(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鬱病、疼痛、精神病、パーキンソン病、統合失調症、不安症又は注意欠陥多動性障害(ADHD)の処置のための医薬の製造のための、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物の使用。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式:
【化1】
[式中、
Aは、基(a)、(b)又は(c):
すなわち、
【化2】
又は低級アルキルで場合により置換されているシクロアルキル(c)から選択され;
Ar
1は、フェニル又は6員のヘテロアリールであり;
X
1は、N又はCHであり;
X
2は、N−R
1又はOであり;
R
1は、S(O)
2−低級アルキル、低級アルキルで置換されているC(O)−シクロアルキルであるか、又はC(O)−低級アルキル、低級アルキル、シアノ、シクロアルキルであるか、又は、低級アルキル、シアノ、C(O)−低級アルキル、ハロゲン、ハロゲンで置換されている低級アルキルもしくは低級アルコキシで置換されている6員のヘテロアリールであるか;又はシアノもしくはハロゲンで置換されているフェニルであり;
R
2は、低級アルキル、ハロゲン、ピラゾリル、3−メチル−[1,2,4]オキサゾリル、5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル、シアノで置換されているピリジルであるか、又はハロゲンで置換されているフェニルであるか、又はシアノ、低級アルコキシであるか、又はピペリジン−2−オンである]で示される化合物又は薬学的に活性な塩、式Iで示される化合物の個々のジアステレオ異性体及び鏡像異性体並びにそのラセミ体及び非ラセミ体の混合物を含む立体異性体形態に関する。
【0002】
本発明の化合物が、鬱病、疼痛、精神病、パーキンソン病、統合失調症、不安症及び注意欠陥多動性障害(ADHD)の処置のための有望なNK−3受容体アンタゴニストであることが見いだされた。
【0003】
3種の主なほ乳類タキキニンであるサブスタンスP(SP)、ニューロキニンA(NKA)及びニューロキニンB(NKB)は、Phe−X−Gly−Leu−Met−NH
2の共通するCOOH末端ペンタペプチド配列を共有するニューロペプチドのファミリーに属する。これらのペプチドは、神経伝達物質として、NK−1、NK−2及びNK−3と呼ばれる3種の異なるニューロキニン(NK)受容体を介して、生物活性を発揮する。SPは、NK−1受容体に、NKAは、NK−2受容体に、そしてNKBは、NK−3受容体に優先的に結合する。
【0004】
NK−3受容体は、CNSで優性に発現することを特徴とし、中枢モノアミン作動系の調節に関与することが示された。これらの性質により、NK−3受容体は、中枢神経系障害(例えば、不安症、鬱病、双極性障害、パーキンソン病、統合失調症及び疼痛)での潜在的標的物質とされている(Neurosci. Letters, 2000, 283, 185 -188; Exp. Opin. Ther. Patents 2000, 10, 939-960; Neuroscience, 1996, 74, 403-414; Neuropeptides, 1998, 32, 481-488)。
【0005】
統合失調症は、重度及び慢性の精神障害を特徴とする主たる神経精神障害の1種である。この深刻な疾患に、世界人口の約1%が羅患している。症状は、成人早期に発症し、続いて対人及び社会的に障害をもつようになる。統合失調症は、幻聴及び幻視、パラノイア、妄想(陽性症状)、感情の鈍麻、鬱、アンヘドニア、会話の貧困さ、記憶及び注意欠陥、並びに社会的引きこもり(陰性症状)として症状が現れる。
【0006】
数十年の間、科学者及び臨床医は、統合失調症の薬理学的処置のための理想的な薬剤を発見することに努力を注いできた。しかし、多様な症状ゆえの障害の複雑さが、それらの努力を妨げてきた。統合失調症を診断するための具体的な重要特性はなく、全ての患者に一貫して現れる単一症状はない。その結果、単一の障害として、又は様々な異なる障害としての統合失調症の診断が議論されたが、未だに解明されていない。統合失調症用の新薬開発における主な難題は、これらの疾患の原因及び性質に関する知識の不足である。幾つかの神経化学的仮説(ドーパミン、セロトニン及びグルタミン酸仮説)が、薬理学的研究に基づいて提案され、対応する治療の開発が合理的に説明された。しかし、統合失調症の複雑さを考慮すれば、適切な多受容体親和性特性が、陽性及び陰性の兆候及び症状への有効性に必要となろう。更に、統合失調症患者は順守性が低いため、統合失調症の理想的な薬物は、好ましくは低投与量であり、一日一回投与のものである。
【0007】
近年では、選択的NK1及びNK2受容体アンタゴニストを用いた臨床試験が、文献で見かけられるようになり、嘔吐、鬱病、不安症、疼痛及び片頭痛(NK1)並びに喘息(NK2及びNK1)の処置に関する結果が示された。最も興味を引くデータは、NK1受容体アンタゴニストを用いた、化学療法誘発嘔吐、吐気及び鬱の処置、並びにNK−2受容体アンタゴニストを用いた喘息の処置で得られた。これに反して、NK3受容体アンタゴニストに関する臨床データは、2000年までの文献に見られない。Sanofi-Synthelaboからのオサネタント(Osanetant)(SR 142,801)が、統合失調症の潜在的な処置のためのNK3タキキニン受容体について記載され、以下の文献で報告された、最初に同定された強力で選択的な非ペプチドアンタゴニストである(Current Opinion in Investigational Drugs, 2001, 2(7), 950-956及びPsychiatric Disorders Study 4, Schizophrenia, June 2003, Decision Recources, Inc., Waltham, Massachusetts)。提案された薬物SR 142,801は、第II相治験で、統合失調症の陽性症状(例えば、挙動の変化、妄想、幻覚、極度の興奮、興奮した運動活動及び支離滅裂な会話)に対して活性があるが、陰性症状(鬱、アンヘドニア、社会的孤立、又は記憶及び注意欠陥)の処置に不活性であることが示された。
