(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行体と、前記走行体上に旋回可能に設けられる上部旋回体と、前記上部旋回体に対して起伏可能に支持される第1の起伏部材および第2の起伏部材とを備え、前記第1の起伏部材の先端と前記第2の起伏部材の先端とを、少なくとも前記第1の起伏部材の先端に一端が取り付けられた第1の支持部材と、前記第2の起伏部材の先端に一端が取り付けられた第2の支持部材と、前記第1の支持部材の他端に回動可能に軸支される第1の端部と、前記第2の支持部材の他端に直接または他の支持部材を介して回動可能に軸支される第2の端部とを有する第3の支持部材とを介して接続する移動式クレーンの組立方法であって、
前記第2の起伏部材を前記背面を上にして前記上部旋回体に取り付ける工程と、
前記第1の支持部材の一端が先端に取り付けられた前傾姿勢の前記第1の起伏部材を倒伏させて、前記第1の起伏部材の先端から垂下する前記第1の支持部材の他端を、背面を上にして地面に倒伏している前記第2の起伏部材の背面に接近させる工程と、
前記第2の起伏部材の背面に接近させた前記第1の支持部材の他端を、前記第2の起伏部材の背面に仮止めされている前記第3の支持部材の前記第1の端部に接続する工程と、
前記第3の支持部材の前記第2の起伏部材の背面に対する仮止めを解除する工程と、
前記第1の起伏部材を倒伏させることで、前記第2の起伏部材の背面に設けられた案内手段で前記第3の支持部材を前記第2の起伏部材の背面に沿って前記第2の起伏部材の先端に向かって移動させる工程と、
前記第2の起伏部材の先端に向かって移動させた前記第3の支持部材の他端を前記第2の支持部材の他端に直接または他の支持部材を介して接続する工程とを含むことを特徴とする移動式クレーンの組立方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献に記載の移動式クレーンでは、組み立てに際して、マスト部材の先端とブームの先端とを支持部材で接続する必要がある。この接続作業では、ブームの先端に一端が接続されたブーム側の支持部材(以下、ブーム側支持部材と呼ぶ)の他端と、マスト部材の先端に一端が接続されたマスト側の支持部材(以下、マスト側支持部材と呼ぶ)の他端とを接続する。クレーンの分解作業では、当該他端同士の接続を解除する。具体的には、クレーンの組立作業では、地面に倒伏させたブームの背面に沿って仮止めされたブーム側支持部材の他端と、前傾させたマスト部材の先端から垂下させたマスト側支持部材の他端とを接続する。このとき、マスト側支持部材の他端の水平方向の位置がブーム側支持部材の他端から離れているため、マスト側支持部材を補助クレーン等で吊り上げながら、作業員がマスト側支持部材をブーム側支持部材に向かって押す作業が必要となる。さらにこのとき、前傾しているマスト部材をさらに倒伏させるためのオペレータと、位置合わせされた各支持部材の他端同士をピン結合する作業を行う作業員が必要である。大型の移動式クレーンでは、支持部材が重いため、組立作業での各支持部材の他端同士をピン結合する作業、および分解作業でのピンを抜く作業には多くの時間を要している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下では発明の理解を容易にするため実施形態の符号を付して説明するが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
(1) 請求項1の発明による移動式クレーンは、走行体と、走行体上に旋回可能に設けられる上部旋回体と、上部旋回体に起伏可能に支持される第1の起伏部材19と、上部旋回体に起伏可能に支持され、第1の起伏部材とは異なる第2の起伏部材15(または14)と、クレーン使用時には第1の起伏部材19の先端と第2の起伏部材15(または14)との間を固定長で連結し、互いに連結された少なくとも3つの第1〜第3の支持部材110〜130とを備え、クレーン分解輸送時、第1および第2の起伏部材19,15(または14)にそれぞれ連結される第1および第2の支持部材110,120と分離された第3の支持部材130が第2の起伏部材15(または14)の背面に載置固定される移動式クレーンにおいて、第2の起伏部材15(または14)の背面に設けられ、第3の支持部材130を第2の起伏部材の長手方向に案内する案内装置と、第1および第2の支持部材110,120と分離された第3の支持部材130を第2の起伏部材15(または14)の背面で固定する固定装置とを備える。そして、案内装置は、組立時において、一端が第1の起伏部材19に接続されている第1の支持部材110の他端に連結された第3の支持部材130を第2の起伏部材15(または14)の長手方向先端側に案内する案内装置であり、固定装置は、分解輸送時において、第2の起伏部材15(または14)の背面の固定位置で第3の支持部材130を固定する固定装置であり、組立時において、第3の支持部材130は、固定装置による固定が解除され第1の支持部材110に接続された状態で案内装置により第2の起伏部材15(または14)の長手方向先端側に案内されることを特徴とする。
