特許第5717342号(P5717342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5717342共重合体ゴム、ゴム組成物およびゴム成形体
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  • 特許5717342-共重合体ゴム、ゴム組成物およびゴム成形体 図000018
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717342
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】共重合体ゴム、ゴム組成物およびゴム成形体
(51)【国際特許分類】
   C08F 210/18 20060101AFI20150423BHJP
   C08F 4/6592 20060101ALI20150423BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   C08F210/18
   C08F4/6592
   C08L23/08
【請求項の数】14
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2009-544681(P2009-544681)
(86)(22)【出願日】2008年12月2日
(86)【国際出願番号】JP2008071905
(87)【国際公開番号】WO2009072503
(87)【国際公開日】20090611
【審査請求日】2011年11月2日
(31)【優先権主張番号】特願2007-314886(P2007-314886)
(32)【優先日】2007年12月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】江端 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】市野 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】国実 正雄
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−071616(JP,A)
【文献】 特表2001−522398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F210
C08F4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン[A]、
炭素原子数3〜20のα−オレフィン[B]、
メタロセン系触媒により重合可能な、隣接する炭素原子間の二重結合を、1分子内に1個有する非共役ポリエン[C]および
該二重結合を、1分子内に2個有する非共役ポリエン[D]
に由来する構造単位を含み、
前記非共役ポリエン[C]が、5−エチリデン2−ノルボルネン(ENB)であり、
前記非共役ポリエン[D]が、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)であり、
下記(1)〜(5)を満たすことを特徴とする共重合体ゴム;
(1)エチレン[A]に由来する構造単位と、該α−オレフィン[B]に由来する構造単位とのモル比([A]/[B])が、50/50〜85/15であり、
(2)該非共役ポリエン[C]に由来する構造単位と、該非共役ポリエン[D]に由来する構造単位とのモル量の総和が、全構造単位中0.5〜4.5モル%であり、
(3)135℃デカリン中で測定される極限粘度〔η〕が、1.0〜5.0dL/g
であり、
(4)該非共役ポリエン[C]に由来する構造単位と、該非共役ポリエン[D]に由来する構造単位とのモル比([C]/[D])が、85/15〜99.5/0.5であり、
(5)下記式(I)を満たす。
Log{η*(0.01)}/Log{η*(10)}>0.0753×{該非共役ポリエン[D]に由来する見かけのヨウ素価}+1.42 …(I)
(式中、η*(0.01)は、190℃における0.01rad/secの粘度(Pa・sec)を表し、η*(10)は、190℃における10rad/secの粘度(Pa・sec)を表す。)
【請求項2】
下記式(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒を用いて合成されることを特徴とする請求項1に記載の共重合体ゴム。
【化1】
【請求項3】
上記式(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒を用いて、請求項1または2に記載の共重合体ゴムを製造することを特徴とする共重合体ゴムの製造方法。
【請求項4】
脂肪族炭化水素を重合溶媒として用いて、上記式(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒の存在下に、エチレン[A]、上記α−オレフィン[B]、上記非共役ポリエン[C]および上記非共役ポリエン[D]を共重合して得られる共重合体ゴムの、該重合溶媒中の濃度が8〜12重量%の重合反応液を得る工程を有することを特徴とする請求項に記載の共重合体ゴムの製造方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の共重合体ゴムを含むことを特徴とするゴム組成物。
【請求項6】
請求項に記載のゴム組成物を架橋してなることを特徴とする架橋ゴム。
【請求項7】
請求項に記載の架橋ゴムからなることを特徴とするウェザーストリップ用スポンジ材。
【請求項8】
請求項に記載の架橋ゴムからなることを特徴とするドアスポンジ用スポンジ。
【請求項9】
請求項に記載の架橋ゴムからなることを特徴とするオープニングトリム用スポンジ。
【請求項10】
請求項に記載の架橋ゴムからなることを特徴とするフードシール用スポンジ。
【請求項11】
請求項に記載の架橋ゴムからなることを特徴とするトランクシール用スポンジ。
【請求項12】
請求項に記載の架橋ゴムからなることを特徴とする高発泡スポンジ材。
【請求項13】
請求項に記載の架橋ゴムからなることを特徴とする断熱スポンジ。
【請求項14】
請求項に記載の架橋ゴムをからなることを特徴とするダムラバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共重合体ゴム、該共重合体ゴムを含むゴム組成物、および該ゴム組成物を架橋することにより得られるゴム成形体に関する。より詳しくは、本発明は、エチレン、炭素原子数3〜20のα−オレフィンおよび特定の非共役ポリエン2種類からなる4元共重合体ゴム、該共重合体ゴムを含むゴム組成物、および該ゴム組成物を架橋することにより得られるゴム成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR)およびエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム(EPDM)などのエチレン・α−オレフィンゴムは、その分子構造の主鎖に不飽和結合を有しないため、汎用の共役ジエンゴムと比べ、耐熱老化性、耐候性、耐オゾン性に優れ、自動車用部品、電線用材料、電気・電子部品、建築土木資材、工業材部品等の用途に広く用いられている。
【0003】
近年、各種部品に対する軽量化および超寿命化のニーズが高まり、原料高分子素材への高性能化と高品質化が強く求められるようになっている。さらに部品に対する品質管理規格も厳しくなっており、製品不良を引き起こす混練不具合および押出不具合を無くすための材料設計も強く求められている。
【0004】
従来のチーグラーナッタ触媒を用いて調製されたEPDMでは触媒由来の残留金属分によって、耐熱性悪化や異物発生、さらには加硫反応阻害など引き起こす懸念があった。さらに共重合に対する触媒活性が低いため、共重合体の分子構造制御が難しいなどの問題があった。
【0005】
また、EPDMの混練加工性および押出加工性を向上させるためには、ポリマーの粘度を適度に低く設計する必要がある。ポリマーの粘度が低すぎると、得られる架橋ゴム製品のシール性および強度が低下し、実用的でなくなるという問題が生じる。また、分子量分布、組成分布を広くしてポリマーの粘度を下げる方法も知られているが、この方法は、分子量分布、組成分布を広げると、得られる架橋ゴム製品に含まれる低分子量成分が揮発し、自動車または室内の窓ガラスなどが曇ったり(フォギング)、架橋ゴム製品に含まれる低分子量成分が分離し、その表面がべたついたり(ベタ)、架橋ゴム製品の低温特性が悪くなったりするという問題が生じる。
【0006】
一方、EPDMを押出した際の形状保持性を良くするためには、コンパウンドの粘度を上げればよいが、粘度を上げるとEPDMの押出量が少なくなり、押出し肌が悪くなるという問題がある。
【0007】
以上から、特許文献1では、EPDMの混練加工性や押出加工性を保持しつつ、得られる加硫ゴム製品のシール性や強度を向上させる検討がなされている。しかしながら、それら加工性とEPDMのシール性や強度とのバランスの点から、満足できるものではない。
【特許文献1】国際公開第00/59962号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、共重合体ゴム中に含まれる不純物が少なく、混練加工性、押出加工性および形状保持性に優れる共重合体ゴムおよびそれを含むゴム組成物を提供し、さらに、該ゴム組成物から得られ、シール性、表面外観、強度特性、耐熱老化性および耐候性に優れ、圧縮永久歪みが小さいゴム成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記問題を解決すべく、下記触媒による重合方法を鋭意検討した結果、得られる共重合体ゴムの架橋前における混練加工性、押出し加工性および形状保持性が優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の共重合体ゴムは、エチレン[A]、炭素原子数3〜20のα−オレフィン[B]、メタロセン系触媒により重合可能な、隣接する炭素原子間の二重結合を、1分子内に1個有する非共役ポリエン[C]および該二重結合を、1分子内に2個有する非共役ポリエン[D]に由来する構造単位を含み、下記(1)〜(5)を満たすことを特徴とする。
