特許第5717843号(P5717843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717843
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】金属フレーク含有トナー
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20150423BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20150423BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   G03G9/08 368
   G03G9/08 365
   G03G9/08 344
   G03G9/08 391
   G03G15/20 505
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-508038(P2013-508038)
(86)(22)【出願日】2011年4月20日
(65)【公表番号】特表2013-528829(P2013-528829A)
(43)【公表日】2013年7月11日
(86)【国際出願番号】US2011033155
(87)【国際公開番号】WO2011136997
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年2月17日
(31)【優先権主張番号】12/766,939
(32)【優先日】2010年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000846
【氏名又は名称】イーストマン コダック カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100068526
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭生
(74)【代理人】
【識別番号】100103115
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 康廣
(72)【発明者】
【氏名】ムリデュラ・ナイール
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・シチアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エス・セディタ
【審査官】 高松 大
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/011297(WO,A1)
【文献】 特表2011−529203(JP,A)
【文献】 特開2003−207941(JP,A)
【文献】 特開昭62−100769(JP,A)
【文献】 特開昭62−100770(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/088697(WO,A1)
【文献】 特表2010−517073(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/088700(WO,A1)
【文献】 特表2010−517074(JP,A)
【文献】 特開2005−134738(JP,A)
【文献】 特表2007−519982(JP,A)
【文献】 特表2009−501349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08
G03G 9/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部粒子表面を有し、ポリマーバインダー相および該相の中に封入された金属フレークまたは金属小板を含有するトナー粒子であって、金属フレークまたは金属小板が、相対的に小さな厚み寸法により区別される対向する主表面を有した実質的に二次元の粒子であり、主表面の相当円の直径が本来的に2ミクロン〜50ミクロンの範囲内であり、アスペクト比が少なくとも2であり、該トナー粒子が該トナー粒子内に形成された離散した細孔をさらに含有し、少なくとも10体積%の内部多孔度を有するトナー粒子。
【請求項2】
ポリマーバインダー相が固体状の組成的に連続した相を含有し、該固体状の組成的に連続した相内で離散した細孔が分散されている請求項1に記載のトナー粒子。
【請求項3】
金属フレークが主として離散した細孔内に存在している請求項2に記載のトナー粒子。
【請求項4】
粒子の内部多孔度が20〜90%である請求項1に記載のトナー粒子。
【請求項5】
以下の工程を含む請求項1に記載のトナー粒子の製造方法:
分散された金属フレークを含有する第1水性相を供給する工程;
ポリマーバインダーを含有する有機溶液に該第1水性相を分散させて、第1エマルションを形成する工程;
第2水性相に該第1エマルションを分散させて、第2エマルションを形成する工程;
該第2エマルションを粒状安定化剤の存在下、剪断して、第2水性相中で第1エマルションの液滴を形成する工程;および
該液滴から有機溶液を蒸発させて、金属フレークが封入された多孔質トナー粒子を形成する工程。
【請求項6】
以下の工程を含むトナー画像の形成方法:
金属フレークが封入された多孔質トナー粒子からなる請求項1に記載のトナー粒子を含むトナー画像を支持体上に形成する工程;および