【0008】
ニューロキニン3受容体アンタゴニストは、統合失調症だけでなく疼痛又は炎症に有用であることが記載された(Exp. Opinion. Ther. Patents (2000), 10(6), 939-960及びCurrent Opinion in Investigational Drugs, 2001, 2(7), 950-956及びPsychiatric Disorders Study 4, Schizophrenia, June 2003, Decision Recources, Inc., Waltham, Massachusetts)。
【0009】
本発明の目的は、式Iで示される新規な化合物、その製造、本発明による化合物に基づく医薬及びその製造、並びに疾病(例えば、鬱病、疼痛、双極性障害、精神病、パーキンソン病、統合失調症、不安症及び注意欠陥多動性障害(ADHD))の制御又は予防における式Iで示される化合物の使用である。
【0010】
本発明の化合物を用いる好ましい適応症は、鬱病、精神病、パーキンソン病、統合失調症、不安症及び注意欠陥多動性障害(ADHD)である。
【0011】
該当する用語が単独又は併用のどちらで記載されているかにかかわらず、本明細書で用いられる一般的用語の以下の定義が適用される。
【0012】
本明細書で用いられる用語「低級アルキル」は、炭素原子を1〜8個含む直鎖又は分枝鎖のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルなどを表す。好ましい低級アルキル基は、炭素原子を1〜4個有する基である。
【0013】
用語「ハロゲンにより置換されている低級アルキル」は、少なくとも1個の水素原子が、ハロゲンにより置換されている、先に定義されたアルキル基、例えば、−CF
3、−CHF
2、−CH
2F、−CH
2CF
3、−CH
2CH
2CF
3、−CH
2CF
2CF
3などを表す。ハロゲン基により置換されている好ましい低級アルキルは、炭素原子を1〜4個有する基である。
【0014】
用語「ハロゲン」は、塩素、ヨウ素、フッ素及び臭素を表す。
【0015】
用語「6員ヘテロアリール」は、少なくとも1個のN−ヘテロ原子、例えばピリジニル又はピリダジニルを含有する、環状芳香族炭化水素ラジカルを表す。
【0016】
用語「薬学的に許容しうる酸付加塩」は、無機酸及び有機酸(例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸など)の塩を包含する。
【0017】
本発明の1つの実施態様は、Aが、
【化3】
である場合の、式IA:
【化4】
[式中、
X
1は、N又はCHであり;
X
2は、N−R
1又はOであり;
R
1は、S(O)
2−低級アルキル、低級アルキルで置換されているC(O)−シクロアルキルであるか、又はC(O)−低級アルキル、低級アルキル、シアノ、シクロアルキルであるか、又は、低級アルキル、シアノ、C(O)−低級アルキル、ハロゲン、ハロゲンで置換されている低級アルキルもしくは低級アルコキシで置換されている6員のヘテロアリールであるか;又はシアノもしくはハロゲンで置換されているフェニルである]で示される化合物又は薬学的に活性な塩、式Iで示される化合物の個々のジアステレオ異性体及び鏡像異性体並びにそのラセミ体及び非ラセミ体の混合物を含む立体異性体形態であり、例えば下記化合物:
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−[1−(1−メチル−シクロプロパンカルボニル)−ピペリジン−4−イル]−メタノン
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−メタノン
1−{4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−ピペリジン−1−イル}−エタノン
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(1−イソブチル−ピペリジン−4−イル)−メタノン
1−{4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−ピペリジン−1−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(1−シクロヘキシル−ピペリジン−4−イル)−メタノン
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(5’−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−メタノン
4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−5’−カルボニトリル
4−{4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−ピペリジン−1−イル}−ベンゾニトリル
1−{4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−5’−イル}−エタノン
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(5’−フルオロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−メタノン
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(5’−クロロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−メタノン