【0011】
(1)エチレン[A]に由来する構造単位と、該α−オレフィン[B]に由来する構造単位とのモル比([A]/[B])が、50/50〜85/15であり、
(2)該非共役ポリエン[C]に由来する構造単位と、該非共役ポリエン[D]に由来する構造単位とのモル量の総和が、全構造単位中0.5〜4.5モル%であり、
(3)135℃デカリン中で測定される極限粘度〔η〕が、1.0〜5.0dL/g
であり、
(4)該非共役ポリエン[C]に由来する構造単位と、該非共役ポリエン[D]に由来する構造単位とのモル比([C]/[D])が、85/15〜99.5/0.5であり、
(5)下記式(I)を満たす。
【0012】
Log{η*(0.01)}/Log{η*(10)}>0.0753×{該非共役ポリエン[D]に由来する見かけのヨウ素価}+1.42 …(I)
(式中、η*(0.01)は、190℃における0.01rad/secの粘度(Pa・sec)を表し、η*(10)は、190℃における10rad/secの粘度(Pa・sec)を表す。)
上記非共役ポリエン[C]は、5−エチリデン2−ノルボルネン(ENB)であることが好ましく、上記非共役ポリエン[D]は、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)であることが好ましい。
【0013】
本発明の共重合体ゴムは、下記式(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒を用いて合成されることが好ましい。
【0014】
【化1】
【0015】
また、本発明の共重合体ゴムの製造方法は、上記式(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒を用いて、本発明の共重合体ゴムを製造することを特徴とする。
【0016】
本発明の共重合体ゴムの製造方法は、脂肪族炭化水素を重合溶媒として用いて、上記式(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒の存在下に、エチレン[A]、上記α−オレフィン[B]、上記非共役ポリエン[C]および上記非共役ポリエン[D]を共重合して得られる共重合体ゴムの、該重合溶媒中の濃度が8〜12重量%の重合反応液を得る工程を有することが好ましい。
【0017】
本発明のゴム組成物は、上記共重合体ゴムを含むことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の架橋ゴムは、上記ゴム組成物を架橋してなることを特徴とするものである。
【0019】
本発明のウェザーストリップ用スポンジ材は、上記架橋ゴムからなることを特徴とし、該ウェザーストリップ用スポンジ材の具体例として、ドアスポンジ用スポンジ、オープニングトリム用スポンジ、フードシール用スポンジ、トランクシール用スポンジなどが挙げられる。
【0020】
さらに、本発明の高発泡スポンジ材も、上記架橋ゴムからなることを特徴とし、高発泡スポンジ材の具体例として、断熱スポンジ、ダムラバーなどが挙げられる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、共重合体ゴム中に含まれる不純物が少なく、混練加工性、押出加工性および形状保持性に優れる共重合体ゴムおよびそれを含むゴム組成物を提供し、さらに、該ゴム組成物から得られ、シール性、表面外観、強度特性、耐熱老化性および耐候性に優れ、圧縮永久歪みが小さいゴム成形体を提供することを課題とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施例1〜7および比較例1〜5それぞれで得られた共重合体ゴムについて、成分[D]の見かけのヨウ素価(g/100g)に対して、Log{η*(0.01)}/Log{η*(10)}をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の共重合体ゴムについて具体的に説明する。
【0024】
<共重合体ゴム>
本発明の共重合体ゴムは、エチレン[A]、炭素原子数3〜20のα−オレフィン[B]、メタロセン系触媒により重合可能な、隣接する炭素原子間の二重結合を、1分子内に1個有する非共役ポリエン[C]および該二重結合を、1分子内に2個有する非共役ポリエン[D]に由来する構造単位を含み、下記(1)〜(5)を満たす、好ましくは下記(1)〜(6)を満たす、より好ましくは下記(1)〜(7)を満たすことを特徴とするものである。
【0025】
(1)エチレン[A]に由来する構造単位と、該α−オレフィン[B]に由来する構造単位とのモル比([A]/[B])が、50/50〜85/15であり、
(2)該非共役ポリエン[C]に由来する構造単位と、該非共役ポリエン[D]に由来する構造単位とのモル量の総和が、全構造単位中0.5〜4.5モル%であり、
(3)135℃デカリン中で測定される極限粘度〔η〕が、1.0〜5.0dL/gであり、
(4)該非共役ポリエン[C]に由来する構造単位と、該非共役ポリエン[D]に由来する構造単位とのモル比([C]/[D])が、85/15〜99.5/0.5であり、
(5)下記式(I)を満たし、

Log{η*(0.01)}/Log{η*(10)}>0.0753×{該非共役ポリエン[D]に由来する見かけのヨウ素価}+1.42 …(I)
(式中、η*(0.01)は、190℃における0.01rad/secの粘度(Pa・sec)を表し、η*(10)は、190℃における10rad/secの粘度(Pa・sec)を表す。)
(6)下記式(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒を用いて合成され、
【0026】
【化2】
【0027】
(7)160℃で測定したムーニー粘度〔ML1+4〕が、40〜160である。
【0028】
(α−オレフィン[B])
本発明の共重合体ゴムに含まれる成分[B]として、炭素原子数3〜20のα−オレフィンが用いられる。
【0029】
「炭素原子数3〜20のα−オレフィン」としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのうち、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの炭素原子数3〜8のα−オレフィンが好ましい。このようなα−オレフィンは、原料コストが比較的安価であり、かつ得られるゴム成形体が優れた機械的性質を示すことから好適である。
【0030】
(非共役ポリエン[C])
本発明の共重合体ゴムに含まれる成分[C]として、メタロセン系触媒により重合可能な、隣接する炭素原子間の二重結合(「C=C」または「炭素・炭素二重結合」ともいう。)を、1分子内に1個有する非共役ポリエン[C]が用いられる。
【0031】
このような非共役ポリエン[C]は、両末端がビニル基(CH2=CH−)である鎖状ポリエンは含まれず、1個の炭素・炭素二重結合が、分子末端にビニル基として存在し、他の炭素・炭素二重結合は、分子鎖(主鎖、側鎖を含む。)中に内部オレフィン構造の形で存在していることが好ましい。
【0032】
なお、メタロセン系触媒の重合様式は、配位アニオン型重合であって、非共役ポリエン[C]が末端ビニル基を有する場合、末端ビニル基が重合に関与する。
【0033】
成分[C]としては、以下の脂肪族ポリエン、脂環族ポリエンなどが挙げられる。
【0034】
「脂肪族ポリエン」の具体例としては、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−ノナジエン、1,8−デカジエン、1,12−テトラデカジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−エチル−1,4−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジエン、5−エチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、5−エチル−1,5−ヘプタジエン、4−メチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,4−オクタジエン、4−エチル−1,4−オクタジエン、5−エチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、5−エチル−1,5−オクタジエン、6−エチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−メチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,4−ノナジエン、4−エチル−1,4−ノナジエン、5−エチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,5−ノナジエン、5−エチル−1,5−ノナジエン、6−エチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−1,7−ノナジエン、7−エチル−1,7−ノナジエン、5−メチル−1,4−デカジエン、5−エチル−1,4−デカジエン、5−メチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,5−デカジエン、5−エチル−1,5−デカジエン、6−エチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、6−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、7−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,7−デカジエン、7−エチル−1,7−デカジエン、8−エチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,8−デカジエン、9−メチル−1,8−デカジエン、8−エチル−1,8−デカジエン、6−メチル−1,6−ウンデカジエン、9−メチル−1,8−ウンデカジエンなどが挙げられる。本発明においては、これらの脂肪族ポリエンを1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、7−メチル−1,6−オクタジエンなどが好ましい。
