(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸気通路に過給機を備えたエンジンに設けられ、前記過給機の下流側にて前記吸気通路にスロットルバルブが設けられ、前記エンジンで発生するブローバイガスを前記吸気通路へ流して前記エンジンへ還元するために、
前記吸気通路における前記過給機の上流側と下流側とを接続するバイパス通路と、
前記バイパス通路に負圧を発生させるためのエゼクタと、
前記過給機の作動時に前記ブローバイガスを前記吸気通路へ流すための第1ブローバイガス還元通路と、
前記第1ブローバイガス還元通路の出口が、前記エゼクタを介して前記バイパス通路に接続されることと、
前記過給機の非作動時に前記ブローバイガスを前記吸気通路へ流すための第2ブローバイガス還元通路と、
前記第2ブローバイガス還元通路の出口が、前記スロットルバルブの下流側にて前記吸気通路に接続されることと
を備えた過給機付エンジンのブローバイガス還元装置において、
前記第1ブローバイガス還元通路の入口と、前記第2ブローバイガス還元通路の入口とが、前記ブローバイガスが蓄積している共通の蓄積部にて隣接して配置されることと、
前記第1ブローバイガス還元通路に設けられ、前記ブローバイガスを流す方向とは逆向きの気体の流れを止めるための逆流防止手段と、
前記エンジンはヘッドカバーを含むことと、
前記過給機の作動時に前記ヘッドカバーの中に新気を導入するための新気導入通路と、
前記新気導入通路の入口が、前記過給機の上流側にて前記吸気通路に接続されることと
を備えたことを特徴とする過給機付エンジンのブローバイガス還元装置。
吸気通路に過給機を備えたエンジンに設けられ、前記過給機の下流側にて前記吸気通路にスロットルバルブが設けられ、前記エンジンで発生するブローバイガスを前記吸気通路へ流して前記エンジンへ還元するために、
前記吸気通路における前記過給機の上流側と下流側とを接続するバイパス通路と、
前記バイパス通路に負圧を発生させるためのエゼクタと、
前記過給機の作動時に前記ブローバイガスを前記吸気通路へ流すための第1ブローバイガス還元通路と、
前記第1ブローバイガス還元通路の出口が、前記エゼクタを介して前記バイパス通路に接続されることと、
前記過給機の非作動時に前記ブローバイガスを前記吸気通路へ流すための第2ブローバイガス還元通路と、
前記第2ブローバイガス還元通路の出口が、前記スロットルバルブの下流側にて前記吸気通路に接続されることと
を備えた過給機付エンジンのブローバイガス還元装置において、
前記第1ブローバイガス還元通路の入口と、前記第2ブローバイガス還元通路の入口とが、前記ブローバイガスが蓄積している共通の蓄積部に隣接して配置されることと、
前記第1ブローバイガス還元通路の入口と前記第2ブローバイガス還元通路の入口を互いに隔離するための離隔手段と、
前記離隔手段は、前記第1ブローバイガス還元通路の入口と前記第2ブローバイガス還元通路の入口のそれぞれに設けられたセパレータ部であることと、
前記エンジンはヘッドカバーを含むことと、
前記過給機の作動時に前記ヘッドカバーの中に新気を導入するための新気導入通路と、
前記新気導入通路の入口が、前記過給機の上流側にて前記吸気通路に接続されることと
を備えたことを特徴とする過給機付エンジンのブローバイガス還元装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の装置につき、第1ブローバイガス還元通路の入口と、第2ブローバイガス還元通路の入口とを互いに共通する蓄積部(例えば、ヘッドカバー)にて隣接して配置した場合には、次のような問題が考えられる。すなわち、エンジン運転時であって過給機の非作動時には、吸気通路で発生する負圧が第2ブローバイガス還元通路を介してヘッドカバーに作用し、その負圧が第1ブローバイガス還元通路の入口にも作用する。このため、その負圧により、第1ブローバイガス還元通路からヘッドカバーへ空気が逆流し、その逆流した空気がそのまま第2ブローバイガス還元通路を通じて吸気通路へ流れることがある。この結果、ヘッドカバーの中のブローバイガスを、第2ブローバイガス還元通路を通じて吸気通路へ流すことができなくなり、エンジンへ還元することができなくなるおそれがある。
【0006】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、過給機の作動時に使用する第1ブローバイガス還元通路の入口と、過給機の非作動時に使用する第2ブローバイガス還元通路の入口とを互いに共通の蓄積部にて隣接して配置した構成において、エンジンの運転時であって過給機の作動時及び非作動時にかかわらず、ブローバイガスを有効にエンジンへ還元することを可能とした過給機付エンジンのブローバイガス還元装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、吸気通路に過給機を備えたエンジンに設けられ、過給機の下流側にて吸気通路にスロットルバルブが設けられ、エンジンで発生するブローバイガスを吸気通路へ流してエンジンへ還元するために、吸気通路における過給機の上流側と下流側とを接続するバイパス通路と、バイパス通路に負圧を発生させるためのエゼクタと、過給機の作動時にブローバイガスを吸気通路へ流すための第1ブローバイガス還元通路と、第1ブローバイガス還元通路の出口が、エゼクタを介してバイパス通路に接続されることと、過給機の非作動時にブローバイガスを吸気通路へ流すための第2ブローバイガス還元通路と、第2ブローバイガス還元通路の出口が、スロットルバルブの下流側にて吸気通路に接続されることとを備えた過給機付エンジンのブローバイガス還元装置において、第1ブローバイガス還元通路の入口と、第2ブローバイガス還元通路の入口とが、ブローバイガスが蓄積している共通の蓄積部にて隣接して配置されることと、第1ブローバイガス還元通路に設けられ、ブローバイガスを流す方向とは逆向きの気体の流れを止めるための逆流防止手段と
、エンジンはヘッドカバーを含むことと、過給機の作動時にヘッドカバーの中に新気を導入するための新気導入通路と、新気導入通路の入口が、過給機の上流側にて吸気通路に接続されることとを備えたことを趣旨とする。
