特許第5717626号(P5717626)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5717626新規なワックス分散液配合物、その製造方法、及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717626
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】新規なワックス分散液配合物、その製造方法、及び使用
(51)【国際特許分類】
   C09G 1/04 20060101AFI20150423BHJP
   C09G 1/08 20060101ALI20150423BHJP
   C09D 191/06 20060101ALI20150423BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20150423BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20150423BHJP
   C09D 7/14 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   C09G1/04
   C09G1/08
   C09D191/06
   C09D5/02
   C09D7/12
   C09D7/14
【請求項の数】2
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2011-512541(P2011-512541)
(86)(22)【出願日】2009年5月29日
(65)【公表番号】特表2011-522106(P2011-522106A)
(43)【公表日】2011年7月28日
(86)【国際出願番号】US2009045586
(87)【国際公開番号】WO2009148944
(87)【国際公開日】20091210
【審査請求日】2012年5月22日
(31)【優先権主張番号】61/058,027
(32)【優先日】2008年6月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/471,966
(32)【優先日】2009年5月26日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100098590
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 隆
(72)【発明者】
【氏名】レオツァコス,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】グラヴァット,ウェイン・エム
(72)【発明者】
【氏名】スミス,クリストファー・ピー
(72)【発明者】
【氏名】コカー,マイケル・エイ
【審査官】 馬籠 朋広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−069302(JP,A)
【文献】 特開2001−253946(JP,A)
【文献】 特開2002−069386(JP,A)
【文献】 特開平06−063387(JP,A)
【文献】 特表平09−502216(JP,A)
【文献】 特開2002−006545(JP,A)
【文献】 特開2002−309152(JP,A)
【文献】 特開2003−295515(JP,A)
【文献】 特開2004−300378(JP,A)
【文献】 特開2007−033717(JP,A)
【文献】 特開2007−072488(JP,A)
【文献】 特開平06−009341(JP,A)
【文献】 特開2009−157271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09G 1/04
C09G 1/08
C09D 191/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性ワックス分散液の製造方法であって、
(a)6μmより大きい平均粒径を有する複数のワックス粒子を含む少なくとも1種類の粒子状ワックスを、水及び少なくとも1種類の分散剤と配合して混合物を形成し;そして
(b)該混合物を、該ワックス粒子を水中に分散させて該ワックス粒子の少なくとも一部の表面を分散剤で被覆するのに十分な条件にかけ;該ワックス粒子の寸法を減少させて、該ワックス粒子の平均径が0.1μm〜6μmとなり、該ワックス粒子の全てが20μm以下の粒径を有するようにし;それによって、水性ワックス分散液を形成する;
ことを含み、ここで、該粒子状ワックスは該分散液の5重量%〜45重量%を構成し;該分散剤は粒子状ワックスの重量を基準として0重量%より多く5重量%以下を構成し;該分散液は、25℃で該分散液の10重量%のワックス粒子濃度において100cps以下の粘度、及び25℃で該分散液の45重量%のワックス粒子濃度において200cps以下の粘度を有し、該水性ワックス分散液が、高圧で及び、50℃より低くかつ該ワックス粒子の溶融を阻止する温度で形成される方法であり、該ワックスがポリオレフィンワックスであり、該分散剤がアニオン性又は非イオン性界面活性剤であり、そして、該高圧が高圧ホモジナイザーを使用して適用される方法
【請求項2】
水性ワックス分散液の製造方法であって、
(a)複数の粒子を含む少なくとも1種類のワックス粒子を、溶媒及び少なくとも1種類の分散剤と配合して混合物を形成し;そして
(b)該混合物を、該ワックス粒子を該溶媒中に分散させかつ該ワックス粒子の少なくとも一部の表面を該分散剤で被覆するのに十分な条件にかけ;該ワックス粒子の寸法を少なくとも部分的に減少させて、それによって水性ワックス分散液を形成する;
ことを含み、ここで、該ワックス粒子は該分散液の5重量%〜45重量%を構成し、該分散剤は該ワックス粒子の重量を基準として0重量%より多く5重量%以下を構成し;該分散液は、25℃で該分散液の10重量%のワックス粒子濃度において100cps以下の粘度、及び25℃で該分散液の45重量%のワックス粒子濃度において200cps以下の粘度を有し、該水性ワックス分散液が、高圧で及び、50℃より低くかつ該ワックス粒子の溶融を阻止する温度で形成される方法であり、該ワックスがポリオレフィンワックスであり、該分散剤がアニオン性又は非イオン性界面活性剤であり、そして、該高圧が高圧ホモジナイザーを使用して適用される方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本出願は、2008年6月2日出願の米国仮特許出願61/058,027(その全部を参照として本明細書中に包含する)の利益を主張する。
[002]本発明は、プライマー、塗料、インク、及び被覆、潤滑剤、離型剤、並びに他の用途のための表面変性剤として有用な水性ワックス分散液に関する。より詳しくは、本発明は、プライマー、塗料、インク、及び他の被覆配合物において改良された特性を与える表面変性剤として有用な水性の粒子状ワックス分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
[003]塗料及び被覆産業においては、天然及び合成の添加剤は生成物の性能品質において重要な役割を果たし、最終被覆生成物の所望の表面特性、改良された被覆の完全性、及び表面の外観に寄与し、並びに被覆生成物の下流での処理を助け、それらの耐用年数を延ばす。添加剤は、配合物の小さな部分しか構成しないが、低い添加量及びコストで配合物全体の特性における大きな改良を達成し、向上した生成物の性能及び有用性を与えることができる。表面変性剤に対する性能要求は大きくなり続けているが、また、これらの産業における最終ユーザーはより低いコストを期待し続けており、これによってより薄く塗布された膜及びより迅速なライン速度が導かれている。更に、世界的には40億ドルの添加剤産業が展開しているが、環境的に有害な界面活性剤を含まず、ゼロか又は低い揮発性有機化合物(VOC)含量を有し、消泡剤及び脱泡剤を含まない水性の添加剤分散液に対する需要が増大している。
【0003】
[004]今日入手できる多くの添加剤の中で、天然及び合成のワックスは、これらの産業におけるかかるニーズを満足し、環境に優しい水性ワックス分散液の形態で塗料及び被覆に改良された表面変性特性を与えることができる。非常に小さい粒径によって粒子を水基剤全体にわたって十分に分散させ、ワックスの有効性及び効率を向上させることができるので、微細化された粒子状ワックスの水性分散液が特に有用である。微細化された粒子状ワックスの水性分散液は、約1μm〜500μmの寸法を有する流路に流体を通過させることによって非常に小さい体積、則ちマイクロリットル/ナノリットルの範囲の液体を取り扱うことができる装置を用いる微細流体技術を用いて製造することができる。この寸法スケールにおいては、流体の挙動に影響するファクターは、より大きなスケールにおけるものとは異なる。例えば、ミクロスケールの系に関しては、面積力はマクロスケールの系と比較して益々支配的なファクターになる。流体と微細流路との間に生成する大きな面積力、大きな剪断及び伸び率(例えば、それぞれ低いレイノルズ数及び高いワイセンベルグ数)のために、有用な大規模のアプローチ及び構造が、微細流体スケールにおいては役に立たないか又は使用不能になる可能性がある。ホモジナイザー、回転子/固定子、及び媒体ミルなどの多くの有用な粒径減少方法及び装置が当該技術において公知であるが、幾つかの技術は他のものよりもより良好である。流体導路の寸法を減少させると、水性ワックス分散液において重要な粒子表面の湿潤性を制御することがより困難になる。
【0004】
