(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理液供給機構における前記使用済み処理液を前記貯液槽から吸引する機構は、気体の噴射力によって駆動するポンプを有する請求項1乃至3のいずれかに記載の浄化装置。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0064】
本発明の第1の実施の形態に係る浄化装置は、
図1に示すように構成される。この浄化装置は、旋盤、フライス盤等の加工機械で使用されたクーラント液(処理液)を浄化して再利用できるようにするものである。
【0065】
図1において、この浄化装置は、クーラント液(処理液)Lを貯留する貯液槽10を有し、加工機械からの使用済みクーラント液が導入管11を通して貯液槽10内に貯められ、貯液槽10内で浄化された使用済みクーラント液Lが送出管12を通して加工機械に戻すことができるようになっている。また、この浄化装置は、バブル発生器20(バブル発生部本体)、ポンプ21及びエアボンベ22を有している。ポンプ21が吸引管24aを通して貯液槽10から吸引した使用済みクーラント液Lをバブル発生器20に液体送通管24bを通して供給する(処理液供給機構)とともに、エアボンベ22からの空気(酸素)が流量調整器23の設けられた気体送通管25を通してバブル発生器20に加圧供給される(気体供給機構)。バブル発生器20は、ポンプ21によって供給される使用済みクーラント液L中にエアボンベ22から供給される空気の気泡(バブル)を発生させ、バブル含有の使用済みクーラント液Lを生成する(バブル発生機構)。そして、バブル発生器20で生成されるバブル含有の使用済みクーラント液Lが供給管26(供給部)によって貯液槽10に導かれ、バブル含有の使用済みクーラント液Lが供給管26の先端から貯液槽10の底に向けて噴出するようになっている。
【0066】
バブル発生器20は、例えば、
図2に示すように、構成される。このバブル発生器20は、シラス多孔質ガラス(SPG)の膜を筒状に成型したSPGユニット210を有しており、外筒体200内においてSPGユニット210の両端部が支持部材201、202によって支持されている。ポンプ21から延びる液体送通管24b(
図1参照)が外筒体200の一方側端部の液体導入口213に結合され、液体送通管24bを通して供給される使用済みクーラント液Lが外筒体200内に設けられたSPGユニット210の筒内を通過するようになっている。外筒体200に形成された気体導入部211にエアボンベ22から延びる気体送通管25が結合されており、エアボンベ22から気体送通管25を通して供給される空気(酸素)が気体導入部211を介して外筒体200内に加圧導入される。外筒体200内に導入される空気は、SPGユニット210に形成された多数の細孔を通ってその内部に進入し、SPGユニット210の筒内を通過する使用済みクーラント液L内にその細孔のサイズに応じたサイズのバブルが発生する。外筒体200の他方側端部の液体排出口214には供給管26(
図1参照)が結合され、前述したようにSPGユニット210を通過するバブル含有の使用済みクーラント液Lが液体排出口214から吐出され、更に、供給管26を通って貯液槽10に供給される。
【0067】
なお、外筒体200には、ドレイン口部212が形成されているが、このドレイン口部212は、通常、
図1に示す開閉弁27によって閉鎖状態となっている。
【0068】
このような洗浄装置では、貯液槽10に貯められた使用済みクーラント液Lがバブル発生器20に供給され、バブル発生器20から吐出されるバブル含有の使用済みクーラント液Lが貯液槽10に供給されるので、使用済みクーラント液Lがバブル発生器20と貯液槽10との間で循環するようになり、貯液槽10の使用済みクーラント液L中のバブルの量をその循環の過程で増加させることができるようになる。また、バブル発生器20から吐出されるバブル含有の使用済みクーラント液Lが供給管26を通してその先端から貯液槽10の底に向けて噴出するので、そのバブル含有の使用済みクーラント液Lが貯液槽10の底を伝いつつ広がっていく(
図1の破線矢印参照)。このため、貯液槽10内の使用済みクーラント液L中のより広い範囲にバブルがいきわたるとともにそのバブルの当該使用済みクーラント液L中での滞在時間が長くなって、使用済みクーラント液中により多くの酸素(空気)がいきわたるようになる。その結果、貯液槽10内の使用済みクーラント液L中の酸素の溶存量を増大させることができ、嫌気性バクテリアの増殖をより効果的に抑えることができるようになる。
【0069】