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(5’−トリフルオロメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−メタノン
4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,3’]ビピリジニル−6’−カルボニトリル、又は
[(3R,4R)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−[1−(6−メトキシ−ピリダジン−3−イル)−ピペリジン−4−イル]−メタノン、である。
【0018】
本発明のさらなる実施態様は、Aが、
【化5】
である場合の式IB:
【化6】
[式中、
Ar
1は、フェニル又は6員のヘテロアリールであり;
R
2は、低級アルキル、ハロゲン、ピラゾリル、3−メチル−[1,2,4]オキサゾリル、5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル、シアノで置換されているピリジルであるか、又はハロゲンで置換されているフェニルであるか、又はシアノ、低級アルコキシであるか、又はピペリジン−2−オンである]で示される化合物又は薬学的に活性な塩、式Iで示される化合物の個々のジアステレオ異性体及び鏡像異性体並びにそのラセミ体及び非ラセミ体の混合物を含む立体異性体形態であり、例えば下記化合物:
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(6−メチル−ピリダジン−4−イル)−メタノン
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(1−メチル−シクロプロピル)−メタノン
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(6−ピラゾール−1−イル−ピリジン−3−イル)−メタノン
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−[4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−メタノン
4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−ベンゾニトリル
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−メタノン
5−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−ピリジン−2−カルボニトリル
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(4’−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−メタノン
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−メタノン、又は
1−{4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−フェニル}−ピペリジン−2−オン、である。
【0019】
本発明のさらなる実施態様は、Aが、低級アルキルで場合により置換されているシクロアルキルである、式Iで示される化合物である。
【0020】
本発明の式Iで示される化合物の調製は、逐次又は収束合成経路で実施することができる。本発明の合成を、以下の一般スキームに示す。反応の実施及び得られた生成物の精製に必要な技術は、当業者に既知である。方法の以下の記載において用いられる置換基及び指数は、反する指定がない限り、本明細書において先に示された意味を有する。
【0021】
式Iで示される化合物は、下記で示される方法、実施例で示される方法、又は同等の方法により調製することができる。個々の反応工程に適切な反応条件は、当業者に既知である。反応順序は、後述のスキーム1に表示されるものに限定されず、しかしながら出発物質及びそのそれぞれの反応性に応じて、反応工程の順序は自由に変更することができる。出発物質は、市販されているか、あるいは後述の方法と類似の方法により、説明中若しくは実施例中に引用される文献に記載される方法により、又は当該分野において既知の方法により調製することができるかのいずれかである。
【0022】
式Iで示される本発明の化合物及びその薬学的に許容されうる塩は、当該技術において既知の方法、例えば、下記に記載の方法であって、
a)式:
【化7】
で示される化合物を、
式:
【化8】
[式中、Lは、ハロゲン又はヒドロキシである]で示される適切な酸塩化物又は
カルボン酸とカップリングして、
式:
【化9】
[式中、基Aは、先に記載されている]で示される化合物にすること、及び
所望であれば、得られた化合物を、薬学的に許容しうる酸付加塩に変換することとを含む方法である。
【0023】
スキーム1
式Iで示される誘導体の調製
【化10】
【0024】
3,4−二置換ピロリジンIVを、(E)−2−メチル−3−フェニル−アクリル酸エチルエステル誘導体IIと、触媒量の酸、例えばTFAの存在下で、N−(メトキシメチル)−N−(フェニルメチル)−N−(トリメチルシリル)メチルアミンIIIから系中で発生させたアゾメチンイリドとの立体特異的な1,3−双極子環化付加を介して調製した。フェニルで置換された(E)−2−メチル−3−フェニル−アクリル酸エチルエステル誘導体IIは、市販されているか、あるいは文献に記載されている一般の手順(例えば、J. Org. Chem. 1966, 31(12), 4043-7)に従って調製される。標準条件、例えばLiAlH