[005]微細化された粒子状ワックスは、プライマー、塗料、インク、及び他の被覆配合物における高いレベルの摩擦、損傷、引掻、及び摩耗抵抗性、並びに向上した滑り性、光沢調整、及び抗ブロッキング/オフセット特性のような望ましい表面特性を与えることが知られている。ここで用いる「微細化」とは、通常は摩擦、又は粒子間の衝突及び破砕によってワックス粒子の平均径を減少させるプロセスであり、本発明の分散液における「微細化」ワックスとは、以下により具体的に説明する、直径を僅か数ミクロンに減少させた平均(Mv)粒径を有する粒子状ワックスである。
【0005】
[006]塗料及び被覆の表面を保護及び強化する粒子状ワックス添加剤の能力は、ワックスの特性に直接関係する。例えば、被覆の耐久性は、ワックスの摩擦係数(COF)、硬度、及び靱性、ワックスのタイプ、ワックスの分子量、及び被覆分散液中のワックスの使用量によって定めることができる。ワックスの靱性は、ワックスの分子量、密度、及び結晶化度を増加させると増大する。ワックスの密度は、被覆組成物中における分散液の安定性に影響を与え、ワックスの密度をその中にワックスを混合する被覆材料の密度により近接させると、安定性がより良好になる。ワックスの溶解特性も関係するファクターである。インク、被覆、及び塗料用途において最も通常的に用いられる微細化された粒子状ワックスは、ワックスの膨らみを防ぐために室温(25℃)においてインク、被覆、及び塗料配合物中に不溶なままでなければならない。分子量及び密度がより高いと、不溶性がより高くなる。更に、被覆材料に加えると、これらのワックスは約0.1μm〜約50μmの範囲の粒径を有する。被覆膜の完全性を保護するためには、ワックスは、生成物の貯蔵中に不溶なままで保持されて、その元の粒径及び元の粒径分布を保持しなければならない。これによって、被覆組成物の表面上への塗布及び/又は硬化プロセス中に膜表面にワックスが移動した場合に起こる可能性のある、塗布した被覆膜における欠陥の形成が抑止される。
【0006】
[007]粒子状ワックス分散液中におけるワックス粒子の寸法は、被覆厚さ、被覆材料の塗布パラメーター及び硬化スケジュールによって影響を受ける他の関連する考慮事項である。一般に、粒径がより小さいと、欠陥の可能性がより少なくなる。特に、ワックス粒子が被覆の湿潤膜厚よりも小さい寸法であると、膜欠陥を避けることができる。また、ワックス粒子がより小さいと、単位重量あたりの粒子の数がより多くなり、それらの全表面積がより大きくなり、このため、粒子が被覆表面へブルーミングすると被覆の性能が向上する。これに対し、大きな粒子は膜の欠陥又は生成物の不良を引き起こす可能性がある。ワックスの粒径、粒径分布、粒子形状、及び屈折率も、膜の光沢及び曇り特性に影響を与える。
【0007】
[008]また、表面変性剤としてのワックスの有効性は、選択された塗料、インク、又は他の被覆材料中におけるワックスの湿潤性によっても定まる。具体的には、水性塗料、水性インク、及び他の水性被覆における微細化ワックス添加剤の有効性は、水中に不溶のワックスの不適当な湿潤性によって悪化する。この問題を補償するために、界面活性剤のような分散剤を水性ワックス分散液中に含ませて、ワックス粒子の湿潤性を向上させることが公知である。例えば、米国特許5,743,949は、ポリマー炭水化物分散剤、例えば水溶性アルキル化又はヒドロキシアルキル化セルロースエーテル、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、或いはアルカリ金属セルロース、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロースを含む水性ワックス分散液を教示する。水中の非ワックスポリマー分散液に関しては界面活性剤もまた有用である。例えば、米国特許出願公開2005/0100754及び2007/0292705は、カルボン酸、カルボン酸塩、界面活性剤などのような分散剤を含む水中の非ワックスポリオレフィン樹脂分散液を教示する。これらの公報において記載されている樹脂分散液は、基剤上に被覆して水、油、又は化学薬品への耐性を有する基材を与えるために、或いはインク用又は被覆組成物用のバインダーとして有用である。米国特許7,307,042、及びヨーロッパ特許出願公開EP−1806237はいずれも、感熱記録材料用の保護層として働く非ワックス樹脂エマルジョンを教示しており、ここでは、樹脂エマルジョンに乳化剤として界面活性剤を含ませることができる。
【0008】
[009]しかしながら、現在の最新技術においては、公知の水性ワックス分散液は重大な望ましくない欠点を有しており、改良に関する絶え間ない必要性が当該技術において未だ存在する。例えば、米国特許5,743,949の分散液は、微細化ワックス、水、及び粘稠質のセルロースベースの分散剤のブレンドを含む。粘稠質のセルロースベースの分散剤は、水中にワックス粒子を懸濁させて分散液の粘度を上昇させる格子として作用する。これは、44.4%のワックス濃度、及び670mPas(670センチポイズ)の粘度を有する最も低い粘度の分散液が開示されている実施例20において特に示されている。同程度のワックス濃度を有するが非常により低い粘度を有し、添加した後に被覆材料の粘度に最小の影響を有する分散液を提供することが望ましいであろう。米国特許5,743,949における他の欠点は、それによって分散液を形成する手段が関係する。具体的には、ワックスを微細化された粉末形態で、則ちワックスを微細化した後に水中に導入することによって、粒子が一緒に凝集又は凝塊し、全ての分散粒子を分散剤で完全か又は実質的に完全に湿潤させることができなくなり、したがって時間に伴って低い安定性を有する劣った品質の分散液が生成する。ワックスは、水不溶性であっても、配合物中に容易に含ませるために、及び水媒体からのワックスの分離を防ぐために、水によって湿潤させることができるので、ワックス粒子を完全か又は実質的に完全に湿潤させることが望ましい。
【0009】
[0010]粒子の凝集及び不十分な粒子の湿潤は、米国特許出願公開2005/0100754及び2007/0292705、米国特許7,307,042、及びヨーロッパ特許出願公開EP−1806237(これらは全て、水性媒体中の溶融非ワックス熱可塑性樹脂を分散剤と混合することによって分散液を形成することを教示する)において記載されているようなポリマー非ワックス樹脂エマルジョンにおいても問題である。これらの樹脂分散液はワックスと大きく異なる特性を有し、このために、これらは塗料及びインクのような被覆材料用の効率的な添加剤としては好適でない。例えば、ワックスは約40℃より高い温度において分解することなく溶融又は軟化し、通常は約50℃〜150℃の間で溶融低粘度状態に転化し、灰分形成化合物を実質的に含まず、これによって油及び樹脂から区別される。重要なことには、ワックスは、樹脂及びプラスチックとは異なり、糸引きを起こさず、一般に自立膜を形成しない。これに対して、ワックス添加剤とは異なり、樹脂分散液の樹脂粒子は、基材上に塗布すると結合又は硬化し、自立膜又は好適な基材上の膜を形成する。ワックスは、膜の表面特性しか変化させず、ワックス粒子を含む塗料又はインク組成物のような被覆組成物から形成される膜の機械特性を低下させない。また、樹脂も、塗料、インク、又は他の被覆材料のような被覆材料とブレンド又は架橋させて、基材に対する膜の接着性のような最終被覆組成物の物理特性を変化させる。したがって、樹脂分散液はインク又は被覆材料用のバインダーとして有用であるが、これらは同じ被覆材料用の表面調整添加剤としては適していない。ワックスのような表面調整添加剤は、基被覆材料の膜形成特性を変化させず、その結果、被覆組成物中において、被覆の寿命全体にわたって独立したワックス粒子として存在する。被覆組成物の寿命中において、ワックスはまず湿潤状態の被覆組成物中にランダムに懸濁し、次に乾燥又は硬化中に膜全体にわたって分散し、そして好ましくはワックス粒子の大部分は最終乾燥膜の表面に存在する。したがって、ワックス粒子は、油及び樹脂とは異なり、被覆膜の表面特性を変化させる目的で基被覆材料(例えばインク又は塗料)に加える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,743,949号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0100754号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0292705号明細書
【特許文献4】米国特許第7,307,042号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1806237号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
[0011]したがって、高い固形分濃度を有し、ワックス粒子の凝集を実質的に有さず、及び/又はワックス粒子の実質的に全ての表面が分散剤によって実質的に完全に被覆(則ち湿潤)されていて、分散液の品質及び長期間安定性が向上されている低粘度の水性粒子状ワックス分散液を提供することが望ましい。また、分散液が分離せず、したがって使用前の貯蔵中にワックス粒子の均一性が保持され、生成物安定性が示される実質的な均一性を有することも望ましい。更に、ワックス分散液は、食品包装用途における使用に関して適用される米国食品医薬品局(FDA)規則に適合することが望ましい。本発明は、最小量のみの分散剤を用いて、当該技術におけるこれらの必要性に対する解決策を与え、非常に優れたワックス粒子の湿潤を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[0012]本発明は、
(a)水;
