特許第5717654号(P5717654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5717654ポジティブ点火エンジンから排出される排ガスから微粒子状物質を集塵するためのフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717654
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】ポジティブ点火エンジンから排出される排ガスから微粒子状物質を集塵するためのフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/94 20060101AFI20150423BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20150423BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20150423BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20150423BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20150423BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20150423BHJP
   F01N 3/02 20060101ALI20150423BHJP
   F01N 3/021 20060101ALI20150423BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   B01D53/36 104B
   B01D53/36 104A
   F01N3/02 321A
   B01J35/04 301K
   B01J35/04 301E
   B01J35/10 301F
   B01J37/02 301L
   F01N3/02 301E
   F01N3/02 301B
   F01N3/08 B
【請求項の数】11
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2011-551532(P2011-551532)
(86)(22)【出願日】2010年2月26日
(65)【公表番号】特表2012-518753(P2012-518753A)
(43)【公表日】2012年8月16日
(86)【国際出願番号】GB2010050334
(87)【国際公開番号】WO2010097634
(87)【国際公開日】20100902
【審査請求日】2013年2月25日
(31)【優先権主張番号】0903262.4
(32)【優先日】2009年2月26日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】0922612.7
(32)【優先日】2009年12月24日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ルイーズ、クレア、アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】ロバート、ジェームス、ブリスレイ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド、ロバート、グリーンウェル
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー、ゴフ、モーガン
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2002/026351(WO,A1)
【文献】 特表2002−519186(JP,A)
【文献】 特開平09−173866(JP,A)
【文献】 特開平08−332329(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0133969(US,A1)
【文献】 特開2006−051475(JP,A)
【文献】 特開2006−239543(JP,A)
【文献】 特表2012−509764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
F01N 3/02− 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポジティブ点火エンジンから排出される排ガスから微粒子状物質(PM)を集塵するためのフィルタであって、
前記フィルタが、入口面と出口面を有する多孔性基材を備え
前記入口面が、第1平均ポアサイズのポアを備える多孔性構造によって前記出口面から分離され
前記多孔性基材の、前記入口面か、または前記入口面および前記出口面の両方は、多孔性構造の表面ポアを実質的に覆い多数の固相粒子を含む触媒で表面がウォッシュコートでコーティングされたウォッシュコート層を備え
前記ウォッシュコートの固相粒子のD90が、10〜40μmの範囲であり、
前記ウォッシュコートでコーティングされた多孔性基材の多孔性構造が、第2平均ポアサイズのポア(多孔)を備え
前記ウォッシュコートでコーティングされた多孔性基材のポアが、前記ウォッシュコート内の粒子間の間隔(粒子間ポア)によって部分的に画定され、
前記第2平均ポアサイズが、前記第1平均ポアサイズ未満であり、
前記ォッシュコートが、高い表面積の酸化物上で支持される活性成分としてのプラチナおよびロジウム、パラジウムおよびロジウム、またはプラチナ、パラジウムおよびロジウムと、酸素貯蔵成分とを含む三元触媒によるウォッシュコートであるフィルタ。
【請求項2】
前記多孔性基材の多孔性構造の第1平均ポアサイズが、8〜45μmである、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記ウォッシュコート荷重が、0.50g in−3より大きいものである、請求項1又は2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記ォッシュコートの平均粒子間ポアサイズが、5.0nmないし5.0μmである、請求項1〜3の何れか一項に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記ウォッシュコートの固相粒子の平均サイズが、1〜20μmの範囲である、請求項4記載のフィルタ。
【請求項6】
前記入口および出口の両方がウォッシュコートでコーティングされ、
前記入口上のウォッシュコートの平均ポアサイズが、出口上のウォッシュコートの平均ポアサイズとは異なる、請求項1〜5の何れか一項に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記多孔性基材が、セラミックウォールフローフィルタ、金属フィルタ、またはセラミックフォームである、請求項1〜の何れか一項に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記ォッシュコートが、少なくとも1つのモレキュラーシーブを備えてなる、請求項1〜の何れか一項に記載のフィルタ。
【請求項9】
請求項1〜の何れか一項に記載のフィルタを備えてなる、ポジティブ点火エンジン用排気システム。
【請求項10】
請求項に記載の排気システムを含む、ポジティブ点火エンジン。
【請求項11】
面集塵及び同時に
(i) 一酸化炭素(CO)を二酸化炭素に酸化すること;
(ii) 未燃焼炭化水素(HC)を二酸化炭素と水に酸化すること;及び
(iii) 窒素酸化物(NOx)を窒素と酸素に還元すること;
によって化学量論的な点でまたはその周囲で駆動するポジティブ点火エンジンから排出される排ガスから微粒子状物質(PM)をトラップするための方法であって、
前記方法が、PM、CO、HC及びNOxを含む排ガスと、入口および出口を有する多孔性基材を備えるフィルタを接触させるステップを含
前記入口が、第1平均ポアサイズのポアを含む多孔性構造によって前記出口から分離され
前記多孔性基材の、前記入口面か、または前記入口面および前記出口面の両方は、多孔性構造の表面ポアを実質的に覆い多数の固相粒子を含む触媒で表面がウォッシュコートでコーティングされたウォッシュコート層を備え、
前記ウォッシュコートの固相粒子のD90が、10〜40μmの範囲であり、
前記ウォッシュコートでコーティングされた多孔性基材の多孔性構造が、第2平均ポアサイズのポア(多孔)を備え、
前記ウォッシュコートでコーティングされた多孔性基材のポアが、前記ウォッシュコート内の粒子間の間隔(粒子間ポア)によって部分的に画定され、
前記第2平均ポアサイズが、前記第1平均ポアサイズ未満であり、
前記ウォッシュコートが、高い表面積の酸化物上で支持される活性成分としてのプラチナおよびロジウム、パラジウムおよびロジウム、またはプラチナ、パラジウムおよびロジウムと、酸素貯蔵成分とを含む三元触媒によるウォッシュコートである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、どのような燃焼工程でも、すなわち、微粒子状物質(particulate matter:PM)のビルドアップ(build−up)(いわゆる、ケーキ(固形物質)集塵と呼ばれる)または深層集塵(depth filtration)と前記ケーキ集塵(cake filtration)との組み合わせによって、排ガスから前記微粒子状物質を除去することが不可能な燃焼工程でも、前記排ガスの微粒子状物質(PM)を処理するために使用されるフィルタに関する。前記燃焼工程は、通常車両エンジンの燃焼である。特に、本発明は、車両の正(ポジティブ:positive)の点火エンジン、さらには、化学量論的に(stoichiometrically)作動されるポジティブ点火エンジンだけでなく、希薄燃焼(リーンバーン:lean−burn)のポジティブ点火エンジンに由来する、微粒子状物質を処理するのに使用されるフィルタに関する。
【0002】
前記ポジティブ点火エンジンは、スパーク点火によって炭化水素と空気混合物の燃焼を発生させる。これとは対照的に、圧縮点火エンジンは、圧縮された空気内に炭化水素を噴射することによって炭化水素の燃焼を発生させる。前記ポジティブ点火エンジンは、ガソリン燃料、メタノールおよび/またはエタノールを含む酸素添加物(oxygenates)と混合されたガソリン燃料、液化石油ガス、または圧縮天然ガスを燃料とすることができる。
