(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る照明装置は、光源を備えた照明本体部および該照明本体部を覆って光源からの光を透過させる照明用カバー(以下、単に「カバー」ということがある)を有するものである。例えば、
図1Aに示すように照明用カバー10Aは、光源21が配設された照明本体部20Aの光源配設側全体を覆うように使用される。
図1Aは本発明に係る照明用カバーの一例を用いたLED照明装置100Aの概略縦断面図である。特記しない限り、
図1Aに基づいて説明するものとする。
【0011】
カバー10Aは、
図1Aで示すような縦断面で表したとき、光透過部16および該光透過部16の両端において配置される係合部17を有するものである。光透過部16は、少なくとも透明層11および光拡散層12が積層されてなり、光源21からの光を透過および拡散させる。係合部17は該光透過部16の両端において配置され、照明本体部20Aと係合するためのものである。当該係合によってカバー10Aが照明本体部に固定される。
【0012】
光透過部16は、縦断面で表したとき、中央部160および該中央部160の周辺に配置される周辺部161を有するものである。中央部160は光拡散層12の厚みが略一定である。周辺部161は該中央部160の周辺に配置され、前記係合部17と結合する。
【0013】
本発明においては周辺部161における光拡散層の厚みを中央部における光拡散層の厚みよりも厚くする。具体的には周辺部161は縦断面で表したとき外表面が屈曲する屈曲点を有するものであり、当該屈曲点における光拡散層12の厚みを中央部160における光拡散層12の厚みよりも厚くする。これによって、周辺部161を透過する光の強度ムラが十分に軽減される。
【0014】
屈曲点とは、縦断面において光源21側とは反対側の外表面50または光源21側の外表面51が光源側またはその反対側に屈曲する点である。光源21側とは反対側の外表面50が屈曲する屈曲点をP0
Aとする。当該外表面50は屈曲点P0
Aにおいて、
図1Aに示すように光源21側に屈曲してもよいし、または後述する
図2Bに示すように光源21側とは反対側に屈曲してもよい。
図2Aにおいて外表面50は、光源21側に屈曲する屈曲点P0
Aとその反対側に屈曲する屈曲点P0
Aとを有している。光源21側の外表面51が屈曲する屈曲点をP0
Bとする。当該外表面51は屈曲点P0
Bにおいて
図1Aおよび
図2Aに示すように光源21側に屈曲してもよいし、または
図2Bに示すように光源21側とは反対側に屈曲してもよい。
【0015】
図1Aに示す屈曲点P0
B、後述する
図2Aおよび
図2Bに示す屈曲点P0
A、P0
Bならびに後述する
図3に示す屈曲点P0
Aのように、縦断面において外表面50,51が屈曲して稜角を形成するとき、屈曲点は当該稜角の頂点である。
図1Aに示す屈曲点P0
Aのように、縦断面において外表面が滑らかに曲線状で屈曲して稜角を形成しないとき、屈曲点は、
図1Bに示すように、当該曲線の始点および終点である2つの変曲点(P1、P2)から等距離にある該曲線上の中央点を屈曲点とする。
図1Bは
図1Aにおける周辺部161近傍の拡大図である。変曲点とは、曲率が異なる2つの連続する線の間の境界点を意味する。
【0016】
カバーを縦断面で表したとき、周辺部161は屈曲点を、幅方向WDの一端部あたり少なくとも1つ、特に1つ〜3つ有するものである。例えば
図1Aおよび
図2Bにおいて周辺部161は屈曲点を、幅方向WDの一端部あたり2つ有する。また例えば
図2Aにおいて周辺部161は屈曲点を、幅方向WDの一端部あたり3つ有する。また例えば
図3において周辺部161は屈曲点を、幅方向WDの一端部あたり1つ有する。
【0017】
周辺部161が幅方向WDの一端部あたり1つの屈曲点を有する場合、当該屈曲点における光拡散層12の厚みを中央部160における光拡散層12の厚みよりも厚くすればよい。
【0018】
