特許第5717445号(P5717445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5717445(S)−エチル2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)−ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの固体形態
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717445
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】(S)−エチル2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)−ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの固体形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/12 20060101AFI20150423BHJP
   A61K 31/506 20060101ALN20150423BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20150423BHJP
   A61P 1/04 20060101ALN20150423BHJP
【FI】
   C07D403/12CSP
   !A61K31/506
   !A61P43/00 114
   !A61P1/04
【請求項の数】26
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2010-527125(P2010-527125)
(86)(22)【出願日】2008年9月25日
(65)【公表番号】特表2010-540551(P2010-540551A)
(43)【公表日】2010年12月24日
(86)【国際出願番号】US2008077594
(87)【国際公開番号】WO2009042733
(87)【国際公開日】20090402
【審査請求日】2011年9月9日
(31)【優先権主張番号】60/975,846
(32)【優先日】2007年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508192566
【氏名又は名称】レクシコン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッドナーズ マーク エス.
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ ポール スーザン
(72)【発明者】
【氏名】カナマーラプディ ラマナイア シー.
(72)【発明者】
【氏名】パールベルク アネット
(72)【発明者】
【氏名】チャン ハイミン
【審査官】 砂原 一公
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/089335(WO,A1)
【文献】 STOKES ALAN H,JOURNAL OF NEUROCHEMISTRY,2000年 5月,V74 N5,P2067-2073
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 403/12
A61K 31/506
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの結晶又はその薬学的に許容される塩の結晶。
【請求項2】
(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートである化合物の結晶。
【請求項3】
104℃の融点を有する、請求項2に記載の化合物の結晶。
【請求項4】
10.7度、12.2度、12.8度、17.7度及び/又は22.0度(2θ)の1つ又は複数のピークを有する粉末X線回折パターンを有する、請求項2に記載の化合物の結晶。
【請求項5】
図1に示す粉末X線回折パターンと同じである粉末X線回折パターンを有する、請求項2に記載の化合物の結晶。
【請求項6】
(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの薬学的に許容される塩の結晶。
【請求項7】
馬尿酸塩である、請求項6に記載の結晶。
【請求項8】
145℃の融点を有する、請求項7に記載の結晶。
【請求項9】
8.2度、9.5度、12.6度、16.9度、21.8度、22.0度、22.7度、24.3度及び/又は29.1度(2θ)の1つ又は複数のピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項7に記載の結晶。
【請求項10】
図2に示す粉末X線回折パターンと同じである粉末X線回折パターンを有する、請求項7に記載の結晶。
【請求項11】
図3に示すラマンスペクトルと同じであるラマンスペクトルを有する、請求項7に記載の結晶。
【請求項12】
コハク酸塩である、請求項6に記載の結晶。
【請求項13】
7.7度、11.5度、11.7度、15.7度、17.9度、21.1度及び/又は23.2度(2θ)の1つ又は複数のピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項12に記載の結晶。
【請求項14】
図4に示す粉末X線回折パターンと同じである粉末X線回折パターンを有する、請求項12に記載の結晶。
【請求項15】
(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの薬学的に許容される塩の晶を調製する方法であって、
(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートを含む溶液を、(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの薬学的に許容される塩を提供するのに十分な条件下で、薬学的に許容される酸と接触させること、
(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの薬学的に許容される塩の晶を提供するのに十分な条件下で、前記溶液中の前記塩の溶解度を低減すること、及び
前記結晶を単離すること、
を含む、方法。
【請求項16】
前記溶液が酢酸イソプロピル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、メチルt−ブチルエーテル又はメチルイソブチルケトンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記酸が馬尿酸又はコハク酸である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記塩の溶解度が、前記溶液を冷却することにより低減される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記塩の溶解量が、前記溶液中の(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの濃度を増大させることにより低減される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記塩の溶解度が、前記溶液に貧溶媒を添加することにより低減される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記貧溶媒がヘプタンである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの結晶を調製する方法であって、
