(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717712
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】帽子用インナーウエア
(51)【国際特許分類】
A42B 1/24 20060101AFI20150423BHJP
A42B 1/18 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
A42B1/24 N
A42B1/18 C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-268605(P2012-268605)
(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公開番号】特開2014-114518(P2014-114518A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2013年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】593094729
【氏名又は名称】セダージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】一杉 喜重
【審査官】
新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−140740(JP,A)
【文献】
実開昭51−081118(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3176826(JP,U)
【文献】
特表2008−506559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 1/18
A42B 1/24
A42C 1/00 − 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の頭部を覆うように縫製された布帛体からなる帽子用インナーウエアであって、前記布帛体を横切るように延長すると共に可撓性を有する係合部材を前記布帛体に付設し、前記係合部材を環状に加工された弾性モノフィラメントから構成し、前記係合部材の両端部を前記布帛体の両側から突出させ、前記係合部材の両端部を帽子に対して係合させるようにしたことを特徴とする帽子用インナーウエア。
【請求項2】
前記布帛体の外縁に沿って弾性モノフィラメントからなる保形リングを配設したことを特徴とする請求項1に記載の帽子用インナーウエア。
【請求項3】
前記布帛体が、頭部側に配置された親水布と、該親水布の外側に配置された防水布と、前記親水布と前記防水布との間に挿入された保水層との積層構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の帽子用インナーウエア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帽子の下に着用するインナーウエアに関し、更に詳しくは、帽子に対する着脱を容易に行うことを可能にした帽子用インナーウエアに関する。
【背景技術】
【0002】
人の頭部に強い日差しが直接当たるのを回避するための装着具として様々な帽子が普及している。ところが、帽子を被った場合、帽子内で発汗したり、蒸れを感じたりすることがある。そのため、水分を滲み込ませたタオルを頭部と帽子との間に挟み込んだり、帽子を脱いでタオルで汗を拭うことが頻繁に行われている。このような発汗や蒸れを解消するために、一部にメッシュ構造などを採用することで通気性を高めた帽子(例えば、特許文献1〜3参照)が提案されているが、必ずしも十分な清涼感が得られていないのが現状である。また、帽子は型崩れするため、発汗により汚れた場合であっても手軽に洗濯することができないという不都合もある。
【0003】
そこで、上述のような不都合を解消するために、人の頭部を覆うように縫製された帽子用インナーウエア(例えば、特許文献4参照)が提案されている。このインナーウエアは帽子の下に着用するものであり、汗の吸収効果や水分による冷却効果を発揮し、必要に応じて洗濯することができる。しかしながら、上記インナーウエアは帽子とは別体であるため、例えば、帽子を脱いだ際にインナーウエアだけが頭部に残ってしまうことがある。このような状況において、帽子用インナーウエアは見栄えが悪く使い勝手が悪いという欠点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−42258号公報
【特許文献2】特開2005−290566号公報
【特許文献3】特開2010−138526号公報
【特許文献4】特開2012−140740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、帽子に対する着脱を容易に行うことを可能にした帽子用インナーウエアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の帽子用インナーウエアは、人の頭部を覆うように縫製された布帛体からなる帽子用インナーウエアであって、前記布帛体を横切るように延長すると共に可撓性を有する係合部材を前記布帛体に付設し、
前記係合部材を環状に加工された弾性モノフィラメントから構成し、前記係合部材の両端部を前記布帛体の両側から突出させ
