(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本願は概して5線タッチスクリーンに関し、より詳細には、5線タッチスクリーンに加えられるタッチ圧力/力を正確に判定するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
図1は、従来の5線抵抗性タッチスクリーン10を示す等角分解図である。タッチスクリーン10は透明下部層14および上部層12を含み、透明下部層14は、抵抗性膜16と、外部接触端子に接続し得る4つの導電性コーナーパッド15−1、15−2、15−3、および15−4とで被覆されている。(これらの層は、ディスプレイまたはLCD(液晶ディスプレイ)のバックライトを透過させるために透明にする必要がある。)
図2は、
図1の分解図のタッチスクリーン10の組品を示す断面図である。ここで、上部層12は、典型的には、ポリエステルまたはポリエチレンテレフタレート(PET)で形成され、上部層12の下面が高導電性の(例えば金属の)透明材料で被覆されてワイパ層11(単に「ワイパ11」とも称する)を形成している。透明下部層14もPETで形成され、通常はITO(インジウムスズ酸化物)である透明抵抗性膜16で被覆されている。
【0003】
弾性及び絶縁性スペーサ22が上部層12を下部層14から分離して、これらの層の間に薄い空隙23を維持する。スペーサ22は典型的には極めて薄く、スペーサ22を用いて、スペーサの位置に関連するタッチ位置によって決まるタッチポイント接触抵抗に大きな差異が出ないようにしている。また、スペーサ22を用いて、スペーサに関連するタッチポイントの様々な位置で「感覚」が実質的に異ならないようにしている。
【0004】
上部層12の外側表面にタッチ圧力を加えると、ワイパ11の小さなタッチ接触領域が抵抗性ITO層16に対して押される。タッチ圧力が上部層12上に存在しない場合、上部層12は下部抵抗性層14からスペーサ22及び空隙23により分離されている。
【0005】
タッチスクリーン10の上面へのタッチ圧力は、典型的には、抵抗性層16の受動抵抗に印加する様々な駆動信号を制御してタッチスクリーン10の上面の様々な位置がタッチされることにより生じる様々な電圧の測定を容易にする、従来の5線タッチスクリーンコントローラによって検出される。
【0006】
図3は、理想化した
図1および
図2に示す5線抵抗性タッチスクリーン10の等価回路を示す。
図2の透明抵抗性層16は、
図3では、
図1の導電性パッド15−1、15−2、15−4、および15−3にそれぞれ対応する左上、右上、左下、および右下のコーナーに導電性端子UL、UR、LL、およびLRを有する等価抵抗器の矩形グリッドとして示されている。そのため、ワイパ層11が、抵抗性層16の直上にあり、ワイパ接触端子35に接続されている。導体すなわちコーナー端子15−1、15−2、15−4、15−3、およびワイパ接触端子35は、5線タッチスクリーン10の5つのアクセス可能な導体または「導線」である。
図3の下部に示すように、コーナー端子ULとLLが導体27によって接続され、端子URとLRが導体29によって接続される場合、
図3の下部の簡略化した等価回路表現で示されるように、抵抗性層16は、導体27と29の間に接続される抵抗器に見える。同様に、端子ULとURが共に導体26によって接続され、端子LLとLRが共に導体28によって接続される場合、抵抗性層16は、導体26と28の間に接続される抵抗器に見える。上部導電性ワイパ11上のタッチポイント領域31は、タッチスクリーン10がタッチされると、抵抗性グリッド上の点または領域30にタッチ圧力を伝える。
【0007】
図4は、
図3に示す等価回路に類似しているが、ワイパ11上の接触領域31とITO抵抗性層16上の接触領域30との間にタッチ値Rzを有する「タッチ抵抗」33をさらに含む等価回路を示す。タッチ接触領域30および31は、抵抗性層16の小領域30に対してワイパ層11の小さな領域31を押す上部層12に加えられるタッチ圧力により生じる小さな接触領域である。
図4の等価回路ではワイパ層11の抵抗をゼロとしていることを留意されたい。
【0008】
遺憾ながら、現状では、タッチスクリーンが用いられることが多いLCDバックライト応用に対して十分に透明で導電性の高い(例えば金属の)接触ワイパ層11を提供するのは現実的でない。上部層12の下面のワイパ層被覆11は、現状では、ほぼ透明なITO抵抗性材料でできており、これは、下部層14の上面の抵抗層16と同じである。その結果、実用的な5線タッチスクリーン10の等価回路は、
図5に示すようになり得る。
図5では、値R
wiperを有する抵抗34は、タッチ領域31とワイパ接触端子35の間のITO抵抗性ワイパ層11の抵抗を表す。
【0009】
典型的には、2つのITO抵抗性層11および16はそれぞれ透明度が約90%である。従って、理論的には、上部層12および下部層14は合わせて、90%×90%=81%の透明度になる。この理論値は極めて重要である。というのは、タッチスクリーンの透明度が低いと、十分な光強度を得るためにLCDバックライト回路で放散される電力が増加するからである。
【0010】
図6Aは、従来の5線抵抗性タッチスクリーンへのタッチのy座標を判定するプロセスを説明するのに有用な等価回路である。y座標の測定は、端子UL(15−1)およびUR(15−2)に接続される導体26と、端子LL(15−4)およびLR(15−3)に接続される導体28との間に電圧源38の電圧V
DDを印加することを含む。タッチポイント(図示せず)における電気的接触のy座標位置の感知は、ワイパ11の導電性端子35を介して行われる。同様に、
図6Bは、タッチスクリーンへのタッチのx座標を判定するプロセスを説明するのに有用な等価回路である。x座標の測定は、端子LRおよびURに接続される導体29と、端子ULおよびLLに接続される導体27との間に電圧V