【0003】
環境における微粒子状物質は、ほとんどの学者達によって空気動力学的直径を基にして、次のカテゴリーに分類される(前記空気動力学的直径は、測定された粒子で同一設定速度の1g/cm密度の球形の直径として定義される)。
(i)PM−10:10μm未満の空気動力学的直径の粒子
(ii)2.5μm(PM−2.5)以下の直径を有する微細粒子
(iii)0.1μm(または100nm)以下の直径を有する超微細粒子
(iv)50nm未満の直径で特徴付けられるナノ粒子
【0004】
1990年中半以来、内燃機関から排出される粒子の粒子サイズ分布は、微細および超微細粒子の健康上の悪影響の可能性のため、注意が喚起されている。環境空気中の前記PM−10粒子の濃度は米国において法規制されている。前記PM−2.5に対する新しい、追加の環境空気品質基準が、人間の死亡率と2.5μm以下の微細粒子の濃度の密接な相関関係を指示する健康調査の結果として1997年に米国から導入された。
【0005】
現在、ディーゼルおよびガソリンエンジンによって発生するナノ粒子に関心が移されている。なぜなら、これらは、より大きいサイズの粒子より人間の肺内により深く貫通するものとされ、結果として、これらは、2.5ないし10.0μm範囲の粒子に対する調査結果から推定される、さらに大きい粒子より最も有害なものと判明される。
【0006】
ディーゼル粒子のサイズ分布は、粒子核と凝集メカニズム(agglomeration mechanism)に対応するよく確立されたバイモーダル(bimodal)特性を有しており、ここで、前記対応する粒子形態は、核モードおよび凝集モードとして各々言及される(図1参照)。図1から分かるように、前記核モードでは、ディーゼルPMは相当小さい質量を保有する数多い小さい粒子で構成される。ほとんど全てのディーゼル粒子は、1μm未満の相当小さいサイズとなっており、すなわち、これらは、1997年米国法下において規定された微粒子、超微粒子、およびナノ粒子の混合物を含んでいる。
【0007】
核モード粒子は、ほとんど揮発性凝集物(炭化水素、硫酸、硝酸など)で構成されたものと判明され、灰(ash)および炭素のような少量の固相物質を含んでいる。凝集モード粒子は、凝集物と吸着物質(重質炭化水素(heavy hydrocarbons)、硫黄種(sulfur species)、窒素酸化物誘導体など)と互いに混合される固体(炭素、金属性灰(ash)など)を含むこととみなされる。粗粒モードの粒子は、ディーゼル燃焼プロセスでは発生しないものとみなされ、エンジンシリンダー、排気システム、または特定のサンプリングシステムの壁から粒状物質の堆積およびその後発生する再飛散(re−entrainment)のようなメカニズムを介して形成されることができる。これらのモードの間の関係は図1に示される。
【0008】
核粒子の組成は、エンジンの作動状態、周囲環境(特に、温度および湿度)、希釈およびサンプリングシステムの状態によって変化され得る。実験室における研究と理論は、ほとんどの核モード形成および成長が小さい希釈比範囲で発生するということが理解される。前記範囲において、重質炭化水素および硫酸のような揮発性粒子前駆体のガス対粒子変換は、前記核モードの同時的な核生成および成長と、凝集モードで存在する粒子に吸着される。実験室での試験(例えば、SAE 980525およびSAE 2001−01−0201参照)は、空気希釈温度が減少するにしたがって核モード形成が相当増加するが、湿度が影響を及ぶかについては、矛盾する証拠があるということを表している。
【0009】
一般に、低い温度、低い希釈比、高い湿度および長い残留時間は、ナノ粒子の形成および成長を助ける。研究は、ナノ粒子が非常に高い荷重のみで固形粉の証拠として重質炭化水素と硫酸のように主に揮発性物質で構成するということを表している。
【0010】
これとは対照的に、正常状態の作動ではガソリン粒子のエンジン外サイズ分布は、約60ないし80nmのピークを有するユニモーダル(unimodal)分布を表している(例えば、SAE 1999−01−3530で図4参照)。ディーゼルサイズ分布と比較してみると、ガソリン微粒子状物質(PM)は無視できる凝集および粗粒モードで主に超微粒子状物質である。
【0011】
ディーゼル粒子フィルタでディーゼル粒子の集塵は、多孔性隔膜(porous barrier:ポーラスバリアー)を使用して気相からガスを媒介とする粒子(gas−borne particles)を分離する原理を基礎とする。ディーゼルフィルタは、深層透過フィルタおよび/または表面型フィルタで規定され得る。前記深層透過フィルタにおいて、フィルタ媒体の平均孔径すなわちポアサイズ(pore size)は集塵された粒子の平均直径よりさらに大きい。前記粒子は、拡散沈着(ブラウン運動)、慣性沈着(固着)、および流れライン遮断(ブラウン運動および慣性)を含む深層集塵メカニズムの組み合わせによって前記媒体上に沈着される。
【0012】
表面型フィルタにおいては、前記フィルタ媒体の孔径すなわちポアサイズは、前記微粒子状物質(PM)の直径以下であり、したがって、前記微粒子状物質(PM)は、ふるい分け(sieving)によって分離される。分離が前記集塵されたディーゼル粒子自体の蓄積によってなされ、前記蓄積物は、「集塵ケーキ」と呼ばれ、その工程は「ケーキ集塵」と呼ばれる。
【0013】
セラミックウォールフロー単一体のようなディーゼル粒子フィルタは、深層および表面の集塵の組み合わせによって作動することができ:集塵ケーキは、深層集塵容量が飽和されるときにより、高い煤煙荷重(soot loads)に成長し、粒子層は、集塵面を覆い始めるものとみなされている。深層集塵は、ケーキ集塵より多少、より低い集塵容量とより低い圧力降下で特徴付けられる。
【0014】
WO 03/011437は、排ガスから微粒子状物質(PM)をトラップ(trap)するための手段と、前記排ガスで二酸化炭素および/または水によって、前記微粒子状物質(PM)の酸化を触媒化するための触媒を含む排気システムを備えたガソリンエンジンを開示しており、ここで、前記触媒は、担持されたアルカリ金属を含んでいる。前記微粒子状物質(PM)をトラップするための手段は、10ないし100nmの粒子範囲にある微粒子状物質(PM)をトラップするのに適切であり、触媒でコーティングされたコーディエライト(cordierite)および触媒を担持した金属酸化物フォーム(foam)のような適切な多孔サイズのセラミック材質で製造されたウォールフローフィルタ;ワイヤーメッシュ(wire mesh);ディーゼルに適用するように設計されたディーゼルウォールフローフィルタと、電気泳動的なトラップ;または、熱泳動的なトラップになることができる(例えば、GB−A−2350804参照)。
【0015】
また、WO 2008/136232号は、多孔性セル壁(ウォール)基材で構成され、その内部流れ側のみで、またはその内部流れ側およびその外部流れ側に設置されるセル壁と、表面層を備えるハニカムフィルタを開示しており、ここで、次のような要求条件(1)ないし(5)を満たすのがディーゼル粒子フィルタとして使用される。(1)前記表面層のピーク孔径すなわちポアサイズは、前記セル壁基材の平均孔径すなわちポアサイズと同一であるか、またはさらに小さく、前記表面層の多孔率は、前記セル壁基材の多孔率よりさらに大きく;(2)前記表面層に対して、前記ピーク孔径すなわちポアサイズは0.3ないし20μm以下であり、その多孔率は60%以上95%未満(水銀注入法によって測定される)であり;(3)前記表面層の厚さ(L1)は、前記セル壁の厚さ(L2)の0.5以上30%未満であり;(4)前記集塵面積当たりの表面層の質量は0.01以上6mg/cm未満であり;(5)前記セル壁基材に対し、前記平均孔径すなわちポアサイズは10以上60μm未満であり、その多孔率は40%以上65%未満である(また、SAE論文2009−01−0292参照)。
【0016】
ガス相からガソリン微粒子状物質(PM)を分離するために、本技術分野で提案された他の技術は、渦流回復(ベルテックス リカバリー:vertex recovery)を含む。
【0017】
2014年9月1日から施行されるヨーロッパの排ガス法(ユーロ6)は、ディーゼルおよびガソリン(ポジティブ点火)乗客車両の両方から排出される粒子の数に対する制御を求めている。EUのガソリン軽量用車両に対しては、その許容可能な限界は次のとおりである。一酸化炭素は1000mg/kmであり;窒素酸化物(NO)は60mg/kmであり;全炭化水素は100mg/km(ここで、68mg/km未満は非メタン炭化水素);微粒子状物質(PM)は4.5mg/km(微粒子状物質(PM)は直接噴射エンジンのみに対して適用される)である。当局は、ユーロ6の微粒子状物質数に対する基準をまだ定めていないが、それは、km当たり6.0×1011に定められることと広く知られている。本発明は、前記数が将来適用される仮定下でなされる。
【0018】
米国では、類似した排出基準が定められていない。しかし、近年、カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)は、「準備討論書−基準汚染物質に対するカリフォルニア低排出車両(LEV)に対する改正−LEV III(公表日:2010年2月8日)」という題名の刊行文書を発行した。ここで、2ないし4mg微粒子状物質(PM)/mile(1.25ないし2.50mg PM/km(現在、10mg PM/mile(6.25mg PM/km)))の新しい微粒子状物質(PM)基準が提案され、前記刊行文書は、「職員は、3mg PM/mile(1.88mg PM/km)の基準は微粒子状物質フィルタの使用を要求されず、ガソリン直接噴射エンジンを満たすことができるということを提案する多数の製造業者達から情報を受けた」というコメントをしている。また、前記刊行文書は、前記微粒子状物質(PM)質量と排出量カウントは互いに関連があると言及している。すなわち、「必須の数の基準がこのときには考慮されていなくても、約1012粒子/mile[6.2511粒子/km]の選択的な微粒子状物質(PM)数基準は考慮されている(これは、微粒子状物質(PM)質量基準の代わりに、製造業者達によって選択され得る)」と言及している。しかし、前記微粒子状物質(PM)基準または前記微粒子状物質(PM)数基準は、CARBによって、まだ規定されていないため、粒子集塵が一般的にカリフォルニア州または米国車両市長に必要になるか否かについてはそれらを巡ってあまりにも早く出ていて分かっていない。それにもかかわらず、いくつかの車両製造業者達は、窮極的に規定されるある基準を満たすために、選択されたどのようなポジティブ点火エンジン設計の選択にも安全余裕を提供するためにフィルタを選択する可能性がある。