、前記係合部材の両端部を帽子に対して係合させるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の帽子用インナーウエアにおいては、布帛体を横切るように延長すると共に可撓性を有する係合部材を布帛体に付設し、係合部材の両端部を布帛体の両側から突出させているので、その布帛体の両側から突出した係合部材を用いてインナーウエアを帽子に対して簡単に着脱することができる。そのため、帽子を脱いだ際にインナーウエアだけが頭部に残ってしまうような事態を確実に回避することができ、見栄えを悪化させることなく使い勝手が良い帽子用インナーウエアを提供することができる。
【0008】
係合部材は環状に加工された弾性モノフィラメントから構成することが
必要である。この場合、弾性モノフィラメントからなる係合部材が柔軟に変形することにより、寸法や形状が異なる種々の帽子に対して共通の帽子用インナーウエアを使用することが可能になる
。
【0009】
また、布帛体の外縁に沿って弾性モノフィラメントからなる保形リングを配設することが好ましい。このように布帛体の外縁に沿って保形リングを配置した場合、保形リングと係合部材とが協働してインナーウエアを帽子の内面側に密着させる効果を得ることができる。
【0010】
本発明の帽子用インナーウエアは、用途が特に限定されるものではなく、その用途に応じて布帛体の構造を適宜選択することができる。
【0011】
例えば、夏場に使用される帽子用インナーウエアの場合、布帛体を吸水性に優れた素材から構成することにより、布帛体への汗の吸収効果や布帛体に含ませた水分による冷却効果を発揮することが可能である。
【0012】
この場合、布帛体は、頭部側に配置された親水布と、該親水布の外側に配置された防水布と、これら親水布と防水布との間に挿入された保水層との積層構造を有することが好ましい。これにより、親水布が頭部からの汗を面方向に拡散し、その汗を保水層に効率良く吸収することができ、しかも防水布が存在するため汗を帽子に浸透させることはない。また、予め保水層に水分を滲み込ませるようにした場合、その水分が親水布を介して面方向に拡散し、より広い面積において効果的な冷却作用を発揮することができ、しかも防水布が存在するため水分を帽子に浸透させることはない。そのため、帽子に汗や水分を浸透させることなく、汗の吸収効果や水分による冷却効果を高めることができる。
【0013】
一方、冬場に使用される帽子用インナーウエアの場合、布帛体を保温性に優れた素材から構成することにより、防寒具としての機能を発揮することができる。
【0014】
いずれの場合においても、帽子用インナーウエアは帽子の下に着用することを前提とするものであって型崩れを気にする必要がないため、気軽に洗濯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態からなる帽子用インナーウエアを示す平面図である。
【
図2】
図1の帽子用インナーウエアを示す側面図である。
【
図4】
図1の帽子用インナーウエアを帽子に装着した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図1の帽子用インナーウエアを帽子に装着した状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態からなる帽子用インナーウエア
(参考例)を示す平面図である。
【
図7】
図6の帽子用インナーウエアを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜
図5は本発明の実施形態からなる帽子用インナーウエアを示すものである。
【0017】
図1〜
図3に示すように、本実施形態の帽子用インナーウエア10は、人の頭部を覆うように縫製された布帛体1を備え、この布帛体1を帽子の内側に配置した状態で使用されるものである。布帛体1は、平面視で楕円形をなし、頭部にフィットするように僅かに湾曲した碗形状に縫製されている。布帛体1の構造は特に限定されるものではないが、以下のような積層構造を有することが望ましい。
【0018】
即ち、布帛体1は、
図3に示すように、頭部側に配置された親水布11と、該親水布11の外側(帽子側)に配置された防水布12と、これら親水布11と防水布12との間に挿入された保水層13との積層構造を有している。なお、親水布11は頭部と直接接触するように配置しても良いが、本実施形態では着用者の清涼感を高めるために親水布11よりも頭部側に更にメッシュ布14を積層した構造としている。
【0019】
親水布11は、織物や編物等からなる布帛に親水加工を施したものである。親水加工としては、一般的な手法を採用することができる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミン第4級アンモニウム塩等の加工薬剤を用いて布帛の繊維に親水性を付与することができる。また、親水基である酸性基を有するビニル系ポリマーを布帛の繊維にグラフト重合しても良い。酸性基を有するビニル系ポリマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アリルスルフォン酸、メタクリルスルフォン酸、スチレンスルフォン酸等の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