(b)水中に分散している少なくとも1種類の粒子状ワックス、ここで粒子状ワックスは約0.1μm〜約6μmの平均粒径を有する粒子を含み、実質的に全てのワックス粒子は約20μm以下の粒径を有し、粒子状ワックスは分散液の約5重量%〜約45重量%を構成し;及び
(c)粒子状ワックスの重量を基準として0重量%より多く約5重量%以下の分散剤;
を含み、ここで分散剤はワックス粒子の少なくとも一部の表面を被覆し、分散液は、約25℃、分散液の約10重量%のワックス濃度において約100cps以下の粘度、及び約25℃、分散液の約45重量%のワックス濃度において約200cps以下の粘度を有し、ワックス粒子の凝集を実質的に有しない、水性ワックス分散液を提供する。
【0013】
[0013]本発明はまた、
(a)約6μmより大きい平均粒径を有する複数のワックス粒子を含む少なくとも1種類の粒子状ワックスを、水及び少なくとも1種類の分散剤と配合して混合物を形成し;そして
(b)混合物を、ワックス粒子を水中に分散させ、ワックス粒子の少なくとも一部の表面を分散剤で被覆するのに十分な条件にかけ;ワックス粒子の寸法を減少させて、ワックス粒子の平均径が約0.1μm〜約6μmとなり、実質的に全てのワックス粒子が約20μm以下の粒径を有するようにし;それによって、水性ワックス分散液を形成する;
ことを含み、ここで、粒子状ワックスは分散液の約5重量%〜約45重量%を構成し;分散剤は粒子状ワックスの重量を基準として0重量%より多く約5重量%以下を構成し;分散液は、約25℃、分散液の約10重量%のワックス濃度において約100cps以下の粘度、及び約25℃、分散液の約45重量%のワックス濃度において約200cps以下の粘度を有する、水性ワックス分散液の製造方法も提供する。
【0014】
[0014]本発明は更に、
(a)約6μmより大きい平均粒径を有する複数のワックス粒子を含む少なくとも1種類の粒子状ワックスを、水及び少なくとも1種類の分散剤と配合して混合物を形成し、ここで、ワックスは約13,000以下の重量平均分子量を有し;そして
(b)混合物を複数の混合物流に分離し;
(c)熱を生成し、ワックス粒子の寸法減少を引き起こすのに十分な圧力及び速度で、混合物流を互いに連続的に衝突させて、それによってワックス粒子を互いに連続的に衝突させ;
(d)連続的に、粒子の衝突によって生成する熱を除去して混合物を約5℃以下に冷却し;そして
(e)混合物流とワックス粒子との衝突を継続させてワックス粒子の平均径を約0.1μm〜約6μmに減少させ、ワックス粒子の実質的に全てが約20μm以下の粒径を有するようにし;また、ワックス粒子を水中に均一に分散させ;それによって水性ワックス分散液を形成する;
ことを含む方法によって製造され、ここで、粒子状ワックスは分散液の約5重量%〜約45重量%を構成し;分散剤は粒子状ワックスの重量を基準として0重量%より多く約5重量%以下を構成し;分散液は、約25℃、分散液の約10重量%のワックス濃度において約100cps以下の粘度、及び約25℃、分散液の約45重量%のワックス濃度において約200cps以下の粘度を有し;ワックス粒子の凝集を実質的に有しない、水性ワックス分散液を提供する。
【0015】
[0015]
(a)複数の粒子を含む少なくとも1種類の粒子状材料を、溶媒及び少なくとも1種類の分散剤と配合して混合物を形成し;そして
(b)混合物を、粒子を溶媒中に分散させ、粒子の少なくとも一部の表面を分散剤で被覆するのに十分な条件にかけ;粒子の寸法を少なくとも部分的に減少させて、それによって分散液を形成する;
ことを含み、ここで、粒子状材料は分散液の約5重量%〜約45重量%を構成し;分散剤は粒子状材料の重量を基準として0重量%より多く約5重量%以下を構成し;分散液は、約25℃、分散液の約10重量%の粒子状材料濃度において約100cps以下の粘度、及び約25℃、分散液の約45重量%の粒子状材料濃度において約200cps以下の粘度を有する、分散液の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[0016]図1は、本発明による方法の概要図である。
図2】[0017]図2は、実施例16〜18において測定された粘度値のグラフである。
図3A】[0018]図3Aは、実施例12からの分散液について行った粒径分析の概要である。
図3B図3Bは、実施例12からの分散液について行った粒径分析の概要である。
図3C図3Cは、実施例12からの分散液について行った粒径分析の概要である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0019]本発明の水性ワックス分散液配合物は、環境的に安全で、ゼロか又は低いVOC含量を有し、また食品包装用途における使用に関して適用される連邦規則集21巻のFDA規則に適合する。これらは、塗料、インク、及び他の被覆材料のための撹拌混合添加剤として利用することができ、使用前の貯蔵において保存安定性であり、添加後に被覆材料の粘度に対して最小の影響を有する。分散液は、ワックス固形分に対して少量の界面活性剤を含み、消泡剤及び脱泡剤を含まず、滑り、摩擦、抗ブロッキング、光沢保持、及び耐摩耗性の改良されたバランスを被覆表面に与える。分散液はまた、被覆生成物の下流での処理を助け、最終生成物の耐用年数を延ばし、最終生成物の外観を改良する。
【0018】
[0020]水性分散液は、連続液体媒体が水である分散液である。過剰の硬度を有する水は好適な分散液の形成に悪影響を与える可能性があるので、脱イオン水が好ましい。ここで用いる「水性ワックス分散液」とは、水中のワックス粒子の分散液を指す。また、好ましくは水が用いる唯一の連続液体媒体であり、ワックスも分散剤も分散液の残りを構成しない。
【0019】
[0021]上述したように、ワックスは一般に、室温において固体であるが、約40℃より高い温度において分解することなく溶融又は軟化する材料として定義される。これらは一般に有機であり、室温において水中に不溶であるが、水湿潤性であってよく、非極性有機溶媒のような幾つかの溶媒中でクリーム、ゲル、及び/又はペーストを形成することができる。ワックスは、分岐であっても線状であってもよく、低い結晶化度又は高い結晶化度を有していてよい。「低い」結晶化度を有するワックスは、約20%より低い結晶化度、好ましくは約9%〜約20%の結晶化度を有する。「適度」の結晶化度を有するワックスは、約20%〜約40%の結晶化度を有する。「高い」結晶化度を有するワックスは、約40%より高く、好ましくは約70%〜約95%の結晶化度を有する。本発明の好ましい態様においては、ワックスの結晶化度は約20%〜約90%である。
【0020】
[0022]ワックスはまた、比較的低い極性を有する。これらの重量平均分子量は、約400〜約25,000の範囲であってよく、約40℃〜約150℃の範囲の融点を有する。好ましいワックスは、約400〜約13,000、より好ましくは約400〜約10,000、最も好ましくは10,000未満の重量平均分子量を有する。有用なワックスはまた、約1.0〜約4.0、より好ましくは約1.0〜約2.5、最も好ましくは約1.0〜約1.5の好ましい多分散(Pd)指数を有する。
【0021】
[0023]ワックスは一般に、より高次のポリマー/樹脂のように自立膜を形成せず、一般に油及びグリースよりも多い炭素原子を含む脂肪族炭化水素である。ワックスを定義する他の特性はその粘度である。粘度は流れに対する材料の内部抵抗を測るものであり、高い粘度を有する材料は低い粘度を有する材料よりも「より濃厚」で流動性が低いと考えられる。ワックスの溶融粘度は低から高までの範囲であってよく、通常はワックスの分子量、結晶化度、及びワックスが酸化されているか又は共重合されているか否かによって定まる。ワックスの分子量及び密度を増加させるとワックスの溶融粘度が増加し、ワックスの結晶化度を増加させると溶融粘度が減少する。ワックスの脆さ、則ち機械力によって粒径が減少するその性質は、より高い結晶化度において増大し、ワックスの密度及び分子量を増加させると減少する。酸化されたワックスは、水性分散液中の非酸化ワックスの分散液粘度(室温において約30cps〜約150cps)よりも高い水中の分散液粘度(例えば室温(約25℃)において約300cps〜約400cps)を生成する傾向がある。これは、酸化ワックスの化学構造に固有か、或いは酸化プロセスからワックス表面に付加された極性基によるもので、水と水素結合する極性基の親和性によって混合物の流れに対する抵抗が増加して水性分散液の粘度の増加が引き起こされるためであると考えられる。それらの融点より高い温度でのワックスの溶融粘度は、通常は低い。本発明の好ましい態様においては、好ましいワックスは、140℃において、約5cps〜約10,000cps、より好ましくは約5cps〜約100cps、最も好ましくは約5cps〜約80cpsの溶融粘度を有する。
【0022】
[0024]粘度値は、当該技術において周知の技術を用いて測定し、例えば毛細管、回転、又は移動体流動計を用いて測定することができる。好ましい測定具は、Middleboro, MassachusettsのBrookfield Engineering Laboratories, Inc.から商業的に入手できるBrookfield回転粘度計である。水性ワックス分散液の粘度、並びに水性ワックス分散液のチキソトロピー、偽可塑性(pseudoplasticity)、及び/又はニュートン流動挙動は、通常はBrookfield回転粘度計を用いて測定する。
【0023】