(2)
請求項2の発明は、請求項1に記載の移動式クレーンにおいて、案内装置は、第2の起伏部材15(または14)の背面に設けられたガイドレールであり、第3の支持部材130にはガイドレールを滑動するローラが設けられていることを特徴とする。
(
3) 請求項
3の発明による移動式クレーンは、走行体と、走行体上に旋回可能に設けられる上部旋回体と、上部旋回体に起伏可能に設けられたブーム14と、ブーム14の後方において上部旋回体に起伏可能に支持され、ブーム14とはペンダント部材で連結され、ブーム起伏用ウインチに繰り込み繰り出されるブーム起伏ロープにより起伏するリアマスト15と、リアマスト15の後方において、上部旋回体に起伏可能に支持され、リアマスト起伏用ウインチに繰り込み繰り出されるリアマスト起伏ロープにより起伏するライブマスト19と、クレーン使用時にはリアマスト15の先端とライブマスト19との間を固定長で連結する少なくとも3つの第1〜第3のペンダントリンク110〜130とを備え、クレーン分解輸送時、第3の支持部材130が、ライブマストおよびリアマスト19,15(または14)にそれぞれ連結される第1の支持部材110,120と分離されて、リアマスト15の背面に載置固定される移動式クレーンにおいて、リアマスト15の背面に設けられ、第3の支持部材130をブーム14の長手方向に案内する案内装置と、第1および第2の支持部材110,120と分離された第3の支持部材130をリアマスト15の背面で固定する固定装置とを備る。そして、案内装置は、組立時において、一端がライブマスト19に接続されている第1の支持部材110の他端に連結された第3の支持部材130をリアマスト15の長手方向先端側に案内する案内装置であり、固定装置は、分解輸送時において、リアマスト15の背面の固定位置で第3の支持部材130を固定する固定装置であり、組立時において、第3の支持部材130は、固定装置による固定が解除され第1の支持部材110に接続されたた状態で案内装置によりリアマスト15の長手方向先端側に案内されることを特徴とする。
(
4) 請求項
4の発明は、請求項
3に記載の移動式クレーンにおいて、案内装置は
、リアマスト15の背面に設けられたガイドレールであり
、第3のペンダントリンク130にはガイドレールを滑動するローラが設けられていることを特徴とする。
(
5) 請求項
5の発明による移動式クレーンの組立方法は、走行体と、走行体上に旋回可能に設けられる上部旋回体と、上部旋回体に対して起伏可能に支持される第1の起伏部材および第2の起伏部材とを備え、第1の起伏部材の先端と第2の起伏部材の先端とを、少なくとも第1の起伏部材の先端に一端が取り付けられた第1の支持部材と、第2の起伏部材の先端に一端が取り付けられた第2の支持部材と、第1の支持部材の他端に回動可能に軸支される第1の端部と、第2の支持部材の他端に直接または他の支持部材を介して回動可能に軸支される第2の端部とを有する第3の支持部材とを介して接続する移動式クレーンの組立方法であって、第2の起伏部材を背面を上にして上部旋回体に取り付ける工程と、第1の支持部材の一端が先端に取り付けられた前傾姿勢の第1の起伏部材を倒伏させて、第1の起伏部材の先端から垂下する第1の支持部材の他端を、背面を上にして地面に倒伏している第2の起伏部材の背面に接近させる工程と、第2の起伏部材の背面に接近させた第1の支持部材の他端を、第2の起伏部材の背面に仮止めされている第3の支持部材の第1の端部に接続する工程と、第3の支持部材の第2の起伏部材の背面に対する仮止めを解除する工程と、第1の起伏部材を倒伏させることで、第2の起伏部材の背面に設けられた案内手段で第3の支持部材を第2の起伏部材の背面に沿って第2の起伏部材の先端に向かって移動させる工程と、第2の起伏部材の先端に向かって移動させた第3の支持部材の他端を第2の支持部材の他端に直接または他の支持部材を介して接続する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第3の支持部材を第2の起伏部材に沿って案内