4を用いたエステル部分の還元により、アルコールVを得る。例えばフェノール、ピリジン−オール又はピリミジン−オールとの標準光延反応により、アリール−エーテルVIを得る。あるいは置換された2−フルオロ又は2−クロロピリジン誘導体との芳香族求核置換反応によっても、アリールエーテルVIが得られる。次に、芳香族環の置換パターンに適合する幾つかの既知の手順を用いて、選択的N−脱ベンジルを行い、VIIを得る。既知の方法を用いて、適切な酸塩化物、カルボン酸又はカルバモイル塩化物とカップリングすることにより、Iが得られる。
【0025】
略語:
CH
2Cl
2=ジクロロメタン;
DMAP=ジメチルアミノピリジン;
HOBt=1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物;
EDC=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド;
Et
3N=トリエチルアミン;
EtOAc=酢酸エチル;
H=ヘキサン;
RT=室温;
PPh
3=トリフェニルホスフィン;
DBAD=ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシラート
【0026】
一般手順I:
アミドカップリング(ピロリジンVII及びカルボン酸)
CH
2Cl
2 10mL中のカルボン酸誘導体(市販されているか又は文献で公知である)(1mmol)の撹拌した溶液に、EDC(1.3mmol)、HOBt(1.3mmol)及びEt
3N(1.3mmol)を加えた。室温で1時間後、一般式(VII)で示されるピロリジン中間体を加えた。混合物を、室温で一晩撹拌し、そして次に水に注ぎ、そしてCH
2Cl
2で抽出した。合わせた有機相を、Na
2SO
4で乾燥させ、そして真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー又は分取HPLCにより標記化合物を得た。
【0027】
一般手順II
式VIIで示されるピロリジンと酸塩化物又はカルバモイル塩化物とのカップリング
CH
2Cl
2(10mL)中の式(VII)で示されるピロリジン(1mmol)の溶液を、Et
3N(1.2mmol)及び酸塩化物又はカルバモイル塩化物(1.2mmol)で処理し、そして室温で一晩撹拌した。次に反応混合物を、水に注ぎ、そしてCH
2Cl
2で抽出した。合わせた有機相を、Na
2SO
4で乾燥させ、そして真空下で濃縮した。分取HPLCによる精製により、標記化合物を得た。
【0028】
式VIIで示されるピロリジン中間体の記載
ピロリジンVII−1
5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン
【化11】
a)(3RS,4RS)−1−ベンジル−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル
CH
2Cl
2(5mL)中のN−(メトキシメチル)−N−(フェニルメチル)−N−(トリメチルシリル)メチルアミン(1.55g、6.54mmol)の溶液を、CH
2Cl
2(10mL)中の(E)−3−(4−クロロ−フェニル)−2−メチル−アクリル酸エチルエステル(1.00g、4.45mmol;J.Org. Chem. 1966, 31:4043-4047に記載の調製)及びトリフルオロ酢酸(0.034mL、0.44mmol)の撹拌した溶液に、0℃で30分間かけて滴下した。氷浴を除去し、そして溶液を、25℃で、さらに24時間撹拌した。それを次に濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、EtOAc/H1:8)により精製して、標記化合物0.85g(54%)を、無色の油状物として得た。ES−MS m/e: 358.2(M+H
+).
【0029】
b)[(3RS,4RS)−1−ベンジル−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イル]−メタノール
THF(200mL)中の(3RS,4RS)−1−ベンジル−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル(5.75g、16.7mmol)の撹拌した溶液に、0℃で、LiAlH
4(381mg、10.0mmol)を少量ずつ20分間かけて加えた。この温度で1時間後、反応混合物を、氷水の添加、そして次にNaHCO
3水溶液の添加により、注意深くクエンチした。生成物をEtOAcで数回抽出し、合わせた有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、そしてカラムクロマトグラフィー(SiO
2、EtOAc/H1:4〜1:1)で精製して、標記生成物(4.0g、76%)を無色の粘性油状物として得た。.ES−MS m/e: 316.2(M+H
+).
【0030】
c)2−[(3RS,4RS)−1−ベンジル−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−5−クロロ−ピリジン
DMF(60mL)中の[(3RS,4RS)−1−ベンジル−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イル]−メタノール(4.0g、12.7mmol)の撹拌した溶液に、室温で、NaH(608mg、60%、15.2mmol)を加えた。反応混合物を、50℃で30分間加熱し、次に室温に冷ましてから、2−ブロモ−5−クロロピリジン(3.66g、19.0mmol)を加えた。得られた褐色を帯びた溶液を、60℃で一晩撹拌し、次に高真空下で濃縮した。残留物をEtOAcに取り、そして、水で洗浄した。有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、そしてカラムクロマトグラフィーで精製して、標記生成物3.90g(72%)を粘性油状物として得た。ES−MS m/e: 427.2(M+H
+).
