特許第5717629号(P5717629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5717629デジタル映画のための動的表示のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717629
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】デジタル映画のための動的表示のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20150423BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20150423BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20150423BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20150423BHJP
   G09G 5/22 20060101ALI20150423BHJP
   G09F 19/18 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   H04N5/74 Z
   G03B21/14 Z
   G03B21/00 D
   G09G5/00 510B
   G09G5/00 510X
   G09G5/22 680Z
   G09F19/18 Z
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-516242(P2011-516242)
(86)(22)【出願日】2008年6月30日
(65)【公表番号】特表2011-529643(P2011-529643A)
(43)【公表日】2011年12月8日
(86)【国際出願番号】US2008008166
(87)【国際公開番号】WO2010002361
(87)【国際公開日】20100107
【審査請求日】2011年6月1日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】レッドマン,ウィリアム,ギベンズ
(72)【発明者】
【氏名】パーキンス,ケリー,エム
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−311328(JP,A)
【文献】 特開2001−036485(JP,A)
【文献】 特開2003−030287(JP,A)
【文献】 特開2005−004726(JP,A)
【文献】 特表2007−505393(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/011683(WO,A1)
【文献】 特開2006−059129(JP,A)
【文献】 特表2006−502497(JP,A)
【文献】 特開2005−094475(JP,A)
【文献】 特表2003−519455(JP,A)
【文献】 特表2003−528334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/66−5/74
G03B 21/00−21/30
G09F 19/00−27/00
G09G 5/00
H04N 5/262−5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピクチャー・トラック・ファイルおよび/またはオーディオ・トラック・ファイルおよび/または字幕ファイルを再生できる、サーバーを備えたデジタル映画システムにおいて使用する方法であって:
フィーチャー再生に先立つ表示のための動的な情報に関係する少なくとも一つのカスタマイズ可能な要素を含む少なくとも一つの字幕ファイルを提供し、
前記少なくとも一つの字幕ファイルの前記少なくとも一つのカスタマイズ可能な要素の内容を動的に決定して前記動的な情報を生成し、
前記動的な情報を再生装置上で再生する段階を含
前記動的な情報は前記デジタル映画システムによって再生されるようスケジュールされている映画の時間に関係する、
方法。
【請求項2】
前記動的な情報がカスタマイズされた情報を含み、当該方法がさらに、前記カスタマイズされた情報に関係する少なくとも一つのユーザー入力を受領する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも一つのカスタマイズ可能な要素が、前記動的な情報が表示される時間期間を、スケジュールされたコンテンツの再生に対して同定し、さらに前記動的な情報が表示されるべき前記デジタル映画システムのスクリーン上の位置を同定する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記動的な情報が、前記デジタル映画システムによって再生されるスケジュールされた映画が始まるまでの残り時間を同定する少なくとも一つのメッセージを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも一つのカスタマイズ可能な要素が、前記動的な情報の少なくとも一部として表示される値を動的に計算するための少なくとも一つのスクリプト要素を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記字幕ファイルがコンポジション・プレイリストに含まれる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ピクチャー・トラック・ファイルおよび/またはオーディオ・トラック・ファイルおよび/または字幕ファイルを再生できる、サーバーを備えたデジタル映画システムにおいて使用する装置であって、前記サーバーは:
フィーチャー再生に先立つ表示のための動的な情報に関係する少なくとも一つのカスタマイズ可能な要素を含む少なくとも一つの字幕ファイルを提供し、
前記少なくとも一つの字幕ファイルの前記少なくとも一つのカスタマイズ可能な要素の内容を動的に決定して前記動的な情報を生成し、
前記動的な情報を再生装置上で再生するよう構成されている少なくとも一つのプロセッサを有しており
前記動的な情報は前記デジタル映画システムによって再生されるようスケジュールされている映画の時間に関係する、
装置。
【請求項8】
前記動的な情報がカスタマイズされた情報を含み、前記サーバーが、前記カスタマイズされた情報に関係する少なくとも一つのユーザー入力を受領するよう構成されている、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つのカスタマイズ可能な要素が、前記動的な情報が表示されるべき時間期間を、スケジュールされたコンテンツの再生に対して同定し、さらに前記動的な情報が表示されるべき前記デジタル映画システムのスクリーン上の位置を同定する、請求項7記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つのカスタマイズ可能な要素が、少なくとも一つのサーバー・サイド・インクルードを含む、請求項7記載の装置。
【請求項11】
前記動的な情報が、前記デジタル映画システムによって再生される前記映画が始まるまでの残り時間および前記デジタル映画システムによって再生される前記映画に臨場する少なくとも一人の人物のうちの少なくとも一方を同定する、請求項7記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも一つのカスタマイズ可能な要素が、前記動的な情報の少なくとも一部として表示される値を動的に計算するための少なくとも一つのスクリプト要素を含む、請求項7記載の装置。
