(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントロールが前記カテーテルの側壁と静脈壁の間で前記カテーテル周囲で近位に前進させるのに十分な容量の媒体を前記遠位開口部を通して導入するよう前記注入器を起動するように構成された、請求項1に記載のシステム。
少なくとも部分的にそれを通じて前記カテーテルを収容するように形成された鞘をさらに具備し、該鞘は25cm〜100cmの長さを有し、該鞘の内径は3fr〜7frである、請求項1に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一つの実施例に従った、静脈閉塞物質および造影手段を用いて大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図2】本発明の一つの実施例に従った、静脈閉塞物質および造影手段を用いて大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図3】本発明の一つの実施例に従った、静脈閉塞物質および造影手段を用いて大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図4】本発明の一つの実施例に従った、静脈閉塞物質および造影手段を用いて大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
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図5】本発明の一つの実施例に従った、静脈閉塞物質および造影手段を用いて大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
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図6】本発明の一つの実施例に従った、静脈閉塞物質および造影手段を用いて大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
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図7】本発明の一つの実施例に従った、静脈閉塞物質および造影手段を用いて大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
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図8】本発明の一つの実施例に従った、静脈閉塞物質および造影手段を用いて大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
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図9】本発明の一つの実施例に従った、静脈閉塞物質および造影手段を用いて大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
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図10】本発明の一つの実施例に従った、静脈閉塞物質および造影手段を用いて大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
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図11】本発明の一つの実施例に従った、静脈閉塞物質および造影手段を用いて大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
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図12】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図13】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図14】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図15】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
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図16】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
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図17】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
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図18】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
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図19】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図20】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図21】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図21A】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図21B】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図21C】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図21D】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図21E】本発明の別の実施例に従った、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を図示する。
【
図22】本発明の一部の実施例に従った、静脈閉塞物質投与システムの様々な図および構成部品を図示する。
【
図23】本発明の一部の実施例に従った、静脈閉塞物質投与システムの様々な図および構成部品を図示する。
【
図24】本発明の一部の実施例に従った、静脈閉塞物質投与システムの様々な図および構成部品を図示する。
【
図25】本発明の一部の実施例に従った、静脈閉塞物質投与システムの様々な図および構成部品を図示する。
【
図26】本発明の一部の実施例に従った、静脈閉塞物質投与システムの様々な図および構成部品を図示する。
【
図27】本発明の一部の実施例に従った、静脈閉塞物質投与システムの様々な図および構成部品を図示する。
【
図28】本発明の一部の実施例に従った、静脈閉塞物質投与システムの様々な図および構成部品を図示する。
【
図29】本発明の一部の実施例に従った、静脈閉塞物質投与システムの様々な図および構成部品を図示する。
【
図30】本発明の一部の実施例に従った、静脈閉塞物質投与システムの様々な図および構成部品を図示する。
【
図31】本発明の一部の実施例に従った、静脈閉塞物質投与システムの様々な図および構成部品を図示する。
【
図32】本発明の一部の実施例に従った、静脈閉塞物質投与システムの様々な図および構成部品を図示する。
【
図33】グルーガンおよびアダプタの組立を図示する。
【
図34】グルーガンおよびアダプタの組立を図示する。
【
図35】本発明の一つの実施例に従った、グルーガンの正面図を図示する。
【
図36】本発明の一つの実施例に従った、血管閉塞システムの主な構成部品を図示する。
【
図37A】本発明の一つの実施例に従った、血管閉塞装置の様々な図を図示する。
【
図37B】本発明の一つの実施例に従った、血管閉塞装置の様々な図を図示する。
【
図37C】本発明の一つの実施例に従った、血管閉塞装置の様々な図を図示する。
【
図37D】本発明の一つの実施例に従った、血管閉塞装置の様々な図を図示する。
【
図38A】拡張した構成での
図2A〜Dの閉塞装置の様々な図を図示する。
【
図38B】拡張した構成での
図2A〜Dの閉塞装置の様々な図を図示する。
【
図38C】拡張した構成での
図2A〜Dの閉塞装置の様々な図を図示する。
【
図38D】拡張した構成での
図2A〜Dの閉塞装置の様々な図を図示する。
【
図39A】
図2A〜3Dに関連して上述した送達装置のフレーム部分の実施例を、明確さを示すためにバリア部分を省略した状態で図示する。
【
図39B】
図2A〜3Dに関連して上述した送達装置のフレーム部分の実施例を、明確さを示すためにバリア部分を省略した状態で図示する。
【
図40】本発明の一つの実施例に従った、拡張した構成で血管内に埋め込まれる閉塞装置の側面の断面図である。
【
図41】本発明の一つの実施例に従った、送達カテーテル内で展開されていない構成での閉塞装置の断面図である。
【
図42】本発明の一つの実施例に従った、送達カテーテルからの様々な展開段階における閉塞装置の斜視断面図を図示する。
【
図43】本発明の一つの実施例に従った、送達カテーテルからの様々な展開段階における閉塞装置の斜視断面図を図示する。
【