塩基性水溶液を有機懸濁液に添加して、有機成分及び水性成分を有する混合物を提供すること(ここで、該有機懸濁液が(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの塩及び有機溶媒を含む)、
前記有機成分を前記混合物から単離すること、
前記有機成分を冷却及び/又は濃縮して、(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの結晶を提供すること、及び
前記結晶性遊離塩基を単離すること、
を含む、方法。
【請求項23】
前記(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの塩が馬尿酸塩である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記有機溶媒がエーテルである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記塩基性水溶液が炭酸水素ナトリウムを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの結晶を有機溶媒で洗浄することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の分野
本発明は、(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート及びその塩の固体形態に関する。
【0002】
本願は、2007年9月28日に出願された米国仮出願第60/975,846号明細書(この全体が参照により本明細書中に援用される)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
2. 発明の背景
同じ化合物の種々の固体形態は、実質的に異なる特性を有し得る。例えば、或る薬の無定形形態は、その結晶形態(複数可)と異なる溶解特性、及び異なるバイオアベイラビリティパターン、すなわち最適な効果を達成するための薬の投与方法に影響を及ぼし得る特性を示すことがある。薬の無定形形態及び結晶形態はまた、異なる取扱特性(例えば、流動性、圧縮性)、溶解速度、溶解度及び安定性を有する場合があり、これらは全て、剤形(dosage forms)の製造に影響を及ぼし得る。結果として、薬の複数の形態の利用が様々な理由から望まれている。さらに、規制当局(例えば、米国食品医薬品局)が、新たな薬剤物質を含有する製品を認可するのに先立って、新たな薬剤物質の全ての固体(例えば、多形)形態の特定を要求する可能性がある(非特許文献1)。
【0004】
化合物は、1つ又は複数の結晶形態で存在し得るが、それらの形態の存在及び特性を確実に予測することはできない。加えて、化合物の考え得る全ての多形形態の調製に関する標準的な手法は存在しない。そして、1つの多形が特定された後であっても、他の形態の存在及び特性は、さらなる実験によってしか決定することができない(上記)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】A. Goho, Science News 166(8): 122-123 (2004)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
3. 発明の概要
本発明は、部分的には、トリプトファンヒドロキシラーゼ阻害剤(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート及びその薬学的に許容される塩の固体形態を対象とする。特定の固体形態は、結晶である。
【0007】
本発明の一実施の形態は、本明細書に記載の固体形態を含む薬学的組成物を包含する。
【0008】
別の実施の形態は、本明細書に記載の固体形態の使用を含む、様々な疾患及び状態を治療、管理及び予防する方法を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
4. 図面の簡単な説明
図1】(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの結晶形態の粉末X線回折パターンを示す図である。株式会社リガクのMiniFlex回折計(銅Kα照射)を使用して、回折図(diffractogram)を得た。
図2】(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート馬尿酸塩の結晶形態の粉末X線回折パターンを示す図である。BrukerのD8 Advance(銅Kα照射)を使用して回折図を得た。
図3】(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート馬尿酸塩の結晶形態のFT−ラマンスペクトルを示す図である。BrukerのRFS100分光計(1064nm励起)を使用してスペクトルを得た。
図4】(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートコハク酸塩の結晶形態の粉末X線回折パターンを示す図である。BrukerのD8 Advance(銅Kα照射)を使用して回折図を得た。
【発明を実施するための形態】
【0010】
5. 発明の詳細な説明
本発明は、部分的には、(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート及びその薬学的に許容される塩の固体(例えば結晶)形態を対象とする。この化合物は、トリプトファンヒドロキシラーゼの阻害剤である。動物に投与すると、この化合物は末梢セロトニンレベルを減少させるため、広範な疾患及び障害を治療するために使用され得る。2006年12月12日に出願された米国特許出願第60/874,596号明細書を参照されたい。
【0011】
本発明は、また、(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート及びその薬学的に許容される塩の固体形態を含む剤形と、それらを使用する方法とを対象とする。
【0012】
5.1. 定義
特に明示のない限り、「末梢セロトニンにより媒介される疾患又は障害」及び「末梢セロトニンにより媒介される疾患及び障害」という語句は、1つ又は複数の症状を有する疾患及び/又は障害であって、その重症度が末梢セロトニンレベルにより影響される、疾患及び/又は障害を意味する。
【0013】
特に明示のない限り、「管理する(manage)」、「管理すること(managing)」及び「管理(management)」という用語は、特定の疾患又は障害を既に患ったことのある患者において疾患若しくは障害の再発を予防すること、及び/又は疾患若しくは障害を患っている患者が寛解を保つ時間を長くすることを包含する。この用語は、疾患若しくは障害の閾値、発症及び/又は継続期間を調節すること、又は患者の疾患若しくは障害に対する応答の仕方を変化させることを包含する。
【0014】
特に明示のない限り、「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」及び「予防(prevention)」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患し始める前に起こる、疾患又は障害の重症度を抑制又は軽減させる作用を意図する。すなわち、本用語は予防法を包含する。