DDを印加することを含む。タッチポイントにおける電気的接触の位置の感知は、ワイパ11の導電性ポイント35を介して行われる。
【0011】
より具体的には、タッチスクリーン10が結合される上記タッチスクリーンコントローラは、まず、導体26と28の間に電圧源38のスクリーン駆動電圧V
DDを印加し、それによって、
図6Aのスクリーン全体に上から下へ均一に電流が流れる。ワイパ11の接触端子35から、下記式で与えられるy座標電圧V
Yが読み出される。
V
Y=(V
DD/R
Y)×R
Y2 (式1)
ここで、導体26と28の間のy方向抵抗R
Yは、容易に測定し得る既知の値である。R
Y2は、タッチポイント30と電圧源38の負(−)端子との間の抵抗である。(
図7Aに、R
YおよびR
2Yを示す。)
【0012】
同様に、タッチスクリーンコントローラは、
図6Bの導電体29と27の間に電圧源38のスクリーン駆動電圧V
DDを印加し、それによって、スクリーン全体に右から左へ均一に電流が流れる。ワイパ11の接触端子35から、下記式で与えられるx座標電圧V
Xが読み出される。
V
X=(V
DD/R
X)×R
X2 (式2)
ここで、導電体27と29の間のx方向抵抗R
Xは、容易に測定し得る既知の値である。R
x2は、タッチポイント30と電圧源38の負(−)端子との間の抵抗である。(
図7Bに、R
XおよびR
X2を示す。)
【0013】
上述のタッチスクリーンに加えて、最も近い従来技術は、米国特許第6,246,394号および第7,215,330号も含むと考えられる。2001年6月12日にKalthoffらに付与された米国特許第6,246,394号「タッチスクリーン測定回路および方法(Touch screen measurement circuit and method)」には、4線タッチスクリーンデジタル化システムが開示されており、タッチ位置のx座標およびy座標を測定する方法が提示されている。2007年5月8日にRantetに付与された米国特許第7,215,330号「圧力レベルにも感度があるタッチ感受性表面(Touch-sensitive surface which is also sensitive to pressure levels)」には、タッチ感受性スクリーンを構成する2つのスクリーンの縁に沿う抵抗性ストリップに接続されてx座標およびy座標ならびに印加される圧力を測定し得る直交導電性トラック6および8を含む4線タッチスクリーンが開示されている。この方法では、4線抵抗性タッチスクリーン上のタッチポイントの圧力または第3座標または「z」座標が測定される。
【0014】
タッチスクリーンのユーザはときおり近くの物品にぶつかることがあり、そのため、機械的振動がタッチスクリーンに伝わり、それによって、関連するタッチスクリーンシステムがタッチ位置を誤って解釈したり、振動を意図したタッチと誤って解釈したりすることがある。また、ユーザが不注意でスクリーン表面をタッチすることもある。タッチスクリーンおよび関連するコントローラがタッチスクリーンのワイパ層と抵抗性層の間のタッチ抵抗を測定する能力を有する場合、機械的振動やタッチスクリーン表面への軽い無関係なタッチによる誤ったタッチ解釈を防止する「感度」閾値を設定することができる。例えば、タッチスクリーンに書かれる漢字の判読や図形的な特徴の描画などのいくつかの応用例では、スタイラスによってタッチスクリーン表面に加えられる力/圧力の変化量を、幅や濃さが変化する表示線として解釈することができる。また、上記感度閾値を利用してEMI(電磁干渉)などの電気的ノイズがタッチ解釈エラーを引き起こすことを防止する応用例もある。
【0015】
従来の5線タッチスクリーンシステムは、x座標およびy座標しか測定できず、第3の座標または圧力データを得るための方法を欠いており、有効な署名を提供するために印加される圧力が極めて重要な署名認証など、ある種の機能を実施する能力が限定されている。5線タッチスクリーンシステム用の本発明の圧力測定なしでは、5線タッチスクリーンシステムは2次元座標を生成し得るに過ぎず、従って、タッチスクリーン表面上での2次元応用例しか対応できない。
【0016】
そのため、タッチスクリーンパネル内で生じる3つのタッチポイント座標電圧を測定して、5線タッチスクリーンのワイパ層と抵抗性層の間の、それぞれ、x座標、y座標、およびタッチポイント接触抵抗座標を示すシステムの要求が満たされていない。
【0017】
また、タッチスクリーンパネル内で生じる3つのタッチポイント座標電圧を測定して、5線タッチスクリーンのワイパ層と抵抗性層の間の、x座標、y座標、およびタッチポイント接触抵抗座標を示すシステムであって、タッチポイント接触抵抗を利用してタッチポイント接触圧力または力を判定するシステムの要求も満たされていない。
【0018】
5線タッチスクリーンにおけるタッチ圧力接触抵抗を利用することによって、改善された署名認証を提供し得るタッチスクリーンシステムの要求も満たされていない。
【0019】
5線タッチスクリーン上のタッチポイント接触抵抗を利用することによって、タッチ強さを測定し得るタッチスクリーンシステムの要求も満たされていない。
【0020】
5線タッチスクリーン上のタッチポイント接触抵抗を利用することによって、タッチ感度を測定し得るタッチスクリーンシステムであって、タッチスクリーンからのEMI(電磁干渉)を真のタッチまたは圧力と区別することができるシステムの要求も満たされていない。
【0021】
5線タッチスクリーンにおけるタッチポイント接触抵抗を利用することによって、タッチ感度を測定し得るタッチスクリーンシステムであって、タッチポイントサイズ情報を判定することができるタッチスクリーンシステムの要求も満たされていない。
【発明の概要】
【0022】