図44】本発明の一つの実施例に従った、送達カテーテルからの様々な展開段階における閉塞装置の斜視断面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で開示されるのは、静脈瘤および別の病状の低侵襲性治療用のシステム、方法および装置である。装置に関して本明細書で使用される場合、近位とはアクセス挿入部位から血管に向かう場合を意味し、遠位とはアクセス挿入部位とは反対方向に患者の方向に向かう場合を意味する。一部の実施例において、閉塞装置は浅大腿静脈接合部(SFJ)にちょうど遠位の伏在静脈を塞ぎ、硬化液または医療用接着剤のどちらかなど、静脈内の血流を阻止するように静脈を変化させる物質を更に使用して、静脈が治療できるように扁平な形状を形成するように展開される。一部の実施例においては、逆行性静脈還流によって起こる静脈性高血圧の影響を軽減するために、完全な静脈閉鎖が全ての治療にとって望ましい臨床結果である。閉塞装置および医療用接着剤は、 「シングルスティック」方法を用いてカテーテルを通して送達されうる。このアプローチは、現在の治療アプローチで使用されるものよりも痛みや皮膚注入の回数が少なくなるように、また治療後に快適でない圧迫ストッキングを着用する必要性を軽減または解消するように設計されている。
【0014】
静脈虚脱方法
静脈不全を治療する方法をこれから記載するが、その方法において静脈は治療区域に沿って少なくとも部分的に圧迫される。そのように圧迫することで、望ましい臨床結果によるが、単に閉塞するよりも部分的または完全に静脈を虚脱することをより一層確保できる。理論に束縛されるものではないが、静脈の虚脱は内皮細胞の二つ以上の管腔表面を反対側の接触点に互いに配置して、繊維組織の増殖を刺激し、結果的に再疎通や静脈の再開放のリスクが低い状態で静脈の長期的閉鎖の改善を生むものである。一部の実施例において、展開カテーテルはアクセス部位から静脈に経皮的に導入され、静脈内の治療域に経管腔的かつ遠位に前進される。展開カテーテルの静脈を遠位に虚脱させるために、外部からの圧迫がかけられる。次に、閉塞の近位側にある閉塞された静脈の開始部分にまでカテーテルの遠位端を前進させ、カテーテルと閉塞された静脈の間に「溜まった」血液を最小限に抑える。栓形成媒体がカテーテルの遠位端から伝達された後、カテーテル端部での閉塞によって静脈閉塞物質は、カテーテル挿入地点に向かって静脈内に逆行性に(近位に)流れ、遠位に流れる力と血管内での血液との混合を減少するように強制される。この方法によって、静脈閉塞媒体がカテーテルと閉塞された静脈の間に「溜まった」血液に取り代わり、血液との混合を最小限に抑えつつ静脈内で閉塞栓を形成することも可能となる。静脈閉塞媒体と静脈の間の接着強度を高める可能性があるため、この混合の減少は特定の実施例において有利でありうる。治療区域への遠位の外部からの圧迫は、随意に削除するか全てまたは一部の手技全体にわたって残すことができる。外部からの圧迫はまた、上述のように静脈を虚脱させるために、栓形成媒体が伝達される静脈領域周辺に発生する可能性がある。カテーテルはその後、継続的に、または治療全域への最初のボーラス注入から一定または不規則な間隔を空けた個別のボーラス注入のいずれかによって静脈閉塞物質を投与しつつ、近位に格納される。外部からの圧迫は、上述のように静脈を確実に虚脱させるために、静脈閉塞物質が投与される箇所に近位に継続することができる。カテーテルはその後抜去され、アクセス部位は従来の技法を用いて閉じられる。方法を下記で詳細に説明する。
【0015】
静脈閉鎖システムは、蛍光透視法、超音波、または別の誘導手段を用いて、大伏在静脈またはより小さな伏在静脈などの静脈または別の血管に入ることができる。マイクロカテーテルシステムは、静脈内に外側カテーテルまたは導入鞘を導入するためにワイヤーに配置されうる。一部の実施例において、できる限り遠位に、または臨床的関連性に応じて、異常な静脈への挿入が行われる。一部の実施例において、閉鎖方法には前下上腹部静脈の下にある伏在静脈大腿静脈接合部にガイドワイヤーから導入鞘および/または拡張器を前進させることを含み、その一部の実施例において、当該静脈は伏在静脈大腿静脈接合部から1.5〜2.5cmでありうる。このレベルに鞘を配置し、超音波で随意の検証を行った後、内側カテーテルが鞘を通して導入され、先端がおよそ5cmほど鞘端部から拡張した固定位置を保つために、ルアーロックを用いて、または別の方法で鞘に固定される。
【0016】
図1に従い、閉塞方法は血管400を閉塞するための静脈閉塞物質の注入を支援するグルーガン300などの注入器の提供を含む。一部の実施例において、グルーガン300の遠位端302は、ルアーロック602によって内側カテーテル204に操作可能に接続されている注射器を含む。鞘または外側カテーテル202は内側カテーテル204を取り囲み、血管400内部の標的部位へのアクセス提供を支援する。一部の実施例において、外側カテーテル202がまず最初に、それに続いて内側カテーテル204が導入され、その一方、別の実施例において、外側カテーテル202と内側カテーテル204は同時に導入される。
図1に示すように、外側カテーテル202と内側カテーテル204は血管400の近位端402近くに導入され、血管の遠位端401に向けられ、そこに静脈閉塞物質が放出される。一つの実施例において、静脈閉塞物質の放出部位において、静脈閉塞物質が外側カテーテル202に接触するのを防ぐため、内側カテーテル204は約3cm〜7cmなど外側カテーテル202の遠位端を越えて拡張する。
【0017】
図1に示すように、一つ以上のカテーテルの誘導、圧迫要素としての役目、および/または更に閉塞または閉鎖を必要とする血管内部の領域の特定を含む複数機能を備えた、超音波振動子630などの画像手段を提供することもできる。一部の実施例において、超音波振動子630は、血管400を通って外側カテーテル202 および/または内側カテーテル204を配置する前に、患者の皮膚の外表面と接触させることができる。超音波振動子630は、静脈閉塞物質が導入される部位に一つ以上のカテーテルを誘導するための画像の作成を支援できる。一部の実施例において、超音波振動子630はまた、血管400の閉鎖を支援するために、静脈閉塞物質の導入前後または導入中に圧迫要素としての役目を果たすこともできる。圧迫要素としての役目を果たすことで、超音波振動子は血管400の扁平化および/またはサイズの縮小を支援しうる。一部の実施例において、超音波振動子630はドップラー血流検出能力を含むことができ、更に閉鎖または閉塞を、それゆえ静脈閉塞物質の更なる適用を必要とする血管400内部の領域を特定する上で役立つ。
【0018】
内側カテーテルが所定の位置にあり、伏在静脈大腿静脈接合部の下の適切な位置に存在することが超音波によって検証されると、伏在静脈大腿静脈接合部への圧迫が行われ、シアノアクリレートを含むグルーなどの液体接着剤、または本明細書の他の箇所に説明するか当技術分野で既知の物質を含む少量の静脈閉塞物質が静脈に注射される。次に静脈は、静脈の接合および固体の永久接着剤による静脈壁の静脈閉塞物質への接着を支援するために、外部からの圧迫などの圧迫を用いて虚脱できる。一部の実施例において、静脈を虚脱させるための超音波振動子またはプローブ(近位または遠位のいずれか)に加えて、追加的な圧迫装置が提供されうる。一部の実施例において、圧迫装置は、柔軟な加圧スリーブを通して患者の下肢にコンプレッサからの圧迫圧力をかけるように構成された順次的圧迫装置でありうる。圧迫は、その全長に沿って均一な圧迫、蠕動波での遠位から近位への圧迫、または望ましい臨床結果によって別の方法で伝達するように構成されうる。一部の実施例において、圧迫装置は少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、100、125、150mm Hg以上の圧力を、また一部の実施例においては約30〜150または50〜100mm Hgの圧力を伝達するように構成されうる。一部の実施例において、静脈の血管けいれんの制御を生むためにエネルギーを伝達する外部装置が使用される。エネルギーは例えば、電気的刺激、凍結療法、赤外線、可視光、またはUV光、マイクロ波、RFエネルギー、超音波エネルギー、磁気エネルギー、熱エネルギー、またはエネルギー源の組み合わせでありうる。
【0019】
図2に従い、内側カテーテル204の先端は、その距離が最低限になるように、血管400の閉塞されるべき端部または遠位端401に近接する部位に配置される。外側カテーテル202と内側カテーテルが所定の位置に置かれると、グルーガン300は内側カテーテル204から放出される静脈閉塞物質502を注射しうる。一部の実施例において、内側カテーテル204は静脈内の治療部位に沿って少なくとも1、2、3、4、5、7、10、12、15、20回以上の静脈閉塞媒体のボーラス(塊)を放出することができる。例えば、一部の実施例において、静脈閉塞媒体の単回の定量流を治療部位全域に行うことができ、一方、別の実施例において、治療部位全域に一定または不規則な間隔で、間隔を空けた静脈閉塞媒体の複数回のボーラス注入を行いうる。一部の実施例において治療部位の全長は2cm〜50cm、または一部の実施例において約5cm〜40cmでもありうる。治療部位に沿って、1cm〜7cmごと、より好適には3cm〜5cmごとの間隔を空けて、一つ以上の静脈閉塞媒体をボーラス注入できる。間隔を均一に空ける必要はない。媒体のボーラス各々は、治療部位の少なくとも一部を閉塞し治療できる。一部の実施例において、少なくとも約0.5cm、1cm、2cm、3cm、4cm、または 5cmの静脈を治療できるように、媒体の単回ボーラス注入は0.5cm〜5cmの長さの静脈を閉塞し治療できる。別の実施例において、静脈内の治療部位の長さは媒体の単回ボーラス注入によって5cm以上である。本明細書に記載するように、特に選択された間隔での静脈閉塞媒体の一回以上のボーラス注入の提供は、より高い制御性をもって、従来の静脈を閉塞するプロセスよりも簡単に行うことができ、特定の患者(例:治療全域の長さが異なる)に合せられる治療を有利に提供する。