【0035】
「脂環族ポリエン」としては、1個の炭素・炭素二重結合(不飽和結合)を有する脂環部分と、内部オレフィン結合(炭素・炭素二重結合)を有する鎖状部分とから構成されるポリエンが挙げられ、具体例としては、下記式で表される5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネンなどが挙げられ、良好な加硫反応性(高速加硫性)を有することから、これらのうち5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)が好ましい。その他の脂環族ポリエンとしては、具体的には、例えば、2−メチル−2,5−ノルボルナジエン、2−エチル−2,5−ノルボルナジエンなどが挙げられる。
【0036】
本発明の共重合体ゴムは、少なくとも1種の成分[C]に由来する構成単位を含んでおり、2種以上の成分[C]に由来する構成単位を含んでいてもよい。
【0037】
【化3】
【0038】
なお、ENBのエチリデン由来の二重結合は、メタロセン系触媒による重合には関与しない。
【0039】
(非共役ポリエン[D])
本発明の共重合体ゴムに含まれる成分[D]として、メタロセン系触媒により重合可能な、隣接する炭素原子間の二重結合を、1分子内に2個有する非共役ポリエン[D]が用いられる。
【0040】
このような非共役ポリエン[D]の具体例としては、下記式で表される5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)、5−アリル−2−ノルボルネン等の5−アルケニル−2−ノルボルネン;2,5−ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、ノルボルナジエン、テトラシクロ[4,4,0,12.5,17.10]デカ−3,8−ジエン等の脂環族ポリエン;1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等のα,ω−ジエン等などが挙げられる。
【0041】
【化4】
【0042】
これらのうち、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)、2,5−ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが好ましく、長鎖分岐の導入に優れることから、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)が特に好ましい。
【0043】
本発明の共重合体ゴムは、少なくとも1種の成分[D]に由来する構成単位を含んでおり、2種以上の成分[D]に由来する構成単位を含んでいてもよい。
【0044】
[(1)構造単位のモル比([A]/[B])]
要件(1)は、エチレン[A]に由来する構造単位と、上記α−オレフィン[B]に由来する構造単位とのモル比([A]/[B])が、50/50〜85/15、好ましくは55/45〜75/25であるとするものである。
【0045】
該モル比が上記範囲内であると、得られるゴム成形体の柔軟性と低温における機械的特性との観点から好適である。
【0046】
[(2)成分[C]+[D]由来の構造単位のモル量]
要件(2)は、上記非共役ポリエン[C]に由来する構造単位と、上記非共役ポリエン[D]に由来する構造単位とのモル量の総和が、全構造単位中0.5〜4.5モル%、望ましくは1.5〜4.0モル%、より望ましくは2.0〜3.8モル%であるとするものである。
【0047】
該「モル量の総和」が上記範囲内であると、得られるゴム成形体が圧縮永久歪みおよび発泡特性に優れることから好適である。
【0048】
[(3)極限粘度〔η〕]
要件(3)は、135℃デカリン中で測定される極限粘度〔η〕が、1.0〜5.0dL/g、望ましくは1.5〜4.0dL/g、より望ましくは2.0〜4.0dL/gであるとするものである。
【0049】
該極限粘度〔η〕が上記範囲内であると、ゴム組成物が混練加工性に優れ、得られるゴム成形体が圧縮永久歪みに優れることから好適である。
【0050】
[(4)構造単位のモル比([C]/[D])]
要件(4)は、上記非共役ポリエン[C]に由来する構造単位と、上記非共役ポリエン[D]に由来する構造単位とのモル比([C]/[D])が、85/15〜99.5/0.5、望ましくは90/10〜99/1であるとするものである。
【0051】
該モル比が上記範囲内であると、得られるゴム組成物の混練安定性と発泡特性の観点から好適である。
【0052】
[(5)成分[D]による長鎖分岐]
要件(5)は、下記式(I)、望ましくは下記式(I’)を満たすとするものである。
【0053】
Log{η*(0.01)}/Log{η*(10)}>0.0753×{上記成分[D]に由来する見かけのヨウ素価}+1.42 …(I)
Log{η*(0.01)}/Log{η*(10)}>0.0753×{上記成分[D]に由来する見かけのヨウ素価}+1.43 …(I’)
(式(I)および(I’)中、η*(0.01)は、190℃における0.01rad/secの粘度(Pa・sec)を表し、η*(10)は、190℃における10rad/secの粘度(Pa・sec)を表す。)
上記式(I)は、粘弾性測定装置によりη*(0.01)およびη*(10)を測定し、NMRにより上記成分[D]に由来する構造単位の含有率(重量%)を測定することによって、下記式より見かけのヨウ素価を具体的に算出することができる。なお、ヨウ素の分子量は253.81である。
【0054】
成分[D]に由来する見かけのヨウ素価=〔成分[D]に由来する構造単位の含有率(重量%)〕×Y×253.81/(モノマーとしての成分[D]の分子量)
(式中、Yは、成分[D]に由来する構造単位に含まれる炭素・炭素二重結合の数を表す。)
本発明の共重合体ゴムが、上記式(I)に規定される範囲内であると、少ない成分[D]含量にかかわらず、より多くの長鎖分岐を有する。すなわち、優れた形状保持性と押出加工性とを得るために必要な長鎖分岐を、少量の成分[D]を共重合することによって導入でき、さらに残留成分[D]含量が少ないために得られるゴム成形体の圧縮永久歪みに優れる。
【0055】
一方、本発明の共重合体ゴムが、上記式(I)に規定される範囲外であると、形状保持性と発泡性とに影響を及ぼす長鎖分岐を共重合体ゴムに導入するため、多量の成分[D]を必要とする。その結果、耐熱性およびゴム弾性が悪化し、さらにゲル化による異物の形成によって優れたスポンジ性能や製品歩留まりが著しく損なわれる。
【0056】
[(6)触媒]
要件(6)は、望ましくは下記一般式(i)、より望ましくは下記式(ii)、(iii)、(iv)、(v)または(vi)、特に望ましくは下記式(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒を用いて合成されるとするものである。
【0057】
【化5】
【0058】
(式(i)中、R'は、水素原子、ヒドロカルビル基、ジ(ヒドロカルビルアミノ)基またはヒドロカルビレンアミノ基を表し、それらの基は20までの炭素原子を有する。
【0059】
R"は、炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基または水素原子を表す。
【0060】
Mは、チタンを表す。
【0061】
Yは、−O−、−S−、−NR*−、−PR*−、−NR2*または−PR2*を表す。
【0062】
*は、Z*は、−SiR*2−、−CR*2−、−SiR*2SiR*2−、−CR*2CR*2−、−CR*=CR*−、−CR*2SiR*2−または−GeR*2−を表す。
【0063】
*は、複数存在する場合にはそれぞれ独立に、水素原子;または、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基およびハロゲン化アリール基からなる群から選択される少なくとも1種の基を表し、該R*は原子数2〜20までの原子を含み、Z*が有する2つのR*(R*が水素原子でない場合)は、任意に環を形成してもよく、Z*が有するR*とYが有するR*とが、任意に環を形成してもよい。
【0064】
Xは、環状の非局在化したπ−結合性リガンド基であるリガンドの類を除いた60までの原子を有する、一価のアニオン性リガンド基を表す。
【0065】
X'は、20までの原子を有する中性の連結性基を表す。
【0066】
X"は、60までの原子を有する二価のアニオン性リガンド基を表す。
【0067】
pは、0、1または2を、qは、0または1を、rは、0または1を表す。
【0068】
ただし、pが2である場合、qおよびrは0であり、Mは+4の酸化状態であり(または、Yが−NR*2または−PR*2を表す場合、Mは+3の酸化状態であり)、Xは、ハライド基、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、ジ(ヒドロカルビル)アミド基、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基ならびにシリル基、これらの基がハロゲン置換された誘導体、これらの基がジ(ヒドロカルビル)アミノ置換された誘導体、これらの基がヒドロカルビルオキシ置換された誘導体、およびこれらの基がジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ置換された誘導体から選択されるアニオン性リガンドを表し、かつ30までの水素原子以外の原子を有する。