【0008】
上記発明の構成によれば、エンジンの運転時であって過給機の作動時には、吸気通路における過給機の上流側と下流側との間で吸気に圧力差が生じ、バイパス通路の両端の間にも圧力差が生じる。この圧力差によりバイパス通路に空気が流れ、その空気流によりエゼクタに負圧が発生する。従って、第1ブローバイガス還元通路にはエゼクタによる負圧が作用し、エンジンで発生するブローバイガスが第1ブローバイガス還元通路、エゼクタ及びバイパス通路を通じて吸気通路へ流れる。一方、エンジンの運転時であって過給機の非作動時には、スロットルバルブの下流側にて吸気通路で発生する負圧が第2ブローバイガス還元通路に作用し、エンジンのブローバイガスが第2ブローバイガス還元通路を通じて吸気通路へ流れる。ここで、第1ブローバイガス還元通路の入口と、第2ブローバイガス還元通路の入口とが、ブローバイガスが蓄積している共通の蓄積部にて隣接して配置されるので、第2ブローバイガス還元通路から蓄積部に作用する負圧が、第1ブローバイガス還元通路にも作用する。しかし、第1ブローバイガス還元通路では、ブローバイガスを流す方向とは逆向きの空気の流れが逆流防止手段により止められるので、エゼクタの側から第1ブローバイガス還元通路を通じて蓄積部へ空気が流入することはない。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、吸気通路に過給機を備えたエンジンに設けられ、過給機の下流側にて吸気通路にスロットルバルブが設けられ、エンジンで発生するブローバイガスを吸気通路へ流してエンジンへ還元するために、吸気通路における過給機の上流側と下流側とを接続するバイパス通路と、バイパス通路に負圧を発生させるためのエゼクタと、過給機の作動時にブローバイガスを吸気通路へ流すための第1ブローバイガス還元通路と、第1ブローバイガス還元通路の出口が、エゼクタを介してバイパス通路に接続されることと、過給機の非作動時にブローバイガスを吸気通路へ流すための第2ブローバイガス還元通路と、第2ブローバイガス還元通路の出口が、スロットルバルブの下流側にて吸気通路に接続されることとを備えた過給機付エンジンのブローバイガス還元装置において、第1ブローバイガス還元通路の入口と、第2ブローバイガス還元通路の入口とが、ブローバイガスが蓄積している共通の蓄積部に隣接して配置されることと、第1ブローバイガス還元通路の入口と第2ブローバイガス還元通路の入口を互いに隔離するための離隔手段と
、離隔手段は、第1ブローバイガス還元通路の入口と第2ブローバイガス還元通路の入口のそれぞれに設けられたセパレータ部であることと、エンジンはヘッドカバーを含むことと、過給機の作動時にヘッドカバーの中に新気を導入するための新気導入通路と、新気導入通路の入口が、過給機の上流側にて吸気通路に接続されることとを備えたことを趣旨とする。
【0010】
上記発明の構成によれば、エンジンの運転時であって過給機の作動時には、吸気通路における過給機の上流側と下流側との間で吸気に圧力差が生じ、バイパス通路の両端の間にも圧力差が生じる。この圧力差によりバイパス通路に空気が流れ、その空気流によりエゼクタに負圧が発生する。従って、第1ブローバイガス還元通路にはエゼクタによる負圧が作用し、エンジンで発生するブローバイガスが第1ブローバイガス還元通路、エゼクタ及びバイパス通路を通じて吸気通路へ流れる。一方、エンジンの運転時であって過給機の非作動時には、スロットルバルブの下流側にて吸気通路で発生する負圧が第2ブローバイガス還元通路に作用し、エンジンのブローバイガスが第2ブローバイガス還元通路を通じて吸気通路へ流れる。ここで、第1ブローバイガス還元通路の入口と、第2ブローバイガス還元通路の入口とが、共通の蓄積部にて隣接して配置されるが、各ブローバイガス還元通路の入口が隔離手段により互いに隔離される。従って、エゼクタの側から第1ブローバイガス還元通路を通じて第2ブローバイガス還元通路の入口へ空気が直接導入されることはない。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、蓄積部が
ヘッドカバーであるこ
とを備え、新気導入通路の出口と、第1ブローバイガス還元通路の入口と、第2ブローバイガス還元通路の入口とがヘッドカバーに接続されることを趣旨とする。
【0012】
上記発明の構成によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、ヘッドカバーの中に蓄積されたブローバイガスが、第1ブローバイガス還元通路の入口から、又は、第2ブローバイガス還元通路の入口から、吸気通路へ向けて流れるときに、ヘッドカバーの中に、外部から新気導入通路を通じて新気が導入される。また、新気導入通路の出口と、第1ブローバイガス還元通路の入口と、第2ブローバイガス還元通路の入口とが同じヘッドカバーに接続されるので、各通路の取り回しが容易となる。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、蓄積部がエンジンのヘッドカバー及びクランクケースであることと、ヘッドカバーの中とクランクケースの中が、エンジンに設けられる連通路を介して連通していること
とを備え、新気導入通路の出口がヘッドカバーに接続され、第1ブローバイガス還元通路の入口と、第2ブローバイガス還元通路の入口とがクランクケースに接続されることを趣旨とする。
【0014】
