(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2遊技機島が、少なくともその一部において前後に揺動可能とされており、かつ、該第1遊技機島と前記第2遊技機島との間に緩衝構造を有している、請求項1に記載の遊技機島。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機においては、弾球された遊技球が遊技領域(遊技盤面上又はその近傍に形成された領域であって、遊技球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で遊技球が遊技領域内の遊技釘や羽根車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域上に配置された各種入賞口に遊技球が入賞すれば所定の賞球の払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に遊技球が流入すれば賞球の払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は遊技球の流下における偶然性を利用しつつ遊技球の入賞及び賞球の払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
【0003】
遊技者は、パチンコ機において大当りに入賞すると、多くの遊技媒体の払出しを得ることができるため、大当りとなることを期待して遊技を行う。この大当りの態様として、一般的に第1の特別遊技(1種大当り又は図柄変動大当りともいう。)と第2の特別遊技(2種大当り又は役物大当りともいう。)とが存在しており、各大当りを個別に実現可能な1種タイプ及び2種タイプのパチンコ機や、いずれの大当り態様も実現可能な1種2種タイプのパチンコ機が概念できる。
【0004】
第2の特別遊技は、所定の入賞口への遊技球の入賞に基づいて2種大入賞口が所定時間開放することで発生し(第2の特別遊技の第一段階)、2種大入賞口が所定時間開放した際に、2種大入賞口内に流入した遊技球が特定の領域を通過するか否かによって第2の特別遊技が継続するか否かを抽選する。遊技球が特定の領域を通過すると、第2の特別遊技の継続が確定して、遊技者は多くの遊技球の払出しを得ることができる。
【0005】
第2の特別遊技が継続するか否かの抽選は、例えば2種大入賞口内に配置された抽選部材によって行われる。この抽選部材は、遊技球が通過可能な複数の領域を有しており、そのうちいずれの領域を遊技球が通過するかによって当否を決定する。この抽選は2種大入賞口に入賞した遊技球の物理的な動きによって当否が決まる。
【0006】
このような物理的な遊技球の動きによって当否が決定する遊技機においては、遊技機に対して振動を加えたり磁石を用いて磁力を加えたりすることによって、不正に遊技球の軌道を変化させる不正行為がなされることがある。このような問題に鑑みて、特許文献1から特許文献3には、遊技球の軌道を不正に変化させるような不正行為を防止する遊技機が記載されている。
【0007】
例えば、特許文献1に記載の遊技機は、遊技機に対する振動を検出する振動センサを備えており、振動センサによって振動に基づく不正行為を検出することができるように構成されている。また、特許文献2,4に記載の遊技機は、磁力と振動との両方を検出可能なセンサを備えており、このセンサによって磁力や振動に基づく不正行為を検出することができるように構成されている。
【0008】
また、特許文献3に記載の遊技機は、不正行為によって衝撃を受けることが多い外装部材と遊技盤との間に衝撃を緩和する部材を設けており、外装部材から遊技盤へ伝達する衝撃を減衰させるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の遊技機は、遊技者が誤って遊技機に触れて振動を付与してしまった場合においても振動を検出してしまうことがあり、誤検出のおそれがある。また、特許文献3に記載の遊技機は、外装部材と遊技盤との間に衝撃を緩和する部材を設けることにより、遊技盤に対する衝撃を減衰させることはできるが、比較的強い衝撃が外装部材に加えられた場合には、遊技盤に対して衝撃が伝達してしまうことがあり、不正行為を防ぐことができないおそれがある。
【0011】
また、振動センサ等によって不正行為を検出する方法によれば、振動検出によってエラー報知や遊技停止を行う必要があり、結果的に遊技者による快適な遊技が中断されてしまう。特に、遊技者が誤って遊技機に触れて振動を付与してしまった場合にエラー報知や遊技停止処理が為されれば、遊技者に不快感を与えてしまうおそれがある。