周辺部161が幅方向WDの一端部あたり2つ以上の屈曲点を有する場合、全ての屈曲点における光拡散層12の厚みを中央部160における光拡散層12の厚みよりも厚くすることが好ましいが、本発明において当該屈曲点は各端部において通常、互いに近くに存在するため、周辺部161の外表面50に幅方向WD一端部あたり1つ以上の屈曲点P0
Aを有する場合は、外表面50における少なくとも1つの屈曲点P0
Aにおける光拡散層12の厚みを中央部160における光拡散層12の厚みよりも厚くすればよい。周辺部161の外表面50に屈曲点P0
Aを有さない場合は、外表面51における少なくとも1つの屈曲点P0
Bにおける光拡散層12の厚みを中央部160における光拡散層12の厚みよりも厚くすればよい。
【0019】
外表面50が屈曲する屈曲点P0
Aにおける光拡散層12の厚みTk
Aは、
図1Bに示すように、縦断面において当該屈曲点P0
Aから、外表面50を形成する最表面層とその隣接層との境界線L1に対して引いた垂線L2方向の厚みである。垂線L2は、該垂線L2と境界線L1との交点P10において境界線L1の接線L3に対して垂直であればよい。
外表面51が屈曲する屈曲点P0
Bにおける光拡散層12の厚みTk
Bは、
図1Bに示すように、縦断面において当該屈曲点P0
Bから、外表面51を形成する最表面層とその隣接層との境界線L1に対して引いた垂線L4方向の厚みである。垂線L4は、該垂線L4と境界線L1との交点P11において境界線L1の接線L5に対して垂直であればよい。
【0020】
中央部160における光拡散層12の厚みTcは上記したように略一定であり、具体的には、
図1Aに示すように、外表面50における2つの屈曲点(P0
A)から等距離にある外表面50上の中央点(P3)における光拡散層12の厚みTcである。外表面50に屈曲点を有さない場合は、外表面51における2つの屈曲点から等距離にある外表面51上の中央点(P3)における光拡散層12の厚みである。中央点(P3)での光拡散層12の厚みTcは、屈曲点(P0
A、P0
B)における厚みと略同様に、当該中央点から最表面層とその隣接層との境界線に対して引いた垂線方向の厚みである。
【0021】
光拡散層12の厚みはカバーの縦断面から光学顕微鏡を用いて測定できる。
【0022】
中央部160における光拡散層の厚みTcに対する屈曲点における光拡散層の厚みTkの割合は、屈曲の程度に応じて適宜設定されればよい。詳しくは屈曲の程度が大きいほど、強度ムラは強く発生するので、Tk/Tcは大きくすることが好ましい。Tk/Tcは、強度ムラの防止の観点から、1.2〜20.0が好ましく、より好ましくは1.3〜10.0である。屈曲点における光拡散層の厚みTkは、屈曲点P0
Aにおける光拡散層12の厚みTk
Aおよび屈曲点P0
Bにおける光拡散層12の厚みTk
Bを包含して意味するものとする。
【0023】
屈曲点における光拡散層の厚みTkおよび中央部における光拡散層の厚みTcは上記した関係を満たす限り特に制限されるものではないが、厚みTcは好ましくは0.1〜10mmであり、より好ましくは0.2〜3mmである。厚みTkは好ましくは0.2〜20mmであり、より好ましくは0.4〜10mmである。
【0024】
周辺部161は、縦断面において、中央部160の周辺に配置される第1周辺部161a、および該第1周辺部の周辺に配置される第2周辺部161bを有するものである。第1周辺部161aでは、光拡散層12の厚みが中央部160から離れるに従って連続的に増大する。第2周辺部161bでは、光拡散層12の厚みが中央部160から離れるに従って連続的に減少した後、略一定になる。
図1Aにおいて第2周辺部161bは、光拡散層の厚みが中央部160から離れるに従って連続的に減少した後、略一定になる構成Iを有しているが、光拡散層の厚みが連続的に減少するだけの構成IIを有してもよいし、または略一定である構成IIIを有してもよい。周辺部の強度ムラの防止と製造コストとのバランスの観点から、第2周辺部161bは、上記構成Iまたは構成IIを有することが好ましい。隣接する部材間の境界、例えば、中央部160と第1周辺部161aとの境界、および第1周辺部161aと第2周辺部161bとの境界において、光拡散層の厚みの変化は連続的である。