防水布12は、織物や編物等からなる布帛に防水加工を施したものである。防水加工としては、一般的な手法を採用することができる。例えば、防水性や撥水性を有する樹脂で布帛の繊維をコーティングしたり、防水性や撥水性を有する樹脂を布帛に含浸させて熱処理したり、布帛上に防水性や撥水性を有する樹脂からなる防水層を形成することができる。このような樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
保水層13は、内部に水分を保持する機能を有するものである。この保水層13としては、不織布、織物、編物、スポンジ等を使用することができるが、特に吸水性を有する不織布を用いると良い。吸水性を有する不織布の繊維としては、架橋アクリル酸ナトリウム系の高吸湿性繊維を用いると良い。具体例としては、例えば、帝人ファイバー株式会社製の「ベルオアシス」(登録商標)が挙げられる。架橋アクリル酸ナトリウム系の高吸湿性繊維は吸水能力が高く、しかも不織布とした場合には自由な膨張が許容されるため優れた保水性を発揮することができる。また、架橋アクリル酸ナトリウム系の高吸湿性繊維は吸湿性や消臭性にも優れている。更に、上述のような不織布は帽子用インナーウエア10の素材として加工が容易であり、上記積層構造を有する布帛体1の内部に容易に縫い込むことができる。
【0022】
上記布帛体1には、該布帛体1を横切るように延長すると共に可撓性を有する係合部材2が付設され、その係合部材2の両端部が布帛体1の両側から突出している。本実施形態において、係合部材2は環状に加工された弾性モノフィラメント21から構成されている。この弾性モノフィラメント21は防水布12に形成された複数の開口部12aを介して布帛体1の内部に案内され、布帛体1に対して縫い付けられている。つまり、弾性モノフィラメント21の布帛体1から突き出した部分はループを形成している。弾性モノフィラメント21は予め環状に成形されたものであっても良く、或いは、線材からなる弾性モノフィラメント21を環状にして端部同士を繋ぎ合わせたものであっても良い。例えば、線材からなる弾性モノフィラメント21の端部同士をシリコーン樹脂からなるチューブ22で繋ぎ合わせた場合、布帛体1を縫製した後で該布帛体1に対して弾性モノフィラメント21を取り付けることができ、かつ強固な連結構造を確保することができる。この場合、連結用のチューブ22は係合部材2の布帛体1から突出していない部位(例えば、布帛体1の内部)に配置すると良い。
【0023】
弾性モノフィラメント21の直径は、0.5mm〜4.0mm、より好ましくは、1.0mm〜3.5mmの範囲に設定すると良い。弾性モノフィラメント21の直径を上記範囲に設定することにより、弾性モノフィラメント21に適切な弾性回復力を与えることができる。
【0024】
弾性モノフィラメント21の材料としては、特に限定されるものではないが、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の弾性を有する合成樹脂を使用することができ、特にナイロンが最適である。これら合成樹脂材料は、弾性を有しながら軽量であるため帽子用インナーウエア10の重量増加を最小限に抑えることができ、しかも腐食しないため帽子用インナーウエア10をそのまま洗濯することができる。
【0025】
更に、布帛体1にはその外縁に沿って弾性モノフィラメント31からなる保形リング3が縫い込まれている。保形リング3を構成する弾性モノフィラメント31としては係合部材2を構成する弾性モノフィラメント21と同様のものを使用することが可能であるが、弾性モノフィラメント31は帽子に対する係合を担持する弾性モノフィラメント21よりも細くすることができる。
【0026】
図4及び
図5は上述した帽子用インナーウエア10を帽子40に装着した状態を示すものである。
図4及び
図5において、帽子40は、頭部を覆うように碗形状に縫製された帽子本体41と、その帽子本体41の縁部外側に突き出した鍔部42と、帽子本体41の縁部内側に折り返された帯状のすべり43とを備えている。
【0027】
帽子用インナーウエア10を帽子40に装着する場合、
図4及び
図5に示すように、帽子用インナーウエア10の布帛体1を帽子本体41の内面であって鍔部42側の部位に当接するように配置し、弾性モノフィラメント21からなる係合部材2をすべり43と帽子本体41との間に挿入する。これにより、帽子用インナーウエア10を帽子40に対して容易に装着することができる。また、係合部材2をすべり43から外すことにより、帽子用インナーウエア10を帽子40から容易に離脱させることができる。弾性モノフィラメント21は前後左右に変形自在であるため、寸法や形状が異なる種々の帽子40に対して共通の帽子用インナーウエア10を使用することができる。
【0028】
また、上記帽子用インナーウエア10においては、布帛体1の外縁に沿って弾性モノフィラメント31からなる保形リング3が配設されているので、保形リング3と係合部材2とが協働してインナーウエア10を帽子40の内面側に密着させる効果を得ることができる。つまり、布帛体1を横切る係合部材2が布帛体1の外縁に沿って配置された保形リング3を帽子40側に押圧することにより、布帛体1の中央部分のみならず外縁部分も帽子40に対して密着するようになる。そのため、布帛体1が汗で湿った状態や水分を含ませた状態において垂れ下がることはない。
【0029】
