(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
多くのコンピュータシステムは、揮発性と不揮発性メモリ装置を備えている。揮発性メモリは一般的に、コンピュータプログラムによって使用されるデータのように、システムが迅速に交換することを必要とするデータを格納するために用いられる。揮発性メモリは、電源が切れるとそのデータを失う。揮発性メモリの例は、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)とダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)を含む。
【0003】
不揮発性メモリは一般的に長期間セーブする必要があるか、又はある程度のセキュリティを必要とするデータを格納するために用いられる。そのようなデータの例は、BIOS、プログラムコードおよびシステムソフトウェアである。不揮発性メモリ装置は、リードオンリィメモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、フラッシュ、磁気記憶媒体、コンパクトディスク、レーザディスクおよび光学ディスクを含む。
【0004】
揮発性メモリ回路と不揮発性メモリ回路の両方を含むいくつかのメモリセルが開発されてきた。例えば、特許文献1〜4は、揮発性メモリ回路に格納されたデータがメモリセルから電源が切れても失われないように揮発性回路の状態を格納する不揮発性回路を有するメモリセルを開示している。これらのメモリセルのサイズは、追加の不揮発性回路を収容するために通常の揮発性メモリセルのサイズよりも大きい。従って、揮発性および不揮発性回路の両方を含むメモリセルのシリコンの面積当りの数は、通常の揮発性メモリセルの数より少ない。
【0005】
さらに、揮発性と不揮発性メモリ回路を有する通常のメモリセルの動作を制御するためには、複雑な回路又は追加の電源電圧が要求される。その回路は、メモリセルの不揮発性メモリをプログラムするためにその作動又は追加の電源電圧を呼び出す追加のコマンドを必要とする。
【0006】
特許文献5は、予めプログラムされた状態を有するRAMセルの第1ブロックと、通常のランダム・アクセス・メモリセルの第2ブロックとの組合せを有するメモリ装置を開示している。選択回路はRAMセルの第1ブロックをそれらの予めプログラムされた状態へリセットするように構成されている。所望のROMコードが、トランジスタをセル内で不平衡にすることによってRAMの第1ブロック内に格納されるので、そのセルはRAMセルの第1ブロック内に格納されるべきROMコードに一致する所望の所定状態にパワーアップする。選択回路は、RAMセルがROMコードによってパワーアップするようにRAMセルの第1ブロックに印加される電源を変化させる。従って、RAMセルの第1ブロックは、同じセル構造を用いて揮発性と不揮発性メモリの両方として作動するように構成される。
【0007】
特許文献6は、交差結合インバータを有するメモリセルを備えたスタティックCMOS・RAMを開示し、そこではいくつかのセルが、各セルのインバータの1つの入力を、固定された低電位と固定された高電位の一方に接続することと、インバータの出力を各セルの他のインバータの入力に接続することによって、ROMセルとして作動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
単純化された製造方法によって製造することができる揮発性セルと不揮発性セルの組合せを備えるメモリ装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による新しい半導体メモリは、揮発性と不揮発性セルのアレーを備える。
【0011】
新しい半導体メモリは、従来のRAM装置の製造方法とほぼ同一の製造方法によって製造可能である。
【0012】
新しい半導体メモリは、ウェハ処理時に適用されるマスクの1つを変更することを除いて、従来のRAM装置の製造方法と同一の製造方法によって製造可能である。
【0013】
揮発性セルを、所望の論理「1」又は論理「0」を含む不揮発性セルに変えるために1つの拡散マスクを変更することが、好ましい。