上記発明の構成によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、クランクケースの中に蓄積されたブローバイガスが、第1ブローバイガス還元通路の入口から、又は、第2ブローバイガス還元通路の入口から、吸気通路へ向けて流れるときに、ヘッドカバーの中に、外部から新気導入通路を通じて新気が導入される。また、ヘッドカバーの中に導入される新気は、連通路を介してクランクケースにも導入される。更に、第1ブローバイガス還元通路の入口と、第2ブローバイガス還元通路の入口とが同じクランクケースに接続されるので、2つの還元通路の取り回しが容易となる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、過給機の作動時に使用する第1ブローバイガス還元通路の入口と、過給機の非作動時に使用する第2ブローバイガス還元通路の入口とを互いに共通の蓄積部にて隣接して配置した構成において、エンジンの運転時であって過給機の作動時及び非作動時にかかわらずブローバイガスを有効にエンジンへ還元することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、過給機の作動時に使用する第1ブローバイガス還元通路の入口と、過給機の非作動時に使用する第2ブローバイガス還元通路の入口とを互いに共通の蓄積部にて隣接して配置した構成において、エンジンの運転時であって過給機の作動時及び非作動時にかかわらずブローバイガスを有効にエンジンへ還元することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、ヘッドカバーに導入される新気によりヘッドカバーの中を換気することができる。また、新気導入通路、第1ブローバイガス還元通路及び第2ブローバイガス還元通路の取り回しが容易となるため、配管作業を容易にすることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、ヘッドカバーに導入される新気によりヘッドカバーの中を換気することができ、更にクランクケースに導入される新気によりクランクケースの中を換気することができる。また、第1ブローバイガス還元通路及び第2ブローバイガス還元通路の取り回しが容易となるため、配管作業を容易にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下、本発明における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1に、この実施形態における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置を含むエンジンシステムを概略構成図により示す。このエンジンシステムは、レシプロタイプのエンジン1を備える。エンジン1の吸気ポート2には、吸気通路3が接続され、排気ポート4には、排気通路5が接続される。吸気通路3の入口には、エアクリーナ6が設けられる。エアクリーナ6より下流の吸気通路3には、排気通路5との間に吸気通路3における吸気を昇圧させるための過給機7が設けられる。
【0022】
過給機7は、吸気通路3に配置されたコンプレッサ8と、排気通路5に配置されたタービン9と、コンプレッサ8とタービン9を一体回転可能に連結する回転軸10とを含む。過給機7は、排気通路5を流れる排気ガスによりタービン9を回転させて回転軸10を介してコンプレッサ8を一体回転させることにより、吸気通路3における吸気を昇圧させる、すなわち過給を行うようになっている。
【0023】
過給機7に隣接して排気通路5には、タービン9を迂回する排気バイパス通路11が設けられる。この排気バイパス通路11には、ウエストゲートバルブ12が設けられる。ウエストゲートバルブ12は、ダイアフラム式のアクチュエータ13により開度が調節されるようになっている。ウエストゲートバルブ12により排気バイパス通路11を流れる排気ガスが調節されることにより、タービン9に供給される排気ガス流量が調節され、タービン9及びコンプレッサ8の回転速度が調節され、過給機7による過給圧が調節されるようになっている。
【0024】
吸気通路3において、過給機7のコンプレッサ8とエンジン1との間には、インタークーラ14が設けられる。このインタークーラ14は、コンプレッサ8により昇圧された吸気を適温に冷却するためのものである。インタークーラ14とエンジン1との間の吸気通路3には、サージタンク3aが設けられる。サージタンク3aの上流側には、スロットルバルブ15が設けられる。
【0025】
吸気通路3における過給機7の上流側と下流側は、吸気バイパス通路16により接続される。すなわち、過給圧が高くなるコンプレッサ8の直近下流側の吸気通路3と、コンプレッサ8の上流側の吸気通路3との間には、コンプレッサ8を迂回した吸気バイパス通路16が設けられる。この吸気バイパス通路16には、同通路16を流れる空気により負圧を発生させるエゼクタ17が設けられる。
【0026】
図2に、エゼクタ17の概略構成を断面図により示す。
図2に示すように、エゼクタ17は、空気入口側に設けられたノズル17aと、空気出口側に設けられたディフューザ17bと、ノズル17aとディフューザ17bとの間に設けられた減圧室17cとを含む。エゼクタ17は、ノズル17aから噴出される空気により減圧室17cに負圧を発生させるようになっている。
【0027】
すなわち、過給機7の作動時に、コンプレッサ8により吸気を昇圧させることにより、コンプレッサ8の上流側の吸気通路3と、コンプレッサ8の下流側の吸気通路3との間に吸気に圧力差が生じる。このため、エゼクタ17のノズル17aとディフューザ17bとの間には、吸気バイパス通路16を通じて異なる吸気圧力が作用する。この圧力差により、ノズル17aからディフューザ17bへ向けて空気が噴出され、これによって減圧室17cに負圧が発生する。この負圧の大きさは、過給機7による過給圧の大きさに応じて変わるようになっている。
【0028】
図1に示すように、エゼクタ17の減圧室17c(
図2参照)には、過給機7の作動時に使用される第1ブローバイガス還元通路18の出口が接続される。この第1ブローバイガス還元通路18の入口は、エンジン1のヘッドカバー19に接続される。第1ブローバイガス還元通路18は、エンジン1の燃焼室20からクランクケース21の中へ漏れ出たブローバイガスをヘッドカバー19から再び吸気通路3を経由して燃焼室20へ還元するためのものである。この実施形態で、ヘッドカバー19とクランクケース21は、それぞれブローバイガスが蓄積している本発明の蓄積部を構成する。
【0029】
