特許第5717435号(P5717435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717435
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】眼鏡フレーム
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/22 20060101AFI20150423BHJP
【FI】
   G02C5/22
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-286116(P2010-286116)
(22)【出願日】2010年12月22日
(65)【公開番号】特開2012-133196(P2012-133196A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2013年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】309031765
【氏名又は名称】三瓶 哲男
(73)【特許権者】
【識別番号】309031617
【氏名又は名称】鍾 易民
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(72)【発明者】
【氏名】三瓶 哲男
【審査官】 吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−043122(JP,U)
【文献】 特開平11−231268(JP,A)
【文献】 特開平10−142559(JP,A)
【文献】 実開平05−052817(JP,U)
【文献】 特開2002−221695(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3131525(JP,U)
【文献】 特開2005−283620(JP,A)
【文献】 特開平11−133361(JP,A)
【文献】 特開2001−021844(JP,A)
【文献】 特開昭58−179818(JP,A)
【文献】 特開2006−317670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のレンズを備えるフロント部と、蝶番で回動自在に連結されるテンプルとを備えるとともに、前記フロント部の両端部と前記蝶番とが、超弾性材料製の接続部材によって接続されている樹脂製の眼鏡フレームであって、
前記蝶番は、前記接続部材を挿入するために、一方の側に挿入孔を有する筒状部を備え、 前記テンプルは芯金を備えて、前記蝶番の他方の側が前記芯金に接続されるとともに、前記テンプルを開いたときに前記筒状部の全長が前記芯金に当接して位置することを特徴とする眼鏡フレーム。
【請求項2】
前記接続部材が、棒状の主部の一端に、前記主部の断面よりも大きな断面を有する頭部を備えてなり、前記頭部が前記フロント部の前記端部に埋め込まれて接続されることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡フレーム。
【請求項3】
前記接続部材が、前記頭部の近傍に、前記主部の断面よりも大きな断面を有する鍔部を備えることを特徴とする請求項2に記載の眼鏡フレーム。
【請求項4】
前記挿入孔の大きさは、入口近傍が大きく形成され、外力を受けたときに、前記接続部材が滑らかに変形して局部的に大きな力を受けないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の眼鏡フレーム。
【請求項5】
前記フロント部が、フロント枠の裏側にレンズ枠を備え、前記レンズが前記レンズ枠に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の眼鏡フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は眼鏡フレームに関し、特に、形状記憶合金等の超弾性材料を用いてソフトな装着感が得られる樹脂製の眼鏡フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な眼鏡フレームは、一対のレンズを備えるフロント部の両端部に、蝶番で連結されたテンプルを備えている。フロント部に環状のリムを備えるフルリムタイプや半環状のリムを備えるハーフリムタイプの眼鏡フレームにあっては、左右のリムが中央でブリッジにより連結され、両リムの端部にはヨロイが設けられ、各ヨロイに蝶番を介してテンプルが連結される。
【0003】
近年、ソフトな装着感を得るために、眼鏡フレームの素材として超弾性材料が使用されている。例えば、特許文献1にはNi、Ti、Co三元系の超弾性材料、及びNi、Ti二元系の超弾性材料をブリッジ及びテンプルに用いる発明が記載され、冷間加工及び成形加工後の形状記憶熱処理に関する研究が記載されている。また、特許文献2には、フロントリムの合成樹脂材料に関する発明が記載されており、ポリアミド系の超弾性樹脂を用いることが記載されている。
【0004】
「超弾性」は、力を加えると大きなひずみで変形し、その力を除くと元に戻る性質を示す用語として用いられている。通常の金属では0.5%以下のひずみでも回復することができないので、本明細書では、1.0%以上のひずみが完全に回復する材料を「超弾性材料」と称することとし、これには金属材料及び樹脂材料が含まれることとする。