【0020】
一部の実施例において、媒体のボーラス各々の容量は、0.01cc〜1ccの静脈閉塞物質など、0.01〜3ccの静脈閉塞物質(例:シアノアクリレート化合物)でありうる。注入率は、手作業で、または一定の流量で静脈閉塞物質の所定の容量を放出するように構成された機械的および/または電子的な制御装置によって制御されうる。一部の実施例において、注入率は一部の実施例における手技全体にわたり比較的一定である一方、別の実施例において、注入率は可変でもよく、静脈閉塞物質を所定の時間および/または距離間隔で定期的にボーラス注入する。一部の実施例において、注入率は約0.02cc/秒〜0.2cc/秒など、0.002cc/秒〜6cc/秒である。本明細書に記載するレベルに媒体のボーラスの容量と流量を制御することは、 静脈内での媒体の不要な過剰フローまたは過少治療を有利に防ぐ。一部の実施例において、医師が例えばボタン、スイッチ、ダイアル、またはフットペダルなどのコントロールを起動した時に、約0.05ml〜0.5ml、または約0.1ml〜0.2mlなど、所定の媒体容量を静脈に正確に伝達するように構成された注入器が提供される。一部の実施例において、例えば、ボーラス注入の間隔を少なくとも約0.5、1、2、3、4、5秒以上空けるように要求するなど、所定期間内でのグルーの予期せぬ複数回のボーラス注入を防ぐ電子的ロックアウトなどの安全機能を含む。
【0021】
図3に従い、静脈閉塞物質502が内側カテーテル204の先端から注入されると、静脈閉塞物質502は閉塞された血管400の近位側の遠位端に流れ、血管400の標的領域に沿って血液に取り代わりつつ、カテーテルトラックの外側に沿って近位に流れる流れを逆流させる。次に、血管400に沿って異なる部位を標的にするため、外側カテーテル202と内側カテーテル204を引くか抜去することができる。例えば、追加的な静脈閉塞物質502を血管400に注入する前に、血管400の近位端402に向いた方向に外側カテーテル202と内側カテーテル204を移動できる。
【0022】
図4に従い、随意の圧迫要素、例えば操作者の手640、順次の圧迫装置、または超音波振動子630を使用して、患者の身体の外表面に圧力をかけ、血管400の内壁を圧迫できる。静脈閉塞物質の導入の前後または導入中に、血管の一部を圧迫するために随意の圧迫要素を使用しうる。静脈閉塞物質の導入の前後または導入中に圧迫要素が血管の一部を圧迫する時、
図4に示すように、血管は静脈閉塞物質502の圧迫を受ける。この圧迫は閉塞の他、血管の虚脱も支援する。一部の実施例において、血管の更なる部分が静脈閉塞物質で治療されるのに従い、標的部位は静脈閉塞物質の注入直後に圧迫できるか、 または一部の実施例においては静脈閉塞物質の注入から約5分、4分、3分、2分、1分、30 秒、15秒以下で圧迫することができる。
【0023】
図5〜6は、第一の部位で静脈閉塞物質502を注入した後に、第一の位置から第二の位置に誘導または移動された超音波振動子630を示す。静脈閉塞物質502が標的部位に注入され、好適には静脈がその部位で完全に閉塞および/または虚脱すると、異なる部位での血管400の虚脱を支援するために、超音波振動子630は第二の位置、例えば血管400の近位端402により近い位置に移動されうる。一部の実施例において、近位方向に血管400の長さに沿って超音波振動子630を移動することで、超音波振動子は、血管の虚脱をより一層確保する目的で近位方向に血管400の長さを辿る圧迫を提供する圧迫要素としての役目を果たしうる。一部の実施例において、超音波振動子または別の外部からの圧迫要素は、第一の位置から0.5cm〜5cmの間隔が空いた、第一の位置から第二の位置の距離を移動できる。別の実施例において、超音波振動子は、治療部位の全長の3%〜20%など、3%〜50%で第一の位置から第二の位置の距離を移動できる。個別の距離に音波振動子を誘導することは、治療部位の異なる部分に対して超音波振動子を誘導する前に治療部位の一部が効果的に閉塞されることを確保する上で有利に役立つ。超音波振動子630を移動した後、
図6に示すように、グルーガン300は血管400の異なる部位に静脈閉塞物質502を注入しうる。
【0024】
静脈閉塞物質502が血管400の第二の部位に注入されると、
図8に示すように、圧迫要素、例えば手640は、血管400の一部の虚脱を支援するために再び使用できる。血管400の一部の部分的または完全な閉鎖を達成した後、血管400の閉鎖または閉塞を支援するために血管400に沿って異なる位置に超音波振動子630を再び誘導または移動し、場合によって可動な圧迫要素を提供できる。血管 400の長さに沿って移動でき、圧迫要素および/または画像生成器としての役目を果たすこともできる上述の超音波振動子630および/または追加的な圧迫要素の支援によって、治療期間全体にわたって血管400を虚脱させることが可能である。
図9に示すように、超音波振動子630は異なる位置での血管400の虚脱を支援するために静脈400に沿って第二の位置に誘導される。
【0025】
図10〜11に示すように、静脈が部分的または完全に接合され、扁平な状態で閉じられるまで、大伏在静脈に沿って複数の位置において超音波プローブおよび/または追加的な圧迫装置の適用を繰り返すことができる。次に内側カテーテルを除去して、入口部位に絆創膏または別の包帯を巻くことができる。一部の実施例において、超音波プローブは、扁平な静脈の閉鎖または接合を再確認する画像を作成できる。扁平な静脈が部分的または完全に閉鎖されると、注入器をアクセス部位から除去し、手技は完了する。一つの実施例において、少量のみの局所麻酔が入口部位に対して使用される。膨潤麻酔法は不要である。相当の熱または別のタイプの損傷を周囲の組織に生まないため、一般鎮静または意識下鎮静は必要ではない。
【0026】
大伏在静脈を閉塞する目的で上記方法について説明してきたが、本明細書で開示されるシステムおよび装置を用いて、自然または人工的な幅広い別の静脈、動脈、リンパ管、または別の身体内腔を閉塞することができる。さらに、本明細書で開示されるシステム、装置および方法によって、例えば、上肢および/または下肢の静脈不全/静脈瘤、食道静脈瘤、胃静脈瘤、痔静脈瘤、静脈湖、クリッペル・トレノーニイ症候群、毛細血管拡張症、動脈瘤、動静脈の奇形、腫瘍または出血中の血管の塞栓、リンパ浮腫、血管および非血管瘻孔、避妊手術のための卵管閉鎖など、幅広い病状を治療することができる。
【0027】
一部の実施例において、静脈閉塞物質の望まれない過剰注入または過少注入、望まれない間隔での注入または望まれないボーラスサイズでの注入を最小限に抑えるために自動化された過程を用いて、静脈閉塞物質が静脈に注入されうる。例えば、カテーテルの外側カテーテル部材は簡単に圧縮可能なように製造されうる(例:薄壁など)。そのため、カテーテル配置に必要なカラムの強度は主に内側管で供給される。内側カテーテルが静脈から抜去されると、残りの外側カテーテルには静脈閉塞物質が充填される。ルアーロック、マニフォルド、または静脈閉塞物質の注入器への別の結合器のちょうど遠位にある外側カテーテルの近位端は、クランプ、円筒コロ、またはスライド可能な要素などの圧迫要素を運ぶことができ、カテーテルはスライド可能な要素の二つの部分の間で横方向に拡張する。圧迫要素の起動によって、外側カテーテルは半径方向に圧迫される。次に操作者は、カテーテルをクランプから近位に引きつつ、クランプを所定の位置に保持することができる。クランプはそのため管に沿ってスライド、回転または別の形で移動し、その一方で、カテーテルが静脈から近位に抜去された距離に応じて、カテーテルの容量を正確に伝達するようにカテーテルは圧迫される。
【0028】
図12〜16は、本発明の一つの実施例に従い、大伏在静脈などの静脈を閉塞する方法を示す。例えば、一部の実施例において、患者の特定の血管構造をより一層可視化するために、閉塞手技を行う前に、超音波静脈のマッピング、造影剤を用いた静脈造影法、または別の技法を使用することができる。滅菌方法を用いて入口部位を準備/ドレープし、リドカインなどの局所麻酔を提供することも可能だが、必要ではない。最初に、足、足首、またはふくらはぎなどの浅静脈、例えば、背側趾静脈、骨頭間静脈、総指静脈、足背静脈弓、内側足縁静脈、外側足縁静脈、足底皮膚静脈弓、または足底皮膚静脈網の静脈などの血管システムに、経皮的または別の方法としては静脈切開法などによってカニューレが挿入される。これらの静脈はまた、本明細書に記載するシステムおよび方法を用いて閉塞されうる。例えば、超音波または蛍光透視法などの造影をアクセス支援のために使用できる。次に、ガイドワイヤー(非表示)を血管内に挿入できる。適切な静脈へのカテーテル挿入を促進するために、鞘または針などのイントロデューサもまた配置されうる。次に、内側カテーテル部材と外側カテーテル部材を含む送達カテーテル200ならびに上述するような閉塞装置の筐体を、例えばセルジンガー法によりガイドワイヤーの上から、
図12に示すように血管内に挿入できる。次に、