従って、エンジン1の運転時であって過給機7の作動時には、エゼクタ17の減圧室17cに負圧が発生することにより、その負圧が第1ブローバイガス還元通路18を通じてヘッドカバー19の中に作用する。この負圧の作用により、ヘッドカバー19から同還元通路18へブローバイガスが導出され、そのブローバイガスがエゼクタ17から吸気バイパス通路16を介して吸気通路3へ流れる。吸気通路3へ流れたブローバイガスは、コンプレッサ8及び吸気通路3等を経由してエンジン1の燃焼室20へと還元される。
【0030】
この実施形態では、燃焼室20から漏れ出たブローバイガスを吸気通路3を経由して再び燃焼室20へ還元するための第2ブローバイガス還元通路22の入口が、ヘッドカバー19に接続される。この第2ブローバイガス還元通路22の出口は、吸気通路3のサージタンク3aに接続される。また、ヘッドカバー19にて、第2ブローバイガス還元通路22の入口には、PCVバルブ23が設けられる。
【0031】
従って、エンジン1の運転時であって過給機7の非作動時には、サージタンク3aの中が負圧となり、その負圧が第2ブローバイガス還元通路22を通じてヘッドカバー19の中に作用する。この負圧の作用により、ヘッドカバー19から同還元通路22へブローバイガスが導出され、そのブローバイガスが吸気通路3(サージタンク3a)へ流れ、エンジン1の燃焼室20へと還元される。PCVバルブ23は、ヘッドカバー19から第2ブローバイガス還元通路22へ導出されるブローバイガス流量を調整するようになっている。
【0032】
この実施形態では、ヘッドカバー19及びクランクケース21の中に新気を導入するための新気導入通路24が、エンジン1と吸気通路3との間に設けられる。この新気導入通路24の入口は、エアクリーナ6の近傍の吸気通路3に接続され、その出口はヘッドカバー19に接続される。なお、ヘッドカバー19の中とクランクケース21の中は、エンジン1に設けられた連通路(図示略)を介して連通している。
【0033】
図3に、ヘッドカバー19を斜視図により示す。ヘッドカバー19は、平面視で略U字形をなす凸部25を有し、その内部がブローバイガスを蓄積するための空間となっている。凸部25の一方の山25aには、PCVバルブ23が取り付けられる。このPCVバルブ23には、第2ブローバイガス還元通路22の入口が接続される。また、同じ山25aには、ブローバイガス用の管継手26が設けられる。この管継手26には、第1ブローバイガス還元通路18の入口が接続される。一方、凸部25の他方の山25bには、新気用の管継手27が設けられる。この管継手27には、新気導入通路24の出口が接続される。
【0034】
図4に、ヘッドカバー19を概略的に斜視図により示す。
図4に示すように、ヘッドカバー19の中には、気と液を分離するために他と区画されたセパレータ部28が設けられる。このセパレータ部28に対して、上記したPCVバルブ23及びブローバイガス用の管継手26が設けられる。ヘッドカバー19のセパレータ部28以外の部分には、新気用の管継手27が設けられる。
【0035】
図5に、ヘッドカバー19の中のセパレータ部28を概略図により示す。
図5に示すように、セパレータ部28は、入口28aを含み、その内部が交互に向きを異にした複数のフィン28bにより迷路状に形成される。ブローバイガス用の管継手26とPCVバルブ23とは、このセパレータ部28の中の同一空間にて隣接して配置される。
【0036】
しかし、このように管継手26とPCVバルブ23とが同一空間にて隣接して配置されることから、次のようなことが考えられる。すなわち、エンジン1の運転時であって過給機7の非作動時には、サージタンク3aで発生する負圧が第2ブローバイガス還元通路22及びPCVバルブ23を介してヘッドカバー19の中に作用する。このとき、その負圧は、管継手26にも作用することから、エゼクタ17の側からは、第1ブローバイガス還元通路18及び管継手26を介してヘッドカバー19に大気が流入する。流入した大気は、負圧が作用するPCVバルブ23から第2ブローバイガス還元通路22へ抜けることになる。このため、セパレータ部28には、入口28aからブローバイガスが入らなくなり、ヘッドカバー19の中の空間、クランクケース21の中の空間を換気することができなくなるおそれがある。
【0037】
そこで、この実施形態では、
図1に示すように、エゼクタ17の近傍であって、第1ブローバイガス還元通路18に、ブローバイガスを流す方向とは逆向きの気体の流れを止めるための逆流防止手段としての逆止弁29が設けられる。すなわち、この逆止弁29は、ヘッドカバー19からエゼクタ17へ向かうブローバイガスの流れを許容し、その逆向きの気体の流れを止めるように構成される。
【0038】
以上説明したこの実施形態における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置によれば、エンジン1の運転時であって過給機7の非作動時には、スロットルバルブ15の下流側にて吸気通路3(サージタンク3a)で発生する負圧が、第2ブローバイガス還元通路22に作用する。この負圧の作用により、ヘッドカバー19の中に溜まったブローバイガスが、PCVバルブ23及び第2ブローバイガス還元通路22を通じて吸気通路3へ流れる。この結果、過給機7の非作動時には、ヘッドカバー19の中のブローバイガスを、吸気通路3を通じて燃焼室20へ還元することができる。このとき、ヘッドカバー19から第2ブローバイガス還元通路22へ流れるブローバイガス流出量は、PCVバルブ23により適量に調整される。
【0039】
