(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載のプレス品検査装置において、前記フィンガには、前記振動検出部および前記送信機の少なくともいずれか一方に給電する充電バッテリが設けられ、前記フィンガは、前記ロボットの可動範囲に配置されたフィンガストッカから、前記ロボットの駆動により前記充電バッテリが充電済のものが取り出されまたは使用後のものが格納され、前記フィンガストッカは、前記充電バッテリを充電する充電装置を有することを特徴とするプレス品検査装置。
請求項1または2記載のプレス品検査装置において、前記加振機構を、前記フィンガの前記プレス品に対する複数の保持位置からそれぞれ略等しい距離となる位置に設けることを特徴とするプレス品検査装置。
請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレス品検査装置において、前記フィンガに設けられた前記プレス品を吸着保持するバキュームカップを駆動するエア源をさらに備え、前記加振機構を前記エア源により駆動することを特徴とするプレス品検査装置。
請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレス品検査装置において、前記振動検出部からの前記検出信号を記憶保持するデータロガをさらに備え、前記データロガは前記フィンガに設けられ、前記送信機は前記データロガに記憶保持した前記検出信号を前記解析装置に無線送信することを特徴とするプレス品検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された検査装置においては、超音波による検査を、被検査体の上方で所定の走査ピッチで往復移動しながら行い、その後、赤外線カメラによる撮像結果で良否判定するようにしている。したがって、良否判定には時間が掛かり、さらには検査のために種々の機材(各プローブ,各プローブを移動させる駆動機構,赤外線カメラ,フラッシュ装置等)を必要とする。よって、トランスファープレス加工機等への適用が困難であるばかりか、検査装置が大型化するという問題が生じていた。
【0007】
本発明の目的は、短時間でプレス品の検査を行えるようにし、かつプレス品の検査に用いる機材を小型化することができるプレス品検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプレス品検査装置は、プレス品の良否を検査するプレス品検査装置であって、前記プレス品を保持するフィンガ
が交換可能に設けられ、前記プレス品を搬送するロボットを有し、前記フィンガには、前記プレス品を加振する加振機構と、前記加振機構による前記プレス品の振動状態を検出する振動検出部と、前記振動検出部からの検出信号を解析装置に送信する送信機とが設けられ、前記解析装置は、
前記ロボットを駆動して、前記ロボットの可動範囲に配置され複数の前記フィンガを格納するフィンガストッカから、前記プレス品に対応した前記フィンガを取り出して装着し、前記プレス品の搬送と並行して前記送信機からの前記検出信号に基づき、前記プレス品の良否を判定することを特徴とする。
【0009】
本発明のプレス品検査装置は、前記フィンガには、前記振動検出部および前記送信機の少なくともいずれか一方に給電する充電バッテリが設けられ、前記フィンガは、前記ロボットの可動範囲に配置されたフィンガストッカから、前記ロボットの駆動により
前記充電バッテリが充電済のものが取り出されまたは
使用後のものが格納され、前記フィンガストッカは、前記充電バッテリを充電する充電装置を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のプレス品検査装置は、前記加振機構を、前記フィンガの前記プレス品に対する複数の保持位置からそれぞれ略等しい距離となる位置に設けることを特徴とする。
【0011】
本発明のプレス品検査装置は、前記フィンガに設けられた前記プレス品を吸着保持するバキュームカップを駆動するエア源をさらに備え、前記加振機構を前記エア源により駆動することを特徴とする。
【0012】
本発明のプレス品検査装置は、前記振動検出部からの前記検出信号を記憶保持するデータロガをさらに備え、前記データロガは前記フィンガに設けられ、前記送信機は前記データロガに記憶保持した前記検出信号を前記解析装置に無線送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プレス品を搬送するロボットに装着されるフィンガに、プレス品を加振する加振機構、加振機構によるプレス品の振動状態を検出する振動検出部、振動検出部からの検出信号を解析装置に送信する送信機を装着し、解析装置は、送信機からの検出信号に基づき、プレス品の良否を判定する。したがって、プレス品を搬送する短時間で、当該プレス品の良否に関する検出信号に基づいて、解析装置によりプレス品の良否を判定できる。また、プレス品の検査に用いる機材をフィンガに搭載可能な小型機材で構成でき、検査装置の小型化を実現できる。