図13に示すように、大伏在静脈(または小伏在静脈または副伏在静脈)内など、カテーテル200を静脈システムを望ましい位置まで遠位に前進させる。次に、静脈400内の望ましい位置において閉塞装置100をその拡張した構成に展開するために、内側カテーテルが外側カテーテルに対して起動されうる。閉塞装置は、一部の実施例において、組織アンカーまたはバーまたは血管壁を噛み合わせるための別の機能を持つものを含むがこれらに限定はされない、例えばその全体を参照により本明細書に組み込む米国仮特許出願第61/154,322号(届出日:2009年2月20日)に記載する構成部品を含みうる。一部の実施例において、閉塞装置は
図36〜44に関して記載する構成部品を含みうる。
図14は、閉塞装置100を展開させるための準備として前進された内側カテーテルを示す。望ましい配置が確認されると、次に縫合(非表示)などの離脱機序が起動して、血管内の閉塞装置100を放出する。閉塞装置100のフレーム部分の展開されるアンカーは、静脈400内で閉塞装置100が望ましい位置から移動することを防ぎうる。次に、
図15に示すように内側カテーテルを抜去できる。
【0029】
内側カテーテルの抜去後、外側カテーテルを通して展開される閉塞装置の近位にある静脈400に上述のような静脈閉塞物質を注入できる。
図16に示すように、閉塞装置に対して近位の方向に静脈を閉塞するために、静脈閉塞物質を注入し続けながら外側カテーテルを抜去できる。次に外側カテーテルを完全に抜去し、外部からの圧迫ストッキングを着用させて、手技が完了する。一部の実施例において、経皮閉鎖方法もまた使用されうる。一部の実施例において、例えばシアノアクリレート化合物などの0.01cc〜1ccの静脈閉塞物質を、治療対象である少なくとも約0.5cm、1cm、2cm、3cm、4cmまたは 5cmの静脈などの0.5cm〜5cmの静脈距離に注入できる。一部の実施例において、注入速度は手技全体にわたり比較的一定でもよく、または可変で静脈閉塞物質を所定の時間および/または距離間隔で定期的にボーラス注入することもできる。一部の実施例において、治療対象の静脈からの抜去は例えば30秒〜5分の期間で発生してもよく、または一部の実施例においては10、9、8、7、6、5、4、3、2、1分、45秒、または30秒にほぼ等しい程度かそれ以下でもよい。
【0030】
一部の実施例に従い閉塞部材としての静脈閉塞物質を利用して静脈を閉塞する方法について、これから詳細に説明する。まず最初に、上述
図12と13に関して図示・説明するように、カテーテルは静脈などの管状構造において望ましい位置に展開されうる。次に、
図17の矢印に図示するように、遠位の位置で止血帯または別のタイプの圧迫装置によって、例えば下肢を手による外部からの圧迫などによって、カテーテルを配置する前後のいずれかに静脈400を随意に圧迫することができる。次に、より遠位での塞栓症を防ぐために、
図18に示すように、閉鎖栓500としての役目を果たすために静脈400内の第一の位置に静脈閉塞物質を注入しうる。注入部位にちょうど遠位の前またはその箇所での外部からの圧迫は、重合または別の固定化過程の前に原位置に形成される閉鎖栓500の移動を防ぐために有利に役立ちうる。圧迫はまた、より中心静脈への遠位な望まれない塞栓を防ぐ他、カテーテルから遠位に吐出された後に、静脈閉塞物質が圧迫されて虚脱した地点で静脈に接触し、静脈閉塞物質が近位に流れるよう強制する時、近位に静脈閉塞物質が逆流するのを誘導することもできる。一部の実施例において、静脈閉塞物質が圧迫によって虚脱される静脈領域へ吐出されるカテーテル上の出口ポートからの距離は、約3cm、2.5cm、2cm、1.5cm、1cm、0.75cm、0.5cm、0.25cm以下にすぎない。
【0031】
閉鎖栓500としての役目を果たす静脈閉塞物質は、例えば、一定の期間および/または静脈の長さにわたりより近位に注入される静脈閉塞物質の容量と比べてより容量の大きいボーラスでの静脈閉塞物質であってもよく、その具体的範囲が上述されている。初回ボーラスは、一部の実施例において少なくとも約0.1cc、0.25cc、0.5cc、0.75cc、1cc、1.5cc以上、または別の実施例において約0.05mL〜約0.9mL、約0.05mL〜約0.5mL、または約0.1mL〜約0.2mLの間でありうる。初回ボーラスは、類似の長さの静脈により近位に注入される静脈閉塞物質の容量よりも少なくとも約10%、25%、50%、75%、100%、150%、200%以上大きい容量でありうる。
【0032】
上述する静脈閉塞物質の大量なボーラス容量に加えて、またはその代わりに、第一の静脈閉塞物質とは異なる特性を持つより近位の静脈の治療に使用される第二の静脈閉塞物質を閉鎖栓として使用しうる。第二の静脈閉塞物質がまず最初に展開されて、遠位の静脈ブロックを形成する。次に、カテーテルが近位に格納されるのに従い、第一の静脈閉塞物質が治療部位の長さに沿って投与される。
【0033】
第二の静脈閉塞物質は、例えば、より大きな容量に拡張する、より速やかに硬化する、および/または第一の静脈閉塞物質に対して重合時間が短いグルーまたは別の閉塞媒体でありうる。一部の実施例において、第二の静脈閉塞物質は部分的または完全に生体吸収性でありうる。複数の異なる静脈閉塞物質が使用される場合、カテーテルは異なる静脈閉塞物質の送達に順応するよう二つ以上の内腔を持つように構成されうる。別の方法として、第一および第二の閉塞物質が一般内腔から連続的に展開されうる。
【0034】
図19に示すように、栓500が遠位への血流を完全に防ぐべく形成されるように遠位の閉鎖栓としての役目を果たす静脈閉塞物質が硬化すると、それぞれ
図20〜21に示すようにカテーテルを部分的および完全に近位に抜去しながら、カテーテル200を抜去し、同一または上述の異なる静脈閉塞物質502を治療されるべき静脈400の残りを閉鎖するように治療するための静脈セグメントの長さに沿って注入することができる。
【0035】
そのため、本発明の一つの実施に従って、展開カテーテル200がアクセス部位で静脈に経皮的に導入され、静脈内の治療全域に経管腔的かつ遠位に前進される。展開カテーテルの静脈を遠位に虚脱させ第一の閉塞を形成するために、手による圧迫などの外部からの圧迫がかけられる。カテーテルの遠位端から第一の閉塞の近位側に栓形成媒体をボーラス注入して、静脈内に閉塞栓500を形成する。外部からの圧迫は、随意に削除するか手技全体にわたって残ることができる。カテーテル200はその後、長期的な流れとして継続的にまたは間隔を空けて断続的に、静脈閉塞物質502を治療領域に投与しつつ近位に格納され、ここで第一の閉塞とは間隔を空けて静脈内の第二の閉塞を形成でき、次に第二の閉塞の近位側に第二の媒体がボーラス注入される。静脈閉塞物質502によって静脈を完全に充填することを確保するために、静脈の長さに沿ってどの箇所にも近位に外部からの圧迫をかけることができる。一部の実施例において、望ましい間隔でより近位に栓形成媒体が静脈内に漸次的に二回目、三回目またはそれ以上ボーラス注入され、カテーテルが上述の栓形成媒体を放出する地点までちょうど遠位に外部からの圧迫をかけることができる。カテーテル200はその後抜去され、アクセス部位は従来の技法を用いて閉じられる。
【0036】
図21Aは、外部からの圧迫などによって第一の閉塞を形成するため、地点440で遠位に圧迫される静脈400を示す。また、遠位端201を備えたカテーテル200を示す。静脈内に閉塞440を形成した後、静脈400内の第一の容量VIは、
図21Bに示すように、カテーテル200の遠位端201と閉塞440の間で画定されうる。次に、ボーラスなどの第二の容量V2を持つ媒体をカテーテル200の遠位端201から静脈400内に注入できる。一部の実施例において、
図21Cに示すように、媒体V2の半月板の近位への前進がカテーテル200の遠位端201を越えて近位に通過するように、(注入された媒体の)第二の容量V2は(閉塞とカテーテルの遠位端の間の静脈の)第一の容量VIの少なくとも約100%、105%、110%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%以上である。次に、
図21Dに示すようにカテーテル200が近位に抜去され、第二の更なる閉塞440'が外部からの圧迫などによって形成されうる。次に、
図21Eに示すように、カテーテル200の遠位端201と閉塞440'の間に静脈400内の容量よりも大きな媒体容量V2'を形成するように媒体を注入できる。この過程は、望ましい臨床結果によるが、合計で少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上反復されうる。
【0037】
一部の実施例において、静脈内での閉塞は本明細書に記載するように形成されうる。遠位開口部と側壁を備えた展開カテーテルが提供される。展開カテーテルの遠位端は、静脈内の望ましい位置に位置付けられうる。媒体は、カテーテルの側壁と静脈壁の間でカテーテル周囲で近位に前進させるのに十分な容量の媒体で、遠位開口部から導入できる。一部の実施例において、カテーテルの側壁と静脈壁の間でカテーテル周囲で近位に十分前進することのできる容量は、少なくとも約0.05mL、0.1mL、0.2mL、0.3mL、0.5mL、0.7mL、0.8mL、1mL、1.5mL、2mL、3mL以上である。
【0038】
遠位の栓500は、静脈閉塞物質502に使用されるのと同じ物質のボーラスによって形成されうる。別の方法として、遠位の栓500は、静脈閉塞物質502よりも速やかに重合する、または閉塞栓を形成する重合以外の機序を通した固体化する物質から形成されうる。栓500は別の方法として、発泡または織り繊維または不織布繊維に基づく物質などの自己拡張を行う物質によっても形成でき、これはプッシュワイヤーの遠位への前進、または静脈閉塞物質502の圧力の活用などによってカテーテルから遠位に置き換えられうる。長期的な埋込物が身体に残されるように、自己拡張する発泡または別の栓物質500は生体吸収性物質でありうる。