装置で案内するようにしたので、支持部材同士の接続作業および接続の解除作業が容易となり、移動式クレーンの組み立て、分解作業に要する時間を短縮化できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1〜5を参照して、本発明による移動式クレーンおよび移動式クレーンの組立方法の一実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態の移動式クレーンの側面図である。この移動式のクレーン1は、下部走行体(走行体)11と、走行体11上に旋回可能に搭載される上部旋回体(旋回体)13と、旋回体13の先端部に回動可能に軸支されたブーム14およびロングマスト(リヤマスト)15と、旋回体13の後端部に取り付けられたカウンタウエイト16と、ライブマスト19とを有する。リヤマスト15は、それぞれ略矩形断面を有する先端側のマストトップ151と、基端側のマストベース152と、マストトップ151とマストベース152との間のマストエクステンション153とを備えている。
【0009】
ブーム14の先端には主フック21aおよび補フック21bが吊り下げられ、フックロープがブーム14の基端近傍に設けられたウインチユニット17a,17bへ巻装されている。また、ブーム14の先端後部にはブームペンダントロープ22の一端が繋着されており、該ブームペンダントロープ22の他端がブライドルユニット30に接続されている。ブライドルユニット30とリヤマスト15の先端に取り付けられたベイルユニット40との間にはブーム起伏ロープ23が掛け回されている。ブーム起伏ロープ23はリヤマスト15の先端近傍に設けられたガイドシーブ151cを経由してリヤマスト15の基端近傍に設けられた起伏ウインチ18へ巻装されている。ブーム起伏ロープ23は起伏ウインチ18の駆動により巻き取りまたは繰り出され、これによりブライドルユニット30とベイルユニット40との間の距離が変化するので、ブームペンダントロープ22を介してブーム14が起伏する。
【0010】
100は、支持ペンダントであり、リヤマスト15の支持部材である。支持ペンダント100は、一端がライブマスト19に接続され、他端がリヤマスト15の先端に接続されている。支持ペンダント100については、後に詳述する。ライブマスト19の先端部と旋回体13の後端部にはそれぞれシーブ25,26が設けられ、各シーブ25,26間に起伏ロープ27が掛け回されている。起伏ロープ27は起伏ドラム28の駆動により巻き取りまたは繰り出される。
【0011】
支持ペンダント100は、複数のペンダントリンク110〜140を有する。以下の説明では、これら複数のペンダントリンクのうち、一端がライブマスト19に接続されているペンダントリンク110を第1ペンダントリンク110と呼び、一端がリヤマスト15の先端に接続されているペンダントリンク120を第2ペンダントリンク120と呼ぶ。また、第1ペンダントリンク110の他端に接続されているペンダントリンク130を第3ペンダントリンク130と呼び、第2ペンダントリンク120と第3ペンダントリンク130とを接続するペンダントリンク140を第4ペンダントリンク140と呼ぶ。各ペンダントリンク110〜140は、略矩形断面を有するリヤマスト15の背面側(
図1における左側)で、紙面手前側と奥側とにそれぞれ設けられている。
【0012】
図2は、クレーン1の後述する組立作業における第1ペンダントリンク110と第3ペンダントリンク130との接続作業について説明する図である。
図3は、第3ペンダントリンク130および後述するガイドレール160の詳細を示す図である。
図3(a)は後述するようにマストエクステンション153に設けられるガイドレール160上の第3ペンダントリンク130をリヤマスト15の基端側から見た図であり、
図3(b)はガイドレール160上の第3ペンダントリンク130をリヤマスト15の側面から見た図である。なお、
図3(b)では、後述するように2枚1組で設けられているガイドレール160のうち、紙面手前側のガイドレール160の記載を省略している。
図4は、輸送時のリヤマスト15の形態を示す図であり、
図4(a)はマストベース152の側面図であり、
図4(b)はマストエクステンション153の側面図であり、
図4(c)はマストトップ151の側面図である。
【0013】
図2に示すように、第1ペンダントリンク110は棒状の部材であり、ペンダントリンクの本体111の両端に、ライブマスト19側で回動可能に軸支される孔112と、第3ペンダントリンク130に回動可能に軸支される孔113とが設けられている。
【0014】
図4(c)に示すように、第2ペンダントリンク120は棒状の部材であり、ペンダントリンクの本体121の両端に、マストトップ151側で回動可能に軸支される孔122と、第4ペンダントリンク140に短いリンク部材(
図4(b)におけるリンク部材161)を介して回動可能に軸支される孔123とが設けられている。
【0015】
図2,3に示すように、第3ペンダントリンク130は、離間して設けられた2枚の細長い板状の本体131と、4つの車輪135とを備えている。本体131の両端には、第1ペンダントリンク110に回動可能に軸支される孔132と、第4ペンダントリンク140に回動可能に軸支される孔133とが設けられている。また、本体131の両端には、