[0025]好適なワックスとしては、天然及び合成ワックスの両方が挙げられる。好適なワックスとしては、非排他的に、蜜蝋、白蝋、シェラックワックス、鯨蝋、及び羊毛蝋(ラノリン)のような動物性ワックス;ベイベリーワックス、カンデリラ蝋、カルナウバ蝋、キャスターワックス、エスパルトワックス、木蝋、ホホバ油ワックス、オウリキュリー蝋、米ぬかワックス、及び大豆ワックスのような植物性ワックス;セレシン蝋、モンタン蝋、地蝋、及び泥炭ワックスのような無機ワックス;パラフィンワックス及び微結晶質ワックスのような石油ワックス;並びにポリオレフィンワックス、例えばポリエチレン及びポリプロピレンワックス、ワックスグレードのポリテトラフルオロエチレンワックス(PTFEワックス様グレード)、フィッシャー・トロプシュワックス、ステアラミドワックス(エチレンビスステアラミドワックスを含む)、重合α−オレフィンワックス、置換アミドワックス(例えばエステル化又は鹸化置換アミドワックス)、及び他の化学的に変性したワックス、例えばPTFE変性ポリエチレンワックスのような石油ワックス、並びに上記の組み合わせが挙げられる。これらの中で好ましいワックスとしては、パラフィンワックス、微結晶質ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、分岐及び線状ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバ蝋、エチレンビスステアラミド(EBS)ワックス、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの好ましいワックスの特性を表1にまとめる。
【0024】
【表1】
[0026]特定の用途のための分散液において用いるワックスの適切なタイプは、配合者が何を達成することを望んでいるかによって定まる。例えば、ゼロよりも大きい酸価及び/又は鹸化(sap)価を有するワックスは減少した疎水性を有する。酸価又は鹸化価がより高いと、ワックスはより親水性になる。本発明において用いるのに好ましいワックスは、約40以下の酸価を有し、より好ましくは約30以下の酸価を有し、最も好ましくはゼロの酸価を有する。本発明において用いるのに好ましいワックスは、約80以下の鹸化価を有し、より好ましくは約50以下の鹸化価を有し、最も好ましくはゼロの鹸化価を有する。本発明の最も好ましい態様においては、酸価及び鹸化価は両方ともゼロである。合成炭化水素ポリマー及びポリオレフィンホモポリマーは、通常は意図的に酸価又は鹸化価を有しないように製造され、したがって全てのワックスの中で最も疎水性である。所望の場合には、合成ポリオレフィンホモポリマーは、例えば酸化又は親水性基との共重合によって、例えばカルボキシ又はヒドロキシ基のような懸垂極性官能基を付加することによってポリマー鎖に親水性基を付加するように変性して、親水性を生起させ、ポリマーが水中で湿潤又は分散できる能力を向上させることができる。更に、約800〜約15,000の重量平均分子量を有する未変性のポリエチレンホモポリマーに関しては、エマルジョンは入手できない。
【0025】
[0027]一般に、親水性は、ワックスにおいて、水中での湿潤性を向上させ、ワックス−水分散液をより容易に達成し、分散液の貯蔵安定性を向上させるために望ましい。しかしながら、被覆中においては、殆どの樹脂はカルボキシ基、ヒドロキシ基、ケトン、及びアルデヒドのような親水性ワックス中の同じ基と同様の反応性及び架橋度のための同じ懸垂基を有しているためにワックスは極性樹脂と相溶性であるので、親水性は望ましくない。親水性ワックスは極性樹脂と相溶性であるので、膜の一部になり、硬化サイクル中に表面に移動して表面変性剤として機能することはない。これらはまた、低い分子量を有し、硬化膜の機械特性に悪影響を与えるので、副次的な膜バインダーとして機能する可能性がある。例えば、現在の最新技術においては、水相溶性で、容易に乳化し、水に加えるのが容易で、良好な光沢保持性を有する被覆を与えるので、16以上の酸価及び/又は16以上の鹸化価を有する親水性ワックスを含むエマルジョンが知られている。しかしながら、これらはここに記載する目的のための表面変性剤としては好ましくない。特に、ワックス粒子は硬化膜に捕捉され、硬化膜全体にわたって混合された状態で保持されるので、適切な表面保護を与えることができず、被覆中へのワックスの添加量に関係なく表面の耐久性に小さな影響しか有しない。かかるエマルジョンも、インク及び塗料のような被覆の耐久性、滑り、摩擦、及び摩耗抵抗性を大きくは向上しない。これは部分的にはワックスの親水性のためである。したがって、水性分散液がインク及び塗料のような被覆材料に容易に加えられ、ワックス粒子が静置した状態で安定性を示し、静置した状態において貯蔵缶内でそれらの被覆材料と相溶性の状態で保持されるが、材料を硬化させると極性親水性材料とのそれらの物理的非相溶性のために表面に移動する、改良された水性ワックス粒子分散液、特に約0.1μm〜6μmのワックス粒子径を有するものに対する必要性が存在する。
【0026】
[0028]考慮すべき重要なファクターとしては、求められている主要な性能特性、求められている任意の更なる又は副次的な特性、媒体などの配合の化学的性質、塗布法及び硬化雰囲気、並びに湿潤及び乾燥膜の厚さ、並びにコストが挙げられる。水性ワックス分散液の挙動に影響を与えるワックスの特性としては、ワックスの固有の化学的性質、ワックスの分子量及び分子量分布、ワックスの分岐度、並びにワックス粒子の寸法及びワックス粒子の寸法分布などのワックス粒子の形態が挙げられる。他の考慮事項は、ワックスの結晶化度、密度、摩擦係数、硬度、融点、粘度、疎水性、及び室温における溶媒中での不溶性である。これらのワックスの特性の1つ以上が、靱性、耐摩耗性、耐損傷性、耐摩擦性、滑り/非滑り、光沢又は艶消し制御、及び抗ブロッキング/オフセット、並びに配合物導入の容易さ及び被覆材料との相溶性のような生成物特性に影響を与える。例えば、上述したように、ワックスの密度は被覆組成物中における分散液の安定性に影響を与え、ワックスの密度がその中にワックスを混合する被覆材料の密度により近いと、安定性がより良好になる。本発明の好ましい態様においては、ワックスは、(ASTM−D1505によって測定して)約0.5g/cm〜約1.5g/cm、より好ましくは約0.8g/cm〜約1.0g/cm、最も好ましくは約0.95g/cm〜約1.0g/cmの密度を有する。水性又は溶媒ベースのいずれであっても、被覆材料中でのワックスの不溶性によってワックスの膨れを防ぐことができ、分子量及び密度がより高いと不溶性がより高くなる。ワックス、又はより詳しくは表面上でのワックス被覆の摩擦係数は、膜表面がそれ自体又は他の表面に対して移動する能力を示す比較値である。摩擦係数がより高いと、物体を表面上で滑らすか又は移動させることがより困難になる。表面の所望の摩擦係数は、特定の用途のための配合者又は最終ユーザーの要求によって変化させることができるので、COFの目的のためのワックスの選択は用途に特異のものである。しかしながら、本発明の予測される通常の用途においては、本発明の最も好ましいワックスによって低い摩擦係数を有する乾燥及び/又は硬化した被覆表面が与えられるので、被覆は高い滑り性を示し、これにより、放出特性及び抗ブロッキング性のような膜の表面性能、及び研磨剤を膜表面から離脱させることによって生成物膜の耐久性が向上する。ポリエチレンワックス、ワックスグレードのPTFE、パラフィンワックス、及びフィッシャー・トロプシュワックスなどのここで記載するワックスの殆どは、表面の摩擦係数を減少させる。これに対して、ポリプロピレンワックスは表面の摩擦係数を増加させる。
【0027】
[0029]本発明の有用なワックスは、好ましくは、ASTM−D5によって測定して約0.01dmm〜約10dmm、より好ましくは約0.5dmm〜約5dmm、より好ましくは約0.5dmm〜約2dmm、最も好ましくは2.0dmmより低い硬度を有する。ワックスの硬度は、ワックス表面が切削、圧入、又は貫通に抵抗する能力である。高い硬度を有するワックスは、物体が膜を貫通することを阻止することによって生成物膜の耐久性を向上させる。本発明の有用なワックスは、好ましくは、ASTM−D5によって測定して約0.01dmm〜約10dmm、より好ましくは約0.5dmm〜約5dmm、より好ましくは約0.5dmm〜約2dmm、最も好ましくは2.0dmmより低い硬度を有する。ワックスの靱性、又はワックスが分解又は破壊することなくエネルギーを吸収する能力は、分子量、硬度、及び密度のようなその物理特性に直接関係する。より大きな靱性を有するワックスは、より小さい物体の貫通による損傷及び損耗を示す。靱性は、分子量、密度、及び硬度を増加させると増大する。好ましいワックスはまた、示差走査熱量測定(DSC)又はASTM−D3954のいずれかによって測定して約40℃〜約150℃、より好ましくは約80℃〜約150℃、最も好ましくは約100℃〜約150℃の融点も有する。
【0028】
[0030]疎水性ワックスと比べて、親水性ワックスは、それらの水湿潤性のために水中により容易に安定化させることができる。しかしながら、水に対するそれらの増加した親和性のために、親水性基がポリマーの結晶化度に悪影響を与え、その脆さ及び水分散液中で微細化及び安定化する能力が減少するので、親水性ワックスは容易に微細化することができない。ワックスの疎水性は、ワックスを水性媒体中で粒子状形態で保持し、ワックスの膨れを抑止し、親水性基と水との水素結合によるワックス分散液の粘度の増加を抑止するために重要である。これにより、ワックスを表面変性剤として有効に機能させることができる。
【0029】
