(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1は、本発明の配線回路基板の第1実施形態が複数設けられる配線回路基板集合体シートの平面図、
図2は、
図1のA−A線に沿う断面図、
図3は、
図1に示す配線回路基板の第2めっきリードの拡大平面図、
図4は、
図1に示す配線回路基板集合体シートの製造方法の工程図、
図5は、
図4(c)における製造途中の配線回路基板集合体シートの平面図、
図6は、
図4(c)における製造途中の配線回路基板集合体シートのめっきリードの拡大平面図、
図7は、
図4(d)における製造途中の配線回路基板集合体シートのめっきリードの拡大平面図を示す。
【0018】
なお、
図1において、導体層4の相対配置を明確に示すため、カバー絶縁層5およびめっき層12を省略している。
【0019】
図1において、この配線回路基板集合体シート(以下、単に「シート」と省略する。)21は、例えば、回路付サスペンション基板などの配線回路基板1を複数備えており、各配線回路基板1は、略矩形シート形状の金属支持基板22内において、互いに間隔を隔てて整列状態で配置されている。
【0020】
配線回路基板1は、長手方向(以下、先後方向という場合がある。)に延びる略矩形平帯形状に形成されている。配線回路基板1は、
図2に示すように、金属支持層2と、金属支持層2の上に形成されるベース絶縁層3と、ベース絶縁層3の上に形成される導体層4と、ベース絶縁層3の上に、導体層4を被覆するように形成されるカバー絶縁層5とを備えている。
【0021】
金属支持層2は、金属支持基板22から形成されている。金属支持基板22を形成する金属材料としては、例えば、ステンレス、42アロイなどが用いられ、好ましくは、ステンレスが用いられる。
【0022】
また、金属支持層2の長手方向他端(以下、後端という。)部には、
図1に示すように、後述する磁気側端子部8Bを長手方向において挟む支持開口部19が開口されている。
【0023】
金属支持層2の厚みは、例えば、10〜100μm、好ましくは、18〜50μmである。
【0024】
ベース絶縁層3を形成する絶縁材料としては、例えば、ポリイミド、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂が用いられる。これらのうち、好ましくは、ポリイミドが用いられる。
【0025】
ベース絶縁層3は、導体層4が形成される部分に対応するパターンで形成されている。
【0026】
ベース絶縁層3の厚みは、例えば、3〜30μm、好ましくは、5〜15μmである。
導体層4を形成する導体材料としては、例えば、銅、ニッケル、金、はんだ、またはこれらの合金などの導体材料が用いられる。好ましくは、銅が用いられる。
【0027】
導体層4は、
図2に示すように、ベース絶縁層3の表面に形成されており、導体層4は、製造後の配線回路基板1においては、導体パターン6と、第2めっきリード18とを一体的に備えている。
【0028】
導体パターン6は、
図1に示すように、幅方向(配線回路基板1の長手方向に直交する方向)に互いに間隔を隔てて配置され、長手方向に沿って延びる複数の配線7と、各配線7の長手方向両端部にそれぞれ連続する端子部8とを一体的に備えている。
【0029】
端子部8は、配線7の長手方向一端(以下、先端という。)部に配置される外部側端子部8Aと、配線7の後端部に配置される磁気側端子部8Bとを備えている。
【0030】
外部側端子部8Aは、各配線7の先端部がそれぞれ接続されるように、複数設けられており、角ランドとして形成されている。各外部側端子部8Aには、図示しないリード・ライト基板が接続される。
【0031】
磁気側端子部8Bは、各配線7の後端部がそれぞれ接続されるように、複数設けられており、角ランドとして形成されている。磁気側端子部8Bには、図示しない磁気ヘッドが接続される。
【0032】
第2めっきリード18は、各外部側端子部8Aに対応して複数設けられている。具体的には、各第2めっきリード18は、幅方向に間隔を隔てて配置されており、各外部側端子部8Aの先側に連続して形成されている。これにより、第2めっきリード18は、導体パターン6と電気的に接続されている。
【0033】
第2めっきリード18は、後述するエッチング工程(
図4(f)および
図4(f’)参照)において、その先端面16A(
図4(f))がエッチング液に溶解されて後側に後退した残存部分として形成されている。つまり、第2めっきリード18の先端面16Aは、エッチング液によってカバー絶縁層5の先端面30から後側に浸食される浸食面16B(
図4(f’))として形成されている。
【0034】
第2めっきリード18は、