バブル発生器20により使用済みクーラント液L中に生成されるバブルのサイズは、使用済みクーラント液L中でバブルの滞在する時間をより長くすることができるという観点、及びクーラント液L中での溶解のし易さの観点から、比較的小さい(マイクロバブル、マイクロナノバブル等)ことが好ましい。具体的には、溶解のし易さについてみると、
図3に示すように、バブルのサイズは、300μm以下であることが望ましい。また、バブルのサイズは、200μm以下であればより好ましく、20μm〜100μmの範囲内であれば更に好ましい。使用済みクーラント液L中に生成されるバブルのサイズは、SPGユニット210に使用されるシラス多孔質ガラス(SPG)の細孔のサイズに依存する。従って、SPGユニット210では、目的のサイズのバブルが生成可能となるような多数の細孔の形成されたシラス多孔質ガラス(SPG)の筒体が用いられる。
【0070】
本発明の第2の実施の形態に係る浄化装置は、
図4に示すように構成される。この浄化装置は、貯液槽10内に壁板部材13a、13bが設けられ、その壁板部材13a、13bに沿うようにバブル含有の処理済みクーラント液Lが供給されることを特徴としている。
【0071】
図4において、この浄化装置は、第1の実施の形態の場合(
図1参照)と同様に、加工機械からの使用済みクーラント液Lが導入管11を通して貯液槽10に貯められ、貯液槽10で浄化される使用済みクーラント液Lが送出管12を通して加工機械に戻すことができるようになっている。貯液槽10内には、上下方向に延びる壁板部材13a、13bが設けられている。また、この浄化装置は、第1の実施の形態の場合と同様に、バブル発生器20、ポンプ21及びエアボンベ22を有している。ポンプ21が吸引管241aを通して貯液槽10から吸引した使用済みクーラント液Lをバブル発生器20に液体送通管241bを通して供給するとともに、エアボンベ22からの空気(酸素)が流量調整器23の設けられた気体送通管251を通してバブル発生器20に加圧供給される。バブル発生器20は、
図2に示す構造となって、バブル含有の使用済みクーラント液Lを生成する。そして、バブル発生器20で生成されるバブル含有の使用済みクーラント液Lが供給管261(供給部)によって貯液槽10に導かれ、該バブル含有の使用済みクーラント液Lが貯液槽10にその底から壁板部材13a、13bに沿うように供給される。
【0072】
このような浄化装置では、バブル発生器20からのバブル含有の使用済みクーラント液Lが貯液槽10にその底から壁板部材13a、13bに沿うように供給されるので、バブル含有の使用済みクーラント液Lがその壁板部材13a、13bに沿って対流し得るようになる(
図4における破線矢印参照)。このため、貯液槽10内の使用済みクーラント液L中のより広い範囲にバブルがいきわたるとともにそのバブルの当該使用済みクーラント液L中での滞在時間が長くなって、使用済みクーラント液中により多くの酸素(空気)がいきわたるようになる。その結果、貯液槽10内の使用済みクーラント液L中の酸素の溶存量を増大させることができ、嫌気性バクテリアの増殖をより効果的に抑えることができるようになる。
【0073】
本発明の第3の実施の形態に係る浄化装置は、
図5に示すように構成される。この浄化装置は、前述した第1の実施の形態に係る浄化装置において、貯液槽10内にエアレータ30が設けられていることを特徴としている。
【0074】
図5において、この浄化装置は、第1の実施の形態の場合(
図1参照)と同様に、ポンプ21によって供給される使用済みクーラント液Lにエアボンベ22から供給される空気(酸素)の気泡(バブル)を発生させるバブル発生器20からバブル含有の使用済みクーラント液Lが供給管26(供給部)によって貯液槽10に導かれ、バブル含有の使用済みクーラント液Lが供給管26の先端から貯液槽10の底に向けて噴出するようになっている。このような構成に加えて、貯液槽10内にはエアレータ30が設けられている。エアボンベ31から流量調整器32の設けられた送通管33を通して空気がエアレータ30に供給され、エアレータ30から貯液槽10内の使用済みクーラント液L中にバブルが放出される(槽内バブル発生機構)。ここで、エアレータ30としては、例えば、観賞魚水槽に使用されるようなエアレータを用いることができる。そして、このエアレータ30より放出されるバブルのサイズは、バブル発生器20にて生成されるバブルのサイズより大きく設定されている。
【0075】
バブル発生器20で生成されて供給管26を通して貯液槽10に供給される使用済みクーラント液L中に含まれるバブルのサイズは、前述したように、比較的小さい(例えば、300μm以下)ことが好ましい。エアレータ30から放出されるバブルのサイズは、既述したようにバブル発生器20にて生成されるバブルのサイズより大きく設定されている。このため、エアレータ30から放出されるバブルは、供給管26を通して貯液槽10内の使用済みクーラント液L中に供給されて、比較的長く使用済みクーラント液L中に滞在するバブルよりも浮力が大きいため、早く浮上して液面に達するものとなる。
