特許第5717811号(P5717811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717811
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】ネジ締付装置を含むロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20150423BHJP
【FI】
   B23P19/06 P
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-169128(P2013-169128)
(22)【出願日】2013年8月16日
(65)【公開番号】特開2015-36180(P2015-36180A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2014年9月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】吉永 紀倫
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−091236(JP,A)
【文献】 実公昭63−046232(JP,Y2)
【文献】 特開2010−012583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/06
B25J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットと、
該ロボットの先端に取付けられたネジ締付装置とを含み、
前記ネジ締付装置は、
前記ロボットの先端に固定される基部と、
該基部に、その一端が回動可能に取付けられる延長部と、
該延長部の他端に固定されていて、その先端に係合されたネジを回転させるツール部と、
前記延長部を介して前記ツール部を前記ネジに、該ネジの軸方向に押付ける押付機構部と、
前記基部に固定されていて円弧形状部分を有するガイド部と、
前記延長部を前記円弧形状部分に沿って前記ネジの締付方向に回転させるトルクを発生するトルク発生部と、を具備し、
ネジ締付作業時に、前記ロボットが前記ツール部を中心としてネジ締め方向に回転することにより、前記トルク発生部は、前記延長部が前記ガイド部の円弧形状部分に沿ってネジの締付方向に回転するように、一定のトルクを生じさせる、ロボットシステム。
【請求項2】
前記トルク発生部に設けられていて、所定値以上の反力が作用したことを検出する第一検出部を具備し、
該第一検出部が前記所定値以上の反力が作用したことを検出したときに、前記ネジ締付作業を停止するようにした、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記押付機構部がエアシリンダである請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記押付機構部がバネである請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記押付機構部の押付作用によって前記ツール部が前記ネジに係合したことを検出する第二検出部を備えた請求項1から4のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記トルク発生部が管理されたエア圧を使用したエアシリンダであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記トルク発生部がエア圧力切替装置によって管理された複数のエア圧を使用したエアシリンダであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記トルク発生部がロボット制御装置により制御されたサーボモータであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット等の動作により、ネジを自動的に締付けるネジ締付装置を含むロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械や構造物の信頼性を向上させる目的で、締付トルクを検出してトルク制御を行うナットランナが使用されている。特許文献1には、トルク検出器を備えたナットランナが開示されている。
【0003】
さらに、特許文献2は、ロボットのハンドがレンチを締付けるときの締付け操作力を監視する締付け操作監視手段を備えた装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭63-46232号公報
【特許文献2】特開2010-012583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるような一般的なナットランナは、内蔵されたモータを用いて、その軸線上に配置された工具先端を回転させている。このため、締付けられるべきナット等の前方には、比較的大きい空間が必要とされる。そのような空間が確保できない場合には、オフセットギヤなどをナットランナに内蔵させる必要がある。
【0006】
しかしながら、そのようなギヤはトルクを伝達するのに使用されるので、ギヤを小型化するのは困難である。このため、そのようなギヤを内蔵したナットランナは、結果的に大型化する傾向がある。また、前述した空間が確保できない場合には、締付トルクの上限値を下げる必要があり、またナットランナの自動化自体が困難である。