本発明の一つの目的は、5線タッチスクリーンパネル内で生じる3つのタッチポイント座標電圧を測定して、ワイパ層と抵抗性層の間の、それぞれ、x座標、y座標、およびタッチポイント接触抵抗座標を示すシステムを提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、5線タッチスクリーンパネル内で生じる3つのタッチポイント座標電圧を測定して、ワイパ層と抵抗性層の間の、それぞれ、x座標、y座標、およびタッチポイント接触抵抗を示すシステムであって、このタッチポイント接触抵抗を利用してタッチポイント接触圧力または力を判定するシステムを提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、5線タッチスクリーンにおけるタッチポイント接触抵抗を利用することによって改善された署名認証を提供することができるタッチスクリーンシステムを提供することである。
【0025】
本発明の別の目的は、5線タッチスクリーンにおけるタッチポイント接触抵抗を利用することによってタッチ感度を測定することである。
【0026】
本発明の別の目的は、5線タッチスクリーンにおけるタッチポイント接触抵抗を利用することによってタッチ感度を測定し、タッチスクリーンからのEMI(電磁干渉)を真のタッチまたは圧力と区別し得るようにすることである。
【0027】
本発明の別の目的は、5線タッチスクリーンにおけるタッチポイント接触抵抗を利用することによってタッチ感度を測定し、タッチポイントサイズを判定し得るようにすることである。
【0028】
簡単に説明すると、一実施形態に従って、本発明は、ワイパ(11)、ワイパに整合される抵抗性層(16)、および第1(UL)、第2(UR)、第3(LR)、および第4(LL)の抵抗性層コンタクトを含むタッチスクリーン(10)を含む5線タッチスクリーンシステムを提供する。スクリーンへのタッチによりワイパの小部分が抵抗性層に対して押されて、抵抗性層上のタッチポイントにおいてワイパと抵抗性層との間にタッチ抵抗(R
Z)が生成される。ワイパおよび様々なコンタクトが、それぞれ第1(V
DD)および第2(GND)の基準電圧に選択的に結合されて、タッチポイントにおけるアナログタッチ電圧(V
Z)が生成される。ワイパおよび様々なコンタクトがADC(48)のアナログ入力(56)および基準電圧入力に選択的に結合されて、タッチ電圧(V
Z)がデジタル表現に変換される。タッチポイントにおけるアナログ電圧(V
X)および(V
Y)が、ADCによって対応するデジタル表現に変換される。
【0029】
一実施形態では、本発明は、5線タッチスクリーンセンサ(10)を含む5線タッチスクリーンシステム(40)を提供する。タッチスクリーンセンサ(10)は、実質的に透明で実質的に導電性のワイパ層(11)と、ワイパ層(11)に整合され、第1(UL)、第2(UR)、第3(LL)、および第4(LR)の接触端子を含む実質的に透明の抵抗性層(16)と、ワイパ層(11)と抵抗性層(16)とを分離する複数の薄いスペーサ(22)とを含む。ワイパ層(11)へのタッチによりワイパ層(11)の小部分(31)が抵抗性層(16)に対して押されて、ワイパ層(11)と抵抗性層(16)の間にタッチ抵抗(R
Z)を有する抵抗性接触領域(30)が形成される。タッチ抵抗(R
Z)はタッチの強さ(P
touch)に反比例する。タッチスクリーンセンサ(10)に結合されるコントローラ(41)が、ワイパ層(11)および様々な接触端子(UL、UR、LR、LL)をそれぞれ第1(V
DD)および第2(GND)の基準電圧に選択的に結合して、抵抗性接触領域(30)における抵抗性層(16)上の第1(V
X)および第2(V
Y)のアナログタッチ位置電圧およびアナログタッチ電圧(V
Z)を生成するためのタッチスクリーンドライバ回路(42)を含む。アナログデジタル変換回路(48)は、タッチスクリーンドライバ回路(42)に結合される入力(56)を有する。コントローラ(41)内の多重化回路(44)が、ワイパ層(11)および様々な接触端子(UL、UR、LR、LL)をアナログデジタル変換回路(48)の入力(56)に選択的に結合して、アナログデジタル変換回路(48)に第1(V
X)および第2(V
Y)のアナログタッチ位置電圧およびアナログタッチ電圧(V
Z)をそれらのデジタル表現(60)にそれぞれ変換させる。
【0030】
一実施形態では、第1(UL)、第2(UR)、第3(LR)、および第4(LL)の接触端子がコーナー接触端子である。タッチスクリーンドライバ回路(42)は、第2(UR)および第3(LR)の接触端子を第1基準電圧(V
DD)に結合し、第1(UL)および第4(LL)の接触端子を第2基準電圧(GND)に結合し、ワイパ層(11)をアナログデジタル変換回路(48)の入力(56)に結合して、アナログデジタル変換回路(48)の入力(56)でアナログx座標電圧(V
X)を生成する。タッチスクリーンドライバ回路(42)は、第1(UL)および第2(UR)の接触端子を第1基準電圧(V
DD)に結合し、第3(LR)および第4(LL)の接触端子を第2基準電圧(GND)に結合し、ワイパ層(11)をアナログデジタル変換回路(48)の入力(56)に結合して、アナログデジタル変換回路(48)の入力(56)でアナログy座標電圧(V
Y)を生成する。タッチスクリーンドライバ回路(42)は、ワイパ層(11)を第1基準電圧(V
DD)に結合し、第3(LR)および第4(LL)の接触端子を第2基準電圧(GND)に結合し、第1(UL)および第2(UR)の接触端子をアナログデジタル変換回路(48)の入力(56)に結合して、アナログデジタル変換回路(48)の入力(56)でアナログz座標電圧(V
Z)としてアナログタッチ電圧(V
Z)を生成する。
【0031】
記載される実施形態では、コントローラ(41)のデジタル出力が、少なくともデジタルバス(64)によってホストプロセッサ(66)に結合され、ホストプロセッサ(66)は、アナログy座標電圧(V