【請求項13】
生成された動的な情報が前記デジタル映画システムによる表示のためにカスタマイズされる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記動的な情報は、前記フィーチャー再生のピクチャー・トラック・ファイルおよび/またはオーディオ・トラック・ファイルの内容とは独立である、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の原理は概括的にはデジタル映画に、より詳細にはデジタル映画のための動的表示のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映画の上映の前に、広告および将来の上映のための予告編の混合を含むプレショーを上映することが一般的である。
【0003】
映画館の多くの顧客は、ポップコーン、ソーダおよびプレショーの間に宣伝される他の食料が欲しくても、映画が始まるのを逃すのを恐れて、そのような楽しみを我慢する。したがって、ショーが始まるまでどのくらい時間が残っているかを示す指示が、フィーチャー上映に先立って与えられることが望ましい。そのようにすれば、顧客は、キーとなるプロット・ポイントをずっと知らないのではないかといういわれのない恐れなしに売店に並ぶことができる。
【0004】
また、劇場支配人は、たとえば誕生日や記念日を祝う観客に対してサービスとしてパーソナル化したメッセージを与えることを望むことがありうる。
【0005】
現在、劇場の顧客にショーが始まるまでどのくらいあるかを示す機構は、ショー・プレイリストの構築における入念な手動の介入による以外には、ない。より一般には、上映のために計画された個々のスクリーンを動的に更新するシステムはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらおよびその他の従来技術の欠点および不都合な点が、本願の原理により対処される。本願の原理は、デジタル映画のための動的表示のための方法および装置に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の原理のある側面によれば、デジタル・ディスプレイ・システムにおいて使う方法が提供される。本方法は、表示のための動的情報を、該動的情報に関係した少なくとも一つの要素を含む字幕ファイルを処理することによって、生成することを含む。
【0008】
本願の原理のもう一つの側面によれば、デジタル・ディスプレイ・システムにおいて使う装置が提供される。本装置は、表示のための動的情報を、該動的情報に関係した少なくとも一つの要素を含む字幕ファイルを処理することによって、生成するディスプレイ・マネージャを含む。
【0009】
本願の原理のこれらおよび他の側面、特徴および利点は、付属の図面との関連で読まれるべき、例示的な実施形態の以下の詳細な記述から明白になるであろう。
【0010】
本願の原理は、以下の例示的な図面に基づいてよりよく理解されうる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】"D-Cinema Packaging―Sound & Picture Track File", SMPTE 429-3、映画テレビ技術者協会(SMPTE: Society of Motion Picture and Television Engineers)、米国ニューヨーク州ホワイトプレーンズ
【非特許文献2】"D-Cinema Packaging―MXF JPEG 2000 Application", SMPTE 429-4、SMPTE、米国ニューヨーク州ホワイトプレーンズ
【非特許文献3】"D-Cinema Packaging―MXF Timed-Text Track File", SMPTE 429-5、SMPTE、米国ニューヨーク州ホワイトプレーンズ
【非特許文献4】"D-Cinema Packaging―MXF Track File Essence Encryption", SMPTE 429-6、SMPTE、米国ニューヨーク州ホワイトプレーンズ
【非特許文献5】"D-Cinema Packaging―Composition Playlist", SMPTE 429-7、SMPTE、米国ニューヨーク州ホワイトプレーンズ
【非特許文献6】"D-Cinema Packaging―Show Playlist", SMPTE 429-8、SMPTE、米国ニューヨーク州ホワイトプレーンズ
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本願の原理のある実施形態に基づく、動的に生成された表示を提供する劇場観客席室(theatrical auditorium)におけるデジタル映画上映システムのブロック図である。
図2】本願の原理のある実施形態に基づく、ショー・プレイリスト、該ショー・プレイリストが参照するコンポジション・プレイリスト、動的コンテンツ・コンポジションによって参照されるトラックおよびアセット・ファイル・コンポーネントならびに動的コンテンツの生成および表示に関する重要なイベントを示すタイムラインの概略図である。
図3】本願の原理のある実施形態に基づく、例示的なコンポジションを示す図である。
図4A】本願の原理のある実施形態に基づく、タイミング付けされたテキストを利用する例示的な字幕トラック・ファイルを示す図である。
図4B】本願の原理のある実施形態に基づく、タイミング付けされたテキストを利用する、代替的な例示的な字幕トラック・ファイルの一部を示す図である。
図4C】本願の原理のある実施形態に基づく、動的なサブ・ピクチャーを利用する、代替的な例示的な字幕トラック・ファイルの一部を示す図である。
図5】本願の原理のある実施形態に基づく、デジタル・ディスプレイ・システムにおいて動的情報を表示するための例示的な方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願の原理は、デジタル映画のための動的な表示のための方法および装置に向けられる。
【0014】
本記述は、本願の原理を例解する。よって、本稿に明示的に記述または図示されていなくても本願の原理を具現し、その精神および範囲内に含まれるさまざまな構成を当業者が考案できるであろうことは理解されるであろう。
【0015】
本稿で記載されるあらゆる例および条件付きの言辞は、読者が、本願の原理および当該技術を進歩させる発明者によって寄与される概念を理解するのを支援するという教育目的のために意図されているのであって、そのような個別的に記載されている例および条件に限定することなく解釈されるものである。
【0016】
さらに、本願の原理の原理、側面および実施形態ならびにその個別的な例を記載する本稿におけるあらゆる陳述は、その構造的および機能的な等価物の両方を包含することが意図されている。さらに、そのような等価物は、現在知られている等価物および将来開発される等価物、すなわち構造にかかわりなく同じ機能を実行する任意の開発された要素の両方を含むことが意図されている。
【0017】
よって、たとえば、当業者は、本稿に呈示されるブロック図が本願の原理を具現する例示的な回路の概念図を表すものであることを理解するであろう。同様に、フローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどはいずれも、コンピュータ可読媒体において実質的に表現され、コンピュータまたはプロセッサによって実行されうるさまざまなプロセスを表すことが理解されるであろう。これはそのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているかどうかにはよらない。