ここで、この実施形態では、第1ブローバイガス還元通路18の入口と、第2ブローバイガス還元通路22の入口とが、共通するヘッドカバー19にて隣接して配置される。すなわち、第1ブローバイガス還元通路18の入口が接続される管継手26と、第2ブローバイガス還元通路22の入口が接続されるPCVバルブ23とが、ヘッドカバー19にて、セパレート部28における共通空間にて隣接して配置される。従って、吸気通路3(サージタンク3a)から第2ブローバイガス還元通路22等を通じてヘッドカバー19の中に作用する負圧が、第1ブローバイガス還元通路18にも作用する。しかし、この実施形態で、第1ブローバイガス還元通路18では、ブローバイガスを流す方向とは逆向きの空気の流れが逆止弁29により止められる。従って、エゼクタ17の側から第1ブローバイガス還元通路18等を通じてヘッドカバー19の中へ空気が流入することはない。このため、第1ブローバイガス還元通路18の入口から第2ブローバイガス還元通路22の入口へ大気が直接流れてしまうことがなく、第2ブローバイガス還元通路22へ向かうブローバイガスの流れを確保することができる。
【0040】
また、ヘッドカバー19から第2ブローバイガス還元通路22等を介して吸気通路3へブローバイガスが流れるとき、ヘッドカバー19の中には、新気導入通路24及び管継手27を通じて新気(大気)が導入される。このため、その新気によりヘッドカバー19の中を換気することができる。また、ヘッドカバー19の中が換気されることで、クランクケース21に溜まったブローバイガスを、連通路を介してヘッドカバー19の中に導入する。これにより、クランクケース21の中を換気することもできる。
【0041】
この実施形態では、第2ブローバイガス還元通路22の入口にPCVバルブ23が設けられるので、このPCVバルブ23により第2ブローバイガス還元通路22へ流れるブローバイガス流量が適量に調整される。このため、第2ブローバイガス還元通路22を通じて過剰なブローバイガスが燃焼室20へ還元されることを防止することができる。
【0042】
一方、エンジン1の運転時であって過給機7の作動時には、過給機7より下流側の吸気通路3が高圧となるので、第2ブローバイガス還元通路22の出口には負圧が作用しなくなる。このため、ヘッドカバー19から、PCVバルブ23及び第2ブローバイガス還元通路22を通じて吸気通路3へブローバイガスが流れなくなる。
【0043】
このとき、過給機7より上流側の吸気通路3と下流側の吸気通路3との間には吸気に圧力差が生じ、吸気バイパス通路16の両端の間にも吸気に圧力差が生じる。この圧力差によって吸気バイパス通路16に空気が流れ、この空気流によってエゼクタ17に負圧が発生する。従って、第1ブローバイガス還元通路18の出口には、エゼクタ17による負圧が作用し、ヘッドカバー19の中に溜まったブローバイガスが、第1ブローバイガス還元通路18、エゼクタ17及び吸気バイパス通路16を通じて吸気通路3へと流れる。この結果、過給機7の作動時には、ヘッドカバー19の中のブローバイガスを吸気通路3を通じて燃焼室20へ還元することができる。
【0044】
また、過給機7による過給圧が増大すると、吸気バイパス通路16の両端の圧力差が増大し、それに応じてエゼクタ17により発生する負圧が大きくなる。このため、ヘッドカバー19から第1ブローバイガス還元通路18等を介して吸気通路3へ流れるブローバイガス流量が増大し、燃焼室20へ還元されるブローバイガスが増大する。
【0045】
ここで、吸気バイパス通路16は、吸気通路3の一部を迂回して設けられるので、吸気バイパス通路16とエゼクタ17が吸気通路3における吸気抵抗に影響を与えることはない。このため、過給機7の作動時には、吸気通路3における吸気抵抗を増やすことなくブローバイガスを燃焼室20へ還元することができる。
【0046】
また、ヘッドカバー19から第1ブローバイガス還元通路18等を介して吸気通路3へブローバイガスが流れるときには、ヘッドカバー19の中に、新気導入通路24及び管継手27を通じて外部から新気(大気)が導入される。従って、この新気によりヘッドカバー19の中を換気することができる。また、ヘッドカバー19の中が換気されることで、クラックケース21に溜まったブローバイガス2を、連通路を介してヘッドカバー19の中に導入する。これにより、クランクケース21の中を換気することもできる。
【0047】
このように、この実施形態では、過給機7の作動時に使用する第1ブローバイガス還元通路18の入口と、過給機7の非作動時に使用する第2ブローバイガス還元通路22の入口とを互いに共通するヘッドカバー19にて隣接して配置した構成において、エンジン1の運転時であって過給機7の作動時及び非作動時にかかわらず、ヘッドカバー19の中のブローバイガス、クランクケース21の中のブローバイガスをエンジン1の燃焼室20へ有効に還元することができる。
【0048】
この実施形態では、ヘッドカバー19の中に蓄積されたブローバイガスが、第1ブローバイガス還元通路18の入口から、又は、第2ブローバイガス還元通路22の入口から、吸気通路3へ向けて流れるときに、ヘッドカバー19の中に、外部から新気導入通路24を通じて新気が導入される。このため、ヘッドカバー19に導入される新気によりヘッドカバー19の中を、併せてクランクケース21の中を、それぞれ換気することができる。
【0049】
この実施形態では、新気導入通路24の出口と、第1ブローバイガス還元通路18の入口と、第2ブローバイガス還元通路22の入口とが、同じヘッドカバー19に接続されるので、上記3つの通路24,18,22の取り回しが容易となる。このため、配管作業を容易にすることができる。
【0050】
<第2実施形態>
次に、本発明における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0051】
なお、以下に説明する各実施形態において、前記第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
【0052】
図6に、この実施形態における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置を含むエンジンシステムを概略構成図により示す。この実施形態では、エゼクタ17の近傍であって、第1ブローバイガス還元通路18に、第1実施形態の逆止弁29に代わり、バキューム・スイッチング・バルブ(VSV)31が設けられる。このVSV31は、電子制御装置(ECU)32により、エンジン1の運転状態に応じて制御されるように構成される。本実施形態は、このような点で第1実施形態と構成が異なる。