Y)と、アナログz座標電圧(V
Z)と、タッチスクリーン抵抗(R
Y)の所定値とに対応するタッチ抵抗(R
Z)の値を計算する。ホストプロセッサ(66)は、タッチ抵抗(R
Z)とタッチ強さ(P
touch)間の所定の関係に基づいて、タッチ抵抗(R
Z)の値からタッチ強さ(P
touch)の値を計算する。
【0032】
記載される実施形態では、アナログデジタル変換回路(48)は、アナログx座標電圧(V
X)を抵抗性接触領域(30)のx座標を表すデジタルのx座標位置数値に変換する。アナログデジタル変換回路(48)はさらに、アナログy座標電圧(V
Y)を抵抗性接触領域(30)のy座標を表すデジタルのy座標位置数値に変換する。アナログデジタル変換回路(48)はさらに、アナログz座標電圧(V
Z)を接触領域(30)上のタッチ抵抗(R
Z)を表すz座標位置数値に変換する。
【0033】
記載される実施形態では、ホストプロセッサ(66)は、デジタルのx座標位置数値をx座標デジタル電圧値(V
X)に変換し、デジタルのy座標位置数値をy座標デジタル電圧値(V
Y)に変換する。ホストプロセッサ(66)は、デジタルのz座標位置数値をz座標デジタル電圧値(V
Z)に変換し、さらにz座標デジタル電圧値(V
Z)をタッチ抵抗(R
Z)のデジタル値に変換する。ホストプロセッサ(66)は、タッチ抵抗(R
Z)のデジタル値に基づいて、タッチ強さ(P
touch)の値を計算する。
【0034】
記載される実施形態では、タッチスクリーンドライバ回路(42)は、第1基準電圧(V
DD)に結合されるソース、およびワイパ層(11)、第2接触端子(UR)、第3接触端子(LR)、および第1接触端子(UL)に結合されるドレインを有する第1(Q1)、第2(Q2)、第3(Q3)、および第4(Q5)のPチャネルスイッチングトランジスタと、第2基準電圧(GND)に結合されるソース、およびそれぞれ第3接触端子(LR)および第4接触端子(LL)に結合されるドレインを有する第5(Q4)および第6(Q6)のNチャネルスイッチングトランジスタとを含む。第1、第2、第3、第4、第5、および第6のスイッチングトランジスタのゲートは、タッチスクリーンドライバ回路(42)の動作を制御してアナログx座標電圧(V
X)、アナログy座標電圧(V
Y)、およびアナログz座標電圧(V
Z)を測定するためのタッチスクリーンドライバ制御回路(68)に結合される。記載される実施形態では、前処理回路(50)が、アナログデジタル変換回路(48)の出力(60)とデジタルバス(64)との間に結合されて、アナログデジタル変換回路(48)の出力(60)上のデジタル信号をフィルタリングする。
【0035】
一実施形態では、本発明は、5線タッチスクリーンシステム(40)を動作させるための方法を提供する。この方法は、ワイパ層(11)およびワイパ層(11)に整合される抵抗性層(16)を含み、さらに、第1(UL)、第2(UR)、第3(LR)、および第4(LL)の接触端子も含む5線タッチスクリーンセンサ(10)であって、ワイパ層(11)へのタッチによりワイパ層(11)の小部分(31)が抵抗性層(16)に対して押され、それによって、ワイパ層(11)の接触領域(31)と抵抗性層(16)の抵抗性接触領域(30)の間のタッチ抵抗(R
Z)を生じさせまたはそれを実質的に変化させ、タッチ抵抗(R
Z)がタッチの強さ(P
touch)に反比例する、タッチスクリーンセンサを提供することと、ワイパ層(11)および様々な接触端子(UL、UR、LR、LL)をそれぞれ第1(V
DD)および第2(GND)の基準電圧に選択的に結合して、抵抗性接触領域(30)における抵抗性層(16)でタッチ抵抗(R
Z)の関数であるアナログタッチ電圧(V
Z)を生成することと、ワイパ層(11)および様々な接触端子(UL、UR、LR、LL)をアナログデジタル変換回路(48)の入力(56)に選択的に結合し、アナログデジタル変換回路(48)によってアナログタッチ電圧(V
Z)をそのデジタル表現(60)に変換することとを含む。
【0036】
一実施形態では、この方法は、第1(UL)および第2(UR)の接触端子を第1基準電圧(V
DD)に結合し、第4(LL)および第3(LR)の接触端子を第2基準電圧(GND)に結合し、ワイパ層(11)をアナログデジタル変換回路(48)の入力(56)に結合して、アナログデジタル変換回路(48)の入力(56)でアナログy座標電圧(V
Y)を生成することと、第2(UR)および第3(LR)の接触端子を第1基準電圧(V
DD)に結合し、第1(UL)および第4(LL)の接触端子を第2基準電圧(GND)に結合し、ワイパ層(11)をアナログデジタル変換回路(48)の入力(56)に結合して、アナログデジタル変換回路(48)の入力(56)でアナログx座標電圧(V
X)を生成することと、第3(LR)および第4(LL)の接触端子を第2基準電圧(GND)に結合し、ワイパ層(11)を第1基準電圧(V
DD)に結合し、第1(UL)および第2(UR)の接触端子をアナログデジタル変換回路(48)の入力(56)に結合して、アナログデジタル変換回路(48)の入力(56)でアナログz座標電圧(V
Z)としてアナログタッチ電圧(V
Z)を生成することとを含む。
【0037】
一実施形態では、この方法は、アナログデジタル変換回路(48)の出力(60)を少なくともデジタルバス(64)によってホストプロセッサ(66)に結合することと、ホストプロセッサ(66)を動作させてアナログy座標電圧(V
Y)とアナログz座標電圧(V
Z)とタッチスクリーン抵抗(R
Y)の所定値とに対応するタッチ抵抗(R
Z)の値を計算することとを含む。
【0038】
一実施形態では、この方法は、アナログデジタル変換回路(48)を動作させて、アナログx座標電圧(V
X)を抵抗性接触領域(30)のx座標を表すデジタルのx座標位置数値に変換し、アナログy座標電圧(V
