、より具体的に説明する。
【0019】
本発明の熱応答性樹脂粒子は、径が40〜50%となるまで圧縮し、該熱応答性樹脂粒子のガラス転移温度+30℃で60秒間加熱したときの径の、圧縮前の径を基準とした復元率(以下、「圧縮後の加熱による復元率」と呼ぶ)が、80%以上である。本発明の熱応答性樹脂粒子は、圧縮後の加熱による復元率が90%以上であることがより好ましい。これにより、熱による形状自己復元性に優れた熱応答性樹脂粒子を実現できる。
【0020】
また、本発明の熱応答性樹脂粒子は、径が40〜50%となるまで圧縮し、該熱応答性樹脂粒子のガラス転移温度−20℃(熱応答性樹脂粒子のガラス転移温度よりも20℃低い温度)で60秒間加熱したときの径の変化率が、圧縮直後の径を基準として0〜20%であることが好ましい。このような物性を満たすことにより、本発明の熱応答性樹脂粒子は、復元させたいタイミングにおいて圧縮された熱応答性樹脂粒子を復元させることができる。特に、本発明の熱応答性樹脂粒子は、径が40〜50%となるまで圧縮し、室温(25℃)にて静置したときの径の変化率が、圧縮直後の径を基準として0〜20%であることがより好ましい。
【0021】
また、本発明の熱応答性樹脂粒子は、平均粒子径が1μm〜2000μmであることが好ましい。
【0022】
熱応答性樹脂粒子の圧縮後の加熱による復元率及び平均粒子径は、熱応答性樹脂粒子の平均粒子径が200μm以上の場合は、以下のようにして測定することができる。
【0023】
まず、熱応答性樹脂粒子を、株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX−100にて倍率100倍で写真投影して得られる投影図において熱応答性樹脂粒子の重心を求め、熱応答性樹脂粒子の重心を通る長径と短径との平均値を圧縮前の熱応答性樹脂粒子の平均粒子径とする。
【0024】
次に、熱応答性樹脂粒子をガラス転移温度−20℃、60%RH環境下でノギスにて挟み込んで圧縮し、ノギスの目盛り(熱応答性樹脂粒子の圧縮方向に沿った径)を確認しながら、ノギスの目盛りが粒子径の40〜50%となるまで圧縮させる。
【0025】
その後、圧縮を解除し、熱応答性樹脂粒子をガラス転移温度−20℃、60%RH環境下で60秒間保持させ、上述した平均粒子径の測定方法と同様にして熱応答性樹脂粒子の平均粒子径を求め、熱応答性樹脂粒子の平均粒子径の変化率を確認する。
【0026】
次いで、熱応答性樹脂粒子のガラス転移温度よりも30℃高い温度に設定したホットプレート上に圧縮させて潰した熱応答性樹脂粒子を60秒間静置させる(60%RH環境下)。
【0027】
その加熱後の熱応答性樹脂粒子を株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX−100にて写真投影して得られる投影図において熱応答性樹脂粒子の重心を求め、熱応答性樹脂粒子の重心を通る長径と短径との平均値を加熱後の熱応答性樹脂粒子の平均粒子径とする。
【0028】
圧縮前の熱応答性樹脂粒子の平均粒子径(A)に対する、加熱後の熱応答性樹脂粒子の平均粒子径(B)の割合(B/A×100)を、復元率とする。複数個(例えば50個)の熱応答性樹脂粒子について復元率の測定を行い、それらの測定による復元率の平均値を復元率としてもよい。
【0029】
一方、熱応答性樹脂粒子の圧縮後の加熱による復元率及び平均粒子径は、熱応答性樹脂粒子の平均粒子径が200μm未満の場合は、以下のようにして測定することができる。
【0030】
微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製「MCTシリーズ」)を用いて熱応答性樹脂粒子を40〜50%に圧縮する。すなわち、まず、熱応答性樹脂粒子を微小圧縮試験機の下部加圧板上に載置し、マイクロスコープ(島津製作所社製「微小圧縮試験機MCT用サイド観察キット」)にて写真投影して得られる投影図において熱応答性樹脂粒子の重心を求め、熱応答性樹脂粒子の重心を通る長径と短径との平均値を圧縮前の熱応答性樹脂粒子の平均粒子径とする。
【0031】
次に、下部加圧板上の熱応答性樹脂粒子の1個に対して、上部加圧圧子(ダイヤモンド製平面圧子)を用いて、負荷速度0.072500gf/secで、荷重が最大荷重(試験力)1.00gfに達するまで、鉛直方向下向きに荷重をかけて、熱応答性樹脂粒子の鉛直方向に沿った径が圧縮前の40〜50%になるまで熱応答性樹脂粒子を圧縮する。その後、圧縮を解除し、Tg−20℃、60%RH環境下で60秒間保持させ、上述した平均粒子径の測定方法と同様にして熱応答性樹脂粒子の平均粒子径を求め、熱応答性樹脂粒子の平均粒子径の変化率を確認する。
【0032】
次いで、熱応答性樹脂粒子のTgよりも30℃高い温度に設定したホットプレート上に圧縮させて潰した熱応答性樹脂粒子を60秒間静置させる(60%RH環境下)。
【0033】
その加熱後の熱応答性樹脂粒子をマイクロスコープ(島津製作所社製「微小圧縮試験機MCT用サイド観察キット」)にて倍率100倍で写真投影して得られる投影図において熱応答性樹脂粒子の重心を求め、熱応答性樹脂粒子の重心を通る長径と短径との平均値を加熱後の熱応答性樹脂粒子の平均粒子径とする。