【0076】
このような浄化装置では、第1の実施の形態と同様に、貯液槽10に貯められた使用済みクーラント液Lがバブル発生器20に供給され、バブル発生器20から吐出されるバブル含有の使用済みクーラント液Lが貯液槽10に供給されるので、使用済みクーラント液Lがバブル発生器20と貯液槽10との間で循環するようになり、貯液槽10の使用済みクーラント液L中のバブルの量をその循環の過程で増加させることができるようになる。また、バブル発生器20から吐出されるバブル含有の使用済みクーラント液Lが供給管26を通してその先端から貯液槽10の底に向けて噴出するので、そのバブル含有の使用済みクーラント液Lが貯液槽10の底を伝いつつ広がっていく(
図5の破線矢印参照)。これに加え、供給管26を通して貯液槽10の底に向けて噴出される使用済みクーラント液Lに含まれるバブルより、貯液槽10内でエアレータ30から放出されるバブルのほうが大きいので、そのエアレータ30から放出されるバブルがより早く浮上し、これにより、使用済みクーラント液Lの流れが生じる。このため、貯液槽10内の使用済みクーラント液L中のより広い範囲にバブルがいきわたリ、使用済みクーラント液中により多くの酸素(空気)がいきわたるようになる。その結果、貯液槽10内の使用済みクーラント液L中の酸素の溶存量を増大させることができ、嫌気性バクテリアの増殖をより効果的に抑えることができるようになる。
【0077】
またこの実施の形態に係る浄化装置では、エアレータ30から放出される比較的大きなサイズのバブルが早く浮上することによって使用済みクーラント液L中に浮遊する異物(バクテリアの死骸、油分、切粉等)をより効率的に使用済みクーラント液Lの液面まで浮かせることができるようになる。そして、貯液槽10内の使用済みクーラント液Lの液面に浮遊する異物を容易に除去することができるようになる。
【0078】
本発明の第4の実施の形態に係る浄化装置は、
図6に示すように構成される。この浄化装置は、2種類(空気と窒素)の気体から生成されるバブルを含有する使用済みクーラント液Lを貯液槽10に貯められた使用済みクーラント液Lに切換え供給することができることを特徴としている。
【0079】
図6において、この浄化装置は、前述した各浄化装置(
図1、
図4及び
図5参照)と同様に、加工機械からの使用済みクーラント液Lが導入管11を通して貯液槽10に貯められ、貯液槽10で浄化された使用済みクーラント液Lが送出管12を通して加工機械に戻すことができるようになっている。ポンプ21によって吸引管24aを通して貯液槽10から吸引される使用済みクーラント液Lは、液体送通管24bを通してバブル発生器20に供給される。バブル発生器20に結合される気体送通管251は、第1気体送通管251aと第2気体送通管251bに分岐している。気体送通管251には流量調整器23が設けられ、開閉弁28aの設けられた第1気体送通管251aにはエアボンベ22aが結合する一方、開閉弁28bの設けられた第2気体送通管251bには窒素ボンベ22bが結合している。
【0080】
このような浄化装置では、開閉弁28aが開放されるとともに開閉弁28bが閉鎖されると、第1の実施の形態の場合と同様に、バブル発生器20には空気(酸素)がエアボンベ22aから加圧供給され、バブル発生器20から空気(酸素)によるバブルを含む使用済みクーラント液Lが吐出し、供給管26を通してその先端から貯液槽10の底に向けて噴出する。この場合、前述したように、貯液槽10内の使用済みクーラント液L中には微細なバブルが比較的長い時間滞在するようになり、その使用済みクーラント液中における酸素の溶存量が多くなる。これにより、嫌気性バクテリアの増殖を抑えることができるようになる。
【0081】
一方、逆に、開閉弁28aが閉鎖されるとともに開閉弁28bが開放されると、バブル発生器20には窒素ボンベ22bから第2気体送通管251b及び気体送通管251を通して酸素を含まない窒素ガスが加圧供給され、バブル発生器20から窒素ガスによるバブルを含む使用済みクーラント液Lが吐出する。この場合、貯液槽10内の使用済みクーラント液L中には微細なバブル(窒素ガス)が比較的長い時間滞在するようになり、その使用済みクーラント液中における窒素ガスの溶存量が多くなる。これにより、好気性バクテリアの増殖を抑えることができるようになる。
【0082】
開閉弁28a、28bの開放、閉鎖を適当なタイミングで切換えることにより、前述したように、貯液槽10に貯められた使用済みクーラント液Lでの嫌気性バクテリア及び好気性バクテリア双方の増殖を抑えることができるようになる。なお、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0083】