【0018】
図面に示されるさまざまな要素の機能は、専用ハードウェアの使用を通じて提供されても、適切なソフトウェアとの関連でソフトウェアを実行することのできるハードウェアの使用を通じて提供されてもよい。プロセッサによって提供されるとき、機能は単一の専用プロセッサによって、単一の共有されるプロセッサによって、あるいは一部が共有されていてもよい複数の個別プロセッサによって提供されうる。さらに、用語「プロセッサ」または「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することのできるハードウェアのみを指すものと解釈されるべきではなく、暗黙的に、限定なしに、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(「ROM」)、ランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)および不揮発性記憶装置を含みうる。
【0019】
通常のものおよび/またはカスタムのものを含め他のハードウェアも含まれてもよい。同様に、図面に示されるスイッチがあったとしても、それは単に概念的なものである。その機能はプログラム論理の動作を通じて、専用論理を通じて、プログラム制御と専用論理の相互作用を通じて、あるいはさらに手動で実行されてもよい。特定の技法は、コンテキストからより個別に理解されるように実装者によって選択可能である。
【0020】
本願の請求項では、特定の機能を実行する手段として表現されたいかなる要素も、その機能を実行するいかなる仕方をも、たとえばa)その機能を実行する回路素子の組み合わせまたはb)任意の形の、したがってファームウェア、マイクロコードなどを含む、当該機能を実行するソフトウェアを実行するための適切な回路と組み合わされたソフトウェアを包含することが意図されている。そのような請求項によって定義される本願の原理は、前記さまざまな記載される手段によって提供される機能性が請求項が記載する仕方で組み合わされ、一緒にされるという事実にある。よって、これらの機能性を提供できる任意の手段が本稿で示されている手段と等価であると見なされる。
【0021】
明細書における本願の原理の「一つの実施形態」または「ある実施形態」あるいはそれ以外の他の変形への言及は、その実施形態との関連で記載されている特定の特徴、構造、特性などが本願の原理の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書を通じた随所に現れる「一つの実施形態では」または「ある実施形態では」といった句あるいはそれ以外の他の変形の出現は、必ずしもみな同じ実施形態を指すのではない。
【0022】
たとえば「A/B」「Aおよび/またはB」や「AおよびBのうちの少なくとも一つ」という場合における、「/」「および/または」や「の少なくとも一つ」の使用は、最初に挙げられたオプション(A)のみの選択、または二番目に挙げられたオプション(B)のみの選択、または両方のオプション(AおよびB)の選択を包含することが意図されていることは理解しておくべきである。さらなる例として、「A、Bおよび/またはC」や「A、BおよびCのうちの少なくとも一つ」の場合において、そのような表現は、最初に挙げられたオプション(A)のみの選択、または二番目に挙げられたオプション(B)のみの選択、または三番目に挙げられたオプション(C)のみの選択、または最初および二番目に挙げられたオプション(AおよびB)のみの選択、または最初および三番目に挙げられたオプション(AおよびC)のみの選択、または二番目および三番目に挙げられたオプション(BおよびC)のみの選択、または三つすべてのオプション(AおよびBおよびC)の選択を包含することが意図されている。当技術分野および関連する技術分野の当業者には容易に明白であるように、このことは列挙される項目がいくつの場合についても拡張できる。さらに「一つまたは複数の要素」および「少なくとも一つの要素」は交換可能に使用される。
【0023】
さらに、本願の原理の一つまたは複数の実施形態は本稿では特定の型の要素(たとえばHTTPサーバー)、データ・フォーマット、プログラミング言語、メッセージ型、メッセージ・コンテンツなどを用いて記述されるが、本願の原理はこれらの特定の型の要素、データ・フォーマット、プログラミング言語、メッセージ型、メッセージ・コンテンツなどだけに限定されるものではなく、本願の原理の精神を維持しつつ、他の型の要素、データ・フォーマット、プログラミング言語、メッセージ型、メッセージ・コンテンツなどに関して利用されてもよいことは理解しておくべきである。
【0024】
上述したように、本願の原理は、デジタル映画のための動的なプレショー(preshow)表示のための方法および装置に向けられる。たとえば、一つまたは複数の実施形態は、映画観客に、特に映画館における現在のショー(たとえば現在再生中のショーまたは再生されようとしているショー)に関係して、情報を動的に提供することを許容する。これに限られないが、一例として、そのような情報は、ショー時間まであと何分残っているかの指定、リアルタイム・ニュース、天気、スポーツ・スコア更新などを含みうる。
【0025】
デジタル映画システムの到来は、劇場上映に新たな機能を導入する機会を提供する。コンポジション・プレイリスト(CPL: composition playlist)は、広く利用可能なデジタル映画サーバーによってサポートされるようなショー・プレイリスト(SPL: show playlist)中に挿入される。コンポジション・プレイリストは、中でも、本願の原理に従って、動的に定義されたタイミング付けされたテキストを記述するおよび/または動的に生成されたスチール画像を取得するために、通常は字幕要素を取得するためにリザーブされている機構を利用する。
【0026】
構想されている例示的な使用は、「フィーチャーまでの残り時間」の生成および動的に生成されるカウントダウン用である。さらなる例示的な使用は、現在のスポーツ・スコアのようなリアルタイムのニュース更新や、特に「売店の行列が短い」「ショーが遅延される」といった劇場状態更新の生成を含む。
【0027】
さらに、「誕生日おめでとう、ケリー!」または「ロンディ、結婚してください!」といったパーソナル化されたまたはカスタマイズされたメッセージを表示できる。そのようなメッセージは、特別な機会のために劇場に出かけるのを促進するのを助けることができる。
【0028】
図1を参照すると、スクリーン130上での上映のためのデジタル映画システム100が示されている。図1の何らかの要素に関して特定の製造業者および/またはモデルに対する個別的な言及があったとしてもそれは例解の目的のためであり、本願の原理がそれに限定されるのではないことは理解しておくべきである。本稿で与えられる本願の原理の教示を与えられれば、当技術分野および関連分野の当業者は、本願の原理の精神を維持しつつ、これらおよびさまざまな他の製造業者およびモデルならびに他の要素(代替、追加および省略を含む)および他の構成を考えるであろう。
【0029】
デジタル映画システム100は、デジタル映画サーバー110、記憶装置112およびデジタル映画プロジェクター120を含む。サーバー110およびプロジェクター120は、好ましくは後述するように、相互接続されている。
【0030】
サーバー110の例は、米国カリフォルニア州バーバンクのドレミ・ラボ社(DOREMI LABS, INC.)によるDCP-2000である。プロジェクター120の例は、米国カリフォルニア州サンタクララのNECコーポレーション・オブ・アメリカによるSTARUS NC2500Sのような、テキサス・インスツルメンツDLPシネマ(登録商標)ライト・エンジンに基づくものの多くを含む。