【0014】
本発明によれば、フィンガは、ロボットの可動範囲に配置されたフィンガストッカから、ロボットの駆動により取り出されまたは格納され、フィンガストッカは、フィンガに設けられた充電バッテリを充電する充電装置を有するので、ロボットの駆動により自動的に充電バッテリを充電させたり、充電を終えたフィンガに取り換えたりすることができる。
【0015】
本発明によれば、加振機構を、フィンガのプレス品に対する複数の保持位置から、それぞれ略等しい距離となる位置に設けるので、加振機構によるプレス品の加振状態を良好にすることができる。
【0016】
本発明によれば、フィンガに設けられたプレス品を吸着保持するバキュームカップを駆動するエア源をさらに備え、加振機構をエア源により駆動するので、加振機構を駆動するための駆動機構を、別途新たに設ける必要が無い。したがって、検査装置を簡素化してコストアップを抑え、かつ検査装置の大型化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1はプレスラインの一例を示す斜視図を、
図2は
図1のパレタイザー部を上方から見た図を、
図3はパレタイザーロボットの詳細構造を説明する説明図を、
図4(a),(b)はフィンガの詳細構造を説明する説明図を、
図5はフィンガを格納したフィンガストッカを説明する説明図をそれぞれ表している。
【0020】
図1に示すように、プラスラインとしてのトランスファープレスライン10は、工場等の屋内にプレス品の形状等に応じて複数列並んで設けられ、加工前の鋼板が供給される側(図中左側)には、ディスタックフィーダ部20が配置されている。このディスタックフィーダ部20では、積み重ねられた鋼板(ワーク)21を一枚一枚分離し、分離した鋼板21をその後のプレス成形部30に向けて位置決めするようになっている。
【0021】
プレス成形部30は、三次元トランスファープレスを形成し、4つのプレス工程を実施するよう構成されている。つまり、工場等の床面FLには、ディスタックフィーダ部20側から、第1固定金型31a,第2固定金型31b,第3固定金型31c,第4固定金型31dが順に等間隔で並んで設けられている。また、プレス成形部30の本体部32には、各固定金型31a〜31dと対向するようにして、第1昇降金型33a,第2昇降金型33b,第3昇降金型33c,第4昇降金型33dが順に等間隔で並んで設けられている。各昇降金型33a〜33dは、本体部32の内部に設けられたリンク駆動機構等(図示せず)により所定のタイミング(例えば3秒毎)で昇降するようになっている。
【0022】
各固定金型31a〜31dおよび各昇降金型33a〜33dは、各第1金型31a,33aから各第4金型31d,33dに向かうにつれて、徐々に最終形状に近付くよう構成されている。つまり、鋼板21は、各第1金型31a,33aから各第4金型31d,33dを経て、徐々に最終形状に近付くようプレス加工されていく。
【0023】
プレス成形部30には、各昇降金型33a〜33dの昇降動作と同期動作して、鋼板21を次のプレス工程に次々と移動させるための搬送機構34が設けられている。この搬送機構34は、各昇降金型33a〜33dと同様に、本体部32の内部に設けられたリンク駆動機構等により所定のタイミング(例えば3秒毎)で駆動され、鋼板21を搬送するようになっている。
【0024】
プレス成形部30の各第4金型31d,33dの近傍には、ワーク搬出部35が設けられ、このワーク搬出部35には4つのプレス工程を経た鋼板21(以下、完成品ワークWとする)が載置されるようになっている。なお、ワーク搬出部35への完成品ワークWの載置は、搬送機構34の駆動により行われる。ワーク搬出部35の近傍には、さらに搬出コンベア36が設けられ、この搬出コンベア36は、ワーク搬出部35に載置された完成品ワークWを次の工程に搬出するようになっている。搬出コンベア36は、各パレタイザーロボット50の可動範囲に設けられ、各パレタイザーロボット50によって、搬出コンベア36にある完成品ワークWを容易に持ち出せるようにしている。
【0025】
プレス成形部30の完成品ワークWが搬出される側(図中右側)、つまり搬出コンベア36側には、パレタイザー部40が配置されている。パレタイザー部40は、プレス成形部30の短手方向に離間して配置される一対のパレットコンベア41が設けられ、各パレットコンベア41には完成品ワークWを搭載する複数のパレット42が載置されている。
【0026】
各パレットコンベア41の間には、