図3における図示下方に突出する突部131a,131bが設けられている。突部131aには、輸送時に第3ペンダントリンク130をマストベース152(ガイドレール160)に仮止めするためのピン孔131cが設けられている。
【0016】
マストベース152およびマストエクステンション153の背面側には、2枚1組のガイドレール160がそれぞれ設けられている。なお、ガイドレール160は、第3ペンダントリンク130に対応して、マストベース152の背面側で、
図2における紙面手前側に1組、紙面奥側に1組、それぞれ設けられている。同様に、ガイドレール160は、マストエクステンション153の背面側で、
図2における紙面手前側に1組、紙面奥側に1組、それぞれ設けられている。
【0017】
ガイドレール160は、マストベース152およびマストエクステンション153の背面から
図3(a)おける図示上方に立設するガイド部161と、ガイド部161の上端から図示左右方向に曲げられて延在するレール部162とを有する。ガイドレール160は、
図3(a)に示すように、図示左右方向に離間して設けられた一対の部材である。
【0018】
ガイド部161は、左右一対で第3ペンダントリンク130の突部131a,131bを左右から挟み込むように設けられている。ガイド部161は、後述するように、第3ペンダントリンク130がガイドレール160上をスライドする際に、第3ペンダントリンク130がガイドレール160から
図3(a)おける図示左右方向に逸脱することを防止する。なお、マストベース152に設けられているガイドレール160のガイド部161には、輸送時に第3ペンダントリンク130を仮止めするためのピン孔161aが設けられている(
図6参照)。
【0019】
レール部162は、第3ペンダントリンク130がガイドレール160上をスライドする際に、第3ペンダントリンク130の車輪135が転動するためのレールとしての役割を果たす。なお、マストベース152に設けられたガイドレール160と、マストエクステンション153に設けられたガイドレール160とは、マストベース152とマストエクステンション153とが連結されると、双方に向かって第3ペンダントリンク130の車輪135が転動可能に接続される。
【0020】
図4(b)に示すように、第4ペンダントリンク140は棒状の部材であり、ペンダントリンクの本体141の両端に、他のペンダントリンクと直接または短いリンク部材161を介して回動可能に軸支される孔142,143が設けられている。なお、本実施の形態では、第4ペンダントリンク140は、たとえば、
図4(b)における紙面手前側に2本、紙面奥側に2本(不図示)設けられている。
【0021】
このように構成されるクレーン1では、輸送の制約上、各部に分解されて輸送される。このとき、リヤマスト15は旋回体13から分離される。そして、リヤマスト15は、
図4(a)〜(c)に示すように、マストトップ151とマストベース152とマストエクステンション153とに分離される。マストベース152では、
図4(a)に示すように、ガイドレール160上に第3ペンダントリンク130が載置されている。
図2の右上の拡大図に示すように、ピン孔161aとピン孔131c(
図2において不図示、
図3(b)参照)とに固定ピン167が挿通されており、第3ペンダントリンク130がマストベース152のガイドレール160上に仮止めされている。
【0022】
図4(b)に示すように、マストエクステンション153の背面には、第4ペンダントリンク140が仮止めされている。
図4(c)に示すように、マストトップ151の背面には、第2ペンダントリンク120が仮止めされている。ライブマスト19の先端では、第1ペンダントリンク110が孔112で回動可能に軸支されている。また、図示はしないが、輸送時には、第1ペンダントリンク110は孔112を中心に回動しないようにライブマスト19に仮止めされている。
【0023】
作業現場に搬入された後、分解されたクレーン1が再び組み立てられる。以下の説明では、クレーン1の組立作業のうち、リヤマスト15とライブマスト19とを支持ペンダント100で接続する作業を中心に説明する。分離されて輸送されたリヤマスト15の各部は、マストトップ151とマストベース152とマストエクステンション153とが連結されて1本のリヤマスト15として組み立てられる。このとき、マストトップ151上の第2ペンダントリンク120と、マストエクステンション153上の第4ペンダントリンク140とをリンク部材161を介して回動可能に連結する。また、このとき、マストベース152上の第3ペンダントリンク130と、マストエクステンション153上の最もマストベース152に近い第4ペンダントリンク140とは、
図2に示すように、離間している。
【0024】
上述したように組み立てられたリヤマスト15は、