【0069】
ただし、rが1である場合、pおよびqは0を表し、Mは+4の酸化状態であり、X"は、ヒドロカルバジル基、オキシヒドロカルビル基およびヒドロカルビレンジオキシ基よりなる群から選択されるジアニオン性リガンドを表し、かつ30までの水素原子以外の原子を有する。
【0070】
ただし、pが1である場合、qおよびrは0を表し、Mは+3の酸化状態であり、Xは、アリル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニル基および2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル基よりなる群から選択される安定化用アニオン性リガンド基を表す。
【0071】
ただし、pおよびrが0である場合、qは1を表し、Mは+2の酸化状態であり、X'は、1以上のヒドロカルビル基で任意に置換された、中性の共役ジエンまたは中性の非共役ジエンを表し、該X'は40までの炭素原子を有し、Mとπ−錯体を形成する。)
上記一般式(i)において、下記(1)〜(4)のいずれかの態様が好ましい。
【0072】
(1)pが2、qおよびrが0を表し、Mは+4の酸化状態であり、Xは、それぞれ独立に、メチル、ベンジルまたはハライドを表す。
【0073】
(2)qおよびqが0、rが1を表し、Mは+4の酸化状態であり、X"は、Mとメタロシクロペンテン環を形成する1,4−ブタジエニル基を表す。
【0074】
(3)pが1、qおよびrは0を表し、Mは+3の酸化状態であり、Xは2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジルを表す。
【0075】
(4)pおよびrが0、qは1を表し、Mは+2の酸化状態であり、X'は、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンを表す。
【0076】
上記(1)〜(4)のいずれかの態様において、さらにR"が水素原子またはメチル基を表すことがより好ましく、特に水素原子を表すことが特に好ましい。
【0077】
【化6】
【0078】
上記式(ii)は、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シランチタニウム(II)2,4−ヘキサジエンである。
【0079】
【化7】
【0080】
上記式(iii)は、(t−ブチルアミド)−ジメチル(η5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シラン−チタニウム(IV)ジメチルである。
【0081】
【化8】
【0082】
上記式(iv)は、(t−ブチルアミド)−ジメチル(η5−2,3−ジメチルインデニル)シランチタニウム(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンである。
【0083】
【化9】
【0084】
上記式(v)は、(t−ブチル−アミド)−ジメチル(η5−2,3−ジメチル−s−インダセン−1−イル)シランチタニウム(IV)ジメチルである。
【0085】
【化10】
【0086】
上記式(vi)は、(t−ブチルアミド)−ジメチル(η5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シランチタニウム(II)1,3−ペンタジエン(別名:[N−(1,1−ジメチルエチル)−1,1−ジメチル−1−[(1,2,3,3A,8A−η)−1,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−S−インダセン−1−yl]シランアミネート(2−)−κN][(1,2,3,4−η)−1,3−ペンタジエン]−チタニウム)である。
【0087】
上記式(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒を用いると、本発明の共重合体ゴムを得るための重合反応が、非共役ポリエン(成分[C]および成分[D])の共重合体性に特に優れ、例えばVNB末端の二重結合を効率よく取り込み、長鎖分岐を高い割合で導入することができる。また、得られる共重合体ゴムの分子量分布および組成分布が狭く、極めて均一な分子構造を有する共重合体ゴムを調製することができるため、長鎖分岐生成に伴い懸念される、ゴム成形体表面のゲル状ブツの形成が顕著に抑制される。その結果、このような共重合体ゴムを含んでなるゴム成形体は、ゲル状ブツを含まないためにその表面外観に優れ、また形状保持性に優れるため生産安定性も良好である。
【0088】
上記式(i)〜(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒は、周知の合成方法を用いて調製することができる。例えば、国際公開第98/49212号パンフレットに開示されている。なお、必要に応じて、還元剤を用いて、より低い酸化状態の錯体(メタロセン系触媒)を製造することもできる。このような方法は、USSN8/241,523に開示されている。
【0089】
[(7)ムーニー粘度〔ML1+4〕]
要件(7)は、160℃で測定したムーニー粘度〔ML1+4〕が、40〜160、望ましくは50〜150であるとするものである。
【0090】
なお、該ムーニー粘度は、JIS K6300に準拠して、160℃の条件下、ムーニー粘度計((株)島津製作所製SMV202型)を用いて測定したものとする。
【0091】
また、経験則から、160℃で測定したムーニー粘度〔ML1+4〕と、100℃で測定したムーニー粘度〔ML1+4〕とは、以下の相関関係が認められ、例えば、160℃で測定したムーニー粘度〔ML1+4〕が40であると、100℃でのムーニー粘度〔ML1+4〕は95になる。
【0092】
{100℃でのムーニー粘度〔ML1+4〕}=2.38×{160℃でのムーニー粘度〔ML1+4〕}
<共重合体ゴムの製造方法>
本発明の共重合体ゴムを製造する方法は、上述したメタロセン系触媒、特に上記式(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒を用いることを特徴とするものであり、下記「重合反応液を得る工程」を有することが望ましい。
【0093】
「重合反応液を得る工程」とは、脂肪族炭化水素を重合溶媒として用いて、上述したメタロセン系触媒、特に上記式(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒の存在下に、エチレン[A]、上記α−オレフィン[B]、上記非共役ポリエン[C]および上記非共役ポリエン[D]を共重合して得られる共重合体ゴムの、該重合溶媒中の濃度が8〜12重量%、好ましくは8.5〜12.0重量%の重合反応液を得る工程である。
【0094】
なお、重合溶媒に対する共重合体ゴム濃度が上記範囲内であると、得られる共重合体ゴムが上記要件(5)を満たすことができるため好適である。また、重合溶媒に対する共重合体ゴム濃度が12重量%を超える場合、重合溶液の粘度が高すぎるため、溶液が均一に攪拌せず、重合反応が困難な場合がある。
【0095】
「重合溶媒」としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などが挙げられる。「脂肪族炭化水素」としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどが挙げられ、これらのうち、得られる共重合体ゴムとの分離、精製の観点から、ヘキサンが好ましい。
【0096】
このような製造方法として、上記触媒を主触媒とし、共触媒としてホウ素系化合物および/またはトリアルキル化合物等の有機アルミニウム化合物を用い、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素を溶媒とし、攪拌機付き反応器による連続法またはバッチ法が挙げられる。
【0097】
「ホウ素系化合物」としては、例えば、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジ(水素化タローアルキル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(sec−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムn−ブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムベンジルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(4−(t−ブチルジメチルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(4−(トリイソプロピルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムペンタフルオロフェノキシトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−2,4,6−トリメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−2,4,6−トリメチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ジ−(i−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のアルキルアンモニウム塩;
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(o−トリル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等の三置換されたホスホニウム塩;
ジフェニルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジ−(o−トリル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジ(2,6−ジメチルフェニル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等の二置換されたオキソニウム塩;
ジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジ(o−トリル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(2,6−ジメチルフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等の二置換されたスルホニウム塩などが挙げられる。
【0098】
「有機アルミニウム化合物」としては、トリイソブチルアルミニウム(以下「TIBA」ともいう。)などが挙げられる。
【0099】
反応温度は、高温でも触媒が失活しないので100℃まで上げることができる。
【0100】
重合圧力は、0を超えて〜8MPa(ゲージ圧)、好ましくは0を超えて〜5MPa(ゲージ圧)の範囲である。
【0101】
反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは10分間〜3時間である。
【0102】
さらに、共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0103】
エチレン[A]と上記α−オレフィン[B]との仕込みのモル比([A]/[B])は、好ましくは25/75〜80/20、より好ましくは30/70〜70/30である。
【0104】
上記非共役ポリエン[C]と上記非共役ポリエン[D]との仕込みのモル比([C]/[D])は、好ましくは85/15〜99.5/0.5、より好ましくは90/10〜99/1である。
【0105】
エチレン[A]と該非共役ポリエン[C]との仕込みのモル比([A]/[C])は、好ましくは70/30〜99/1、より好ましくは80/20〜98/2である。
【0106】
エチレン[A]と該非共役ポリエン[D]との仕込みのモル比([A]/[D])は、好ましくは70/30〜99.9/0.1、より好ましくは80/20〜99.5/0.5である。
【0107】
上記触媒を用いて重合することによって、二重結合を有する非共役ポリエン等が高い転化率で共重合され、得られる共重合体に適量の長鎖分岐を導入することができるので好ましい。
【0108】
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、上記「共重合体ゴム」を含むことを特徴とし、目的に応じて他の成分を適宜配合することができる。
【0109】
「他の成分」としては、例えば、発泡剤、発泡助剤、補強剤、無機充填剤、軟化剤、老化防止剤(安定剤)、加工助剤、活性剤、吸湿剤などの種々の添加剤が挙げられる。
【0110】
また、本発明の共重合体ゴム以外のゴムを配合することもできる。ゴム組成物全体における本発明の共重合体ゴムの含有量は、好ましくは20重量%以上である。
【0111】
本発明のゴム組成物は、本発明の共重合体ゴムとその他の成分を、例えば、ミキサー、ニーダー、ロールなど従来知られる混練機を用いて所定の温度で混練することにより調製することができる。本発明の共重合体ゴムは、混練性に優れているので、このゴム組成物の調製を良好に行うことができる。
【0112】
(発泡剤)
さらに、本発明において、必要に応じて配合される「発泡剤」としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機系発泡剤;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N'−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド等のアジド化合物などの有機発泡剤が挙げられる。
【0113】
発泡剤の配合量は、ゴム成分(ゴム組成物に含まれる共重合体ゴムおよび該ゴム以外のゴム)100重量部に対して0.2〜30重量部、好ましくは0.5〜25重量部、より好ましくは0.5〜20重量部である。
【0114】
(発泡助剤)
本発明においては、必要に応じて、発泡剤とともに「発泡助剤」を配合することができる。発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの作用を示す。
【0115】
このような発泡助剤としては、例えば、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸やその塩、尿素またはその誘導体などが挙げられる。
【0116】
(補強剤および無機充填剤)
本発明のゴム組成物において、ゴム組成物の引張強度、引裂強度、耐摩耗性などの機械的性質を向上するために、「補強剤」を配合することが好ましい。
【0117】
補強剤としては、例えば、市販されている「旭#55G」および「旭#50HG」(商品名;旭カーボン(株)製)、「シースト(商品名)」シリーズ:SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック(東海カーボン(株)製)、これらカーボンブラックをシランカップリング剤等で表面処理したのもの、シリカ、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微粉ケイ酸などが挙げられる。これらのうち、「旭#55G」、「旭#50HG」、「シーストHAF」のカーボンブラックが好ましい。
【0118】
また、「無機充填剤」としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。これらのうち、重質炭酸カルシウムが好ましい。重質炭酸カルシウムとして、市販されている「ホワイトンSB」(商品名;白石カルシウム株式会社)等を用いることができる。
【0119】
補強剤および/または無機充填剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対し、通常30〜200重量部、好ましくは50〜180重量部、さらに好ましくは70〜160重量部である。このような配合量が上記範囲内であると、ゴム組成物の混練加工性、得られるゴム成形体の機械的性質(例えば、強度、柔軟性など)および圧縮永久歪みに優れることから好適である。
【0120】
(軟化剤)
「軟化剤」は、その用途により適宜選択でき、1種単独でも2種以上混合しても用いることができる。軟化剤の具体例としては、プロセスオイル(例えば、「ダイアナプロセスオイル PS−430」(商品名;出光興産(株)製)など)、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;マシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸またはその塩;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)などが挙げられる。これらのうち、石油系軟化剤が好ましく、特にプロセスオイルが好ましい。
【0121】
軟化剤の配合量は、その用途により適宜選択でき、通常、ゴム成分100重量部に対して、最大200重量部、好ましくは最大150重量部、より好ましくは最大130重量部が望ましい。
【0122】
(老化防止剤(安定剤))
本発明のゴム組成物は、「老化防止剤(安定剤)」を配合することにより製品寿命を長くすることが可能である点は、通常のゴム組成物と同様であり、このような老化防止剤としては、従来公知の老化防止剤、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤などを用いることができる。
【0123】
さらに詳細には、フェニルブチルアミン、N,N−ジ−2−ナフチル−pフェニレンジアミン等の芳香族第2アミン系老化防止剤;ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン等のフェノール系老化防止剤;ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2−メルカプトベンゾイルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のイオウ系老化防止剤などが挙げられる。
【0124】
これらの老化防止剤は、1種単独であるいは2種以上の組み合わせで用いることができ、このような老化防止剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、通常0.3〜10重量部、好ましくは0.5〜7.0重量部、より好ましくは0.7〜5.0重量部である。老化防止剤の配合量が上記範囲内であると、得られるゴム組成物の表面のブルームがなく、さらに加硫阻害が発生しないことから好適である。
【0125】
(加工助剤)
本発明で配合することができる「加工助剤」としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く用いることができる。
【0126】
このような加工助剤としては、例えば、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、エステル類などが挙げられる。これらのうち、ステアリン酸が好ましい。
【0127】
加工助剤は、ゴム成分100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは8.0重量部以下、より好ましくは5.0重量部以下の量で適宜配合することができる。加工助剤の配合量が上記範囲内であると、得られるゴム組成物の表面のブルームがなく、さらに加硫阻害が発生しないことから好適である。