【0053】
ここで、ECU32は、エンジン1に設けられた各種センサ(図示略)からエンジン回転速度及び吸気圧力等の検出値を入力し、それら検出値に基づいてVSV31を制御するようになっている。この実施形態で、VSV31とECU32により、本発明の逆流防止手段が構成される。
【0054】
図7に、ECU32が実行する制御プログラムの内容をフローチャートにより示す。処理がこのルーチンへ移行すると、ECU32は、先ずステップ100で、エンジン始動後に所定時間経過したか否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、エンジン1の暖機完了前であるとして、ECU32は、ステップ130でVSV31を閉じる。この結果、VSV31により第1ブローバイガス還元通路18が閉じられ、同通路18の空気流が遮断される。
【0055】
一方、ステップ100の判断結果が肯定となる場合は、ECU32は、ステップ110で、吸気圧力が所定値以上か否か判断する。この判断結果が否定となる場合、エンジン1の暖機完了後に過給機7が非作動であるとして、ECU32は、ステップ130で、上記と同様にVSV31を閉じる。
【0056】
一方、ステップ110の判断結果が肯定となる場合は、エンジン1の暖機完了後に過給機7が作動しているとして、ECU32は、ステップ120でVSV31を開く。これにより、VSV31により第1ブローバイガス還元通路18が開かれる。そして、吸気バイパス通路16に過給圧に応じて空気が流れ、エゼクタ17には過給圧の大きさに応じて負圧が発生する。これにより、そのエゼクタ17で発生した負圧が、第1ブローバイガス還元通路18を介してヘッドカバー19の中に作用し、ヘッドカバー19からは、過給圧の大きさに応じて第1ブローバイガス還元通路18へブローバイガスが流れ出る。この結果、ブローバイガスがエゼクタ17、吸気バイパス通路16及び吸気通路3等を通じて燃焼室20へと還元される。
【0057】
上記したこの実施形態における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置によれば、エンジン1の運転状態に応じてVSV31を制御することにより、過給機7の作動時に、VSV31により第1ブローバイガス還元通路18を開くことができる。これにより、過給機7の作動時に、エゼクタ17を作動させて、ヘッドカバー19の中のブローバイガスを、第1ブローバイガス還元通路18等を介して吸気通路3へ流すことができ、燃焼室20へ還元することができる。
【0058】
一方、エンジン1の運転状態に応じてVSV31を制御することにより、過給機7の非作動時に、VSV31により第1ブローバイガス還元通路18を閉じることができる。これにより、エゼクタ17の側の空気が、第1ブローバイガス還元通路18を通じてヘッドカバー19へ逆流することを止めることができる。そして、吸気通路3(サージタンク3a)から第2ブローバイガス還元通路22及びPCVバルブ23を通じてヘッドカバー19の中に作用する負圧により、セパレータ部28には、その入口28aからPCVバルブ23へ向けてブローバイガスの流れが生じる。これにより、過給機7の非作動時には、ヘッドカバー19の中のブローバイガスを吸気通路3(サージタンク3a)へ流すことができ、燃焼室20へ還元することができる。
【0059】
このように、この実施形態では、エンジン1の運転状態に応じて、すなわち過給機7の作動時及び非作動時に応じて、第1ブローバイガス還元通路18をVSV31により開閉することができる。従って、過給機7の作動時に使用する第1ブローバイガス還元通路18の入口と、過給機7の非作動時に使用する第2ブローバイガス還元通路22の入口とを互いに共通するヘッドカバー19にて隣接して配置した構成において、エンジン1の運転時であって過給機の作動時及び非作動時にかかわらず、ブローバイガスを有効にエンジン1の燃焼室20へ還元することができる。その他の作用効果については、第1実施形態のそれと基本的に同じである。
【0060】
<第3実施形態>
次に、本発明における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置を具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0061】
図8に、この実施形態における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置を含むエンジンシステムを概略構成図により示す。この実施形態では、前記第1実施形態で第1ブローバイガス還元通路18に設けられる逆止弁29が省略される。その代わり、ヘッドカバー19のセパレータ部28A,28Bの構成の点で第1実施形態のそれと異なる。
【0062】
図9に、ヘッドカバー19の中の2つのセパレータ部28A,28Bを概略図により示す。
図9に示すように、ヘッドカバー19の中には、互いに分離した異なる2つのセパレータ部28A,28Bが設けられる。各セパレータ部28A,28Bは、それぞれ入口28aと、迷路状に配置された複数のフィン28bとを含む。第1セパレータ部28Aには、管継手26が設けられる。この管継手26には、第1ブローバイガス還元通路18の入口が接続される。第2セパレータ部28Bには、PCVバルブ23が設けられる。このPCVバルブ23には、第2ブローバイガス還元通路22の入口が接続される。すなわち、第1ブローバイガス還元通路18の入口と第2ブローバイガス還元通路22の入口のそれぞれには、ブローバイガスから液分を分離するためのセパレータ部28A,28Bが個別に設けられる。これら2つのセパレータ部28A,28Bは、第1ブローバイガス還元通路18の入口と第2ブローバイガス還元通路22の入口を互いに隔離するための本発明の隔離手段に相当する。
【0063】