図3に示すように、外部側端子部8Aの長手方向(外部側端子部8Aとの対向方向)一方側、具体的には、外部側端子部8Aの先側に、隣接配置される幅狭部分10と、幅狭部分10の先側に配置される幅広部分11とを一体的に備えている。
【0035】
なお、第2めっきリード18は、エッチング工程前においては、先側部分36および後側部分35から形成されており、エッチング工程後においては、エッチング工程で先側部分36がエッチングされることにより、後側部分35のみから形成されている。
【0036】
幅狭部分10は、
図3に示すように、長手方向に延びるように形成されており、幅(幅方向長さ)W1が狭い(短い)平面視略矩形状に形成されている。具体的には、各幅狭部分10は、各外部側端子部8Aの先端部の幅方向中央から先側に向かって延びるように形成されている。
【0037】
幅広部分11は、幅狭部分10の先側に隣接配置され、幅狭部分10と連続する平面視略矩形状に形成されている。より具体的には、幅広部分11は、その後端辺が幅狭部分10に接続される平面視略矩形状に形成されている。
【0038】
また、幅広部分11は、幅狭部分10および幅広部分11を先後方向に投影したときに、幅狭部分10を幅方向中央において含むように配置されている。すなわち、幅広部分11の幅(幅方向長さ)W2は、幅狭部分10の幅W1より広く(長く)形成されている。
また、幅広部分11の浸食面16Bは、先後方向において、後述するカバー絶縁層5の先端面30より後側にややずれて位置している。
【0039】
幅狭部分10の幅W1は、例えば、10〜500μm、好ましくは、15〜250μmである。また、幅狭部分10の先後方向長さL1は、例えば、10〜500μm、好ましくは、15〜250μmである。
【0040】
また、幅広部分11の幅W2は、幅狭部分10の幅W1を100%とした場合に、例えば、150%以上、好ましくは、200%以上、さらに好ましくは、250%以上、通常、500%以下である。幅広部分11の幅W2は、例えば、15μm以上、好ましくは、25μm以上、さらに好ましくは、50μm以上、通常、200μm以下である。また、幅広部分11の先後方向長さL2は、例えば、500μm以下、好ましくは、250μm以下である。
【0041】
配線7の幅は、例えば、10〜300μm、好ましくは、15〜150μmであり、各配線7間の間隔(幅方向の間隔)は、例えば、10〜200μm、好ましくは、15〜50μmである。また、端子部8の幅は、例えば、15〜200μm、好ましくは、50〜100μmであり、各端子部8間の間隔(幅方向の間隔)は、例えば、15〜200μm、好ましくは、20〜100μmである。
【0042】
導体層4の厚みは、導体パターン6の厚みと第2めっきリード18の厚みとが同一であってもよく、例えば、3〜20μm、好ましくは、7〜15μmである。
【0043】
カバー絶縁層5を形成する絶縁材料としては、上記したベース絶縁層3と同様の絶縁材料が用いられる。
【0044】
カバー絶縁層5は、
図2に示すように、ベース絶縁層3の上において、第2めっきリード18および配線7(
図2において図示されない)を被覆するように形成されている。また、カバー絶縁層5には、
図3に示すように、端子部8を露出する平面視略矩形状のカバー開口部13が形成されている。
【0045】
カバー絶縁層5の先端部は、
図3に示すように、平面視において幅広部分11の浸食面16Bを含み、先後方向において浸食面16Bに対して先側に間隔を隔てて配置されている。つまり、カバー絶縁層5の先端面30は、先後方向において、幅広部分11の浸食面16Bよりやや先側に配置されている。これにより、幅広部分11の浸食面16Bの先側に、幅方向断面において、幅広部分11と同一形状の空洞14が形成されている。
【0046】
また、カバー絶縁層5には、各外部側端子部8Aの先側において、第2めっきリード18の後側部分35を被覆するための被覆部34が設けられている。具体的には、被覆部34は、先後方向において、外部側端子部8Aの先端からカバー絶縁層5の先端面30にわたって形成されている。
【0047】
また、カバー絶縁層5の厚みは、例えば、2〜20μm、好ましくは、4〜15μmである。
【0048】
また、この配線回路基板1には、
図2に示すように、端子部8の表面に、めっき層12が設けられている。
【0049】
めっき層12を形成するめっき材料としては、例えば、金やニッケルなどの金属材料が用いられ、好ましくは、金が用いられる。めっき層12の厚みは、例えば、0.2〜5μm、好ましくは、0.5〜3μmである。
【0050】
次に、この配線回路基板1の製造方法について、
図4〜
図7を参照して説明する。
【0051】
まず、この方法では、
図4(a)に示すように、金属支持層2を形成する金属支持基板22を用意する。
【0052】
次いで、この方法では、
図4(b)に示すように、ベース絶縁層3を金属支持層2の上に形成する。