【0025】
周辺部161は必ずしも第2周辺部161bを有する必要はなく、第1周辺部161aのみからなっていてもよい(例えば
図2B参照)。
【0026】
外表面50が屈曲点P0
Aを有する場合、外表面50上において1以上の屈曲点P0
Aは第1周辺部161aおよび第2周辺部161bのいずれの外表面上にあってもよいが、強度ムラをより一層有効に防止する観点から、少なくとも1つの屈曲点P0
Aは第1周辺部161aと第2周辺部161bとの境界にあることが好ましい。屈曲点P0
Aがそれらの境界にあるとき、第1周辺部161aにおいて光拡散層の厚みは屈曲点に近づくに従って連続的に増大し、第2周辺部161bにおいて光拡散層の厚みは屈曲点から遠ざかるに従って連続的に減少するか、略一定であるか、または連続的に減少した後、略一定になる。このとき当該境界の屈曲点P0
Aにおける光拡散層の厚みは周辺部161における光拡散層の厚みの最大値であり、当該厚みが中央部における光拡散層の厚みTcと上記した関係を満たせばよい。
【0027】
外表面51が屈曲点P0
Bを有する場合、外表面51上において1以上の屈曲点P0
Bは第1周辺部161aおよび第2周辺部161bのいずれの外表面上にあってもよいが、外表面50が屈曲点P0
Aを有する場合と同様に、少なくとも1つの屈曲点P0
Bは第1周辺部161aと第2周辺部161bとの境界にあることが好ましい。
【0028】
カバー10Aの全体厚みは、縦断面における中央部160および第1周辺部161aにおいて略一定であってもよいし、または一定でなくてもよい。カバーの全体厚みとは、カバーを構成する全ての層の合計厚みという意味である。
【0029】
例えば、カバー10Aの全体厚みが中央部160および第1周辺部161aにおいて一定である場合、中央部160および第1周辺部161aは縦断面において、
図1Aに示すように光源21側とは反対側に凸の略ドーム形状を有してもよいし、光源21側に凸の略逆型ドーム形状を有してもよいし、または略平板形状を有していてもよい。好ましくは略ドーム形状または略平板形状である。
【0030】
また例えば、カバー10Aの全体厚みが中央部160および第1周辺部161aにおいて一定でない場合、中央部160および第1周辺部161aは縦断面において、例えば、略平凹レンズ形状、略凹メニスカスレンズ形状または略平凸レンズ形状等のレンズ形状を形成し、光を発散または集光させる機能を有する。
【0031】
中央部160、第1周辺部161aおよび第2周辺部161bにおけるカバーの全体厚みは、必要とされるカバーの大きさや中央部160および第1周辺部161aが有する形状に応じて適宜決定されればよく、カバー強度の観点から、少なくとも1.0mm以上を確保することが好ましく、通常は1.0〜20mmである。透明層11の厚みは、当該カバーの全体厚みおよび上記した光拡散層の厚みに応じて適宜設定されればよい。
【0032】
光拡散層12は透明樹脂中に光拡散剤が含有されてなる樹脂層である。
光拡散層に含有される透明樹脂はカバーの分野において従来から使用される透明な樹脂が使用可能である。例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート、アクリルニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリスチレン、メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂、透明アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、COP(シクロオレフィンポリマー)、COC(シクロオレフィンコポリマー)およびそれらの混合物等を用いることができる。
【0033】