【0039】
展開カテーテル200の近位での格納は、一定した方法、連続した方法、または断続的な段階を追った方法で達成されうる。同様に、静脈閉塞物質502の押出しは、カテーテル200が近位に格納されるのに従い連続した方法で達成されうる。別の方法として、静脈閉塞物質502は治療区域の長さに沿って、所定または臨床的に決定される距離間隔を空けて、複数回ボーラス注入されうる。近接する静脈閉塞物質502の注入容量箇所との間隔は、少なくとも約0.5cm、少なくとも約1cm、少なくとも約2cm、および一部の実施においては少なくとも約4cmである。この手技は、治療区域の長さに沿って複数の個別の結合地点を提供しつつ、静脈閉塞物質502の注入容量合計を最小限に抑える。
【0040】
また、本明細書では、空洞構造の外部に圧力をかけることによる閉塞部位に近い空洞構造の内部断面積の減少、および空洞構造内へのカテーテルの配置とは縮小した断面積の隣にある閉塞部位への前進という手順を含む静脈などの空洞構造を閉塞する方法が開示される。次に、医療用接着剤が閉塞部位に注入されうる。次に、閉塞部位での医療用接着剤の内部断面積は、空洞構造の外部を圧迫して空洞構造に閉塞を形成するように縮小されうる。圧迫は、例えば、超音波振動子、手による圧力、またはハーネスなどの造影プローブによって達成されうる。次に、医療用接着剤は固体化して、空洞構造に閉塞を形成する。方法はまた、空洞構造の内部断面積を縮小する前に閉塞部位を特定する手順も含みうる。一部の実施例において、カテーテルは圧迫の前に閉塞部位から除去される。
【0041】
本明細書に記載する任意の方法および装置について、幅広い静脈閉塞物質を使用できる。一部の実施例において、物質は、シアノアクリレート、例えば2-オクチルシアノアクリレートなどの接着剤、および/または高張食塩水、テトラデシル硫酸ナトリウム、クロメートグリセロール、テトラサイクリン、タルク、ブレオマイシン、またはポリドカノールなどの硬化剤を含みうる。一部の実施例において、シアノアクリレートはアルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはアルコキシアルキル 2-シアノアクリレートエステルなどの脂肪族2-シアノアクリレートエステルでありうる。アルキル基は、一部の実施例においては1〜16個の炭素原子を有し、C1-C8アルキルエステルまたはC1-C4アルキルエステルでありうる。幾つかの可能性のあるエステルには、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-メトキシエチルおよびシアノアクリル酸の2-エトキシエチルエステルを含む。使用できる別の接着剤には、ウシ血清アルブミン-グルタルアルデヒド組み合わせ(例:BIOGLUE、Cryolife、ジョージア州アトランタ)、PVA、バイオガード(Biogard)、コラーゲン、フィブリノゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、トロンビン、ゼラチン、その混合物、または別の生体適合接着剤などの生物学的グルーを含む。一部の実施例において、静脈の切除および閉鎖を促進するために、例えば、一つ以上の上記構成部品から生じた発泡が使用されうる。望ましい臨床結果を考慮に入れながら、粘度と気泡の混合物を制御することもできる。
【0042】
一つの実施例において、選択された接着剤は大幅な熱効果または局所組織への大幅な異常効果を生むものではなく、むしろ手技直後の期間内に生理学的静脈圧に耐えうる当初の血管接合/付着を生む。接着剤は大幅な熱反応を生まないため、膨潤麻酔法は不要である。一部の実施例において、選択された接着剤は傷跡を残す炎症反応を誘発する。炎症反応の後には、異常な大小伏在静脈の永久閉鎖が続く可能性がある。一部の実施例において、選択された接着剤は塗布してから少し後(例:秒または分)に硬化し、そのため圧迫ストッキングは不要でありうる。選択された接着剤によって、周囲の神経または組織への危険は些少または皆無でありうる。血管内の標的部位に送達される選択された接着剤の量は血管自体の大きさによって様々だが、一部の実施例において、単回投与で送達される接着剤または別の静脈閉塞物質の量は約0.05mL〜約0.9mL、約0.05mL〜約0.5mL、または別の実施例においては約0.1mL〜約0.2mLでありうる。一部の実施例において、単回投与で送達される量は約0.4mL、0.6mL、0.8mL、0.9mL、1mL以上でありうる。一部の実施例において、単回投与で送達される量は約0.8mL、0.6mL、0.4mL、0.3mL、0.2mL、0.1mL、0.05mL以下でありうる。
【0043】
一部の実施例において、シアノアクリレート調製には、粘度、色、X線不透過度などの調製にとって望ましい特性を提供するのに必要な添加剤を含む。増粘剤や重合阻害剤などの添加剤の特定の例について、下記で更に説明する。
【0044】
一部の実施例において、選択された接着剤はまた、様々なシアノアクリレートポリマー、シアノアクリレートオリゴマーおよび生体適合ポリマーを含む増粘剤とも混合されうる。生体適合ポリマーは、例えば、PLA、PLLA、PGA、PCL、PDLLA、PLDGA、PMMA、PET、ナイロン、PE、PP、またはPEEKなどを含むことができ、また一部の実施例において、生体適合ポリマーはシアノアクリレートモノマーに可溶である。一部の実施例において、増粘剤はグルコース、砂糖、でんぷんまたはヒドロゲルを含みうる。一部の実施例において、増粘剤はまた、大きさが約0.001ミクロン〜100ミクロンもの様々な粒子を含みうる。粒子は乾燥固体で提供でき、使用前に接着剤の粘度を高めるために液体接着剤に分散することができる。一部の実施例において、粒子はPLA、PLLA、PGA、PCL、PDLLA、PLDGA、PMMA、PET、ナイロン、PE、PP、CABおよびPEEKなどの任意の生体適合ポリマーを含み、その一方、別の実施例において、粒子はアクリルポリマーを有する場合もあれば有さない場合もあるシリカ物質を含む。増粘剤は、カテーテルを通って標的部位にまで流れる上で適した接着剤の粘度を提供する上で役立ちうる。
【0045】
一部の実施例において、選択された接着剤はまた、一つ以上の重合阻害剤と混合することもでき、これは例えばアニオン性またはフリーラジカル重合阻害剤でありうる。アニオン性重合阻害剤は、二酸化硫黄などの可溶酸性ガス、または酢酸、硫酸、スルホン酸、塩酸、リン酸、カルボン酸、硝酸、またはその組み合わせを含むがこれらに限定されない生体適合性のある酸を含みうる。一部の実施例において、酸は重量で約0.01%〜1%など、重量0.01%〜約10%でありうる。フリーラジカル重合阻害剤には、ハイドロキノン、t-ブチルカテコール、ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンを含む。生体適合性のある酸などの一つ以上の重合阻害剤の添加は、接着剤によってカテーテルが永久的に接着しないように、また静脈壁の結合前に接着剤の時期尚早な硬化が起こらないように、硬化速度を変更するのに役立つ。一部の実施例において、酸はグルーがカテーテルの一部に接着しないように接着剤の硬化および/または重合を遅延させるのに役立つ。
【0046】
当業者は、本明細書に記載する実施例に従い、接着剤混合物の複数の組成物を使用できることを認識するであろう。一つの実施例において、接着剤の組成は、約0.01〜約50.0重量パーセントのシアノアクリレートポリマー、シアノアクリレートポリマー、シアノアクリレートオリゴマーおよび生体適合ポリマーから成る群より選択された約0.01〜約50.0重量パーセントの増粘剤、および約0.01〜約10.0重量パーセントの生体適合性のある酸を含む。
【0047】
一部の実施例において、接着剤はまた、抗炎症剤、抗感染症薬、麻酔薬、炎症誘発剤、細胞増殖薬、またはその組み合わせなどの治療薬を含みうる。
【0048】
一部の実施例において、 シアノアクリレート接着剤などの医療用接着剤は幾つかの特性を持ちうる。一部の実施例において、医療用接着剤の硬化時間は約5〜60秒である。医療用接着剤の粘度はまた、約40〜3000cpでありうる。一部の実施例において、粘度は少なくとも約500cp、少なくとも約1,000cp、少なくとも約1,500cp、少なくとも約2,000cp、少なくとも約2,500cp以上でもありうる。一部の実施例において、粘度は約2,000cp以下、約1,500cp以下、約1,000cp以下、約500cp以下、約300cp以下でもありうる。当業者は、接着剤のタイプはこれらの特定の特性に限定されず、異なる特性を持つ別の接着剤も該当することを認識するであろう。
【0049】
静脈閉鎖システムに関連する追加的な実施例
追加的な実施例において、無線周波装置またはレーザーボックスの資本財の購入を必要としない静脈閉鎖システムについて説明する。簡易かつ非侵襲的な静脈閉鎖システムの使用方法が提供されており、一部の実施例において、方法は膨潤麻酔の適用または圧迫ストッキングの着用を必要としない。本明細書に記載する静脈閉鎖システムに対する患者の受入れおよび要求は、既存の装置および技法よりも相当に高いであろう。
【0050】
一部の実施例において、閉鎖システムは二つの主要な構成部品を含む。一つは、超音波誘導によって異常な伏在静脈に接着剤を送達する静脈閉鎖装置である。別の構成部品は、扁平な閉じた位置での異常な伏在静脈の接合および閉鎖を実現する独自の血管内接着剤である。一部の実施例において、閉鎖システムは三つの主要な構成部品を含む。一つ目は、超音波誘導によって異常な伏在静脈に接着剤を送達する静脈閉鎖装置である。二つ目は、扁平な閉じた位置で浅大腿静脈接合部静脈にちょうど遠位の伏在静脈の接合や閉鎖を実現する独自の血管内接着剤である。三つ目は、そこからの血流の流れを妨げるように静脈を変化させるために、残りの伏在静脈の接合や閉鎖を実現する硬化液である。