【0128】
(活性剤)
本発明において、必要に応じて配合される「活性剤」は、その用途により適宜選択でき、1種単独でも2種以上混合しても用いることができる。
【0129】
このような活性剤としては、例えば、ジ−n−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン、「アクチングB」(商品名;吉冨製薬(株)製)、「アクチングSL」(商品名;吉冨製薬(株)製)等のアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルートメリレート、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の亜鉛化合物(具体的には、「Struktol activator 73」、「Struktol IB 531」、「Struktol FA541」(商品名;Schill & Seilacher社製)など)等の活性剤;「ZEONET ZP」(商品名;日本ゼオン(株)製)等の過酸化亜鉛調整物;クタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物(具体的には、「アーカード2HF」(商品名;ライオン・アクゾ(株)製)など)などが挙げられる。これらのうち、「アーカード2HF」が好ましい。
【0130】
活性剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、0.2〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部、より好ましくは0.5〜4重量部である。
【0131】
(吸湿剤)
本発明において、必要に応じて配合される「吸湿剤」は、その用途により適宜選択でき、1種単独でも2種以上混合しても用いることができる。
【0132】
このような吸湿剤としては、例えば、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンなどが挙げられる。これらのうち、酸化カルシウムが好ましい。
【0133】
吸湿剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、0.5〜15重量部、好ましくは1.0〜12重量部、より好ましくは1.0〜10重量部である。
【0134】
その他、通常ゴムに使用される添加剤は、本発明の目的を損なわない範囲内で任意に配合することができる。
【0135】
<架橋ゴム>
本発明の架橋ゴムは、上記ゴム組成物を架橋してなることを特徴とするものである。該ゴム組成物を架橋させる方法として、下記(i)および(ii)の方法が挙げられる。
【0136】
(i)架橋剤を配合した本発明のゴム組成物を、通常、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチーム、LCM(熱溶融塩槽)などの加熱形態・加熱槽を用いた成形法によって所望形状に予備成形し、成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入して加熱する方法、および
(ii)本発明のゴム組成物を上記成形法によって予備成形し、電子線を照射する方法。
【0137】
(i)の場合、「架橋剤」としては、下記「加硫剤」が好ましく用いられ、必要に応じて下記「加硫促進剤」および/または下記「加硫助剤」も併用することができる。
【0138】
加熱する際の温度としては、一般的に140〜300℃、好ましくは150〜270℃、より好ましくは150〜250℃で、通常0.5〜30分間、好ましくは0.5〜20分間、より好ましくは0.5〜15分間加熱することが望ましい。
【0139】
(加硫剤)
「加硫剤」として、イオウ系化合物、有機過酸化物、フェノール樹脂、オキシム化合物などを用いることができる。
【0140】
「イオウ系化合物」としては、例えば、イオウ、塩化イオウ、二塩化イオウ、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレンなどが挙げられる。
【0141】
これらのうち、イオウ、テトラメチルチウラムジスルフィドが好ましく、ゴム成分100重量部に対して、通常0.3〜10重量部、好ましくは0.5〜5.0重量部、より好ましくは0.7〜4.0重量部配合することができる。これらの配合量が上記範囲内であると、得られるゴム成形体の表面へのブルームがなく、優れた架橋特性を示すので好適である。
【0142】
「有機過酸化物」としては、例えば、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメエチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ジブチルヒドロペルオキシドなどが挙げられる。これらのうち、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが好ましい。
【0143】
有機過酸化物の配合量は、ゴム成分100gに対して、通常0.001〜0.05モル、好ましくは0.002〜0.02モル、さらに好ましくは0.005〜0.015モルである。有機過酸化物の配合量が上記範囲内であると、得られるゴム成形体の表面へのブルームなく優れた架橋特性を示すので好適である。
【0144】
(加硫促進剤)
加硫剤としてイオウ系化合物を用いる場合、「加硫促進剤」を併用することが好ましい。
【0145】
加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N'−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール(市販のものでは「サンセラーM」(商品名;三新化学工業(株)製)など)、2−(4−モルホリノジチオ)ペンゾチアゾール(市販のものでは「ノクセラーMDB−P」(商品名;三新化学工業(株)製)など)、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン等のグアニジン系;アセトアルデヒド−アニリン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物等のアルデヒドアミン系;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系;ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア等のチオウレア系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(市販のものでは「サンセラーBZ」(商品名;三新化学工業(株)製)など)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系;エチレンチオ尿素(市販のものでは「サンセラー22−C」(商品名;三新化学工業(株)製)など)、N,N’−ジエチルチオ尿素等のチオウレア系;ジブチルキサトゲン酸亜鉛等のザンテート系;その他亜鉛華(市販のものでは「META−Z102」(商品名;井上石灰工業(株)製)などの酸化亜鉛)等が挙げられる。
【0146】
これら加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.2〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。加硫促進剤の配合量が上記範囲内であると、得られるゴム成形体の表面へのブルームなく、優れた架橋特性を示すので好適である。
【0147】
(加硫助剤)
「加硫助剤」は、その用途により適宜選択でき、1種単独でも2種以上混合しても用いることができる。
【0148】
加硫助剤としては、例えば、酸化マグネシウム、亜鉛華(市販のものでは「META−Z102」(商品名;井上石灰工業(株)製)などの酸化亜鉛)などが挙げられる。その配合量は、ゴム組成物100重量部に対して、通常1〜20重量部である。
【0149】
加硫剤として有機過酸化物を用いる場合、加硫助剤を併用することが好ましい。
【0150】
このような加硫助剤としては、例えば、イオウ、p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系;その他マレイミド系;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。加硫助剤の配合量は、用いる有機過酸化物1モルに対して、通常0.5〜2モル、好ましくは0.5〜1.5モル、より好ましくは有機過酸化物とほぼ等モル量とするのが望ましい。
【0151】
成形・加硫に際しては、金型を用いてもよく、また金型を用いなくてもよい。金型を用いない場合、ゴム組成物は通常連続的に成形・加硫される。
【0152】
(ii)の、本発明のゴム組成物を上記成形法によって予備成形し、電子線を照射する場合、予備成形されたゴム組成物に、0.1〜10MeVのエネルギーを有する電子線を、吸収線量が、通常0.5〜35Mrad、好ましくは0.5〜20Mrad、より好ましくは1〜10Mradになるように照射すればよい。
【0153】
<ゴム成形体>
本発明のゴム成形体は、上記架橋ゴムを原料としてなることを特徴とするものであり、さらに発泡させてなることが好ましい。上記共重合体ゴムは加工性に優れているので、上述した成形を良好に行うことができ、得られるゴム成形体は圧縮永久歪みに優れているので、各種分野のゴム製品として極めて有用である。
【0154】
このようなゴム成形体を発泡させる場合、発泡倍率が1.3〜3.0倍であるとき、例えば、ウェザーストリップ用スポンジ材に好適であり、また発泡倍率が3.0倍を超えて30倍以下であるとき、例えば、断熱スポンジ、ダムラバーなどに用いられる高発泡スポンジ材に好適である。
【0155】