図2に示すように、4つのパレタイザーロボット(ロボット)50が設けられ、各パレタイザーロボット50は、それぞれ2つずつ、一方のパレットコンベア41および他方のパレットコンベア41に近接配置されている。各パレタイザーロボット50は、床面FLに固定されたレールRに沿って移動し、これにより比較的広範囲で移動可能となっている。
【0027】
パレタイザー部40の各パレットコンベア41間で、各パレタイザーロボット50の可動範囲には、フィンガストッカ70が配置されている。フィンガストッカ70には、各パレタイザーロボット50のフィンガ60が複数搭載されており、各パレタイザーロボット50は、所定のタイミングで自動的にフィンガストッカ70にフィンガ60を格納したり取り出したりするようになっている。
【0028】
各パレタイザーロボット50は、
図3に示すように、レールR上に移動自在に設けられるスライド部51と、スライド部51に回動自在に設けられる本体部52とを有している。さらに、本体部52には第1アーム部53の基端側が回動自在に連結され、第1アーム部53の先端側には第2アーム部(アーム)54の基端側が回動自在に連結されている。また、第2アーム部54の先端側には、取り付けソケット部55の基端側が回動自在に連結され、基端側が固定されている。
【0029】
取り付けソケット部55にはエア給排ソケット55aが設けられ、このエア給排ソケット55aには、フィンガ60の本体部61の基端側に設けたソケット部61aが接続されるようになっている。ここで、各パレタイザーロボット50は、
図1,3に示すようにトランスファープレスライン10の近傍に設けたコントローラ80により駆動制御される。
【0030】
床面FLにはエア給排機構56が固定されており、このエア給排機構56には、負圧エア配管AC1および正圧エア配管AC2を介してエア給排ソケット55aが接続されている。エア給排機構56は、負圧のエアを発生する負圧エア発生部56a,高圧(正圧)のエアを発生する高圧エア発生部56b,各エア発生部56a,56bのエア圧を生成する共通のエアポンプ(エア源)56c,各エア発生部56a,56bの各エア配管AC1,AC2への連通状態を切り換えるソレノイドバルブ部56dを備えている。これらの各エア発生部56a,56b,エアポンプ56cおよびソレノイドバルブ部56dにおいても、コントローラ80によって駆動制御される。
【0031】
図4に示すフィンガ60は、パレタイザーロボット50の第2アーム部54の先端部に、取り付けソケット部55を介して装着されている。フィンガ60は、プレス品である完成品ワークWを保持するもので、略円柱形状に形成された棒状の本体部61を備えている。ここで、フィンガ60は、一般的に用いられるフィンガに対して、加振機構64,振動検出センサ65,電気部品ボックス66および充電バッテリ69を付加した構造となっている。これらの加振機構64,振動検出センサ65,電気部品ボックス66および充電バッテリ69は何れも小型化し得る部品であって、フィンガ60が大型化するようなことは無い。
【0032】
本体部61の基端部は取り付けソケット部55に接続され、本体部61の基端部にはエア給排ソケット55aに接続されるソケット部61aが設けられている。本体部61の長手方向に沿う先端側および基端側には、それぞれ第1バキュームカップ62および第2バキュームカップ63が設けられている。各バキュームカップ62,63は何れも同様に形成され、各バキュームカップ62,63に負圧のエアを供給することで、完成品ワークWを吸着(保持)するようになっている。
【0033】
各バキュームカップ62,63は、それぞれ支持脚62a,63aによって支持されている。各バキュームカップ62,63は、各支持脚62a,63aによって、
図4(b)に示すように本体部61を挟みかつ本体部61の長手方向に沿って所定間隔で配置されている。
【0034】
各バキュームカップ62,63とソケット部61aとの間には、各支持脚62a,63aを介して負圧エア配管AC3が設けられている。負圧エア配管AC3の一端側はソケット部61aおよびエア給排ソケット55aを介して負圧エア配管AC1に接続され(
図3参照)、負圧エア配管AC3の他端側は、各バキュームカップ62,63側に分岐して各支持脚62a,63aに接続されている。ここで、各支持脚62a,63aは中空状となっており、各支持脚62a,63aの中空部分(図示せず)は、各バキュームカップ62,63の内側に接続されている。つまり、各バキュームカップ62,63は、エア給排機構56のソレノイドバルブ部56dを介して負圧エア発生部56aに接続されている。
【0035】