【0034】
圧縮前の熱応答性樹脂粒子の平均粒子径(A)に対する、加熱後の熱応答性樹脂粒子の平均粒子径(B)の割合(B/A×100)を、復元率とする。複数個(例えば50個)の熱応答性樹脂粒子について復元率の測定を行い、それらの測定による復元率の平均値を復元率としてもよい。
【0035】
なお、上記上部加圧圧子としては、熱応答性樹脂粒子の粒子径に適合したサイズのものを用いればよく、例えば、直径50μmの上部加圧圧子を用いることができる。
【0036】
本発明の熱応答性樹脂粒子は、種々の形態を取り得るが、本発明に係る圧縮後の加熱による復元率が80%以上である熱応答性樹脂粒子を実現し易いことから、以下に説明する実施の形態に係る
熱応答性樹脂粒子であることが好ましい。
【0037】
本発明
の熱応答性樹脂粒子は、(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体、(メタ)アクリルアミド系重合性単量体、及び、(メタ)アクリルアミド誘導体からなる群より選択される少なくとも1種(以下、(メタ)アクリル系単量体ともいう)と、分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を2つ以上有する架橋性単量体とを含む単量体混合物の共重合体からなる高分子マトリックス、及び、上記高分子マトリックス内に含有されているアクリル系液状ポリマーを含んでいる。本
発明の熱応答性樹脂粒子では、高分子マトリックスを形成する上記共重合体が、液状ポリマーを内包した形態をとると推測される。
【0038】
本発明の構成によれば、本発明に係る圧縮後の加熱による復元率が80%以上である熱応答性樹脂粒子を容易に実現できる。また、
本発明の熱応答性樹脂粒子は、透明維持性が高いという優れた特徴をさらに有している。
【0039】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0040】
上記(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体としては、分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を1つ有し、アクリル系液状ポリマーと相溶する(メタ)アクリル酸エステルであれば特に制限なく使用することができる。上記(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸1−アダマンチルを使用することができる。これら(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体はそれぞれ、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。上記(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体としては、(メタ)メタクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル等のような分岐アルキル(メタ)アクリレートを単独で用いるか、あるいは、分岐アルキル(メタ)アクリレートと他の(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体とを組み合わせて用いることが好ましい。
【0041】
上記(メタ)アクリルアミド系重合性単量体としては、例えば、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これら(メタ)アクリルアミド系重合性単量体はそれぞれ、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
上記(メタ)アクリルアミド誘導体としては、分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を1つ有し、アクリル系液状ポリマーと相溶するものであれば特に制限なく使用することができる。また、上記(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘプトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−オクトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。これら(メタ)アクリルアミド誘導体はそれぞれ、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。上記(メタ)アクリル系単量体としては、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドが好ましく、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の分岐アルコキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0043】