このようなゴム成形体として、具体的には、ドアスポンジ用スポンジ、オープニングトリム用スポンジ、フードシール用スポンジ、トランクシール用スポンジ等のウェザーストリップ用スポンジ材;断熱スポンジ、ダムラバー等の高発泡スポンジ材などが挙げられる。
【実施例】
【0156】
次に、本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、得られた共重合体ゴムの各物性は、以下のとおりに測定した。
【0157】
(成分[A]由来の構造単位と成分[B]由来の構造単位との含有比率)
成分[A]に由来する構造単位と、成分[B]に由来する構造単位との含有比率(モル比および重量比)([A]/[B])は、13C−NMRスペクトルメーターの強度測定によって求めた。
【0158】
(成分[C]由来の構造単位と成分[D]由来の構造単位との含有量)
成分[C]に由来する構造単位と、成分[D]に由来する構造単位との含有量(モル%および重量%)は、13C−NMRスペクトルメーターによる強度測定によって求めた。
【0159】
以下には、13C−NMRスペクトルメーターによる共重合体ゴムの組成解析(共重合体ゴムに含まれる各構造単位のモル量)に関して、エチレン、プロピレン、ENBおよびVNBから得られる共重合体ゴムを一例に説明する。
【0160】
なお、エチレン、プロピレンおよびENB共重合体の13C−NMRスペクトルメーターによるに構造(組成)解析は、C. J. Carman, R. A. Harrington, and C. E. Wilkes, Macromolecules, 10, p 536-544(1977)、Masahiro Kakugo, Yukio Naito, Kooji Mizunuma, and Tatsuya, Miyatake, Macromolecules, 15, p 1150-1152(1982)およびG. Van der Velden, Macromolecules, 16, p 85-89(1983)を、VNB系共重合体の構造解析は、Harri Lasarov, Tuula T. Pakkanen, Macromol. Rapid Commun., 20, p 356-360(1999)およびHarri Lasarov*, Tuula T. Pakkanen, Macromol.Rapid Commun., 22, p 434-438(2001)に基づいて行った。
【0161】
まず、13C−NMRスペクトロメーターにより、1)エチレン、2)プロピレン、3)ENBおよび4)VNBに由来するそれぞれのピークの積分値を求めた。
【0162】
1)エチレン;[エチレン連鎖由来ピークの積分値+[エチレン−プロピレン連鎖由来ピークの積分値]/2]、
2)プロピレン;[プロピレン連鎖由来ピークの積分値+[エチレン−プロピレン連鎖由来ピークの積分値]/2]、
3)ENB;ENB−3位ピークの積分値、および
4)VNB;VNB−7位ピークの積分値。
【0163】
【化11】
【0164】
【化12】
【0165】
得られた積分値比より、それぞれのモル%を算出した。また、重量%への変換はエチレンの分子量を28.05、プロピレンの分子量を42.08、ENBおよびVNBの分子量をそれぞれ120.2として行った。
【0166】
(VNBに由来する見かけのヨウ素価)
共重合体ゴムの、成分[D]として用いたVNB(分子量120.2)に由来する見かけのヨウ素価は、1H−NMRスペクトルメーターおよび13C−NMRスペクトルメーターにより、以下のようにして算出した。
【0167】
まず、13C−NMRスペクトルメーターより、共重合体ゴムに含まれる各構造単位の重量%を決定した。
【0168】
次いで、1H−NMRスペクトルメーターより、1)ENBに由来するピークの積分値および2)VNBのビニル基に由来するピークの積分値を求めた。なお、下記1),2)中の(a)、(b)および(c)で表されるピークの積分値は、それぞれ下記式(X),(Y)中の(a)、(b)および(c)で表されるプロトンのピークの積分値を表す。
【0169】
1)ENBに由来するピークの積分値:(a)={(4.7〜5.3ppm付近の複数ピークの合計)−2×(c)}
(ただし、上記(4.7〜5.3ppm付近の複数ピーク)には、(a)ピークおよび(b)ピークが合わせて検出されるため、上記式より(a)のみのピークを算出した。)
2)VNBのビニル基に由来するピークの積分値:(c)=(5.5〜6.0ppm付近ピークの合計)
【0170】
【化13】
【0171】
得られた積分値を用いてVNB(分子量120.2)に由来する見かけのヨウ素価を以下の式より算出した。なお、ヨウ素の分子量は253.81である。
【0172】
(VNBに由来する見かけのヨウ素価)={VNBのビニル基に由来するピークの積分値(c)}/{ENBに由来するピークの積分値(a)}×{13C−NMRスペクトルメーターより求めたENBの含有率(重量%)}×253.81/120.2
(極限粘度〔η〕)
共重合体ゴムの極限粘度〔η〕(dL/g)は、135℃デカリン中で測定した。
【0173】
(ムーニー粘度[ML1+4(160℃)])
ムーニー粘度〔ML1+4(160℃)〕は、JIS K6300に準拠して、160℃の条件下、ムーニー粘度計((株)島津製作所製SMV202型)を用いて測定した。
【0174】
(粘度〔η*〕の周波数依存性)
η*(0.01)およびη*(10)は、レオメトリック社製の粘弾性試験機(型式RDS−2)を用いて測定した。具体的には、試料として、190℃でプレスした2mm厚のシートから、直径25mm×2mm厚の円盤状に成形したものを使用し、以下の条件で測定を行った。なお、データ処理ソフトとしてRSI Orchestrator(レオメトリック社製)を用いた。
【0175】
Geometry:パラレルプレート、
測定温度:190℃、
周波数:0.01〜500rad/sec、
歪率:1.0%。
【0176】
このような条件により、粘度〔η*〕の周波数依存性を測定し、0.01および10rad/secのときの粘度〔η*〕を、それぞれη*(0.01)およびη*(10)とした。得られた数値を用いて、以下の式を算出した。
【0177】
Log{η*(0.01)}/Log{η*(10)}
[実施例1]
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて連続的に、成分[A]としてエチレン、成分[B]としてプロピレン、成分[C]として5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および成分[D]として5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)からなる四元共重合反応を80℃にて行った。
【0178】
重合溶媒としてヘキサン(最終濃度:90.8重量%)を用いて、エチレン濃度を3.1重量%、プロピレン濃度を4.6重量%、ENB濃度を1.4重量%およびVNB濃度を0.11重量%として連続供給した。
【0179】
重合圧力を0.8MPaに保ちながら主触媒として、上記式(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒である[N−(1,1−ジメチルエチル)−1,1−ジメチル−1−[(1,2,3,3A,8A−η)−1,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−S−インダセン−1−yl]シランアミネート(2−)−κN][(1,2,3,4−η)−1,3−ペンタジエン]−チタニウムを用いて、0.0013mmol/Lとなるよう連続的に供給した。また、共触媒として(C65)3CB(C65)4を0.0066mmol/L、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)を0.0154mmol/Lとなるように、それぞれ連続的に供給した。なお、上記式(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒は、国際公開第98/49212号パンフレットに記載されている方法に準じて合成して得た。
【0180】
このようにして、エチレン、プロピレン、ENBおよびVNBからなる共重合体ゴムが、10.8重量%の溶液状態で得られた。重合器下部から抜き出した重合反応液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にて共重合体ゴムを溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。重合条件および得られた共重合体ゴムの物性を表1に示す。
【0181】
[実施例2〜7]
表1に記載の重合条件にしたがって、実施例1と同様にして共重合体ゴムを得た。得られた共重合体ゴムの物性を表1に示す。
【0182】
[比較例1]
表1に記載の重合条件にしたがって、実施例1と同様にして共重合体ゴムを得た。得られた共重合体ゴムの物性を表1に示す。
【0183】
[比較例2]
実施例3において、VNBを供給しなかった以外は実施例3と同様にして共重合体ゴムを得た。重合条件および得られた共重合体ゴムの物性を表1に示す。
【0184】
[比較例3]
攪拌翼を備えた容量15Lの重合器を用いて、連続的にエチレン、プロピレン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)の四元共重合反応を行った。重合器上部から重合溶媒としてヘキサンを毎時5Lの速度で連続的に供給し、一方、重合器下部から重合器中の重合液が常に5リットルとなるように連続的に重合液を抜き出した。触媒として、VOCl3、Al(C251.5Cl1.5を用いた。すなわち、VOCl3は重合器中のバナジウム原子濃度が0.55mmol/Lとなるように、またAl(C251.5Cl1.5は重合器中のアルミニウム原子濃度が3.3mmol/Lとなるように重合器中に連続的に供給した。
【0185】