熱の適用によりトナー粒子を支持体に融着させて、トナー粒子を支持体に定着させる工程において、トナー粒子内の細孔が金属フレークに空間を提供し、該金属フレークが、融着により受像用支持体表面と相対的により平行になるように、トナー粒子バインダー相内で再配向する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電写真用トナー(electrostatographic toners)、特に、金属色相を有する印刷画像の再現および印刷法、例えば電子写真法による印刷回路板の製造に使用するための、封入された金属フレークを有する多孔質トナー粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像は典型的には、まず、コロナ帯電器またはローラ帯電器などの既知の手段を用いて光導電性ウェブまたはドラムのような一次画像形成体を均一に帯電させることにより製造される。その後、光学的露光器、レーザースキャナまたはLEDアレイなどの既知の手段を用いて当該一次画像形成体を画像状に露光させることにより、静電潜像が形成される。当該静電潜像はその後、一次画像形成体の該静電潜像領域に引き付けられるように電気的に帯電されている、トナー粒子とも呼ばれる表示粒子に、該静電潜像を近接近させることにより、可視像化される。染料または顔料のような着色剤を含有してもよいし、または含有しなくてもよい表示粒子の帯電、および当該粒子の一次画像形成体との近接近は、一般的には、磁気ブラシ現像ステーションを用いて達成される。表示粒子はまず、該表示粒子を、いわゆるキャリア粒子と混合することにより、磁気ブラシ現像ステーションでの使用に適した状態にされる。キャリア粒子は、磁気ブラシ現像ステーションにおいて磁石に引き付けられる適切な材料を含有するものであり、フェライトまたは酸化鉄などの既知の材料を含有してもよい。キャリア粒子は通常、表示粒子に制御電荷を付与する様々な帯電剤を含有する。表示粒子もまた適切な帯電制御剤を含有してもよく、このためキャリア粒子との混合により、当該表示粒子は適切な大きさの電荷を得、適正量の表示粒子を静電潜像に引き付けさせるようにして、静電潜像を様々な画像濃度で現像できるようにする。
【0003】
磁気ブラシ現像では、トナー粒子は一般的には磁気ブラシ現像ステーションの槽(sump)内で、トナー濃度モニタにより測定される所定の水準までキャリア粒子と混合される。表示粒子はキャリア粒子との接触により帯電され、磁気ブラシ現像ステーションの円筒シェル、同軸磁気コアまたはそれらの両方を回転させることにより、静電潜像を支持する一次画像形成体に近接近させる。ブラシには、トナー粒子の帯電の符号に応じて、該表示粒子が一次画像形成体の電気的帯電領域または電気的放電領域のいずれかに付着して静電潜像を可視化できるように、電気的バイアスが印加される。
【0004】
次いで、トナー画像は、紙、透明体などのような最終的な受像材料のいずれかである受像体に転写されるか、または柔軟性中間転写体などの中間転写体に転写された後、当該中間転写体から最終受像体に転写される。転写は、受像体と一次画像形成体または中間転写体のいずれかとの間で圧力を適用することにより達成することができる。より一般的には、静電界またはトナー粒子を軟化させる熱の適用と併せて、圧力が適用される。その後、典型的には、当該画像は圧力、熱または溶剤蒸気を用いて最終受像体に永久的に定着される。最も一般的には、当該画像は、画像を支持する最終受像体を加熱式融着ローラに対して押圧することにより、最終受像体に定着される。最終受像体の加熱式融着ローラへの付着を防止するために、加熱式融着ローラには、常套的には最初に、シリコーンオイルなどの離型剤が塗布される。その代わりに、離型剤、特にワックス粒子をトナー粒子中に導入して、加熱式融着ローラからの融着トナー画像の剥離を促進してもよい。
【0005】
このような系において表示粒子は、磁気ブラシ現像および静電転写とともに使用される場合、電気的に絶縁であることが重要である。仮に当該粒子が電気的に絶縁でない場合、当該粒子の電荷は受像体との接触または現像ステーションにおいて変化し得る。表示粒子を一次画像形成体へ促したり、受像体へまたは受像体から促したりするために使用・印加される静電力が表示粒子の電荷を変化させるので、このことは転写および現像を悪化させ得る。さらには、仮に電荷の符号が反転しなくても、または電荷が現像または転写を妨害するほど著しく変化しなくても、このような動作の一方または両方の制御が妨害され、その結果、不適当な量の表示粒子が付着し、対応する望ましくない濃度変動および他の不自然な結果が生じる。
【0006】
印刷処理は、目的情報の再現および伝達だけでなく、例えばコーヒーテーブル本を印刷するときや絵入り広告のときに、美的な印象の伝達を果たす。ここでは、特に金属色相の再現により、大きな問題がもたらされる。金属色相は、原色、特にシアン色、マゼンタ色、イエロー色およびブラック色(CMYK)から形成される色彩混合物により不完全に再現されるだけである。金色色調はこのような色彩混合物によって再現することが特に困難である。このため、金属色を直接もたらすために、印刷用インクに金属顔料または金属粒子を導入させることが提案されている。このような提案は実際に多くの市販の液状印刷用インクで採用されている。しかし、磁性特性および/または電気的特性、特に静電特性、が重大な電子写真用トナーの場合には、金属成分はこのような特性に逆効果のことがあるので、当該提案には特に問題がある。
【0007】