【0031】
デジタル映画システム100はまた、好ましくは、スクリーン130の観客席室内でサウンド・トラックを再生するのに好適なオーディオ設備(図示せず)を含む。
【0032】
サーバー110はネットワーク118への接続116をもつ。プロジェクター120はネットワーク118への接続122をもつ。サーバー110およびプロジェクター120は接続118および122を通じて通信する。ネットワーク118は、たとえば、100bTイーサネット(登録商標)・ネットワークとして実装されてもよい。
【0033】
サーバー110はまた、プロジェクター120への接続114をもち、これを通じて、再生中に、プロジェクター120に画像ストリームが与えられる。接続114は、たとえば、デュアル高精細度シリアル・デジタル・インターフェース(dual HD-SDI)として実装されてもよい。
【0034】
プロジェクター120は、スクリーン130上に投影をするよう構成される。本願の原理が使用されるとき、スクリーン130上への投影は、これに限られないがたとえば、おいしいポップコーンのそそる画像のような画像132、単語134、136および138を含むテキスト・メッセージおよび残り時間の表示140を含みうる。呈示要素132、134、136、138および140のソースは、図2図3図4A〜Cとの関連でのちにさらに詳細に述べる。
【0035】
少なくとも残り時間140の表示は、動的なコンテンツであり、好ましくはサーバー110によってスクリーン130上での投影のためにプロジェクター120に与えられる。
【0036】
記憶装置112は、デジタル映画コンテンツを含み、(図のように)サーバー110に直接接続されてもよいし、あるいはネットワーク118を通じてアクセスされてもよい(ネットワーク・アクセスは図示せず)。このコンテンツについてはさらに後述する。
【0037】
ネットワーク118への接続152を有する劇場管理ステーション(TMS: theater management station)150は、劇場人員によって、サーバー110およびプロジェクター120を制御するために使用できる。あるいはまた、投影技師がサーバー110およびプロジェクター120を、専用のユーザー・インターフェース(図示せず)を通じて直接的に制御および操作できる。
【0038】
ディスプレイ・マネージャ177は、本稿でまとめて「動的情報」とも称する動的なテキストおよび/または他の情報(たとえばグラフィクス等)の表示を、本願の原理に従って管理する。図示した実施形態では、ディスプレイ・マネージャ177はデジタル・サーバー110において実装される。別の実施形態では、ディスプレイ・マネージャ177はデジタル・サーバー110とたとえばネットワーク118を通じて通信するスタンドアローンの装置として実装されることができる。さらにもう一つの実施形態では、ディスプレイ・マネージャ177は劇場管理システム150上に存在することができる。さらにもう一つの実施形態では、ディスプレイ・マネージャ177は、たとえばデジタル・サーバー110と劇場管理システム150の両方にコンポーネントがある分散エンティティであってもよい。
【0039】
ディスプレイ・マネージャ177は、サーバー110および/またはシステム100内の他のコンポーネントと連携して、動的情報に関係する少なくとも一つの要素を含む少なくとも一つの字幕ファイルを提供し、ショー・プレイリストの再生中または再生の少し前に(図2のタイムライン270との関連で後述)、前記少なくとも一つの要素を動的に解決し(resolve)、(たとえばスクリーン130および/または別のスクリーン(単数または複数)上で)前記動的情報を(たとえば可視的におよび/または可聴的に)再生する。「ディスプレイ・マネージャ」と称されているが、一つまたは複数の実施形態では、ディスプレイ・マネージャ177は単にオーディオ情報(たとえば「映画は10分後に始まります」)を再生するのでもよいことは理解しておくべきである。しかしながら、ディスプレイ・マネージャ177は少なくとも、本願の原理のさまざまな実施形態において画像/ビデオ・データの再生(表示)を管理する。
【0040】
あるいはまた、ディスプレイ・マネージャ177はまた、スクリーン130および/または一つまたは複数の他のスクリーンおよび/または一つまたは複数のスピーカー(図示せず。スクリーンと統合されていてもいなくてもよい)で再生されるべきカスタマイズされたまたはパーソナル化された情報またはメッセージを含む動的情報に関係する少なくとも一つのユーザー入力を受領するようにも構成されてもよい。よって、ディスプレイ・マネージャ177を、カスタマイズされた情報を受領するために劇場管理ステーション150のところにユーザー・インターフェースを含む分散エンティティとして構成することが有利でありうる。
【0041】
記憶装置112はショー・データ200を含む。必ずしもそうでなくてもよいが好ましくは、ショー・データ200は、非特許文献1〜6の公開され台頭しつつある規格において映画テレビ技術者協会(SMPTE)によって記述される対応するファイル・フォーマットに従ったファイルを含む。
【0042】
しかしながら、これらの規格が広く採用されるまでは、製造業者の独自のフォーマットを含む他のファイル・フォーマットが使用されてもよい。たとえば、米国テキサス州ダラスのテキサス・インスツルメンツ社は今日、SMPTE429-5(上記)のベースとなった字幕トラック・ファイル・フォーマットをサポートする。ドレミ・ラボによる前述した例示的なもののようなデジタル映画サーバーの製造業者は、独自のショー・プレイリスト・フォーマットをもつ。このように、本願の原理は何らかの特定のファイル・フォーマットに限定されるものではないことは理解しておくべきである。
【0043】
図2を参照すると、ショー・プレイリスト、該ショー・プレイリストによって参照されるコンポジション・プレイリスト、動的コンテンツ・コンポジションによって参照されるトラックおよびアセット・ファイル・コンポーネントならびに動的コンテンツの生成および表示に関する重要なイベントを示すタイムラインの概略図が示されている。さらに、コンポジション・プレイリスト220、230、240、250および260は、時間的に、タイムラインの沿って示されるさまざまなイベントと相関することが意図されている。
【0044】
再生の時間が近づくと、ショー・データ200が次のように構築される:ショー・プレイリスト210が再生できる各コンポジションをリストする。ショー・プレイリストのいくつかのバージョンでは、コンポジションを便利なグループ(図示せず)にまとめる諸ファイルを通じた一つまたは複数のレベルの間接指示(indirection)があってもよいが、間接指示はコンポジション・プレイリスト(CPL)220、230、240、250および260によって表されるコンポジションのシーケンスに分解可能(resolvable)である。この例では、CPL 220はソーダのための広告であり、CPL 230はポップコーンのための動的な広告であり、CPL 240はもうすぐ始まる映画リリースのための予告編であり、CPL 250は、たとえば演出効果のある仕方でプレショーを締めくくって観客をフィーチャー上映のために準備させる移行要素であり、CPL 260はメイン・アトラクション(すなわち、フィーチャー自身)である。実際のプレショーは一般により多くの広告、より多くの予告編およびさらなる移行要素(たとえば、予告編の前の「近日上映」要素)をもつであろうが、示されているCPLは代表的なものである。
【0045】
各CPLは一般にピクチャーおよびオーディオ・トラック・ファイルを参照し、CPLのいくつかは字幕トラック・ファイルを参照することがあり、そのコンポジションは関連するトラック・ファイルを含む各CPLによって記述されるが、これらの関連付けは簡潔のため、CPL 230についてのみ示されている。