上記の分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を2つ以上有する架橋性単量
体は、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N'−エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の2官能型;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の3官能型;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能型;等の多官能(メタ)アクリレート誘導体
である。
【0044】
上記の分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を2つ以上有する架橋性単量体の使用量は、上記(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して0.3〜10重量部の範囲内であることが好ましい。
【0045】
上記単量体混合物には、上記単量体混合物とアクリル系液状ポリマーとの相溶性を高める等の目的で、(メタ)アクリル系単量体及び架橋性単量体以外の他のビニル系単量体を適宜添加してもよい。上記単量体混合物に他のビニル系単量体を添加した場合、上記共重合体は、(メタ)アクリル系単量体と他のビニル系単量体と架橋性単量体とが共重合した構成となる。
【0046】
上記他のビニル系単量体としては、分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を1つ有するものであればよく、例えば、(メタ)アクリル酸、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等のような、重合性のアルケニル基(広義のビニル基)を有するもの等が挙げられる。これらの他のビニル系単量体はそれぞれ、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
本発明の熱応答性樹脂粒子に用いるアクリル系液状ポリマーとしては、常温で液状のものであり、上記単量体混合物と相溶するものであれば
、使用できる。上記アクリル系液状ポリマ
ーは、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下である液状のアクリル系液状ポリマー
である。これにより、更に力学的強度が高く、熱による可逆的な形状自己復元性に更に優れ、かつ透明維持性が更に高い熱応答性樹脂粒子を実現できる。また、上記アクリル系液状ポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃を超えると、上記アクリル系液状ポリマーが固形化し調液しにくくなったり、高い柔軟性を持つ熱応答性樹脂粒子を実現できなくなったりすることがある。高い柔軟性を持つ熱応答性樹脂粒子を実現できないと、熱による形状自己復元性に更に優れた熱応答性樹脂粒子を実現することが困難となる。
【0048】
上記アクリル系液状ポリマ
ーは、重量平均分子量(Mw)が1000〜50000であり、かつ、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下である常温で液状のアクリル系液状ポリマー
である。これにより、更に力学的強度が高く、熱による可逆的な形状自己復元性に更に優れ、かつ透明維持性が更に高い熱応答性樹脂粒子を実現できる。
【0049】
また、上記アクリル系液状ポリマーは、その構造中に官能基を持たない無官能のアクリル系液状ポリマーであってもよく、その構造中に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アルコキシシリル基等の官能基を含有するアクリル系液状ポリマーであってもよく、必要に応じて選択できる。これらは、単体で使用しても、複数使用してもよい。
【0050】
上記アクリル系液状ポリマーは、例えば、以下に挙げる商品名で市販されている商品が挙げられ、以下に挙げる商品のうちから任意に選択できる。
【0051】
無官能のアクリル系液状ポリマーとしては、例えば、東亞合成株式会社製の「ARUFON(登録商標)UPシリーズ」という商品群名の商品群が挙げられ、該商品群は、品質や性状によって、「ARUFON(登録商標)UP−1000」、「ARUFON(登録商標)UP−1010」、「ARUFON(登録商標)UP−1020」、「ARUFON(登録商標)UP−1021」、「ARUFON(登録商標)UP−1061」、「ARUFON(登録商標)UP1080」、「ARUFON(登録商標)UP−1110」、「UP−1170」、及び「ARUFON(登録商標)UP−1190」という商品名の商品に分類される。また、無官能のアクリル系液状ポリマーとして、共栄社化学株式会社製のポリフローシリーズ等も好適に用いることができる。
【0052】