【0031】
d)5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン
トルエン(10mL)中の2−[(3RS,4RS)−1−ベンジル−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−5−クロロ−ピリジン(0.70g、1.64mmol)の撹拌した溶液に、クロロギ酸1−クロロエチル(0.229mL、2.12mmol)及びiPr
2NEt(0.36mL、2.12mmol)を室温で加えた。3時間後、すべての揮発物を高真空下で除去し、そして残留物をMeOH(10mL)に溶解した。反応混合物を、室温で2時間撹拌し、次に高真空下で濃縮した.カラムクロマトグラフィー(SiO
2、CH
2Cl
2/MeOH、9:1)により、標記生成物595mg(97%)を白色の泡状物として得た。ES−MS m/e: 337.1(M+H
+).
【0032】
実施例1
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(6−メチル−ピリダジン−4−イル)−メタノン
【化12】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:6−メチル−ピリダジン−4−カルボン酸(WO2009019163に記載の調製);
ES−MS m/e: 457.2(M+H
+).
実施例2
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
【化13】
一般手順IIによるカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルバモイル塩化物:塩化4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル(WO2008128891に記載の調製);
ES−MS m/e: 527.3(M+H
+).
【0033】
実施例3
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−[1−(1−メチル−シクロプロパンカルボニル)−ピペリジン−4−イル]−メタノン
【化14】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:1−(1−メチル−シクロプロパンカルボニル)−ピペリジン−4−カルボン酸(US2009306043に記載の調製);
ES−MS m/e: 530.1(M+H
+).
【0034】
実施例4
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(1−メチル−シクロプロピル)−メタノン
【化15】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:1−メチル−シクロプロパンカルボン酸(市販);
ES−MS m/e: 419.2(M+H
+).
【0035】
実施例5
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(
2−クロロ−ピリジン−4−イル)−メタノン
【化16】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:2−クロロ−イソニコチン酸(市販);
ES−MS m/e: 478.1(M+H
+).
【0036】
実施例6
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(6−ピラゾール−1−イル−ピリジン−3−イル)−メタノン
【化17】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:6−ピラゾール−1−イル−ニコチン酸(市販);
ES−MS m/e: 508.2(M+H
+).
【0037】
実施例7
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−[4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−メタノン
【化18】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−安息香酸(市販);
ES−MS m/e: 523.4(M+H
+).
【0038】
実施例8
4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−ベンゾニトリル
【化19】
一般手順IIによるカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- 酸塩化物:塩化4−シアノ−ベンゾイル(市販);
ES−MS m/e: 466.2(M+H
+).
【0039】
実施例9
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−メタノン
【化20】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:6−メトキシ−ニコチン酸(市販);
ES−MS m/e: 472.3(M+H
+).
【0040】
実施例10
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−メタノン
【化21】
一般手順IIによるカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- 酸塩化物:塩化テトラヒドロ−ピラン−4−カルボニル(市販);
ES−MS m/e: 449.2(M+H
+).
【0041】
実施例11
1−{4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−ピペリジン−1−イル}−エタノン
【化22】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:1−アセチル−ピペリジン−4−カルボン酸(市販);
ES−MS m/e: 490.2(M+H
+).
【0042】
実施例12
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(1−イソブチル−ピペリジン−4−イル)−メタノン
【化23】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:1−イソブチル−ピペリジン−4−カルボン酸(市販);
ES−MS m/e: 504.2(M+H
+).
【0043】
実施例13
1−{4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−ピペリジン−1−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン
【化24】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:1−イソブチリル−ピペリジン−4−カルボン酸(市販);
ES−MS m/e: 518.5(M+H
+).
【0044】
実施例14
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(1−シクロヘキシル−ピペリジン−4−イル)−メタノン
【化25】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:1−シクロヘキシル−ピペリジン−4−カルボン酸(市販);
ES−MS m/e: 530.2(M+H
+).
【0045】
実施例15
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(5’−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−メタノン
【化26】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:5’−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸(市販);
ES−MS m/e: 539.4(M+H
+).
【0046】
実施例16
4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−5’−カルボニトリル
【化27】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:5’−シアノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸(市販);
ES−MS m/e: 550.3(M+H
+).