【0014】
新しい半導体メモリの単一のマスクのプログラム可能性によって、その装置は融通性が与えられるので、そのメモリの不揮発性部分の内容の変更とメモリの不揮発性部分のサイズの変更を時間的におよびコスト的に効果のある方法で行うことが可能になる。
【0015】
従って、この発明の半導体メモリは、個々の揮発性メモリセルが第1メモリセル回路の中で接続されるトランジスタを有する揮発性メモリセルのアレーと、第2メモリセル回路の内で接続されるトランジスタを有する少なくとも1つの不揮発性メモリセルとを備え、第1メモリセル回路は第2メモリセル回路に少なくとも1つのトランジスタを追加することによって形成されるか、又は設計される、つまり、前記第1メモリセル回路は前記第2メモリセル回路に追加される少なくとも1つのトランジスタを有する。
【0016】
揮発性メモリの例は、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)とダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)などを含む。
【0017】
不揮発性メモリの例は、リード・オンリー・メモリ(ROM)、プログラマブル・リード・オンリー・メモリ(PROM)、イレーザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリ(EPROM)、エレクトリカリィ・イレーザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリ(EEPROM)などを含む。
【0018】
メモリは、マルチポートメモリ、つまり、多数のセルが同じ読出し・書込みサイクル期間にアクセスされることが可能なメモリ、例えば2つのメモリセルが同じ読出し・書込みサイクル期間に同時にアクセスされることが可能なデュアルポートメモリであってもよい。第1メモリセル回路はスタティックRAMメモリセル回路であってもよい。
【0019】
第1メモリセル回路は、例えば従来のECL・RAMインバータにおける2つのトランジスタによって形成された、又は従来のスタティックCMOS・RAMにおける4つのトランジスタによって形成された2つの交差結合インバータのように接続されたトランジスタを含むことができる。
【0020】
好ましくは、半導体メモリはCMOSの中に作られるが、半導体メモリは、バイポーラの方法などのようなIC用の適当な方法によって製造されることが可能である。
【0021】
好ましくは、ROMメモリセルはマスク・プログラマブルROMメモリセルであり、第2メモリセル回路は、例えば対応する拡散マスクを設けることによって得ることができる。
【0022】
新しい半導体メモリは、例えばデジタル信号プロセッサのオンチップRAM回路として又はデジタル信号プロセッサと無関係なチップ上で、補聴器のデジタル信号プロセッサによって使用されることが可能である。新しい半導体メモリの不揮発性部分は、外部の不揮発性メモリ装置からデジタル信号プロセッサのRAMへデジタル信号プロセッサによって実行されるデジタル信号プロセッサ・ローディング・プログラム用のブートストラップ・ローダを含むことができる。
【0023】
新しい半導体メモリの不揮発性部分はまた、デジタル信号プロセッサによって実行される信号処理プログラムを含む。
【発明を実施するための形態】
【0026】
新しい半導体メモリは、添付図面を参照して以下に、さらに十分に説明され、種々の実施例が示される。添付図面は概略的であり、簡明にするために単純化されており、それらの図面は添付の特許請求の範囲において定義される発明の理解に不可欠な詳細を示すが、他の詳細は除かれている。
【0027】
添付の特許請求の範囲において定義される発明は、添付図面に示さない異なる様式で具体化することができ、ここに述べる実施例に限定されるように構成されるものではない。むしろ、これらの実施例は、これらの開示が完璧で完全なものであり、当業者に対して添付の特許請求の範囲に定義された発明の範囲を十分に伝えるであろう。
【0028】
同じ参照番号は、全体を通して同じ要素を引用する。
【0029】