【0053】
ベース絶縁層3を形成するには、金属支持基板22の上面に、上記した合成樹脂の溶液(ワニス)を均一に塗布した後、乾燥し、次いで、必要に応じて、加熱によって硬化させる。また、ベース絶縁層3の形成では、金属支持層2の上面に、例えば、感光性のワニスを塗布し、乾燥後、上記したパターンで露光および現像し、必要により、加熱によって硬化させることができる。さらに、ベース絶縁層3の形成では、例えば、合成樹脂を上記したパターンのフィルムに予め形成して、そのフィルムを、金属支持層2の上面に、公知の接着剤層を介して貼着することもできる。
【0054】
次いで、この方法では、
図4(c)に示すように、導体層4を、ベース絶縁層3の上に、導体パターン6、めっきリード9を一体的に備えるパターンとして形成する。
【0055】
めっきリード9は、
図5および
図6に示すように、後述するめっき層12を形成する工程(
図4(e)参照)における電解めっきにおいて、導体パターン6に給電するために設けられている。また、めっきリード9は、
図5および
図6に示すように、ベース絶縁層3の上にパターンとして形成されている。具体的には、めっきリード9は、第1めっきリード17と、第2めっきリード18とを一体的に備えている。
【0056】
第1めっきリード17は、1つのシート21につき、1本設けられており、具体的には、金属支持基板22の先端側におけるベース絶縁層3の表面に、幅方向に沿って延びる直線形状に形成されている。また、第1めっきリード17の幅方向一端部は、図示しない給電部と電気的に接続されている。
【0057】
第2めっきリード18は、各外部側端子部8Aに対応して複数設けられ、各配線回路基板1に対応するベース絶縁層3の表面に形成されている。具体的には、第2めっきリード18は、
図2に示すように、エッチング工程により先側部分36がエッチングされることにより、後側部分35から形成されており、その後側部分35が、幅狭部分10と幅広部分11とを一体的に備えるパターンとして形成されている。また、第2めっきリード18では、後側部分35の幅狭部分10が、外部側端子部8Aと連続して形成されており、先側部分36が、第1めっきリード17と連続して形成されている。
【0058】
なお、先側部分36は、長手方向に沿って、後側部分35の幅広部分11の幅W2と同一幅で延びるように、形成されている。すなわち、各第2めっきリード18は、各外部側端子部8Aから先側に向かって延び、第1めっきリード17の後端部の幅方向途中に至るように、形成されている。
【0059】
つまり、第2めっきリード18は、第1めっきリード17および外部側端子部8Aと接触しており、これらを電気的に接続している。
【0060】
そして、めっきリード9は、図示しない給電部との電気的な接続、および、外部側端子部8Aとの電気的な接続により、図示しない給電部と外部側端子部8Aとを電気的に接続している。
【0061】
導体層4を形成するには、例えば、アディティブ法、サブトラクティブ法などの公知のパターンニング法が用いられる。好ましくは、アディティブ法が用いられる。
【0062】
アディティブ法では、まず、ベース絶縁層3の上面に、図示しない金属薄膜(種膜)を形成する。金属薄膜としては、例えば、銅、クロム、ニッケルおよびそれらの合金などの金属材料が用いられる。金属薄膜は、スパッタリング、めっきなどの薄膜形成方法により、形成する。
【0063】
次いで、金属薄膜の表面に、ドライフィルムレジストを積層して、これを露光および現像し、導体層4と逆パターンの図示しないめっきレジストを形成する。次いで、電解めっきにより、めっきレジストから露出する金属薄膜の表面に、導体層4を形成し、次いで、めっきレジストおよびめっきレジストが形成されていた部分の金属薄膜をエッチングなどにより除去する。
【0064】
このようにして形成される導体層4の寸法は、適宜選択され、第1めっきリード17の先後方向長さL3は、例えば、30μm以上、好ましくは、50μm以上、さらに好ましくは、100μm以上、通常、5000μm以下である。また、第2めっきリード18の長さ(先後方向長さ、すなわち、第1めっきリード17の後端縁と第2めっきリード18の後端縁との間隔。)L4は、例えば、40〜1000μm、好ましくは、60〜500μmである。
【0065】
次いで、この方法では、
図4(d)および
図7に示すように、カバー絶縁層5を、ベース絶縁層3の上に上記したパターンで形成する。
【0066】
カバー絶縁層5には、被覆部34が設けられている。また、被覆部34には、第2めっきリード18の後側部分35に対応する開口が形成されている。具体的には、被覆部34には、後側部分35の幅狭部分10に対応する開口が幅狭開口部28として形成され、後側部分35の幅広部分11に対応する開口が幅広開口部29として形成されている。