上記したこの実施形態における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置によれば、ヘッドカバー19において、2つのセパレータ部28A,28Bが互い分離して設けられる。また、第1セパレータ部28Aには、第1ブローバイガス還元通路18の入口に接続される管継手26が設けられる。第2セパレータ部28Bには、第2ブローバイガス還元通路22の入口に接続されるPCVバルブ23が設けられる。
【0064】
従って、エンジン1の運転時であって過給機7の作動時には、第1ブローバイガス還元通路18には、エゼクタ17の働きにより負圧が作用し、ヘッドカバー19の中のブローバイガスが、第1セパレータ部28A、第1ブローバイガス還元通路18、エゼクタ17及び吸気バイパス通路16を通じて吸気通路3へ流れる。この結果、吸気通路3へ流れたブローバイガスを、エンジン1の燃焼室20へ還元することができる。
【0065】
一方、エンジン1の運転時であって過給機7の非作動時には、吸気通路3(サージタンク3a)で発生する負圧により、ヘッドカバー19の中のブローバイガスが、第2セパレータ部28B、PCVバルブ23及び第2ブローバイガス還元通路22を通じて吸気通路3(サージタンク3a)へ流れる。この結果、吸気通路3へ流れたブローバイガスを、エンジン1の燃焼室20へ還元することができる。
【0066】
ここで、第1ブローバイガス還元通路18の入口と、第2ブローバイガス還元通路22の入口とが、共通するヘッドカバー19にて隣接して配置されるが、各ブローバイガス還元通路18,22の入口がそれぞれ各セパレータ部28A,28Bにより互いに隔離される。従って、エゼクタ17の側から第1ブローバイガス還元通路18等を通じて第2ブローバイガス還元通路22の入口へ空気が直接導入されることはない。
【0067】
すなわち、過給機7の非作動時には、第2ブローバイガス還元通路22に作用する負圧がPCVバルブ23を通じて第2セパレータ部28Bに作用するが、その負圧が第1セパレータ部28Aに直接作用することがない。このため、エゼクタ17の側の空気が第1ブローバイガス還元通路18から第1セパレータ部28Aへ引かれることがなく、その空気が、第2セパレータ部28B及びPCVバルブ23を介して第2ブローバイガス還元通路22へ流れることはない。このため、第2セパレート部28Bから、PCVバルブ23及び第2ブローバイガス還元通路22へ向かうブローバイガスの流れを確保することができる。
【0068】
この結果、過給機7の作動時に使用する第1ブローバイガス還元通路18の入口と、過給機7の非作動時に使用する第2ブローバイガス還元通路22の入口とを互いに共通するヘッドカバー19にて隣接して配置した構成において、エンジン1の運転時であって過給機7の作動時及び非作動時にかかわらず、ブローバイガスを有効にエンジン1の燃焼室20へ還元することができる。その他の作用効果については、第1実施形態のそれと基本的に同じである。
【0069】
<第4実施形態>
次に、本発明における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置を具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0070】
図10に、この実施形態における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置を含むエンジンシステムを概略構成図により示す。この実施形態では、第1ブローバイガス還元通路18の入口がヘッドカバー19ではなくクランクケース21に接続されると共に、第2ブローバイガス還元通路22の入口がPCVバルブ23を介してヘッドカバー19ではなくクランクケース21に接続される。また、第1ブローバイガス還元通路18の入口が接続される管継手(図示略)と、第2ブローバイガス還元通路22の入口が接続されるPCVバルブ23とが、本発明における共通の蓄積部としてクランクケース21にて隣接して配置される。上記の点で、この実施形態は、第1実施形態と構成が異なる。
【0071】
上記したようにこの実施形態における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置によれば、エンジン1の運転時であって過給機7の作動時には、第1ブローバイガス還元通路18に、エゼクタ17の働きにより負圧が作用し、クランクケース21の中に溜まったブローバイガスが、第1ブローバイガス還元通路18、エゼクタ17及び吸気バイパス通路16を通じて吸気通路3へ流れる。この結果、吸気通路3へ流れたブローバイガスを、エンジン1の燃焼室20へ還元することができる。
【0072】
一方、エンジン1の運転時であって過給機7の非作動時には、吸気通路3(サージタンク3a)で発生する負圧により、クランクケース21の中のブローバイガスが、PCVバルブ23及び第2ブローバイガス還元通路22を通じて吸気通路3(サージタンク3a)へ流れる。この結果、吸気通路3へ流れたブローバイガスを、エンジン1の燃焼室20へ還元することができる。
【0073】
ここで、第1ブローバイガス還元通路18の入口と、第2ブローバイガス還元通路22の入口とが、ブローバイガスを貯めるための共通するクランクケース21にて隣接して配置されるので、第2ブローバイガス還元通路22からクランクケース21に作用する負圧が、第1ブローバイガス還元通路18にも作用しようとする。しかし、この実施形態では、第1ブローバイガス還元通路18において、ブローバイガスを流す方向とは逆向きの空気の流れが逆止弁29により止められるので、クランクケース21の中にエゼクタ17の側から第1ブローバイガス還元通路18を通じて空気が流入することはない。このため、第1ブローバイガス還元通路18から第2ブローバイガス還元通路22へ大気が直接流れてしまうことがなく、第2ブローバイガス還元通路22へ向かうブローバイガスの流れを確保することができる。
【0074】
この結果、この実施形態では、過給機7の作動時に使用する第1ブローバイガス還元通路18の入口と、過給機7の非作動時に使用する第2ブローバイガス還元通路22の入口とを互いに共通するクランクケース21にて隣接して配置した構成において、エンジン1の運転時であって過給機7の作動時及び非作動時にかかわらず、ブローバイガスを有効にエンジン1の燃焼室20へ還元することができる。