【0015】
特に明示のない限り、化合物の「予防的有効量」は、疾患若しくは状態、又は疾患若しくは状態に関連する1つ若しくは複数の症状を予防するのに、又はその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防的有効量は、単独で又は他の薬剤と併用して、疾患又は状態の予防において予防的利点を提供する治療剤の量を意味する。「予防的有効量」という用語は、予防法全体を改善する、又は別の予防剤の予防有効性を高める量を包含し得る。
【0016】
特に明示のない限り、化合物の「治療的有効量」は、疾患若しくは状態の治療若しくは管理において治療的利点を提供するのに、又は疾患若しくは状態に関連した1つ若しくは複数の症状を遅延若しくは最小化するのに十分な量である。化合物の治療的有効量は、単独で又は他の療法と併用して、疾患又は状態の治療又は管理において治療的利点を提供する、治療剤の量を意味する。「治療的有効量」という用語は、療法全体を改善するか、疾患若しくは状態の症状若しくは原因を軽減若しくは回避するか、又は別の治療剤の治療有効性を高める量を包含し得る。
【0017】
特に明示のない限り、「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」及び「治療(treatment)」という用語は、患者が特定の疾患又は障害を患っている間に起こる作用を意図し、これにより疾患若しくは障害の重症度、又は1つ若しくは複数のその症状が軽減されるか、又は疾患若しくは障害の進行が遅延又は減速する。
【0018】
特に明示のない限り、「挙げられる(複数)(include)」という用語は、「挙げられる(include)が、限定されない」と同じ意味を有し、「挙げられる(単数)(includes)」という用語は、「挙げられる(includes)が、限定されない」と同じ意味を有する。同様に、「等」という用語は、「等(限定されない)」という用語と同じ意味を有する。
【0019】
特に明示のない限り、一連の名詞の直前にくる1つ又は複数の形容詞は、それぞれの名詞を修飾するものと解釈される。例えば、「必要に応じて置換されたアルキル、アリール又はヘテロアリール」という語句は、「必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール、又は必要に応じて置換されたヘテロアリール」と同じ意味を有する。
【0020】
特に明示のない限り、化合物又は化合物の属(genus)の構造又は名称は、その化合物又は化合物の属の全ての形態、及びその化合物又は化合物の属を含む全ての組成物を包含する。
【0021】
満たされていない原子価を有する図中に示された任意の原子は、この原子価を満たすのに十分な水素原子と結合していると推測されることにも留意すべきである。加えて、一本の破線に平行な一本の実線で示された化学結合は、原子価が許容する場合、単結合及び二重結合(例えば、芳香族)の両方を包含する。1つ又は複数のキラル中心を有する化合物を表すが、(例えば、太線又は破線で)立体化学を示さない構造は、純粋な立体異性体及びその混合物(例えば、ラセミ混合物)を包含する。同様に、1つ又は複数のキラル中心を有するが、これらの中心の立体化学を特定しない化合物の名称は、純粋な立体異性体及びその混合物を包含する。
【0022】
5.2. (S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの形態
本発明は、(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート:
【0023】
【化1】
【0024】
及びその薬学的に許容される塩の固体形態を対象とする。特定の固体形態は、結晶である。
【0025】
本発明の一実施形態は、結晶性の(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート遊離塩基(freebase)を包含する。この化合物の一形態は、示差走査熱量測定(DSC)により求められる、約104℃の融点(開始温度)を有する。この形態は、約10.7度、12.2度、12.8度、17.7度及び/又は22.0度(2θ)でピークを含有する粉末X線回折(XRPD)パターンを提供する。当業者には十分に明らかなように、結晶性物質のXRPDパターンにおけるピークの相対強度は、試料の調製方法とデータの収集方法とに応じて変動し得る。この点を考慮に入れて、この結晶形態のXRPDパターンの一例を図1に示す。
【0026】
別の実施形態は、結晶性の(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート馬尿酸塩を包含する。この化合物の一形態は、約142℃の融点(DSC開始温度、約147℃でピークを有する)を有する。この形態は、約8.2度、9.5度、12.6度、16.9度、21.8度、22.0度、22.7度、24.3度及び/又は29.1度(2θ)でピークを含有するXRPDパターンを提供する。この結晶形態のXRPDパターンの一例を図2に示す。この結晶形態のFT−ラマンスペクトルの一例を図3に示す。
【0027】
別の実施形態は、結晶性の(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートコハク酸塩を包含する。この化合物の一形態は、約7.7度、11.5度、11.7度、15.7度、17.9度、21.1度及び/又は23.2度(2θ)でピークを含有するXRPDパターンを提供する。この結晶形態の粉末X線回折パターンの一例を図4に示す。
【0028】
本発明は、無定形形態及び結晶形態の両方の混合物である固体を包含する。或る特定のこのような固体は、結晶性の(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート又はその薬学的に許容される塩を、少なくとも約50重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%又は99重量%の量で含む。
【0029】
(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの結晶塩は、(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートを含む溶液を、(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの塩を提供するのに十分な条件下で、薬学的に許容される酸と接触させること、(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの結晶塩を提供するのに十分な条件下で、溶液中の塩の溶解度を低減すること、及び結晶塩を単離することにより、調製され得る。
【0030】
溶液は、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、メチルt−ブチルエーテル及びメチルイソブチルケトン等の溶媒を含み得る。特定の酸としては、馬尿酸及びコハク酸が挙げられる。
【0031】
溶液中の塩の溶解度は、溶液を冷却することにより、溶液中の(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの濃度を増大させることにより、又は溶液に貧溶媒(anti-solvent)(すなわち、その塩が不溶性である溶媒)を添加することにより、低減され得る。ヘプタンは貧溶媒の一例である。
【0032】