【0012】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、振動や磁力による不正行為を効果的に防止することができる遊技機島及び遊技機島システムを提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての遊技機島は、遊技球の流下による遊技を実現する遊技盤を保持する第1遊技機枠と、第1遊技機枠の前方に配置されて遊技盤を視認可能とする透明板を保持する第2遊技機枠と、を備えた遊技機を取り付けるための遊技機島であって、第1遊技機枠を取り付けるための第1遊技機島と、第2遊技機枠を取り付けるための第2遊技機島と、を有し、第1遊技機島と第2遊技機島とは、前後に所定距離の隙間をあけて設置されている。
【0014】
第1遊技機島と第2遊技機島とが所定距離の隙間をあけて設置されているので、第2遊技機島側に対して不正行為が試みられたとしても、第1遊技機島側への影響を実質的にほとんど遮断することができる。ここで、不正行為とは、不正に振動や磁力を利用して利益を得ようとする行為、工具等の不正具を内部に侵入させて不正に利益を得ようとする行為等を含む。
【0015】
例えば、第2遊技機島に対して、振動や磁力を与えたとしても、第1遊技機島が離間しているので、第1遊技機島へとその振動や磁力が殆ど伝達されない。第1遊技機島に取り付けられた遊技盤に振動や磁力が殆ど伝達されないので、遊技盤上を流下する遊技球が振動や磁力の影響で入賞したり有利な領域に流入したりすることを防止することができる。
【0016】
なお、この遊技機島によれば、振動や磁力を利用した不正行為が試みられた場合であっても、そもそもその不正行為が功を奏さず、不正行為が完遂されないので、不正行為を検知してエラーを報知したり遊技を停止したりする必要がない。したがって、エラー報知や遊技停止のための構造が不要であるだけでなく、エラー報知や遊技停止によって遊技者に不快感を与えるのを防止することができる。もちろん、本遊技機島が不正検知によるエラー報知や遊技停止のための構成を追加的に備えることを排除するものではない。
【0017】
また、第2遊技機島側の第2遊技機枠やその周囲から不正具を侵入させることを試みたとしても、第1遊技機島が離間しているので、不正具が第1遊技機島側へと到達するリスクが低減されている。したがって、この遊技機島は、不正具の侵入による不正行為も、有効に防止することができる。
【0018】
なお、遊技機においては、遊技盤を保持する第1遊技機枠が遊技球を発射するための発射装置や賞球を払い出すための賞球払出装置を保持している。したがって、第2遊技機島側へ試みられた不正行為が発射装置や賞球払出装置へと影響することも防止されている。
【0019】
第2遊技機島が、少なくともその一部において前後に揺動可能とされており、かつ、第1遊技機島と第2遊技機島との間に緩衝構造を有してもよい。
【0020】
第2遊技機島が、少なくともその一部において前後に揺動可能とされていれば、第2遊技機島と第1遊技機島との前後方向における相対移動が可能となる。例えば、第2遊技機島の下端近傍が軸支部を有して床面に軸支されていれば、第2遊技機島と第1遊技機島との前後方向における相対移動が可能となる。
【0021】
したがって、第2遊技機島に加えられた振動が第1遊技機島へと伝達するのを効果的に防止することができる。また、第1遊技機島と第2遊技機島との間に緩衝構造を有していれば、第2遊技機島に加えられた振動の第1遊技機島への伝達を減衰させることができる。第1遊技機島と第2遊技機島との前後方向の相対移動可能な構造と相まって、第2遊技機島への振動による悪影響を有効に防止し得る。
【0022】
なお、少なくともその一部、とは実質的に全部であることを含み、少なくとも第2遊技機枠が前後に揺動可能となっていることを意味する。また、緩衝構造は、バネ・樹脂・ゴム・スポンジ等の多孔材料等を用いた弾性構造、摩擦・流体粘性・磁気粘性等を利用した振動吸収構造のうちの少なくとも一方を含む。例えば、スプリングとダンパーとの組み合わせであってもよい。
【0023】
第2遊技機島が第1遊技機島に対して大きく前方開放(例えば、軸支部を中心とした前方への傾動)する構造であれば、例えば、開放した第2遊技機島を介して第1遊技機島や第1遊技機枠をメンテナンスすることが容易となるので、作業効率が向上し、便利となる。
【0024】
本発明の他の例示的側面としての遊技機島システムは、上記の遊技機島、及び、遊技球の流下による遊技を実現する遊技盤を保持する第1遊技機枠と、第1遊技機枠の前方に配置されて遊技盤を視認可能とする透明板を保持する第2遊技機枠と、を備えた遊技機、を有する。
【0025】