光拡散剤としては特に制限はなく、公知の有機微粒子や無機微粒子を適宜選択すればよい。有機微粒子としては、架橋スチレン系微粒子、架橋アクリル系微粒子、架橋スチレン−アクリル系微粒子、架橋スチレン−ブタジエン系微粒子、架橋シリコーン微粒子、架橋シロキサン系微粒子、架橋ウレタン系微粒子、メラミン系重合体およびそれらの混合物等が挙げられる。無機微粒子としては、炭酸カルシウム、弗化カルシウム、弗化カリウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、結晶形シリカ、不定形シリカ、ガラスフレーク、ガラス繊維、アルミナ、マイカ、タルク、クレー、およびそれらの混合物等が挙げられる。有機微粒子と無機微粒子とを併用してもよい。光拡散剤の平均一次粒径は特に制限されず、好ましくは0.1〜100μmである。
【0034】
光拡散層における光拡散剤の含有量は所望の光拡散機能が発揮される限り特に制限されず、通常は透明樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部であり、好ましくは1〜10重量部である。
【0035】
光拡散層には所望により紫外線吸収剤、滑剤、その他の合成樹脂成形体に添加される各種添加剤および顔料が含有されてもよい。
【0036】
透明層11は透明樹脂からなる樹脂層である。透明層によって一定のカバー厚みを確保して所定のカバー強度を維持できるので、光拡散剤を節約できる。透明層を構成する透明樹脂は光拡散層に含有される透明樹脂と同様の樹脂が使用でき、光拡散層との接着を確保できる限り、光拡散層に含有される透明樹脂と同一であってもよいし、異なっていても良い。
【0037】
透明層には所望により、透明性を阻害しない限り光拡散層の添加剤と同様の添加剤が含有されてもよい。
【0038】
図1Aにおいて中央部160および周辺部161からなる光透過部16は以下に示す(1)の積層構造を有するものであるが、少なくとも透明層11および光拡散層12を有する限り、積層順序は特に制限されず、例えば、以下に示す(2)または(3)の積層構造を有していてもよい。
(1)透明層および光拡散層;
(2)光拡散層および透明層;および
(3)第1光拡散層、透明層および第2光拡散層。
(但し、上記積層構造において各層の記載順序は光源側から外表面側への積層順序に対応する)。
【0039】
例えば上記(3)の積層構造のように、複数の光拡散層が形成される場合、「光拡散層の厚み」は「光拡散層の合計厚み」と読み替えて前記した説明を適用するものとする。第1光拡散層および第2光拡散層はそれぞれ独立して前記光拡散層の範囲内であればよい。
【0040】
光透過部16における光源から最も遠い層は光拡散層であることが好ましい(例えば、上記(1)および(3)の積層構造)。カバーを、後で詳述する共押出成形法によって製造する場合、光源から最も遠い層が光拡散層であると、光拡散層に含まれる光拡散剤が押出時にコロの役割を果たすので、光透過部16の外表面での押出キズの発生が有効に防止され、意匠性が向上し、キズによる強度ムラの発生も防止できるためである。光透過部16の外表面だけでなく、光源側の内表面での押出キズの発生も防止する観点からは、上記(3)の積層構造を有することが好ましい。
【0041】
光透過部16のカバー幅方向WD両端の係合部17は照明本体部20Aの基板23と係合するためのものである。係合部17と基板23との係合機構はそれらの相互固定が達成される限り特に制限されず、例えば、溝に突起部を嵌合させる溝−突起機構が使用できる。
図1Aでは、カバー10Aが係合部17の内周側に突起部170を有し、当該突起部170が、筐体形状を有する基板23に外向きに形成された溝230に嵌合しているが、
図2A、
図2Bに示すように、カバー10B、10Cの係合部17自体が外周側に突起部170を形成し、当該突起部が、筐体形状を有する基板23に内向きに形成された溝230に嵌合してもよい。
図2Aは、本発明に係る照明用カバーの一例を用いたLED照明装置100Bの概略縦断面の一部拡大図である。
図2Aに示す照明装置100Bは、係合機構および周辺部、係合部および基板端部の断面形状が異なること以外、
図1Aに示す照明装置100Aと同様である。
図2Aにおける