【0019】
新しいEuro6排出基準は、ガソリン排出基準を満たすための多数の挑戦的な設計上の問題点などを表している。特に、窒素酸化物(NO)、一酸化炭素(CO)、および未燃焼炭化水素(HC)のうち1つ以上のようなノン(non)−PM汚染物に対する排出基準を満たすときにも、全て受け入れ可能な背圧、すなわち、EU駆動サイクルの背圧サイクルで最大に測定されるものであるときに、ガソリン(ポジティブ点火)微粒子状物質(PM)排出の数を減少させるために、フィルタまたはフィルタを備える排気システムをどのように設計するのかに対して表している。
【0020】
同等のフロースルー触媒に対するEuro6PM数の標準を満たすために、三元触媒式粒子フィルタに対する最小粒子減少は50%以上(≧50%)であることと仮定する。また、同等のフロースルー触媒に対する三元触媒式ウォールフロー増加に対するある程度の背圧増加は避けられないが、私たちの経験上では、主に、乗客車両用のMVEG−Bドライブサイクル(「フレッシュ」から3回のテストに対する平均)に対するピーク背圧は200mbarより小さく制限されなければならない(<200mbar )。たとえば180mbarより小さい(<180mbar )、150mbarより小さい(<150mbar )、そして、好ましくは120mbarより小さい(<120mbar )、すなわち、100mbarより小さく(<100mbar )制限されなければならない。
【0021】
ポジティブ点火エンジンによって発生する微粒子状物質(PM)は、ディーゼル(圧縮点火)エンジンによって発生する無視しても良い凝集および粗粒モードと比較するとき、相当高い比率の超微細な粒子を有し、これは、大気に対する排出を防止するために、ポジティブ点火エンジン排ガスからこれを除去するための開発を提示する。特に、ポジティブ点火エンジンから発生するほとんどの微粒子状物質(PM)は、ディーゼル微粒子状物質(PM)に対するサイズ分布と比較するときに相当小さく、ポジティブ点火表面型ケーキ集塵を促進するフィルタ基材を使用するのは実質的に不可能である。なぜなら、求められる比較的小さい平均ポアサイズのフィルタ基材は、システムで非実用的な高い背圧を発生させる。
【0022】
また、一般的に、関連した排出基準を満たすために、ポジティブ点火エンジンから微粒子状物質(PM)の表面型集塵を促進させるようにディーゼル微粒子状物質(PM)用として設計された従来のウォールフローフィルタを使用することは可能でない。なぜなら、一般的に、ポジティブ点火排ガスでは微粒子状物質(PM)がより小さく、したがって、煤煙ケーキ(soot cake)の形成はほとんど発生せず、ポジティブ点火排ガス温度は一般的に高く、これは、酸化によるより速い微粒子状物質(PM)の除去を導き、ケーキ集塵により増加された微粒子状物質(PM)除去を防止する。従来のディーゼルウォールフローフィルタでポジティブ点火微粒子状物質(PM)の深層集塵も難しいが、なぜなら、前記微粒子状物質(PM)は、フィルタ媒体のポアサイズより相当小さいためである。ここで、正常作動時に、従来のコーティングされていないディーゼルウォールフローフィルタは、圧縮点火エンジンよりポジティブ点火エンジンに使用されるときにより低い集塵効率を有することになる。
【0023】
他の難しい点は、例えば、受け入れ可能な背圧でノン−PM汚染物に対する排出基準を満たすための触媒のウォッシュコート(washcoat)荷重を有する結合集塵効率である。今日、通常常用される車両においてディーゼルウォールフロー粒子フィルタは約13μmの平均ポアサイズを有する。しかし、私たちは、求められるガソリン(ポジティブ点火)排出基準を成就するために、米国2006/0133969に記載されたもののような、十分な触媒荷重でこのような形態のフィルタをウォッシュコーティングすることは受け入れ難い不可能な背圧を発生させ得るということが分かった。
【0024】
このようなフィルタ背圧を減少させるために、前記基材の長さを減少させることが可能である。しかし、前記フィルタの長さが減少するにしたがって背圧が増加するものの、下限値が存在する。本発明に係るフィルタの適切な長さは2ないし12インチ長さ、好ましくは3ないし6インチ長さである。断面積は円形になり得るし、開発作業において、4.66および5.66インチ直径のフィルタを使用した。しかし、断面積もフィルタが装着される車両の空間によって指定されることができる。それで、いわゆる閉塞結合位置(close coupled position)、例えば、空間が重要な場所にあるエンジン排気マニホールドの50cm以内に位置するフィルタのために、楕円形または卵形フィルタ断面積が意図され得る。予想されるように、背圧も前記ウォッシュコート荷重と煤煙(soot)荷重によって増加される。
【0025】
三元触媒と前記Euro6排気基準を満たすためのフィルタを結合させるために、最近には数多くの努力が行われている。
【0026】
US 2009/0193796は、粒子トラップ上にコーティングされる三元転換触媒を開示している。その実施形態は、2個のコーティング、すなわち、入口コーティングおよび出口コーティングを使用して準備される触媒材料を備える煤煙フィルタを開示している。使用される煤煙フィルタ基材の平均ポアサイズは言及されていない。前記入口コーティングは、0.17g in−3の全体荷重でアルミナ、酸素貯蔵成分(OSC)、ロジウム(rhodium)の全てを含んでおり;前記出口コーティングは、0.42g in−3の全体荷重でアルミナ、OSC、およびパラジウム(palladium)の全てを含んでいる。しかし、0.5g in−3より小さい三元触媒ウォッシュコート(washcoat)荷重を与えると不十分な三元活性を提供し、排出基準のみを満たすと考えられる。すなわち、前記フィルタは、フロースルー基材単一体を含む三元触媒の下流位置のシステムに包含されるために設計されるものと見られる。
【0027】
WO 2009/043390は、フィルタ要素と2個の層で構成された触媒活性コーティングを含む触媒活性粒子のフィルタを開示している。第1層は吸入排ガスと接触することに対し、第2層は排出排ガスと接触する。2個の層はアルミニウム酸化物を含んでいる。前記第1層はパラジウムを含み、前記第2層はロジウムに加えて、酸素が蓄積された混合セリウム/ジルコニウム酸化物を含む。その実施形態において、不特定の平均ポアサイズのウォールフローフィルタ基材は、約31g/lの荷重の第1層と約30g/lの荷重の第2層にコーティングされる。すなわち、前記ウォッシュコート荷重は1.00g in−3未満である。ほとんどの車両に対する適用において、前記コーティングされたフィルタは、単独で前記求められる排出基準を満足させることができない。
【0028】
非常に驚くべきことに、私たちは今、ディーゼルエンジンに適用するために採択された粒子フィルタのような比較的多孔性の粒子フィルタを採択して、例えば、受け入れ可能な圧力降下および背圧で超微細なポジティブ点火微粒子状物質(PM)をトラップするために使用され得るということを見出した。特に、本発明者達は、フィルタ基材の多孔性構造に前記微粒子状物質(PM)の接近を妨害するウォッシュコートは、前記ポジティブ点火エンジンから派生する微粒子状物質(PM)のケーキ集塵が増進されたり向上する程度まで深層集塵を実質的に犠牲し、表面集塵を有利に増進させることができるということを判断した。
【0029】
上記で言及したように、ポジティブ点火微粒子状物質(PM)は、ディーゼル微粒子状物質(PM)より低い温度の酸素で燃焼される。現在、調査は連続されているが、本発明は、酸素で燃焼するために、ポジティブ点火微粒子状物質(PM)をトラップする手段を提供することにより前記観察を使用するようにする。
【0030】
一態様にしたがって、本発明は、ポジティブ点火エンジン、例えば、化学量論的に作動されるポジティブ点火エンジンまたはリーン−バーンのポジティブ点火エンジンのような車両のポジティブ点火エンジンのようなエンジンから排出される排ガスから微粒子状物質(PM)を集塵するためのフィルタにおいて、前記フィルタは、入口面と出口面を有する多孔性基材を備え、前記入口面は、第1平均ポアサイズのポア、例えば、表面ポアを含む多孔性構造によって、前記出口面から分離され、前記多孔性基材は、多数の固相粒子を含むウォッシュコートでコーティングされ、前記ウォッシュコーティングされた多孔性基材の多孔性構造は、第2平均ポアサイズのポアを含み、前記第2平均ポアサイズは、前記第1平均ポアサイズ未満であることを特徴とする。
【0031】
前記態様にしたがって、本発明は 受け入れ可能な背圧においてポジティブ点火エンジン粒子数の排出を30%より大きく(>30%)、 例えば50%より大きく(>50%)、80%より大きく(>80%)、または90%(>90%)減少させることができる。
【0032】
平均ポアサイズは、水銀多孔度によって決定されることができる。
【0033】
本発明の利点は、基材の多孔率に実質的に関係ないということが理解できるであろう。多孔率は、多孔性基材で空隙空間のパーセント測定値であり、排気システムで背圧、一般的に、より低い多孔率とより高い背圧とに関連する。しかし、本発明に使用するためのフィルタの多孔率は、通常40%より大きく(>40%)、または50%より大きい%(>50%)、45ないし75%、例えば50ないし65%または55ないし60%の多孔率が有利に使用され得る。ウォッシュコーティングされた多孔性基材の平均ポアサイズは、集塵をするためには重要である。すなわち、平均ポアサイズが比較的大きいため、粗粒フィルタである比較的高い多孔率の多孔性基材を備えることが可能である。
【0034】
前記多孔性基材は、セラミックウォールフローフィルタ、金属フィルタ、またはセラミックフォームであり得る。