【0005】
超弾性材料を使用した眼鏡フレームは、従来の材料と比べて大きく曲げることができる弾性を備え、使用者に「しなやかな感じ」を与えることができる。そして、ソフトな装着感を与えることができる。しかしながら、従来の眼鏡フレームにおいては、ブリッジやテンプルの素材全体に超弾性材料を使用しているために、使用者の頭にしっかりと装着させることが難しいという問題がある。すなわち、素材がしなやかに変形するために、装着された眼鏡フレームが時間の経過とともに前へずり落ちてしまうのである。また、眼鏡フレームの掛け外しにおいて無意識に大きな力を掛けた場合や、不慮の衝突事故等によって、眼鏡フレームを大きく変形させてしまうことも少なくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−182162号公報
【特許文献2】特開2010−85896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、一対のレンズを備えるフロント部の両端部に、蝶番で連結されたテンプルを備えてなる樹脂製の眼鏡フレームであって、超弾性材料を使用することによりソフトな装着感が得られ、使用者の頭にしっかりと装着され、時間が経過しても前へずり落ちることのない眼鏡フレームを提供することである。また、掛け外し時の無意識の力や事故によっても、変形することが少ない眼鏡フレームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る眼鏡フレームは、一対のレンズを備えるフロント部と、蝶番で回動自在に連結されるテンプルとを備えるとともに、前記フロント部の両端部と前記蝶番とが、超弾性材料製の接続部材によって接続されている樹脂製の眼鏡フレームであって、前記蝶番は、前記接続部材を挿入するために、一方の側に挿入孔を有する筒状部を備え、前記テンプルは芯金を備えて、前記蝶番の他方の側が前記芯金に接続されるとともに、前記テンプルを開いたときに前記筒状部の全長が前記芯金に当接して位置する手段を採用している。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る眼鏡フレームは、請求項1に記載の眼鏡フレームにおいて、前記接続部材が、棒状の主部の一端に、前記主部の断面よりも大きな断面を有する頭部を備えてなり、前記頭部が前記フロント部の前記端部に埋め込まれて接続される手段を採用している。また、本発明の請求項3に係る眼鏡フレームは、請求項2に記載の眼鏡フレームにおいて、前記接続部材が、前記頭部の近傍に、前記主部の断面よりも大きな断面を有する鍔部を備える手段を採用している。
【0010】
また、本発明の請求項4に係る眼鏡フレームは、請求項1乃至3の何れか1項に記載の眼鏡フレームにおいて、前記挿入孔の大きさは、入口近傍が大きく形成され、外力を受けたときに、前記接続部材が滑らかに変形して局部的に大きな力を受けない手段を採用している。さらに、本発明の請求項5に係る眼鏡フレームは、請求項1乃至4の何れか1項に記載の眼鏡フレームにおいて、前記フロント部が、フロント枠の裏側にレンズ枠を備え、前記レンズが前記レンズ枠に取り付けられている手段を採用している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の眼鏡フレームは、上記の手段を採用したことによって、両テンプルを接続部分において自由な方向にしなやかに曲げることができる。或いは、両テンプルを接続部分において捩じることができる。したがって超弾性材料特有のソフトな装着感を得ることができる。また、使用される超弾性材料が、フロント部とテンプルとを接続するごく一部分に限定されていることにより、使用者の頭部にしっかりと装着され、時間が経過しても前へずり落ちることのない眼鏡フレームとすることができる。また、掛け外しにおける無意識の力や事故によっても、変形することが少ない眼鏡フレームとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の眼鏡フレームの一例を示す概略平面図である。
図2図1の眼鏡フレームの概略正面図である。
図3図1の眼鏡フレームの概略側面図である。
図4図1の眼鏡フレームの枠体を示す概略図である。
図5図1の眼鏡フレームで使用する接続部材、蝶番及び芯金とテンプルとの関係で示し、(1)は概略平面図、(2)は概略側面図である。
図6図1の眼鏡フレームの接続部分を拡大して示し、(1)はテンプルを開いた状態であり、(2)はテンプルを閉じた状態である。
図7図1の眼鏡フレームの接続部材、蝶番及び芯金を示す概略図である。
図8図1の眼鏡フレームのフロント部と枠体との関係を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の眼鏡フレームは樹脂製の眼鏡フレームに限定されるが、通常のフルリムタイプ及びハーフリムタイプのほか、図1図4に示すような特殊な構造の眼鏡フレーム10に適用することもできる。すなわち、眼鏡フレーム10は、フルリムタイプに良く似たフロント部30を備え、一対のフロント枠32がブリッジ31で接続されている。しかしながら、一対のレンズ40は、図4に示す枠体70に取付けられ、この枠体70がフロント部30の裏側に取付けられている。
【0014】