この遊技機島システムによれば、上記の例示的側面に係る効果を発揮することができる。なお、遊技機島システムは、1つの遊技機島に対して1つの遊技機を取り付けたものであってもよいし、1つの遊技機島に複数の遊技機を取り付けたものであってもよい。遊技機島の側面側から第1遊技機島と第2遊技機島との隙間部分に遊技者がアクセスできないように側面側に侵入防止構造を有していることが好ましい。1つの遊技機島に対して1つの遊技機枠を取り付けるタイプのものであっても1つの遊技機島に対して複数の遊技機枠を取り付けるタイプのものであっても、この遊技機島の側面の侵入防止構造を有することが好ましい。ただし、遊技機島と遊技機島とを隣接配置する場合においては、遊技機島と遊技機島との設置間隔が側面に対する遊技者のアクセスを困難とする程度に狭くなっていれば、侵入防止構造を不要とすることができる。
【0026】
また、1つの遊技機島に対して複数の遊技機枠を取り付けるものにあっては、遊技機枠が遊技盤面を同一方向(前方)に向けて左右方向に列状に配置されてもよいし、複数の遊技機枠が平面視多角形状に配置されてもよい。すなわち、遊技機島が左端や右端を有さず、無端状となっていて、遊技機枠が例えば平面視三角形や平面視四角形の位置に配置されてもよい。
【0027】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、第1遊技機島と第2遊技機島とが所定距離の隙間をあけて設置されているので、第2遊技機島側に対して不正行為が試みられたとしても、第1遊技機島側への影響を実質的にほとんど遮断することができる。したがって、不正検知によるエラー報知や遊技停止の処理を行わなくても不正行為を有効に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1に係る遊技機島システムSについて図面を用いて説明する。ここでは、まず遊技機島システムSに用いられる遊技機枠Wを備えたパチンコ機2の説明をし、その後に、その遊技機枠Wを取り付ける遊技機島Uの説明をする。
【0031】
<パチンコ機の説明>
図1は、この遊技機枠Wを備えたパチンコ機(遊技機)2の正面図であり、
図2は、
図1に示すパチンコ機2の右側面図である。
図3は、
図1に示すパチンコ機2の平面図である。なお、
図2においては、説明の便宜上、後述する遊技盤6及びガラス10を模式的に斜線を付して示している。
【0032】
このパチンコ機2は、第1遊技機枠(遊技機枠Wの一部)W1、第2遊技機枠(遊技機枠Wの一部)W2と、遊技盤ユニット5、ガラス10、発射ユニット(図示せず)、球皿14等を有している。ガラス10は、第1遊技機枠W1に設けられた第1ガラス10aと、第2遊技機枠W2に設けられた第2ガラス(透明板)10bとを有して構成されている。発射ユニットは、遊技球23を遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて1球ずつ発射可能に構成されている。
【0033】
パチンコ機2の左側方には、パチンコ機2に対して遊技球23の貸出要求を行う遊技球貸出装置100が配置されている。遊技球貸出装置100は、遊技者の操作入力に応じてパチンコ機2に対して球貸出信号を送信する。パチンコ機2は、球貸出信号を受け取ることによって、後述する賞球払出装置60によって遊技者に対して所定数の遊技球23を払い出すように構成されており、遊技者は、払い出された遊技球23を用いて遊技を行うことができる。
【0034】
パチンコ機2は、遊技者が発射装置ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて遊技球23が発射ユニットによって発射され、遊技球23の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。
【0035】
なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
【0036】
第1遊技機枠W1は、略矩形の枠部材であり、後述する遊技盤ユニット5、各種制御基板、及び遊技球用の経路、遊技盤ユニット5に設けられた遊技領域16の前方を覆う第1ガラス10a等を保持している。第2遊技機枠W2は、略矩形の枠部材であり、第1遊技機枠W1の前方に配置されている。第2遊技機枠W2は、第2ガラス(透明板)10b及びその周囲を装飾する装飾部材32等を保持している。
【0037】
第1遊技機枠W1が第1遊技機島U1に取り付けられ、第2遊技機枠W2が第2遊技機島U2に取り付けられることにより、第1遊技機枠W1と第2遊技機枠W2とは、前後方向において離間して配置され、その間には隙間T1が設けられている。また、第1遊技機枠W1に装着された第1ガラス10aと、第2遊技機枠W2に装着された第2ガラス10bと、は、前後方向に離間して配置されており、その間には隙間T2が設けられている。