図1は、この発明による新しい半導体メモリの一実施例のRAMメモリセルのアレーの1つの従来のスタティック(static)CMOS RAMメモリセル10を示す。図示されたメモリセル10は、第1メモリセル回路20内で接続された2つの交差結合インバータを備える。
【0030】
SRAMセル10は従来のスタティックRAMセルとして作動する6つのトランジスタからなるセルである。
【0031】
SRAMセル10は2つの交差結合CMOSインバータ回路を備える。第1インバータ回路は、NMOSトランジスタ24に直列結合されたPMOSトランジスタ22を備える。PMOSトランジスタ22は、電源V
DDに結合されたソースと、NMOSトランジスタ24のドレインにノード34で結合されたドレインと、NMOSトランジスタ24のゲートとノード36に結合されたゲートを有する。NMOSトランジスタ24はグランド(Gnd)に結合されたソースを有する。第2インバータ回路は、NMOSトランジスタ28に直列結合されたPMOSトランジスタ26を備える。PMOSトランジスタ26は、PMOSトランジスタ22と電源V
DDとに結合されたソースと、NMOSトランジスタ28のドレインにノード36で結合されたドレインと、NMOSトランジスタ28のゲートとノード34とに結合されたゲートを備える。NMOSトランジスタ28のソースはグランドに結合されている。
【0032】
SRAMセル10はまた、パス(pass)トランジスタ30と32を備える。パストランジスタ32は、ノード34に結合されたソース(ドレイン)端子とビットライン(bit line)38に結合されたドレイン(ソース)端子を備える。パストランジスタ30は、ノード36に結合されたソース(ドレイン)端子と〔ビットライン〕40に結合されたドレイン(ソース)端子を備える。ビットライン(bit line)38と〔ビットライン〕40は列デコーダ(column decoder)に接続可能である。パストランジスタ32と30のゲートはワードライン(word line)42に結合されている。ワードライン42は行デコーダ(row decoder)に接続可能である。ワードライン42が「high」の論理状態にあるとき、パストランジスタ32と30はビットライン38と〔ビットライン〕40の電圧をノード34と36へ、それぞれパスさせることができる。
【0033】
ワードライン42が「high」の論理状態に駆動されるとき、ビットライン38と〔ビットライン〕40上の電圧を駆動することによって、データがノード34と36に書込まれると共に、ビットライン38と〔ビットライン〕40へパスされる電圧を検知することによって、データをノード34と36から読出すことができる。
【0034】
図2は新しい半導体メモリの1つのCMOS・ROMメモリセル10−1を示す。ROMメモリセル10−1は、第2メモリセル回路20−1内で接続されるトランジスタを有し、第1メモリセル回路20(
図1)は、第2メモリセル回路20−1に加えられるトランジスタ24を有するか、又は第2メモリセル回路20−1において、トランジスタ24は第1メモリセル回路20から削除されている。
【0035】
図示されたCMOS・ROMメモリセル10−1の電源がオンになると、漏洩電流がトランジスタ28をオンに、トランジスタ
26をオフにして、セル10−1は電源がオフになるまで、この状態が持続される。従って、CMOS・ROMメモリセル10−1は論理「1」を含む。
【0036】
論理「1」を含む他のCMOS・ROMメモリセルにおいては、PMOSトランジスタ26が、NMOSトランジスタ24の代わりに、第1メモリセル回路20から削除されている。
【0037】
図3は、新しい半導体メモリの他のCMOS・ROMメモリセル10−0を示す。ROMメモリセル10−0は第2メモリセル回路20−0内で接続されるトランジスタを有し、第1メモリセル回路20(
図1)は、第2メモリセル回路20−0に追加されるNMOSトランジスタ28を有するか、又は第2メモリセル回路20−0において、トランジスタ28は第1メモリセル回路20から削除される。
【0038】
図示されたCMOS・ROMメモリセル10−0の電源がオンになると、漏洩電流がトランジスタ24をオンに、トランジスタ2
2をオフにし