それにもかかわらず、当該分野では、トナーを金属成分で染めることが既に提案されている。例えば、米国特許第5,180,650号明細書には、例えば金属ハロゲン化物からなる上塗り被膜が順次提供される被膜中において、銅、銀または金などの淡色の金属成分を含有するトナー組成物を提供することが開示されている。しかしながら、特に印刷物の外観に、金属成分の酸化を促進し得るハロゲン化物による当該成分の化学反応により悪影響が及ぶことがある。例えば、誰もが知っている銅または銀物体の曇りが生じ、金属品質を魅力のないものとしたり、完全に消失させたりすることがある。さらに、このようなトナーは淡い金属色にすぎず、印刷物に金色色調を再現するには十分ではない。
【0008】
さらには、常套の製造方法を用いて金属成分をトナー中に導入すると、このような金属フレークは典型的にはトナー粒子中、ランダムに配向する。このようなランダムな配向は、当該トナーを加熱式融着ローラにより受像シートに定着させると、金属色相の低下をもたらし、外観をむしろ暗くさせる。
【0009】
近年では、電子写真法での使用のために金属フレークが疎水性で不導性になるように、金属フレークの表面を変性することが提案されている。米国特許第7,326,507号明細書では、金属色相を作り出すためのトナーの製造方法が開示されている。金属顔料粒子はシリケートで被覆された後、有機層で被覆され、得られた粒子をトナー材料と組み合わせる。しかしながら、トナーは、封入された金属フレークのポリマー樹脂中での含有を示さなかった。従って、粒子の製造処理中において金属顔料自体がポリマーから分離する可能性があり、その結果、転写およびクリーニングに問題を引き起こし得るトナー中での不均質がもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,180,650号明細書
【特許文献2】米国特許第7,326,507号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、封入された金属フレーク(encapsulated metallic flakes)を高濃度で含有するトナーポリマー粒子を提供することである。
本発明のさらなる目的は、印刷法、例えば、電子写真法(electrophotography)または電位記録法(electrography)により、受像用支持体へのトナー粒子の融着で、金属色相を効果的に作り出すことができる、封入された金属フレークを含有した多孔質トナー粒子を提供することである。
本発明のまた別の目的は、電子写真法または電位記録法などの方法を用いて回路板を印刷するための、導電性金属フレークが封入された多孔質ポリマー粒子を提供することである。
本発明のさらなる目的は、上記トナー粒子を製造するための、拡張性があり、かつ効果的な方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、電子写真法により、金属色相が改善され、かつ光沢またはきらめき効果のあるトナー画像を製造する方法を提供することである。
本発明のまた別の目的は、このような粒子および方法において、市販の金属フレークを、さらなる表面変性処理が必要とされることなく、直接的に利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的および他の目的は、本明細書で説明する本発明により達成することができる。
【0013】
一実施態様においては、本発明は、外部粒子表面を有し、ポリマーバインダー相および該相の中に封入された金属フレークを含有するトナー粒子であって、該トナー粒子が該トナー粒子内に形成された離散した細孔(discrete pores)をさらに含有し、少なくとも10体積%の内部多孔度を有するトナー粒子に関する。
【0014】
別の実施態様においては、本発明は、以下の工程を含む上記トナー粒子の製造方法に関する:分散された金属フレークを含有する第1水性相を供給する工程;ポリマーバインダーを含有する有機溶液に該第1水性相を分散させて、第1エマルションを形成する工程;第2水性相に該第1エマルションを分散させて、第2エマルションを形成する工程;該第2エマルションを粒状安定化剤の存在下、剪断して、第2水性相中で第1エマルションの液滴を形成する工程;および該液滴から有機溶液を蒸発させて、金属フレークが封入された多孔質トナー粒子を形成する工程。
【0015】
別の実施態様においては、本発明は、以下の工程を含むトナー画像の形成方法に関する:金属フレークが封入された多孔質トナー粒子からなる本発明のトナー粒子を含むトナー画像を支持体上に形成する工程;および熱の適用によりトナー粒子を支持体に融着させて、トナー粒子を支持体に定着させる工程において、トナー粒子内の細孔が金属フレークに空間を提供し、該金属フレークが、融着により受像用支持体表面と相対的により平行になるように、トナー粒子バインダー相内で再配向する工程。トナー粒子の多孔質構造はさらに、中実粒子と比較して、少量でのバインダーの使用を可能にして、融着画像をより薄くすることができ、融着により支持体表面に対する金属フレークの整列度が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は金属フレークを含有する比較用中実トナー粒子から形成された融着トナー粒子の反射光学画像である。
図2図2は本発明の実施態様による金属フレークを含有する多孔質トナー粒子から形成された融着トナー画像の反射光学画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明ならびに本発明の他の利点および性能をより理解するために、上記した図面と関連して以下の詳細な説明について言及する。