前記多孔性基材は、焼結金属のような金属、または例えば、炭化ケイ素のようなセラミック、コーディエライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、チタン酸アルミニウム、アルミナ、コーディエライト、ムライト(mullite)、例えば、針状ムライト(例えば、WO 01/16050参照)、ポルサイト(pollucite)、AlZFe、Al/Ni 又は BCZFeのようなサーメット(thermet)、またはこれらのうちのいずれか2個以上のセグメントを含む合成物になり得る。好ましい実施形態において、前記フィルタは、多数の入口チャネルと多数の出口チャネルを備えるセラミック多孔性フィルタ基材を備えるウォールフローフィルタであり、ここで、各入口チャネルおよび各出口チャネルは、多孔性構造のセラミック壁によって部分的に形成され、各入口チャネルは、多孔性構造のセラミック壁によって出口チャネルから分離される。また、前記フィルタ装置は、SAE 810114に開示されており、付加の詳細は前記書類を参照することができる。代案的に、前記フィルタは、フォーム(foam)、またはEP 1057519、もしくはWO 01/080978に記載のような、いわゆる部分フィルタ(partial filter)になり得る。
【0035】
通常、ディーゼルに適用するためのウォールフローフィルタにコーティングをする理由は本発明のその理由と異なる。ディーゼル適用では、ウォッシュコートは、フィルタ基材に対する触媒成分、例えば、NOないしNOを酸化するための触媒を導入するために使用されるが、重要な問題は、煤煙が蓄積されるときに背圧の問題点を避けることである。したがって、所望の触媒活性と受け入れ可能な背圧との間には均衡が取れていなければならない。これとは対照的に、本発明で使用するために、多孔性基材をウォッシュコートする主な動機要因は、所望の集塵効率と触媒活性との両方を成就するためである。
【0036】
一実施形態において、前記第1平均ポアサイズ、すなわち、多孔性フィルタ基材の多孔性構造で表面ポアのサイズは、8ないし45μm、例えば、8ないし25μm、10ないし20μm、または10ないし15μmである。特定の実施形態において、前記第1平均ポアサイズは15ないし45μm、20ないし45μm、例えば、20ないし30μm、または25ないし45μmのように18μm(>18μm )よい大きい。
【0037】
実施形態において、前記フィルタは、0.5g in−3より大きい(>0.5g in−3)、または0.80g in−3以上(≧0.80g in−3))、例えば、、0.80 ないし 3.00g in−3のように0.25g in−3より大きいウォッシュコート荷重を有する。好ましい実施形態において、前記ウォッシュコート荷重は1.2g in−3より大きい(≧1.2g in−3)、1.5g in−3より大きい(>1.5g in−3)、1.6g in−3より大きい(>1.6g in−3)、または2.0g in−3より大きい(>2.0g in−3)、または例えば、1.6ないし2.4g in−3のように1.0g in−3より大きい(>1.0g in−3)。前記フィルタ平均ポアサイズとウォッシュコート荷重との特定組み合わせは、受け入れ可能な背圧で粒子集塵と触媒活性の望ましいレベルを組み合わせる。
【0038】
第1の好ましい実施形態において、前記フィルタは、表面ウォッシュコートを含み、前記ウォッシュコート層は、多孔性構造の表面ポアを実質的に覆い、前記ウォッシュコーティングされた多孔性基材のポアは、前記ウォッシュコートで粒子間の空間(粒子間ポア)によって部分的に限定される。したがって、実質的にどのようなウォッシュコートも前記多孔性基材の多孔性構造内に入らない。表面コーティングされた多孔性フィルタ基材の製造方法は、ポリマー(polymer)、すなわち、ポリビニルアルコール(poly vinyl alcohol(PVA)を多孔性基材に導入するステップと、前記ポリマーを含む多孔性フィルタ基材にウォッシュコートを適用して乾燥するステップと、前記ポリマーを燃焼させるために、前記コーティングされた基材を焼成(calcining)するステップとを含む。第1実施形態の概略図は、図2Aに示される。
【0039】
多孔性フィルタをコーティングする方法は、当業者で公知されており、制限なく、WO 99/47260に開示された方法、すなわち、単一支持体をコーティングするための方法を含む。ここで、前記方法は、(a)支持体の上部に封じ込め手段を配置するステップと、(b)前記封じ込め手段内に所定量の液体成分を投与するステップと、ここでは、前記(a)の次に(b)、または(b)の次に(a)の順にすることができ、(c)圧力または真空を付与し、前記支持体の少なくとも一部内に液体成分を注いで、前記支持体内に実質的に全ての量を保有するステップを含む。前記プロセスステップは、選択的な燃焼/焼成ステップで前記第1コーティングの乾燥をした後、前記単一体の他の端部から繰り返されることができる。
【0040】
第1実施形態において、前記多孔性ウォッシュコートの平均粒子間ポアサイズは0.1ないし1.0μmのような5.0nmないし5.0μmである。
【0041】
第1の表面コーティングの実施形態において、D90の固相ウォッシュコート粒子は、前記多孔性フィルタ基材の平均ポアサイズよりさらに大きいこともあり、15ないし30μmまたは12ないし25μmのような10ないし40μmの範囲になり得る。本願で使用される「D90」とは、存在する90%の粒子が規定された範囲内の直径を有するウォッシュコートで粒子サイズ分布を規定する。代案的に、実施形態において、前記固相ウォッシュコート粒子の平均サイズは1ないし20μmの範囲である。ウォッシュコートで粒子サイズの範囲が広くなればなるほど、ウォッシュコートは、前記多孔性基材の多孔性構造内により容易に入ることができるということが理解できるであろう。したがって、前記記載された「実質的にどのようなウォッシュコートも前記基材の多孔性構造内に入らない」ということは、前記意味にしたがって解釈されなければならない。
【0042】
第2実施形態にしたがって、前記ウォッシュコートは入口および/または出口の表面上にコーティングされることができ、また、前記多孔性基材の多孔性構造内にコーティングされることができる。表面コーティングは、前記入口および/または出口の表面でポア開口周囲にあり、したがって、例えば、ベア(bare)フィルタ基材の表面ポアサイズを狭め、前記ポア体積を実質的に制限せず、微粒子状物質(PM)を含む気相の相互作用を促進させることにより、背圧の相当な増加を発生させない。すなわち、前記多孔性構造の表面のポアは、ポア開口を含み、前記ウォッシュコートは、実質的に全てのポア開口の狭めを発生させる。第2実施形態の概略図は、図2Bに示される。
【0043】
前記第2実施形態に係るフィルタを製造する方法は、当業者に公知されたウォッシュコートの適切な形成を含むことができ、前記ウォッシュコートの適切な形成は、多孔性基材のコーティング以後に、粘度、表面湿度特性、および適切な真空の適用を調整するステップを含む(また、WO 99/47260参照)。
【0044】
前記第1および第2実施形態において、前記ウォッシュコートの少なくとも一部分は、多孔性基材の入口および/または出口の表面上にコーティングされ、前記ウォッシュコートは、内部表面上、前記外部表面上、または前記内部および外部表面の両方にコーティングされることができる。代案的に、前記入口および出口表面の少なくとも1つまたは両方は、多数のウォッシュコート層を含むことができ、前記多数の層内の各ウォッシュコート層は同一であるか、または互いに異なることもあり、すなわち、第1層で平均ポアサイズは、第2層の平均ポアサイズと異なることがある。実施形態において、出口表面上にコーティングするためのウォッシュコートは、入口表面をコーティングするためのウォッシュコートと必ずしも同一ではない。
【0045】
前記入口および出口表面がコーティングされる所では、前記ウォッシュコート形成が同一であるか、または互いに異なることがある。前記入口および出口表面がウォッシュコーティングされる所では、前記入口表面のウォッシュコートの平均ポアサイズは、前記出口表面上のウォッシュコートの平均ポアサイズとは異なることがある。例えば、前記入口表面上のウォッシュコートの平均ポアサイズは、前記出口表面上のウォッシュコートの平均ポアサイズ未満でありうる。後者の場合に、前記出口表面上のウォッシュコートの平均ポアサイズは、前記多孔性基材の平均ポアサイズよりさらに大きいこともある。
【0046】
前記多孔性基材の平均ポアサイズより前記入口表面のウォッシュコートの平均ポアサイズをさらに大きく適用させることが可能であることにより、どのような燃焼灰または破片も前記多孔性基材から入ることを防止するか、または減少させるために、前記入口表面上のウォッシュコートの多孔性基材よりさらに小さいポアを有するウォッシュコートを備えることができるという長所がある。
【0047】
第3実施形態にしたがって、前記ウォッシュコートは実質的に、その透過部、すなわち、前記多孔性基材の多孔性構造内に位置する。第3実施形態の概略図は、図2Cに示される。前記第3実施形態に係るフィルタの製造方法は、当業者に公知されたウォッシュコートの適切な形成を含むが、前記形成は、粘度調整、低い湿度特性の選択、および前記多孔性基材のウォッシュコートに続いて、適切な真空の適用を含む(また、WO 99/47260参照)。代案的に、前記多孔性基材は、適切な塩溶液に浸漬され、その結果物が乾燥され焼成されてよい。
【0048】
EP 1663458はSCRフィルタを開示しており、ここで、前記フィルタはウォールフロー単一体であり、SCR触媒合成物は前記ウォールフロー単一体の壁を浸透する。前記文献は、一般的に前記ウォールフローフィルタの壁がその壁上にまたはその壁内に(すなわち、2つではない)1つ以上の触媒剤を含むことができるということを開示している。前記開示内容にしたがって、前記ウォールフロー単一体基材上の触媒スラリの拡散を記載するために使用される「浸透」とは、前記触媒合成物が前記基材の壁を介して拡散されることを意味する。
【0049】
第2および第3実施形態において、前記ウォッシュコートの少なくとも一部分は多孔性構造であり、固相ウォッシュコート粒子のサイズ、例えば、平均サイズは、前記多孔性基材の平均ポアサイズ未満になり得るし、例えば、1ないし18μm、1ないし16μm、2ないし15μm、または3ないし12μmのように0.1ないし20μm範囲のサイズになり得る。特定実施形態において、前記固相ウォッシュコート粒子の上述されたサイズは、平均サイズの代りにD90である。
【0050】