【0007】
さらに、特許文献2に開示される締付操作監視手段は歪みゲージであるので、装置全体の価格が高くなるという問題点もある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、限定された空間しか確保できない場合であっても、締付作業を自動化することのできる安価なネジ締付装置を含むロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、ロボットと、該ロボットの先端に取付けられたネジ締付装置とを含み、前記ネジ締付装置は、前記ロボットの先端に固定される基部と、該基部に、その一端が回動可能に取付けられる延長部と、該延長部の他端に固定されていて、その先端に係合されたネジを回転させるツール部と、前記延長部を介して前記ツール部を前記ネジに、該ネジの軸方向に押付ける押付機構部と、前記基部に固定されていて円弧形状部分を有するガイド部と、前記延長部を前記円弧形状部分に沿って前記ネジの締付方向に回転させるトルクを発生するトルク発生部と、を具備し、ネジ締付作業時に、前記ロボットが前記ツール部を中心としてネジ締め方向に回転することにより、前記トルク発生部は、前記延長部が前記ガイド部の円弧形状部分に沿ってネジの締付方向に回転するように、一定のトルクを生じさせる、ロボットシステムが提供される。
2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記トルク発生部に設けられていて、所定値以上の反力が作用したことを検出する第一検出部を具備し、該第一検出部が前記所定値以上の反力が作用したことを検出したときに、前記ネジ締付作業を停止するようにした。
3番目の発明によれば、1番目の発明において、前記押付機構部がエアシリンダである。
4番目の発明によれば、1番目の発明において、前記押付機構部がバネである。
5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明において、前記押付機構部の押付作用によって前記ツール部が前記ネジに係合したことを検出する第二検出部を備えた。
6番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、前記トルク発生部が管理されたエア圧を使用したエアシリンダである。
7番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、前記トルク発生部がエア圧力切替装置によって管理された複数のエア圧を使用したエアシリンダである。
8番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、前記トルク発生部がロボット制御装置により制御されたサーボモータである。
【発明の効果】
【0010】
1番目の発明においては、延長部を採用しているので、ツール部が進入できる最小限の空間しか確保できない場合であっても、締付作業を実施できる。また、トルク発生部に所定値以上の反力が作用した場合には、締付作業を停止するようにし、その結果、締付作業を自動化することができる。さらに、そのようなネジ締付装置は歪みゲージ等を使用する必要がないので、小型のネジ締付装置を安価で提供することができる。また、ネジ締付装置を広範囲で使用することができる。さらに、締付方向が限定されることのない締付作業を行うことができる。
3番目の発明においては、押付機構部がエアシリンダであるので、ツール部を一定の力でネジに押付けることができる。
4番目の発明においては、 押付機構部がバネであるので、ネジ締付装置をさらに安価にできる。
5番目の発明においては、 ツール部がネジに係合したことを確認できるので、安定した締付作業を行うことができる。
6番目の発明においては、トルク発生部が管理されたエア圧を使用しているので、トルクの検出を安価に行うことができる。
7番目の発明においては、トルク発生部が管理された複数のエア圧を使用しているので、エア圧を適宜切替えて、締付トルクを調節することができる。エア圧力切替装置は例えば電空レギュレータである。
8番目の発明においては、トルク発生部がロボット制御装置により制御されているので、ロボット制御装置を用いて締付トルクの変更および検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に基づくネジ締付装置の斜視図である。
図2図1に示されるネジ締付装置を下面側から見た斜視図である。
図3】延長部を排除した状態におけるネジ締付装置を下面側から見た斜視図である。
図4】ネジ締付装置を側方から見た斜視図である。
図5】本発明に基づくネジ締付装置の動作を示すフローチャートである。
図6】位相合わせ動作を示す第一の斜視図である。
図7】位相合わせ動作を示す第二の斜視図である。
図8】締付動作を示す第一の斜視図である。
図9】締付動作を示す第二の斜視図である。
図10】本発明に基づくネジ締付装置を含むロボットシステムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1は本発明に基づくネジ締付装置の斜視図であり、図2図1に示されるネジ締付装置を下面側から見た斜視図である。図1および図2に示されるネジ締付装置10はプレート19を介してロボット60の手首先端部に取付けられている。ロボット60は例えば垂直多関節ロボットであるが、他の形態のロボットでもよい。