【0018】
本発明は、印刷法により金属色相、好ましくは金色色相または銀色色相を再現するためのトナー、特に電子写真用トナーであって、少なくとも1種の金属フレーク状顔料を含有する少なくとも1種の多孔質粒子により区別されるトナーを提供する。このようなトナーを使用することの望ましさは既に説明されている。本発明によれば、気孔(voids)はトナー粒子中に導入されて多孔質粒子を形成するものであり、当該気孔は、高温融着によりフレーク状金属顔料がバインダー内で再配向するための空間を提供するので、金属色相がより高く、かつ光沢またはきらめき効果を示す印刷物が得られる。
【0019】
本発明のトナーは、デジタル式印刷法、好ましくは静電印刷法、より好ましくは電子写真式印刷法、例えば、L.B.シャイン(Schein)著、電子写真法と現像物理特性(第2版、ラプラシアン出版(Laplacian Press)、モルガン・ヒル、カルフォルニア州、1996年(ISBN1−885540−02−7))に記載されている方法により支持体(受像体)に適用されてもよいし、または塗布法、好ましくは静電式塗布法、より好ましくは2002年1月29日に発行された米国特許第6,342,273号明細書に記載されている電磁ブラシ式塗布法により適用されてもよい。支持体の表面にトナーを定着させるために、加熱式ローラ融着法のような接触式融着法、またはオーブン融着法、熱気融着法、輻射融着法、フラッシュ融着法、溶剤融着法、もしくはマイクロ波融着法のような非接触式融着法を使用することが好ましい。
【0020】
本発明で使用されるトナー粒子は、外部粒子表面(external particle surface)を有し、ポリマーバインダー相および該相の中に封入された金属フレークを含有する。トナー粒子内には離散した細孔が形成されており、このため当該トナー粒子は少なくとも10体積%の内部多孔度を有する。本発明の多孔質トナー粒子は、「ミクロ(micro)」細孔、「メソ(meso)」細孔および「マクロ(macro)」細孔を含むものであり、これらの細孔は国際純正・応用化学連合により、それぞれ2nm未満の細孔、2〜50nmの細孔、および50nm超の細孔に対して推奨される分類である。本明細書中で使用される多孔質粒子という用語は、連続細孔または独立細孔を含むあらゆる大きさの細孔を包含する。
【0021】
一実施態様によれば、本発明の金属フレーク封入多孔質トナー粒子は、例えば、米国特許公開第2008/0176157、2008/0176164および2010/0021838号公報に記載されている種類のウォーター・イン・オイル・イン・ウォーター(water-in-oil-in-water)型ダブルエマルション法により製造されてもよい。このようなダブルエマルション法は基本的には3段階工程を含むものである。第1工程は安定なウォーター・イン・オイル型エマルションを形成するものであり、有機溶剤中に溶解されたバインダーポリマーの連続相に、第1水性相を微分散させることを含む。この特定の実施態様によれば、この最初に分散される水性相が最終的に粒子内に細孔を形成させる。細孔安定化用化合物を第1水溶液に含有させて、粒子中の細孔の大きさおよび細孔の数を制御する一方で、最終粒子が脆弱でなく、または容易に破砕しないように細孔を安定化させてもよい。細孔安定化用ヒドロコロイドは、天然に存在するまたは合成した水溶性または水膨潤性ポリマーを包含し、例えば、以下のものが挙げられる;セルロース誘導体、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロースとも称されるカルボキシメチルセルロース(CMC);ゼラチン、例えば、アルカリ処理したゼラチン、例えば牛骨若しくは皮革ゼラチン、または酸処理したゼラチン、例えば豚皮ゼラチン;ゼラチン誘導体、例えば、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチンなど;タンパク質およびタンパク質誘導体などの物質;合成ポリマーバインダー、例えば、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルラクタム)、アクリルアミドポリマー、ポリビニルアセタール、アルキルおよびスルホアルキルアクリレートおよびメタクリレートのポリマー、加水分解ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリビニルピリジン、メタクリルアミドコポリマー、水溶性ミクロゲル、高分子電解質、アイオノマーおよびこれらの混合物。
【0022】
はじめの第1工程におけるウォーター・イン・オイル型エマルションを熟成または凝集させることなく保持できるように安定化させるために、所望により、水相中のヒドロコロイドは、油相における水の溶解度に応じて、油相中のバインダーの浸透圧よりも高い浸透圧を有することが好ましい。これによって、油相内への水の拡散を大きく減少させ、水滴間での水の移動により引き起される熟成を大きく減少させる。ヒドロコロイド濃度を上昇させるか、またはヒドロコロイドの電荷を上昇させることにより、水相中の高い浸透圧を達成できる(ヒドロコロイド上の解離電荷の対イオンがヒドロコロイドの浸透圧を上昇させる)。pHを変化させることによりヒドロコロイドの浸透圧の制御を可能にする弱塩基性部または弱酸性部を、細孔安定化用ヒドロコロイドが有することも有利である。本発明者等はこのようなヒドロコロイドを「弱解離ヒドロコロイド」と呼ぶ。このような弱解離ヒドロコロイドに関する浸透圧は、解離を促進するようにpHを緩衝させるか、または、解離を促進するように水相のpH値を変化させるために塩基(または酸)を単に添加することにより増加させることができる。このような弱解離ヒドロコロイドの好ましい例は、pHの影響を受けて解離性を示すCMCである(カルボキシレートが弱酸性部である)。CMCに関する浸透圧は、例えばpH6〜8のリン酸緩衝液を使用してpHを緩衝するか、または解離を促進するように水相のpHを上昇させる塩基を単に添加することにより増加させることができる(CMCに関する浸透圧は、pHが4〜8から上昇するにつれ急激に増加する)。