【0038】
第1遊技機枠W1に装着された遊技盤ユニット5は、遊技盤面(遊技盤の表面)6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されるとともに、この演出表示装置7aの表示部7bを露出させるための表示開口部7dが形成されている。
【0039】
遊技盤6は、その表面側に遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように第1遊技機枠W1に装着されている。遊技盤面6aには、遊技領域16を囲むようレール部材26が取り付けられており、発射ユニットによって遊技領域16に向けて発射された遊技球23は、レール部材26に沿って遊技領域16に導かれる。
【0040】
遊技釘27は、遊技領域16を流下する遊技球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、始動入賞口29、大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、ゲート33、風車34等が配置されており、流下する遊技球23が各入球部材に流入したり、ゲート33を通過したり、風車34を回転させたりすることによって、遊技球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
【0041】
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示部7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示部7bには、第1図柄に連動する第1装飾図柄の表示がなされる。第1装飾図柄は、第1抽選手段の抽選結果を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示部7b上に表示されるようになっている。演出表示装置7aには、遊技制御手段としての演出制御基板が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板によって画像表示が制御される。
【0042】
遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う遊技制御手段としての主制御基板を収容した主制御基板ケースと、演出表示装置7aの画像表示の制御等を行う演出制御基板を収容した演出制御基板ケースと、賞球払出装置60による賞球の払出しを制御する払出制御基板を収容した払出制御基板ケースと、電源基板を収容した電源基板ケースと、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板が設けられている。
【0043】
また、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2が設置されるホールの設備から供給された遊技球23を一時的に貯留するための遊技球貯留タンク56(
図3参照)と、球貯留タンク56からの遊技球23が流入し、この遊技球23を1球ずつ球皿14に向けて通過させる賞球払出装置60(
図3参照)と、が設けられている。賞球払出装置60は、払出制基板によって駆動制御されるように構成されており、各種入賞口への遊技球23の入球や、遊技球貸出装置100からの遊技球23の貸出し要求に応じて、遊技者に遊技球23を払い出すように構成されている。
【0044】
第1遊技機枠W1の下方には、遊技盤面6aに形成された遊技領域16に向けて遊技球23を弾球する発射ユニットが設けられている。発射ユニットは、球送り装置(不図示)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)する。
【0045】
ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板であり、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないように不正アクセスを防止する機能、を発揮する。
【0046】
第1遊技機枠W1には、遊技領域16の前方を覆うように配置された第1ガラス10aが装着されている。また、第2遊技機枠W2にも、第2ガラス10bが装着されている。このように、複数の遊技機枠にそれぞれガラスを装着することにより、遊技盤6を前方から遊技者が視認する視認性を確保しつつ、遊技盤6への不正アクセスを防止することができる。
【0047】