、トランジスタ26をオンにして、セル10−0は電源がオフになるまで、この状態が持続される。従って、CMOS・ROMメモリセル10−0は論理「0」を含む。
【0039】
論理「0」を含む他のCMOS・ROMメモリセルにおいては、PMOSトランジスタ22が、NMOSトランジスタ28の代わりに、第1メモリセル回路20から削除される。
【0040】
図4(a)は、新しい半導体メモリのRAMセル20のCMOSインバータを有する半導体材料のウェハの断面を示す。図示されたインバータのトランジスタの1つを削除する1つの方法は、好ましくは、別に形成されたPMOSトランジスタのp
+領域の拡散を削除することによって、あるいは、別に形成されたNMOSトランジスタのn
+領域の拡散を削除することによって、トランジスタのソースとドレインの一方を削除することである。これは、製造工程においてウェハに適用される各拡散マスクの対応するウィンドウ(窓)を省略することによって得ることができる。
図4(b)は、NMOSトランジスタが除去されている新しいRAMセル20−0又は20−1の断面を示す。
【0041】
図4(b)に示すように、トランジスタの実際の断面は、拡散マスクを除去したときに変化する。拡散マスクによって、薄いゲート酸化層は、ポリシリコンマスクと拡散マスクとが
図4(a)に示すように交差するところに形成される。この拡散マスクが除去されると、その代わりに
図4(b)に示すような厚い酸化物がポリシリコンゲートの下に形成される。
【0042】
図5は、上述の1つの新しいROMセルを備えワードアドレス0を有しビット値1101を格納する代表的な4×4RAM/ROMメモリアレーのブロック図を示す。
【0043】
図6は
図5の代表的な4×4RAM/ROMメモリアレーの回路図を示す。
【0044】
図7は、新しい半導体メモリの他の実施例のRAMメモリセルのアレーの従来のスタティックECL・RAMメモリセル10を示す。図示されたメモリセル10は、第1メモリセル回路20内において接続されるバイポーラトランジスタ24,28の形で2つの交差結合インバータを備える。
【0045】
SRAMセル10は従来のスタティックECL・RAMセルとして作動する4つのトランジスタを含むセルである。図示されたバイポーラトランジスタはNPNトランジスタである。しかし、電圧の極性を適当に変えることによって、PNPトランジスタであっても同様に働く。トランジスタ24と28はスイッチングトランジスタであり、トランジスタ30と32は制御トランジスタである。トランジスタ24と32は、スイッチングトランジスタ24と制御トランジスタ32からなる一対のトランジスタ(以下、「左ペアー」という)を形成し、トランジスタ28と30は他の一対のトランジスタ(以下、「右ペアー」という)を形成する。各対のトランジスタのコレクタとベースとが接続され、左ペアーのコレクタは右ペアーのベースに接続され、逆もまたそのようになっている。スイッチングトランジスタ24,28はコレクタとエミッタ間にバイアス電圧を印加することによってバイアスがかけられている。このバイアス電圧は、トランジスタ24と28のコレクタに抵抗21と23をそれぞれ介して接続されている。スイッチングトランジスタ24,28のエミッタはグランドに接続される。しかし、この電圧は必ずしもグランドである必要はない。というのは、それは、スイッチングトランジスタに正しいバイアスを与えるための供給電圧の大きさと極性の関係から選択されるからである。
【0046】
トランジスタにバイアスをかけることは、スイッチングトランジスタ24,28の一方が常にオン(コレクタとエミッタ間が導通)で他方がオフ(コレクタとエミッタ間が非導通)ということである。供給電圧は例えば+3ボルトであってもよい。トランジスタ24が導通(オン)であり、トランジスタ28がオフであると仮定する。左ペアー(オンのトランジスタを有する)のコレクタ電圧が0ボルトで、右ペア(オフのトランジスタを有する)のコレクタ電圧が1ボルトである。右ペアーのコレクタがトランジスタ24のベースに接続されているので、左ペアーのベース、これらのベースもまた、示されるように1ボルトである。スイッチングトランジスタ24,28のエミッタは0ボルトである。これによって、トランジスタ24において、1ボルトの正のベース・エミッタ電圧が与えられる。そのような正のベース・エミッタ電圧によって、トランジスタ24はオンに保持される。一方、左ペアーのコレクタは、右ペアーのベースに接続されている。トランジスタ28のベースは、従って、0ボルトである。これによって、トランジスタ28のベース・エミッタ電圧は0ボルトとなり、そのトランジスタは実質的にオフに保持される。