【0023】
別の合成高分子電解質ヒドロコロイド、例えばポリスチレンスルホネート(PSS)またはポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート)(PAMS)またはポリホスフェートも、可能なヒドロコロイドである。これらのヒドロコロイドは強解離部を有する。これらの強解離性高分子電解質ヒドロコロイドに関する電荷が強解離することに起因して、浸透圧に対するpH調整は上述のように有利に行なえないが、これらの系は酸不純物の濃度変化の影響を受けにくい。特に、ポリエステルなどの酸不純物を幅広い濃度で有するバインダーポリマーと共に使用する場合、このことは、これらの強解離性高分子電解質ヒドロコロイドが備える潜在的な利点である。
【0024】
細孔安定化用ヒドロコロイドの好ましい特性は、水溶性、多段階乳化工程に対して悪影響がないこと、および得られた粒子を電子写真用トナーとして使用する際に当該粒子の溶融レオロジーに対して悪影響を及ぼさないことである。細孔安定化用化合物は、任意に細孔内で架橋して、トナーの摩擦帯電に影響を及ぼす表面への当該化合物の移動を最小限にすることができる。第1工程において使用されるヒドロコロイドの量は、所望される多孔度および細孔の大きさ、並びにヒドロコロイドの分子量に依存する。特に好ましいヒドロコロイドはCMCであり、バインダーポリマーの0.5〜20重量%の量、好ましくは1〜10重量%の量、より好ましくはバインダーポリマーの2〜10重量%の量である。
【0025】
第1水性相は、所望により、溶液を緩衝する塩、および上述のように第1水性相の浸透圧を任意に調整する塩をさらに含有してもよい。CMCに関する浸透圧は、pH7のリン酸緩衝剤を使用して緩衝することにより増加させることができる。第1水性相はまた、ポロゲンまたは細孔形成剤、例えば炭酸アンモニウムなどをさらに含有してもよい。
【0026】
ダブルエマルション法の実施態様は、水と不混和性の溶媒中に溶解させることができるあらゆる種類のバインダーポリマー又はバインダー樹脂であって、バインダー自体が実質的に水に不溶性であるものから、多孔質ポリマートナー粒子を製造することに適用できる。有用なバインダーポリマーとしては、ビニルモノマー、例えばスチレンモノマーおよびアクリル系モノマー、および縮合モノマー、例えばエステル類、並びにこれらの混合物から誘導されるものが挙げられる。バインダーポリマーとしては、既知のバインダー樹脂を使用できる。具体的には、このようなバインダー樹脂としては、例えばポリエステル、および以下のモノマーから誘導されるポリマーなどのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる;スチレン類、例えばスチレンおよびクロロスチレン;モノオレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、ブチレンおよびイソプレン;ビニルエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、および酪酸ビニル;α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクチルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびドデシルメタクリレート;ビニルエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、およびビニルブチルエーテル;およびビニルケトン類、例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンおよびビニルイソプロペニルケトン;ならびにこれらの混合物。特に望ましいバインダーポリマー/樹脂としては、以下のものが挙げられる:ポリスチレン樹脂;ポリエステル樹脂;スチレンおよびアクリル系モノマーから誘導されるコポリマー、例えばスチレン/アルキルアクリレートコポリマーおよびスチレン/アルキルメタクリレートコポリマー;スチレン/アクリロニトリルコポリマー;スチレン/ブタジエンコポリマー;スチレン/無水マレイン酸コポリマー;ポリエチレン樹脂;およびポリプロピレン樹脂。さらに、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、変性ロジン、パラフィン類およびワックス類が挙げられる。また、特に有用なものは、芳香族又は脂肪族ジカルボン酸と1種またはそれ以上の脂肪族ジオールとのポリエステルであり、例えばイソフタル酸又はテレフタル酸又はフマル酸と、ジオール、例えばエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールおよびエチレン若しくはプロピレンオキシドのビスフェノール付加物とのポリエステルが挙げられる。具体例は米国特許第5,120,631号明細書、同第4,430,408号明細書および同第5,714,295号明細書に記載されており、プロポキシ化ビスフェノールAフマレート、例えば以前はICIアメリカズ社製のアトラック(ATLAC)382ESであったリコールド・ケミカルズ(Reichold Chemicals)社製のファイントーン(FINETONE)382ESが挙げられる。