【0047】
実施例17
4−{4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−ピペリジン−1−イル}−ベンゾニトリル
【化28】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:1−(4−シアノ−フェニル)−ピペリジン−4−カルボン酸(市販);
ES−MS m/e: 549.4(M+H
+).
【0048】
実施例18
1−{4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−5’−イル}−エタノン
【化29】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:5’−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸(以下に記載の調製);
ES−MS m/e: 567.4(M+H
+).
【0049】
(5’−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸)の調製:
第一工程:CH
3CN(250mol)中のピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(12.6g、0.080mol)の撹拌した溶液に、iPr
2Net(33.7mL、0.193mol)及び1−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−エタノン(10g、0.064mol)を加えた。反応混合物を、一晩還流加熱し、そして次に揮発物を高真空下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、EtOAc/ヘプタン、1:9〜1:1)により、5’−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸エチルエステル15.9g(89%)を、黄色の油状物として得た。ES−MS m/e: 277.2(M+H
+).
【0050】
第二工程:THF(75mL)、H
2O(75mL)及びMeOH(8mL)中の5’−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸エチルエステル(15.8g、0.057mol)の撹拌した溶液に、LiOH.H
2O(2.64g、0.0629mol)を加えた。室温で一晩撹拌を続けた後、有機溶媒を真空下で除去した。pHを、酢酸で5に調整し、そして白色の沈殿を濾取し、さらに乾燥させて、5’−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸13g(92%)を得た。ES−MS m/e: 249.2(M−H
+)
【0051】
実施例19
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(5’−フルオロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−メタノン
【化30】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:5’−フルオロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸(以下に記載の調製);
ES−MS m/e: 543.3(M+H
+).
【0052】
(5’−フルオロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸)の調製:
第一工程:トルエン(100mol)中のピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(14.3g、0.091mol)及び2−クロロ−5−フルオロ−ピリジン(10g、0.076mol)の撹拌した溶液に、NaOtBu(8.77g、0.091mol)、BINAP(1.42g、2.28mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.39g、1.52mmol)を加えた。反応混合物を、75℃で2時間で加熱し、室温に冷まし、そしてAcOEt(100mL)及びH
2O(100mL)で希釈した。有機層を分離し、そしてブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、そして真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、EtOAc/ヘプタン、1:9〜1:1)により、5’−フルオロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸エチルエステル12.5g(65%)を、黄色の油状物として得た。ES−MS m/e: 253.3(M+H
+).
第二工程:THF(60mL)、H
2O(60mL)及びMeOH(6mL)中の5’−フルオロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸エチルエステル(12.5g、0.0495mol)の撹拌した溶液に、LiOH.H
2O(2.6g、0.0172mol)を加えた。室温で一晩撹拌を続けた後、有機溶媒を、真空下で除去した。pHを、酢酸で5に調整し、そして白色の沈殿を濾取し、さらに乾燥させて、5’−フルオロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸9.2g(83%)を得た。ES−MS m/e: 223.1(M−H
+)
【0053】
実施例20
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(5’−クロロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−メタノン
【化31】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:5’−クロロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸(市販);
ES−MS m/e: 561.0(M+H
+).
【0054】
実施例21
5−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−ピリジン−2−カルボニトリル
【化32】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:6−シアノ−ニコチン酸(市販);
ES−MS m/e: 467.2(M+H
+).
【0055】
実施例22
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(5’−トリフルオロメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−メタノン
【化33】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:5’−トリフルオロメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸(市販);
ES−MS m/e: 593.4(M+H
+).
【0056】
実施例23
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−(4’−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−メタノン
【化34】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:5’−トリフルオロメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸(市販);
ES−MS m/e: 535.2(M+H
+).
【0057】
実施例24
[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−メタノン
【化35】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−安息香酸(市販);
ES−MS m/e: 523.3(M+H
+).
【0058】
実施例25
4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,3’]ビピリジニル−6’−カルボニトリル
【化36】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:6’−シアノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,3’]ビピリジニル−4−カルボン酸(以下に記載の調製);
ES−MS m/e: 550.3(M+H
+).