付加の特定実施形態において、前記ウォッシュコートの表面多孔率は、その中の空隙を含むことにより増加する。このような特徴を有する排ガス触媒は、例えば、本出願人のWO 2006/040842およびWO 2007/116881号に開示されている。
【0051】
ここで、前記ウォッシュコート層の「空隙」によって、私たちは固相ウォッシュコート材により形成された層に空間が存在するということが分かった。
空隙は、ある間隙、微細ポア、トンネル形状(シリンダー型、プリズム型、コラム型)、スリットなどを含むことができ、前記フィルタ基材上のコーティング用ウォッシュコート合成物でコーティングされたフィルタ基材の焼成の間に燃焼される材料、例えば、分解または燃焼時にガス形成によって製造されるポアを促進させるための細断綿布(chopped cotton)または切断材料である材料を含むことにより、前記空隙が形成されることができる。空隙が存在する所で、空隙は互いに異なり、したがって、多孔性ウォッシュコートの平均粒子間ポアサイズの決定に対して考慮すべきである。
【0052】
前記ウォッシュコートの平均空隙率は5ないし80%になり得るし、それに対し、前記空隙の平均直径は、10ないし250μmのような0.2ないし500μmになり得る。
【0053】
本発明のフィルタに使用するためのウォッシュコートは、好ましくは触媒ウォッシュコートであり、実施形態のうち、炭化水素トラップ、三元触媒(TWV)、NO吸収剤、酸化触媒、選択的な触媒還元(SCR)の触媒剤、リーンNO触媒、およびこれらの2個以上の組み合わせで構成されるグループから選択される。例えば、好ましい実施形態において、入口表面は、TWCウォッシュコートまたはNO吸収剤合成物でコーティングされ、出口表面は、SCRウォッシュコートでコーティングされる。前記構成において、例えば、前記NO吸収剤のNO吸収能力を再生するためのエンジンの断続的にリーチ(rich)な駆動は、前記出口表面でSCR触媒のNOを減少させるのに使用するために、TWCまたはNO吸収剤上にアンモニアを発生させることができる。これと類似して、酸化触媒は、炭化水素トラップの機能性を含むことができる。一実施形態において、前記入口表面は、SCR触媒でコーティングされない。
【0054】
TWC、NO吸収剤、酸化触媒、炭化水素トラップ、およびリーンNO触媒のような触媒ウォッシュコートは、1つ以上のプラチナ(platinum)グループ金属、特に、プラチナ、パラジウム(palladium)、およびロジウム(rhodium)で構成されたグループから選択されたものを含むことができる。
【0055】
前記TWCは、次のような3つの同時的な作用を促進するものである。(i)二酸化炭素に対する一酸化炭素の酸化、(ii)二酸化炭素および水に対する未燃焼炭化水素の酸化、および(iii)窒素と酸素に対する窒素酸化物の還元。
これら3つの反応は、前記TWCが化学量論的な点でまたはその周囲で駆動されるエンジンから排ガスを受け入れるときに最も効果的に作用する。本技術分野でよく公知されたように、ガソリン燃料がポジティブ点火(すなわち、スパーク点火)、内燃機関で燃焼されるときに排出される一酸化炭素(CO)、未燃焼炭化水素(HC)、および窒素酸化物(NO)の量は、燃焼シリンダーで空気燃料混合比によって主に影響を受ける。化学量論的に均衡の取れた組成を有した排ガスは、酸化ガス(NOおよびO)と還元ガス(HCおよびCO)の濃度が実質的にマッチされているものである。前記化学量論的に均衡の取れた排ガス組成を発生させる空気燃料混合比(空燃比)は、通常14.7:1に与えられる。
【0056】
理論的に、CO、H0、Nに対する化学量論的に均衡の取れた排ガス組成において、O、NO、CO、およびHCの完全な変換を成就することが可能でなければならず、これが、三元触媒のデューティー(duty)である。したがって、理想的に、前記エンジンは、燃焼混合物の空気燃料混合比が化学量論的に均衡の取れた排ガス組成を発生させるように作動されなければならない。
【0057】
前記排ガスの酸化ガスと還元ガス上の組成的な均衡を規定する1つの方法が排ガスのラムダ(λ)値であり、これは、次の式(1)によって規定されることができる。
【0058】
実質的な空気燃料混合比/化学量論的なエンジンの空気燃料混合比(式1)
ここで、ラムダ値1は、化学量論的に均衡の取れた(または化学量論的な)排ガス組成を表し、また、1より大きい(>1)ラムダ値は、OおよびNOの超過を表し、その組成は「リーン(lean)」と表示され、<1より大きい(>1)ラムダ値は、HCとCOの超過を表し、その組成は「リーチ(rich)」と表示される。また、前記エンジンが作動するとき、空気燃料混合比を前記空気燃料混合比が発生する排ガス組成によって「化学量論的に」「リーン」または「リーチ」に、すなわち、化学量論的に作動されるガソリンエンジンまたはリーン−バーンガソリンエンジンとして言及するのは、本技術分野において通常的である。
【0059】
TWCを使用するNOないしNの還元は、前記排ガス組成が化学量論的にリーンであるときに効果が弱いということを理解すべきである。同様に、排ガス組成がリーチであるときにTWCは、COおよびHCをより少なく酸化させることができる。
したがって、挑戦は、できるだけ化学量論的な組成に近いところで前記TWC内に流入される排ガスの組成を維持するのである。
【0060】
もちろん、前記エンジンが正常状態のとき、前記空気燃料混合比を化学量論的に保障することが比較的易い。しかし、エンジンが車両を推進するときに求められる燃料量は、運転によってエンジン上に位置する荷重要求に応じて一時的に変わることになる。このような点は、空気燃料混合比を制御させることにより、化学量論的な排ガスは特に難しい三元転換時に発生する。実質的に、前記空気燃料混合比がエンジン制御ユニットによって制御され、前記エンジン制御ユニットは、排ガス酸素(EGO)(またはlambda)センサ、いわゆる、閉鎖ループフィードバックシステムから排ガス組成に関する情報を受信する。このようなシステムの特徴は、前記空気燃料混合比が若干リーチな化学量論的(または制御設定)であるという点と、若干リーンの間で揺動(または動揺)するという点であるが、なぜなら、空気燃料混合比を調整することと関連して、タイムラグ(time lag)があるためである。このような動揺は、前記空気燃料混合比の振幅と共振周波数(Hz)によって特徴付けられる。
【0061】
典型的なTWCにおいて活性成分は、高い表面積の酸化物上で支持されるプラチナ及びパラジウムのうちの1もしくは両方と組み合わせられたロジウムまたは単にパラジウムのみ(ロジウムはない)および酸素含有成分を含む。
【0062】
前記排ガス組成が設定点で若干リーチするとき、反応していないCOおよびHCを消費するために、すなわち、より化学量論的な反応を作るために、小さい量の酸素が求められる。これとは反対に、前記排ガスが若干リーンするとき、超過される酸素は消費されることが求められる。このような点は、動揺の間に酸素を遊離したり、または吸収する酸素貯蔵成分の向上によって成就される。現在のTWCにおいて最も通常的に使用される酸素貯蔵成分(OSC)は、酸化セリウム(CeO)またはセリウムを含む混合酸化物、例えば、Ce/Zr混合酸化物である。
【0063】
No吸収触媒(NACs)は例えば、米国特許第5,473,887号に記載されており、この触媒は、リーン排ガス(lambda>1)から窒素酸化物(NO)を吸収し、また前記排ガスの酸素濃度が減少するとき、NOを除去できるように設計される。除去されたNOは、NAC自体のロジウムのような触媒成分によって促進されるか、またはNACの下流に位置する適切な還元剤によって、例えば、ガソリン燃料がNによって還元されることができる。実質的に、酸素濃度の制御は、前記NACの計算された残留NO吸着能力に対して断続的に所望の酸化還元組成で、例えば、正常エンジン駆動作動よりさらにリーチに(しかし、化学量論的またはlambda=1の組成よりは依然としてリーンする)、または化学量論的に、または化学量論的にリーチに(lambda<1)調整され得る。前記酸素濃度は、多数の手段、例えば、スロットリング(throttling)、排気行政の間のようにエンジンシリンダー内に付加の炭化水素燃料を注入すること、またはエンジンマニホールドの下流の排ガス内に炭化水素燃料を直接噴射することによって調整され得る。
【0064】
通常的なNAC形成は、パラジウムのような触媒酸化成分、TWCにおいて促進剤のように促進剤として使用されるように求められることより実質的にさらに多いバリウムのようなNO貯蔵成分の相当量およびロジウムのような還元触媒を含む。前記形成のために、リーン排ガスからのNO貯蔵用として通常的に与えられる1つのメカニズムは、次のとおりである。
【0065】
NO+1/2O−>NO(式2)
【0066】
BaO+NO+1/2 O2−>Ba(NO(式3)
(式2)において、一酸化窒素は、NOを形成するために、プラチナ上の活性酸化のところで酸素と反応する。(式3)は、無機硝酸塩形態にある貯蔵物質による前記NOの吸着を含む。
【0067】
より低い酸素濃度および/または上昇された温度で、前記硝酸塩の種は熱力学的に不安定であり、したがって、分解されて下の(式4)にしたがってNOまたはNOを生成する。適切な還元剤が存在することにより、これら窒素酸化物は一酸化炭素、水素、および炭化水素によってNに連続的に還元し、これは前記還元触媒上で発生することができる(式5参照)。
【0068】
Ba(NO−>BaO+2NO+3/2OまたはBa(NO−>BaO+2NO+1/2O(4)
【0069】
NO+CO−>1/2N+CO
(他の反応は、NH+NO−>N+yHOまたは2NH+2O+CO −>N+3HO+CO等に続いて、Ba(NO+8H−>BaO+2NH+5HOを含む)。
【0070】
前記反応式2ないし5、反応バリウム種は酸化物で与えられる。しかし、空気では、ほとんどのバリウムが炭酸塩または水酸化物の形態である。したがって、当業者は、酸化物と異なるバリウムの種と排気ストリームで触媒コーティングのシーケンス(sequence)のために、前記反応式を採択することができる。
【0071】
酸化触媒は、一酸化炭素を二酸化炭素への酸化と、未燃焼炭化水素を二酸化炭素、そして二酸化炭素を水への酸化を促進する。通常的な酸化触媒は、高い表面積の支持上でプラチナおよび/またはパラジウムを含む。
【0072】