[0031]好ましいワックスは、非酸化ポリオレフィンワックスである。ポリオレフィンホモポリマーワックスがより好ましい。特に好ましいワックスとしては、Morristown, NJのHoneywell International Inc.から商業的に入手できるA-Cポリオレフィンホモポリマー及びコポリマーワックス、並びにACUMISTワックスが挙げられる。好ましい非ポリオレフィンワックス及びワックスブレンドとしては、非排他的に、カルナウバ蝋、アミドワックス、モンタン蝋、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ポリエチレンホモポリマーワックス、特に約400〜約10,000、より好ましくは約800〜約4,000の重量平均分子量を有するポリエチレンホモポリマーワックスが最も好ましい。優れた靱性、耐化学薬品性、低い摩擦係数、ゼロに近い湿分吸収性、及び良好な処理容易性などのそれらの魅力的な特性のために、ポリエチレンホモポリマーワックスが最も好ましい。更に、上記で説明したようにホモポリマーはコポリマーよりもより結晶質であり、したがってより望ましい。Honeywell International Inc.から入手できる好ましいACUMIST及びA-Cポリエチレンワックスの代表的な特性を、通常のポリプロピレンワックス、通常のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)変性ポリエチレンワックス、及び通常のフィッシャー・トロプシュワックスと比較している表2を参照。
【0030】
【表2】
[0032]ワックス粒子及び水を、ワックス粒子を水中に分散させるのを助ける1種類以上の分散剤と一緒に混合して、それによってワックス混合物を形成する。ここで用いる「分散剤」という用語は、ワックス粒子を被覆して水中での粒子の水湿潤性及び安定性を向上させる材料である。これらとしては、2つの非混和性の材料の間の界面張力を減少させる界面活性剤とも呼ばれる表面活性剤が挙げられる。
【0031】
[0033]当業者によって定めるように、1種類以上のカルボン酸、例えば脂肪酸、例えばモンタン酸、カルボン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸エステルの塩、アルキルエーテルカルボキシレート、石油スルホネート、スルホン化ポリオキシエチレン化アルコール、硫酸化又はリン酸化ポリオキシエチレン化アルコール、ポリマーエチレンオキシド/プロピレンオキシド/エチレンオキシド分散剤、第1級及び第2級アルコールエトキシレート、アルキルグリコシド、アルキルグリセリド、並びに界面活性剤、例えばアニオン性、非イオン性、又はカチオン性界面活性剤、並びに上記の任意のものの組み合わせなどの、任意の好適な分散剤を用いることができる。一般に、任意の界面活性剤をここで用いてワックス粒子の湿潤化を助けることができるが、被覆樹脂のアニオン性との相互作用のために、インク及び被覆配合物においてはカチオン性界面活性剤はあまり用いられない。ここで用いるのに好ましい界面活性剤は、アニオン性及び非イオン性界面活性剤である。最も好ましくは、分散剤はアニオン性界面活性剤を含む。1種類以上のアニオン性界面活性剤と1種類以上の非イオン性界面活性剤との組み合わせのような、これらの分散剤の組み合わせも好適である。しかしながら、分散液は好ましくは、アルキルフェノールエトキシレート界面活性剤のような環境的に有害な界面活性剤を含まない。ここで具体的に記載していない他の分散剤も有用である可能性がある。しかしながら、有用な分散剤は、分散液の粘度をここで示すパラメーターの範囲外まで増加させないことが好ましい。したがって、米国特許5,743,949に記載されているポリマー炭水化物誘導体分散剤又は他のセルロースベースの分散剤は、明らかに本発明から除外される。
【0032】
[0034]最も適切な界面活性剤又は界面活性剤混合物の選択は、それが被覆するワックスの疎水性又は親水性、並びに水中の界面活性剤の溶解度に直接依存する。非イオン性界面活性剤の選択において有用なパラメーターは、界面活性剤の親水性−親油性バランス(HLB)値である。HLB値は、周知のグリフィン法(非イオン性界面活性剤に関して)又はデービス法(他の界面活性剤に関して)のいずれかによって求められる、界面活性剤が親水性又は親油性のいずれであるかの程度の経験的測定値である。一般に、より低いHLB値を有する界面活性剤はより疎水性で、油中においてより大きな溶解度を有し、一方、より高いHLB値を有する材料はより親水性で、水溶液中においてより大きな溶解度を有する。より具体的には、親水性の界面活性剤は一般に約10より大きいHLB値を有する化合物と考えられ、一方、疎水性の界面活性剤は一般に約10未満のHLB値を有する化合物と考えられる。より親水性のワックスに関しては、より低いHLB値を有する界面活性剤が好ましい。より疎水性のワックスに関しては、より高いHLB値を有する界面活性剤が好ましい。必要な界面活性剤の量も、分散液中のワックス濃度、ワックスの粒径、水中に分散しているワックス粒子の全表面積によって定まる。全体としてみると、ここで好ましい界面活性剤は、グリフィン法又はデービス法のいずれかによって測定して約9〜約15、より好ましくは約12〜約15、最も好ましくは約13〜約15のHLB値を有する。
【0033】
[0035]有用な非イオン性分散剤としては、Midland, MichiganのThe Dow Chemical Companyから商業的に入手できる13.5のHLB値を有するポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル界面活性剤であるTRITON X-100のような、約9〜約15の間のHLB値を有するものが挙げられる。しかしながら、この界面活性剤はアルキルフェノール構造を含み、環境的な理由のためにあまり望ましくない。好ましいアニオン性界面活性剤としては、非排他的に、スルホスクシネート界面活性剤、例えばジオクチルナトリウムスルホスクシネート(DSS)が挙げられる。ナトリウムアルカンスルホネート、ナトリウムオレフィンスルホネート、ナトリウムラウリルアルコールエーテルスルフェート、ナトリウムオレイン酸メチルタウリド、ナトリウムオレイン酸イソチオネート、ナトリウムオレイン酸サルコシドのような他のアニオン性界面活性剤も、同様に有用である可能性がある。疎水性ポリエチレンホモポリマーワックスと共に用いるアニオン性分散剤に関しては、アニオン性スルホスクシネート界面活性剤、特にDSSが最も好ましい。West Paterson, NJのCytec IndustriesからAEROSOLのその商標で商業的に入手できるアニオン性スルホスクシネート界面活性剤、例えば固形分100%のDSS界面活性剤であるAEROSOL OT-100が特に好ましい。ジオクチルナトリウムスルホスクシネートは、水に対して非常に低い親和性及び僅か2%の水中での溶解度を示すが、1%の濃度において水の表面張力を30ダイン/cmより低く減少させるので有用である。更に、水中の1%DSS混合物は、2.0ダイン/cmより低い鉱油との界面張力を示す。鉱油の表面は疎水性においてポリエチレンホモポリマーワックスと同等であるので、DSS界面活性剤を用いると、低い発泡、低い粘度、及び優れた分散液安定性を有する分散液が生成する。固体のDSS界面活性剤であるAEROSOL OT 100%と、Cytec OT-NV(静電防止剤)を製造するための成分として用いられる2−エチルヘキサノール、或いはCytec OT-75(20%水及び5%エタノールを有するブレンド)を製造するための成分として用いられるエタノールのようなアルコールとの水性ブレンドもまた有用である。しかしながら、アルコールは水中に分散しているワックスの若干の不安定性を引き起こす可能性があるので、アルコールを含まないブレンドが最も好ましい。ASTM−法#24によって測定してゼロVOCの分散液を製造するためには、低いレベルのアルコール(Cytec OT-NVのように界面活性剤の1%以下)を有する界面活性剤、又は固体のAerosol OT-100%が好ましい。
【0034】
[0036]水中でのワックス粒子の水湿潤性及び安定性を有効に向上させるためには、実質的に全てのワックス粒子の表面が分散剤によって実質的に完全に被覆されるようにワックス混合物を処理することが重要である。ここで用いる「実質的に全て」及び「実質的に完全に」は、それぞれ、ワックス粒子及びワックス粒子表面積の少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは少なくとも約99%を意味する。本発明方法によれば、これは粒子状ワックスの重量に対して少量のみの分散剤によって達成される。特に、1種類又は複数の分散剤は、ワックスの重量に対して0重量%より多く約5重量%以下の量で水性ワックス分散液中に存在させる。1種類より多い分散剤を用いることができるが、分散液は、好ましくは1種類のみを含み、全ての分散剤の合計量は好ましくは5重量%以下である。
【0035】
[0037]ここで用いる「ワックス混合物」は、本発明にしたがってホモジナイザー内で処理した、水、分散剤、及び複数のワックス粒子を含むブレンドとして定義される。ワックス粒子は、好ましくは約6μmより大きい初期平均粒径を有し、複数の粒子は好ましくは1000μmより小さく、より好ましくは約50μm以下の「最大寸法」(最大値)を有する。最大粒径は、用いるプロセッサー装置の能力によって制限される。例えば、直径200μmの微細流路を含む微細流体プロセッサーを用いる場合には、ワックス粒子は200μm未満の最大寸法を有する。ワックスはまた、好ましくは実質的に熱履歴を有しない。ポリマーの熱履歴は、処理操作中にポリマーが曝露される熱の累積量であり、これはポリマーの分子構造に影響を与える。熱履歴を有するポリマーは、少なくとも若干の分解及び/又は分子再配列を受けて、その特性が影響を受け、予測できない挙動を与える。熱に全く曝露されていないポリマーは熱履歴を有さず、より予測可能な挙動を有する。
【0036】