【0027】
好ましくはポリエステル樹脂の酸価(樹脂1g当りの水酸化カリウムのミリグラム数として示される)は2〜100の範囲である。ポリエステルは飽和または不飽和であってもよい。これらの樹脂のうち、ポリ(スチレン−co−アクリレート)樹脂およびポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0028】
本発明の実施に際しては、25℃の酢酸エチル中で20重量%溶液として測定される粘度が1〜200センチポイズの範囲内にある樹脂を使用することが特に有利である。
【0029】
本発明のダブルエマルション法の実施態様においては、バインダーポリマーを溶解させ、かつ水と不混和である、あらゆる適切な溶媒が使用されてよく、例えば、クロロメタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、塩化ビニル、トリクロロメタン、四塩化炭素、塩化エチレン、トリクロロエタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、2−ニトロプロパンなどが挙げられる。特に有用な溶媒は、酢酸エチル及び酢酸プロピルである。なぜならば、それらは共に多くのポリマーに対して効果的な溶媒であり、一方でそれと同時に水への難溶性を示すからである。さらに、それらは、蒸発により、以下に記載するような不連続相液滴から容易に除去できるような揮発性を有する。
【0030】
バインダーポリマーを溶解させ、かつ水と不混和である溶媒は、任意に、上述の一覧から選択される、水と不混和性の2種以上の溶媒の混合物であってもよい。溶媒は任意に、上記溶媒1種以上と、乾燥および単離する前にバインダーポリマーを沈殿させるには不十分な比率で添加される水と不混和性の、バインダーポリマーの非溶媒、例えばヘプタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテルなど、との混合物を含有してもよい。
【0031】
ダブルエマルション法による多孔質粒子の形成における第2工程は、ELC法を改良した方法、例えば米国特許第4,833,060号明細書、同4,965,131号明細書、同2,934,530号明細書、同3,615,972号明細書、同2,932,629号明細書および4,314,932号明細書などに記載された方法において、安定化ポリマー、例えばポリビニルピロリドン若しくはポリビニルアルコール、またはより好ましくはコロイドシリカ、例えばルドックス(LUDOX)若しくはナルコ(NALCO)またはラテックス粒子のいずれかを含有する第2水性相中に、上述のウォーター・イン・オイル型エマルションを分散させることにより、ウォーター・イン・オイル・イン・ウォーター型エマルションを形成することを含む。
【0032】
第2工程において、詳しくは、ウォーター・イン・オイル型エマルションを、コロイドシリカ安定剤を含有する第2水性相と混合させて、剪断若しくは伸長混合(extensional mixing)または類似の流動法、好ましくは液滴サイズを減少させる(しかし、第1のウォーター・イン・オイル型エマルションの粒子サイズよりは大きい)オリフィス装置を介する方法に付される液滴の水性懸濁液を形成し、制限された凝集法を介してサイズ分布の狭い液滴を得ることが好ましい。第2水性相のpHは、コロイド安定剤としてシリカを使用する場合、一般に4〜7である。
【0033】
第2水性相中において結果として起こる、第1のウォーター・イン・オイル型エマルションの液滴の懸濁は、比較的大きなバインダーポリマー/樹脂溶液の液滴内に、より小さな液滴として、第1水性相を含有するダブルエマルションを形成し、これを乾燥に付すことにより、得られるバインダーポリマー/樹脂の粒子において多孔質領域を製造する。液滴を安定させるために使用されるシリカの実際の量は、多重エマルションを調製するために使用される各種の相の体積および重量比に依存する典型的な限定凝集法と同様に、所望される最終的な多孔質粒子の大きさに依存する。
【0034】
上述した第1工程を実施するためには、あらゆる種類の混合装置および剪断装置を使用してもよく、例えばバッチ式ミキサー、遊星型ミキサー、1軸または多軸型押出機、動的または静的ミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、超音波粉砕器(sonicator)、またはこれらの組合せが挙げられる。一方、あらゆる高剪断型攪拌装置をこの工程に使用することができ、好ましい均質化装置は、マイクロフルイディックス・マニュファクチュアリング社製の微細流動化装置(MICROFLUIDIZER)(例えば型式番号110T型など)である。この装置の場合、高剪断攪拌領域内の油相(連続相)中において、第1水相(不連続相)の液滴を分散させ、該液滴サイズを減少させ、次いでこの領域を抜け出させることにより、分散相の粒径を減少させて連続相中の分散液滴の大きさを均一にする。処理温度は、液滴の乳化に最適な粘度を得るために、および溶媒の蒸発を調整するために修正することができる。ウォーター・イン・オイル・イン・ウォーター型エマルションが形成される第2工程において、剪断若しくは伸長混合または流動法は、第1エマルションの崩壊を防ぐために制御され、液滴サイズの低減化は、好ましくは、細管オリフィス装置あるいは別の適当な流動幾何学によりエマルションを均質化させることにより達成される。許容可能な粒径および粒径分布をもたらすために適した背圧の範囲は100〜5000psi、好ましくは500〜3000psiである。好ましい流速は1分当り1000〜6000mLである。