【0046】
CPL 230は三つのトラック・ファイル、つまりピクチャー・トラック・ファイル232、オーディオ・トラック・ファイル234および字幕トラック・ファイル236を列挙している。のちに論じる代替的な実施形態では、字幕トラック・ファイル236の代わりに字幕トラック・ファイル236′が参照する。
【0047】
ピクチャー・トラック・ファイル232は、おいしいポップコーンのそそる画像132を表示するために必要なデータを与える。ピクチャー・トラック・ファイル232はサーバー110によって記憶112から取得され、画像信号にデコードされ、その画像信号が接続114を介してプロジェクター120に送信される。プロジェクター120は、必要に応じて画像信号をフォーマットし、対応する画像が、字幕のためのさらなる処理後に表示される。
【0048】
オーディオ・トラック・ファイル234は、ピクチャー・トラック・ファイル232の表示と同期してオーディオ・トラックを与えるために必要なデータを提供する。
【0049】
字幕トラック・ファイル236または236′は、ピクチャー・トラック・ファイル232から与えられる画像と重ねられる字幕シーケンスを提供する。単語134、136および138が時間とともに現れるが、好ましくは、字幕トラック・ファイル236または236′中に静的にエンコードされる。残り時間140は、字幕トラック・ファイル236の処理中に、あるいは字幕トラック・ファイル236′によって参照される動的サブピクチャー238の処理中に動的に提供される。
【0050】
デジタル映画字幕の用語では、「タイミング付けされたテキスト(timed text)」字幕と「サブピクチャー(subpicture)」字幕の区別がされる。「タイミング付けされたテキスト」は、テキストおよびフォントとして提供される字幕を表し、前記テキストが前記フォントを使って字幕イメージに表現され、その字幕イメージがピクチャー・トラック・ファイル232によって与えられる画像と同期して重ねられる。「サブピクチャー」は、典型的にはポータブル・ネットワーク・グラフィクス(PNG: portable network graphics)ファイル・フォーマットのスチール画像ファイルとして与えられる字幕を表す。残り時間140のスチール画像などである。サブピクチャー・アプローチの利点は、残り時間140として示される数字表示の代わりに、残り時間を示す時計のグラフィック・イメージ(図示せず)が使えることである。
【0051】
タイムライン270は、矢印の方向に進む時間とともに配列される一連のイベントを含む。
【0052】
好ましくは再生より十分先行する時点である摂取時272において、好ましくはサーバー110または同様の信頼されるエンティティの制御のもとに、ショーのさまざまな要素が記憶装置112にコピーされる。摂取の間、サーバー110にCPLが、該CPLが参照する各トラック・ファイルとともに、与えられる。
【0053】
よく知られたセキュリティ、信頼性および品質管理の問題として、CPLは好ましくは、対応するトラック・ファイルから導出される、各トラック・ファイルに対応するハッシュ値を含む。各トラック・ファイルについて現在のハッシュ値を改めて導出し、その値をCPLに格納されている値と比較することによって、サーバー110は、それらのファイルが完備であり、コピーミスが生じておらず、工作も受けていないことを保証される。CPL中におけるハッシュ値の存在は任意的である。
【0054】
準備スイート(prep-suite)時280は、再生が始まる少し前に、たとえば約30分以内に生起する。ショー時間286は好ましくは公表されているショー時間である。これは一般に、フィーチャー開始の数分前であるが、決してフィーチャー開始より遅いべきではない。フィーチャー開始時288は、フィーチャーが実際に始まる時間である。
【0055】
再生が始まる少し前に、準備スイート時280において、サーバー110は、ショー・プレイリスト210によって記述される上演の、差し迫った再生のための準備をする。ネットワーク118を通じたプロジェクター120とサーバー110の間の通信が確立され、確認される。現在の有効な解読鍵(図示せず)の存在が、解読鍵を必要とするショー・プレイリスト210によって同定されるCPLがあればそれについて確認される。実装に依存して、サーバー110は、トリガーされたときに再生を迅速に開始することを許容するため、ある量のピクチャーおよびオーディオ・データをバッファリングしてもよい。また、プロジェクター120が、ショー・プレイリスト210中に現れる、字幕トラック・ファイル236のような諸字幕トラック・ファイルのリストを与えられてもよい。好ましくは、字幕トラック・ファイル236はこの時点ではプロジェクター120に転送されない。
【0056】
何らかの時点で、好ましくは準備スイート時280から30分以内に、再生が始まり、ソーダ広告220のようなCPLによって記述されるコンテンツが観客席室内のスクリーン130上に呈示される。
【0057】
好ましくは、告知プリフェッチ時282が、CPL 230がその再生を始める時間である告知時284の少し前に生起し、プロジェクター120がネットワーク118を通じてトラック・ファイル236を(あるいは代替的な実施形態ではトラック・ファイル236′を)サーバー110に要求する。
【0058】
告知プリフェッチ時282において、字幕トラック・ファイル236はサーバー110によって処理されて、たとえば「サーバー・サイド・インクルード」(好ましい実施形態ではサーバー・サイド・インクルードを解釈するよう備えをされたデジタル映画サーバー110上のHTTPサーバーであるディスプレイ・マネージャ177によって実行される処理)を使って実装されうるような動的テキスト・コールアウト(callout)(詳しくは後述)があればそれは適切なテキスト値によって置き換えられる。この置換は、告知プリフェッチ時282と告知時284の間の間隔の所定の期待値、現在時刻、ショー時間286およびフィーチャー開始時288あるいは同様の情報をパラメータとしてなされうる。これらの時間は、絶対的な時計時間で表現されてもよいし、あるいはショー・プレイリストの先頭または他の便利な基準に対する時間として表現されてもよい。これらまたは他のパラメータは、置換テキストを返すために、所定のアルゴリズムによって組み合わされてもよい。いくつかの例示的なアルゴリズムが図4Aおよび4Bとの関連で後述される。
【0059】
サブピクチャー238への参照をもつ字幕トラック・ファイル236′を使う実装では、プロジェクター120は、字幕トラック・ファイル236′に従ってサブピクチャー238が表示のために必要とされる時点の少し前にサブピクチャー238をサーバー110に要求する。この場合、プロジェクター120による要求に応答して返されるPNG画像ファイルが、サーバー110に知られており、字幕トラック・ファイル236′中の識別情報と関連付けられている所定のアルゴリズムに従ってサーバー110によって動的に生成または選択される。前記識別情報によりプロジェクター120はサブピクチャー・ファイル238を参照する。この動的サブピクチャー・ファイル生成または選択のアルゴリズムは、上述したパラメータのいずれも受け入れることができ、たとえば図4Cとの関連で誘起される要求に応答して実行されるが図4Aおよび4Bとの関連で記述される例示的なアルゴリズムと同様に振る舞う。
【0060】
CPL 230によって同定された動的コンポジションの再生の終結時に、再生はSPL 210に従って、予告編、移行およびフィーチャーをもって継続する。対応するコンポジションはそれぞれCPL 240、250および260によって同定される。