結晶性の(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート遊離塩基は、塩基性水溶液を有機懸濁液に添加して、有機成分及び水性成分を有する混合物を提供すること(該有機懸濁液が(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの塩(例えば馬尿酸塩)及び有機溶媒を含む);有機成分を混合物から単離すること、及び有機成分を冷却及び/又は濃縮して、結晶性の(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートを提供することにより、調製され得る。
【0033】
有機溶媒の例としては、エーテルが挙げられる。塩基性水溶液の例としては、炭酸水素ナトリウムの水溶液が挙げられる。
【0034】
5.3. 治療方法
本発明は、トリプトファンヒドロキシラーゼ(TPH)を阻害する方法であって、TPHを本発明の化合物(すなわち、本明細書中に開示される化合物)と接触させることを含む、方法を包含する。特定の方法では、TPHはTPH1アイソフォームである。特定の方法では、阻害はin vitroでの阻害である。別の方法では、阻害はin vivoでの阻害である。
【0035】
本発明は、末梢セロトニンにより媒介される様々な疾患及び障害を治療、予防及び管理する方法であって、このような治療、予防又は管理が必要な患者においてTPH1活性を阻害することを含む、方法を包含する。
【0036】
特定の疾患及び障害としては、カルチノイド症候群、並びに胃腸の疾患及び障害が挙げられる。特定の疾患及び障害の例としては、腹痛(例えば、甲状腺髄様癌に関連する)、不安神経症、カルチノイド症候群、セリアック病、便秘(例えば、医原性因を有する便秘及び特発性便秘)、クローン病、うつ病、糖尿病、下痢(例えば、胆汁酸下痢、エンテロトキシン誘導性分泌性下痢、医原性因を有する下痢、特発性下痢(例えば、特発性分泌性下痢)、及び旅行者下痢)、嘔吐、機能性腹痛、機能性消化不良、過敏性腸症候群(IBS)、ラクトース不耐症、I型及びII型のMEN、オギルビー症候群、膵性コレラ症候群、膵機能不全、褐色細胞腫(pheochromacytoma)、強皮症、身体化障害、及びゾリンジャー−エリソン症候群が挙げられる。
【0037】
5.4. 薬学的組成物
本発明は、本発明の固体形態を含む薬学的組成物及び剤形を包含する。本発明の薬学的組成物及び剤形は、1つ又は複数の薬学的に許容される担体又は賦形剤(excipients)を必要に応じて含有し得る。或る特定の薬学的組成物は、患者への経口、局所、粘膜(例えば鼻、肺、舌下、膣、頬側若しくは直腸)、非経口(例えば皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内若しくは動脈内)又は経皮投与に好適な単回単位(single unit)剤形である。剤形の例としては、錠剤;カプレット;軟ゼラチンカプセル等のカプセル;カシェ剤;トローチ;ロゼンジ;分散液;坐剤;軟膏;パップ(湿布);ペースト;粉末;包帯剤;クリーム;硬膏;溶液;パッチ;エアロゾル(例えば経鼻スプレー又は吸入剤);ゲル;懸濁液(例えば、水性又は非水性の液体懸濁液、水中油型乳濁液、又は油中水型液体乳濁液)、溶液及びエリキシルを含む、患者への経口投与又は粘膜投与に好適な液体剤形;患者への非経口投与に好適な液体剤形;並びに患者への非経口投与に好適な液体剤形を提供するために再構成され得る滅菌固体(例えば結晶性又は無定形の固体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本製剤は、投与様式に適合する必要がある。例えば、経口投与には、胃腸管内での分解から活性成分を保護するための腸溶コーティングが必要であり得る。別の例としては、活性成分は、分解酵素から活性成分を保護し、循環系における輸送を容易にし、及び/又は細胞膜を介する細胞内部位への送達を達成するために、リポソーム製剤で投与され得る。
【0039】
本発明の剤形の組成、形状及び種類は、典型的にはその用途に応じて異なる。例えば、疾患の急性期治療で使用される剤形は、それが含む活性成分の1つ又は複数を、同一疾患の慢性期治療で使用される剤形よりも多量に含有し得る。同様に、非経口剤形は、それが含む活性成分の1つ又は複数を、同一疾患を治療するために使用される経口剤形よりも少量含有し得る。本発明により包含される特定の剤形が互いに異なる、これらの方法及び他の方法が、当業者には容易に明らかであろう。例えば「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第18版、Mack Publishing、Easton PA(1990)を参照されたい。
【実施例】
【0040】
6. 実施例
6.1. 1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノンの調製
【0041】
【化2】
【0042】
メカニカルスターラー、温度調節器及び窒素入口を備えた3L容三口丸底フラスコに、室温でカリウムtert−ブトキシド(Aldrich、95%、84.6g、0.716モル)及びDMSO(400mL、4×)を投入し、15分間撹拌した。この溶液にピラゾール2(59g、0.719モル)を添加し、その後DMSOでリンスした(50mL、0.5×)。得られた橙色の混濁液を15分間撹拌し、フルオリド1(100g、0.477モル)を添加し、その後DMSOでリンスした(50mL、0.5×)。この混合物をその後50℃に加熱し、この温度で5時間保持した。室温まで冷却した後、反応混合物をMTBE(750mL)で希釈し、水(500mL)を添加し、褐色の混濁混合物を得た。15分の撹拌後、有機層を分離し、1N HCl(250mL)、塩水(brine)(250mL)及び水(250mL)で順番に洗浄した。GCを使用して、有機層の溶液アッセイを実施した(変換率99%超、3とその位置異性体4との溶液収率は、それぞれ83%及び17%であった)。MTBE溶液を、その後真空下で総体積約200mLまで濃縮した(KFにより水0.737%が示された)。THF(500mL)を添加し、2×溶液(KF=0.158%)まで濃縮した。THF添加−濃縮の順次処理(sequence)を繰り返し、2×溶液(KF=0.023%)を得て、それを次の工程で直接使用した。
【0043】
化合物3及び化合物4の分析試料を、カラムクロマトグラフィにより精製し、特徴付けた:化合物3:白色の結晶;H NMR(400MHz,CDCl)δ7.80(1H,d,J=2.3Hz)、7.61(1H,d,J=8.6Hz)、7.58(1H,d,J=2.5Hz)、7.22(1H,dd,J=8.6,2.6Hz)、6.27(1H,d,J=2.5Hz)、2.38(3H,s);13C NMR(100MHz,CDCl)δ150.8、140.6、134.6、134.1、132.0、129.0、128.2、115.4、107.0、13.6。化合物4:白色の結晶;H NMR(400MHz,CDCl)δ7.65(1H,d,J=8.6Hz)、7.62(1H,d,J=1.5Hz)、7.43(1H,d,J=2.5Hz)、7.35(1H,dd,J=8.6,2.2Hz)、6.21(1H,s)、2.19(3H,s);13C NMR(100MHz,CDCl)δ140.6、140.2、140.0、134.1、133.9、130.8、130.2、120.7、105.9、11.4。
【0044】
【化3】
【0045】