【0035】
粒子の最終粒径、細孔の最終サイズおよび粒子の表面形態は、内部水相、バインダーポリマー/樹脂油相および外部水相の浸透圧間の不一致により影響が及ぼされることがある。各界面において、存在する浸透圧勾配が大きいほど、油相における水の拡散係数および溶解度に応じて水が浸透圧の比較的低い相から浸透圧のより高い相へと拡散する際の拡散速度がより速くなる。油相に比べて、外部水相または内部水相のいずれかの浸透圧が低い場合、水は油相内へと拡散してこれを飽和させる。好ましい油相溶媒である酢酸エチルは、油相内に約8重量%の水を溶解させることができる。バインダー相に比べて、外部水性相の浸透圧が高い場合、水が粒子の細孔から移動して、多孔度および粒径が減少する。多孔度を増大させるためには、外部相の浸透圧が最も低く、一方、内部水性相の浸透圧が最も高くなるような浸透圧とすることが好ましい。すなわち、水は浸透圧勾配に従い外部水相から油相内へと拡散し、次いで内部水相へと拡散し、細孔の大きさを膨張させ、多孔度および粒径を増加させる。
【0036】
小さな細孔を有すること、および当該工程のエマルション中に形成される初期の小さな液滴サイズを維持することが好ましい場合、内部水相および外部水相の両方の浸透圧を一致させるか、あるいは該浸透圧が小さな浸透圧勾配を有することが好ましい。また、油相の浸透圧に比べて、外部水相と内部性相の浸透圧を高くすることも好ましい。弱解離性のヒドロコロイド、例えばCMCなどを使用する場合、酸または緩衝剤、好ましくはpH4のクエン酸緩衝剤を使用して、外部水相のpHを変化させることができる。水素イオンおよび水酸化物イオンは、内部水相へと急速に拡散し、外部相のpHを平衡化させる。CMCを含有する内部水相のpHの低下は、CMCの浸透圧を低下させる。pHの平衡化を正確に設計することにより、ヒドロコロイドの浸透圧を制御することができ、最終的な多孔度、細孔のサイズおよび粒径を制御できる。
【0037】
ダブルエマルション法に従って調製された多孔質トナー粒子は、外部粒子表面をもたらす固体状の組成的に連続したポリマーバインダー相と、該固体状の組成的に連続した相内に分散された離散した細孔を含有する。本発明によれば、多孔質トナー粒子は、該粒子内に封入された金属フレーク状粒子および任意の別の添加剤をさらに含有する。このような金属フレークおよび別の添加剤は主として内部の細孔内、および/またはポリマーバインダー相内に存在していてもよい。特定の実施態様においては、このような金属フレークは、疎水性バインダー相への混和を困難にさせる親水性表面を有するので、金属フレークは、第1分散水溶液に混合することにより都合よく導入されてもよい。従って、本発明のこのような実施態様は、有機相への直接的な分散により得られる一般的なものよりも比較的高濃度で金属フレークを効果的に混合させることができる。本発明の目的のために、主として内部細孔内に存在させるためには、金属フレーク添加剤(または別の特定の添加剤)を、組成的に連続したポリマーバインダー相中に存在する量よりも多い量で、粒子の内部細孔内に存在させる必要がある。このことは、上述したダブルエマルション法において当該特定添加剤の大部分を第1水相内へ混合させ、油相内へ混合させる当該添加剤をごく少量にする(極端な場合には混合させない)ことにより達成される。本発明の特定の実施態様によると、粒子の内部細孔内に主として存在する添加剤はまた、外部粒子表面に実質的に存在しないことが好ましい。このことは、上述した方法において第1水相のみに存在するように当該添加剤を制限することにより可能となる。上述した方法において、このような実質的に添加剤を有しない粒子の外部表面の形成を可能とするための粒子表面形態を制御する別の方法は、2つの水性相の浸透圧を制御することである。外部水相と比較して内部水相の浸透圧が極めて低い場合、例えば、当該方法の第3工程において乾燥させる間に、表面近くに形成された細孔が表面に向かって破裂し、「開放細孔」表面形態(表面クレーター)を形成する。その結果として、第1水相中に含まれる添加剤が、粒子外部表面上に付着する可能性がある。従って、好ましくは、このような開放細孔の形成を最小限にするように該方法を制御することで、主に閉鎖細孔を具備して、表面シェルに実質的に細孔を有さず、および外部粒子表面に添加剤を有さない粒子を形成する。
【0038】
ダブルエマルション法による多孔質粒子の調製における第3工程は、バインダーポリマーを溶解させるために使用された溶媒を除去して、水溶液中で均一な多孔質ポリマー粒子の懸濁液を製造することを含む。乾燥中の速度、温度、及び圧力も、最終粒径及び表面形態に影響を及ぼす。この工程における重要な詳細は、乾燥工程の温度と関連する有機相の水溶性と沸点に依存する。本発明の方法の実施に際しては、溶媒除去装置、例えば回転蒸発器又はフラッシュ蒸発器を使用してもよい。溶媒を除去した後、濾過または遠心分離によってポリマー粒子を単離し、続いて、40℃のオーブン内で粒子を乾燥させてもよい。この乾燥によっても、細孔中に残存する第1水相からの水が除去される。所望により、粒子をアルカリで処理してシリカ安定剤を除去する。所望により、上述した多孔質粒子の調製における第3工程は、細孔のサイズと多孔度の全体水準を増加させるために、溶媒の除去、単離、および乾燥の前に更なる水の添加をおこなってもよい。