図2に示すように、基端部が旋回体13の先端部に回動可能に軸支される。そして、ライブマスト19の姿勢を旋回体13の前方(図示右側)に向かう前傾姿勢とすると、仮止めが外された第1ペンダントリンク110が、ライブマスト19の先端から垂下する。ライブマスト19を前傾させて第1ペンダントリンク110の図示下端をマストベース152の背面に接近させると、第1ペンダントリンク110の孔113の位置と、マストベース152の背面で仮止めされている第3ペンダントリンク130の孔132の位置とが略一致する。換言すると、ライブマスト19を前傾させて第1ペンダントリンク110の下端をマストベース152の背面に接近させたときに第1ペンダントリンク110の孔113の位置と、第3ペンダントリンク130の孔132の位置とが略一致するように、第3ペンダントリンク130の仮止め位置が規定されている。
【0025】
図2の右上の拡大図に示すように、第1ペンダントリンク110の孔113の位置と、第3ペンダントリンク130の孔132の位置とを一致させて、コネクトピン165を挿入し、ロックピン166で抜け止めをする。これにより、第1ペンダントリンク110と第3ペンダントリンク130とがコネクトピン165を中心に回動可能に連結される。その後、
図2の左下の拡大図に示すように、固定ピン167の抜け止めをしているロックピン168を抜き、固定ピン167をピン孔161aおよびピン孔131c(
図2において不図示、
図3(b)参照)から抜くことで、第3ペンダントリンク130のガイドレール160に対する仮止めを解除する。
【0026】
その後、
図5に示すように、ライブマスト19を前傾させつつ、作業員が第1ペンダントリンク110を前方に向かって押圧すると、第3ペンダントリンク130がガイドレール160に沿って図示右方に向かって移動する。このとき、上述したように、第3ペンダントリンク130の車輪135がレール部162を転動する。そして、第3ペンダントリンク130の突部131a,131bがガイド部161で案内されて
図5における紙面前後方向への第3ペンダントリンク130の逸脱が防止される。
【0027】
第3ペンダントリンク130を図示右方に移動させて、
図5の右上の拡大図に示すように、第3ペンダントリンク130の孔133の位置と、第4ペンダントリンク140の孔142の位置とを一致させて、コネクトピン165を挿入し、ロックピン166で抜け止めをする。これにより、第3ペンダントリンク130と第4ペンダントリンク140とがコネクトピン165を中心に回動可能に連結される。以上で、リヤマスト15とライブマスト19とを支持ペンダント100で接続する作業、すなわち、各ペンダントリンク同士を接続する作業が完了する。なお、第3ペンダントリンク130をガイドレール160に対して仮止めしていた固定ピン167とロックピン168については、紛失防止のため、固定ピン167をピン孔161aに差し込み、ロックピン168を取り付けておけばよい。
【0028】
輸送のためにクレーン1を分解する際には、上述した手順と逆の手順によって各ペンダントリンク同士の接続を解除すればよい。
【0029】
上述した移動式のクレーン1では、次の作用効果を奏する。
(1) マストベース152およびマストエクステンション153の背面側にガイドレール160をそれぞれ設け、第3ペンダントリンク130に車輪135を設けた。そして、第3ペンダントリンク130がガイドレール160上をスライドするように構成した。これにより、各ペンダントリンク同士の接続および接続の解除が容易となり、クレーン1の組み立て、分解作業に要する時間を短縮化できる。また、各ペンダントリンク同士の接続作業および接続の解除作業で必要な作業員の数を減らすことができ、効率的である。
【0030】
(2) ガイドレール160にガイド部161とレール部162とを設け、左右1対のガイドレール160のガイド部161で第3ペンダントリンク130の突部131a,131bを左右から挟み込むとともに、レール部162を第3ペンダントリンク130の車輪135が転動するように構成した。これにより、簡単な構成で第3ペンダントリンク130をマストベース152およびマストエクステンション153の背面に沿って案内できるので、コスト増を抑制できる。また、簡単な構成であるので、故障や破損の可能性を低減できる。
【0031】
(3) ライブマスト19を前傾させて第1ペンダントリンク110の下端をマストベース152の背面に接近させたときに第1ペンダントリンク110の孔113の位置と、第3ペンダントリンク130の孔132の位置とが略一致するように、第3ペンダントリンク130の仮止め位置を規定した。これにより、第1ペンダントリンク110と第3ペンダントリンク130とを接続する際に、作業員が第1ペンダントリンク110の下端の位置を僅かに調整するだけで第1ペンダントリンク110の孔113の位置と、第3ペンダントリンク130の孔132の位置とを一致させて、コネクトピン165を挿入できる。したがって、第1ペンダントリンク110と第3ペンダントリンク130との接続および接続の解除が容易となり、クレーン1の組み立て、分解作業に要する時間を短縮化できる。