モノマーのエチレンは170L/h、およびプロピレンは375L/hの速度で連続供給した。また、ENBおよびVNBは、重合器中の濃度がそれぞれ7.5g/L、0.39g/Lとなるように連続供給した。分子量調整剤として水素を用いて、これを重合器ガス相の水素濃度が3.1モル%となるように供給した。共重合反応は重合圧力を0.7MPaに保ちながら、重合器外部ジャケットに冷却水を循環させることにより、40℃の温度で行った。
【0186】
このような反応により、エチレン、プロピレン、ENBおよびVNBからなる共重合体ゴムが均一な溶液状態で得られた。重合器下部から抜き出した重合反応液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にて共重合体ゴムを溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。以上の操作でエチレン、プロピレン、ENBおよびVNBからなる共重合体ゴムが毎時265gの速度で得られた。得られた共重合体の物性を表1に示す。
【0187】
[比較例4]
比較例3において、VNBの濃度を0.84g/Lとなるように変更した以外は比較例3と同様にして共重合体ゴムを得た。得られた共重合体の物性を表1に示す。
【0188】
[比較例5]
比較例3において、VNBを供給しなかった以外は比較例3と同様にして共重合体ゴムを得た。得られた共重合体の物性を表1に示す。
【0189】
【表1】
【0190】
得られたゴム組成物の各物性の測定および評価は、以下にしたがった。
【0191】
(最低粘度〔Vm〕およびスコーチ時間〔t5〕)
ムーニー粘度計((株)島津製作所社製SMV202型)を用いて、125℃において、ムーニー粘度の変化を測定し、測定開始から最低粘度〔Vm〕を求め、さらにその最低粘度〔Vm〕より5ポイント上昇するまでの時間を求め、これをスコーチ時間〔t5〕(min)とした。
【0192】
(押出し意匠面状態の評価)
MIXTRON BB MIXER((株)神戸製鋼所社製、BB−4型、容積2.95L、ローター4WH)を用いて、共重合体ゴム100重量部に対して、加硫助剤として「META−Z102」(商品名;井上石灰工業(株)製)を5重量部、加工助剤としてステアリン酸を2重量部、活性剤として「アーカード2HF」(商品名;ライオン・アクゾ(株)製)を2重量部、補強剤として「旭#55G」(商品名;旭カーボン(株)製)を120重量部、無機充填剤として「ホワイトンSB」(商品名;白石カルシウム(株)製)を55重量部および軟化剤として「ダイアナプロセスオイル PS−430」(商品名;出光興産(株)製)を60重量部混練した。
【0193】
混練条件は、ローター回転数が50rpm、フローティングウェイト圧力が3kg/cm2、混練時間が15分間であり、混練排出温度は170℃であった。
【0194】
得られた混練物を50φmm押出機により平板形状(3cm幅×2mm厚み)に押出し、混練安定性として押出し意匠面状態を以下の基準により3段階評価をした。
【0195】
○:平滑性に優れ、良好な外観を示す。
【0196】
△:若干の凹凸が見られ、表面光沢が乏しい。
【0197】
×:細かな凹凸が多数見られ、平滑性に乏しい。
【0198】
また、発泡させた架橋ゴムをチューブ状に成形したスポンジ(以下「チューブ状スポンジ」ともいう。)の各物性を、下記のように測定した。
【0199】
(引張破断点応力〔TB〕および引張破断点伸び〔EB〕)
チューブ状スポンジの上部を長さ方向に、JIS K−6251(1993年)に記載の3号型ダンベルで打ち抜いて試験片を調製した。
【0200】
該試験片を用いて、JIS K−6251第3項に規定されている方法にしたがい、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、引張破断点応力〔TB〕(MPa)および引張破断点伸び〔EB〕(%)を求めた。
【0201】
(比重)
チューブ状スポンジの上部を20mm×20mmで打ち抜き、得られた試験片の表面の汚れをアルコールで拭き取った。
【0202】
この試験片を25℃雰囲気下で自動比重計((株)東洋精機製作所製M−1型)に取り付け、空気中および純水中の質量の差から比重を測定した。
【0203】
(圧縮永久歪み〔CS〕)
チューブ状スポンジを長さ方向に30mm切断し、得られた試験片を圧縮永久歪み測定金型に取り付けた。試験片の高さが荷重をかける前の高さの1/2になるよう圧縮し、金型ごと70℃のギヤーオーブン中にセットして22時間または197時間熱処理した。
【0204】
次いで、試験片を金型から取出し、30分間放冷後、試験片の高さを測定し、以下の計算式から圧縮永久歪み〔CS〕(%)を算出した。
【0205】
圧縮永久歪み〔CS〕(%)={(t0−t1)/(t0−t2)}×100
0:試験片の試験前の高さ。
【0206】
1:試験片を熱処理し30分間放冷した後の高さ。
【0207】
2:試験片の測定金型に取り付けた状態での高さ。
【0208】
(形状保持率)
内径:高さ13mm×横幅11mm、肉厚:1.5mmのチューブ状ダイスを用いて、チューブ状に成形したゴム組成物の高さおよび水平方向長さ(横幅)と、縦横を変えることなくゴム組成物を架橋および発泡して得られるスポンジの高さおよび水平方向長さ(横幅)との比を測定し、形状保持率(%)とした。
【0209】
形状保持率(%)=(L/D)/(L0/D0)×100
(式中、L0は、チューブ状に成形したゴム組成物の高さ;D0は、チューブ状に成形したゴム組成物の横幅;Lは、チューブ状スポンジの高さ;Dは、チューブ状スポンジの横幅を表す。)
(表面粗度)
チューブ状スポンジの表面粗度は、触針式表面粗度測定器を用いて、チューブ状スポンジの上面の凹凸を数値化して表した。実際には、スポンジを長さ50mmに切断し、抜き取り部分のうちで「最高から10番目までの凸部分の高さの総和(h1)」から、「最低から10番目までの凹部分の高さの総和(h2)」を差し引いた値(h1−h2)を10で除した値を、チューブ状スポンジの表面粗度(μm)とした。
【0210】
[実施例8]
本発明のゴム組成物およびチューブ状スポンジは、次のような製造方法によって得た。まず、本発明のゴム組成物における加硫および発泡する前のゴム組成物は、MIXTRON BB MIXER((株)神戸製鋼所社製、BB−4型、容積2.95L、ローター4WH)を用いて、実施例1で得られた共重合体ゴム100重量部に対して、加硫助剤として「META−Z102」(商品名;井上石灰工業(株)製)を5重量部、加工助剤としてステアリン酸を2重量部、活性剤として「アーカード2HF」(商品名;ライオン・アクゾ(株)製)を2重量部、補強剤として「旭#55G」(商品名;旭カーボン(株)製)を120重量部、無機充填剤として「ホワイトンSB」(商品名;白石カルシウム(株)製)を55重量部および軟化剤として「ダイアナプロセスオイル PS−430」(商品名;出光興産(株)製)を60重量部混練した。
【0211】
混練条件は、ローター回転数が50rpm、フローティングウェイト圧力が3kg/cm2、混練時間が5分間であり、混練排出温度は145℃であった。
【0212】
次いで、上記配合物が温度40℃となったことを確認した後、14インチロールを用いて該配合物に加硫促進剤として「サンセラーM」(商品名;三新化学工業(株)製)を1.0重量部、加硫促進剤として「ノクセラーMDB−P」(商品名;三新化学工業(株)製)を1.0重量部、加硫促進剤として「サンセラーBZ」(商品名;三新化学工業(株)製)を2.0重量部、加硫促進剤としてとして「サンセラー22−C」(商品名;三新化学工業(株)製)を1.0重量部、加硫剤としてイオウを1.5重量部、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)を3.0重量部および吸湿剤として酸化カルシウムを5.0重量部混練した。
【0213】
混練条件は、ロール温度を前ロール/後ロール=65℃/50℃、ロール周速さを前ロール/後ロール=13rpm/11.5rpm、ロール間隙を5mmとして混練時間15分間で分出しし、ゴム組成物を得た。
【0214】
次に、このゴム組成物をチューブ状ダイス(内径:高さ13mm×横幅11mm、肉厚:1.5mm)を装着した60φmm押出機を用いてダイス温度80℃、シリンダー温度60℃の条件で押出し、チューブ状に成形した。この成形体を成形と同時に加硫槽内に導入し、250℃の温度で5分間加熱することで、架橋および発泡を行い、チューブ状スポンジを得た。
【0215】
ゴム組成物およびチューブ状スポンジの各物性値および評価結果を表2に示す。
【0216】
[実施例9〜14]
実施例8において、実施例2〜7で得られた共重合体ゴムをそれぞれ用いた以外は実施例8と同様にしてゴム組成物およびチューブ状スポンジをそれぞれ得た。
【0217】
ゴム組成物およびチューブ状スポンジの各物性値および評価結果を表2に示す。
【0218】
[比較例6〜10]
実施例8において、比較例1〜5で得られた共重合体ゴムをそれぞれ用いた以外は実施例8と同様にしてゴム組成物およびチューブ状スポンジをそれぞれ得た。
【0219】
ゴム組成物およびチューブ状スポンジの各物性値および評価結果を表2に示す。
【0220】
【表2】
【0221】
表2から、実施例8〜14の条件で得られたチューブ状スポンジは優れた形状保持性を示すとともに長期のゴム弾性にも優れることがわかった。さらに押出し意匠面状態の評価においても良好な結果が得られた。それに対して、比較例6〜10の条件で得られたチューブ状スポンジは、その形状保持性が低く、さらに長期のゴム弾性も実施例に比べ劣った。また、形状保持性が低い、すなわち長鎖分岐が少ないにもかかわらず、押出し意匠面状態が芳しくない。
【産業上の利用の可能性】
【0222】
本発明のゴム成形体は、圧縮永久歪み、表面外観、強度特性、耐熱老化性および耐候性に優れることから、自動車用部品に用いられる各種ウェザーストリップや目地材、建材用の断熱スポンジ等に好適に用いられる。
図1