【0051】
静脈閉鎖装置
一部の実施例において、例えば塞栓接着剤などの静脈閉塞物質を送達する静脈閉鎖装置は、三つの構成部品を含む。第一の構成部品は、大伏在静脈またはより小さな伏在静脈のできる限り低い位置から正確な超音波誘導により伏在静脈に配置することを実現する外側カテーテルまたはイントロデューサ鞘である。静脈閉鎖装置はまた、閉塞対象の静脈内へと正確に遠位端で配置されるように構成される。一部の実施例において、鞘は複数のサイズ幅で利用でき、配置部位によるが3fr〜7frのID、25cm〜100cmの長さを含む。一部の実施例において、鞘は超音波観察によって音波を発生し、それゆえ、伏在静脈大腿静脈接合部の下に正確に配置されうる。鞘には、0.2、1、2、または5cmでの増分など、鞘に沿って増分を示す複数の目盛りの他に計測印が設けられていてもよい。目盛りおよび印は、伏在静脈に沿って正確で監視の行き届いたプルバックの動きの提供を支援する。
【0052】
静脈閉鎖システムの第二の部分は、静脈閉塞物質または接着剤用の導入カテーテルまたは内側カテーテルである。内側カテーテルは、導入鞘のサイズ幅と一致するように3fr〜7frなどの複数のサイズでもよく、約25cm〜100cmの長さでありうる。一部の実施例において、内側カテーテルは、内側カテーテルが導入鞘の遠位端から拡張できるように導入鞘よりも長くてもよい。一つの実施例において、静脈閉塞物質への付着が些少(該当する場合)になるように、内側カテーテルおよびイントロデューサ鞘の両方がPFTE、テフロン(登録商標)、または類似のポリマー物質から製作されている。一部の実施例において、内側カテーテルにはイントロデューサ鞘を通っての前進を支援する音波を発生する先端がある。内側カテーテルは、ルアーロックまたは別のロック機序などによりイントロデューサ鞘に付着されうる。内側カテーテルは、遠位端からおよそ0.5〜10cmほど導入鞘から突出しており、音波を発生する先端があるために超音波により可視である。内側カテーテルは、扁平な構成に静脈を接合・閉塞するために静脈を静脈閉塞物質に正確に送達するために使用される。一部の実施例において、外側カテーテルおよび/または内側カテーテルは、静脈閉塞物質を投与するよう設計された注射器に結合されるか、または当該注射器から拡張されうる。
【0053】
グルーガンおよびアダプタ
静脈閉鎖システムの第三の部分は、内側カテーテルに取り付けられるグルーガンまたは別の接着剤を導入する装置である。一部の実施例において、接着剤導入装置は、制御性と精度をもって接着剤を血管に投与できる手動の液体ディスペンサーガンである。一つのかかるディスペンサーガンは、Gruendeman et al.に付与された米国特許第6,260,737号で開示されており、その全体を参照により本明細書に組み込む。グルーガンの別の実施例について、下記で更に詳細を説明する。
【0054】
グルーガンなどの静脈閉塞物質ディスペンサーのアダプタ、および関連する構成部品を対象とする追加的な実施例が提供されている。一部の実施例において、アダプタによって調剤カテーテルまたは注射器に一致するように取り付け可能なグルーガンが提供される。アダプタは、適切な滅菌も受けながら、本明細書に記載するような医療使用のために、例えば従来の業務用グルーガンを有利に転換しうる。
【0055】
図22〜32は、本発明の一部の実施例に従い、静脈閉塞物質の投与を支援するように構成されたグルーガンシステムを示す。
図22は、一つの実施例に従い、アダプタ1、グルーガン2、およびプランジャー3を含むグルーガンおよびアダプタシステムの側面図を示す。アダプタ1は、保持セグメント33を介してアダプタ1がグルーガン2に固定されることを可能にするカラーまたはフランジ25を備えたアダプタのロック端部4を含む。アダプタ1は、アダプタ1が注射器36に固定されることを可能にする注射器のロック端部5も更に含む。
【0056】
グルーガン2はハンドル31とプルトリガ12を含む。プルトリガ12はグルーガン2の内部機序と関連して(
図33と34に示し、下記に更に説明)、プランジャー3は注射器36を通して静脈閉塞物質の制御された投与を提供するために使用される。
【0057】
プランジャー3は、グルーガン2本体の外部からグルーガン2本体の内部を通って延びる硬いレール様のセグメントを含む。プランジャー3は、プランジャー3の位置を固定し、グルーの制御された投与を提供するバネ歯止め機序(
図34に示す)に関連して作動する歯を含む。プランジャー3の遠位端は、プランジャー3が注射器を押して接着剤などの静脈閉塞物質を投与できるように、注射器36の近位端と接触する。
【0058】
図23は
図22にあるアダプタ1の透視図を示す。アダプタ1は、アダプタのロック端部4、注射器のロック端部5、保持スロット6および中空体7を含む。
【0059】
アダプタのロック端部4は、回転に伴いディスペンサーガンの保持セグメントで受け取り可能な一つ以上のカラーまたはフランジ25を含む。アダプタのロック端部4は、アダプタ1の回転に伴い、フランジ25が保持セグメント33で受け取られ固定されるように構成される。加えて、アダプタのロック端部4は、開口部またはスロット(
図25に示す)を含み、それを通ってプランジャー3の遠位端が挿入されうる。
【0060】
注射器のロック端部5は、注射器36と開口部41を受け取るための保持スロット6を含み、プランジャー3は当該スロットを通過できる。
図23に示すように、保持スロット6は樽に翼が付いたような形状をしている。注射器を注射器のロック端部5に固定するために、注射器の近位端は保持スロット6に導入されうる。一部の実施例において、注射器の近位端は、注射器のロック端部5に導入されると、注射器が保持スロット6の壁34と接触するように、樽に翼が付いたような形状でありうる。次に、注射器は保持スロット6でしっかりと受け取られるように回転されうる。当業者は、保持スロット6と注射器の近位端が同様の形状をしている必要はないことを認識するであろう。また、保持スロット6が樽に翼が付いたような形状をしている必要もない。注射器の回転や固定の前に注射器の端部を受け取ることができる限り、いかなる形状も適切である。
【0061】
アダプタ1の中空体7は、注入中に中空体7の縦軸に実質的に沿って横方向に移動する時に、注射器プランジャー3を受け取るように設計される。一部の実施例において、アダプタの中空体7の長さは2〜5インチである。中空体は、円形、楕円形またはプランジャー3を受け取るのに適した別の形状でありうる。中空体7の直径は、一部の実施例において、0.5〜1.1インチである。
【0062】
図24は、開口部41を含めて
図22のアダプタ1の正面透視図を示し、当該開口部を通ってプランジャー3が受け取られうる。また、注射器のロック端部5の壁34も示す。壁34は、注射器が注射器のロック端部5に最初に入った段階で、注射器36の表面が壁34と接触するような形状をしている。注射器36の回転に伴い、注射器36は保持スロット6の所定位置に固定されうる。
【0063】
図25は、アダプタのロック端部4と、ディスペンサーガン2の保持セグメント33で受け取り可能なフランジ25を含めて、
図22のアダプタの後面透視図を示す。また穴または開口部9も示されているが、静脈閉塞物質の注入中、プランジャー3は当該開口部を通過できる。
【0064】
図26は、アダプタ1およびその中空体7の断面図を示す。この図から、アダプタ1が少なくとも二つの個別の直径、 内部直径(中空体7への開口部で形成される)と外側直径(中空体7内で形成される)を持つことがわかる。一部の実施例において、内部直径は0.5〜0.9インチ、外側直径は0.7〜1.1インチである。
【0065】
図27は、別の実施例に従い、アダプタ1、グルーガン2、およびプランジャー3を含むグルーガンシステムの側面図を示す。システムは、アダプタのロック端部4と、そこに取り付けられる注射器36を持つ注射器のロック端部5を含む。
図22のシステムとは対照的に、
図27のグルーガンシステムはガン2の保持セグメントに配置される剥き出しのカラーまたはフランジを持つアダプタのロック端部4を含まない。代わりに、アダプタのロック端部4は、グルーガン2と噛み合い、最終組立の段階でも剥き出しにならないフランジ25(
図29に示す)を含む。
【0066】
図28は、アダプタ1、グルーガン2、プランジャー3、それに加えて送達カテーテル200を含む、
図27のグルーガンおよびアダプタシステムの側面図を示す。一部の実施例において、送達カテーテル200は内側カテーテル周囲の外側カテーテルを含む。送達カテーテル200は、注射器36の遠位端から延び、血管内部にある標的部位にアクセスを提供するように設計される。
【0067】
図29は、アダプタのロック端部4、注射器のロック端部5、中空体7およびアダプタのロック端部4近くにあるはめ込み用ノッチ8を持つ
図27のアダプタ1の透視図を示す。はめ込み用ノッチ8は、アダプタの回転に伴いアダプタ1をグルーガン2に固定する、グルーガン2に位置する一致可能なカラーまたはフランジを受け取ることができる。
【0068】
図30は、注射器のロック端部5を含めて、