本体部61の長手方向に沿う各バキュームカップ62,63間で、かつ本体部61の短手方向に沿う第1バキュームカップ62側には、各バキュームカップ62,63で保持した完成品ワークWの所定箇所を加振する加振機構64が設けられている。加振機構64は、各バキュームカップ62,63の双方から略等しい距離となる位置、つまりフィンガ60の完成品ワークWに対する保持位置からそれぞれ略等しい距離となる位置に設けられ、固定脚64aによって本体部61に強固に固定されている。加振機構64は、瞬間的に高圧エアを放出することで空気塊(図示せず)を発射する空気砲により構成されており、加振機構64から空気塊を完成品ワークWに対して連続的に発射することで、完成品ワークWの所定箇所を加振(振動)させることができる。
【0036】
加振機構64には、正圧エア配管AC4の他端側が接続されている。正圧エア配管AC4の一端側は、ソケット部61aおよびエア給排ソケット55aを介して正圧エア配管AC2に接続され(
図3参照)、つまり加振機構64は、エア給排機構56のソレノイドバルブ部56dを介して高圧エア発生部56bに接続されている。
【0037】
本体部61の長手方向に沿う加振機構64と第2バキュームカップ63との間で、かつ本体部61の短手方向に沿う加振機構64側には、加振機構64によって加振(振動)された完成品ワークWの振動状態(変位量)を検出する振動検出センサ(振動検出部)65が設けられている。振動検出センサ65は固定脚65aによって本体部61に強固に固定されている。振動検出センサ65は赤外線レーザを完成品ワークWに照射するとともに、その反射光を受光するようになっている。そして、赤外線レーザの照射から受光までに掛かる時間を検出信号とし、この検出信号を、電気配線EW1を介してデータロガ67に送出するようになっている。
【0038】
ここで、加振機構64および振動検出センサ65は、パレタイザーロボット50の第2アーム部54の先端側に設けている。よって、完成品ワークWおよび振動検出センサ65は、プレス成形部30(
図1参照)等からの振動(ノイズ)に同期して振動するため不要なノイズは相対的にカットされ易くなっている。これにより、振動検出センサ65は、完成品ワークWの振動状態を精度良く検出することができる。つまり、パレタイザーロボット50の関節部分等により、床面FLから伝達されるプレス成形部30等からの振動を緩衝するようになっている。
【0039】
本体部61の長手方向に沿う振動検出センサ65とソケット部61aとの間には、電気部品ボックス66が設けられている。この電気部品ボックス66は、一対の固定脚66aによって本体部61に強固に固定されている。電気部品ボックス66の内部には、振動検出センサ65から送られてくる検出信号(レーザ反射時間データ)を記憶保持するデータロガ67と、当該データロガ67に記憶保持した検出信号を、コントローラ80に設けた解析装置81(
図3参照)に無線送信(無線LAN)する送信機68とが収納されている。なお、電気部品ボックス66の内部には、さらに振動検出センサ65を駆動する駆動回路等(図示せず)の電気部品が収納されている。このように、検出信号の送信を無線で行うことにより、煩わしい配線作業等を不要として作業効率を向上させつつ、作業者が足を引っかける等の問題が生じることも無い。
【0040】
本体部61には、電気部品ボックス66に近接するよう充電バッテリ69が設けられている。充電バッテリ69は、例えばリチウムイオンバッテリ等の二次電池により形成され、充電バッテリ69は、電気部品ボックス66の内部に設けられた電気部品、つまり、駆動回路を介して振動検出センサ65,データロガ67,送信機68等を駆動するようになっている。
【0041】
コントローラ80は、
図3に示すように解析装置81を備えている。解析装置81は、フィンガ60の送信機68から無線で送られてくるレーザ反射時間データに基づき、完成品ワークWに割れ等の不具合があるか否か、つまり完成品ワークWの良否を判定するようになっている。具体的には、解析装置81は完成品ワークWに関するモデルデータ(理想値)を予め格納しており、このモデルデータと今回検出したデータとを比較する比較処理を実行する。
【0042】
そして、モデルデータとの比較結果が大きく乖離するような場合には、完成品ワークWには割れ等が生じているとして不良品判定をする。一方、モデルデータとの比較結果に多少のずれはあるものの、大きく乖離せずに誤差の範囲内であると判定した場合には、完成品ワークWには割れ等が無いものとして良品判定をする。
【0043】
ここで、本実施の形態においては、一のコントローラ80で一のトランスファープレスライン10を制御する場合を示しているが、一のコントローラ80で複数のトランスファープレスライン(図示せず)を統括的に制御することもできる。
【0044】