上記THF溶液を、メカニカルスターラー、温度調節器及び窒素入口を備えた3L容ジャケット付き三口丸底フラスコに移した。THF(800mL)で希釈した後、溶液中の水含有量をKFにより確認した(0.053%)。上記溶液に、0℃〜10℃で1時間かけて、i−PrMgClのTHF溶液(Aldrich、2M、286mL、0.572モル)を添加した。得られた溶液を、10℃で30分間撹拌した。(GCにより、マグネシウム−臭素交換反応の完了が示された)。トリフルオロ酢酸エチル(74mL、0.620モル)を、その後−20℃〜−10℃で45分かけて、Grignard溶液に添加し、ゆっくりと0℃まで加温し、同じ温度で30分間撹拌した。反応混合物を0℃で2N HCl(300mL)中に注ぎ、室温で30分間撹拌した。有機層をMTBE(500mL)で希釈し、塩水(250mL)で洗浄しその後水(250mL)で洗浄した。有機層の溶液アッセイを、GCを使用して実施した(化合物5:溶液収率67%、対応する位置異性体6は、5に対して約20%で存在した)。溶液を、その後真空下で2×溶液まで濃縮した。水を除去するために、THF(500mL)を添加し、2×溶液まで蒸発させた。THF添加−濃縮を繰り返し、2×溶液を得た。ヘプタン(500mL)を添加し、2×溶液まで濃縮し、再結晶化のために溶媒を交換した。ヘプタン(500mL)を再び添加し、3.5×溶液まで濃縮した。
【0046】
3.5×ヘプタン溶液をその後、メカニカルスターラー、温度調節器及び窒素入口を備えた1L容ジャケット付き三口丸底フラスコに移した。溶液を60℃で加熱し、得られた均一な溶液を、撹拌しながら室温までゆっくりと(1時間〜2時間)冷却し、0℃までさらに冷却し、同じ温度で30分間撹拌した。結晶を収集し、氷冷した(ice-cold)ヘプタン(200mL)で洗浄し、真空下50℃で乾燥させ、淡黄色の固体(化合物5、85.7g、GCによる純度99%、フルオリド1からの収率62%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.85(1H,d,J=2.5Hz)、7.48(1H,d,J=1.7Hz)、7.38(1H,d,J=8.3Hz)、7.31(1H,dd,J=8.1、1.8Hz)、6.33(1H,d,J=2.5Hz)、2.30(3H、s);13C NMR(100MHz,CDCl)δ184.2(q、JC−F=36.6Hz)、151.7、138.7、138.5、130.7、126.4、125.7、124.5、116.8、116.1(q、JC−F=289.8Hz)、109.7、13.0;19F NMR(376MHz,CDCl)δ=−76.8(s)。
【0047】
6.2. (R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの調製
【0048】
【化4】
【0049】
メカニカルスターラー、温度調節器及び窒素入口を備えた3L容ジャケット付き三口丸底フラスコに、ジクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)イリジウム(III)ダイマー([CpIrCl、STREM、CAS#:12354−85−7、34mg、0.043ミリモル)、(1R,2R)−(−)−N−(4−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン(STREM、CAS#:144222−34−4、32mg、0.087ミリモル)及び水(400mL、4×)を室温で順番に投入した。得られた混合物を40℃で3時間撹拌し、均一な橙色の溶液を得た。この活性触媒溶液に、ギ酸カリウム(145.5g、1.73モル)とケトン 1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン(100g、GCによる純度99%超、0.346モル)のCHCN(500mL、5×)溶液とを40℃で添加した。反応混合物をその後40℃で2時間撹拌し、その時点で反応が完了したことをGCにより判断した。30℃まで冷却した後、水層(約480mL)を除去した。有機層(約600mL、6×)を、45℃で2時間活性炭(Darco G−60、20g、0.2×)で処理し、Celpure P65(USP−NF、医薬品グレード、Sigma)の1/4インチのベッドにより濾過し、CHCN(200mL、2×)で洗浄した。濾過物(filtrate)を、250mL(2.5×)まで濃縮し、メカニカルスターラー及び温度調節器を備えた2L容ジャケット付き三口丸底フラスコに移した。さらなるCHCN(50mL、0.5×)を添加し、溶液体積を300mL(3×)まで増大させた。この溶液を60℃まで加温し、水(500mL、5×)をこの溶液に同じ温度で添加した。60℃で15分間撹拌した後、得られた乳濁液様の乳白色混合物を、室温までゆっくりと冷却した。結晶をその後室温で濾過し、CHCN/水(1:2、150mL、1.5×)で洗浄した。湿ったケーキ(cake)(108g、KF:8.83%)を、真空下45℃で4時間乾燥させ、所望のアルコール(白色の固体、95g、収率94%、化学的純度99%超、99%超ee、KF:0.014%)を得た。H NMR(メタノール−d、400MHz)δ2.19(br.s.,3H)、5.23(dd,6.8Hz,7.2Hz,1H)、6.19(d,2.4Hz,1H)、7.29(d,2Hz,1H)、7.42(dd,2.0Hz,6.4Hz,1H)、7.59(d,2.4Hz,1H)、7.68(d,8.4Hz,1H)。13C NMR(メタノール−d)δ13.4、67.2、108.3、121.7、124.5、127.4、130.1、131.9、134.1、136.4、141.6、152.3。LC/MS:MH=291。
【0050】
6.3. (S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(4−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フェニル)プロパノエートの調製
【0051】
【化5】
【0052】
この化合物を、文献(Shieh, et al,, J. Org. Chem. 57:379-381(1992))の手法に基づき調製した。Boc−Tyr−OMe(Bachem、California、100g、0.34モル)及びN−メチルモルホリン(51g、1.5当量)のジクロロメタン溶液(1000ml)に、−5℃〜−15℃で2時間かけて、トリフリック・アンハイドライド(triflic anhydride)(100g、1.05当量)を添加した。得られた赤色の溶液を、10分間−10℃で撹拌した。HPLC分析により、出発物質の完全な消失が示された。反応を、10%クエン酸(500ml)で停止した。有機層を、10%クエン酸(500ml)で、その後水(500ml)で洗浄した。得られた淡いピンク色の溶液を、減圧下で200mlまで濃縮した。これをアセトニトリル(600ml)で希釈し、さらに濃縮し200gの溶液とした。この溶液を、さらに精製することなく、次の工程に使用した。試料をストリッピングし乾燥させて低融点の淡黄色の固体を得て、収率を98%と評価した。LC−MS(ESI):MH=428.0、MNH=445.0。H NMR(CDCl)δ7.16(m,4H)、4.95(d,J=7.1Hz,1H)、4.53(m,1H)、3.64(s,3H)、3.10(dd,J=5.7Hz,J=13.8Hz,1H)、2.97(dd,J=6.3Hz,J=13.6Hz,1H)、1.34(s,9H)。13C NMR(CDCl)δ172.3、155.4、149.0、137.4、131.5、121.7、119.1(q,J=321Hz)、80.54、54.62、52.7、38.3、28.6。19F NMR(CDCl)δ−73.4。