本発明の第5の実施の形態に係る浄化装置は、
図7に示すように構成される。
【0084】
図7において、この浄化装置は、前述した各浄化装置(
図1、
図4、
図5及び
図6参照)と同様に、加工機械からの使用済みクーラント液Lが導入管11を通して貯液槽10に貯められ、貯液槽10で浄化された使用済みクーラント液Lが送出管12を通して加工機械に戻すことができるようになっている。この浄化装置は、バブル発生器40、エア駆動ポンプ41及びエアボンベ44を有している。エアボンベ44から延び、開閉弁46の設けられた気体送通管45が第1気体送通管47aと第2気体送通管47bとに分岐している。第1気体送通管47aには流量調整器48a及び絞り弁49aが設けられており、エアボンベ44から気体送通管45及び第1気体送通管47aを流れる空気が絞り弁49aによって絞られた状態でエア駆動ポンプ41に供給されている。粗フィルタ42が先端に設けられた吸引管43がエア駆動ポンプ41の入力口に接続され、エア駆動ポンプ41の出力口に接続された液体送通管が第1液体送通管50と第2液体送通管51とに分岐している。吸引管43の先端部に設けられた粗フィルタ42は、貯液槽10の一方の隅部に配置されている。また、第1液体送通管50には開閉弁53が設けられ、第2液体送通管51には開閉弁54が設けられている。開閉弁53と54は、流量調整機能を有する。
【0085】
エアボンベ44から延びる気体送通管45から分岐する第2気体送通管47bには流量調整器48b及び絞り弁49bが設けられており、エアボンベ44から気体送通管45及び第2気体送通管47bを通して流れる空気(酸素)が絞り弁49bによって絞られた状態でバブル発生器40に加圧供給されている。第1気体送通管47aを通して供給される空気の噴射力によって駆動するエア駆動ポンプ41は、粗フィルタ42及び吸引管43を通して貯液槽10から吸引した使用済みクーラント液Lをバブル発生器40に第1液体送通管50を通して供給する。バブル発生器40は、
図2に示すようにSPGユニット210が用いられた構造となっており、エア駆動ポンプ41によって供給される使用済みクーラント液Lにエアボンベ44から供給される空気(酸素)によるバブルを発生させ、バブル含有の使用済みクーラント液Lを生成する。そして、バブル発生器40で生成されるバブル含有の使用済みクーラント液Lが、供給管52を通り、更に、この供給管52から分岐する第1分岐供給管52aと第2分岐供給管52bとによって貯液槽10に並列的に導かれ、第1分岐供給管52a及び第2分岐供給管52bの先端から貯液槽10の底に向けて噴出するようになっている(供給部)。これら第1分岐供給管52aと第2分岐供給管52bとは、貯液槽10の略中央部に配置されている。
【0086】
エア駆動ポンプ41の出力口に接続される液体送通管から分岐して延びる第2液体送通管51の先端部は、貯液槽10の粗フィルタ42が配置された隅部と逆側の隅部に配置されている。そして、エア駆動ポンプ41によって貯液槽10の一方の隅部に配置された吸引管43の先端部(粗フィルタ42)から吸引される使用済みクーラント液Lが、エア駆動ポンプ41から第2液体送通管51を通して貯液槽10の他方の隅部の使用済みクーラント液Lに戻される(処理液循環機構)。また、使用済みクーラント液Lが吸引される吸引管43(粗フィルタ42)の位置と、第2液体送通管51の先端部から使用済みクーラント液Lが戻される位置とが並ぶ方向において、それらの位置の間に、バブル含有の使用済みクーラント液Lが第1分岐供給管52a及び第2分岐供給管52bから貯液槽10内の使用済みクーラント液Lに供給される。ここで、開閉弁53と54の開度調整により、粗フィルタ42を介して吸引して第2液体送通管51を通して貯液槽10に戻される使用済みクーラント液Lの量と、第1分岐供給管52a及び第2分岐供給管52bから貯液槽10内の使用済みクーラント液Lに供給されるバブル含有の使用済みクーラント液Lの量とのバランス調整を行なうことができる。
【0087】
このような浄化装置では、エア駆動ポンプ41によって貯液槽10の一方の隅部に配置された吸引管43の先端部(粗フィルタ42)から吸引される使用済みクーラント液Lが、エア駆動ポンプ41から第2液体送通管51を通して貯液槽10の他方の隅部の使用済みクーラント液Lに戻されるので、貯液槽10内の使用済みクーラント液Lの広い範囲において循環流が生じ得る。そして、その広い範囲にて循環流の生じている貯液槽10内の使用済みクーラント液Lにバブル発生器40からのバブル含有の使用済みクーラント液Lが第1分岐供給管52a及び第2分岐供給管52bを通して供給されるようになる。このため、貯液槽10内の使用済みクーラント液L中のより広い範囲にバブルがいきわたるとともにそのバブルの当該使用済みクーラント液L中での滞在時間が長くなって、使用済みクーラント液中により多くの空気(酸素)がいきわたるようになる。その結果、貯液槽10内の使用済みクーラント液L中の酸素の溶存量を増大させることができ、嫌気性バクテリアの増殖をより効果的に抑えることができるようになる。