ここで、パレタイザーロボット50,フィンガ60の本体部61,各バキュームカップ62,63,加振機構64,振動検出センサ65,データロガ67,送信機68,充電バッテリ69およびコントローラ80の解析装置81によって、本発明におけるプレス品検査装置を構成している。
【0045】
図5に示すように、フィンガストッカ70は、複数のフィンガ60(図示では6つ)を格納する格納箱71と、格納箱71内に設けられ、格納し得るフィンガ60の数に対応した複数の誘電式充電器72と、格納箱71の外側に設けられ、各誘電式充電器72に電気配線EW2を介して電気的に接続された充電装置73とを備えている。各誘電式充電器72には、フィンガ60の充電バッテリ69が非接触の状態で近接配置されるようになっており、これにより充電バッテリ69を、電気配線等を介さずに充電するようになっている。
【0046】
各パレタイザーロボット50(
図2参照)は、それぞれコントローラ80により駆動制御され、自動的にフィンガストッカ70から充電済のフィンガ60を取り出し、あるいはフィンガ60を使用した後には、フィンガストッカ70に格納するようになっている。ここで、各パレタイザーロボット50と各フィンガ60との間および、各フィンガ60とフィンガストッカ70との間には電気配線が存在しない。よって、各パレタイザーロボット50の駆動制御によってフィンガ60を容易に交換することができる。
【0047】
次に、以上のように形成したトランスファープレスライン10におけるプレス品検査装置の動作について、図面を用いて詳細に説明する。
図6はプレス品検査装置の動作を説明するフローチャート図を表している。
【0048】
ここで、本発明におけるプレス品検査装置は、
図1に示すパレタイザー部40において、搬出コンベア36上にある完成品ワークWをパレット42に搬送する間(3秒以上)に、当該搬送動作と並行して完成品ワークWの良否判定を行うようになっている。つまり、完成品ワークWを搬出コンベア36からパレット42に搬送するまでの時間を有効利用している。
【0049】
図6に示すように、ステップS1でトランスファープレスライン10のシステム電源をオンにすることで、プレス品検査装置の動作がスタートする。ステップS2ではコントローラ80(解析装置81)が待機状態となる。続くステップS3では、作業者等によるキーボード入力(図示せず)によって、トランスファープレスライン10でプレス加工するプレス品の情報(ワーク情報)がコントローラ80に入力される。これに基づき、各パレタイザーロボット50にはフィンガの切換指示が入力される。ここでは、各パレタイザーロボット50は、完成品ワークWを保持し得るフィンガ60(
図2参照)を選択するよう駆動制御される。なお、フィンガストッカ70に種々の形状のプレス品に対応した種々のフィンガを格納しておくことで、各パレタイザーロボット50を種々の形状のプレス品に対応させて駆動制御することができる。
【0050】
ステップS4では、コントローラ80により各パレタイザーロボット50がそれぞれ駆動制御され、フィンガストッカ70からフィンガ60を自動的に取り出しに行く。ここで、各パレタイザーロボット50は、エア給排ソケット55aをソケット部61aに自動的に接続する。
【0051】
ステップS5では、コントローラ80により各パレタイザーロボット50が基準位置、例えば搬出コンベア36上にある完成品ワークWを直ぐに取りに行ける位置に移動して待機状態となる。続くステップS6では、搬出コンベア36上に完成品ワークWが載置されたことをトリガとして、コントローラ80により完成品ワークWを取りに行くよう(保持しに行くよう)、一のパレタイザーロボット50に指令信号が送られる。
【0052】
ステップS7では、指令信号を受けた一のパレタイザーロボット50がコントローラ80により起動されて、フィンガ60を搬出コンベア36の完成品ワークWまで移動させて、各バキュームカップ62,63を完成品ワークWの所定箇所に押し付ける。続くステップS8では、コントローラ80によりエア給排機構56のソレノイドバルブ部56dが制御されて、負圧エア発生部56aによって各負圧エア配管AC1,AC3が負圧となる。これにより、各バキュームカップ62,63により完成品ワークWが保持される。
【0053】
ステップS8で保持された完成品ワークWは、コントローラ80によるパレタイザーロボット50の動作により、一のパレット42に向かって移動する。このとき、コントローラ80は並行して、エア給排機構56のソレノイドバルブ部56dを制御し、高圧エア発生部56bによって各正圧エア配管AC2,AC4が瞬間的に高圧となる。すると、加振機構64からは空気塊が発射されて、完成品ワークWの加振機構64の直下部分が加振される(ステップS9)。このとき、空気塊を1回発射しても良いし、空気塊を低周波(5〜6Hz)で複数回発射するようにしても良い。ただし、ノイズ(外乱)との差別化を図り易くするためには、空気塊を複数回規則的に発射することが望ましい。