【0067】
そして、幅狭開口部28および幅広開口部29は、第2めっきリード18の後側部分35を収容しており、その後側部分35は、後のエッチング工程(
図4(f)および
図4(f')参照)において、エッチング液が外部側端子部8Aに浸入することを規制する規制部分として形成されている。
【0068】
幅広開口部29の先後方向長さL2’は、例えば、10〜550μm、好ましくは、15〜300μmである。
【0069】
カバー絶縁層5を形成するには、導体層4を含むベース絶縁層3の上面に、例えば、感光性の合成樹脂の溶液(ワニス)を塗布し、乾燥後、上記したパターンで露光および現像し、必要により、加熱によって硬化させる。また、カバー絶縁層5の形成では、例えば、合成樹脂を上記したパターンのフィルムに予め形成して、そのフィルムを、導体層4を含むベース絶縁層3の上面に、公知の接着剤層を介して貼着することができる。
【0070】
次いで、この方法では、
図4(e)に示すように、めっき層12を、カバー開口部13から露出する端子部8の表面に形成する。
【0071】
めっき層12は、第1めっきリード17および第2めっきリード18を介して導体パターン6に給電する電解めっきにより形成する。
【0072】
電解めっきでは、まず、端子部8の表面を除く導体層4および金属支持基板22の表面にめっきレジストを形成する。次いで、金属支持基板22を電解めっき浴に浸漬しながら、図示しない給電部から、第1めっきリード17および第2めっきリード18を介して、端子部8に給電する。その後、めっきレジストを除去する。
【0073】
次いで、この方法では、
図4(f)および
図4(f’)に示すように、エッチング液が外部側端子部8Aに浸入することを第2めっきリード18の後側部分35により規制しながら、第1めっきリード17および第2めっきリード18の先側部分36をエッチングする。
エッチング液の浸入を規制しながら、第1めっきリード17および第2めっきリード18の先側部分36をエッチングする方法として、例えば、ウエットエッチング(化学エッチング)が用いられる。
【0074】
具体的には、まず、図示しないエッチングレジストを、めっき層12および金属支持基板22の表面に積層する。その後、エッチングレジストが積層された金属支持基板22を、エッチング液に浸漬する。エッチング液としては、例えば、塩化第二鉄水溶液などの公知のエッチング液(薬液)が用いられる。
【0075】
その後、金属支持基板22を、例えば、水や、メタノール、アセトンなどの洗浄用溶媒で洗浄し(洗浄工程)、次いで、乾燥させ、次いで、エッチングレジストを、エッチングまたは剥離などによって、除去する。
【0076】
これにより、第1めっきリード17および第2めっきリード18の先側部分36を除去する。
【0077】
このエッチング工程では、通常、
図4(f)に示すように、第2めっきリード18の後側部分35の先端面(幅広部分11の先端面)16Aが、カバー絶縁層5の先端面30と厚み方向および幅方向において略同一平面上に位置されるようにして形成されるように、エッチング条件が設定される。
【0078】
しかし、第1めっきリード17および第2めっきリード18の先側部分36の除去後には、後側部分35の一部がエッチングされる。
【0079】
ここで、
図4(f’)に示すように、幅広部分11によって、エッチング液が外部側端子部8Aに浸入することが規制される。
【0080】
すなわち、幅広部分11が過度にエッチング(過エッチング)されることによる導体材料の溶解によって、幅広部分11の先端面16Aは、後側、具体的には、先後方向において幅広開口部29の先端から幅広開口部29の後端に至る途中部分に後退して、カバー絶縁層5の先端面30から後側にずれて位置される。あるいは、エッチング工程後から洗浄工程までの間に、幅広部分11の先端面16Aに付着して残存するエッチング液に起因する導体材料の溶解によって、幅広部分11の先端面16Aは、後側に後退して、カバー絶縁層5の先端面30から後側にずれて位置される。
【0081】
そして、幅広部分11の先端面16Aの後退によって、浸食面16Bが形成される。
【0082】
つまり、浸食面16Bは、先後方向において、外部側端子部8Aと間隔を隔てて配置されており、浸食面16Bと外部側端子部8Aとの間隔は、幅広部分11および幅狭部分10がエッチング液により浸食されずに残存する間隔(エッチング液が外部側端子部8Aに浸入することを規制できる間隔)である。
【0083】
より具体的には、幅広開口部29が、エッチング液の後側への浸入を許容する。これにより、幅広部分11の先端面16Aが後側に後退し、そして、浸食面16Bが形成されることによって、エッチング液のそれ以上の後側への浸入が規制される。
【0084】
その後、