【0088】
また、貯液槽10内での使用済みクーラント液Lの循環及び使用済みクーラント液Lをバブル発生器20に供給してバブル含有の使用済みクーラント液Lを貯液槽10に戻すためのエア駆動ポンプ41がエアボンベ44から供給される空気の噴射力によって駆動されるので、エア駆動ポンプ41の発熱が極力抑えられたものとなる。このため、貯液槽10内の使用済みクーラント液Lの温度上昇を抑えることができ、使用済みクーラント液Lの酸素の溶存率を比較的高く維持することができる。
【0089】
更に、バブル発生器40にて利用される空気と、貯液槽10から使用済みクーラント液Lを吸引してバブル発生器40に供給するためのエア駆動ポンプ41を駆動するための空気とが共通のエアボンベ44から供給されるので、装置構成をより簡略化することができる。また、バブル発生器40に供給するために貯液槽10から使用済みクーラント液Lを吸引する機構と、貯液槽10内の使用済みクーラント液Lを循環させるための機構とが、共通のエア駆動ポンプ41にて構成されるので、更に装置構成を簡略化することができる。更に、バブル発生器40で生成されるバブル含有の使用済みクーラント液Lが第1分岐供給管52a及び第2分岐供給管52bの複数の供給管から貯液槽10内に供給されるので、バブル含有の使用済みクーラント液Lを効率的にかつより広い範囲にわたって貯液槽10に供給することができる。
【0090】
前述した各浄化装置において、
図8に示すような処理液回収機構を設けるようにしてもよい。
【0091】
図8において、加工機械からの使用済みクーラント液Lが導入管11を通して貯液槽10に貯められ、貯液槽10で浄化された使用済みクーラント液Lが送出管12を通して加工機械に戻すことができるようになっている。処理液回収機構は、貯液槽10に貯められた使用済みクーラント液Lに浮く複数のフロート体70a、70bと、各フロート体70a、70bに吊り下げ支持される支持部71(フロート体70a、70bとともにフロート部を構成)と、支持部71に支持され、使用済みクーラント液L中でその液面近傍に配置される吸引口部72とを備えている。吸引口部72は、使用済みクーラント液Lの液面に向けて開口しており、使用済みクーラント液Lの表面部分Dを吸い込むことができるようになっている。
【0092】
また、この処理液回収機構は、エア駆動ポンプ60、エアボンベ61及び濾過ユニット75(処理液濾過機構)を有している。エアボンベ61から延びる気体送通管62には、流量調整器63、開閉弁64及び絞り弁65が設けられており、エアボンベ61から気体送通管62を通して流れる空気が絞り弁65によって絞られた状態でエア駆動ポンプ60に供給される。そして、エア駆動ポンプ60は、エアボンベ61から供給される空気の噴射力によって駆動される。粗フィルタ74が先端に設けられた吸引管66がエア駆動ポンプ60の入力口に接続され、エア駆動ポンプ60の出力口に接続された液体送通管67が濾過ユニット75まで延びている。貯液槽10の使用済みクーラント液L中に配置される粗フィルタ74に吸引口部72から続くフレキシブル液体送通管73が接続されている。
【0093】
濾過ユニット75の拡張された受け部分には網体76が敷かれており、その網体76の上にペーパフィルタ77が設けられている。エア駆動ポンプ60の出力口から延びる液体送通管67は、その先端部が濾過ユニット75のペーパフィルタ77に臨むように配置されている。
【0094】
このような処理液回収機構では、エア駆動ポンプ60がエアボンベ61からの空気によって動作すると、フロート体70a、70bの使用済みクーラント液Lの表面部分Dが吸引口部72から吸引されて、フレキシブル液体送通管73、粗フィルタ74、吸引管66を通って回収される。そして、このように回収された使用済みクーラント液Lの表面部分Dが、エア駆動ポンプ60によって、更に、液体送通管67を通して濾過ユニット75に供給される。濾過ユニット75により、回収された使用済みクーラント液Lの表面部分Dがペーパフィルタ77及び網体76によって濾過されて、貯液槽10に戻される。
【0095】
このように、貯液槽10内に貯められた使用済みクーラント液Lの表面部分Dが回収されるので、当該使用済みクーラント液Lの液面に浮遊する油、バクテリアの死骸、切粉等の異物を除去することができるようになる。そして、貯液槽10から回収される異物を含む使用済みクーラント液Lが濾過されて貯液槽10に戻されるので、貯液槽10内の使用済み処理液を異物のより少ない状態で有効に利用することができるようになる。