Y)を抵抗性接触領域(30)のy座標を表すデジタルのy座標位置数値に変換し、アナログz座標電圧(V
Z)を抵抗性接触領域(30)のz座標を表すデジタルのz座標位置数値に変換することを含み、ホストプロセッサ(66)はz座標位置数値に基づいてタッチ抵抗(R
Z)の値を計算する。一実施形態では、ホストプロセッサ(66)は、タッチ抵抗(R
Z)とタッチ強さ(P
touch)間の所定の関係に基づいて、タッチ抵抗(R
Z)の値からタッチ強さ(P
touch)の値を計算する。
【0039】
一実施形態では、本発明は、5線タッチスクリーンシステム(40)を提供する。タッチスクリーンシステム(40)は、5線タッチスクリーンセンサ(10)を含み、5線タッチスクリーンセンサ(10)は、ワイパ層(11)およびワイパ層(11)に整合される抵抗性層(16)を含み、さらに、第1(UL)、第2(UR)、第3(LR)、および第4(LL)の接触端子を含む。ワイパ層(11)へのタッチによりワイパ層(11)の小部分が抵抗性層(16)に対して押されて、ワイパ層(11)の接触領域(31)と抵抗性層(16)の抵抗性接触領域(30)の間のタッチ抵抗(R
Z)を生じさせ、タッチ抵抗(R
Z)はタッチの強さ(P
touch)に反比例する。タッチスクリーンシステム(40)は、ワイパ層(11)および様々な接触端子(UL、UR、LR、LL)をそれぞれ第1(V
DD)および第2(GND)の基準電圧に選択的に結合して、抵抗性接触領域(30)における抵抗性層(16)でタッチ抵抗(R
Z)の関数であるアナログタッチ電圧(V
Z)を生成する手段(42)と、ワイパ層(11)および様々な接触端子(UL、UR、LR、LL)をアナログデジタル変換手段(48)の入力(56)に選択的に結合して、アナログタッチ電圧(V
Z)をそのデジタル表現(60)に変換する手段(44)とを含む。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図7Aおよび
図7Bは、ワイパ層11の小領域31にタッチ圧力が印加されたタッチスクリーン10(
図1)の等価回路を示す。タッチ圧力の印加により、上部層12の表面に対してワイパ層11の小領域31が押され、それによって、抵抗性層16上に抵抗性タッチ圧力接触領域30が形成される。タッチ圧力接触領域30および31により、ワイパ11と抵抗性層16の間に接触抵抗R
Z(または、接触抵抗R
Zの極めて大きな変化)が生じる。
図7Aおよび
図7Bに模式的に示すように、点線33がタッチ圧力接触領域抵抗R
Zを囲んでいる。
図1の分解図に示すように、抵抗性層16(
図2も参照)は、導電性パッド15−1、15−2、15−4、および15−3にそれぞれ対応する左上、右上、左下、および右下のコーナーに端子UL、UR、LL、およびLRを備えた個別の抵抗器の矩形グリッドとして表されている。
【0054】
圧力接触領域抵抗R
Zは、抵抗性層16とワイパ11の間で直列に接続される。基準電圧源38の(+)端子は、
図7Aに示すようにワイパ11の接触端子35と導体28との間に、または、
図7Bに示すようにワイパ11の接触端子35と導体27の間に電圧V
DDを生成する。この場合、ワイパ抵抗(
図5および
図9のR
wiper)はゼロであると仮定とする。
【0055】
図7Aは、導体26と28の間の抵抗性層16の抵抗R
YがR
Y1とR
Y2の和に等しいことを示す。ここで、R
Y1は導体26とタッチ圧力接触領域30の間の抵抗性層16の抵抗であり、R
Y2はタッチ圧力接触領域30と導体28の間の抵抗である。
【0056】
図8Aの簡略化した等価回路は、
図7Aよりもより明瞭に、抵抗R
Y1を介した導体26とタッチ圧力接触領域30との結合を示す。タッチ圧力接触領域30は、抵抗R
Y2によって導体28に結合される。接触領域30と31の間の(
図7Aおよび
図7Bで点線33によって囲まれている)抵抗R
Zは、抵抗性層16とワイパ層11の間の接触抵抗である。5線抵抗性タッチスクリーン10(
図1および
図2参照)のタッチ圧力接触抵抗R
Zを測定するには、ワイパ11の接触端子35と導体28(
図7Aおよび
図8A参照)の間にV
DDを印加する。抵抗性層16に対するタッチ圧力接触領域30の位置でのタッチ圧力電圧V
Z−Yは、抵抗R
Y2両端の電圧である。抵抗R
Y1を流れる電流はゼロなので、導体26にかかる電圧はV
Z−Yに等しい。というのは、導体26は電気的に「フローティング」であるからである。
【0057】
そのため、タッチ抵抗R
Zは、導体26と28の間で測定されるタッチ圧力電圧V
Z−Yの値を測定することによって判定することができる。(定義では、圧力は単位面積当たりの力に等しいこと、また、本明細書での本発明の説明はタッチ強さが力または圧力のいずれで表されるにかかわらず適用可能であることに留意されたい。)V
Z−Yは、抵抗R
ZおよびR
Y2からなる電圧分周器によって生成される電圧であり、式3によって表し得ることに留意されたい。
V
Z−Y=[R
Y2/(R
Z+R
Y2)]×V
DD (式3)
タッチ圧力接触抵抗R
Zについて解くために、式3を式4に書き換える。
R
Z=[(V
DD−V
Z−Y)/V
Z−Y]×R
Y2 (式4)
式4のR
Y2を式1で置き換えると、式5Aが得られる。
R
Z=(V
Y/V
DD)×[(V
DD/V
Z−Y)−1]×R
Y (式5A)
このように、この時点のタッチ抵抗R
Zは、V
DDおよびR
Yのすでに既知の値ならびにV
Z−YおよびV
Yの測定値の関数である。
【0058】
同様に、5線抵抗性タッチスクリーン10(
図1および
図2参照)のタッチ圧力接触抵抗R
Zを測定するには、ワイパ11の接触端子35と導体27(
図7Bおよび
図8B参照)の間に電圧V
DDを印加する。
図8Bの簡略化した等価回路は、
図7Bよりもより明瞭に、抵抗R
X1を介した導体29とタッチ圧力接触領域30の結合を示す。抵抗性層16に対するタッチ圧力接触領域30の位置でのタッチ圧力電圧V