【0047】
書込み(WRITE)パルスが印加されないときには、制御トランジスタ30と32のエミッタは開放回路である。実質的にエミッタ電流は存在しないので、それらのエミッタ電圧はそれらのベース電圧に追従する傾向がある。制御トランジスタ30のベース電圧は
0ボルトであり、トランジスタ32のベース電圧は
1ボルトである。
【0048】
十分な大きさの負の書込み(WRITE)パルス8が制御トランジスタ30のエミッタに印加されてそのエミッタ電圧をベース電圧よりかなり低くするとき、制御トランジスタ30はオンになってコレクタ電圧(およびスイッチングトランジスタ28のコレクタ電圧)を0にする。トランジスタ24のベース電圧も0ボルトに低下し、正のベース・エミッタ電圧はもはや存在しないのでトランジスタ24はオフに変わる。次に、トランジスタ24のコレクタ電圧が1ボルトまで上昇し、スイッチングトランジスタ28のベース電圧を1ボルトまで引き上げ、トランジスタ28をオンにする。従って、前にオフであったトランジスタ28はオンに変わり、前にオンであったトランジスタ24はオフに変わる。しかしながら、もしこの書込みパルス(パルス9として示す)が制御トランジスタ
30(オフトランジスタを制御する)の代わりに制御トランジスタ32(オントランジスタを制御する)に送られた場合には、何も生じないであろう。左ペアーのコレクタはすでに0ボルトであり、スイッチングトランジスタ24はオンであったので、負のパルスは何も影響しない。従って、書込みパルスがスイッチング回路に送られ、その回路をすでに存在する状態と同じ状態(セット又はリセット)にしても、何も影響しない。
【0049】
スイッチングトランジスタのエミッタは、グランドに接続される代わりに、接地された制御パルス電源10に接続されてもよい。制御パルス正で、例えば、+1ボルトであってもよい。その時、書込みパルス8と9は、例えば、適当な制御トランジスタのエミッタ電圧を0ボルトまで低下させるに十分な値の負のパルスである。
【0050】
前述のように、トランジスタ28はオフであり、1ボルトのコレクタ電圧を有する。オン状態のトランジスタ24は0ボルトのコレクタ電圧を有する。スイッチングトランジスタ
24と
28のエミッタは、パルス電源10からのパルスが存在しないときに再び0ボルトになる。書込みパルス電源8と9からの書込みパルスがないとき、制御トランジスタ30と32のエミッタは再び開放される。
【0051】
エミッタを0ボルト又はグランドにするのに十分な書込みパルスが、書込みパルス電源8から制御トランジスタ30のエミッタに印加されるが、スイッチングトランジスタのエミッタには制御パルスが全く印加されないということを考える。トランジスタ30のベース電圧は0ボルトであるので、ベース・エミッタ電流が流れてトランジスタをオンにするに十分な正のベース・エミッタ電圧がトランジスタ30にまだ存在しない。従って、この場合、スイッチングは行われない。
【0052】
書込みパルスがトランジスタ30のエミッタに印加されると共に、1ボルトの制御パルスが
スイッチングトランジスタ24と28のエミッタに印加されるとき、左ペアーのコレクタ電圧(そのスイッチングトランジスタをオンにする)と、右ペアーのベース電圧は、0ボルトから1ボルトに上昇する。それに対応して、右ペアーのコレクタ電圧(そのスイッチングトランジスタをオフにする)と左ペアーのベース電圧は、1ボルトから2ボルトに上昇する。書込みパルスがトランジスタ30のエミッタに印加されトランジスタ30のエミッタ電圧を0ボルトにすると、トランジスタ30のベース(トランジスタ24のコレクタに接続された)は1ボルトに保持される。その時、このトランジスタに+1ボルトのベース・エミッタ電圧が存在し、ベース・エミッタ電流がトランジスタ30内に流れて、トランジスタ30をオンにする。