図27のアダプタ1の正面透視図を示す。注射器のロック端部5に位置する開口部41もまた示されている。ディスペンサープランジャー3を受け取るように構成された開口部41は、一部の実施例においてはT字型だが、単一のスリット、「I字型」、弓形、または別の形状の開口部もまた可能である。T字型の開口部41の利点は、T字型をした開口部によってプランジャー3が「T字」に沿って特定の経路を移動できるため、注射器のロック端部5を通って受け取られるディスペンサープランジャー3をより良く誘導できることである。T字型はまた、より効率的な投与のために、縦方向などの強度をプランジャー3に追加することができる。T字型はまた、粘度の高い物質の投与中に座屈する可能性がより低くなるように、その座屈強度を高めるために横方向にプランジャー3に安定性を追加することができる。
【0069】
図31は、アダプタのロック端部4を含む、
図27のアダプタ1の後面透視図を示す。アダプタのロック端部4は、注射器のロック端部41のT字型の開口部41に類似した、アダプタのロック端部自身のT字型をした開口部9を含み、ディスペンサープランジャー3は当該開口部を通過できる。
【0070】
図32は、
図27のアダプタ1およびその中空体7の断面図を示す。アダプタ1は開いた近位および/または遠位の端部を持つ中央内腔7を含み、注入過程において注射器プランジャー3が移動できるように設計されている。アダプタ1はまた、壁70と72の間で画定される一つ、二つまたはそれ以上の側面内腔10を随意に含むことができ、それが軽量化されたアダプタ1を提供することができ、これは一部の状況において有益でありうる。一部の実施例において、側面内腔10は、壁70と72の間の囲まれた容積全体の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上である、閉じた自由空間の容積を画定する。軽量化されたアダプタを提供することで、これによって取扱いの改善、重量の縮小化、および製造目的でのコスト効率が実現される。別の実施例において、 アダプタ1は、更なる追加的な軽量化を提供するために、アダプタ1から削除されたか切断された第二の空洞空間10の隣の領域または当該空間に追加した領域を含みうる。
【0071】
図33は、組立前のアダプタ1およびグルーガン2を示す。一部の実施例において、グルーガン2はアダプタ1のアダプタのロック端部4を受け取るために開放空間67を囲む延長部66を含む。アダプタのロック端部4が開放空間67に配置される一方で、グルーガン2の延長部66はアダプタ1のはめ込みノッチ8を取り囲み、それによって、
図34に示すようにアダプタ1とグルーガン2の間のしっかりした接続が形成される。
【0072】
図34は、組立後の
図33のアダプタ1とグルーガン2を示す。グルーガンの中空体17内の組立には、歯16付きのプランジャー3、ストッパ11、バネピン13とバネ歯止め14を含むバネ機構15、プランジャーリリースボタン18、浮動グリッパー19、プランジャーポケット20およびバネストップ21を含む。
【0073】
図34に示すように、組立はガンからのグルーの投与を制御するためのトリガ12を持つグルーガン2を含む。グルーガンのトリガ12はバネピン13によってガン本体に統合されており、これはバネ機構15の一部を成す。バネ機構15はまた、プランジャーの位置を正確に固定するためにプランジャー3の歯16との相互作用を行うように設計されたバネ歯止め14を含む。バネ歯止め14の移動はトリガ12によって制御される。トリガを押すかクリックすると、プランジャー3の一つ以上の歯16がアダプタ1を通って前方に移動し、注射器(非表示)を圧迫してグルーまたは接着剤を投与できるように、バネ歯止め14が調節される。トリガをクリックした後にプランジャー3の後方移動を防ぐため、摩擦力により後方移動を止めるためにプランジャー3と噛み合う浮動グリッパー19が提供される。プランジャーポケット20によって、ポケット内の浮動グリッパー19の移動(前方と後方の両方)が可能となる。プランジャー3の前方移動中、浮動グリッパー19はプランジャーポケット20の支援を受けて、(その間の摩擦力を理由として)プランジャー3とともに移動する。トリガがリリースされ、プランジャー3が(浮動グリッパー19とともに)後方に移動した後、プランジャーポケット20はプランジャー3の移動上限を設定する。プランジャーリリースボタン18によって、プランジャー3とバネ歯止め14の間の噛み合いが解除される。プランジャーリリースボタン18を押すと、バネ歯止め14が下方に移動してプランジャー3をバネ歯止め14から解除する。こうして、プランジャー3は後方または前方の方向に自由に移動できる。
【0074】
バネ機構15の効果を限定し、プランジャーの歯16の前方への変位を制限するために、バネ機構15にはストッパ11が伴う。ストッパ11は、バネ機構の移動に対する物理的障壁としての役目を果たし、それによって、グルーまたは接着剤の投与に対するより大きな制御を提供する。
【0075】
図35は、ガン中空体17を示すグルーガン2の正面図である。ガン中空体17内の機構には、ガントリガを引くことで中空体内で移動するプランジャー3を含む。
【0076】
図22〜35に記載するグルーガンシステムの実施例は、正確な量の接着剤や類似の静脈閉塞物質を送達するように設計され、また上述の方法とも併用されうる。バネ歯止め14およびストッパ11を含むバネ機構15の使用などの静脈閉塞物質の投与に対するより大きな制御を提供することで、グルーガンシステムは閉塞物質を継続的または一回の注入あたり0.1 mL〜1.0mlなどの個別の注入可能な定量で静脈に送達し、それによって送達システムの過剰な流れや詰まりを有利に減少させる。使用される静脈閉塞物質の量は静脈の大きさ、圧迫圧、および周囲環境に依存しうる。グルーガンによって、カテーテルから押出または放出されるべき接着剤の正確な増分が可能となる。これによって、その長さに沿って複数部位で閉塞するように静脈を密閉できる。
【0077】
展開可能な閉塞装置
展開可能な閉塞装置を構成する静脈閉塞システムの構成部品に関連する実施例について、これから説明する。
図36は、本発明の一つの実施例に従って、血管閉塞システムで使用されうる構成部品を示す。システムは、例えば、静脈内の望ましい位置に挿入するための展開可能な閉塞装置100、閉塞装置100の送達の他に静脈を閉じるための一つ以上の物質送達の経路としての役目を果たす管状部材でありうるカテーテル200、およびカテーテル200に結合されカテーテルから物質を静脈に起動させる注入器300を含む。
【0078】
図37A〜Dは、本発明の一つの実施例に従った、血管閉塞装置100の様々な図を示す。閉塞装置の一定の特定の実施例について本明細書で詳述しているが、当業者であれば本発明のシステムに使用されうる任意の様々な閉塞装置をも認識するであろう。一部の実施例において、閉塞装置は展開部位への経管での前進のための第一の縮小した断面構成から、 静脈を閉塞するための半径方向に拡張されたか横方向に拡張された第二の構成へと変形されうる。縮小された構成から拡張された構成への変形は、一般的には半径方向に対称的に、または楕円形に、または平面で達成することができ、そのどれもが装置が展開される静脈などの管状構造の局所閉鎖を行うという結果を達成できる。しかしながら、一部の実施例において、閉塞装置100は、更に後述するようにグルーのボーラスといった静脈閉塞物質でもありうる。
【0079】
閉塞装置の変形は、拡張された構成の方向に偏向したフレーム上で抑制を解除するなどの様々な方法で達成できる。別の方法として、閉塞装置は、放射状の拡張を達成するために軸短縮などの活発な力の下で拡張された構成となるように変形される。更なる別の方法として、本発明のシステムと併用する閉塞装置には、望ましい臨床成績によるが、取外し可能で膨張可能なバルーン、オープンセルフォームまたはクローズドセルフォーム、スポンジ、ランダムまたは所定のパターンを持つ閉栓コイルメッシュ、または別の構造を含みうる。閉塞装置は、血管壁、粗い表面または接着剤表面などの別の移動防止表面機能、および/または移動を防止するのに十分な方法で血管壁と接触するために拡大した表面積と噛み合せるための、一つまたは二つ以上の組織アンカーまたは有刺とともに提供されうる。
【0080】
図37Aは、フレーム部分102とバリア部分106を含む閉塞装置100の透視図である。閉塞装置は、カテーテル200内などに送達されるように、縮小された低横断面構成で示されている。示されるフレーム部分102は近位端103と遠位端105を持ち、示されるように少なくとも2本または3本または6本または8本以上の相互接続された支柱106を含みうる。
【0081】
フレーム102は、望ましい臨床結果によるが幅広い壁パターンを持つか、一部の実施例において連続する側壁を持つ。示される実施例において、壁パターンは複数の支柱114によって相互接続された複数の近位に面する頂点112と遠位の頂点110を含む正弦曲線のフレームワークを一般に含む。これは、例えば
図39Bにはっきりと示される。
【0082】
フレーム部分102は、ステンレススチールなどの金属、または例えばニチノールまたはエルジロイなどの形状記憶物質から製作されうる。しかしながら、一部の実施例において、フレーム部分102は、 ポリ-L-ラクチド(PLLA)、ポリ-D-ラクチド(PDLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコン酸、ポリ乳酸-ポリエチレンオキシド共重合体、変性セルロース、コラーゲン、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩)、ポリ無水物、ポリリン酸エステル、ポリ(アミノ酸類)、または関連する共重合体などのポリ(αヒドロキシ酸)などの形状記憶ポリマーまたは生分解性材料から製作されうる。一部の実施例において、フレーム部分102は管からレーザー切断されうる。フレーム部分102が生分解性のものである場合は、望ましい臨床結果および静脈閉塞物質の特性(例:グルーの硬化時間または重合時間)などによるが、例えば約1年、6ヵ月、3ヵ月、1ヵ月、2週間、1週、3日、1日、12時間、6時間、3 時間以下などの一定の時間にわたり完全に分解するように構成されうる。