[0038]「水性ワックス分散液」は、ここでは、水、分散剤、及び微細化ワックス粒子を含み、本発明にしたがって好ましくは約0.1μm〜約6μmの平均粒径を有し、粒子の実質的に全て(95%超、好ましくは99%超)が約20μm未満の粒子直径を有するようにホモジナイザー内で微細化された分散液である。水性ワックス分散液中におけるワックス粒子の寸法は、被覆組成物及び被覆最終生成物の特性に影響を与える関連するファクターである。膜の欠陥を回避するためには、ワックス粒子は被覆の湿潤膜厚よりも寸法が小さくなければならず、粒径がより小さいと欠陥の可能性がより低くなる。ワックス粒子がより小さいと、単位重量あたりの粒子の数がより多くなり、その全表面積がより大きくなる。本発明の好ましい態様においては、微細化の後に、水性分散液のワックス粒子は、約0.1μm〜約6μm、より好ましくは約1μm〜約6μm、更により好ましくは約1μm〜約3μmの平均粒径を有する。しかしながら、ワックス−水−分散剤混合物を50℃より低い温度(好ましくは2℃〜約50℃)に連続的に冷却しながら、粒子状ワックスを水及び分散剤と一緒にホモジナイザー内で処理してワックス粒子の寸法を減少させる本発明方法をより広範囲に用いて、より大きい粒径を有する分散液を形成することもできることを理解すべきである。このように、本発明方法によれば、ワックス粒子の実質的に全て(95%超、好ましくは99%超)が、好ましくは1000μmより小さく、より好ましくは約50μmより小さく、より好ましくは約0.1μm〜約20μm、更により好ましくは約0.1μm〜約12μm、更により好ましくは約0.1μm〜約6μm、更により好ましくは約1μm〜約6μm、最も好ましくは約1μm〜約3μmの平均粒径を有するように寸法減少されている水性ワックス分散液を製造することができる。かかる態様においては、かかるワックスは必ずしも「微細化されている」とみなされる必要はなく、許容しうる粒径に対する唯一の制限は、ホモジナイザー装置の物理的及び機械的制限である。したがって、本発明は、0重量%〜約5重量%の少なくとも1種類の分散剤及び任意の粒径の粒子状ワックスを含み、約25℃、分散液の約10重量%のワックス濃度において約100cps以下の粘度、及び約25℃、分散液の約45重量%のワックス濃度において約200cps以下の粘度を有し、ワックス粒子の凝集を実質的に有しない全ての水性ワックス分散液を包含する。ホモジナイザーの連続冷却を可能にする本発明方法はまた、これらがホモジナイザー装置によって処理することができる限りにおいて分子量の制限なしに樹脂状(ポリマー状)の非ワックス粒子に関しても有用である可能性がある。
【0037】
[0039]少量成分としてワックス粒子を含む被覆を基材上に塗布すると、ワックス粒子は空気乾燥被覆塗布中に被覆の表面に移動及び「浮動」する。高温硬化サイクル、則ちワックスの融点より高い温度での硬化中においては、これらは膜表面にブルーミングする。いずれの場合においても、ワックスは膜の表面特性及び膜の外観を変化させる。ワックス添加剤成分の粒径は、Montgomeryville, PAのMicrotrac Inc.から商業的に入手できるMICROTRAC 3500レーザー回折計、又は他の好適な装置で測定することができる。
【0038】
[0040]水性ワックス分散液は、粒子を水と混合しながら平均粒径を6μmより小さく減少させるのに十分な条件下で粉砕することができるホモジナイザー装置内で、水、分散剤、及び6μmより大きい平均(Mv)粒径(則ち平均直径)を有する複数のワックス粒子の混合物を処理することによって製造することができる。水、分散剤、及びワックス粒子は、ホモジナイザー装置中に移してワックス粒子の微細化をホモジナイザー内で行う前に予め混合して、これにより粒子を分散剤によって湿潤させることができる。次に、ホモジナイザーを運転して粒子を微細化することができる。
【0039】
[0041]ここで、他の装置よりも高圧微細流体ホモジナイザーを用いて、非常に優れたワックス粒子の湿潤性を達成することができることが分かった。微細流体ホモジナイザーは、約75μm〜約200μmの流路直径寸法を有する非常に小さい「微細流路」を含むチャンバーを含むように非常に正確に製造されており、通常はダイアモンド又は高グレードの磁器材料から製造されている。ここで有用なホモジナイザーは、ワックス粒子による閉塞を起こすことなく流路を通して水性ワックス混合物を流すのに好適な微細流路を含む。Newton, MAのMicrofluidics Corp.から商業的に入手できるMICROFLUIDIZERホモジナイザー;日本国東京のNanomizer, Inc.から商業的に入手できるNANOMIZERホモジナイザー;及び日本国富山のSugino Machine Ltd.から商業的に入手できるULTIMIZERホモジナイザー;Danbury, CTのBranson Ultrasonics Corp.から商業的に入手できるSONIFIERホモジナイザー;South Easton, MAのBee International, Inc.から商業的に入手できるDeBEE種のホモジナイザー;又は種々の他のもののような任意の商業的に入手できる高圧ホモジナイザーをここで用いることができる。
【0040】
[0042]最も好ましくは、本発明方法は、40,000psi(275.8MPa)以下の連続運転圧力を達成することができるMicrofluidics Corp.からのM-110EH-30 MICROFLUIDIZERプロセッサーを用いて行う。M-110EH-30 MICROFLUIDIZERプロセッサーは、増圧ポンプによる高圧下で、正確に画定された微細流路を含む2つ以上(通常は2つ)のチャンバーを通して混合物を送り、混合物を複数(通常は2つ)の混合物流に分離し、相互作用チャンバー内で混合物流を互いに衝突させる。混合物流の衝突によって、混合物内のワックス粒子が互いに衝突する。また、流れは、相互作用チャンバー内の流路の壁にも衝突する。これらの粒子の衝突は高圧及び高速度で起こるので、衝突によってワックス粒子が破壊され、ワックス粒子の寸法減少、則ちワックス粒子の微細化が起こる。M-110EH-30 MICROFLUIDIZERプロセッサーは、少なくとも約14,000psi、より好ましくは25,000psi、最も好ましくは約30,000psiのその最大圧力で運転することができ、混合物流の高速度衝突を引き起こす。高速度の望ましくない副作用は熱の生成であり、これはワックス粒子の溶融を引き起こし、ワックス粒子の脆さを減少させ、ワックス粒子の寸法減少を妨げる可能性がある。この問題を解決するためには、生成した熱を連続的に除去しなければならない。生成した反応熱を除去することにより、ワックス粒子の溶融が阻止され、破壊されたワックス粒子の表面の粘着性が減少又は排除され、粒子の凝集が回避され、プロセスを通してワックスの結晶化度及びワックス粒子の脆さが保持され、これにより粒子の寸法減少を継続させることができる。したがって、分散液を冷間処理することが好ましい。好ましくは、混合物流は、ユーザーによって容易に決定できるように、プロセッサーのインターチャンバーの間或いは装置内で熱が具体的に発生する他の位置などに、熱を除去するように適切に配置された内部及び/又は外部熱交換器を含む任意の十分な冷却手段を用いて、約0℃より高く約50℃以下の温度、より好ましくは約2℃〜約50℃の温度、より好ましくは約0℃〜約5℃の温度、最も好ましくは約2℃〜約5℃の温度に、速やかに且つ連続的に冷却する。温度を50℃より高く上昇させると、分散液がゲル、クリーム、及び/又はペーストになるところまで分散液の粘度が上昇する可能性があり、これでは流れはもはや更なる処理が可能な液体状態で保持されていないので望ましくない。粒子は互いに衝突することができなくなり、ワックス粒子の寸法減少が停止し、最終生成物が大きなワックス粒子の寸法及び望ましくないペースト状の粘度を示すようになる。かかる材料は、ここで記載するような所望の表面変性特性を有しない。実施例において記載するような非ゲル状で、乳状の液体として配合される分散液が好ましい。
【0041】
[0043]熱交換器は選択されたプロセッサーの標準的な部品であってよい。かかる熱交換器は、外部の高容量の低温冷却器に接続して、水性分散液流を周囲雰囲気圧に戻した後に冷却することができる。液冷冷却器のような好適な冷却器は、例えばWilloughby, OhioのBudzar Industriesから商業的に入手できる。更に、内部熱交換器(例えばインターループ熱交換器)は、通常は高圧での処理に耐えることができないので、通常は高圧に耐えるように設計しなければならない。したがって、補助熱交換器のような他の手段を用いて、かかる高圧又はそれ以上の圧力にある間に熱を除去しなければならない。例えば、M-110EH-30 MICROFLUIDIZERプロセッサーは、適切な標準的な熱交換器を含んでおらず、1以上の補助熱交換器を与えなければならない。したがって、約30,000psi以下の圧力に耐えることができ、好ましくは(安全の要求のために)熱交換器を通過した液体流によって加えられる60,000psiの圧力に耐える等級を有するように設計された補助熱交換器を、好ましくはプロセッサーのインターチャンバーの間に配置する。分散液をMICROFLUIDIZERプロセッサーの高圧ループから排出して雰囲気液体圧力に戻す場合には、この補助熱交換器を高容量冷却器に接続することができる。好ましいシステム構成及び本発明方法の概略図を図1に示す。
【0042】