【0096】
また、前述した処理液回収機構では、貯液槽10内の処理済みクーラント液Lの量が変動してその液面の高さが変動しても、フロート体70a、70bがその液面の高さに変動して追従して動くので、貯液槽10内の処理済みクーラント液Lの量が変動しても、フロート体70a、70bに吊り下げ支持される支持部71によって支持される吸引口部72から確実に使用済みクーラント液Lの表面部分Dを吸引することができるようになる。
【0097】
本発明の第6の実施の形態に係る浄化装置は、
図9に示すように構成される。この浄化装置は、
図7に示す構造の浄化装置に前述したような処理液回収機構(
図8参照)を具体的に適用したものである。
【0098】
図9において、この浄化装置は、前述した第5の実施の形態の場合(
図7参照)と同様に、バブル発生器40、エア駆動ポンプ41及びエアボンベ44を有するとともに、粗フィルタ42、吸引管43、気体送通管45、開閉弁46、第1気体送通管47a、第2気体送通管47b、流量調整器48a、48b、絞り弁49a、49b、第1液体送通管50、第2液体送通管51、供給管52、第1分岐供給管52a、第2分岐供給管52b及び開閉弁53、54を有している。この浄化装置では、エアボンベ44からの空気が気体送通管45から分岐した第1気体送通管47aを通ってエア駆動ポンプ41に供給されるとともに、第2気体送通管47bを通ってバブル発生器40に供給される。そして、供給される空気の噴射力によって駆動されるエア駆動ポンプ41により、貯液槽10から吸引管43(粗フィルタ42)を通して吸引される使用済みクーラント液Lがバブル発生器40に供給され、バブル発生器40で生成されるバブル含有の使用済みクーラント液Lが第1分岐供給管52a及び第2分岐供給管52bから貯液槽10内の使用済みクーラント液L中に噴出される。
【0099】
エア駆動ポンプ41の出力口に結合される第1液体送通管50からバブル発生器40側と逆側に分岐する第2分岐液体送通管51が、アスピレータ80の液体導入部に結合され、アスピレータ80の液体排出部に結合される液体送通管55が、濾過ユニット75まで延びている。濾過ユニット75は、
図8に示す例と同様に、その拡張された受け部分に網体76が敷かれ、その網体76の上にペーパフィルタ77が設けられた構造となっている。そして、アスピレータ80から延びる液体送通管55の先端部が濾過ユニット75のペーパフィルタ77に臨んでいる。
【0100】
また、貯液槽10に貯められた使用済みクーラント液Lに浮く複数のフロート体70a、70bに吊り下げ支持される支持部71に、使用済みクーラント液中でその液面近傍に配置されるように、吸引口部72が支持されている。これにより、使用済みクーラント液Lの表面部分Dが吸引口部72から吸い込むことができる。複数のフロート体70a、70b、支持部71及び吸引口部72は、一体となって、バブル含有の使用済みクーラント液Lを供給するための第1分岐供給管52aと第2分岐供給管52bとが並ぶ方向において、それらの間に配置されている。吸引口部72から続くフレキシブル液体送通管73は、アスピレータ80の吸引導入部に結合されている。
【0101】
アスピレータ80は、第2液体送通管51側から液体送通管55側にその内部を流れる使用済みクーラント液Lの流れによってフレキシブル液体送通管73を通る使用済みクーラント液Lの表面部分Dを引き込み、前記使用済みクーラント液Lとともに吐出するものである。このアスピレータ80は、具体的に
図10に示すように構成されている。
【0102】
図10において、アスピレータ80は、液体導入部81、液体排出部82及び吸引導入部83がT字型となるように結合されている。前述したようにエア駆動ポンプ41側から延びる第2液体送通管51が接続される液体導入部81は、絞り部84を介して、濾過ユニット75に至る液体送通管55が接続される液体排出部82に連通している。吸引口部72から延びるフレキシブル液体送通管73が接続される吸引導入部83は、絞り部84の直後に位置する混合部85を介して、液体導入部81から液体排出部82に続く通路に結合している。また、液体排出部82は吸引導入部83側の端部から徐々に断面が広がるような形状となっている。
【0103】
このような浄化装置では、エア駆動ポンプ41がエアボンベ44からの空気によって動作すると、吸引管43(粗フィルタ42)を通して吸引される貯液槽10内の使用済みクーラント液Lが、第1液体送通管51を通してアスピレータ80に供給される。アスピレータ80(