【0061】
図3は、CPL 230の好ましい実装を含むCPLデータ300を示している。当業者は、SMPTE規格429-7に準拠するデータ300のフォーマットを認識するであろう。しかしながら、上述したように、本願の原理はいかなる特定のフォーマットに限定されるものでもないことは理解しておくべきである。普遍的一意識別子(UUID: universally unique identifier)302がCPLデータ300中に生起する。CPL 230を参照するのに使うUUIDを定義するためである。この参照により、SPL 210は曖昧さなくCPL 230を同定できる。あるいはまた、CPL 230は、SPL 210において、CPLデータ300中でContentVersion〔コンテンツ・バージョン〕識別子(図示せず)としてコールアウトされうる別個のUUIDによって同定されることができる。
【0062】
CPLデータ300内にはピクチャー要素332、オーディオ要素334および字幕要素336がある。当業者は、拡張可能マークアップ言語(XML: extensible markup language)データ、332のように「MainPicture」のような角括弧に入れられたタグで始まり角括弧に入れられた閉じタグ「/MainPicture」で終わる要素を認識するであろう。これらの要素は、対応するピクチャー・トラック・ファイル232、オーディオ・トラック・ファイル234および字幕トラック・ファイル236を、それぞれUUID 333、335および337を使って同定する。他のよく知られたメタデータが与えられている。これらのUUIDと対応するファイルとの間の関連付けは、摂取時272にサーバー110に与えられ、その後、サーバー110によって追跡される。
【0063】
ここで図4Aを参照すると、本願の原理の字幕トラック・ファイル・データが示されている。この字幕トラック・ファイルは、CPLデータ300の字幕要素336の中のUUID 337に一致するUUID 402によって同定され、よって、字幕トラック・ファイル・データ400は、字幕要素336においてCPLデータ300によって参照される字幕トラック・データである。
【0064】
この例示的なファイルにおいて、六つの離散的な字幕要素:434、436、438、440、442および444がある。
【0065】
字幕要素434、436および438は次のように動作する:各要素は、対応するテキストが現れるべきCPL 230の再生に対する時間期間を同定する。また、スクリーン130上でのテキストの位置が記述される。字幕434は、テキスト134′が0.5秒間、単語134の位置において、CPL 230のプレイリスト中に現れるべきであることを定義する。0.5秒後、字幕436がテキスト136′を単語136の位置に示す。その0.5秒後、字幕436は終了し、字幕438によって置き換えられる。字幕438はそれぞれ単語136および138の位置に、テキスト136″および138′を示す。観客に対する効果は、「There's still time:」〔まだ時間: がある〕の諸単語が0.5秒間隔で現れるというものである。望むなら、これらの単語が徐々にフェードインするようさらなるメタデータ(図示せず)が与えられてもよい。よって、一つまたは複数の特殊効果がテキストに適用されてもよい。そのような特殊効果は、これに限られないが、フェード、フラッシング/ストロボ(強度変化)、テキストの一つまたは複数の色の変更などを含みうる。
【0066】
字幕440、442および444はそれぞれ、残り時間140として表示されるべきテキストを与える。字幕440、442および444は、CPL 230の再生にはいったところ2秒に始まる連続する各秒において始まり、それぞれ1秒間続くので、テキストは毎秒更新される。プロジェクター120の字幕実装の応答性が十分でなければ、その欠点に対処するためより頻度の低い更新が指定されてもよい。
【0067】
しかしながら、字幕440、442および444は残り時間140として表示されるべきテキストを与えるものの、炯眼な読者は、位置140′および位置140″において字幕トラック・ファイル・データ400に存在するテキストは、位置140における残り時間の表示に似ていないことに気づくであろう。その代わり、存在するテキストは、この場合は米国メリーランド州フォレスト・ヒルのアパッチ・ソフトウェア・ファウンデーションによって提供されるアパッチ(Apache)ハイパーテキスト転送プロトコルサーバーによってサポートされるべき既知のフォーマットの、サーバー・サイド・インクルードに関連付けられた形のXMLコメントである。このフォーマットまたは同様のフォーマットのサーバー・サイド・インクルードは、たいていのハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP: hypertext transfer protocol)サーバーによって提供される。サーバー・サイド・インクルードは、デジタル映画サーバー110によって提供されるHTTPサービスによってサポートされるフォーマットであるべきである。
【0068】
位置140′における字幕440において、サーバー・サイド・インクルードは、「TimeToNextShow」〔次のショーまでの時間〕という名前のPerl言語での特定のスクリプトを実行し、そのスクリプトに「00:00:02」のパラメータを提供するためにサーバー110上で走るHTTPサービスへの命令である。そのスクリプトによって返される結果は、「5:12」のような、フィーチャーが始まるまでに残っている時間の量を表す若干数の文字のテキストである。これが、残り時間140として表示されるテキストである。
【0069】
その後の字幕442および444において、140″としてコール・アウトされたサーバー・サイド・インクルードは、いずれも、「TimeToNextShow」スクリプトの追加的な実行を指定するが、CPL 230の再生中のより深いオフセットのため、異なるパラメータをもってである。
【0070】
位置140′および140″におけるサーバー・サイド・インクルードのそれぞれについて、パラメータ値は対応する字幕440、442、444についてのTimeInパラメータの値である。その理由は、プロジェクターは、告知プリフェッチ時272において字幕トラック・ファイル236を要求することになるからである。スクリプトTimeToNextShowがパラメータを受け入れておらず、字幕トラック・ファイル・データ400がサーバー110によって処理されてプロジェクター120に供給されたとした場合には、TimeToNextShowスクリプトの三回の生起のそれぞれは同じテキスト値に評価されるであろう。その代わり、スクリプトは以下のステップを実行できる:(a)CPL 230のUUID 402を記録(note);(b)SPL 210においてUUID 402に対するマッチを見出す;(c)SPL 210中でのCPL 230の開始とフィーチャーCPL 260の開始との間の間隔を判別;(d)その間隔から、パラメータの値を引く;(e)結果として得られる間隔、すなわち特定の字幕が表示されるべき時刻におけるフィーチャーまでの残り時間を、好ましくはM:SS(分および秒)フォーマットのテキスト・ストリングとして返す。
【0071】
スクリプトによって与えられる結果として得られるテキストは、サーバー・サイド・インクルードを与えるXMLコメントの全体の代用とされる。
【0072】