例えば、第1遊技機枠W1のみにガラスを設け、第2遊技機枠W2にガラスを設けないと、遊技者がアクセス可能なガラスの前面と遊技盤との距離が比較的短くなり、磁力による不正行為の影響を充分に防止することができないおそれがある。しかし、第2遊技機枠W2に第2ガラス10bを設けることにより、遊技者がアクセス可能な第2ガラス10bと遊技盤6との距離を比較的長くすることができ、磁力による不正行為の防止効果を高めることができる。
【0048】
第2遊技機枠W2は、パチンコ機2の前面に配置されており、遊技者に向けて払い出された遊技球を貯留する球皿14、遊技者が発射ユニットによる遊技球23の発射操作を行うための発射ハンドルが装着されている。球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは、球抜き部材14cを有して遊技盤6の下方に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
【0049】
また、第1遊技機枠W1に装着された遊技盤6と、第2遊技機枠W2に装着された第2ガラス10bと、の距離は、150mmであり、遊技者と遊技領域16とを少なくとも150mm離すことができる。例えば、不正行為者が磁石を用いて遊技領域16を流下する遊技球23の動きを不正に変化させようした場合であっても、第2ガラス10bと遊技盤面6aとが離間しているため、遊技領域16に対する磁力の影響を小さくして、磁力によって不正に遊技球23が操作されることを防ぐことができる。
【0050】
パチンコ機2は、遊技領域16における遊技球23の流下に基づく遊技を実現しており、遊技の結果によって賞球の払出し等の利益を遊技者が得ることができる。したがって、不正行為者は、遊技領域16における遊技球23の動きを操作して、不正に利益を得ようとする。本実施の形態に係るパチンコ機2によれば、隙間T1及び隙間T2を変化させることにより、不正行為の対象となる遊技領域16と不正行為者との距離を適宜調整することができるため、遊技領域16を流下する遊技球23を始動入賞口29や普通入賞口28等の入球部材に不正に入球させたり、ゲート33を不正に通過させたりする等の遊技球23の操作を防止して、不正行為を効果的に防止することができる。
【0051】
次いで、パチンコ機2における遊技球23の移動態様について説明する。ホールの設備から供給された遊技球23は、第1遊技機枠W1の上部に配置された遊技球貯留タンク56に貯留される。遊技球貯留タンク56に貯留された遊技球23は、遊技球貯留タンク56を通過する過程で整列され、整列された状態で賞球払出装置60に導かれる。賞球払出装置60に導かれた遊技球23は、1球ずつ球皿14に向かって送り出される。
【0052】
球皿14に貯留された遊技球23は、球送り装置を介して発射ユニットに1球ずつ導かれる。そして、発射ユニットによって遊技領域16に向けて1球ずつ発射される。遊技領域16に発射された遊技球23は、遊技領域16を流下し、ある遊技球23は始動入賞口29に流入し、ある遊技球23はいずれの入球部材にも流入せずにアウト口30に流入する。入球部材及びアウト口30に流入した遊技球23は、遊技盤6の後面側に導かれ、パチンコ機2の外部に排出される。
【0053】
ここで、賞球払出装置60及び発射ユニットは、第1遊技機枠W1に配置されており、球皿14は、第2遊技機枠W2に配置されており、遊技球23は、第1遊技機枠W1と第2遊技機枠W2との間を移動する。したがって、第1遊技機枠W1と第2遊技機枠W2との間には、遊技球23を通過させる球通路50が設けられている。
【0054】
球通路50は、賞球払出装置60から上球皿14aに向けて遊技球23を導く上球皿通路51と、賞球払出装置60から下球皿14bに遊技球23を導く下球皿通路52と、上球皿14aから球送り装置に向けて遊技球を導く球送り通路53と、を有する。このように球通路50を設けることにより、第1遊技機枠W1と第2遊技機枠W2との間で円滑に遊技球23を移動させることができる。
【0055】
なお、球通路50は、第1遊技機枠W1から第2遊技機枠W2に向けて又は第2遊技機枠W2から第1遊技機枠W1に向けて遊技球23を導くことができるように構成されていればよく、第1遊技機枠W1に装着されていてもよいし、第2遊技機枠W2に装着されていてもよいし、第1遊技機枠W1及び第2遊技機枠W2の両方に装着されていてもよい。
【0056】
<遊技機島の説明>
続いて、遊技機島Uについての説明を行う。遊技機島Uは、遊技機枠Wを取り付けるための島設備である。遊技機島Uは、後方島(第1遊技機島)U1と前方島(第2遊技機島)U2とを有している。後方島U1には第1遊技機枠W1が取り付けられ、前方島U2には第2遊技機枠W2が取り付けられている。
【0057】