Z−Xは、抵抗R
X2両端の電圧である。抵抗R
ZおよびR
X2からなる電圧分周器によって生成される電圧およびタッチ圧力接触抵抗V
Z−Xも、式4および式5に類似の式を用いて式5Bで表現し得る。
R
Z=(V
X/V
DD)×[(V
DD/V
Z−X)−1]×R
X (式5B)
R
Zを測定するために、ユーザは式5Aまたは式5Bを適用するか、あるいは、式5Aおよび式5Bの両式の結果を平均することができる。さらなる説明を簡略化するために、式5Aのみを用いることとする。
【0059】
図9は、
図8Aに示すものと同じ簡略化した等価回路であるが、ワイパ11の抵抗R
wiperをさらに含んでいる。ここでR
wiperは、タッチ圧力接触領域31と電圧源38の(+)端子との間に結合される任意の他の等価接続および/または配線抵抗を含めて、ワイパ層11のすべての抵抗を含む。多くの場合、R
Zと電圧源38の(+)端子の間の抵抗R
wiperは、ワイパ層11を構成する抵抗性ITO層の抵抗(
図4参照)およびワイパ11の接触端子35と電圧源38の(+)端子との間の任意の接続/配線抵抗のために、極めて重要になり得る。ワイパ11に関連する全抵抗R
wiperを考慮すると、式5Aは式6になる。
R
Z+R
wiper=(V
Y/V
DD)×[(V
DD/V
Z−Y)−1]×R
Y (式6)
【0060】
上のワイパ層11と下の抵抗性層16の間のタッチ抵抗R
Zは、タッチ強さ(例えば、タッチ圧力またはタッチ力)の関数であり、従って、タッチ抵抗R
Zを用いてタッチ強さP
touchを計算することができる。5線抵抗性タッチスクリーンの表面の任意の位置に対して加えられるタッチ強さは、タッチ強さ接触抵抗R
Zに反比例する。そのため、R
ZとP
touch間の関係を決める条件が全く同じであれば、タッチが重いほどR
Zが減少し、タッチが軽いほどR
Zが増加する。一般に、タッチスクリーン10へのタッチ強さP
touchはR
Zの関数であり、下記の多項式形式で表し得る。
P
touch=a0+a1×R
z+a2×R
Z2+a3×R
Z3+... (式7)
ここで、係数a0、a1、a2、a3などは実数である。式7の係数は、タッチスクリーンが異なれば異なる値になる。現況技術のタッチスクリーンにタッチすることにより生じるタッチ圧力接触抵抗R
Zの測定分解能または精度は通常極めて低く、許容範囲の正確さでタッチ強さP
touchの値を計算するのに、通常は、式7の項のうちおよそ4〜5項よりも多く使う必要はない。任意の特定のタッチスクリーンについてのタッチ抵抗R
Z間の関数上の関係は、適切なキャリブレーション手順によって判定することができる。式7を簡略化した例として、下記表現によって式7を近似し得る。
P
touch=1/(α+β×R
Z) (式8)
ここで、係数αおよびβは正の実数であり、タッチパネルの構造および材料よって決まるものであり、P
touchとR
Z間の関係を決めるためにキャリブレーションによってユーザが容易に得ることができる。
【0061】
ワイパに関連する全抵抗R
wiperは任意の単一のタッチポイントで一定なので、タッチ強さは、式6からのR
Zを代入することによって式8から導出することができ、式9で表される。
【数1】
ここで、α’=α−β×R
wiperは、5線抵抗性タッチスクリーン上の任意の固定ポイントにおける定数である。
図9の回路によって実現される方法を利用すると、5線抵抗性タッチスクリーン上の任意の位置でのタッチ抵抗をR
Zによって測定することができる。R
Zは、式5Aおよび/または式5B、あるいはワイパ層11のスクリーン抵抗を考慮する場合には式6から得ることができる。式9(
図9に示すようにR
wiperを考慮する場合)と式8(
図8Aおよび
図8Bに示すようにR
wiperを考慮しない場合)とを比較すると、R
ZとP
touch間の関係の表現は、5線抵抗性タッチスクリーン上のあらゆるタッチ領域において同じである。
【0062】
図10は、ホストプロセッサ66とインターフェースし得るタッチスクリーンコントローラ41に結合されるタッチスクリーン10を含むタッチスクリーンシステム40を示す。タッチスクリーンシステム40は、前述の式で表される電圧V
X、V
Y、およびV
Z(すなわち、V
Z−YまたはV
Z−X)の測定値のデジタル表現を提供する。代替として、また多くの場合好ましくは、タッチスクリーンシステム40は、電圧V
X、V
Y、V
Zの測定値を表すデジタルのx、y、およびz「座標値」を提供することができ、それによってタッチスクリーン10上の3次元タッチ位置が完全な形で示される。
【0063】
タッチスクリーンコントローラ41とタッチスクリーン10の間に結合される5つのアナログ信号がある。タッチスクリーンコントローラ41は、タッチスクリーン10のワイパ11の接触端子35に接続される。タッチスクリーンコントローラ41は、タッチスクリーン10の端子UL、UR、LR、およびLLにも接続される。端子UL、UR、LR、およびLLならびにワイパ11の接触端子35は、タッチスクリーンコントローラ41内のタッチスクリーンドライバ回路42に接続され、さらに、タッチスクリーンコントローラ41のマルチプレクサ44の入力に接続される。マルチプレクサ44は、これらの導体のいずれが、V
X、V
Y、およびV
Zをデジタルタッチデータに変換するADC(アナログデジタルコンバータ)48の入力56に多重化されるかを決定する。デジタルタッチデータは、(例えば、ノイズフィルタリングを実施し得る)前処理回路50の後で、従来のデジタルインターフェース制御回路54およびデジタルバス64を介してホストプロセッサ66に送信される。
【0064】
ワイパ11は、接触端子35によって、V
DDに接続されるソースを有するPチャネルスイッチングトランジスタQ1のドレインに接続される。V