トランジスタ30がオンになると、そのコレクタ電圧がそのエミッタ電圧(0ボルト)と同じになる。その時、トランジスタ28のコレクタも0ボルト(前のように2ボルトではなく)になり、トランジスタ24のベースもそのようになる。トランジスタ24のエミッタが1ボルトであるので、ベース・エミッタ電流はもはや流れることができず、トランジスタ24はオフになる。そこで、そのコレクタ電圧は、トランジスタ28のベース電圧と同じように2ボルトまで上昇する。トランジスタ28のエミッタは、なお、1ボルトであるので、トランジスタ28を介して今流れるベース・エミッタ電流はそのトランジスタをオンにする。従って、回路の状態が切換えられる。パルスが除去されると、右ペアーのコレクタが0ボルトになり、左ペアーのコレクタが1ボルトになる。
【0053】
オフスイッチングトランジスタを有するペアーの制御トランジスタ30のエミッタへの書込みパルス8の印加と同時発生の、
スイッチングトランジスタ24と28のエミッタへの制御パルス10の印加がなかったら、この切換は生じ得ない。同時の制御パルスが存在したとしても、書込みパルス9がオンスイッチングトランジスタを制御する制御トランジスタに送られると、状態は何も変化しないであろう。さらに、制御パルスは書込みパルスなしにスイッチングトランジスタ24と28のエミッタとコレクタ電圧を単に上昇させるが、スイッチングは生じない。
【0054】
図7の回路の動作を要約すると、右ペアーのスイッチングトランジスタ28がオンであるとき、回路の状態がセット(SET)であり、左ペアーのスイッチングトランジスタ24がオンであるとき回路の状態がリセット(RESET)である。回路がセットであるとき、左ペアーの制御トランジスタ32のエミッタへの制御パルス+書込みパルスは、それをスイッチするために要求される。
【0055】
分離した制御パルスをスイッチングトランジスタ
24,
28のエミッタに印加することも可能である。これによって各スイッチングトランジスタの分離した制御が可能になり、スイッチング回路を逆に作動させることが可能になる。前者の書込みパルスは制御パルスとして使用でき、逆もまた同じである。
【0056】
図8は、新しい半導体メモリの1つのECL・ROMメモリセル10−1を示す。ROMメモリセル10−1は、第2メモリセル回路20−1内で接続されるトランジスタを有し、第1メモリセル回路20(
図7)は第2メモリセル回路20−1に追加されるバイポーラトランジスタ24,32を有するか、又は第2メモリセル回路20−1内ではトランジスタ24,32が第1メモリセル回路20から削除される。
【0057】
図示されるECL・ROMメモリセル10−1は電源がオンになると、ベース電流が抵抗21を介して流れトランジスタ28をオンにし、セル10−1は電源がオフになるまでこの状態を保持する。従って、図示されるECL・ROMメモリセル10−1は、論理「1」を含む。
【0058】
論理「1」を含む他のECL・ROMメモリセルは、RAMとROMセル10,10−1の両方において制御トランジスタ
30を有する。
【0059】
図9は、新しい半導体メモリの他のECL・ROMメモリセル10−0を示す。ROMメモリセル10−0は第2メモリセル回路20−0内で接続されるトランジスタを有し、そこでは第1メモリセル回路20(
図7)は第2メモリセル回路20−0に追加されたバイポーラトランジスタ28,30を有するか、又は第2メモリセル回路20−0においては、バイポーラトランジスタ28,30が第1メモリセル回路20から削除されている。
【0060】
図示されたECL・ROMメモリセル10−0は電源がオンになると、ベース電流がトランジスタ24をオンにして、セル10−0は電源がオフになるまで、この状態を保持する。従って、ECL・ROMメモリセル10−0は論理「0」を含む。
【0061】
論理「0」を含む他のECL・ROMメモリセルは、RAMとROMセル10,10−0の両方において制御トランジスタ
32を有する。
【0062】
トランジスタ24,28の1つを削除する1つの方法は、他のやり方で形成されたバイポーラトランジスタのn又はp領域の拡散を削除することである。これは、製造工程においてウェハに適用される各拡散マスクにおける対応ウィンドウ(窓)を省略することによって得られる。