図10参照)では、第1液体送通管51から供給される使用済みクーラント液Lが液体導入部81から絞り部84を通して高速になって液体排出部82に抜けていく。このように使用済みクーラント液Lが絞り部84を高速にて通過すると混合部85の領域が負圧となり、それにより、フレキシブル液体送通管73を通して供給される使用済みクーラント液Lの表面部分Dが吸引導入部83から引き込まれる。そして、混合部85において引き込まれた使用済みクーラント液Lの表面部分Dが、液体導入部81側から高速に流れてくる使用済みクーラント液Lに混ざり合って液体排出部82から排出されていく。アスピレータ80から排出される前記表面部分Dを含む使用済みクーラント液Lは、液体送通管55を通して濾過ユニット75に供給される。濾過ユニット75により、回収された使用済みクーラント液Lの表面部分Dがペーパフィルタ77及び網体76によって濾過されて、貯液槽10に戻される。
【0104】
このように、貯液槽10内に貯められた使用済みクーラント液Lの表面部分Dが回収されるので、当該使用済みクーラント液Lの液面に浮遊する油、バクテリアの死骸、切粉等の異物を除去することができるようになる。そして、貯液槽10から回収される異物を含む使用済みクーラント液Lが濾過されて貯液槽10に戻されるので、貯液槽10内の使用済み処理液を異物のより少ない状態で有効に利用することができるようになる。
【0105】
また、吸引管43(粗フィルタ42)から吸引された使用済みクーラント液Lが濾過ユニット75を通して貯液槽10に戻されるようになっているので、貯液槽10内における使用済みクーラント液L中に循環流が生じている。このような循環流が生じている貯液槽10内における使用済みクーラント液Lに対して、バブル発生器40からのバブル含有の使用済みクーラント液Lが第1分岐供給管52a及び第2分岐供給管52bを通して供給されるようになる。このため、貯液槽10内の使用済みクーラント液L中のより広い範囲にバブルがいきわたるとともにそのバブルの当該使用済みクーラント液L中での滞在時間が長くなって、使用済みクーラント液中により多くの空気(酸素)がいきわたるようになる。その結果、貯液槽10内の使用済みクーラント液L中の酸素の溶存量を増大させることができ、嫌気性バクテリアの増殖をより効果的に抑えることができるようになる。
【0106】
更に、貯液槽10から吸引される使用済みクーラント液Lをアスピレータ80に供給し、このアスピレータ80の吸引作用によって、貯液槽10に貯められた使用済みクーラント液Lの表面部分を回収するようにしているので、その回収のための特別な動力源を省くことができ、装置構成を簡略化することができる。また、アスピレータ80に供給される使用済みクーラント液Lとして、バブル発生器40に供給するために貯液槽10から吸引した使用済みクーラント液Lの一部が用いられる構造となっているので、更に、装置構成を簡略化することができる。
【0107】
前述した各浄化装置では、バブル発生器20(40)は、シラス多孔質ガラス(SPG)の膜を筒状に成型したSPGユニット210を用いた構造であったが、これに限らず、気体を高濃度に溶存させた状態の使用済みクーラント液Lを減圧させる構造等、マイクロバブルやマイクロナノバブル等の微細なバブルを発生させることが可能なものであれば、特に限定されない。
【0108】
本発明の第7の実施の形態に係る浄化装置は、
図11に示すように構成される。この浄化装置は、バブル含有の使用済みクーラント液Lを貯液槽10に貯められた使用済みクーラント液内に拡散させるバブル含有処理液拡散ユニット100が貯液槽10内に設けられていることを特徴としている。
【0109】
図11において、この浄化装置は、前述した各実施の形態に係る浄化装置と同様に、加工機械からの使用済みクーラント液Lが導入管11を通して貯液槽10に貯められ、貯液槽10で浄化される使用済みクーラント液Lが送出管12を通して加工機械に戻すことができるようになっている。この浄化装置では、先端に粗フィルタ42が設けられた吸引管43aがエア駆動ポンプ41の入力口に接続され、エア駆動ポンプ41の動作によって貯液槽10内の使用済みクーラント液Lが粗フィルタ42から吸引されるようになっている。エアボンベ44から延びて開閉弁46の設けられた気体送通管45が第1気体送通管47aと第2気体送通管47bとに分岐している。第1気体送通管47aは貯液槽10から延びる吸引管43aに接続され、この第1気体送通管47aには流量調整器48a及び絞り弁49aが設けられている。また、第2気体送通管47bはエア駆動ポンプ41に接続され、この第2気体送通管47bには流量調整器48b及び絞り弁49bが設けられている。エア駆動ポンプ41は、エアボンベ44から気体送通管45及び第2気体送通管47bを通って流れて流量調整器48bによって流量調整がなされるとともに絞り弁49bによって絞られた状態の空気の噴射力によって駆動される。
【0110】