水酸基を含有するアクリル系液状ポリマーとしては、例えば、東亞合成株式会社製の「ARUFON(登録商標)UHシリーズ」という商品群名の商品群が挙げられ、該商品群は、品質や性状によって、「ARUFON(登録商標)UH−2000」、「ARUFON(登録商標)UH−2032」、及び「ARUFON(登録商標)UH−2041」という商品名の商品に分類される。また、水酸基を含有するアクリル系液状ポリマーとして、綜研化学株式会社製のアクトフロー(登録商標)シリーズ UMB−1001、UME−1001,UMM−1001,UT−1001,UT−3001,UMB−2005,UME−2005等も好適に用いることができる。
【0053】
エポキシ基を含有するアクリル系液状ポリマーとしては、例えば、東亞合成株式会社製の「ARUFON(登録商標)UGシリーズ」という商品群名の商品群が挙げられ、該商品群は、品質や性状によって、「ARUFON(登録商標)UG−4000」、及び「ARUFON(登録商標)UG−4010」という商品名の商品に分類される。
【0054】
アルコキシシリル基を含有するアクリル系液状ポリマーとしては、例えば、東亞合成株式会社製の「ARUFON(登録商標)USシリーズ」という商品群名の商品群が挙げられ、該商品群は、品質や性状によって、「ARUFON(登録商標)US−6110」、「ARUFON(登録商標)US−6120」、及び「ARUFON(登録商標)US−6170」という商品名の商品に分類される。また、アルコキシシリル基を含有するアクリル系液状ポリマーとして、綜研化学株式会社製のアクトフロー(登録商標)シリーズ AS−300,AS−301等も好適に用いることができる。
【0055】
その他、上記アクリル系液状ポリマーとして、BASFジャパン株式会社より「ジョンクリル(登録商標)」という商品名でも市販されている商品を用いてもよい。
【0056】
本発明の熱応答性樹脂粒子における上記アクリル系液状ポリマーの含有量は、上記共重合体からなる高分子マトリックス100重量部に対して、5〜100重量部の範囲内であ
る。この場合、更に力学的強度が高く、熱による形状自己復元性に更に優れ、かつ、水による体積変化が無く、透明維持性が高い熱応答性樹脂粒子を実現できる。アクリル系液状ポリマーが高分子マトリックス100重量部に対して5重量部未満の場合、熱応答性樹脂粒子の強度が高くなり過ぎ、高い柔軟性を得ることが困難となると共に、熱による形状自己復元性に更に優れた熱応答性樹脂粒子を実現しにくくなる。一方、アクリル系液状ポリマーが高分子マトリックス100重量部に対して100重量部より多い場合、熱応答性樹脂粒子の強度が弱くなり、熱応答性樹脂粒子のハンドリングが困難となる。
【0057】
さらに、
本発明の熱応答性樹脂粒子は、必要に応じて各種の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、安定剤、pH調整剤、香料、界面活性剤、着色剤、染料等が挙げられる。
【0058】
〔熱応答性樹脂粒子の製造方法〕
本発明の熱応答性樹脂粒子は、(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体、(メタ)アクリルアミド系重合性単量体、及び、(メタ)アクリルアミド誘導体からなる群より選択される少なくとも1種
の(メタ)アクリル系単量体及び分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を2つ以上有する架橋性単量体を含む単量体混合物と、アクリル系液状ポリマーと、ラジカル重合開始剤とを含む混合液を、上記混合液が溶解しない媒体(上記混合液が不溶の媒体)中で懸濁重合し、単量体混合物を重合架橋させる製造方法により、容易に得ることができる。上記混合液中では、(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体、(メタ)アクリルアミド系重合性単量体、及び、(メタ)アクリルアミド誘導体からなる群より選択される少なくとも1種
の(メタ)アクリル系単量体と、分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を2つ以上有する架橋性単量体と、アクリル系液状ポリマーと、ラジカル重合開始剤とが均一に混合溶解していることが好ましい。
【0059】
これらの製造方法に用いるラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等の油溶性アゾ化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤はそれぞれ、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
上記ラジカル重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル系単量体と架橋性単量体との合計量100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲内であることが好ましい。
【0061】