図1Aと同じ符号は、係合機構および周辺部、係合部および基板端部の断面形状が異なること以外、
図1Aと同じ部材または内容を意味するものである。
図2Bは、本発明に係る照明用カバーの一例を用いたLED照明装置100Cの概略縦断面の一部拡大図である。
図2Bに示す照明装置100Cは、係合機構および周辺部、係合部および基板端部の断面形状が異なること以外、
図1Aに示す照明装置100Aと同様である。
図2Bにおける
図1Aと同じ符号は、係合機構および周辺部、係合部および基板端部の断面形状が異なること以外、
図1Aと同じ部材または内容を意味するものである。
【0042】
図1A、
図2Aおよび
図2Bでは、カバー10A,10B、10Cが突起部170を有し、基板23が筐体形状を有し、かつ溝230を有するが、
図3に示すように、カバー10Dが係合部17に溝230を有し、基板23が平板形状を有し、当該基板の端部が係合部17の溝230に嵌合してもよい。
図3は、本発明に係る照明用カバーの一例を用いたLED照明装置100Dの概略縦断面図である。
図3に示す照明装置100Dは、係合機構および各種部材の断面形状が異なること以外、
図1Aに示す照明装置100Aと同様である。
図3における
図1Aと同じ符号は、係合機構および各種部材の断面形状が異なること以外、
図1Aと同じ部材または内容を意味するものである。
図3に示すカバー10Dの中央部160および第1周辺部161aは縦断面において凹メニスカスレンズ形状を形成している。
【0043】
係合部17は光拡散層12を必ず有さなければならないというわけではなく、光拡散層12を有してもよいし、有さなくてもよい。係合部17が光拡散層12を有さない場合、例えば、少なくとも透明層11からなっている。
【0044】
図1A、
図2A、
図2Bおよび
図3に示すカバー10A、10B、10Cおよび10Dは上面図において略長方形状を有するものであるが、カバーの上面形状は特に制限されるものではなく、例えば、略円形状または略正方形状を有するものであってもよい。
【0045】
例えば
図4は上面図において略長方形状を有する
図1Aのカバー10Aを用いたLED照明装置100Aの概略斜視図である。カバーが上面図において略長方形状を有するとき、「縦断面」は長手方向に対する垂直断面を意味するものとする。
図4における
図1Aと同じ符号は
図1Aと同じ部材または意味内容を示すものである。
【0046】
また例えば
図5は上面図において略円形状を有するカバー10Eを用いたLED照明装置100Eの側面見取り図および上面見取り図である。カバーが上面図において略円形状を有するとき、「縦断面」は上面図の中心を通る縦断面を意味するものとする。カバーが上面図において正方形状を有するとき、「縦断面」は、上面図において中心を通り、かつ該正方形の1組の対辺に対して垂直な縦断面を意味するものとする。
図5における
図1Aと同じ符号は、上面形状が異なること以外、
図1Aと同じ部材または内容を意味するものである。
【0047】
本発明に係るカバーは特に、上面形状が略長方形の場合、長手方向を押出方向として共押出成形法により製造することができる。共押出成形法により製造された成形体は共押出成形体と呼ばれ、長手方向において略一定の断面形状(断面構成)を有する。
カバーを押出成形法により製造する場合、カバーの係合部および周辺部は、押出成形された成形体の縦断面において左右の端部ないしその近辺に位置する。
【0048】
共押出成形法においては、ダイ内において2層以上の所定の層を所定の厚みで積層しつつ押出成形を行う。このため各層の材料が押し出されるダイの形状および寸法を調整することにより、縦断面における各層の厚みおよびその変化の制御を達成できる。共押出成形法でカバーを製造することにより、自由な長さの長尺品としてカバーを製造できる。
【0049】
照明本体部20A、20Dおよび20Eは光源21が電気回路部22を介して基板23に配設されてなるものである。
図1A〜