【0054】
ステップS10では、コントローラ80により振動検出センサ65が駆動されて、完成品ワークWの加振部分の変位量を検出する。次いで、ステップS10で検出した検出信号(レーザ反射時間データ)は、データロガ67に送出されてデータロガ67に一時的に記憶保持される(ステップS11)。その後、さらにステップS12では、データロガ67に記憶保持した検出信号を、送信機68から解析装置81に無線送信(無線LAN)する。
【0055】
解析装置81では、今回検出したデータ(検出信号)とモデルデータとの比較処理が行われ、これにより完成品ワークWの良否判定(割れ等があるか否かの判定)がなされて完成品ワークWの検査が終了する(ステップS13)。
【0056】
その後、解析装置81で不良品と判定した完成品ワークWは、コントローラ80によるパレタイザーロボット50の駆動制御により、不良品用のパレット42(詳細図示せず)に搬送される。その後、エア給排機構56のソレノイドバルブ部56dが制御され、負圧エア発生部56aからの各負圧エア配管AC1,AC3への負圧の供給が絶たれて、これにより不良品判定された完成品ワークWが開放される。一方、解析装置81で良品と判定した完成品ワークWは、コントローラ80によるパレタイザーロボット50の駆動制御により、良品用のパレット42(詳細図示せず)に搬送される。その後、エア給排機構56のソレノイドバルブ部56dが制御され、負圧エア発生部56aからの各負圧エア配管AC1,AC3への負圧の供給が絶たれて、これにより良品判定された完成品ワークWが開放される(ステップS14)。
【0057】
続くステップS15では、トランスファープレスライン10による一連の作業が終了したか否かを判定し、未だプレス加工が終了していない場合(no判定)にはステップS5に戻り、次の完成品ワークWの搬送および検査に備えてパレタイザーロボット50は一旦待機状態となる。一方、一連の作業が終了した場合(yes判定)にはステップS2に戻り、コントローラ80(パレタイザーロボット50)は待機状態となり、次にプレス加工を行う他の形状のワーク情報の入力を待つ。
【0058】
以上詳述したように、第1実施の形態に係るプレス品検査装置によれば、完成品ワークWをパレット42に搬送するパレタイザーロボット50に装着されるフィンガ60の本体部61に、完成品ワークWを吸着する各バキュームカップ62,63、完成品ワークWを加振する加振機構64、加振機構64による完成品ワークWの振動状態を検出する振動検出センサ65、振動検出センサ65からの検出信号を記憶保持するデータロガ67、データロガ67に記憶保持した検出信号を解析装置81に無線送信する送信機68、振動検出センサ65,データロガ67,送信機68を駆動する充電バッテリ69を装着し、解析装置81は、送信機68からの検出信号に基づき、完成品ワークWの良否を判定する。
【0059】
したがって、完成品ワークWをパレット42に搬送するまでの短時間で、当該完成品ワークWの良否に関する検出信号に基づいて、解析装置81により完成品ワークWの良否を判定できる。また、完成品ワークWの検査に用いる機材(加振機構64等)をフィンガ60に搭載可能な小型機材で構成でき、検査装置の小型化を実現できる。
【0060】
また、第1実施の形態に係るプレス品検査装置によれば、フィンガ60は、パレタイザーロボット50の可動範囲に配置されたフィンガストッカ70から、パレタイザーロボット50の駆動により取り出されまたは格納され、フィンガストッカ70は、充電バッテリ69を充電する充電装置73を有するので、パレタイザーロボット50の駆動により自動的に充電バッテリ69を充電させたり、充電を終えたフィンガ60に取り換えたりすることができる。
【0061】
さらに、第1実施の形態に係るプレス品検査装置によれば、加振機構64を、各バキュームカップ62,63のそれぞれから略等しい距離となる位置に設けたので、加振機構64による完成品ワークWの加振状態を良好にすることができる。つまり、加振振幅を大きくして振動検出センサ65によって容易に検出できるようにし、ひいては完成品ワークWの良否の判定精度を向上させることができる。
【0062】
また、第1実施の形態に係るプレス品検査装置によれば、加振機構64を、各バキュームカップ62,63を駆動するエアポンプ56cにより駆動するので、加振機構64を駆動するための駆動機構を、別途新たに設ける必要が無い。したがって、検査装置を簡素化してコストアップを抑え、かつ検査装置の大型化を抑制することができる。
【0063】
次に、本発明の第2実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0064】