また、これらの製造方法における懸濁重合の反応系には、分散剤及び/又は界面活性剤を添加してもよい。上記分散剤としては、例えば、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機塩;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子等が挙げられる。これらの分散剤及び界面活性剤はそれぞれ、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
また、上記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。上記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0063】
これらの分散剤及び界面活性剤はそれぞれ、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。媒体中における単量体混合物の分散安定性をより向上させることができる点から、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性リン酸塩の分散剤と、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤とを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0064】
上記分散剤の使用量は、上記単量体混合物と上記液状ポリマーとの合計量100重量部に対して0.5〜30重量部の範囲内であることが好ましい。上記界面活性剤の使用量は、上記混合液が溶解しない媒体(例えば水性媒体)100重量部に対して0.01〜0.2重量部の範囲内であることが好ましい。
【0065】
重合反応は、上記混合液(及び、必要に応じて用いられる非重合性有機溶媒等)を含む油相と、上記混合液が溶解しない媒体(及び、必要に応じて用いられる分散剤、界面活性剤等)を含む第2の相(油相が溶解しない相、例えば水相)とを混合して、上記第2の相中に上記油相を分散させた後、攪拌しながら昇温することにより開始できる。上記第2の相(例えば水相)は、油相100重量部に対して100〜1000重量部用いることが好ましい。
【0066】
上記混合液が溶解しない媒体としては、水性媒体を用いることが好ましい。上記水性媒体としては、水、水と水溶性有機溶媒(例えば、低級アルコール(炭素数5以下のアルコール))との混合物が挙げられる。
【0067】
重合温度は、40〜90℃の範囲内であることが好ましい。反応系を重合温度に保持しながら重合させる時間は、通常、1〜10時間程度である。熱応答性樹脂粒子の平均粒子径は、油相と水相との混合割合、分散剤の使用量、界面活性剤の使用量、攪拌条件、分散条件等を調整することにより、適宜制御できる。
【0068】
上記油相は、上記第2の相(例えば水相)中に微細な液滴として分散させることが好ましい。上記油相を上記水相中に微細な液滴として分散させる方法としては、プロペラ翼等の攪拌力を用いる方法、ホモジナイザーを使用する方法、回転羽根と機壁とのギャップ又は回転羽根同士のギャップにかかる高シアー(剪断力)を利用した乳化分散機を使用する方法、超音波分散機を使用する方法、高圧噴射型分散機を使用する方法等が挙げられる。例えば、ホモジナイザーを使用する方法の場合、ホモジナイザーの回転数が大きく、分散時間が長いと、得られる液滴径が小さくなり、得られる熱応答性樹脂粒子の粒子径が小さくなる傾向が見られる。
【0069】
重合反応終了後、所望であれば分散剤を酸等で分解除去し、所望であれば濾過を行い、所望であれば水洗浄を行い、所望であれば脱水を行い、所望であれば乾燥を行い、所望であれば粉砕を行い、所望であれば分級を行うことによって、目的とする熱応答性樹脂粒子を得ることができる。熱応答性樹脂粒子は、上記混合液が溶解しない媒体(例えば水性媒体)から公知の方法により単離してもよい。
【0070】
なお、得られた熱応答性樹脂粒子の合着を防止するために、得られた熱応答性樹脂粒子の表面に無機粉体を付着させたり、上記熱応答性樹脂粒子と適量の無機粉体とを混合したりしてから、上記熱応答性樹脂粒子を利用してもよい。上記無機粉体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、酸化鉄、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0071】
上記無機粉体は、上記熱応答性樹脂粒子の平均粒子径の1/10000〜1/100の範囲内の平均粒子径を有していることが好ましく、上記熱応答性樹脂粒子の平均粒子径の1/3000〜1/900の範囲内の平均粒子径を有していることがより好ましい。具体的には、上記無機粉体の平均粒子径は、1〜100nmの範囲内であることが好ましく、2〜50nmの範囲内であることがより好ましく、10〜15nmの範囲内であることが最も好ましい。
【0072】
更に、上記無機粉体の使用量は、無機粉体と熱応答性樹脂粒子との合計量に対して0.1〜5重量%の範囲内であることが好ましく、1.0〜3.0重量%の範囲内であることがより好ましい。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】