図1に示すように、金属支持基板22を、エッチングなどによって切り抜いて、支持開口部19を形成することにより、複数の配線回路基板1が形成されたシート21を得る。
【0085】
そして、この方法では、導体パターン6と、幅広部分11が設けられる第2めっきリード18および第1めっきリード17とを一体的に形成する。その後、幅広部分11によって、エッチング液が外部側端子部8Aに浸入することを規制しながら、第2めっきリード18の先側部分36および第1めっきリード17をエッチング液によりエッチングする。
【0086】
つまり、第2めっきリード18の先側部分36および第1めっきリード17をエッチング液によってエッチングした後に、被覆部34の幅広開口部29がエッチング液の浸入を許容して、エッチング液が幅広部分11と接触する。
【0087】
そのため、第1めっきリード17および第2めっきリード18を介して外部側端子部8Aに給電する電解めっき後には、幅広部分11によって、エッチング液が外部側端子部8Aに浸入することを防止することができる。
【0088】
また、幅広部分11(幅広開口部29に収容される幅広部分11)において、エッチング液は、幅方向に沿って広がるので、エッチング液が後側に浸入することを遅延させることができる。
【0089】
さらに、幅方向に沿って広がるエッチング液は、幅広部分11(幅広開口部29に収容される幅広部分11)と広い接触面積で接触して、その接触面(先端面16A)が、エッチング液により溶解される。そのため、接触面(先端面16A)を溶解したエッチング液は、エッチング能が低下しているので、後側に浸入しにくく、その結果、幅広部分11(幅広開口部29に収容される幅広部分11)によって、エッチング液が後側に浸入することを有効に防止することができる。
【0090】
さらにまた、幅広部分11(幅広開口部29に収容される幅広部分11)と接触して残存するエッチング液は、洗浄によって、容易に除去できるので、エッチング液による汚染を防止することができる。
【0091】
なお、上記した説明では、規制部分を、幅が広い幅広部分11として設けたが、規制部分におけるエッチング液との接触面積が所定面積以上であればよく、例えば、図示しないが、厚みの厚い膜厚部分として設けることもできる。
【0092】
また、上記した説明では、第2めっきリード18を、外部側端子部8Aと連続して形成したが、例えば、図示しないが、磁気側端子部8Bまたは配線7と連続して形成することもできる。
【0093】
また、上記した説明では、本発明の配線回路基板を、金属支持層2を備える回路付サスペンション基板として例示したが、本発明の配線回路基板は、これに限定されない。例えば、本発明の配線回路基板を、金属支持層2を補強層として備えるフレキシブル配線回路基板や、金属支持層2を備えないフレキシブル配線回路基板などの他の配線回路基板にも広く適用することができる。
【0094】
図8〜
図14は、上記した第1実施形態の変形例の第2めっきリードの拡大平面図であって、
図8は、幅広部分および幅狭部分が規制部分であり、幅狭部分が残存する態様、
図9は、幅広部分および幅狭部分が規制部分であり、規制部分が残存しない態様、
図10は、先側幅狭部分および幅広部分が規制部分である態様、
図11は、幅広部分が平面視略円形状である態様、
図12は、幅広部分が平面視略菱形形状である態様、
図13は、幅広部分が平面視略三角形状である態様、
図14は、幅広部分が幅狭部分より幅方向一方側に突出する態様を示す。
【0095】
なお、以降の各図において、上記と同様の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0096】
上記した説明では、
図4(f)および
図4(f’)に示すエッチング工程において、幅広部分11のみを規制部分として、エッチング液の外部側端子部8Aへの浸入を規制したが、規制部分として、少なくとも幅広部分11が含まれていればよい。例えば、
図8および
図9が参照されるように、幅広部分11および幅狭部分10の両方を規制部分とすることもできる。
【0097】
すなわち、
図8に示す配線回路基板1の製造におけるエッチング工程では、
図7が参照されるように、幅広部分11の全部と、幅狭部分10の先側部分とが溶解される。つまり、幅広開口部29に収容される幅広部分11と、幅狭開口部28に収容される幅狭部分10とが、エッチング液の外部側端子部8Aへの浸入を規制する規制部分とされている。
具体的には、エッチング工程において、幅広部分11および幅狭部分10の先側部分が溶解した部分には、それらを収容していた被覆部34の幅広開口部29および幅狭開口部28が、エッチング液の後側への浸入を許容する。そして、幅狭部分10に形成される浸食面16Bによって、エッチング液のそれ以上の後側への浸入が規制される。
【0098】