図5中、光源21としてLED素子が使用されているが、これに制限されるものではなく、例えば、いわゆるクリア電球またはシリカ電球であってもよい。LED素子とは、点状に発光する発光ダイオード(light emitting diode)であり、市販のものが使用できる。LED素子の市販品として、例えば、表面実装型LED(日亜化学工業社製)、表面実装型LED(豊田合成社製)、チップLED(ローム社製)等が挙げられる。
【0050】
基板23は、アルミニウム、銅等の金属板が、強度面と放熱性の点で最適であるが、熱伝導性樹脂板を用いることもできる。熱伝導性樹脂は、銅粉やアルミ粉などの金属粉や、酸化亜鉛、アルミナ、グラファイト等の熱伝導性フィラーを一般的な熱可塑性樹脂等の合成樹脂に分散させてなり、これを押出成形して基板を作ることができる。金属板の場合、前方へ光を反射させることができ、表面に凹凸をつけると光を拡散することもできる。
【0051】
電気回路部22は、電源から配線を経て印加された電圧を光源に供給して発光させるための回路であり、例えば、一般的なプリント基板やフレキシブルプリント基板を用いることができる。電気回路部22は
図1A〜
図5中、板形状を有するが、配線を経て印加された電圧を光源に供給できる限り、その形状は特に制限されるものではない。
【0052】
電気回路部22と基板23とは接着剤で固定するか、ネジ等で固定して一体とされる。電気回路部22と基板23との間には通常は、電気絶縁層(図示せず)を設けるが、電気回路部22裏面に既に電気絶縁層があれば、さらに電気絶縁層を設ける必要はない。
【0053】
カバーが略長方形状を有する
図1A〜
図4に示す照明装置における光源21が配設された電気回路部22の一例を
図6に示す。カバーが略長方形状を有する場合、光源は
図6に示すように複数個で使用される。
図6において、光源は長手方向に一列かつ複数個で所定の間隔にて配設されているが、これに制限されるものではなく、例えば、長手方向に複数の列で、かつ複数個で配設されていてもよい。光源の長手方向の数、間隔および列の数および間隔は、必要な明るさに応じて適宜決定されればよい。
【0054】
本発明の照明装置は、店舗や住宅の間接照明、工場等の作業用手元照明、廊下、階段、その他の場所での足下照明などに有用である。
【0055】
以上に説明した照明装置は、光源が基板の一方の面上に配設されたものであるが、光源が基板の両方の面上に配設されたものであってもよい。すなわち、本発明は、光源が基板の一方の面上に配設され、当該基板の光源配設側の一方の面全体をカバーで覆う照明装置だけでなく、光源が基板の両方の面上に配設され、当該基板の両方の面全体をカバーで覆う照明装置も包含するものである。
【実施例】
【0056】
(実施例1)
図1Aに示す垂直断面形状を有するカバー10Aを、共押出成形法において透明層と光拡散層とを所定の厚みで一体的に積層することにより製造した。各層の構成材料は以下の通りであった。カバー10Aの長手方向長さは1000mmであった。
透明層11;メタクリル樹脂(商品名:アクリペット;三菱レイヨン社製)100重量%。
光拡散層12;メタクリル樹脂(商品名:アクリペット;三菱レイヨン社製)98重量%、光拡散剤(シリコーン球状微粒子(商品名:トスパール;モメンティブ・パフォーマンスマテリアルズ社)、粒子径:6μm)2重量%。
【0057】
カバー10Aの幅方向長さは30mm、長手方向長さは1500mmであった。外表面50上において、第1周辺部161aと第2周辺部161bとの境界に屈曲点P0
Aを有していた。
中央点P3において、光拡散層12の厚みは0.5mm、透明層11の厚みは1.1mmであった。
屈曲点P0
Aにおいて、光拡散層12の厚みは0.8mm、透明層11の厚みは0.8mmであった。
屈曲点P0
Bにおいて、光拡散層12の厚みは0.8mm、透明層11の厚みは0.8mmであった。
光拡散層の厚みは、中央部160において略一定であり、第1周辺部161aにおいて中央部から離れるに従って連続的に増大し、第2周辺部161bにおいて中央部から離れるに従って連続的に減少した後、略一定になっていた。
カバー10Aの全体厚みは中央部160および第1周辺部161aにおいて略一定であり、1.6mmであった。