【0013】
そのようなロボット60は、本発明のネジ締付装置10を所望の位置および向きに配置する役目を果たす。従って、本発明においては、ネジ締付装置10を広範囲で使用することができ、ネジの締付方向が限定されるのを避けられる。
【0014】
図1および図2に示されるように、ネジ締付装置10は、ロボット60に取付けられるプレート19と、基部11とを含んでおり、プレート19と基部11との間に、後述する押付機構部15が備えられている。図示される実施形態においては、基部11は細長状の金属板であり、延長部12の一端12aが基部11に回動可能に取付られている。
【0015】
図1および図2に示される実施形態においては、延長部12は基部11よりもわずかながら長い細長状部材である。そして、延長部12の他端12bには、ネジ14を回転させるツール部13が配置されている。図1および図2においては、ツール部13の先端には、ネジ14のヘッドが既に係合されている。また、ネジ14は、その軸線方向が延長部12の長さ部分に対して垂直で且つ押付機構部15の押付方向と同じになるように、ツール部13に係合されている。
【0016】
図1および図2に示される押付機構部15はエアシリンダである。押付機構部15は、延長部12を介してツール部13をネジ14に、ネジ14の軸方向に押付ける役目を果たす。ツール部13の先端がネジ14のヘッドに押付けられた状態で、延長部12がツール部13回りに回動すると、ツール部13がネジ14のヘッドに係合するようになる。押付機構部15の側面に備えられた係合検出部18bは、押付機構部15のロッドの位置に基づいて、ツール部13がネジ14に係合したことを検出する。
【0017】
図1および図2に示されるように、押付機構部15がエアシリンダである場合には、ツール部13を一定の力でネジ14に押付けることができる。また、押付機構部15はバネ(図示しない)であってもよく、この場合には、ネジ締付装置10を極めて安価に提供することができる。
【0018】
図3は延長部を排除した状態におけるネジ締付装置を下面側から見た斜視図であり、図4はネジ締付装置を側方から見た斜視図である。図3および図4から分かるように、基部11の下面には、ガイド部16が固定されている。ガイド部16は、その長手側面が円弧形状部分を有するように形成されている。さらに、ガイド用ブロック20が、ガイド部16に摺動可能に係合されている。ガイド用ブロック20は、延長部12の一端12aに連結されており、延長部12と一体的に回動する。
【0019】
図4から特に分かるように、基部11の下面には、トルク発生部17が備えられており、そのロッドの先端はリンク機構になっている。リンク機構は、延長部12の一端12a近傍において延長部12の側面にピンで係合している。
【0020】
図示されるトルク発生部17は、管理されたエア圧を使用したエアシリンダである。このため、トルク発生部17の側面に取付けられたトルク検出部18aは、トルクを容易且つ安価に検出することができる。トルク検出部18aは例えばリードスイッチであってもよい。
【0021】
あるいは、トルク発生部17は、図示しないエア切替装置によって管理された複数のエア圧を使用したエアシリンダであってもよい。この場合には、エア圧を適宜切替えて、締付トルクを調節することができる。エア圧力切替装置は例えば図2に示される電空レギュレータ63であってもよい。
【0022】
図5は本発明に基づくネジ締付装置の動作を示すフローチャートである。さらに、図6および図7は位相合わせ動作を示す斜視図であり、図8および図9は締付動作を示す斜視図である。図6から図9に示されるワーク30は、筒状のワーク本体31と、ワーク本体31の端面に取付けられるリール部材32とから構成される。
【0023】
図6および図7に示されるように、リール部材32は、二つの端板33、34と、これら端板33、34を連結する中心軸部35とを含んでいる。図から分かるように、端板33の直径はワーク本体31の端面の直径に概ね等しい。また、図6から分かるように、中心軸部35は比較的短いものの、延長部12の他端12bおよびツール部13が挿入可能な程度に長いものとする。
【0024】
また、以下の実施例においては、ネジ締付装置10のツール部13が六角棒レンチであり、ネジ14のヘッドには対応する六角穴が形成されているものとする。ただし、他の構成のツール部13およびネジ14を採用した場合であっても、本発明の範囲に含まれる。また、端板33およびワーク本体31の端面には、ネジ14に対応する複数の穴が形成されており、これら穴には雌ネジが形成されているものとする。
【0025】
以下、図5から図9を参照しつつ、本発明のネジ締付装置10を用いてリール部材32の一方の端板33をワーク本体31の端面にネジで固定するネジ締付作業について説明する。なお、リール部材32はワーク本体31の端面に既に適切に配置されており、端板33の複数の穴およびこれらに対応するワーク本体31の端面の穴には、ネジ14が予め挿入されているものとする。
【0026】