図1は眼鏡フレーム10の概略平面図であり、図2は眼鏡フレーム10の概略正面図であり、図3は眼鏡フレーム10の概略側面図である。眼鏡フレーム10は、フロント部30とテンプル50とを備えている。そして、フロント部30は、枠体70を介して一対のレンズ40を備えている。また、テンプル50は、フロント部30に対して、蝶番60で回動自在に連結されている。そして、フロント部30の両端部33と蝶番60とが、超弾性材料製の接続部材20によって接続されている。フロント部30と接続部材20との接続、及び蝶番60と接続部材20との接続には、螺合、かしめ、埋め込み等の一般的な方法を適宜採用することができる。
【0015】
図5は、接続部材20の一端がフロント部30の端部33に埋め込まれていること、及びテンプル50が芯金51を備えていることを示し、(1)は概略平面図、(2)は概略側面図である。そして、接続部材20と蝶番60とが接続され、蝶番60と芯金51とが接続されていることを示している。図6は、フロント部30とテンプル50との接続部分を拡大して示し、(1)はテンプルを開いた状態であり、(2)はテンプルを閉じた状態である。図7は、接続部材20、蝶番60及び芯金51を組み立てた状態を示している。
【0016】
接続部材20は、棒状をなす主部21の一端に、主部21の断面よりも大きな断面を有する頭部22及び鍔部23を備えている。そして、主部21の素材に超弾性材料が使用されている。超弾性材料としては、特許文献1に記載された金属の超弾性材料や、特許文献2に記載された樹脂の超弾性材料など、既知の素材を使用することができる。何れの場合も、通常の使用温度において超弾性を示す材料が選定され、例えば、変態温度が−20〜0℃の超弾性合金を使用することができる。
【0017】
主部21の断面形状はどの様な形状でも良いが、円形とすることにより、外力を受ける方向が限定されず、自由な方向に変形することが可能となるので好ましい。頭部22及び鍔部23の素材は限定されないが、例えば、金属製の主部21に対して、金属製で一体に形成された頭部22及び鍔部23をかしめて取付けることができる。そして、図5及び図6に示すように、樹脂製のフロント部30の端部33に、頭部22を埋め込むことにより、フロント部30と接続部材20とを接続することができる。
【0018】
蝶番60は、図7に示すように、一方の側に挿入孔62を有する筒状部61を備え、接続部材20の主部21の他端側を挿入孔62に挿入することができる。挿入後、主部21の他端をスポット的に融着することにより、接続部材20と蝶番60とを接続することができる。主部21の断面形状及び大きさは一定とすることが好ましいが、挿入孔62の大きさは、入口近傍を大きく形成することが好ましい。接続部材20が外力を受けたときに、滑らかに変形して局部的に大きな力を受けないようにするためである。
【0019】
また、蝶番60及び芯金51は適当な金属材料を選定することが可能であり、融着や螺合などの方法によって接続することができる。このように、眼鏡フレーム10は、図1図3に示すように、装着時に接続部材20が僅かに見える程度で、通常の眼鏡フレームと同様な外観を呈することになる。
【0020】
本発明の眼鏡フレーム10は、以上のような構成としたことにより超弾性材料の機能を十分に発揮させることが可能であり、しなやかな感じを与えることができる。そして、使用者にソフトな装着感を与えることができる。また、眼鏡フレーム10は超弾性材料がフロント部30の端部33と蝶番60との接続部分に限定されて使用されているので、使用者の頭にしっかりと装着させることができ、時間が経過しても前へずり落ちることがない。また、掛け外しにおける無意識の力や事故によっても、変形することが少ない。
【0021】
眼鏡フレーム10は、本発明の幅広い応用を示すために、実施の形態として特殊な構造で示しているので、これについて説明する。フロント部30は、フロント枠32の裏側に図4に示すような枠体70を備えている。そして、一対のレンズ40は、レンズ枠72に取付けられている。また、ノーズパッド80も、レンズ枠72に取付けられている。そして、その中央部71をフロント部30のブリッジ31に取付けることによって、フロント部30が一対のレンズ40を備えることになる。
【0022】
フロント部30に枠体70を取付ける具体例は、図8に示されている。フロント部30は、ブリッジ31の裏側に凹部35が形成されている。また、枠体70は、中央部71に凹部35に対応するように凸部75が形成されている。そして、凸部75を凹部35に挿入し、ねじ79によって固定することができる。
【0023】
このように枠体70を使用すると、レンズ40とレンズ枠72との接合部を短くして、レンズ40とレンズ枠72との精密加工の作業量を低減し、レンズ40の取り付け作業を容易にすることができる。また、その外観を、眼鏡フレーム10のようにフルリムタイプに見せ掛けることも、或いはハーフリムタイプに見せ掛けることも可能である。そして、ハイカーブなレンズを用いることができるので多彩なデザインを施すことができる。
【符号の説明】
【0024】
10 眼鏡フレーム
20 接続部材
21 主部
22 頭部
30 フロント部
32 フロント枠
33 端部
40 レンズ
50 テンプル
51 芯金
60 蝶番
61 筒状部
62 挿入孔
72 レンズ枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8