通常的に、炭化水素トラップは、モレキュラーシーブ(molecular sieves)を含み、例えば、プラチナもしくはプラチナまたはパラジウムの組み合わせのようなプラチナグループ金属と触媒化されることができる。
【0073】
SCR触媒は、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタン系元素、耐火酸化物上に支持されるFeのようなグループVIII転移金属のうち、少なくとも1つまたはモレキュラーシーブで構成されたグループから選択されることができる。適切な耐火酸化物は、Al、TiO、CeO、SiO、ZrO、およびこれらのうちの2個以上を含む混合酸化物を含む。また、ノン−ジオライト(non−zeolite)触媒は、酸化タングステン、例えば、V/WO/TiOを含むことができる。
【0074】
時として、炭化水素−SCR触媒、DeNO触媒、または非選択的な接触還元触媒と呼ばれるリーンNO触媒は、Pt/Al、Cu−、Pt−、Fe−、Co−またはIr−に代替されたZSM−5、H−ZSM−5、またはH−Yゼオライトのようなプロトン化ゼオライト、ペロブスカイト(perovskite)、およびAg/Alを含む。炭化水素(HC)による選択的な触媒還元(SCR)において、HCは、次の[式6]によって窒素、CO、および水を形成するためにOよりはNOと反応する。
【0075】
{HC}+NOX−>N+CO+HO [式6]
【0076】
酸素との競争力がある非選択的な反応は、[式7]によって与えられる。
【0077】
{HC}+O−>CO+HO[式7]
【0078】
したがって、好ましいHC−SCR触媒は、[式7]よりは[式6]においてさらに選択的になる。
【0079】
特定の実施形態において、ポジティブ点火微粒子状物質(PM)をトラップするために、前記ウォッシュコートは、アルミノシリケイトゼオライト(aluminosilicate zeolite)またはSAPOのような、少なくとも1つのモレキュラーシーブを含む。前記少なくとも1つのモレキュラーシーブは、例えば、小さい、中間、または大きいポアのモレキュラーシーブになり得る。ここで、「小さいポアのモレキュラーシーブ」は、CHAのような8の最大リングサイズを含むモレキュラーシーブを意味し、「中間ポアのモレキュラーシーブ」は、ここでZSM−5のような10の最大リングサイズを含むモレキュラーシーブを意味し、「大きいポアのモレキュラーシーブ」は、ここで、ベタ(beta)のような12の最大リングサイズを含むモレキュラーシーブを意味する。小さいポアのモレキュラーシーブは、SCR触媒に使用するのに潜在的な長所を有しており、例えば、WO 2008/132452を参照してほしい。
【0080】
本発明の適用において、特定のモレキュラーシーブは、AEI、ZSM−5、ZSM−20、ZSM−34を含むERI、モルデナイト(mordenite)、フェリエライト(ferrierite)、Betaを含むBEA、Y、CHA、Nu−3を含むLEV、MCM−22、およびEU−Iで構成されたグループから選択される。
【0081】
実施形態において、前記モレキュラーシーブは、周期律表でIB、HB、IIIA、IIIB、VB、VIB、VIBおよびVIIIグループで構成されたそのグループから選択される少なくとも1つの金属で非金属化または金属化されることができる。
金属化されるものにおいて、前記金属は、Cr、Co、Cu、Fe、Hf、La、Ce、In、V、Mn、Ni、Zn、Ga、および貴金属であるAg、Au、Pt、Pd、およびRhで構成されたグループから選択されることができる。このような金属化されたモレキュラーシーブは、還元剤を使用するポジティブ点火排ガスで窒素酸化物の還元を選択的に促進するためのプロセスに使用されることができる。ここで、「金属化」という意味は、前記モレキュラーシーブのフレームワーク(framework)内に合体される1つ以上の金属、例えば、Betaのフレームワーク内へのFe、CHAのフレームワーク内へのCuを含むモレキュラーシーブを含むものである。上述したように、前記還元剤が炭化水素である場合、前記プロセスは、時として「炭化水素の選択的な触媒還元(HC−SCR)」、「リーンNO触媒作用」、または「DeNO触媒作用」と呼ばれ、本出願の特定金属は、Cu、Pt、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ag、Ce、およびGaを含む。炭化水素還元剤は、エンジン維持技術、例えば、後期のポスト噴射(late post injection)または初期のポスト噴射(early post injection) (「アフターインジェクション(after injection)」と呼ばれる)によって排ガス内に導入されることができる。
【0082】
前記還元剤が窒素還元剤(いわゆる、「NH−SCR」と呼ばれる)である場合、特定目的のための金属は、Ce、Fe、およびCuで構成されたグループから選択される。適切な窒素還元剤は、アンモニアである。アンモニアは、前記フィルタの上流に位置するNACのリッチ再生の間に発生するか、またはエンジンから派生したリッチ排ガスとTWCを接触させることにより発生され得る(その代案として、[反応式4]および[反応式5]参照)。代案的に、前記窒素還元剤またはその前駆体は、前記排ガス内に直接噴射され得る。適切な前駆体は、アンモニウムホルマート(ammonium formate)、尿素、およびアンモニウムカーバメート(ammonium carbamate)を含む。アンモニアおよびその副産物の他に、その前駆体の分解は、熱水分解または触媒加水分解によってなされることができる。
【0083】
実質的な使用において、ディーゼルウォールフローフィルタのセル密度は、本願で使用されるウォールフローフィルタとは次のような点において互いに相違することができる。ディーゼルウォールフローフィルタのセル密度は、一般的に平方インチ当たり300cell in−2(cpsi)またはその未満、例えば、100または200cpsiになるので、比較的大きいディーゼル微粒子状物質(PM)成分は、ディーゼル粒子フィルタの固体前頭野に衝突せず、前記フィルタの入口チャネルに入ることができるので、ケーキング(caking)およびファウリング(fouling)が開口チャネル内に接近することに対し、本発明に使用されるウォールフローフィルタは、350cpsi、400cpsi、600cpsi、900cpsi、または1200cpsiのように、300cpsiまでまたはそれ以上になリ得る。
【0084】
より高いセル密度を使用する長所は、ディーゼル粒子フィルタより減少された断面積、例えば、減少された直径を有することができ、これは、車両の排気システムを位置させるための設計上の選択を増加させる有用かつ実質的な長所となる。
【0085】
付加の態様にしたがって、本発明は、ポジティブ点火エンジン用排気システムを提供し、このシステムは、本発明に係るフィルタを備える。本発明の前記態様に使用するためのポジティブ点火エンジンは、ガソリン燃料、メタノールおよび/またはエタノールを含む酸素化物と混合されるガソリン燃料、液化石油ガス、または圧縮天然ガスを燃料として使用することができる。
【0086】
一実施形態において、前記排気システムは、還元流体、例えば、炭化水素、または窒素還元剤、もしくはその前駆体を前記フィルタの排ガス上流内に注入するための手段を備える。特定実施形態において、前記還元流体は窒素化合物である。
【0087】
特定実施形態において、噴射器およびフィルタは共にTWCの下流に位置する。
【0088】
他の態様において、本発明は、本発明に係る排気システムを備えるポジティブ点火エンジンを提供し、また、前記ポジティブ点火エンジンを備える車両を提供する。好ましい実施形態において、前記ポジティブ点火エンジンは、直接噴射式のポジティブ点火エンジンである。
【0089】
付加の態様において、本発明は、深層集塵により、ポジティブ点火エンジンから排出される排ガスで微粒子状物質(PM)をトラップするための方法を提供し、前記方法は、前記微粒子状物質(PM)を含む排ガスと、入口表面および出口表面を有する多孔性基材を備えるフィルタを接触させるステップを含み、前記入口表面は、第1平均ポアサイズのポアを含む多孔性構造によって前記出口表面から分離され、前記多孔性基材は、多数の固相粒子を含むウォッシュコートでコーティングされ、前記ウォッシュコーティングされた多孔性基材の多孔性構造は、第2平均ポアサイズのポアを含み、前記第2平均ポアサイズは、前記第1平均ポアサイズ未満である。
【0090】
本発明をより明らかに理解できるように、添付した図面を参照して説明する。
【0091】
図1は、ディーゼル機関の排ガスで微粒子状物質(PM)のサイズ分布を示したグラフである。比較のために、ガソリンのサイズ分布は、SAE1999−01−3530の図4に示される。
【0092】
図2A〜2Cは、本発明に係るウォッシュコーティングされた多孔性フィルタ基材の3つの実施例の概略図である。
【0093】
図3は、多孔性フィルタ基材、多孔性ウォッシュコート層、および多孔性表面のウォッシュコート層を含む多孔性フィルタ基材のポアサイズ分布に関連した水銀多孔度の概略的なグラフであり、図4は、車両ガソリン排ガスの後処理システム(after treatment)に使用するためのコーティングされたウォールフローフィルタに適合性を指示するウォールフローフィルタ基材ポアサイズ対ウォッシュコート荷重のマトリックスを提示する表である。
【0094】
図2A図2Cは、表面ポア12を含む多孔性フィルタ基材10を介した断面図を示す。図2Aは、第1実施例を表し、前記第1実施例は、固相ウォッシュコート粒子で構成された多孔性表面ウォッシュコート層14を特徴とし、粒子間の空間がポア(粒子間ポア)を形成する。前記ウォッシュコート層14は、多孔性構造のポア12を実質的に覆い、前記粒子間ポア16の平均ポアサイズは、前記多孔性フィルタ基材10の平均ポアサイズ12未満である。
【0095】
図2Bは、入口表面16上に、そして付加的に前記多孔性基材10の多孔性基材12内にコーティングされるウォッシュコートを備える第2実施例を示す。前記ウォッシュコート層14は、表面ポア12のポア開口を狭めるようにし、したがって、前記コーティングされた多孔性基材の平均ポアサイズ18は、前記多孔性フィルタ基材10の平均ポアサイズ12未満である。
【0096】
図2Cは、前記ウォッシュコート14が多孔性基材10の実質的に多孔性12構造内に、すなわち、その構造内に浸透する第3実施例を示す。