図4は、遊技機島Uに遊技機枠Wを有するパチンコ機2が取り付けられた状態の遊技機島システムSの外観図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
図5は、前方島U2を前方に倒した状態を示す遊技機島システムSの正面図である。
【0058】
前方島U2は、第2遊技機枠W2を取り付けるための島設備であって、第2遊技機枠W2をセットするための正面視略長方形の開口部45が形成されている。前方島U2は、例えば木製・樹脂製又は金属製の筐体状構造体であって、全体として略直方体形状を呈している。開口部45内に第2遊技機枠W2をセットして、例えば釘やネジにより固定することによって、前方島U2に第2遊技機枠W2を取り付けられるようになっている。本実施の形態1においては、前方島U2は、1つの開口部45を有して1つの第2遊技機枠W2を取付け可能とされている。
【0059】
後方島U1は、第1遊技機枠W1を取り付けるための島設備であって、前方島U2の後方側に配置され、第1遊技機枠W1をセットするための正面視略長方形の開口部44が形成されている。後方島U1は、例えば木製・樹脂製又は金属製の筐体状構造体であって、全体として略直方体形状を呈している。開口部44内に第1遊技機枠W1をセットして、例えば釘やネジにより固定することによって、後方島U1に第1遊技機枠W1を取り付けられるようになっている。本実施の形態1においては、後方島U1は、1つの開口部44を有して1つの第1遊技機枠W1を取付け可能とされている。
【0060】
前方島U2と後方島U1とは、互いに前後方向に所定距離の隙間をあけて設置されている。その所定距離は、第2遊技機枠W2と第1遊技機枠W1との隙間がT1となるような距離とされている。そして、前方島U2と後方島U1とが構成する左右側面47においては、侵入防止構造48が採用されている。この侵入防止構造48は、左右側面47における前方島U2と後方島U1との隙間に対し、遊技者からのアクセスを防止するための構造であり、例えば、隙間を塞ぐよう外側から取り付けられた遮蔽板(
図6(a)参照)がこの侵入防止構造に相当する。また、侵入防止構造48は、
図6(b)に示すように、左右側面47において、前方島U2の側壁49bと後方島U1の側壁49aとが各々入れ子状に延長されて、遊技者による外部からの内部へのアクセスが防止されるような構造であってもよい。この場合であっても、遊技機枠Wの取付け位置においては、第1遊技機枠W1と第2遊技機枠W2とが隙間T1をあけて配置されるように、後方島U1と前方島U2とは隙間をあけて設置される。
【0061】
前方島U2は、下端部近傍において軸支部46を介して床面Fに固定されている。軸支部46は、その軸Xが左右方向に延び、軸Xを回転中心として前方島U2を前後に揺動可能に支持している。そして、前方島U2と後方島U1との間には、所定位置(望ましくは、上端部に近い位置。)において、所定数(望ましくは、少なくとも左右2箇所。)の緩衝部材(緩衝構造)40が配置されている。この緩衝部材40は、バネ部(スプリング)41とダンパー(ショックアブソーバー)42とを有して構成され、バネ部41が発揮する弾性による衝撃緩和機能とダンパー42が発揮する流体粘性等を用いた振動吸収機能の両方を発揮している。
【0062】
軸支部46は、必ずしも下端部近傍に配置される必要がなく、第2遊技機枠W2の下方に配置されて、第2遊技機枠W2を前後に揺動可能とするものであればよい。また、前方島U2を前後に揺動可能とする構造としては、軸支部46の他にも、例えば、前方島U2が上下に分割されて、下部ユニットが床面Fに固定され、上部ユニットが下部ユニットに対してバネ等の弾性部材を用いて連結され、下部ユニットに対して上部ユニットが前後に揺動可能とされている構造でもよい。
【0063】
前方島U2が後方島U1と分離して所定距離の隙間をあけて設置されているので、前方島U2側に振動が加えられても、その振動が後方島U1側に殆ど伝達されない。しかも、前方島U2と後方島U1との間には、緩衝部材40が配置されているので、たとえ振動が一部伝達されるとしても、衝撃が緩和され、振動が吸収されて伝達されるので、後方島U1側への悪影響は殆どない。
【0064】
なお、緩衝部材40は、構造によっては前方島U2と後方島U1との両方に連結されていてもよいし、島U1,U2の一方に連結されて他方には連結されない構造となっていてもよい。他方に連結されない構造においては、例えば、緩衝部材40の一方の端部が前方島U2又は後方島U1の一方に連結されて、緩衝部材40の他方の端部が前方島U2又は後方島U1の他方から若干の隙間をあけて配置されてもよい。前方島U2に加えられる振動が小さい場合は、緩衝部材40の他方の端部は島U1,U2に接触していないので、その振動が緩衝部材40を介して後方島U1へと伝達されることがない。一方、前方島U2に加えられる振動が大きい場合は、緩衝部材40の他方の端部が島U1,U2のいずれか接触し、その振動が緩衝部材40を介して衝撃緩和、吸収されて小さい振動となって後方島U1へと伝達される。