上述した帽子用インナーウエア10において、布帛体1は、頭部に接触するように配置された親水布11と、該親水布11の外側に配置された防水布12と、これら親水布11と防水布12との間に挿入された保水層13との積層構造を有しているので、親水布11が頭部からの汗を面方向に拡散し、その汗を保水層13に効率良く吸収することができる。そのため、炎天下等で帽子を被る際に上記インナーウエア10を帽子40の下に着用した場合、汗が吸収されて清涼感を得ることができる。また、帽子40と接する部位には防水布12が配置されているため汗を帽子40に浸透させることはない。
【0030】
上述した帽子用インナーウエア10は、予め保水層13に水分を滲み込ませた状態で使用することも可能である。この場合、保水層13に蓄えられた水分が親水布11を介して面方向に拡散し、より広い面積において効果的な冷却作用を発揮することができる。そのため、炎天下等で帽子を被る際に上記インナーウエア10を帽子40の下に着用した場合、水分の気化熱による冷却作用に基づいて清涼感を得ることができる。また、帽子40と接する部位には防水布12が配置されているため水分を帽子に浸透させることはない。
【0031】
しかも、上述した帽子用インナーウエア10は、帽子40の下に着用することを前提とするものであって型崩れを気にする必要がないため、汚れた際には気軽に洗濯することができる。
【0032】
図6〜
図8は本発明の他の実施形態からなる帽子用インナーウエア
(参考例)を示すものである。
図6〜8において、
図1〜
図3と実質的な同一物には同一符号を付してその部分の詳細な説明は省略する。
【0033】
図6〜
図8に示すように、本実施形態の帽子用インナーウエア50は、人の頭部を覆うように縫製された布帛体1を備え、この布帛体1を帽子の内側に配置した状態で使用されるものである。布帛体1は、平面視でひょうたん形をなし、平板状に縫製されている。布帛体1は、前述の実施形態と同様に、頭部側に配置された親水布11と、該親水布11の外側(帽子側)に配置された防水布12と、これら親水布11と防水布12との間に挿入された保水層13との積層構造を有し、更に親水布11よりも頭部側にメッシュ布14を積層した構造を有している。
【0034】
上記布帛体1には、該布帛体1を横切るように延長すると共に可撓性を有する係合部材2が付設され、その係合部材2の両端部が布帛体1の両側から突出している。本実施形態において、係合部材2は両端部に曲率を付与した弾性フィルム23から構成されている。この弾性フィルム23は防水布12と保水層13との間に積層され、布帛体1に対して縫い付けられている。
【0035】
弾性フィルム23の厚さは、0.5mm〜3.0mm、より好ましくは、1.0mm〜2.0mmの範囲に設定すると良い。弾性フィルム23の厚さを上記範囲に設定することにより、弾性フィルム23に適切な弾性回復力を与えることができる。
【0036】
弾性フィルム23の材料としては、特に限定されるものではないが、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の弾性を有する合成樹脂を使用することができ、特にナイロンが最適である。これら合成樹脂材料は、弾性を有しながら軽量であるため帽子用インナーウエア10の重量増加を最小限に抑えることができ、しかも腐食しないため帽子用インナーウエア10をそのまま洗濯することができる。
【0037】
更に、布帛体1にはその外縁に沿って弾性モノフィラメント31からなる保形リング3が縫い込まれている。
【0038】
上述した帽子用インナーウエア50は、前述の実施形態と同様に、汗の吸収効果や水分による冷却効果を発揮することができ、しかも必要に応じて洗濯することができる。また、帽子用インナーウエア50は、布帛体1を横切るように延長すると共に可撓性を有する弾性フィルム23からなる係合部材2を布帛体1に付設し、その係合部材2の両端部を布帛体1の両側から突出させているので、その係合部材2を用いてインナーウエア50を帽子に対して簡単に着脱することができる。
【0039】
上述した実施形態からも明らかなように、布帛体1の平面視形状は特に限定されるものではなく、楕円形やひょうたん形のほか、円形や長方形等とすることも可能である。いずれの場合も、係合部材2の延長方向に沿って測定される布帛体1の最大幅Wは130mm〜210mmの範囲に設定することが望ましい。これにより、汗の吸収効果や水分による冷却効果を十分に発揮することが可能になる。一方、係合部材2の長さLは布帛体1の最大幅Wに対して1.4×W≦L≦2.0×Wの関係を満足することが望ましい。これにより、布帛体1を頭部の適切な位置に配置しながら、その布帛体1を帽子に対して係合させることが可能になる。
【0040】
上述した実施形態はいずれも主として夏場に使用されるものであるが、これらを冬場に使用した場合は防寒具としても機能する。勿論、布帛体1の素材として、フリース等の保温性に優れた素材を使用した場合、防寒具としての機能を高めることが可能である。
【0041】
また、上述した実施形態では帽子が野球帽である場合について説明したが、本発明に係る帽子用インナーウエアは各種の帽子(特に、帽子本体の縁部内側に帯状のすべりを備えた帽子)に装着して使用することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 布帛体
2 係合部材
3 保形リング
10,50 帽子用インナーウエア
11 親水布
12 防水布
13 保水層
14 メッシュ布
21 弾性モノフィラメント(係合部材)
22 チューブ
23 弾性フィルム(係合部材)
31 弾性モノフィラメント(保形リング)
40 帽子
41 帽子本体
42 鍔部
43 すべり