【0053】
6.4. (S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(borolan)−2−イル)フェニル)プロパン酸の調製
【0054】
【化6】
【0055】
この化合物を、文献(Firooznia, et al, Tetrahedron Lett. 40:213-216(1999))の手法に基づき調製した。ビス(ピナコラト)ジボロン(90g、1.1当量)、酢酸カリウム(63g、2当量)、トリシクロヘキシルホスフィン(2.3g、2.5モル%)及び酢酸パラジウム(0.72g、1モル%)を、アセトニトリル(950ml)中で混合し、得られた混合物を室温で5分間撹拌した。(S)−メチル2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(4−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−フェニル)プロパノエート溶液(190g、0.32モル)を添加し、得られた混合物を80℃で1時間加熱し、冷却した。HPLCにより、出発物質の完全な消費が示された。反応混合物を、炭酸水素カリウム水溶液(475mlの水中57g)で停止し、得られた混合物を、室温で30分間撹拌した。セルロースのパッドにより混合物を濾過し、パラジウム黒を除去した。有機層の試料を濃縮し、カラムクロマトグラフィ(グラジエント:酢酸エチル/ヘキサン 1:10→1:4)により精製し、(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロパノエートを透明な油として得た。LC−MS(ESI):MH=406.2、MNH=423.2、M=811.5、MNH=428.5。H NMR(CDCl)δ7.76(d,J=8.1Hz,2H)、7.15(d,J=7.6Hz,2H)、4.96(d,J=7.3Hz,1H)、4.60(m,1H)、3.72(s,3H)、3.13(m,2H)、1.44(s,9H)、1.36(s,12H)。
【0056】
上記のエステルの有機層を、室温で30分間、水酸化リチウム水溶液(500mLの水中23g)で撹拌した。得られたスラリーのpHを、6N塩酸で約10に調整し、濾過した。ケーキを水(200mL)で洗浄した。減圧下でアセトニトリルを濾過物から除去し、水性のスラリーを得た(950mL、追加の水を蒸留時に添加した)。セルロースのパッドによりスラリーを濾過し、水(200mL)で洗浄した。濾過物をMTBE(500mL)で洗浄し、700mLのMTBEで再希釈した(rediluted)。混合物を、6N塩酸でpH約4.5に酸性化した。有機層を、水(500mL)で洗浄し、減圧下で濃縮し、褐色の油として酸化合物を得た(206g、NMRにより評価した純度に基づき収率95%)。粗生成物は、以下の工程で直接使用することができる。代替的に、MTBE/ヘプタンからの結晶化により化合物を精製し、小量の対応するボロン酸である(S)−3−(4−ボロノフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸を含有する白色の固体を得ることができる。MS(ESI):MH=392.2、MNH=409.2、M=783.4、MNH=800.4。H NMR(CDCl)δ7.95(br s,1H)、7.76(d,J=7.8Hz,2H)、7.21(d,J=7.6Hz,2H)、5.03(d,J=7.8Hz,1H)、4.62(m,1H)、3.18(m,2H)、1.43(s,9H)、1.35(s,12H)。13C NMR(CDCl)δ175.8、155.7、139.7、135.4、129.2、84.2、80.5、54.5、38.3、28.7、25.2。
【0057】
6.5. (S)−3−(4−(2−アミノ−6−クロロピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸の調製
【0058】
【化7】
【0059】
メカニカルスターラー及び温度調節器を備えた2L容三口丸底フラスコに、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロパン酸(30.3g、0.078モル)、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(38.03g、3.0当量)、触媒POPd6(0.605g、1.0モル%、CombiPhos Catalysts, Inc., New Jersey)及びエタノール(728mL)を添加した。上記の撹拌中のスラリーに、その後炭酸水素カリウム水溶液(HO 173mL中27.85g、3.5当量)を、COガスの発生が激しくないように、ゆっくりと添加した。この混合物を75℃で6時間加熱し、その時点でHPLC分析により出発物質の変換率が99%を超えることが示された。減圧下でエタノールを混合物から除去し、水性のスラリー(約200mL)を得た。追加のHO(90mL)を添加し、溶液を約250mLまで濃縮した。水(90mL)をスラリーに添加し、その後濾過し、水(60mL、×2)で洗浄した。濾過物を酢酸エチル(150mL)で抽出した。水溶液をDarco−G60(6.0g)で60℃で2時間処理し、celite(Celpure 300、10g)により濾過し、THF(240mL)及びトルエン(180mL)で希釈した。pHが4.0に到達するまで、混合物に6N HClを室温でゆっくりと添加した。有機層を分離し、水(180mL)で洗浄し、Darco−G60(6.0g)を添加した。得られた混合物を、60℃で2時間加熱した。溶液を室温まで冷却し、celite(Celpure 300、10g)により濾過した。ケーキを、THF(30mL、×2)で洗浄した。得られた溶液を真空下で約180mLの全体積まで濃縮し、その時点で、溶液から生成物が沈殿した。スラリーをその後室温まで冷却し、濾過し、ケーキをトルエンにより洗浄した(30mL、×2)。固体を真空下50℃で終夜オーブンを用いて乾燥させ、H NMRによると約8.0重量%のトルエンを含有する淡黄色の固体として、24.0gの生成物を収率75%(補正後)で得た。HPLCにより、純度が91%であり、9.0%の二酸(diacid)不純物を有することが示された。
【0060】
6.6. 炭酸カリウムを塩基として使用して、(S)−2−アミノ−3−(4−ボロノフェニル)プロパン酸から(S)−3−(4−(2−アミノ−6−クロロピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸を調製するための代替的手法
【0061】
(S)−2−アミノ−3−(4−ボロノフェニル)プロパン酸(Ryscor Science, Inc., North Carolina、1.0g、4.8ミリモル)及び炭酸カリウム(1.32g、2当量)を、水性エタノール(エタノール15ml及び水8ml)中で混合した。ジ−tert−ブチルジカーボネート(1.25g、1.2当量)を、一度に添加した。室温で30分かき混ぜた後、HPLC分析により、出発化合物の完全な消費と、(S)−3−(4−ボロノフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸の形成とが示された。2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(1.18g、1.5当量)及び触媒ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(34mg、1モル%)を添加し、得られた混合物を65℃〜70℃で3時間加熱した。HPLC分析により、中間体(S)−3−(4−ボロノフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸の完全な消費が示された。濃縮及び濾過後、表題の化合物の標準溶液に対する得られた水溶液のHPLC分析により、表題の化合物が1.26g(収率67%)であることが示された。