【0032】
(4) 各ペンダントリンク同士を接続する作業では、ライブマスト19を前傾させて第1ペンダントリンク110の図示下端をマストベース152の背面に接近させ、第1ペンダントリンク110の孔113の位置と、第3ペンダントリンク130の孔132の位置とを一致させて、コネクトピン165を挿入することで第1ペンダントリンク110と第3ペンダントリンク130とを接続するようにした。その後、ライブマスト19を前傾させつつ、作業員が第1ペンダントリンク110を前方に向かって押圧させることで、第3ペンダントリンク130をガイドレール160に沿って移動するようにした。そして、第3ペンダントリンク130の孔133の位置と、第4ペンダントリンク140の孔142の位置とを一致させて、コネクトピン165を挿入することで第3ペンダントリンク130と第4ペンダントリンク140とを接続するようにした。これにより、各ペンダントリンク同士の接続作業および接続の解除作業が容易となるので、クレーン1の組み立て、分解作業に要する時間を短縮化できる。
【0033】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、リヤマスト15とライブマスト19とを接続する支持ペンダント100について説明したが、本発明はこれに限定されず、ブームを支持するブーム支持ペンダントや、ジブを支持するジブ支持ペンダントについても適用できる。
【0034】
(2) 上述の説明では、マストベース152およびマストエクステンション153の背面側にガイドレール160をそれぞれ設け、第3ペンダントリンク130に車輪135を設けたたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、マストベース152およびマストエクステンション153の背面側に車輪やローラ等を設け、第3ペンダントリンク130に案内のためのレール等を設けるように構成してもよい。
(3) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0035】
なお、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、走行体と、走行体上に旋回可能に設けられる上部旋回体と、上部旋回体に起伏可能に支持される第1の起伏部材と、上部旋回体に起伏可能に支持される、第1の起伏部材とは異なる第2の起伏部材と、第1の起伏部材の先端に一端が取り付けられる第1の支持部材と、第2の起伏部材の先端に一端が取り付けられる第2の支持部材と、第1の支持部材の他端に回動可能に軸支される第1の端部と、第2の支持部材の他端に直接または他の支持部材を介して回動可能に軸支される第2の端部とを有する第3の支持部材と、第2の起伏部材の背面に沿って第3の支持部材が移動するように第3の支持部材を案内する案内手段とを備えることを特徴とする各種構造の移動式クレーンを含むものである。
また、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、走行体と、走行体上に旋回可能に設けられる上部旋回体と、上部旋回体に対して起伏可能に支持される第1の起伏部材および第2の起伏部材とを備え、第1の起伏部材の先端と第2の起伏部材の先端とを、少なくとも第1の起伏部材の先端に一端が取り付けられた第1の支持部材と、第2の起伏部材の先端に一端が取り付けられた第2の支持部材と、第1の支持部材の他端に回動可能に軸支される第1の端部と、第2の支持部材の他端に直接または他の支持部材を介して回動可能に軸支される第2の端部とを有する第3の支持部材とを介して接続する移動式クレーンの組立方法であって、第2の起伏部材を背面を上にして上部旋回体に取り付ける工程と、第1の支持部材の一端が先端に取り付けられた前傾姿勢の第1の起伏部材を倒伏させて、第1の起伏部材の先端から垂下する第1の支持部材の他端を、背面を上にして地面に倒伏している第2の起伏部材の背面に接近させる工程と、第2の起伏部材の背面に接近させた第1の支持部材の他端を、第2の起伏部材の背面に仮止めされている第3の支持部材の第1の端部に接続する工程と、第3の支持部材の第2の起伏部材の背面に対する仮止めを解除する工程と、第1の起伏部材を倒伏させることで、第2の起伏部材の背面に設けられた案内手段で第3の支持部材を第2の起伏部材の背面に沿って第2の起伏部材の先端に向かって移動させる工程と、第2の起伏部材の先端に向かって移動させた第3の支持部材の他端を第2の支持部材の他端に直接または他の支持部材を介して接続する工程とを含むことを特徴とする各種の移動式クレーンの組立方法を含むものである。