【0097】
図3は、多孔性フィルタ基材20、多孔性ウォッシュコート層22、および表面ウォッシュコート層24を備える多孔性ディーゼルフィルタ基材のポア数に対するポアサイズに関するグラフを示す。前記フィルタ基材は、約15μm程度の平均ポアサイズを有することが分かる。前記ウォッシュコート層は、粒子間ポア22A(その範囲のナノメータの終端で)と、そのスケールのマイクロメータの終端に向かう粒子内ポア22Bで構成されたバイモーダル分布を有する。また、本発明によってウォッシュコートで前記多孔性フィルタ基材をコーティングすることにより、ベアフィルタ基材のポア分布が粒子間ウォッシュコートポアサイズの方向に移されることになるということが分かる(矢印参照)。
【0098】
図4は、互いに異なる平均ポアサイズを有する3個のウォールフローフィルタ上に三元触媒ウォッシュコートのウォッシュコート荷重研究の中間集計を表すマトリックスを提示する。結論的に、前記38μmおよび20μmの平均ポアサイズ基材上に0.8g in−3ないし1.6および2.4g in−3荷重を有する20μmおよび13μmのポアサイズ基材を介して13μmの平均ポアサイズのウォールフローフィルタと比較的低いウォッシュコート荷重(0.4g in−3)の組み合わせで始まる受け入れ可能な背圧および集塵のバンドがあるようになる。
【0099】
しかし、三元触媒に対してこのマトリックスを付加することは、1.6g in−3以下(≧1.6g in−3)のウォッシュコート荷重は単一製品で受け入れ可能な三元触媒活性のために良好であることから、使用される。本発明は、十分な三元触媒活性と微粒子状物質(PM)集塵との組み合わせが背圧の大きい増加なしで成就するように許す。低平均ポアサイズのウォールフローフィルタ基材上で増加されたウォッシュコート荷重は、増加された背圧を耐えることができる適用のみで使用され得る。図4を参照すれば、背圧増加を耐えることができるいくつかの適用では、13μmの平均ポアサイズのウォールフローフィルタ基材が1.6g in−3以上(≧1.6g in−3)のウォッシュコート荷重を有する組み合わせで使用され得るが、私たちは、現在、触媒活性、集塵、および背圧の間の望ましい均衡を成就するために1.6g in−3以上(≧1.6g in−3)の荷重に対して20μm以上(≧20μm) の平均ポアサイズを良好に使用している。本発明の利点は、本技術分野において、底の下の位置または近接するように連結された位置で車両に通常位置するフロースルー単一体基材を備える三元触媒が、ガス状態のHC、CO、およびNO排出に対する法的な要求を満足させつつ、また例えば、Euro6基準によって求められる粒子数基準を満たす十分な三元活性を提供するために、本発明に係る触媒と交替され得るということである。
【0100】
明白に、本発明に係るフィルタは、全排気システムの後処理装置、例えば、前記フィルタおよび/または下流触媒要素、例えば、NOトラップまたはSCR触媒の低い熱質量のTWC下流を特定の要求に応じて提供するために、他の排気システムの後処理成分と組み合わせて使用され得る。それで、比較的低い温度の駆動サイクルの排ガス温度を発生させる車両のポジティブ点火適用において、私たちは、本発明によって前記フィルタの下流に位置した低い熱質量TWCを使用することを深く考慮する。車両のリーン−バーンのポジティブ点火適用のためには、私たちは、NOトラップの上流または下流に本発明に係るフィルタを使用することを把握する。車両の化学量論的に作動されるポジティブ点火エンジンにおいて、私たちは、本発明に係るフィルタが単独的な触媒排気システムの後処理構成品として使用され得ると信じている。すなわち、いくつかの適用において、本発明に係るフィルタは、それらの間に触媒を介在させずに、エンジンに隣接し、かつ、直接流体疎通し、および/または排ガス後処理システムからの大気に対する出口はそれらの間に触媒を介在させずに、本発明に係るフィルタに隣接し、かつ、直接流体疎通することになる。
【0101】
TWCの付加的な要求は、いわゆる、「オン−ボード診断」またはOBDと呼ばれるこれの有効寿命に対する診断作用を提供するものである。前記OBDに対する問題点は、TWCにおいて不十分な酸素貯蔵容量がある所で発生するが、なぜなら、TWCのOBD処理は、残っている触媒作用を診断するために、残っている酸素貯蔵容量を使用するためである。しかし、US2009/0193796およびWO2009/043390に記載された特定実施形態でのように、不十分なウォッシュコートが前記フィルタ上にロードされたら、OBD目的のための正確なOSC「delta」を提供するために、十分なOSCが存在しないことがある。本発明は、ウォッシュコート荷重を本技術の現在状態のTWCに近接させるため、本発明で使用するためのフィルタは、現在、OBDプロセスで有利に使用され得る。
【0102】
本発明のより完全な理解のために、次の実施例が単に図示の目的にのみ提供される。実施例で言及されるウォッシュコート荷重は、上述したWO99/47260に記載された方法を使用して、一端部からウォッシュコートの半分と他の端部からのウォッシュコートの残っている半分とをコーティングすることにより、すなわち、全ウォッシュコートがフィルタの入口チャネルまたは出口チャネルにのみコーティングされるものではなく、前記フィルタの入口および出口チャネルの両方にコーティングすることにより得られる。
【0103】
(実施例1)
2個の三元触媒(TWC)コーティングが2.4g/inのウォッシュコート荷重と85g/ft(Pd:Rh 16:1)の貴金属荷重で準備された。1つは、ウォールフローフィルタのポア構造内(「イン−ウォール(in−wall)」)に通過するものと予測される小さい粒子サイズ(d90<5μm)で粉砕されており、他の1つは、ウォールフローフィルタ壁(「オン−ウォール(on−wall)」)の表面により近接するように位置することが優勢に予測され得るように、より少なく粉砕(d90<17μm)された。前記コーティングは、20マイクロメータ(以後では、「ミクロン」と呼ぶ)の公称平均ポアサイズ(62%の多孔率)を有し、1000分の12インチの壁厚さ(「300/12」)を有するコーディエライト製ウォールフローフィルタ基材の平方インチ当たり4.66×4.5インチの300セルに適用された。各フィルタは、水熱オーブンで約4時間の間、980℃で置かれた後、1.4L直接噴射ガソリンエンジンを有するEuro5乗客用車両上の近接連結位置に設置されている。各フィルタは、基準触媒に対する粒子数排出の減少を測定する少なくとも3個のMVEG−B駆動サイクル上で評価され、前記フィルタは、前記ウォッシュコートおよび貴金属荷重でTWCがコーティングされたフロースルー基材単一体に交替され、前記フィルタ(または基準触媒)の上流および下流に装着されたセンサの間で背圧差が決定された。
【0104】
ヨーロッパにおける排出は、2000年度(Euro3排出基準)以後に、新しいヨーロッパ式駆動サイクル(NEDC)上でテストされる。これは、排出サンプリングを始める以前に、40秒のウォーム−アップ(warm−up)がなく、以前のECE15駆動サイクルプラス1つのエキストラアーバン駆動サイクル(EUDC)の4回の繰り返しで構成される。前記変更された冷間起動テストは、「MVEG−B」駆動サイクルとも呼ぶ。全ての排出は、g/kmと表示される。
【0105】
Euro5/6実装法は、旧式方法と新式方法を使用した結果における差を考慮して、微粒子状物質(PM)質量排出限界を調整するUN/ECE粒子測定プログラム(PMP)によって発展された新しい微粒子状物質(PM)質量排出測定方法を導入する。また、前記Euro5/6法は、前記質量を基礎とした限界に付加して、粒子数排出限界(PMP方法)を導入する。
【0106】
表1の結果は、より大きい粒子サイズの“「オン−ウォール」ウォッシュコートで準備されたフィルタは、小さいが受け入れ可能なピーク背圧での増加を有し、より小さい粒子サイズの「イン−ウォール」ウォッシュコートで準備されたフィルタより非常に向上した粒子数減少を有するということを証明している。
【0107】
【表1】
【0108】
(実施例2)
平方インチ当たり300セルのセル密度を有し、または、1000分の12インチ(ほぼ0.3mm)の壁厚さを有する5.66×3インチのコーディエライトウォールフローフィルタ基材が0.8g/inのウォッシュコート荷重と80g/ftのパラジウム荷重で三元触媒(TWC)コーティングでコーティングされた。次のような3つの多孔性構造が比較された:65%多孔率で38ミクロンの公称平均ポアサイズ、62%多孔率で20ミクロンの公称平均ポアサイズ、および52%多孔率で15ミクロンの公称平均ポアサイズ。各フィルタは、水熱オーブンで約4時間の間、980℃で置かれた後、1.4L直接噴射ガソリンエンジンを有し、また、近接連結された位置、すなわち、フィルタの下流に位置する完全に正式化された三元触媒でコーティングされたフロースルー基材単一体を有するEuro4乗客用車両で底の下に設置された。各フィルタは、基準システムに対する粒子数排出の減少を測定する少なくとも3個のMVEG−B駆動サイクル上で評価され、前記底の下のフィルタは、前記同一のウォッシュコート荷重およびパラジウム荷重でTWCでコーティングされたフロースルー基材単一体に交替され、前記近接するように連結されたTWCの上流に装着されたセンサと前記フィルタ(または基準触媒)の下流に装着されたセンサとの間で背圧差が決定された。
【0109】
表2に表れたピーク背圧結果は、前記MVEG−Bサイクルの第3の繰り返し上での背圧記録である。前記表2の結果は、38ミクロンフィルタは前記38ミクロンフィルタが最下背圧であっても極めて低いレベルの粒子数除去(前記車両の適用のためには不十分な)を有したことを証明する。前記20ミクロンフィルタは、適当な背圧増加を有し、受け入れ可能なレベルの粒子数減少を表した。前記15ミクロンフィルタは、減少された粒子数排出では最も効果的であったが、20ミクロンフィルタの実施例よりは相当さらに高い背圧を有した。
【0110】
【表2】
【0111】
(実施例3)