【0075】
また、この実施形態では、クランクケース21の中に蓄積されたブローバイガスが、第1ブローバイガス還元通路18の入口から、又は、第2ブローバイガス還元通路22の入口から、吸気通路3へ向けて流れるときに、ヘッドカバー19の中に、外部から新気導入通路24を通じて新気が導入される。また、ヘッドカバーの中に導入される新気は、連通路を介してクランクケース21にも導入される。このため、ヘッドカバー19に導入される新気によりヘッドカバー19の中を換気することができ、更にクランクケース21に導入される新気によりクランクケース21の中を換気することができる。
【0076】
また、第1ブローバイガス還元通路18の入口と、第2ブローバイガス還元通路22の入口とが同じクランクケース21に接続されるので、上記2つのブローバイガス還元通路19,22の取り回しが容易となる。このため、配管作業を容易にすることができる。その他の作用効果については、第1実施形態のそれと基本的に同じである。
【0077】
<第5実施形態>
次に、本発明における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置を具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0078】
図11に、この実施形態における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置を含むエンジンシステムを概略構成図により示す。この実施形態では、前記第4実施形態で第1ブローバイガス還元通路18に設けられる逆止弁29が省略される。その代わり、クランクケース21において、2つのセパレータ部30A,30Bが設けられる点で第4実施形態と構成が異なる。
【0079】
すなわち、
図11に示すように、クランクケース21の中には、互いに分離した異なる2つのセパレータ部30A,30Bが設けられる。各セパレータ部30A,30Bは、それぞれ上記した2つのセパレータ部28A,28Bと同等の構成を有する。第1セパレータ部30Aには、第1ブローバイガス還元通路18の入口が接続される。第2セパレータ部30Bには、PCVバルブ23を介して第2ブローバイガス還元通路22の入口が接続される。すなわち、第1ブローバイガス還元通路18の入口と第2ブローバイガス還元通路22の入口のそれぞれには、セパレータ部30A,30Bが個別に設けられる。これら2つのセパレータ部30A,30Bは、第1ブローバイガス還元通路18の入口と第2ブローバイガス還元通路22の入口を互いに隔離するための本発明の隔離手段に相当する。
【0080】
上記したようにこの実施形態における過給機付エンジンのブローバイガス還元装置によれば、エンジン1の運転時であって過給機7の作動時には、第1ブローバイガス還元通路18に、エゼクタ17の働きにより負圧が作用し、クランクケース21の中に溜まったブローバイガスが、第1セパレート部30A、第1ブローバイガス還元通路18、エゼクタ17及び吸気バイパス通路16を通じて吸気通路3へ流れる。この結果、吸気通路3へ流れたブローバイガスを、エンジン1の燃焼室20へ還元することができる。
【0081】
一方、エンジン1の運転時であって過給機7の非作動時には、吸気通路3(サージタンク3a)で発生する負圧により、クランクケース21の中のブローバイガスが、第2セパレート部30B、PCVバルブ23及び第2ブローバイガス還元通路22を通じて吸気通路3(サージタンク3a)へ流れる。この結果、吸気通路3へ流れたブローバイガスを、エンジン1の燃焼室20へ還元することができる。
【0082】
ここで、第1ブローバイガス還元通路18の入口と、第2ブローバイガス還元通路22の入口とが、共通するクランクケース21にて隣接して配置されるが、各ブローバイガス還元通路18,22の入口が個別のセパレート部30A,30Bにより互いに隔離される。従って、第2ブローバイガス還元通路22の入口に、エゼクタ17の側から第1ブローバイガス還元通路18を通じて空気が導入されることはない。このため、エゼクタ17の側の空気が第1ブローバイガス還元通路18から第1セパレータ部30Aへ引かれることがなく、その空気が、第2セパレータ部30B及びPCVバルブ23を介して第2ブローバイガス還元通路22へ流入することがない。このため、第1ブローバイガス還元通路18から第2ブローバイガス還元通路22へ大気が直接流れてしまうことがなく、第2ブローバイガス還元通路22へ向かうブローバイガスの流れを確保することができる。
【0083】
この結果、この実施形態では、過給機7の作動時に使用する第1ブローバイガス還元通路18の入口と、過給機7の非作動時に使用する第2ブローバイガス還元通路22の入口とを互いに共通するクランクケース21にて隣接して配置した構成において、エンジン1の運転時であって過給機7の作動時及び非作動時にかかわらず、ブローバイガスを有効にエンジン1の燃焼室20へ還元することができる。その他の作用効果については、第4実施形態のそれと基本的に同じである。
【0084】
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜に変更して以下のように実施することもできる。
【0085】
(1)前記第4実施形態では、第1ブローバイガス還元通路18に逆止弁29を設けたが、逆止弁29の代わりに、第2実施形態と同様に、ECU32により制御されるVSV31を第1ブローバイガス還元通路18に設けることもできる。
【0086】
(2)前記第3及び第5実施形態では、本発明の隔離手段として第1及第2のセパレータ部28A,28B,30A,30Bを設けたが、離隔手段としては、第1ブローバイガス還元通路の入口と第2ブローバイガス還元通路の入口を互いに隔離する機能を有する構造であればセパレータ部に限定されるものではない。例えば、各ブローバイガス還元通路の入口を、通気孔を有する単なる部屋で仕切る構造であってもよい。