まず、実施例及び比較例中における、ガラス転移温度(Tg)の測定方法、樹脂粒子の形状復元性の評価方法(40〜50%圧縮後のTg+30℃で加熱による復元率の測定方法)、及び、平均粒子径の測定方法について説明する。
【0075】
〔樹脂粒子の形状復元性の評価(40〜50%圧縮後のTg+30℃で加熱による復元率の測定)〕
(1)ガラス転移温度(Tg)の測定方法
ガラス転移点(Tg)は、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定した。但し、温度条件に関しては、以下の条件で測定を行った。示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用い、アルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんして、窒素ガス流量30ml/minのもとアルミナを基準物質として使用し、10℃/minの昇温速度で30℃から120℃まで昇温し10分間温度保持し、10℃/minの冷却速度で120℃から−60℃まで冷却し10分間温度保持する熱処理の後、窒素ガス流量30ml/minのもと10℃/minの昇温速度で120℃まで昇温した時に得られたDSC曲線より中間点ガラス転移温度を算出した。この中間点ガラス転移温度は、該規格(9.3「ガラス転移温度の求め方」)より求めた。
【0076】
(2)平均粒子径の測定方法及び形状復元性(復元率)の評価方法
樹脂粒子を、株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX−100にて倍率100倍で写真投影して得られる投影図において樹脂粒子の重心を求め、樹脂粒子の重心を通る長径と短径との平均値を圧縮前の樹脂粒子の平均粒子径とした。
【0077】
次に、樹脂粒子をTg−20℃、60%RH環境下でノギスにて挟み込んで圧縮し、ノギスの目盛り(樹脂粒子の圧縮方向に沿った径)を確認しながら、ノギスの目盛りが粒子径の40〜50%となるまで圧縮させた。圧縮前のノギスの目盛りに対する圧縮後の目盛りの割合を樹脂粒子の圧縮率とし、その値を表1に示した。
【0078】
その後、圧縮を解除し、樹脂粒子をTg−20℃、60%RH環境下で60秒間保持させ、上述した平均粒子径の測定方法と同様にして樹脂粒子の平均粒子径を求め、樹脂粒子の平均粒子径の変化率を確認した。
【0079】
次いで、樹脂粒子のTgよりも30℃高い温度に設定したホットプレート上に圧縮させて潰した樹脂粒子を60秒間静置させた(60%RH環境下)。
【0080】
その加熱後の樹脂粒子を株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX−100にて写真投影して得られる投影図において樹脂粒子の重心を求め、樹脂粒子の重心を通る長径と短径との平均値を加熱後の樹脂粒子の平均粒子径とした。
【0081】
なお、圧縮前の樹脂粒子の平均粒子径(A)に対する、加熱後の樹脂粒子の平均粒子径(B)の割合(B/A×100)を、復元率とした。本実施例、比較例においては樹脂粒子50個について復元率の測定を行い、それらの測定による復元率の平均値を表1に示した。
【0082】
〔実施例1〕
(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体としてのメタクリル酸イソブチル(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリエステルIB」)66.5gと、分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を2つ以上有する架橋性単量体としての1,9−ノナンジオールジメタクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名「ライトエステル1,9−ND」)3.5gと、重量平均分子量が3000であるエポキシ基含有アクリル系液状ポリマー(東亞合成株式会社製、商品名「ARUFON(登録商標)UG−4000」、ガラス転移温度Tg=−61℃)30gと、ラジカル重合開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業株式会社製)2gとを混合し、撹拌することで、モノマー配合液(混合液)を得た。また、イオン交換水240gに、ポリビニルアルコール(けん化度88%、日本合成化学工業株式会社製、商品名「GH−17」)の5重量%水溶液60gを溶解させて、1重量%ポリビニルアルコール水溶液300gを得た。
【0083】
次に、得られたモノマー配合液と上記1重量%ポリビニルアルコール水溶液300gとを内容量500mlのガラス製セパラブルフラスコ中に投入し、攪拌速度170rpmにて撹拌を行いながら、セパラブルフラスコの内温を65℃まで昇温して65℃の条件下で3時間かけて懸濁重合を行った後、更にセパラブルフラスコの内温を80℃まで昇温して80℃の条件下で1時間かけて懸濁重合を行った。セパラブルフラスコの内温を室温に戻した後、セパラブルフラスコの内容物から固形分を単離することにより、樹脂粒子を得た。