【0065】
前方島U2と後方島U1との間の上端部近傍には、係合手段54が配置されている。この係合手段54は、前方島U2が軸支部46周りに前方へと倒れるのを防止している。詳細な説明は割愛するが、係合手段54は、係合フックと係合孔とを有して構成され、係合フックを係合孔に係合することにより、前方島U2の上端部近傍が後方島U1の上端部近傍から一定距離以上離間しないように保持ししている。
【0066】
なお、係合フックと係合孔との係合を解除すると、
図5に示すように、前方島U2は、軸支部46周りに回転して前方へと大きく傾動するようになっている。そうすると、後方島U1と前方島U2との隙間を大きく開放することができ、後方島U1と前方島U2との間におけるメンテナンス等を容易に行うことができる。もちろん、第2遊技機枠W2が前方島U2に対して前方へ開閉可能な構造となっていれば、第2遊技機枠W2を前方開放することにより、前方島U2を傾動させることなく、開口部45を介して第1遊技機枠W1へとアクセスすることができるので、ある程度の第1遊技機枠W1に対するメンテナンスを行うこともできる。
【0067】
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2に係る遊技機島システムSの全体構成の概略を示す正面図である。この実施の形態2においては、1つの遊技機島Uに対して複数(本実施の形態2においては、4台。)の遊技機枠Wが取付け可能とされている。
【0068】
上記実施の形態1のように、1つの遊技機島Uに対して1つの遊技機枠Wを取り付けるように構成すると、1台1台の遊技機枠Wの設置の自由度を高めることができるという利点がある。一方、本実施の形態2のように、1つの遊技機島Uに対して複数の遊技機枠Wを取り付けるように構成すると、現状のホール内の遊技機設置状況を大きく変更することなく本実施の形態2に係る遊技機島システムSを導入することが容易となるという利点がある。また、1台ごとの遊技機枠Wに対して左右側面の侵入防止構造を採用する必要がなく、複数台の遊技機枠Wに対する1つの遊技機島Uについて左右側面の侵入防止構造を採用すればよい。
【0069】
この遊技機島システムSにおいても、前方島U2は、軸支部46周りに前後に揺動可能とされている。前方島U2全体が一体として前後揺動可能となっていてもよいし、前方島U2が複数台の第2遊技機枠W2の1台1台に対応して独立しており、第2遊技機枠W2が1台ずつ前後に揺動可能となっていてもよい。
【0070】
[実施の形態3]
図8は、本発明の実施の形態3に係る遊技機島システムSの全体構成の概略を示す平面図である。この実施の形態3においては、1つの遊技機島Uに対して複数(本実施の形態3においては、4台。)の遊技機枠Wが取付け可能とされている。
【0071】
この遊技機島システムSは平面視略正方形状とされ、その正方形の各辺に対応する位置に、遊技機枠Wが設置されている。後方島U1が平面視略正方形を呈して、4つの第1遊技機枠W1を保持している。その後方島U1の前方、すなわち平面視において後方島U1よりも大型の正方形を呈する前方島U2が、4つの第2遊技機枠W2を保持して後方島U1を囲むように設置されている。
【0072】
この実施の形態3においても、後方島U1と前方島U2とは、所定距離の隙間をあけて設置されている。後方島U1と前方島U2とは、各々平面視略四角形状であるので、床面Fに固定したり、係合手段54で係合したりしなくても、各々が自立する構造となっている。本実施の形態3においては、軸支部や緩衝構造を有さず、後方島U1と前方島U2とを所定距離離間させて床面F上に載置するだけで、第2遊技機枠W2に対して加えられた衝撃や振動が第1遊技機枠W1へ伝達されるのを効果的に防止することができる構成となっている。
【0073】
もちろん、この実施の形態2に係る構成において、後方島U1や前方島U2を床面Fにアンカー等を用いて固定することも可能である。また、前方島U2が、各々平面視略正方形状の4辺に相当する4箇所において下端部近傍に軸支部を有しており、各々が前方に傾動可能になっていてもよい。なお、この実施の形態3においては、例示的に平面視略正方形の場合について説明したが、もちろん、後方島U1と前方島U2とが平面視略三角形状とされていてもよいし、平面視において、その他の多角形状とされていてもよい。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。