図7は第2実施の形態に係るフィンガを説明する説明図を表している。第2実施の形態においては、上述した第1実施の形態に比して、フィンガの形状のみが異なっている。
【0065】
図7に示すように、第2実施の形態に係るフィンガ90は、本体部61の基端側が幅狭となり、本体部61の先端側が幅広となった、完成品ワークW2を保持するためのフィンガである。フィンガ90は、本体部61の先端側から第1バキュームカップ91,第2バキュームカップ92および第3バキュームカップ93を備えており、完成品ワークW2を3点で保持するようになっている。
【0066】
第1バキュームカップ91および第2バキュームカップ92は、本体部61の長手方向に沿って略同じ位置で、本体部61を挟むよう対向配置されている。第1バキュームカップ91の支持脚91aは略L字形状に形成され、第2バキュームカップ92の支持脚92aは直線状に形成されている。また、第3バキュームカップ93は、本体部61の短手方向に沿う第1バキュームカップ91側に配置され、その支持脚93aは直線状に形成されている。
【0067】
加振機構64は、第1バキュームカップ91と第3バキュームカップ93との間に配置され、各バキュームカップ91,92,93から略等しい距離となる位置に設けられている。加振機構64の固定脚64aには、振動検出センサ65が横切るようにして固定され、これにより振動検出センサ65を加振機構64により近接配置し、ひいては振動検出センサ65の検出精度をより向上させるようにしている。
【0068】
以上のように形成した第2実施の形態においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0069】
次に、本発明の第3実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0070】
図8は第3実施の形態に係るフィンガを説明する説明図を表している。第3実施の形態においては、上述した第1実施の形態に比して、フィンガの形状のみが異なっている。
【0071】
図8に示すように、第3実施の形態に係るフィンガ100は、複数の打ち抜き部h1,h2,h3を有する複雑な形状の完成品ワークW3を保持するためのフィンガである。フィンガ100は、略T字形状の本体部101を備えており、本体部101の略中間部分にソケット部61aが設けられている。本体部101のソケット部61aを挟む一方側(図中右側)には、その端部から第1バキュームカップ102,第2バキュームカップ103および第3バキュームカップ104が設けられている。一方、本体部101のソケット部61aを挟む他方側(図中左側)には、その端部に第4バキュームカップ105が設けられている。つまり、フィンガ100は、完成品ワークW3を打ち抜き部h1,h2,h3を避けて4点で保持するようになっている。
【0072】
第1バキュームカップ102および第2バキュームカップ103は、本体部101の長手方向に沿って略同じ位置で、本体部101を挟むよう対向配置されている。第1バキュームカップ102の支持脚102aは略L字形状に形成され、第2バキュームカップ103の支持脚103aは直線状に形成されている。また、第3バキュームカップ104は、本体部101の短手方向に沿う第1バキュームカップ102側に配置され、その支持脚104aは直線状に形成されている。また、第4バキュームカップ105は、本体部101の短手方向に沿う第2バキュームカップ103側に配置され、その支持脚105aは略L字形状に形成されている。
【0073】
加振機構64は、第2バキュームカップ103と第4バキュームカップ105との間でソケット部61aに近接配置され、第3バキュームカップ104を除く他のバキュームカップ102,103,105から略等しい距離となる位置に設けられている。加振機構64の固定脚64aには、振動検出センサ65が横切るようにして固定され、これにより振動検出センサ65を加振機構64により近接配置し、ひいては振動検出センサ65の検出精度をより向上させるようにしている。
【0074】
以上のように形成した第3実施の形態においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0075】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、振動検出部として赤外線レーザを照射し反射光を受光する非接触式の振動検出センサ65を採用したものを示したが、本発明はこれに限らず、可動部を有する接触式の加速度センサ等を採用することもできる。また、非接触式として、加振部分で発生する音波を検出するマイク等を用いることもできる。要は、加振部分における振動状態を検出できるものであれば、非接触式/接触式を問わず採用することができる。