もちろん、他のサーバー・サイド・インクルードの形が使用されてもよいことは理解しておくべきである。図4Bにおいて、字幕450(これは字幕434、436および438を置換する)は明示的なテキスト「Show starts at」〔ショーは に始まる〕を表示し、サーバー・サイド・インクルードはサーバー110上で環境変数「SHOWTIME」〔ショー時間〕の値を表すテキストの若干数の文字をアペンドする。そのような環境変数は、サーバー110の動作のもとになっているスケジュール(図示せず)から利用可能である。1.5秒後、「Time now is」〔現在時刻は〕という明示的なテキストと、現在時刻をH:MM:SSフォーマットでプリントするリナックス・コマンドを実行するサーバー・サイド・インクルードとを与える第二の字幕452が表示に加えられる(これは字幕440、442および444を置き換える)。この例において、現在時刻はいったん表示されると変化しない。呈示される時間は実質的に告知プリフェッチ時272であろう。これは、サーバー110がプロジェクター120による要求に応答して字幕トラック・ファイル236を処理するであろう時である。
【0073】
図4Cでは、タイミング付けされたテキスト字幕440がサブピクチャー字幕440′によって置き換えられる。ここではサーバー・サイド・インクルードは必要ない。その代わり、字幕440′は、サブピクチャーPNGファイルを要求することが必要になることをプロジェクター120に伝えるUUID 460を与える。字幕440を置き換える字幕440′をもつ字幕トラック・ファイル・データ400は、字幕トラック・ファイル236′の実施形態であり、UUID 460は動的サブピクチャー238に対応する。
【0074】
この実施形態において、プロジェクター120がUUID 460に対するファイルを要求するとき、サーバー110はその要求を、結果としてサブピクチャーPNGファイルを返すUUID 460に関連付けられたプログラムを実行することによって、充足する。結果として得られるファイルは、要求に応答して、サーバー110によってプロジェクター120に提供される。この実装に対応するプログラムは、先述した計算または残り時間を実質的に表す値を返す同様の計算を実行することができる。次いで計算結果は、テキスト・レンダラーによって処理され、透明な背景フィールド上のテキストの結果として得られる画像がPNGファイルとしてエンコードされ、プロジェクター120に返される。このPNGファイルは、残り時間140を表示する画像の一部のソースとして使用される。
【0075】
より洗練された実施形態では、残り時間のPNG表示中のテキストは、残っている分数および端数をグラフィックに示すアナログ時計(図示せず)の画像によって置換されるまたはそのような画像を伴うことができる。
【0076】
売店の行列の状態(「売店の行列が短いです!待ち時間なし!」)または外部ウェブ・サイトまたは加入ニュース・フィードからスクラップされたリアルタイムのスポーツ・スコア(「UCLA 21, USC 0」)のような他のメッセージがサーバー110によって含められることができる。
【0077】
ユーザー・インターフェース(図示せず)はTMS 150において提供されることができる。前述したようなパーソナル化されたメッセージを入力し、システム中の変数に割り当てることができる。あらかじめ組み込まれた、適切なテーマをもたせたコンポジションについてのCPL(図示せず)がショー・プレイリストに手動で含められる。たとえば、劇場に行く人が夫の誕生日を祝うことを望む。劇場に行く人は特定の「ハッピー・バースデー」コンポジションを、特殊イベント・コンポジションのセレクションのうちから選択する。劇場支配人は、劇場に行く人の選択に対応するCPLをショー・プレイリストに組み込み、コンポジション・アセットが摂取される(もしまだであれば)。さらに、劇場支配人はお祝いコンポジションに含める適切なパーソナル化されたテキストを招請し、そのテキストが、そのお祝いコンポジションの対象の変数WHOSE_BIRTHDAY〔誰の誕生日〕の値として入力される。変数SHOWTIMEの値が字幕450において参照されたのと同様である。このようにして、CPLは、WHOSE_BIRTHDAY="Kerry"と設定することによって、"Kerry"〔ケリー〕にハッピー・バースデーのお祝いをするようパーソナル化できる。あるいはまた、そのようなパーソナル化されたコンポジションは、WHOSE_BIRTHDAYに基づいてサーバー110が計算するサブピクチャーを要求するCPLによって実装されることができる。
【0078】
代替的な実施形態では、サーバー110はサーバー・サイド・インクルードを有効にしておらず、その代わり、該インクルードを具現するXMLコメントは表示のために使用される前にプロジェクター120に解釈してもらうべくプロジェクター120に渡される。そのような機能性の一例は、「クライアント・サイド・インクルード」または他のスクリプト機能である。そのような機能は、普通、XMLファイルの受け手によって実装される。コメント埋め込み機能はサーバー・サイド・インクルードの場合と同じように使われてもよいが、より一般的な形は字幕トラック・ファイル・データ中において動作を埋め込むためのスクリプト・タグを使うことである。そのような埋め込みのための好適かつ一般的な言語はジャバスクリプト(Java(登録商標)Script)である。そのような実施形態は、プロジェクター120がジャバスクリプトを解釈することを要求する。
【0079】
特に字幕オーバーレイを扱うときにデジタル映画サーバー110がデジタル映画プロジェクター120よりも予測可能な計算負荷および超過の処理パワーをもつ場合には、動的な操作のための負荷を前記サーバーに割り当てることが好ましい。
【0080】
いくつかの実装では、字幕レンダリングおよびピクチャー・エッセンス上へのオーバーレイはサーバーによって実行され、プロジェクターは字幕レンダリングやオーバーレイ・プロセスに参加しない。プロジェクターは単に、接続114を介して提供されるサーバーがオーバーレイした画像を表示する。本願の原理は、そのような実施形態における字幕トラック・ファイルの処理や字幕ファイルの動的生成にも適用される。
【0081】
もう一つの実施形態では、準備スイート時280においてまたはそのころ、ただし告知プリフェッチ時282における要求に対するサーバー110の応答より遅くない時点で、サーバー110、TMS 150または別のエンティティ(図示せず)が字幕トラック・ファイル236の更新されたバージョンを提供することができる。ここで、字幕440、442および444におけるサーバー・サイド・インクルードの代わりに外部プログラムがそれぞれ「5:12」「5:11」および「5:10」のようなカウントダウン・テキストをもつ完全な字幕トラック・ファイル236を生成する。そのような字幕トラック・ファイルの更新バージョンは、字幕トラック・ファイルの、該ファイルの空間的および時間が決定的な諸側面を含む必要な要素を維持するプロセスによって生成される。たとえば、そのような動的に生成された字幕トラック・ファイルはCPLデータ300内で参照されてもよく、UUID 337がサーバー110によって、サーバー・サイド・インクルード以外の機構によって字幕トラック・ファイル・データ400の新しいバージョンを生成して返すようにとのコールとして認識されてもよい。そのような実装は、当技術分野および関連分野の当業者によって容易に理解されるものであり、本稿に記載される好ましい実施形態と、サーバー110に対する計算上の負荷において実質的には異ならない。
【0082】