貯液槽10にはバブル含有処理液拡散ユニット100が設けられている。バブル含有処理液拡散ユニット100は、可撓性樹脂製の筒体で形成された処理液噴出体101と、処理液噴出体101の一端に結合されたバブル発生部本体102と、処理液噴出体101の他端部を閉鎖する栓体103とを有している。処理液噴出体101(筒体)の周壁には、その全体にわたって多数(複数)の微小孔が形成されている。処理液噴出体101、バブル発生本体102及び栓体103が一体となって構成されるバブル含有処理液拡散ユニット100は、図示されてはいないが、その両端部を支持する支持体によって貯液槽10の底面から所定の高さの位置に当該底面に略平行となって沿うように設置されている。
【0111】
前述したエア駆動ポンプ41の出力口から延びる液体送通管43bがバブル含有処理液拡散ユニット100のバブル発生部本体102に接続されている。バブル発生部本体102は、内部に複数のオリフィスが形成されており、これら複数のオリフィスの前後で供給される流体の圧力開放がなされるようになっている。
【0112】
このような浄化装置では、エア駆動ポンプ41がエアボンベ44から気体送通管45及び第2気体送通管47bを通して供給される空気の噴射力によって動作すると、貯液槽10に貯められた使用済みクーラント液が粗フィルタ42から吸い上げられて吸引管43aを通してエア駆動ポンプ41に吸引される。その過程で吸引管43aを通る使用済みクーラント液L中にエアボンベ44から気体送通管45及び第1気体送通管47aを通して供給される空気が混ざる。エア駆動ポンプ41は、吸気管43aを通して吸引する空気の混ざった使用済みクーラント液Lを加圧して液体送通管43bに送り出す。これにより空気の混ざった使用済みクーラント液Lがバブル含有液拡散ユニット100のバブル発生部本体102に液体送通管43bを通して圧送される。
【0113】
空気の混ざった使用済みクーラント液Lが液体送通管43bを圧送される過程で、その加圧作用によって空気が使用済みクーラント液L中に溶解し、空気の溶存濃度の比較的高い状態の使用済みクーラント液Lがバブル発生部本体102に供給される。バブル発生部本体102では、空気の溶存濃度の比較的高い状態の使用済みクーラント液Lが複数のオリフィスを通過する際に圧力開放がなされ、溶存していた空気が微細バブル(例えば、マイクロバブル、マイクロナノバブル等)として顕在化する。このような微細バブルの発生により生成されるバブル含有の使用済みクーラント液Lがバブル発生部本体102から処理液噴出体101に順次送られる。そして、前記バブル含有の使用済みクーラント液Lが処理液噴出体101(筒体)の周壁に形成された多数の微細孔から
図12の破線矢印で示すように分散して貯液槽10内の使用済みクーラント液L中に噴出する。
【0114】
このように貯液槽10の底面に沿って設けられたバブル含有処理液拡散ユニット100の処理液噴出体101から微細バブルを含有する使用済みクーラント液Lが分散して貯液槽10内の使用済みクーラント液Lに噴出するようになるので、貯液槽10の使用済みクーラント液Lの比較的広い範囲に微細バブルがいきわたるとともにその微細バブルの当該使用済みクーラント液L中での滞在時間が比較的長く維持され得るようになる。その結果、貯液槽10内の使用済みクーラント液L中の酸素の溶存量を増大させることができ、嫌気性バクテリアの増殖をより効果的に抑えることができるようになる。なお、貯液槽10の使用済みクーラント液Lの比較的広い範囲に微細バブルがいきわたるようにするには、処理液噴出体101の長さを、その一端部、他端部が貯液槽10の一方の隅部、他端の隅部のそれぞれに接近するくらいに設定することが好ましい。
【0115】
また、周壁に多数の微小孔の形成される処理液噴出体101(筒体)は、可撓性樹脂にて形成されているので、貯液槽10の底面に沿うように蛇行させて配置させることができる。このように処理液噴出体101を蛇行させて配置させることにより、貯液槽10内のより広い領域から微細バブルを含有する使用済みクーラント液Lを分散させて噴出することができるようになる。この場合、貯液槽10の使用済みクーラント液Lの更に広い範囲に微細バブルをいきわたらせることができるようになる。
【0116】
また、前述した浄化装置では、エアボンベ44、気体送通管45、第1気体送通管47a、エア駆動ポンプ41、液体送通管43b及びバブル発生部本体102によってバブル発生機構が構成され、エアボンベ44及び吸気管43aによって前記バブル発生機構に使用済みクーラント液Lを供給する処理液供給機構が構成される。このような構成により、エア駆動ポンプ41が、貯液槽10からの使用済みクーラント液Lの吸引(処理液供給機構としての機能)と、空気の混ざった使用済みクーラント液Lのバブル発生部本体102への圧送(バブル発生機構としての機能)との双方に利用されるので、装置を比較的簡素に構成することができる。