【0059】
(6’−シアノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,3’]ビピリジニル−4−カルボン酸)の調製:
第一工程:トルエン(50mol)中のピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(3.70g、23.5mmol)及び5−ブロモ−ピリジン−2−カルボニトリル(3.66g、20mmol)の撹拌した溶液に、NaOtBu(2.31g、24.0mol)、BINAP(374mg、0.60mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(366mg、0.40mmol)を加えた。反応混合物を、75℃で1時間加熱し、室温に冷まし、そしてAcOEt(500mL)及びH
2O(50mL)で希釈した。有機層を分離し、そしてブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、そして真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、EtOAc/ヘプタン、1:9〜1:1)により、6’−シアノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,3’]ビピリジニル−4−カルボン酸エチルエステル1.61g(31%)を黄色の油状物として得た。ES−MS m/e: 260.3(M+H
+).
第二工程:THF(30mL)、H
2O(30mL)及びMeOH(3mL)中の6’−シアノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,3’]ビピリジニル−4−カルボン酸エチルエステル(1.61g、6.20mmol)の撹拌した溶液に、LiOH.H
2O(326mg、7.76mmol)を加えた。室温で一晩撹拌を続けた後、有機溶媒を、真空下で除去した。pHを、酢酸で5に調整し、そして、生成物をEtOAcで抽出し、Na
2SO
4で乾燥させた。得られた固体を、ヘプタンに懸濁し、濾取し、冷Et
2Oで洗浄して、6’−シアノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,3’]ビピリジニル−4−カルボン酸1.40g(99%)を得た。ES−MS m/e: 230.1(M−H
+)
【0060】
実施例26
[(3R,4R)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−イル]−[1−(6−メトキシ−ピリダジン−3−イル)−ピペリジン−4−イル]−メタノン
【化37】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:1−(6−メトキシ−ピリダジン−3−イル)−ピペリジン−4−カルボン酸(以下に記載の調製);
ES−MS m/e: 556.2(M+H
+).
【0061】
(1−(6−メトキシ−ピリダジン−3−イル)−ピペリジン−4−カルボン酸)の調製:
第一工程:トルエン(60mol)中のピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(5.66g、36.0mmol)及び3−クロロ−6−メトキシ−ピリダジン(4.34g、30mmol)の撹拌した溶液に、NaOtBu(3.46g、36mol)、BINAP(560mg、0.90mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(549mg、0.60mmol)を加えた。反応混合物を、95℃で1時間加熱し、室温に冷まし、そしてAcOEt(500mL)及びH
2O(50mL)で希釈した。有機層を分離し、そしてブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、そして真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、EtOAc/ヘプタン、1:9〜1:1)により、1−(6−メトキシ−ピリダジン−3−イル)−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル3.20g(34%)を、黄色の油状物として得た。ES−MS m/e: 266.3(M+H
+).
第二工程:THF(40mL)、H
2O(40mL)及びMeOH(4mL)中の1−(6−メトキシ−ピリダジン−3−イル)−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(3.20g、12.06mmol)の撹拌した溶液にLiOH.H
2O(600mg、14.3mmol)を加えた。室温で一晩撹拌を続けた後、有機溶媒を、真空下で除去した。pHを、酢酸で5に調整し、そして生成物をEtOAcで抽出し、Na
2SO
4で乾燥させた。得られた固体を、ヘプタンに懸濁し、濾取して、冷Et
2Oで洗浄して、1−(6−メトキシ−ピリダジン−3−イル)−ピペリジン−4−カルボン酸1.48g(61%)を得た。ES−MS m/e: 236.2(M−H
+)
【0062】
実施例27
1−{4−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3−メチル−ピロリジン−1−カルボニル]−フェニル}−ピペリジン−2−オン
【化38】
一般手順Iによるアミドカップリング:
- ピロリジン中間体:5−クロロ−2−[(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−フェニル)−3−メチル−ピロリジン−3−イルメトキシ]−ピリジン(VII−1);
- カルボン酸:4−(2−オキソ−ピペリジン−1−イル)−安息香酸(市販);
ES−MS m/e: 538.2(M+H
+).