幅狭部分10の浸食面16Bは、先後方向において幅狭開口部28の先端から後端に至る途中部分に形成されている。
【0099】
そのため、幅狭部分10の浸食面16Bの先側に、幅広部分11および幅狭部分10の先側部分に対応する空洞14が形成されている。
【0100】
これにより、エッチング工程後の配線回路基板1には、幅狭部分10の後側部分37のみが残存している。
【0101】
また、
図9に示す配線回路基板1の製造におけるエッチング工程では、幅広部分11の全部と、幅狭部分10の全部とが溶解される。
【0102】
浸食面16Bは、幅狭開口部28の後端に形成されている。なお、浸食面16Bは、外部側端子部8Aの先端面と面一となっている。
【0103】
そのため、浸食面16B(外部側端子部8Aの先端面)の先側に、幅広部分11および幅狭部分10に対応する空洞14が形成されている。つまり、空洞14は、第2めっきリード18の後側部分35と同一形状に形成されている。
【0104】
これにより、エッチング工程後の配線回路基板1において、第2めっきリード18は、全部エッチングされており、残存していない。
【0105】
また、上記した説明では、幅広部分11を規制部分としたが、例えば、
図10に示すように、幅広部分11と、それより先側において、それより幅狭で形成される先側幅狭部分20とを、規制部分とすることもできる。
【0106】
図4(c)が参照される導体層4の形成において、第2めっきリード18の後側部分35を、幅狭部分10、幅広部分11および先側幅狭部分20を一体的に備えるパターンとして形成する。
【0107】
幅広部分11は、
図10に示すように、第2めっきリード18の後側部分35において先後方向途中部分に形成されている。
【0108】
また、先側幅狭部分20は、
図10が参照され、仮想線で示すように、幅広部分11の先端部に連続して形成されている。先側幅狭部分20の幅W3は、例えば、幅狭部分10の幅W1と同一であり、好ましくは、15〜250μmである。また、先側幅狭部分20の長さL3は、例えば、10〜500μm、好ましくは、15〜250μmである。
【0109】
その後、
図4(f)および
図4(f’)に示すエッチング工程により、先側幅狭部分20および幅広部分11の先側部分がエッチングされる。これにより、浸食面16Bが、先後方向において幅広開口部29の先端から後端に至る途中部分に形成される。
【0110】
また、上記した説明では、幅広部分11を、平面視略矩形状に形成したが、適宜の形状に形成することができ、例えば、
図11に示すように、平面視略円形状に形成することができ、また、
図12に示すように、平面視略菱形形状に形成することができ、さらには、
図13に示すように、平面視略三角形状に形成することができる。
【0111】
図11において、平面視略円形状の幅広部分11の内径D1は、例えば、15〜500μm、好ましくは、30〜250μmである。
【0112】
図12において、平面視略菱形形状の幅広部分11は、先後方向における両頂点が幅狭部分10および先側幅狭部分20に接続されている。幅広部分11の最大幅W4は、例えば、15〜500μm、好ましくは、30〜250μmである。
【0113】
図13において、幅広部分11は、平面視において、後側に向かって先細となる略2等辺三角形状に形成されている。具体的には、幅広部分11は、等しい長さの2辺が先後方向に延びており、これらが後側に向かうに従って互いに近接する平面視略三角形状(平面視テーパ形状)に形成されている。
【0114】
また、上記した説明では、幅広部分11を、幅狭部分10および幅広部分11を先後方向に投影したときに、幅狭部分10を幅方向中央において含むように配置したが、例えば、
図14に示すように、幅狭部分10を幅方向他端側において含むように配置することができる。すなわち、幅広部分11は、幅方向において幅狭部分10より幅方向一方側に突出するように形成されている。
【0115】
また、上記した説明では、第2めっきリード18の後側部分35には、幅狭部分10および幅広部分11を設けたが、例えば、図示しないが、幅狭部分10を設けず、幅広部分11のみを設けることもできる。
<第2実施形態>
図15は、本発明の配線回路基板の第2実施形態の第2めっきリードの拡大平面図を示す。
【0116】
上記した説明では、規制部分として幅広部分11を設けたが、例えば、
図11に示すように、規制部分として曲部分23を設けることもできる。
【0117】
図15において、第2めっきリード18の後側部分35は、幅狭部分10と曲部分23とを備えている。
【0118】
曲部分23は、先後方向に対して交差する交差方向に曲がるように形成されている。具体的には、曲部分23は、平面視略S字形状に同一幅で形成されている。
【0119】