【0084】
得られた樹脂粒子について、平均粒子径およびガラス転移温度Tg(中間点)を前述の測定方法により測定し、温度変化による形状復元性を前述の評価方法により評価した。評価の結果、得られた樹脂粒子は、40〜50%圧縮後のガラス転移温度+30℃加熱による復元率が80%以上である本発明の熱応答性樹脂粒子であることが分かった。測定結果及び評価結果を樹脂粒子の製造に用いた各成分の配合量と共に表1に示す。
【0085】
〔実施例2〕
メタクリル酸イソブチル(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリエステルIB」)の使用量を75gに変更し、1,9−ノナンジオールジメタクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名「ライトエステル1,9−ND」)の使用量を4.0gに変更し、エポキシ基含有アクリル系液状ポリマー(東亞合成株式会社製、商品名「ARUFON(登録商標)UG−4000」)の使用量を20gに変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂粒子を得た。
【0086】
得られた樹脂粒子について、粒子径およびガラス転移温度(Tg(中間点))を前述の測定方法により測定し、温度変化による形状復元性を前述の評価方法により評価した。評価の結果、得られた樹脂粒子は、40〜50%圧縮後のガラス転移温度+30℃加熱による復元率が80%以上である本発明の熱応答性樹脂粒子であることが分かった。測定結果及び評価結果を樹脂粒子の製造に用いた各成分の配合量と共に表1に示す。
【0087】
〔実施例3〕
攪拌速度を170rpmから250rpmに変更したこと以外は実施例2と同様の方法により、樹脂粒子を得た。
【0088】
得られた樹脂粒子について、平均粒子径およびガラス転移温度(Tg(中間点))を前述の測定方法により測定し、温度変化による形状復元性を前述の評価方法により評価した。評価の結果、得られた樹脂粒子は、40〜50%圧縮後のガラス転移温度+30℃加熱による復元率が80%以上である本発明の熱応答性樹脂粒子であることが分かった。測定結果及び評価結果を樹脂粒子の製造に用いた各成分の配合量と共に表1に示す。
【0089】
〔実施例4〕
メタクリル酸イソブチル(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリエステルIB」)の使用量を85.5gに変更し、1,9−ノナンジオールジメタクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名「ライトエステル1,9−ND」」)の使用量を4.5gに変更し、無官能のアクリル系液状ポリマー(東亞合成株式会社製、商品名「ARUFON(登録商標)UG−4000」)の使用量を10gに変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂粒子を得た。
【0090】
得られた樹脂粒子について、平均粒子径およびガラス転移温度(Tg(中間点))を前述の測定方法により測定し、温度変化による形状復元性を前述の評価方法により評価した。評価の結果、得られた樹脂粒子は、40〜50%圧縮後のガラス転移温度+30℃加熱による復元率が80%以上である本発明の熱応答性樹脂粒子であることが分かった。測定結果及び評価結果を樹脂粒子の製造に用いた各成分の配合量と共に表1に示す。
【0091】
〔実施例5〕
攪拌速度を170rpmから100rpmに変更したこと以外は実施例4と同様の方法により、樹脂粒子を得た。
【0092】
得られた樹脂粒子について、平均粒子径およびガラス転移温度(Tg(中間点))を前述の測定方法により測定し、温度変化による形状復元性を前述の評価方法により評価した。評価の結果、得られた樹脂粒子は、40〜50%圧縮後のガラス転移温度+30℃加熱による復元率が80%以上である本発明の熱応答性樹脂粒子であることが分かった。測定結果及び評価結果を樹脂粒子の製造に用いた各成分の配合量と共に表1に示す。
【0093】
〔実施例6〕
(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体として、メタクリル酸イソブチル(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリエステルIB」)66.5gに代えて、メタクリル酸イソブチル(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリエステルIB」)46.5g及びメタクリル酸メチル(三菱レイヨン株式会社製、商品名:アクリエステルM)20gを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂粒子を得た。
【0094】