[0044]好ましくはワックス粒子の平均径が約0.1μm〜約6μm、より好ましくは約1μm〜約6μm、より好ましくは約1μm〜約3μmに減少(微細化)し、ワックス粒子の実質的に全てが約20μm以下の粒径を有するようになるまで、混合物流とワックス粒子との衝突を継続させる。特に、ワックス粒子の実質的に全てを、約1μm〜約20μm、より好ましくは約1μm〜約12μm、更により好ましくは約1μm〜約6μm、最も好ましくは約1μm〜約3μmの粒径を有するように寸法減少させる。好ましくは、このプロセスにより水中にワックス粒子が分散して、分散剤が実質的に全てのワックス粒子の表面上を実質的に完全に被覆するようになる。得られる水性分散液は、分散液の約5重量%〜約45重量%、より好ましくは分散液の約10重量%〜約45重量%、更により好ましくは分散液の約20重量%〜約45重量%、更により好ましくは約30%〜約45%、最も好ましくは分散液の約30重量%〜約40重量%を構成する。1種類又は複数の分散剤は、ワックスの重量に対して0重量%より多く約5重量%以下、より好ましくは約2%〜約5%、最も好ましくは約4%〜約5%の量で水性ワックス分散液中に存在させる。分散剤の残りは、好ましくは水、最も好ましくは脱イオン水である。水性分散液は、室温において低い粘度、特に約25℃、分散液の約10重量%のワックス濃度において約100cps以下、より好ましくは約25℃、分散液の約10重量%のワックス濃度において約50cps以下、最も好ましくは約20cps以下の粘度を有する。低い分散液粘度は高いワックス濃度においても達成される。特に、約25℃において約45%のワックス濃度を有する本発明の分散液は、約200cps以下、より好ましくは100cps以下、最も好ましくは50cps以下の好ましい粘度を有し、これはそれぞれ関連技術の分散液を超える大きな向上である。したがって、約5%〜約45%のワックス固形分を含む全ての分散液に関して、粘度は全て安定なニュートン粘性であり、100cpsより低い粘度を有する。最も好ましくは、粒子状ワックスは水中に実質的に均一に分散しており、均一な分散液はここで記載するホモジナイザーの1つを用いると容易に達成される。
【0043】
[0045]水性ワックス分散液を、塗料、プライマー、オーバープリントワニスのようなワニス、及びフレキソ印刷インクのようなインクのような被覆材料と配合して被覆組成物を形成し、これを基材上に塗布して被覆を形成することができる。水性ワックス分散液はまた、限定なしに本発明の範囲内又は範囲外(非水性分散液を含む)の他の分散液と、或いは配合者によって望まれる任意の他の材料と配合することもできる。例えば、本発明の範囲内の1種類以上の異なるワックス分散液を製造し、その後一緒に混合して新しい材料を製造することができる。或いは、本発明の水性分散液を非ワックスグレードのPTFEの分散液と配合することができる。好ましい態様においては、被覆組成物は、好ましくは被覆組成物(則ち、水性分散液+被覆材料)の重量を基準として約30%〜約45%の水性ワックス分散液、より好ましくは約30%〜約40%、最も好ましくは約35%〜約40%の水性ワックス分散液を含む。最適には、水性分散液は、被覆組成物の重量を基準として被覆組成物の40重量%を構成する。被覆組成物は、80#センチュラグロスのような高品質紙基材、紙、ボール紙、繊維、及び布帛のような可撓性基材、或いは硬質食品容器用の還元電解スズ又はTFS(スズ非含有鋼)プレートのような硬質基材などの任意の好適な基材上に塗布することができる。
【0044】
[0046]以下の実施例は本発明を例示する役割を果たすが、限定するものではない。
【実施例】
【0045】
[0047]以下の手順にしたがって、14種類の水中のポリエチレンホモポリマーワックス分散液を調製し、試験した。
[0048]水性ワックス分散液試料
実施例1〜3
[0049]実施例1〜3からの試料のそれぞれは、2,930の重量平均分子量(M)、1,300の数平均分子量(M)、及び2.25の多分散指数を有する、Honeywell International Inc.から商業的に入手できるA-C 820Aポリエチレンホモポリマーワックス粒子を含んでいた。これらの実施例の試料は、分散液の重量、則ちワックス+水+界面活性剤の合計重量を基準として1重量%のCytec OT-75% DSS界面活性剤を含んでいた。
【0046】
実施例4及び5
[0050]実施例4及び5からの試料のそれぞれは、2930の重量平均分子量(M)、1300の数平均分子量(M)、及び2.25の多分散指数を有する、Honeywell International Inc.から商業的に入手できるACUMIST B-18ポリエチレンホモポリマーワックス粒子を含んでいた。これらの実施例の試料は、分散液の重量、則ちワックス+水+界面活性剤の合計重量を基準として2重量%のOT-75界面活性剤を含んでいた。
【0047】
実施例6及び7
[0051]実施例6及び7からの試料のそれぞれは、ACUMIST B-18と同等のM、M、及びPdを有し、乾燥ワックスの粒径においてのみB-18と異なる、Honeywell International Inc.から商業的に入手できるACUMIST B-12ポリエチレンホモポリマーワックスを含んでいた。これらの実施例の試料は、分散液の重量、則ちワックス+水+界面活性剤の合計重量を基準として2.5重量%のOT-75界面活性剤を含んでいた。
【0048】
実施例8及び9
[0052]実施例8及び9からの試料のそれぞれは、ACUMIST B-12ポリエチレンホモポリマーワックスを含んでいた。これらの実施例の試料は、分散液の重量、則ちワックス+水+界面活性剤の合計重量を基準として2.0重量%のTriton X-100界面活性剤(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)を含んでいた。
【0049】
実施例10〜12
[0053]実施例10〜12からの試料のそれぞれは、ACUMIST B-12ポリエチレンホモポリマーワックスを含んでいた。これらの実施例の試料は、分散液の重量、則ちワックス+水+界面活性剤の合計重量を基準として2.0重量%のCytec OT-NV界面活性剤を含んでいた。
【0050】
実施例13及び14
[0054]実施例13及び14からの試料のそれぞれは、ACUMIST B-12ポリエチレンホモポリマーワックスを含んでいた。これらの実施例の試料は、分散液の重量、則ちワックス+水+界面活性剤の合計重量を基準として2.0重量%のCytec OT-100界面活性剤を含んでいた。
【0051】
実施例15
[0055]実施例15からの試料は、990の重量平均分子量、850の数平均分子量、及び1.2の多分散指数を有する、Honeywell International Inc.から商業的に入手できるACUMIST 1204ポリメチレンホモポリマーワックス(フィッシャー・トロプシュワックス)を含んでいた。この実施例の試料は、分散液の重量、則ちワックス+水+界面活性剤の合計重量を基準として2.0重量%のCytec OT-100界面活性剤を含んでいた。
【0052】
[0056]実施例1〜15のそれぞれに関する、初期平均値(Mv)及び最大粒子寸法、それぞれの分散液試料中の水の量(%)、それぞれの試料中の活性ワックスの量(%)、ホモジナイザー内の処理圧力、ホモジナイザー流路を通過する再循環時間及びシングルパスの数を表3A及び3Bに列記する。使用するホモジナイザー装置(以下に詳細に記載されている)に関連して、「ワンパス」とは、一旦微細流動化プロセッサーを通過し、一旦印加圧力にかけられ、一旦プロセッサー内の2つの微細流路チャンバーを通過し、排出されて、セカンドパスのためにループに再導入する前に大気圧において容器内に回収されるワックス分散液を意味する。ホモジナイザーを通して特定の圧力において特定の時間処理した後のワックス粒子の粒径平均値及び最大粒径、並びに処理後のそれぞれの試料の得られる粘度。12μmMv〜250μmMvの範囲のより小さいワックス粒子の初期寸法は、日本国のHosokawa Micron Groupから商業的に入手できる流動床対向ジェットミルモデルAFG-630を用いて、空気ジェット微細化器内で直径250μmの粒子を機械的に寸法減少させることによって達成した。
【0053】
[0057]装置
[0058]更なる処理のために直列に接続し配置した、再循環ループ及び200μm(チャンバーモデルno.H30Z)及び75μm(チャンバーモデルno.F20Y)の微細流路直径寸法を有する微細流路を備えた、Microfluidics Corp.から商業的に入手できるモデルM-110EH-30 MICROFLUIDIZERプロセッサーを用いて、水性ワックス分散液を調製した。製造者であるMicrofluidics Corp.によって組み込まれた内蔵熱交換器は、第2の微細流路チャンバーの後に配置され、ワックス−水の流れが第2のチャンバーから排出された後に流れを冷却するようにデザインされている。第2の熱交換器は、第1及び第2の微細流路チャンバーの間に配置され、第1の微細流路チャンバーから排出された後であるが、第2の微細流路チャンバーに導入される前にワックス−水の流れを冷却するようにデザインされている。プロセッサーは、約−10°F(−23.33℃)〜約30°F(−1.1℃)の温度範囲で運転して、MICROFLUIDIZERプロセッサーによって生成した熱を除去する低温液冷冷却器(Willoughby, OhioのBudzar Industriesから商業的に入手できるモデルLTW-05-CCB-SP)に接続した。冷却器は、家庭用冷却器に接続して、冷却器自体によって生成する熱を除去した。
【0054】
[0059]プロセス工程