すなわち、曲部分23は、幅方向他方側に突出して円弧状に湾曲する第1湾曲部31と、第1湾曲部31の先端から、幅方向一方側に突出して円弧状に湾曲する第2湾曲部32とを一体的に備えている。
【0120】
曲部分23の幅W5は、上記した幅狭部分10の幅W1と同一である。
【0121】
これにより、
図15の1点破線で示すように、曲部分23(エッチング工程前の曲部分23)の長さL5、すなわち、曲部分23の幅方向中央を通る線分の長さL5は、例えば、100〜500μm、好ましくは、150〜350μmに設定される。
【0122】
また、
図4(c)が参照される導体層4の形成工程において形成される導体層4において、第2めっきリード18の後側部分35は、幅狭部分10、曲部分23および先側幅狭部分20を一体的に備えている。
【0123】
次いで、
図4(d)が参照されるように、カバー絶縁層5を、幅狭部分10、曲部分23および先側幅狭部分20を被覆するように形成することにより、これらを収容する被覆部34を形成する。
【0124】
被覆部34では、曲部分23に対応する開口が曲開口部33として形成され、先側幅狭部分20に対応する開口が先側幅狭開口部42として形成されており、幅狭開口部28、曲開口部33および先側幅狭開口部42は、第2めっきリード18の後側部分35を収容している。
【0125】
その後、
図4(f)および
図4(f’)が参照されるように、第1めっきリード17および第2めっきリード18の先側部分36をエッチングする工程では、エッチング液が外部側端子部8Aに浸入することを先側幅狭部分20および曲部分23により規制する。
【0126】
これにより、浸食面16Bが、曲部分23の先後方向途中部分に形成される。
【0127】
具体的には、先側幅狭開口部42および曲開口部33が、エッチング液の後側への浸入を許容する。これにより、先端面16Aが後側に後退し、そして、浸食面16Bが形成されることによって、エッチング液のそれ以上の後側への浸入が規制される。
【0128】
そして、この配線回路基板1では、先側幅狭部分20の長さと、曲部分23(曲開口部33に収容され、エッチング工程前の曲部分23)の長さL5との合計長さは、先側幅狭部分20と曲部分23との先後方向の直線長さより必ず長くなる。
【0129】
そのため、先側幅狭開口部42および曲開口部33への浸入が許容されるエッチング液が、先側幅狭部分20および曲部分23と接触しても、これらによって、エッチング液の後側への浸入を規制することができる。
【0130】
その結果、外部側端子部8Aにおけるエッチング液に起因する溶解や変色を有効に防止することができる。
【0131】
なお、上記した説明では、第2めっきリード18の後側部分35を、幅狭部分10、曲部分23および先側幅狭部分20から形成したが、例えば、先側幅狭部分20を形成することなく、幅狭部分10および曲部分23から形成することができる。その場合には、曲部分23のみを規制部分として、あるいは、曲部分23と幅狭部分10とを規制部分として、エッチング液の浸入を規制する。
【0132】
図16〜
図18は、上記した第2実施形態の変形例の第2めっきリードの拡大平面図であって、
図16は、曲部分が平面視略コ字形状である態様、
図17は、平面視段差形状である態様、
図18は、曲部分が平面視略V字形状である態様を示す。
【0133】
また、上記した説明では、曲部分23を平面視略S字形状に形成したが、例えば、平面視略コ字形状(
図16参照)、平面視段差形状(
図17参照)、平面視略V字形状(
図18参照)に形成することもできる。
【0134】
図16において、曲部分23は、平面視略コ字形状に形成されている。曲部分23は、幅方向他方側に開放するように配置され、その後端部が、幅狭部分10と接続されている。
【0135】
図17において、曲部分23は、平面視段差形状に形成されている。第2めっきリード18の後側部分35は、幅狭部分10と、幅狭部分10の先端部から幅方向他方に向かって延びる直線部分25とを備えている。
【0136】
直線部分25は、カバー絶縁層5の先端面30と平行するように配置されている。また、直線部分25は、幅狭部分10の先端部から幅方向他方側に屈曲するように形成されている。
【0137】
図18において、曲部分23は、先後方向途中が屈曲する平面視略V字形状に形成されている。すなわち、第2めっきリード18の後側部分35は、外部側端子部8Aの先端部に連続して形成される第1傾斜部分27と、第1傾斜部分27の先端部から連続し、傾斜部分27の先側に配置される第2傾斜部分28とを一体的に有する曲部分23を備えている。
【0138】
第1傾斜部分27は、外部側端子部8Aの先端部から、先側斜め幅方向一方に延びる、平面視略矩形状に形成されている。
【0139】
第2傾斜部分28は、第1傾斜部分27の先端部から幅方向他方側に屈曲して、先側斜め幅方向他方に延びる、平面視略矩形状に形成されている。