はじめに図5のステップS1において、ロボット60をその元位置から移動させて、ツール部13の先端を、端板33に挿入された一つのネジ14の直上に位置決めする。本発明においては、延長部12の他端12bおよびツール部13のみを端板33、34の間の空間に挿入すれば十分であり、ロボット60の手首先端部自体をこの空間に挿入する必要はない。このため、本発明においては、ツール部13が進入できる最小限の空間しか確保できない場合であっても、後述する位相合わせ作業およびネジ締付作業を行うことができる。
【0027】
次いで、図6において矢印A1で示されるように、押付機構部15を駆動して、ツール部13をネジ14に所定の力で押付ける。このときには、ツール部13をネジ14に単に押付けているだけであるので、ツール部13の先端はネジ14のヘッドの穴に挿入されていない。
【0028】
次いで、ステップS2において、ロボット60をツール部13を中心として回転させる。これにより、図6に矢印A2で示されるように、ネジ締付装置10がツール部13回りに回動するようになる。このようにネジ締付装置10を回動させると、ツール部13の先端がネジ14のヘッドの穴に自然に落下するようになる。
【0029】
図7に示されるツール部13は、図6に示されるツール部13よりも短いので、図7においてはツール部13の先端がネジ14の穴に落下したのが分かるであろう。本発明では、ネジ締付装置10を回動させることにより、ツール部13がネジ14に係合し、それにより、位相合わせ作業を自動的に行うことができる。
【0030】
ツール部13の先端がネジ14の穴に落下するときには、押付機構部15(この場合にはエアシリンダ)のロッドが所定量だけ下方向に延びる。押付機構部15に取付けられた係合検出部18bはこのような変化を検出する。ステップS3において、ロッドが下方向に延びたと判定された場合には、ツール部13がネジ14の穴に係合し、位相合わせが完了したと判断できる。このような判定は所定周期毎に行われるものとする。ロッドが下方向に延びたと判定されない場合には、ステップS3に戻って、ネジ締付装置10をさらに回動させる。このように、本発明では、ツール部13がネジ14に係合したことを確認できるので、後述する締付作業を安定して確実に行うことができる。
【0031】
次いで、ステップS4においては、図8の矢印A3で示されるように、ロボット60をツール部13を中心として回転させる。このときの回転方向はネジ14の締付方向と同一である。これにより、延長部12もロボット60と共に回転して、ネジ14を締付け始めるようになる。このとき、矢印A4で示されるように、トルク発生部17は、延長部12がガイド部16の円弧形状部分に沿ってネジ14の締付方向に回転するように、一定のトルクを生じさせる。
【0032】
ネジ14が概ね締付けられると、図9の矢印A5で示されるように、締付けによる反力が作用するようになる。これにより、延長部12はガイド部16の円弧形状部分に沿って矢印A5の方向に移動すると共に、トルク発生部17に取付けられたトルク検出部18aにより検出されるトルクが上昇する。この間もロボット60は矢印A3方向に移動し続け、ネジ14を増締めすることができる。
【0033】
そして、ステップS5においては、トルク検出部18aのトルク検出値を参照して、トルク検出値が所定値よりも大きいか否かを判定する。トルク検出値が所定値よりも大きくない場合には、ステップS4に戻る。
【0034】
これに対し、トルク検出値が所定値よりも大きい場合には、十分な締付トルクが得られたと判断できる。従って、このような場合には、締付作業を停止して、ステップS6に進む。ステップS6においては押付機構部15の押付作用を停止させる。そして、ロボット60を移動させてツール部13をネジ14から離脱させる。最終的に、ロボット60を初期位置まで戻して処理を終了する。
【0035】
このように、本発明においては、延長部12を採用しているので、ツール部13が進入できる最小限の空間しか確保できない場合であっても、延長部12をそのような空間に進入させて締付作業を実施できる。また、トルク発生部17に所定値以上の反力が作用した場合には、締付作業を停止するようにしている。このため、本発明では、図5に示される一連の締付作業全体を自動化することも可能である。また、本発明においては、歪みゲージ等を使用する必要がないので、小型のネジ締付装置を安価で提供することができる。
【0036】
また、本発明に基づくネジ締付装置を含むロボットシステムの略図である図10に示されるように、ロボット60はロボット制御装置61によって制御されている。或る実施形態においては、トルク発生部17は、ロボット制御装置61により制御されたロボット60のサーボモータ62であってもよい。この場合には、トルク発生部17がロボット制御装置61により制御されているので、ロボット制御装置61を用いて締付トルクの変更および検出を行うことができるのが分かるであろう。
【符号の説明】
【0037】
10 ネジ締付装置
11 基部
12 延長部
12a 一端
12b 他端
13 ツール部
14 ネジ
15 押付機構部
16 ガイド部
17 トルク発生部
18a トルク検出部
18b 係合検出部
19 プレート
20 ガイド用ブロック
30 ワーク
31 ワーク本体
32 リール部材
33、34 端板
35 中心軸部
60 ロボット
61 ロボット制御装置
62 サーボモータ
63 電空レギュレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10