【0062】
6.7. 炭酸カリウム/炭酸水素カリウムを塩基として使用して、(S)−2−アミノ−3−(4−ボロノフェニル)プロパン酸から(S)−3−(4−(2−アミノ−6−クロロピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸を調製するための代替的手法
【0063】
(S)−2−アミノ−3−(4−ボロノフェニル)プロパン酸(10g、48ミリモル)及び炭酸水素カリウム(14.4g、3当量)を、水性エタノール(エタノール250ml及び水50ml)中で混合した。ジ−tert−ブチルジカーボネート(12.5g、1.2当量)を、一度に添加した。HPLC分析により、室温での終夜の撹拌後も反応が完了していないことが示された。炭酸カリウム(6.6g、1.0当量)と、追加のジ−tert−ブチルジカーボネート(3.1g、0.3当量)を添加した。2.5時間室温でかき混ぜた後、HPLC分析により、出発化合物の完全な消費と、(S)−3−(4−ボロノフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸の形成とが示された。2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(11.8g、1.5当量)及び触媒ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)二塩化物(0.34g、1モル%)を添加し、得られた混合物を、75℃〜80℃で2時間加熱した。HPLC分析により、中間体(S)−3−(4−ボロノフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸の完全な消費が示された。混合物を減圧下で濃縮し、濾過した。濾過物を、酢酸エチル(200ml)で洗浄し、3:1のTHF/MTBE(120ml)で希釈した。この混合物を、6N塩酸によりpH約2.4まで酸性化した。有機層を、塩水で洗浄し、減圧下で濃縮した。残留物をイソプロパノール中で沈殿させ、濾過し、真空下50℃で乾燥させてオフホワイト色の固体として表題の化合物(9.0g、収率48%)を得た。純度:92.9%(HPLC分析による)。母液の濃縮により、追加の2.2gのオフホワイト色の粉末を得た(収率12%)。純度:93.6%(HPLC分析による)。
【0064】
6.8. (S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの調製
【0065】
【化8】
【0066】
メカニカルスターラー、温度調節器及び冷却器を備えた500mL容三口丸底フラスコに、一塩化物(S)−3−(4−(2−アミノ−6−クロロピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸(20.0g、51ミリモル)、(R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(99%超ee、16.3g、56ミリモル、1.1当量)、CsCO(24.9g、76ミリモル、1.5当量)及び無水1,4−ジオキサン(150mL、7.5×、KF=0.003%)を投入した。混合物を窒素下で撹拌し、十分に撹拌しながら温度を100℃まで高めた。反応混合物を100℃で1時間撹拌し、追加のCsCO(33.2g、102ミリモル、2.0当量)を添加した。反応混合物をその後100℃で18時間撹拌した。不均一な反応混合物を90℃まで冷却し、十分に撹拌しながら水(150mL、7.5×)を添加した。混合物を室温まで冷却した。
【0067】
二相溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(1.11g、5.1ミリモル、0.1当量)を室温で添加し、同じ温度で2時間撹拌した。トルエン(100mL、5×)を添加し、得られた混合物を室温で15分間撹拌し、相を分離した(split)。水(100mL、5×)を有機層に添加し、得られた混合物を室温で15分間撹拌し、相を分離した。その後水層(pH=10.5)を室温で6N HClを使用してpH7〜pH6まで酸性化した。EtOAc(100mL、5×)をこの混合物に添加し、pH4までのさらなる酸性化を、十分に撹拌しながら6N HClを使用して室温で実施した。有機層を分離した後、水層をEtOAc(100mL、5×)で抽出した。組み合わせた有機層を塩水(100mL、5×)で洗浄した。その後EtOAc層を真空下で総体積約40mL(2×)まで濃縮した。EtOH(100mL、5×)を添加し、2×溶液まで濃縮した。EtOH(150mL、7.5×)添加−濃縮の順次処理を繰り返し、(S)−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸の2×溶液を得て、それを次の化学的工程に直接使用した。溶液アッセイにより、化合物の純度が100%であると仮定して、(S)−3−(4−(2−アミノ−6−クロロピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸からの収率が約75%であることが示された。分析的に純粋なBoc−酸を、カラムクロマトグラフィにより得て、特徴付けを行った:H NMR(DMSO−d,400MHz)δ1.30(s,9H)、2.34(s,3H)、2.86(dd,1H)、3.07(dd,1H)、4.14(m,1H)、6.45(d,1H)、6.83(s,1H)、7.29(dd,1H)、7.33(d,2H)、7.61(dd,1H)、7.75(d,1H)、7.99(d,2H)、8.21(d,1H)、12.5−12.8(br.s.,1H)。13C NMR(DMSO−d)δ13.99、13.89、22.05、27.78、28.08、28.32、31.21、36.22、54.83、67.41、67.73、78.03、91.15、107.69、124.99、125.18、126.59、128.12、129.30、130.23、132.69、134.65、135.08、140.73、140.89、150.41、155.39、162.76、166.17、168.22、173.40。Anal.Calcd for C3030ClF:C、55.69;hours、4.67;N、12.99。Found:C、55.65;hours、4.56;N、12.74。
【0068】