【0083】
バリア部分104は、血管内で拡張された構成で展開される時に閉塞装置100が血管を流れる血流を塞ぐような様々な方法によってサイズや形状を整え、フレーム102に取り付けることができる。一部の実施例において、バリア104は、縫合、接着剤、クリップ、または別の形の取付具を介してフレーム102に結合される。バリア104は、メッシュなど、血管の閉塞に適している適切な生体適合性材料から製作されうる。一部の実施例において、バリア104は、ニチノール、エルジロイ、Dacron(登録商標)、Gore-Tex(登録商標)、ナイロン、TFE、PTFE、ePTFE、腹膜、小腸下粘膜下組織または別の合成または生体膜からも製作されうる。フレーム102やバリア106の両方の部分に使用されうる更なる材料は、例えば米国特許出願公開第2007/0292472 A1号(Paul et al.に付与)に見られ、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0085】
上述の閉塞装置100はフレーム部分102とバリア部分104を持つものとして記載されているが、プラグ、スポンジ、コイル、接着剤、血栓形成促進薬および類似のものなど、血管内腔を通る血流を塞ぐ別の閉塞装置もまた、本発明の範囲内である。
【0086】
図37A〜37Dに示す実施例において、圧迫された構成の場合のフレームの軸長さは一般に、一部の実施例において約5mm〜約30mm、または 約10mm〜約20mmの範囲である。カテーテル内で圧迫された場合のフレームの外径は、一部の実施例において、一般に約8フレンチサイズ未満、好適には約4フレンチサイズ未満である。閉塞装置の最大外径は、抑制なく拡張された場合には、一部の実施例において、一般に約2mm〜約16mm、または 約4mm〜約12mmの範囲である。
【0087】
図38A〜38Dは、展開された構成での
図37A〜37Dの閉塞装置100を示す。上述のように、閉塞装置100は、縮小された構成から拡張された構成へと装置の自己拡張を促進するために、形状記憶物質から製作されうる。別の実施例において、装置100はバルーン膨張可能である。示されるように、装置100'の近位端103の直径は、血管壁に噛み合い血管を閉塞するために、遠位端105の直径よりも大きいものである。一部の実施例において、近位端103の直径は、未展開の構成の少なくとも約110%、120%、130%、140%、150%、200%以上に拡張する。一部の実施例において、装置100は、近位端103上のものなど、装置100を血管壁に保持するための一つ以上の保持構造を含む。一部の実施例において、その埋め込まれた位置に保持し、組織と閉塞装置100の間での相対的移動を制限するために近接する組織を噛み合わせるために、複数の有刺または別のアンカーが提供される。アンカーは一つの装置100に提供される。アンカーは一つ以上の支柱106、またはフレーム14の別の部分に提供される。一部の実施例において、すべての支柱、すべての1つおきの支柱、またはすべての2つおきの支柱にはそれぞれ、一つまたは二つ以上のアンカーが提供される。アンカーは、下記の
図40に詳述して示すように、閉塞装置100を血管壁に固定するための形態または有刺、スパイクまたは別の適切な構成でありうる。
【0088】
図39A〜39Bは、
図2A〜3Dに関連して上述した送達装置のフレーム102部分の実施例を、明確さを示すためにバリア部分104を省略して、未展開(
図39A)の構成と展開された(
図39B)構成で示す。
【0089】
図40は、拡張された構成で血管400内に埋め込まれる閉塞装置100の断面図である。前述したように、閉塞装置100には近位端103、遠位端105、および閉塞装置100と血管壁400の間での相対的移動を制限するための一つ以上のアンカー112を持つ。装置100は、望ましい臨床結果によるが、少なくとも1、2、3、4、5、6つ以上のアンカーなど、任意の数のアンカーを持ちうる。
【0090】
図41は、
図40に示され送達カテーテル200内で未展開の構成である閉塞装置100の縦断面図である。送達カテーテル200は、内側カテーテル部材204と外側カテーテル部材202を含む。閉塞装置は、外側カテーテル部材202の内腔内部に存在する。内側カテーテル部材204に対する外側カテーテル部材202の格納、または外側カテーテル部材202に対する内側カテーテル部材204の遠位の押しなど、外側カテーテル部材202に対する内側カテーテル部材204の相対的移動は、血管400内での閉塞装置100の展開を促進しうる。内側カテーテル部材204は、同心管、プッシュワイヤー、または展開起動力を送ることのできる別の構造を含みうる。
【0091】
示される閉塞装置100は、展開前に閉鎖栓部材の格納と再位置付けを可能にする離脱機構120に解除可能な形で取り付けられる。離脱機構120は、例えば機械的、化学的、または電解的な離脱など、解除可能な離脱を提供する幅広い機構でありうる。機械的な離脱機構の例には、スネア、縫合ループ、クリップおよび類似のものがある。カテーテルの近位端は、好適には注射器または静脈閉塞物質を静脈に挿入するための別の注入器を結合するためのルアーロックまたは類似の機構を含む。
【0092】
一部の実施例において、閉塞装置が展開された後、硬化剤などの静脈閉塞物質が静脈に挿入される。静脈閉塞物質の目的は、静脈内腔の内膜である内皮細胞を部分的または完全に破壊し、静脈内の内皮細胞下コラーゲン繊維を露出させ、最終的に線維索を形成することでもありうる。静脈の内膜が損傷を受けた後、患者が着用する圧迫ストッキングの使用によって静脈を強制的に閉じることができる。時が経つにつれて、損傷を受けた静脈の傷跡は残したまま、完全に閉じた静脈が形成される。内皮障害はできる限り完全な方が好適である。完全でないと、血栓が形成されて内腔に層を形成するからである。展開される閉塞装置100の存在は、閉塞装置100を遠位に越えて静脈閉塞物質の遠位の塞栓を有利に防ぐ。望ましい臨床結果によるが、任意の静脈閉塞物質が使用されうる。
【0093】
幅広い静脈閉塞物質が使用されうる。一部の実施例において、物質は、シアノアクリレート、例えば2-オクチルシアノアクリレートなどの接着剤、および/または高張食塩水、テトラデシル硫酸ナトリウム、クロメートグリセロール、テトラサイクリン、タルク、ブレオマイシン、またはポリドカノールなどの硬化剤を含みうる。使用されうる別の接着剤には、ウシ血清アルブミン-グルタルアルデヒド組み合わせ(例:BIOGLUE、Cryolife、ジョージア州アトランタ)などの生物学的グルーを含む。一部の実施例において、静脈のアブレーションおよび閉鎖を促進するために、例えば、一つ以上の上記構成部品から生じた発泡が使用されうる。望ましい臨床結果を考慮に入れつつ、粘度と気泡の混合物を制御することもできる。静脈閉塞物質の分布を観察・制御するために、超音波または例えば蛍光透視法、CT、またはMRIなどの別の造影方法を使用できる。一部の実施例において、発泡または静脈閉塞物質内の別の微泡もまた超音波造影剤としての役目を果たしうる。静脈閉鎖のために使用されうる薬剤、方法、および装置の更なる例は、例えば、米国特許第4,039,665号(Foleyに付与)、米国特許第5,676,962号(Garrido et al.に付与)、米国特許第6,572,873号(Osman et al.に付与)、米国特許第6,726,674号(Leuに付与)、米国特許第7,314,466号(Lary et al.に付与)、および米国特許出願公開第号2003/0206864 A1(Manginに付与)に記載されており、その全ての全体を参照により本明細書に組み込む。一部の実施例において、本発明は従来の超音波下で可視のシアノアクリレートに基づく音波を発生する接着剤を使用して実践されうる。
【0094】
図42〜44は、外側カテーテル202に対する内側カテーテル204の相対的移動によって起こる様々な段階の展開における閉塞装置100(明確にするためにバリア部分104は非表示)の断面図を示す。
【0095】
血管の長さが不要な過剰治療なく明確に特定されうるため、本明細書に記載するシステムおよび方法の使用による周囲の神経または組織への損傷リスクは些少または皆無である。これは、伏在静脈に並行される神経の上側に配置される必要のある別の手技多数に比べて対照的である。
【0096】
静脈閉鎖システムによって、異常な逆流静脈瘤などの静脈の簡単な治療が可能となる。静脈閉鎖システムは、送達システムおよび独自の血管内接着剤を含む。発明の手順は、既存の治療と比べて侵襲性や痛みがより低く、より効果的かつ回復が早い。
【0097】
本出願は特定の実施例や例という文脈において開示されているが、当該技術分野の当業者には、本出願が具体的に開示される実施例を超えて別の代替実施例および/または出願の使用およびその明らかな修正や同等物にも及ぶことが理解される。加えて、当業者であれは、上記のどの方法も適切な装置を用いて実行できることを認識するであろう。さらに、実施例に関連して本明細書で開示される特定の機能は、本明細書で規定する別の開示される実施例全てにおいても使用されうる。そのため、本明細書で開示される本出願の範囲は、上述の開示される特定の実施例によって限定されないことが意図される。