【0063】
図10は、新しい半導体メモリの他の実施例のRAMメモリセルアレーの1つの従来のデュアルポートスタティックCMOS・RAMメモリセル10を示す。図示されたメモリセル10は、
図1に示されたシングルポートスタティックCMOS・RAMメモリの第1メモリセル回路と同一の第1メモリセル回路20内で接続される2つの交差結合インバータを備える。
【0064】
SRAMセル10は、従来のデュアルポートスタティックRAMセルとして作動する8つのトランジスタからなるセルである。シングルポートRAMとデュアルポートRAMとの差は、シングルポートRAMは1度に1つのアドレスにアクセスされることが可能である、つまり単一のメモリセルのみが各クロックサイクルにおいてアクセスされることが可能である。デュアルポートRAMにおいては、パストランジスタ30と32に加えてパストランジスタ29と31を備えることにより、各クロックサイクルにおいて異なるメモリセルに異なるアドレスでアクセスすることが可能である。パストランジスタ31と32は、ノード34に結合されたソース(ドレイン)端子と、ビットラインA(bit line A)38とビットラインB(bit line B)39にそれぞれ結合されたドレイン(ソース)端子とを備える。パストランジスタ29と30は、ノード36に結合されたソース(ドレイン)端子と、ビットラインA(bit line A)40とビットラインB(bit line B)43にそれぞれ結合されたドレイン(ソース)端子とを備える。ビットライン38,39,40,43は、各列(column)デコーダに結合可能である。パストランジスタ32と30のゲートはワードライン42に結合される。パストランジスタ29と31のゲートはワードライン41に結合される。ワードライン41,42は各行(row)デコーダに結合可能である。ワードライン42がハイ(high)の論理状態であるとすると、パストランジスタ32と30は、ビットライン38と〔ビットライン〕40の電圧をそれぞれノード34と36へ通過させることができる。同様にワードライン41がハイ(high)の論理状態であるとすると、パストランジスタ29と31は、ビットライン39と〔ビットライン〕43の電圧をそれぞれノード34と36へ通過させることができる。
【0065】
ワードライン42がハイの論理状態になると、データがビットライン38と〔ビットライン〕40の駆動電圧によりノード34と36に書込まれると共に、ビットライン38と〔ビットライン〕40へ送られる電圧を検知することによってノード34と36からデータが読出されることが可能となる。
【0066】
同様に、ワードライン41がハイの論理状態になると、データがビットライン39と〔ビットライン〕43の駆動電圧によりノード34と36に書込まれると共に、ビットライン39と〔ビットライン〕43へ送られる電圧を検知することによってノード34と36からデータが読出されることが可能となる。
【0067】
図11は新しい半導体メモリの1つのデュアルポートCMOS・ROMメモリセルを示す。デュアルポートROMメモリセル10−1は、第2メモリセル回路20−1内で接続されるトランジスタを有し、その第1メモリセル回路20(
図10)は第2メモリセル回路20−1に追加されたトランジスタ24を有するか、又は第2メモリセル回路20−1内ではトランジスタ24が第1メモリセル回路20から削除されている。
【0068】
図示されたデュアルポートCMOS・ROMメモリセル10−1は電源がオンになると、漏洩電流がトランジスタ28をオンにすると共にトランジスタ
26をオフにし、セル10−1は電源がオフになるまでこの状態に保持される。従って、デュアルポートCMOS・ROMメモリセル10−1は論理「1」を含む。
【0069】
論理「1」を含む他のデュアルポートCMOS・ROMメモリセルにおいて、PMOSトランジスタ26は、NMOSトランジスタ24の代わりに第1メモリセル回路20から削除されている。
【0070】
図12は新しい半導体メモリの他のデュアルポートCMOS・ROMメモリセル10−0を示す。デュアルポートROMメモリセル10−0は、第2メモリセル回路20−0内で接続されるトランジスタを有し、第1メモリセル回路20(