もちろん、本稿で与える本願の原理の教示を与えられれば、本願の原理の精神を維持しながら、他の変形も当技術分野および関連分野の当業者によって容易に理解され、考えられる。「売店の行列が短い!」と断言するメッセージが含められるべきである場合、対応するPNGサブピクチャーが、たとえば売店の待ち行列を見渡すネットワーク・アクセス可能カメラ(すなわち、図示しない「ウェブカメラ」)からの、デジタル画像から生成されることができる。サーバー110はそのデジタル画像を取得し、必要に応じてそのデジタル画像を処理する。あるいはまた、TMSのような別の装置が定期的にウェブカメラ(図示せず)にアクセスし、そのカメラで撮影された画像をさまざまな観客席室によって求められる適切なスケールおよびアスペクト比にフォーマットすることができる。これらの画像は随時(たとえば毎分)更新されてサーバー110がアクセスできるところに残されることができ、あるいはTMS 150から記憶装置112に定期的にプッシュされることができる。
【0083】
劇場の運営および維持の受け持ちを特定するために「今晩の担当管理者:シルヴェイン」または「この観客席室の清掃担当者:マーク」といったメッセージに適切な個人の画像を提供するために同様の実装を使うことができる。
【0084】
さらにもう一つの実施形態では、動的に生成された字幕の呈示は、プロジェクター120によってスクリーン130上に表示される画像において表示されなくてもよい。その代わり、動的に生成された表示は、米国ヴァージニア州ポーツマスのデジタル・テック・サービシーズ(DIGITAL TECH SERVICES)によって供給されるスーパータイトル(SUPERTITLE)のようなスクリーン近くに位置するLEDマルチライン・キャラクタ・ディスプレイのような追加的な表示装置(図示せず)上に呈示されてもよいし、あるいは米国カリフォルニア州アグーラヒルズのデジタル・シアター・システムズ(DIGITAL THEATER SYSTEMS)によって供給されるシネマ・サブタイトリング・システム(CINEMA SUBTITLING SYSTEM)のようなレーザー投影システムによってスクリーン上またはスクリーン近くに書かれてもよい。そのような実施形態では、サーバー110から追加的な表示装置(図示せず)への通信は、ネットワーク118を介して、あるいは他の直接または無線接続を介してであろう。サーバー110は、イベントおよび該イベントが生起すべき時刻のリストを与える字幕トラック・ファイル236または他の類似のファイル内のコマンドに対して、適切なテキストをその追加的な表示装置による表示のために、実質的にそのテキストの表示が適切である時点で提供することによって、反応する。さらに代替的な実施形態では、クライアント・サイド・インクルードまたはスクリプトへの応答として、プロジェクター120がテキストを追加的な表示装置に与えてもよい。
【0085】
図5を参照すると、デジタルディスプレイ・システムにおける動的情報を表示する例示的な方法500が示されている。
【0086】
方法500は開始ブロック505を含み、該開始ブロックは機能ブロック510に制御を渡す。機能ブロック510は、動的情報に関係する少なくとも一つの要素を含む少なくとも一つの字幕ファイルを与え、制御を機能ブロック520に渡す。機能ブロック520は現在時刻またはカスタマイズされた情報のような動的な値に基づいて動的な情報に関係する要素を動的に解決する(resolve)(すなわち、いくつかの実施形態では、字幕ファイル中の命令またはコメントに対して作用するまたは該命令またはコメントを置き換えることによって解を提供する)。所与の要素を動的に解決するために必要とされる個別的な動作または行動は実装の詳細に依存する。たとえば、そのような動作は、なかでも、サーバー・サイド・インクルードを展開する(expand)こと、上記のような適切なサブピクチャーを生成または選択することを含みうる。ブロック520の機能を完了すると、制御は機能ブロック525に渡される。機能ブロック525は字幕ファイルの解決された形を再生デバイス(たとえば一つまたは複数のスクリーンおよび/または一つまたは複数のスピーカーなど)上で再生する(たとえば視覚的におよび/または可聴的に)。たとえば、動的に生成された情報の再生は、デジタル・ディスプレイ・システムによるコンテンツの呈示の一部として、たとえば映画館における映画の上映に先立って、行われてもよい。機能ブロック525が完了すると、制御は終了ブロック599に渡される。
【0087】
代替的な実施形態では、再生されるべき動的な情報はカスタマイズまたはパーソナル化された情報であり、ユーザーによって与えられるものであってもよい。これは図5において示されている。図5では、動作機能ブロック515がカスタマイズされた情報に関する少なくとも一つのユーザー入力を受領し、そのカスタマイズされた情報が機能ブロック520において、動的情報に関連付けられた前記少なくとも一つの要素を動的に解決するために使われる。動的に解決された情報は次いで再生される(機能ブロック525参照)。先の図1の例を参照すると、ユーザー入力を受領するためにディスプレイ・マネージャ177が使用されてもよく、カスタマイズされた情報は、デジタル・ディスプレイ・システムによって、スクリーン130および/または一つまたは複数の他のスクリーンおよび/またはスピーカー(図示せず)上で再生されてもよい。
【0088】
本願の原理のこれらおよびその他の特徴および利点は、本稿の教示に基づいて当業者によって容易に見きわめられることができる。本願の原理の教示はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、特殊目的プロセッサまたはそれらの組み合わせのさまざまな形で実装されうることは理解しておくものとする。
【0089】
最も好ましくは、本願の原理の教示はハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせとして実装される。さらに、ソフトウェアはプログラム記憶ユニット上に有形的に具現されるアプリケーション・プログラムとして実装されてもよい。アプリケーション・プログラムは、任意の好適なアーキテクチャを有する機械にアップロードされ、これによって実行されてもよい。好ましくは、機械は、一つまたは複数の中央処理ユニット(「CPU」)、ランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)および入出力(「I/O」)インターフェースのようなハードウェアを有するコンピュータ・プラットフォーム上で実装される。コンピュータ・プラットフォームはオペレーティング・システムおよびマイクロ命令コードをも含みうる。本稿に記載したさまざまなプロセスおよび機能は、該マイクロ命令コードの一部、あるいは該アプリケーション・プログラムの一部、あるいはそれらの任意の組み合わせであってもよく、CPUによって実行されてもよい。さらに、追加的なデータ記憶ユニットおよびプリント・ユニットといったさまざまな他の周辺ユニットがコンピュータ・プラットフォームに接続されてもよい。
【0090】
さらに、付属の図面に描かれている構成要素となるシステム・コンポーネントおよび方法のいくつかは好ましくはソフトウェアによって実装されること、システム・コンポーネントまたはプロセス機能ブロックの間の実際の接続は本願の原理がプログラムされる仕方に依存して異なりうることも理解しておくものとする。本稿の教示を与えられれば、当業者は本願の原理のこれらおよび同様の実装または構成を考えることができるであろう。
【0091】
本稿では例示的な実施形態を付属の図面を参照して記載してきたが、本願の原理がこれらの厳密な実施形態に限定されるものではないこと、本願の原理の範囲や精神から外れることなく当業者がそれにさまざまな変更および修正を施しうることは理解しておくものとする。そのようなすべての変更および修正は、付属の請求項に記載される本願の原理の範囲内に含められることが意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5