DDは、PチャネルスイッチングトランジスタQ2、Q3、およびQ5のソースにも接続される。トランジスタQ2、Q3、およびQ5のドレインはそれぞれ、UR端子15−2、LR端子15−3、およびUL端子15−1に接続される。NチャネルスイッチングトランジスタQ4およびQ6のソースは接地に結合される。トランジスタQ4のドレインはLR端子15−3に接続され、トランジスタQ6のドレインはUL端子15−1に接続される。トランジスタQ1、2...6のゲートは、簡単な論理回路に従って、あるいはホストプロセッサ66からの適切な制御信号またはコマンドに従って制御され得るタッチスクリーンドライバ42のドライバコントローラ回路68に接続される。
【0065】
タッチスクリーンシステム40は、タッチスクリーン10、タッチスクリーンコントローラ41、およびホストプロセッサ66の一部を含むとみなし得る。タッチスクリーンシステム40の一部とみなし得るホストプロセッサ66の部分66Aが、デジタルインターフェース制御回路54およびタッチ検出器46を介してタッチスクリーンコントローラ41と通信する部分である。部分66Aは、タッチスクリーンコントローラ41に関連する上述の計算を実施するソフトウェアとタッチスクリーンドライバ42の動作に関連するソフトウェアを含むとみなし得る。ホストプロセッサ66の部分66Aは、タッチスクリーン10に関連するデータの記憶とホストプロセッサ66の別の場所にあるアプリケーションソフトウェアへのデータの通信とに関連するソフトウェアおよびハードウェアも含むとみなし得る。
【0066】
ドライバコントローラ68内のスイッチトランジスタは、以下で説明する表1を実施する、簡単な状態機械などの様々な回路によって容易に制御し得る。ドライバコントローラ68は、ホストプロセッサ66から導体またはバス65およびデジタルインターフェース制御回路54を介してコマンドを受信し得る。
【0067】
マルチプレクサ44は、タッチスクリーン10からの導体35、15−1、15−2、15−3、および15−4上の5つの信号を多重化して、基準電圧V
REF+およびV
REF−を生成し、ADC48の入力導体56上のアナログ入力信号も生成する。(PENIRQは、ワイパ接触端子35に接続される入力を有するタッチ検出器回路46からの割り込み出力であり、タッチスクリーン10へのタッチが検出されたかどうかを示す。)
【0068】
表1は、様々なトランジスタ(またはスイッチ)Q1〜Q6の状態、抵抗性層16およびワイパ11の様々な端子の接続(すなわち、マルチプレクサ44へのアナログ入力)、ならびにV
X、V
Y、およびV
Zを測定するためにタッチスクリーンコントローラ41の動作中にマルチプレクサ44からADC48に出力される電圧基準信号およびアナログ信号を示す。
【表1】
ADC(アナログデジタルコンバータ)48は、測定された導体56上のアナログ電圧V
X、V
Y、V
Zを、表1に示す様々な状態に従ってデジタルバス60上のデジタル値に変換する。
【0069】
先に示したように、ワイパコンタクト35はQ1を介してV
DDに選択的に結合され、URはQ2を介してV
DDに選択的に結合される。LRはQ3を介してV
DDに、Q4を介して接地に選択的に結合される。ULはQ5を介してV
DDに、Q6を介して接地に選択的に結合される。
【0070】
表1を参照すると、V
Xを測定するには、Q1をオフにし、それによってワイパコンタクト35がマルチプレクサ44を介してADC入力56に結合される。Q2をオンにし、それによってURがV
DDに結合される。Q3をオンにし、それによってLRがV
DDに結合される。Q3およびQ4は同時に両方オンにはなり得ず、Q3がオンなのでQ4がオフになる。Q5をオフにし、Q6がオンになる。以上は、ULおよびLLがともに接地に結合され、URおよびLRがともにV
DDに結合されることを意味する。Q2およびQ3はともにオンであり、URおよびLRはともにV
DDである。Q1がオフなので、ワイパコンタクト35は電気的にフローティングである。Q6がオンなのでULは接地され、LLは常に接地されている。ADC48のV
REF+基準電圧入力はULおよびLRに接続され、そのため、ADC48のV
REF+入力に結合されているV
DDにほぼ等しい電圧になる。ADC48のV
REF−基準電圧入力はULおよびLLに接続され、そのため、ADC48のV
REF−基準電圧入力に接続されている接地にほぼ等しい電圧になる。
図6Bを参照されたい。
【0071】
V
Yを測定するには、Q1をオフにし、それによってワイパコンタクト35がマルチプレクサ44を介してADC入力56に結合される。Q2をオンにし、それによってURがV
DDに結合される。Q4をオンにし、それによってLRが接地に結合される。Q3およびQ4は同時に両方オンにはなり得ず、Q4がオンなのでQ3がオフになる。Q5をオンにし、Q6がオフになる。以上は、LRおよびLLがともに接地に結合され、URおよびULがともにV
DDに結合されることを意味する。Q2およびQ4はともにオンなので、URおよびULはともにV
DDである。Q1がオフなので、ワイパコンタクト35は電気的にフローティングである。Q5がオンなのでLRは接地され、LLは常に接地されている。ADC48のV
REF+基準電圧入力は、ULおよびURに接続され、そのため、ADC48のV
REF+入力に結合されているV
DDにほぼ等しい電圧になる。ADC48のV
REF−基準電圧入力はLRおよびLLに接続され、そのため、ADC48のV
REF−基準電圧入力に接続されている接地にほぼ等しい電圧になる。
図6Aを参照されたい。
【0072】
V
Zを測定するには、Q1をオンにし、それによってワイパコンタクト35がV
DDに接続される。Q2はオフであり、それによってURが電気的にフローティングである。Q3をオフにし、Q4がオンになり、それによってLRが接地される。Q5およびQ6がともにオフであり、それによってULが電気的にフローティングである。LLは接地されている。アナログデジタル変換回路の入力はULおよびURに接続される。ADC48のV