<第3実施形態>
上記した第1実施形態では、規制部分を少なくとも幅広部分11とし、また、上記した第2実施形態では、規制部分を少なくとも曲部分23としてそれぞれ説明したが、例えば、図示しないが、規制部分を、幅広部分11と曲部分23との両方とすることもできる。
【実施例】
【0140】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されることはない。
【0141】
実施例1
まず、厚み25μmのステンレスからなる金属支持基板を用意し(
図4(a)参照)、金属支持層の上面に、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを塗布し、乾燥後、露光および現像し、さらに加熱硬化することにより、厚み10μmのポリイミドからなるベース絶縁層を、上記したパターンで形成した(
図4(b)参照)。
【0142】
次いで、ベース絶縁層の上面に、金属薄膜として、厚み0.03μmのクロム薄膜と厚み0.07μmの銅薄膜とを、クロムスパッタリングと銅スパッタリングとによって順次形成した。続いて、金属薄膜の表面に、ドライフィルムレジストを積層して、これを露光および現像し、導体層と逆パターンのめっきレジストを形成した。次いで、電解銅めっきにより、めっきレジストから露出する金属薄膜の表面に、厚み10μmの導体層を形成し、その後、めっきレジストおよびめっきレジストが形成されていた部分の金属薄膜をエッチングにより除去した(
図4(c)参照)。
【0143】
導体層は、配線および端子部を有する導体パターンと、後側部分に幅狭部分および幅広部分を有する第1めっきリードと、第2めっきリードとを一体的に備えていた(
図5および
図6参照)。
【0144】
配線の幅は20μm、各配線間の間隔は20μmであり、端子部の幅は、100μm、各端子部間の間隔は30μmであった。
【0145】
また、第1めっきリードの先後方向長さ(L3)が500μmであった。
【0146】
また、第2めっきリードでは、幅狭部分の幅(W1)は20μm、幅狭部分の先後方向長さ(L1)は30μmであり、幅広部分の幅(W2)は50μm、幅広部分の先後方向長さ(L2)は100μmであった。
【0147】
次いで、導体層を含むベース絶縁層の上面に、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを塗布し、乾燥後、露光および現像し、さらに加熱硬化することにより、厚み10μmのポリイミドからなるカバー絶縁層を、カバー開口部を有するパターンで形成した(
図4(d)参照)。
【0148】
カバー絶縁層には、外部側端子部の先側において、被覆部が設けられており、被覆部には、第2めっきリードの後側部分を収容する、幅狭開口部および幅広開口部が形成されていた。幅広開口部の長手方向長さ(L2’)は、80μmであった。
【0149】
次いで、端子部の表面を除く導体層および金属支持基板の表面にめっきレジストを形成し、その後、金からなる厚み2μmのめっき層を、端子部の表面に、第1めっきリードおよび第2めっきリードを介して端子部に給電する電解金めっきにより形成した(
図4(e)参照)。その後、めっきレジストを除去した。
【0150】
次いで、エッチングレジストを、めっき層および金属支持基板の表面に積層し、その後、第1めっきリードおよび第2めっきリードの先側部分を、塩化第二鉄水溶液を用いるエッチングにより、除去した(
図4(f)参照)。
【0151】
その後、金属支持基板を水洗し、次いで、エッチングレジストを除去した。
【0152】
なお、第1めっきリードおよび第2めっきリードの先側部分をエッチングするエッチング工程によって、幅広開口部内に、カバー絶縁層の先端面より後側にずれて位置する浸食面が形成された(
図3および
図4(f’)参照)。
【0153】
その後、金属支持基板を切り抜いて、支持開口部を形成することにより、複数の配線回路基板が形成されたシートを得た(
図1参照)。
【0154】
比較例1
第1めっきリード(17)の後側部分(35)を、幅狭部分(10)のみから形成した以外は、実施例1と同様にして、複数の配線回路基板(1)が形成されたシート(21)を得た(
図19参照)。
【0155】
なお、第1めっきリード(17)および第2めっきリード(18)の先側部分(36)をエッチングするエッチング工程によって、幅狭部分(10)および外部側端子部(8A)の先端部が溶解された。
【0156】
(評価)
1) 外部側端子部の変色の有無
実施例1および比較例1のシートの配線回路基板について、外部側端子部における変色の有無を観察した。
【0157】
その結果、実施例1では、外部側端子部の変色が確認されなかった。
【0158】
一方、比較例1では、外部側端子部の変色が確認された。