【0063】
[
3H]SR142801競合結合アッセイ
hNK3受容体結合実験を、[
3H]SR142801(カタログ番号TRK1035、比放射能:74.0 Ci/mmol, Amersham, GE Healthcare UK limited, Buckinghamshire, UK)及び遺伝子組換えヒトNK3受容体を一時的に発現するHEK293細胞から単離した膜を使用して実施した。解凍後、膜ホモジネートを48,000Xgで、4℃で10分間遠心分離し、ペレットを、50mM トリス−HCl、4mM MnCl
2、1μM ホスホラミドン、pH7.4の0.1%BSA結合緩衝液中に再懸濁し、5μgタンパク質/ウェルの最終アッセイ濃度にした。阻害実験では、膜を、放射性リガンドのK
D値に等しい濃度の[
3H]SR142801及び10種の濃度の阻害化合物(0.0003〜10μM)(総反応容量500μlにおいて)と共に室温(RT)で75分間インキュベートした。インキュベーションの最後に、膜を、フィルターメート196ハーベスター(Filtermate 196 harvester)(Packard BioScience)を備えたユニットフィルター(unitfilter)(0.3%PEI+0.3%BSA中で1時間プレインキュベートしたGF/Cフィルターを結合した96ウェル白色マイクロプレート、Packard BioScience, Meriden, CT)上で濾過し、氷冷の50mM トリス−HCl、pH7.4緩衝液で4回洗浄した。非特異的結合を10μM SB222200の存在下で、双方の放射性リガンドについて測定した。microscint 40 (Canberra Packard S.A., Zurich, Switzerland) 45μlを加えて1時間振盪した後、クエンチング補正を伴って、フィルター上での放射能をPackard Top-countマイクロプレートシンチレーションカウンターで(5分間)計数した。阻害曲線をヒル式(Hill equation):y=100/(1+(x/IC
50)
nH)[式中、n
H=Excel−fit 4ソフトウェア(Microsoft)を使用したスロープファクター]にしたがって適合した。IC
50値を阻害曲線から導き出し、親和定数(K
i)値を、Cheng−Prussoff式:K
i=IC
50/(1+[L]/K
D)[式中、[L]は放射性リガンドの濃度であり、K
Dは、飽和等温線から導き出した、受容体におけるその解離定数である]を使用して計算した。全ての実験は、二重に実施し、個々のK
i値の平均±標準誤差(SEM)を計算した。
【0064】
好ましいhNK3受容体 親和性を有する化合物の結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0065】
式Iで示される化合物及びそれらの薬学的に使用されうる酸付加塩は、医薬として、例えば医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、例えば錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与することができる。しかし投与はまた、例えば坐剤の剤形で直腸内に、又は例えば注射液の剤形で非経口的に行うこともできる。
【0066】
式Iで示される化合物及び薬学的に使用されうるその酸付加塩は、錠剤、コーティング剤、糖衣剤及び硬ゼラチンカプセル剤の製造のために、薬学的に不活性な、無機又は有機賦形剤と共に加工することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などを、そのような賦形剤として、例えば、錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤向けに用いることができる。
【0067】
軟ゼラチンカプセル剤用に適切な賦形剤は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオールなどである。
【0068】
液剤及びシロップ剤の製造に適切な賦形剤は、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、ブドウ糖などである。
【0069】
注射液に適切な賦形剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。
【0070】
坐剤に適切な賦形剤は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体ポリオールなどである。
【0071】
更に、医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香味料、浸透圧を変えるための塩類、緩衝剤、マスキング剤又は抗酸化剤を含有することができる。これらはまた、更に他の治療上有用な物質を含有することができる。
【0072】
用量は、広い範囲内で変えることができ、当然それぞれの特定の症例における個別の要求に適合させなければならない。一般的に、経口投与の場合、一般式Iで示される化合物の、1人当たり約10〜1000mgの1日投与量が適切であるが、必要であれば上記の上限を超えることもできる。
【0073】
実施例A
通常の方法で、以下の組成の錠剤を製造する。
mg/錠剤
活性物質 5
乳糖 45
トウモロコシデンプン 15
微結晶性セルロース 34
ステアリン酸マグネシウム 1
錠剤重量 100
【0074】
実施例B
以下の組成のカプセル剤を製造する。
mg/カプセル剤
活性物質 10
乳糖 155
トウモロコシデンプン 30
タルク 5
カプセル剤充填重量 200
【0075】
活性物質、乳糖及びトウモロコシデンプンを、最初にミキサーで、次に、微粉砕機で混合する。混合物をミキサーに戻し、タルクをそれに加え、十分に混合する。混合物を機械により硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0076】
実施例C
以下の組成の坐剤を製造する。
mg/坐剤
活性物質 15
坐剤用錬剤 1285
合計 1300
【0077】
坐薬用錬剤をガラス又はスチール容器で溶解し、十分に混合し、そして45℃に冷却した。その後、微粉砕した活性物質を加え、そしてそれが完全に分散するまで撹拌する。混合物を適切な大きさの坐剤成形型に注ぎ、放置して冷却し、次に坐剤を成形型から取り外し、パラフィン紙又は金属箔で個別に包む。
【0078】
下記の実施例は、本発明を限定することなく説明する。全ての温度は摂氏で示される。