20ミクロンの公称平均ポアサイズと62%の多孔率を有する4.66×4.5インチの300/12のコーディエライトウォールフローフィルタ基材が各々0.8、1.6および2.4g/inのウォッシュコート荷重で三元触媒コーティングでコーティングされた。各サンプルは、85g/ft(Pd:Rh 16:1)の貴金属荷重を有した。各フィルタは、水熱オーブンで約4時間の間、980℃で置かれた後、1.4L直接噴射ガソリンエンジンを有するEuro4乗客用車両の近接連結された位置に設置された。各フィルタは、基準触媒に対する粒子数排出の減少を測定する少なくとも3個のMVEG−B駆動サイクル上で評価され、前記近接するように連結されたフィルタは、同一のウォッシュコート荷重および貴金属荷重でTWCがコーティングされたフロースルー基材単一体に交替され、ガスHC、COおよびNO排出に対する背圧差と変換効率が前記フィルタ(または基準触媒)の上流および下流に装着されたセンサの間で決定された。単に、非メタン炭化水素(NMHC)変換が表3に報告される(Euro6に対するNMHCは、100mg/kmの全体炭化水素排出限界内で68mg/kmである)。
【0112】
表3の結果は、0.8g/inのウォッシュコート荷重で準備されたフィルタが粒子数除去の相当低いレベルと最も低いNMHC変換効率を有したことを証明する。このようなTWC性能は、通常的な乗客用車両のEuro6ガス排出限界を満たすのには不十分である。1.6および2.4g/inで前記ウォッシュコート荷重を増加させるが、受け入れ可能な背圧であっても粒子数排出でより大きい減少を表した。TWC活性(NMHC性能によって表3に表れたように)は、さらに、大きいウォッシュコート荷重を有して相当向上された。
【0113】
【表3】
【0114】
*前記「エンジニアリングタケット」は、車両製造業者によって時々使用され、法制化された排出のパーセントを表す。これら実施例の目的のために、私たちは、80%のエンジニアリングタケットを使用した。Euro6 NHMC基準が68mg/kmであり、前記エンジニアリングタケットは、54mg/kmである。前記数の計算されたパーセントは、前記MVEG−B駆動サイクル上で成就されるNMHC結果において、その減少に接近するために使用される。これは、前記受け入れ可能な三元触媒活性に対してよく関連している100%上下の値を付与する。
【0115】
(実施例4)
平方インチ当たり300セルのセル密度を有し、約0.3mmの壁厚さを有する4.66×4.5インチの300/12のコーディエライトウォールフローフィルタ基材が1.6g/inのウォッシュコート荷重および85g/ft(Pd:Rh 16:1)の貴金属荷重で三元触媒コーティングでコーティングされた。次のような2個の多孔性構造が比較された:65%多孔率で38ミクロンの公称平均ポアサイズ、62%多孔率で20ミクロンの公称平均ポアサイズ。より小さいポアのサンプルは評価されなかった。なぜなら、実施例2から得られた結果から、このテストで前記背圧は、Euro4乗客用車両に対してあまりにも大きくなるものと予測された。各フィルタは、水熱オーブンで約4時間の間、980℃で置かれた後、1.4L直接噴射ガソリンエンジンを有するEuro4乗客用車両で近接するように連結設置された。各フィルタは、基準触媒に対する粒子数排出の減少を測定する少なくとも3個のMVEG−B駆動サイクル上で評価され、前記近接するように連結されたフィルタは、前記同一のウォッシュコート荷重およびパラジウム荷重でTWCでコーティングされたフロースルー基材単一体に交替され、ガスHC、COおよびNO排出に対する背圧差と変換効率が前記フィルタ(または基準触媒)の上流および下流に装着されたセンサの間で決定された。単に、非メタン炭化水素(NMHC)変換が表4に報告される。
【0116】
前記表4の結果は、38ミクロンフィルタは他の車両適用で受け入れられる相当低いレベルの粒子数除去(前記車両の適用のためには不十分な)とより低い背圧を有したことを証明する。前記20ミクロンフィルタは、背圧で適当な増加を有しつつ、粒子数減少の良好なレベルを表した。これら2個のサンプルは共に1.6g/inのウォッシュコート荷重で良好なTWC活性を有した。
【0117】
【表4】
【0118】
(実施例5)
平方インチ当たり300セルのセル密度を有し、約0.3mmの壁厚さを有する4.66×4.5インチの300/12のコーディエライトウォールフローフィルタ基材が2.4g/inのウォッシュコート荷重および85g/ft(Pd:Rh 16:1)の貴金属荷重で三元触媒コーティングでコーティングされた。次のような2個の多孔性構造が比較された:65%多孔率で38ミクロンの公称平均ポアサイズ、62%多孔率で20ミクロンの公称平均ポアサイズより小さいポアのサンプルは評価されなかった。なぜなら、実施例2から得られた結果から、このテストで前記背圧は、Euro5乗客用車両に対してあまりにも大きくなるものと予測された。各フィルタは、水熱オーブンで約4時間の間、980℃で置かれた後、1.4L直接噴射ガソリンエンジンを有するEuro5乗客用車両で近接するように連結設置された。各フィルタは、基準触媒に対する粒子数排出の減少を測定する少なくとも3個のMVEG−B駆動サイクル上で評価され、前記近接するように連結されたフィルタは、前記同一のウォッシュコート荷重および貴金属荷重でTWCでコーティングされたフロースルー基材単一体に交替され、前記近接するように連結されたフィルタは、同一のウォッシュコート荷重および貴金属荷重でTWCがコーティングされたフロースルー基材単一体に交替され、ガスHC、COおよびNO排出に対する背圧差と変換効率が前記フィルタ(または基準触媒)の上流および下流に装着されたセンサの間で決定された。単に、非メタン炭化水素(NMHC)変換が表5に報告される。
【0119】
【表5】
【0120】
前記表5の結果は、38ミクロンフィルタは20ミクロンフィルタの実施例より相当低いレベルの粒子数除去(前記車両の適用のために基準に到達していない)とより低い背圧を有したことを証明する。前記20ミクロンフィルタは、背圧で適当な増加を有しつつ、粒子数減少の良好なレベルを表した。これら2個のサンプルが共に2.4g/inのウォッシュコート荷重で良好なTWC活性を有した。これら2個のサンプルが共に実施例4に記載された1.6g/inのサンプルと比較してより大きい粒子数減少と増加された背圧を表した。
【0121】
(実施例6)
13ミクロンの公称平均ポアサイズと48%の多孔率を有する1000分の5インチのセル壁厚さ(360/5)を有する118×60mmの平方インチ当たり360セルのコーディエライトウォールフローフィルタ基材が0.4および0.8g/inのウォッシュコート荷重で三元触媒コーティングでコーティングされた。各サンプルは、85g/ft(Pd:Rh 16:1)の貴金属荷重を有した。より大きいウォッシュコート荷重は評価されなかった。なぜなら、前記発生する背圧は、このテストでEuro4乗客用車両に対してあまりにも大きくなるものと予測されたためである。新しい(すなわち、経過していない)フィルタが1.4直接噴射ガソリンエンジンを有するEuro4乗客用車両の近接するように連結された位置に設置された。各フィルタは、基準触媒に対する粒子数排出の減少を測定する少なくとも3個のMVEG−B駆動サイクル上で評価され、前記近接するように連結されたフィルタは、前記同一のウォッシュコート荷重および貴金属荷重でTWCでコーティングされたフロースルー基材単一体に交替され、ガスHC、COおよびNO排出に対する背圧差と変換効率が前記フィルタ(または基準触媒)の上流および下流に装着されたセンサの間で決定された。単に、非メタン炭化水素(NMHC)変換が表6に報告される。
【0122】
【表6】
【0123】
前記表6の結果は、0.8g/inのウォッシュコート荷重で準備された13ミクロンフィルタは適当なレベルの粒子数除去(前記車両の適用のために基準に到達していない)を表すが、非常に高い背圧を有した。前記ウォッシュコート荷重を0.4g/inに減少させることは、より受け入れ可能な背圧を表すが、粒子数排出の減少はより少なくなった。このような低いウォッシュコートレベルは、Euro6排出基準を満たすのに十分な三元触媒活性を与えないものと予測される。
【0124】
(実施例7)
完全に正式化された三元触媒でコーティングされた近接するように連結された位置のフロースルー基材単一体を備える2.0L直接噴射ガソリンエンジンが搭載されたEuro5乗客用車両は、MVEG−BおよびFTP(Federal Test Procedure)75駆動サイクル上でテストされた。前記MVEG−B駆動サイクルから排出される粒子の数は、PMP方法論にしたがって測定された。FTP75駆動サイクルに排出される微粒子状物質(PM)の質量は、次の基準プロトコルで測定された。0.8g/inのウォッシュコート荷重および20g/ft(Pd:Rh 3:1)の貴金属荷重で三元触媒コーティングでコーティングされる12ミクロンの公称平均ポアサイズと55%の多孔率を有する125×120mm、300/12のコーディエライウォールフローフィルタが底下位置、すなわち、前記フロースルー基材の単一体の下流に装着された。粒子質量と排出数の測定は繰り返された。
【0125】
【表7】
【0126】
表7の結果は、付加のコーティングされたフィルタの設置は、前記フロースルーTWCのみのシステムに対してMVEG−Bサイクルから排出される粒子数を〜99%に減少させ、FTP75サイクルから排出されるその粒子質量を〜75%に減少させることを証明する。どのようなCARBであるかによって微粒子状物質(PM)排出基準が採択され、2.7mg PM/mileの図面は、その基準を失敗させる可能性がある。
【0127】
どのような誤解も避けるために、本願で引用される全ての従来技術文献のその全体内容は参照として本願に合体される。
【図面の簡単な説明】
【0128】
図1図1は、ディーゼル機関の排ガスで微粒子状物質(PM)のサイズ分布を示したグラフである。
図2図2A〜2Cは、本発明に係るウォッシュコーティングされた多孔性フィルタ基材の3つの実施例の概略図である。
図3図3は、多孔性フィルタ基材、多孔性ウォッシュコート層、および多孔性表面のウォッシュコート層を含む多孔性フィルタ基材のポアサイズ分布に関連した水銀多孔度の概略的なグラフである。
図4図4は、車両ガソリン排ガスの後処理システム(after treatment)に使用するためのコーティングされたウォールフローフィルタに適合性を指示するウォールフローフィルタ基材ポアサイズ対ウォッシュコート荷重のマトリックスを提示する表である。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4