得られた樹脂粒子について、平均粒子径およびガラス転移温度(Tg(中間点))を前述の測定方法により測定し、温度変化による形状復元性を前述の評価方法により評価した。評価の結果、得られた樹脂粒子は、40〜50%圧縮後のガラス転移温度+30℃加熱による復元率が80%以上である本発明の熱応答性樹脂粒子であることが分かった。測定結果及び評価結果を樹脂粒子の製造に用いた各成分の配合量と共に表1に示す。
【0095】
〔実施例7〕
(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体として、メタクリル酸イソブチル66.5gに代えてメタクリル酸tert−ブチル(共栄社化学株式会社製、商品名:ライトエステルTB)66.5gを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂粒子を得た。
【0096】
得られた樹脂粒子について、平均粒子径およびガラス転移温度(Tg(中間点))を前述の測定方法により測定し、温度変化による形状復元性を前述の評価方法により評価した。評価の結果、得られた樹脂粒子は、40〜50%圧縮後のガラス転移温度+30℃加熱による復元率が80%以上である本発明の熱応答性樹脂粒子であることが分かった。測定結果及び評価結果を樹脂粒子の製造に用いた各成分の配合量と共に表1に示す。
【0097】
〔実施例8〕
(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体としてのメタクリル酸イソブチル66.5gに代えて、(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体としてのイソブトキシメチルアクリルアミド(MRCユニテック株式会社製、商品名:IBMA)66.5gを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂粒子を得た。
【0098】
得られた樹脂粒子について、平均粒子径およびガラス転移温度(Tg(中間点))を前述の測定方法により測定し、温度変化による形状復元性を前述の評価方法により評価した。評価の結果、得られた樹脂粒子は、40〜50%圧縮後のガラス転移温度+30℃加熱による復元率が80%以上である本発明の熱応答性樹脂粒子であることが分かった。測定結果及び評価結果を樹脂粒子の製造に用いた各成分の配合量と共に表1に示す。
【0099】
〔比較例1〕
無官能のアクリル系液状ポリマー(東亞合成株式会社製、商品名「ARUFON(登録商標)UG−4000」)を使用せず、メタクリル酸イソブチル(三菱レイヨン株式会社製、商品名「IBMA」)の使用量を95gに変更し、1,9−ノナンジオールジメタクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名「ライトエステル1,9−ND」」)の使用量を5.0gに変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂粒子を得た。
【0100】
得られた樹脂粒子について、平均粒子径およびガラス転移温度(Tg(中間点))を前述の測定方法により測定し、温度変化による形状復元性を前述の評価方法により評価した。測定結果及び評価結果を樹脂粒子の製造に用いた各成分の配合量と共に表1に示す。
【0101】
〔比較例2〕
1,9−ノナンジオールジメタクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名「ライトエステル1,9−ND」」)を使用せず、メタクリル酸イソブチル(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリエステルIB」)の使用量を70gに変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂粒子を得た。
【0102】
得られた樹脂粒子について、平均粒子径を前述の測定方法により測定し、温度変化による形状復元性を前述の評価方法により評価した。測定結果及び評価結果を樹脂粒子の製造に用いた各成分の配合量と共に表1に示す。
【0103】
〔比較例3〕
重量平均分子量が1,700である無官能のアクリル系液状ポリマー(東亞合成株式会社製、商品名「ARUFON(登録商標)UG−4000」、Tg=−61℃)30gに代えて、エポキシ基含有アクリル系フレーク状ポリマー(東亞合成株式会社製、商品名「ARUFON(登録商標)UG−4035」、Tg=52℃(カタログ値))30gを用いること以外は実施例1と同様の方法により、樹脂粒子の作製を試みた。しかしながら、樹脂粒子を作製できなかった。比較例3で用いた各成分の配合量を表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
表1において、PVAは、ポリビニルアルコールを表す。
【0106】
表1から、本発明の熱応答性樹脂粒子(実施例1〜8)は、本発明の範囲外の熱応答性樹脂粒子(比較例1〜3)と比較して、40〜50%圧縮後のガラス転移温度+30℃加熱による復元率が高く、熱による形状自己復元性に優れたものであった。