【0058】
基板23上に電気回路板22をエポキシ樹脂接着剤で固定し、当該電気回路板の上に、
図6に示すように複数のLED素子(表面実装型LED;日亜化学工業社製)を一列で配設し、照明本体部20Aを得た。LED素子の間隔は50mmであった。基板23および電気回路板22の長手方向長さは1500mmであった。
基板23;アルミニウム製。
電気回路板22;厚み0.5mm。電気回路板22の長手方向の端部に配線(図示せず)を電気的に連結した。
【0059】
カバー10Aの係合部17における突起部170を、照明本体部20Aの溝230に嵌合させながら、カバー10Aをスライド挿入して、
図1Aおよび
図4に示すLED照明装置100Aを得た。電圧を配線間に印加し、カバーの透過光で白色紙面を照らしたところ、周辺部を透過した光に強度ムラは発生せず、柔らかな光を得ることができた。
【0060】
(比較例1)
垂直断面において光拡散層を均一な厚みで形成したこと以外、実施例1と同様の方法により、カバーを製造し、評価した。
中央点P3において、光拡散層12の厚みは0.5mm、透明層11の厚みは1.1mmであった。
屈曲点P0
Aにおいて、光拡散層12の厚みは0.5mm、透明層11の厚みは1.1mmであった。
屈曲点P0
Bにおいて、光拡散層12の厚みは0.5mm、透明層11の厚みは1.1mmであった。
電圧を印加し、カバーの透過光で白色紙面を照らしたところ、周辺部を透過した光に強度ムラが発生した。
【0061】
(実施例2)
周辺部161および係合部17を、
図2Aに示すような縦断面構成を有するように形成したこと以外、実施例1と同様の方法により、カバーを製造し、評価した。基板23も、
図2Aに示すような縦断面形状を有するように形成した。外表面50上において、第1周辺部161aと第2周辺部161bとの境界および第2周辺部161bと係合部17との境界に屈曲点P0
Aを有していた。
【0062】
中央点P3において、光拡散層12の厚みは0.5mm、透明層11の厚みは1.3mmであった。
第1周辺部161aと第2周辺部161bとの境界の屈曲点P0
Aにおいて、光拡散層12の厚みは1.0mm、透明層11の厚みは0.8mmであった。
第2周辺部161bと係合部17との境界の屈曲点P0
Aにおいて、光拡散層12の厚みは0.8mm、透明層11の厚みは0.7mmであった。
屈曲点P0
Bにおいて、光拡散層12の厚みは0.8mm、透明層11の厚みは0.7mmであった。
光拡散層の厚みは、中央部160において略一定であり、第1周辺部161aにおいて中央部から離れるに従って連続的に増大し、第2周辺部161bにおいて中央部から離れるに従って連続的に減少した。
カバー10Bの全体厚みは中央部160および第1周辺部161aにおいて略一定であり、1.8mmであった。
【0063】
カバー10Bの係合部17における突起部170を、照明本体部の溝230に嵌合させながら、カバー10Bをスライド挿入して、LED照明装置100Bを得た。電圧を配線間に印加し、カバーの透過光で白色紙面を照らしたところ、周辺部を透過した光に強度ムラは発生せず、柔らかな光を得ることができた。
【0064】
(比較例2)
垂直断面において光拡散層を均一な厚みで形成したこと以外、実施例2と同様の方法により、カバーを製造し、評価した。
中央点P3において、光拡散層12の厚みは0.5mm、透明層11の厚みは1.3mmであった。
実施例2の第1周辺部161aと第2周辺部161bとの境界の屈曲点P0
Aに対応する屈曲点P0
Aにおいて、光拡散層12の厚みは0.5mm、透明層11の厚みは1.3mmであった。
実施例2の第2周辺部161bと係合部17との境界の屈曲点P0
Aに対応する屈曲点P0
Aにおいて、光拡散層12の厚みは0.5mm、透明層11の厚みは1.0mmであった。
屈曲点P0
Bにおいて、光拡散層12の厚みは0.5mm、透明層11の厚みは1.0mmであった。
電圧を印加し、カバーの透過光で白色紙面を照らしたところ、周辺部を透過した光に強度ムラが発生した。