REF+基準電圧入力はワイパコンタクト35に接続される。ADC48のV
REF−基準電圧入力はLRおよびLLに接続される。
図7Aおよび
図8Aを参照されたい。
【0073】
ADC48によってデジタルバス60上に生成されるデジタル出力は、前処理回路50への入力として提供される。前処理回路50は、ホストプロセッサ66に測定量を送信する前にノイズを低減するデジタル平均化フィルタとして機能し得る。前処理回路50は、データ検証などの他の様々な機能も実施し得る。前処理回路50の出力は、デジタルバス62によってデジタルインターフェース制御回路54に結合され、デジタルインターフェース制御回路54は、双方向デジタルバス64でホストプロセッサ66に結合される。
【0074】
タッチスクリーン10およびタッチドライバ42は、ADC48の入力56へのアナログ電圧V
X、V
Y、およびV
Zの値を生成する。V
X、V
Y、およびV
Zは、タッチスクリーン10上の3次元タッチ位置座標、すなわち、それぞれ式1〜式3で表されるV
X、V
Y、およびV
Zを表す。典型的には、ADC48によって生成されるV
X、V
Y、およびV
Zのデジタル値は、実際には、デジタルのx、y、およびz座標位置数値、例えば、マルチプレクサ44によってADC48の入力56上に生成されるV
X、V
Y、およびV
Zのアナログ値の各々に対応する2046、4096など、である。ADC48は、V
X、V
Y、およびV
Zのアナログ値をデジタルのx、y、およびz座標位置数値への変換を実行し、それらを前処理回路50およびデジタルインターフェース制御回路54を介してホストプロセッサ66に提供する。ホストプロセッサ66は、これらのデータを特定のユーザアプリケーションに提示、適用、かつ/または解釈する。
【0075】
このように、タッチスクリーン10への現時点のタッチに対するV
X、V
Y、およびV
Zのデジタル表現(すなわち、V
Z−YまたはV
Z−X)、例えば、アナログ電圧V
X、V
Y、およびV
Zを表すデジタルのx、y、およびzタッチスクリーン座標位置数値、はコントローラ41によってホストプロセッサ66に提供される。測定されたアナログ電圧V
X、V
Y、およびV
Zの直接的デジタル化表現がドライバ42によって提供される場合、ホストプロセッサ66は、その情報を用いてV
XおよびV
Yに対応するタッチ位置を特定し、R
Zの値を計算し、さらにP
touchの値を計算し得る。次いで、ホストプロセッサ66は、現在のユーザアプリケーションまたは目的のためにこれらの値を用いることができる。
【0076】
次いで、ホストプロセッサ66は、R
Zの値を用いて他の方法でシステムノイズを取り除き、かつ/または、タッチポイント情報の精度を改善してもよい。例えば、z座標情報は、極めて軽い圧力タッチポイントに見えるものが実際には単に振動によるものかどうかを判断する助けになり得る。
【0077】
タッチポイント抵抗R
Zとタッチ圧力または強さP
touch間の関係は複雑であることがあり、様々なユーザは、
図10に示すタッチスクリーンシステム40によって生成されるV
X、V
Y、およびV
Zのデジタル表現に基づいて、ホストプロセッサ66を用いて様々なアルゴリズムを実行してタッチ圧力または強さP
touchを計算し得る。ホストプロセッサ66を用いて、任意の特定のタッチスクリーン10についてP
touchとR
Z間の関係を確立/キャリブレーションし、タッチスクリーンシステム40によって生成されるV
X、V
Y、およびV
Zの値に基づいて、ワイパ層11に加えられるタッチ圧力または強さP
touchを計算し得る。
【0078】
本発明は、それを元に、5線タッチスクリーン上の任意の点で第3次元座標値R
Zを得ることが可能であり、タッチポイント圧力を計算することが可能である測定値を生成し、それにより、ホストプロセッサが5線タッチスクリーンシステムを用いて以前に可能だったものよりも多くの機能をより高い精度で実施し得る第1の5線タッチスクリーンシステムが提供されると考えられることを理解されたい。このことは、図形描画、線または点のサイズの決定、有効な署名を提供するために加えられるタッチ強さが極めて重要でとなり得る署名認証など、いくつかの応用例では極めて有用になり得る。本発明の強さ/z座標技術を用いれば、タッチスクリーンシステムは3次元座標を生成することができ、それによって、「3次元」すなわち「現実世界」のアプリケーションがサポートされる。一般に、どのくらい大きなタッチ強さがタッチスクリーンに加えられるかに関する情報は、タッチスクリーンシステムの全体的な性能を改善する助けになり得る。
【0079】
上記の状態機械を用いてドライバコントローラ68を実現することに加えて、タッチスクリーンドライバ42を制御する他の方法がある。ドライバコントローラ68は、状態機械以外の論理回路によって実現し得る。ホストプロセッサ66は、ドライバコントローラ68の動作を初期化して、表1に従ってタッチスクリーンドライバ42を作動させることができる。ドライバコントローラ68自体はプログラマブルとし、それによって、タッチスクリーン表面でタッチ動作が検出された場合、タッチスクリーンドライバ42が自動的に動作して所望のとおりにV
X、V
Y、およびV
Zを測定するようにすることができる。あるいは、タッチスクリーン10の表面への有効なタッチに応答してドライバコントローラ68を制御するように前処理回路50を構成することもできる。
【0080】
例示の実施形態の文脈で説明した特徴またはステップの全部または一部を有する例示の実施例の文脈で説明した一つ又は複数の特徴又はステップの異なる組合せを有する実施形態も本明細書に包含されることを意図している。当業者には、本発明の特許請求の範囲内で多くの他の実施形態および変形も可能であることが理解されよう。