[0060]水、界面活性剤、及び乾燥ワックス粒子を、この順番で、内部プロペラブレードミキサーを有する1Lのジャケット付きステンレススチール予備分散容器中に充填することによって混合物を調製した。プロペラブレードによって適度に撹拌しながら成分をブレンドした。次に、得られた混合物を冷却器内で5℃に冷却し、その後、MICROFLUIDIZERプロセッサー中に導入した。次に混合物を、(1)一定時間(例えば1Lの量あたり約30分間)再循環するか;或いは(2)ループに一回通過させ、好適な容器内に再回収し、所望の粒径減少及び粘度値が達成されるまで再びループに通過させる;ように微細流動化再循環ループに通過させた。全ての材料が同じ処理条件に曝露され、一方、再循環によって材料の一部が他とは異なって処理されることを確保するためには、シングルパスを繰り返すことが好ましい。粘度は、パス数には関係せず、プロセスの温度によって定まる。これはチャンバーから排出される際に50℃より低くなければならず、粘度及び粒径減少はプロセスの温度を以下に効率よく管理するかによって定まる。より低温がより良好であるが、ラインを凍結させることは望まないので、約2℃付近の温度でチャンバーに導入することが好ましく、温度は好ましくは約2℃に制御して、混合物が50℃より高い温度でループから排出されないようにする。混合物は、30,000psiを印加し、混合物流の流れを直径75ミクロンの流路を通して制限すると、約1秒で2℃から50℃に温度上昇する。温度が50℃より高いと、粘度は高く、ゲル、クリーム、及び/又はペーストさえも生成する。これらの生成物は、インク及び塗料の被覆よりも個人介護用途のためにより有用である。この構成及びプロセスの概略図を図1に示す。
【0055】
[0061]処理中においては、微細流体プロセッサーによって生成する熱は、製造者によって組み合わされた熱交換器及び低温液冷冷却器、並びにプロセッサーのインターチャンバーの間に配置されたインターチャンバー冷却熱交換器の両方によって除去した。いずれの熱交換器も、チューブアンドタンクタイプのものであり、60,000psiまでに耐えるように構成されていた。実施例1〜15のそれぞれに関する循環タイプ及び時間を、表3A及び3Bに示す。処理の後、分散液を、内部プロペラブレードミキサーを有する1Lのジャケット付きステンレススチール分散タンクに、次に同様にミキサーを備えたタンクを有する貯蔵タンクに移した。
【0056】
[0062]粒径の測定は、水媒体中において、MICROTRAC 3500モデル粒径分析器を用いることによって測定した。粘度は、Brookfield回転粘度計を用いて、通常の方法にしたがって測定した。
【0057】
【表3A】
【0058】
【表3B】
[0063]結論
[0064]より小さい初期粒径を有するワックスを水及び分散剤と配合することによって、約45%以下のより高いポリマー初期濃度を実現することができたことが分かった。これにより、微細流動化器内の処理回数又は費やされる時間をより少なくしてホモジナイザー内で混合物の粒径を更に減少させて、必要な処理時間及びエネルギー必要量を減少させることができる。最良の結果は試料番号12において示される。24パス後に、2.81Mvの最小粒径及び11μmより小さい最大寸法が、40%のワックス固形分のワックス濃度において17.5cpsの低い粘度によって達成された。実施例12からの分散液について行った粒径分析の概要を図3に示す。
【0059】
実施例16並びに比較例17及び18
[0065]以下のプロセスにしたがって水性フレキソ印刷インク試料を調製した。
[0066]それらの合計重量を基準として、35重量%のフタロブルー顔料分散液及び65重量%のレットダウンビヒクルを含むインク試料を調製した。フタロブルー顔料分散液の組成を表4に示す。これは4.676175の顔料/バインダー比(乾燥バインダーポリマー(HPD296固体)のグラム数に対する乾燥顔料のグラム数)でフタロブルー顔料と配合した本発明の水性ワックス分散液を含んでいた。レットダウンビヒクルの組成を表5に示す。これはワックスを含まないが、高い光沢度であった。
【0060】
【表4】
JONCRYL HPD296は、ニュージャージー州ParsippanyのBASF Corp.から商業的に入手できるスチレンアクリレート樹脂溶液である。
【0061】
BW1531は、テキサス州ヒューストンのPacific Coast Enterprisesから商業的に入手できるフタロシアニンブルー顔料である。
BYK-022は、ドイツ国WeselのByk Chemie GmbHから商業的に入手できるシリコーンベースの消泡剤である。
【0062】
【表5】
MORCRYL 410は、ペンシルベニア州フィラデルフィアのRohm and Haas Chemicals, LLCから商業的に入手できるアクリルコポリマー樹脂(固形分34%)である。
【0063】
LUCIDENE 604は、Rohm and Haas Chemicals, LLCから商業的に入手できるアクリルコポリマーエマルジョンである。
LUCIDENE 615は、Rohm and Haas Chemicals, LLCから商業的に入手できるアクリルコポリマーエマルジョンである。
【0064】
AEQUENOL 1700-70は、ペンシルベニア州SkippackのPalmer International, Inc.から商業的に入手できるアルケニルフェノールエトキシレート非イオン性界面活性剤である。
DYNOL 604は、ペンシルベニア州アレンタウンのAir Products and Chemicals, Inc.から商業的に入手できる表面張力低下剤である。
【0065】
[0067]上記の実施例1〜15に記載の方法にしたがって、ポリエチレンホモポリマーワックスからワックス分散液を調製した。実施例16に関しては、ワックス分散液は実施例12において用いたものと同じであり、ワックス粒子径の平均値は2.81μmであった。比較例17及び18に関しては、比較試験のために、市販のワックス分散液(1)Wickliffe, OhioのLubrizol Corporationから商業的に入手でき、製造者によって25%の固形分濃度において6〜8ミクロンの平均粒径を有するポリエチレンホモポリマー水分散液として説明されているLIQUITRON 250、及び(2)Tarrytown, NYのMicro Powders, Inc.から商業的に入手できる微細化ポリエチレンワックス分散液であるMICROSPERSION MPP611XFを用いてポリエチレンホモポリマーワックス分散液を含む2種類のフタロブルーインクを調製した。これらのワックス分散液は、通常はフレキソ印刷インク用途のために用いられている。それぞれの分散液中のポリエチレンホモポリマーワックスは、6μmのワックス粒子径平均値を有していた。実施例16〜18のそれぞれに関しては、ワックス分散液をインク配合物に対するインク固形分に対して1重量%のワックス固形分でインク配合物に加え、加えるワックス分散液の量をそれぞれの生成物の固形分%における相対的な差に基づいて調節し、合計重量で1%の乾燥ワックスを加えた。
【0066】
[0068]550レーザー彫刻セラミックアニロックス印刷ローラーを用いて、それぞれのインク試料(ワックスを加えた)を80#のセンチュラグロス基材上に印刷した。セラミックアニロックスの運搬能力は、1平方インチあたり27億立方ミクロン(BCM)である。更に、3.7BCMの運搬能力を有する360P113クロムアニロックス印刷ローラーを用いて、同じ基材上に第2のより厚いインク量を塗布した。而して、2.7BCM及び3.7BCMの膜圧でそれぞれのインク試料を塗布し、試験した。
【0067】
[0069]ASTM−F1571−95の手順にしたがって、4#のブロックを有するSutherland摩擦試験器を用いて摩擦試験を行った。試験は、それぞれのインクに関して合計で80回の摩擦で実施した。印刷から擦れ落ちたインクの光学密度測定を行って、与えられた試料のラブオフ性を求めた。ASTM−D4918−97の手順にしたがって、静止滑り角装置を用いて静摩擦係数試験を行い、得られた滑りが始まった角度を記録した。ASTM−D2457の手順にしたがって、Byk Tri光沢計及び60°の入射角を用いて光沢測定を行った。ASTM−D2196の方法にしたがって、45.16rpmのSC4-31スピンドルを有するBrookfield LVFデジタルDVII Pro粘度計でインク粘度の測定を行った。それぞれの試験の結果を表6に示す。ここでは、(a)60%光沢値がより高いと、インクはより光沢性であり;(b)滑り角がより低いと、滑りがより良好であり;(c)80摩擦数がより低いと、ラブオフ性がより良好であり、或いはインクがより擦れ落ちにくく;(d)インクの粘度がより低いと、アニロックス印刷ローラーからの塗布がより良好であり;(e)ワックス分散液の粘度がより低いと、インクの塗布粘度に対する影響がより小さかった。
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
[0070]種々のrpmのSC4-31スピンドルを有するBroolfield LVFデジタルDVII Pro粘度計を用いて得た粘度測定値を表7にまとめる。表7からの粘度測定値の結果を図2にグラフで示す。
【0070】
[0071]結論
[0072]これらの結果は、実施例12からの試料(40重量%のACUMIST B-12ポリエチレンホモポリマーワックス、2.0重量%のOTNV界面活性剤、及び58重量%の脱イオン水を含む;粒径Mv=2.81)が、市販の対照試料であるLIQUITRON 250及びMPP 611XFに対してフレキソ印刷インクの性能を向上させたことを示す。優れた性能は、これまでは得ることができなかった本発明のワックス分散液のより低い粒径、その水性インクとの相溶性、その低い分散液粘度、及びそのインク塗布粘度に対する低い影響に起因するものである。
【0071】
[0073]好ましい態様を参照して本発明を特に示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の変更及び修正を行うことができることは、当業者に容易に認識されるであろう。特許請求の範囲は、開示された態様、上記で議論したその代替物、及びそれに対する全ての均等物をカバーするように解釈されると意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C