図10)は第2メモリセル回路20−0に追加されたNMOSトランジスタ28を有するか、又は第2メモリセル回路20−0内では、トランジスタ28が第1メモリセル回路20から削除されている。
【0071】
図示されたデュアルポートCMOS・ROMメモリセル10−0は電源がオンになると、漏洩電流がトランジスタ24をオンにすると共にトランジスタ2
2をオフに
、トランジスタ26をオンにし、セル10−0は電源がオフになるまでこの状態に保持される。従って、デュアルポートCMOS・ROMメモリセル10−0は論理「0」を含む
。
【0072】
論理「0」を含む他のデュアルポートCMOS・ROMメモリセルにおいて、PMOSトランジスタ22が、NMOSトランジスタ28の代わりに第1メモリセル回路20から削除される。
【0073】
さらに、3つ以上のポートを有するマルチポートメモリを提供するために
図8−10のメモリ回路にパストランジスタおよびビットラインを追加することができる。
【0074】
図13は新しい半導体メモリを有する代表的な新しい補聴器100の単純化されたブロック図である。
【0075】
補聴器100は、入力変換器回路(トランスデューサ)112と、アナログ・デジタル(A/D)変換器114と、信号処理器116(例えば、デジタル信号プロセッサ又はDSP)と、デジタル・アナログ(D/A)変換器118と、出力変換器(スピーカ)120を備える。入力変換回路112は例えば可聴範囲を形成する1つ以上のマイクロホンと、補聴器100への入力を選択するテレコイルを備える。変換器114は入力変換回路112で受け入れた音声信号に応じて数値化された電子変換信号を出力する。信号処理器116は、数値化された電子変換信号の選択された1つ又は選択された組合せを、選択された信号処理アルゴリズムによって、例えばダイナミックレンジの難聴を補償するコンプレッサを備えた難聴補償用に処理された出力信号に処理するように構成される。出力変換器120は、処理されたデジタル出力信号を聴覚出力信号に変換する、例えば補聴器100の装着者の鼓膜に向かって伝達する音波信号を出力するレシーバである。
【0076】
半導体メモリ124は補聴器100のデジタル信号プロセッサ116に、例えばデジタル信号プロセッサ116のオンチップ半導体メモリ124として、又はデジタル信号プロセッサ116の外部チップとして相互接続される。新しい半導体メモリ124のROM部分は、外部不揮発性メモリ126からデジタル信号プロセッサ116のRAMへデジタル信号プロセッサ116によって実行されるプログラムのロードを行うデジタル信号プロセッサ116用のブートストラップ・ローダ(bootstrap loader)を含むことができる。
【0077】
新しい半導体メモリ124のROM部分はまた、デジタル信号プロセッサ116によって実行される信号処理プログラムを含むことができる。
【0078】
さらに、補聴器100は、両耳補聴器システムの2つの補聴器の無線相互接続や他の機器との補聴器の無線相互接続のような、無線ネットワークを介する無線通信用ラジオ周波数(RF)トランシーバ122を有する。なお、他の機器とは、補聴器用リモートコントロール、付属品、自動車電話、ヘッドホン、ドアベル、警報システム、放送システム等々である。さらに補聴器100は、データ通信の電力を節約するためにラジオ周波数トランシーバをオン・オフするように構成された通信制御装置124を備える。
【0079】
図示された実施形態において、
図13では種々の構成要素はプロセッサ116と通信可能に結合されているように図示されている。1つ以上の実施形態において、新しい半導体メモリ124のような
図13に示される構成要素はいずれも、プロセッサ116又は処理システムの一部として備えることが可能である。
【0080】
特定の実施形態が示され、説明されてきたが、それらはこの発明を限定することを意図したものではないことが理解されるであろう。また、種々の変更や変形がこの発明の精神範囲から離れることなしになし得ることは当業者に自明であるだろう。従って、明細書や図面は、限定的な意味ではなく例証するものと見なされるべきである。この発明は、代案、変形物、および均等物を含むことを意図する。