上記2×溶液を、室温でEtOH(60mL、3×)及びCHCN(100mL、5×)で希釈した。TBTU(純度97%、Fluka、19.7g、61ミリモル、1.2当量)及びN−メチルモルホリン(6.17mL、56ミリモル、1.1当量)を、窒素下でこの溶液(KF=0.034%)に添加した。得られた溶液を、室温で4時間撹拌した。HPLCにより、Boc−酸がBoc−エステル (S)−エチル 3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパノエートに定量的に変換されることが示された。反応混合物を、減圧下(浴温度40℃、100mbar)で約2×まで濃縮し、EtOAc(100mL、5×)及び水(100mL、5×)で希釈した。有機層を飽和KHCO水溶液(pH約8.5)(2×100mL、5×)及び塩水(50mL、2.5×)で洗浄した。その後この赤色の有機層を、活性炭(Darco G−60、8g、0.4×)で50℃で1.5時間処理し、Celpure P65(USP−NF、医薬品グレード、Sigma)の1/4インチのベッドにより濾過し、ケーキをCHCN(100mL、5×)で洗浄した。得られた黄色の濾過物を、2×溶液まで濃縮した。CHCN(100mL、5×)を添加し、溶液を2×溶液まで濃縮した。CHCN添加−濃縮の順次処理を繰り返し、Boc−エステルの2×CHCN溶液を得て、次の工程に直接使用した。分析的に純粋なBoc−エステルを、カラムクロマトグラフィにより得て、特徴付けを行った:H NMR(DMSO−d,300MHz)δ1.11(t,J=7.06Hz,3H)、1.31(s,9H)、2.34(s,3H)、2.85−3.08(m,2H)、4.1−4.2(m,1H)、6.45(d,J=2.29Hz,1H)、6.84(s,1H)、7.25−7.41(m,3H)、7.66(dd,J=8.58,2.10Hz,1H)7.71(d,J=2.1Hz,1H)7.80(d,J=8.58Hz,1H)8.0(d,J=8.39Hz,2H)8.21(d,J=2.29Hz,1H)。13C NMR(DMSO−d)δ13.2、14.0、22.1、24.7、27.7、28.0、28.3、28.4、31.2、33.9、34.1、36.2、36.6、55.0、56.3、60.4、67.1、67.4、67.7、68.0、78.2、78.5、91.1、107.7、122.1、125.0、125.2、126.6、127.7、128.1、129.3、130.2、132.7、134.7、135.1、140.4、140.7、150.4、154.2、155.3、162.8、166.1、168.2、171.9。Anal.Calcd for C3234ClF:C、56.93;hours、5.08;N、12.45。Found:C、57.20;hours、4.86;N、12.21。
【0069】
上記2×溶液を、追加のCHCN(160mL、8×)で、室温で希釈した。メタンスルホン酸(18.4mL、255ミリモル)を、この溶液(KF=0.005%)に室温で添加し、45℃で1時間撹拌し、その時点でHPLCにより脱−Boc反応が完了したことが示された。反応混合物を2×まで濃縮し、0℃〜5℃まで冷却し、氷冷した水(100mL、5×)で希釈し、この水溶液を冷却した酢酸イソプロピル(IPAc、100mL、5×及び50mL、2.5×)で2回洗浄した。その後水層を撹拌しながら、5℃で、20%NaCO水溶液でpH=6まで塩基性化した。IPAc(100mL、5×)をこの混合物に添加し、pH8.5までのさらなる塩基性化を、十分に撹拌しながら室温で20%NaCO水溶液を使用して実施した。有機層を分離した後、水層をIPAc(50mL、2.5×)で抽出した。組み合わせた濁った有機層を、2×溶液まで濃縮した。IPAc(100mL、5×)を添加し、混合物を、無機塩を含有する2×溶液まで濃縮した。混合物を濾過し、固体をIPAc(100mL、5×)で洗浄し、濾過物を2×溶液まで濃縮した。この透明なIPAc溶液のHPLCアッセイにより、20.8gの表題の化合物(36ミリモル、99%超(HPLCによる)、溶液収率71%)が示された。
【0070】
分析的に純粋な表題の化合物を、カラムクロマトグラフィにより得て、特徴付けを行った:H NMR(DMSO−d,400MHz)δ1.15(t,J=7.07Hz,3H)、2.39(s,3H)、2.50(m,2H)、3.63(t,J=6.82Hz,1H)、4.07(q,J=7.07,14.5Hz,2H)、6.50(d,J=2.27Hz,2H)、6.87(s,1H)、7.33(m,3H)、7.65(dd,J=8.59,2.27Hz,1H)、7.71(d,J=2.27Hz,1H)、7.81(d,J=8.59Hz,1H)、8.01(d,J=8.08Hz,2H)、8.26(d,J=2.27Hz,1H)。13C NMR(DMSO−d)δ13.4、13.9、18.5、21.0、21.5、25.4、55.6、56.0、59.9、66.9、67.1、67.4、67.7、68.0、91.1、107.7、122.1、124.9、125.0、125.2、126.5、127.7、128.1、129.4、130.2、132.7、134.6、135.1、140.7、140.9、150.4、162.8、166.2、168.2、174.8。Anal.Calcd for C2726ClF:C、56.40;hours、4.56;N、14.62。Found:C、56.51;hours、4.52;N、14.51。
【0071】
6.9. (S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート馬尿酸塩の調製
【0072】
(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートの2×IPAc溶液を、IPAc(208mL、10×)及びEtOH(42mL、2×)中の馬尿酸(6.49g、36モル、1.0当量)の薄いスラリーに、60℃で添加した。その後透明な黄色の溶液を50℃まで冷却し、その時点で種(seeding)を添加し同じ温度で1時間撹拌した。その後懸濁液を室温までゆっくりと冷却し、室温で14時間撹拌した。固体を濾過し、氷冷したIPAc(0℃〜5℃、42mL、2×)で洗浄し、真空下50℃で終夜乾燥させ、白色の固体(19.0g、収率69%)を得た。M.p.:145℃(DSC開始温度)。
【0073】
6.10. 結晶性の(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート遊離塩基の調製
【0074】
計35.79gの馬尿酸塩を、350mLのメチルtert−ブチルエーテル中に懸濁した。この撹拌中の懸濁液のpHを、10%(w/v)炭酸ナトリウム水溶液125mLを添加することによりpH9.6に調整した。1.5時間後、上部の有機相を取り出し(drawn off)、100mLの塩水で洗浄した。有機層の濃縮により淡橙黄色のガラス状の(glassy)油28.47gを得て、これを週末の間中静置して(standing)、結晶化した。固体を壊し、約45℃でヘプタン400mLで粉砕した。周囲温度まで冷却した後、懸濁した結晶を、濾過により単離し、ヘプタンで洗浄し、約40℃で真空中で乾燥させ、25.49gの表題の化合物を結晶性白色粉末として得た。M.p.:104℃(DSC開始温度)。
【0075】
6.11. 結晶性の(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートコハク酸塩の調製
【0076】
(S)−エチル 2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート(80.2mg)を、THF0.2mL中に懸濁した。コハク酸のTHF溶液(溶液0.372mL中16.4mg、1当量)を、マグネティックスターラーで撹拌しながら、この溶液に添加した。ヘプタン(1.8mL)を液滴で添加し、得られた懸濁液を1.5時間撹拌した。追加のヘプタン(1mL)を添加し、懸濁液を室温で終夜(19.5時間)撹拌した。濾過遠心分離(15000rpm、5分、0.22μmPVDF膜)により白色の固体を単離した。
【0077】
上で言及した全ての文献(例えば、特許及び特許出願)はその全体が、参照により本明細書中に援用される。
図1
図2
図3
図4