【0039】
多孔質粒子を形成するための別の方法においては、(あらゆる細孔安定化用ヒドロコロイドに加えて)、少なくとも1種の添加剤を含有する第1水溶液を、水と不混和性の重合モノマーおよび重合性開始剤の混合物中で乳化させることによって、第1ウォーター・イン・オイル型エマルションを形成させてもよい。次いで、得られたエマルションを、上記方法の第2工程において記載したような安定剤を含有する水中に分散させることにより、好ましくは限定凝集法によって、ウォーター・イン・オイル・イン・ウォーター型エマルションを形成させてもよい。乳化混合物中のモノマーを第3工程において、好ましくは熱または放射線の適用により重合させる。得られた懸濁重合粒子を前述のようにして単離し、乾燥させて、多孔質粒子を得てもよい。さらに、水と不混和性の重合性モノマーの混合物は、前記のバインダーポリマーを含有できる。
【0040】
本発明における多孔質粒子の平均粒径は、例えば2〜100マイクロメーターであってもよく、好ましくは3〜50マイクロメーター、より好ましくは5〜20マイクロメーターである。当該粒子の多孔度は少なくとも10%であり、より好ましくは20〜90%であり、最も好ましくは30〜70%であり、このような多孔度の値は外部粒子表面内における内部の気孔空間の体積割合を示す。
【0041】
上述したように、本発明における多孔質粒子は、外部粒子表面を有する固体状の組成的に連続したポリマーバインダー相と、該固体状の組成的に連続した相内に分散し、内部細孔表面を形成する離散した細孔を含有する。上述した多孔質粒子形成工程において使用され得る、あらゆる細孔安定化用化合物とは異なりこれに加えて添加される添加剤は、このような粒子の離散した内部細孔内に主に存在してもよいし、さらに、外部粒子表面に実質的に存在しなくてもよい。このような添加剤は、例えばトナーまたは別の表示粒子において使用される機能性添加剤、例えば少なくとも1種の着色剤、ワックスなどの離型剤、磁性粒子、あるいは艶消し剤を含有してもよい。トナーにおいて常套に使用される添加剤の場合、トナー粒子表面における当該添加剤の存在は、摩擦帯電、取り扱い特性および電子写真性能特性の制御において、ばらつきのある潜在的な悪影響をもたらし得る。組成的に連続したポリマーバインダー相内に含有された主として内部細孔内に存在する添加剤の配置を制限することにより、このような粒子の摩擦帯電および電子写真性能に及ぼす添加剤の影響を最小限にできるので、異なる添加剤を備えた異なる複数のトナーを含有するトナーセットであって、一定した帯電特性および転写特性を有利に示すトナーセットを得ることができる。形成された多孔質粒子中に配置されることが望ましい添加剤であって、外部粒子表面に実質的に存在しないことが望ましい添加剤は、上記の方法における第1水溶液に混合させることにより、本発明の多孔質粒子を形成してもよい。さらに、多くの所望の添加剤は水性分散液として容易に入手でき、また、化学的に調製されたトナー若しくは別のポリマー粒子内へ当該添加剤を導入するための実現可能な方法は、本発明に係る実施態様における多段階エマルション法の第1水相中へそれらを導入させることである。多くのワックスおよび顔料の分散液、特にワックス分散液は、例えば、水中で製造することが容易であり、また、これらの多くは市販されている。従って、ダブルエマルション法は、トナーおよび別のポリマー粒子中に組み込む着色剤および他の添加剤の範囲を大幅に拡大する。
【0042】
本発明のトナー粒子中での使用に適した着色剤は、例えば米国再発行特許第31,072号明細書、および米国特許第4,160,644号明細書、同第4,416,965号明細書、同第4,414,152号明細書および同第4,229,513号明細書に開示されている顔料および染料を包含する。着色剤としては、既知の着色剤を使用できる。着色剤は例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントブルー15:1、およびC.I.ピグメントブルー15:3を包含する。本発明の実施において、着色剤は一般に、総トナー粉末重量を基準として1〜40重量パーセント、好ましくは2〜30重量パーセント、最も好ましくは4〜20重量パーセントの範囲で使用できる。着色剤含有率が4重量%以上である場合、十分な着色力を得ることができ、そして20重量%以下である場合、良好な透明性を得ることができる。着色剤の混合物を使用することもできる。本発明に従い添加剤として使用される非水溶性の着色剤は、第1エマルションを形成する前に、第1水性相中に予め分散させてもよい。
【0043】
本発明において使用される多孔質トナー粒子および電子写真印刷法での使用に適した金属フレークまたは金属小板(metallic flakes or platelets)は粉体形態または懸濁液形態にある金属フレークのあらゆる市販の供給源であってもよい。当該フレークまたは小板は、相対的に小さな厚み寸法により区別される対向する主表面または面を有した実質的に二次元の粒子である。使用されるフレークは主表面の相当円直径(equivalent circular diameter)(ECD)が本来的に2〜50ミクロンの範囲内であることが好ましく、相当円直径とは主表面と同面積の円の直径である。より好ましくは、金属フレークは主表面の相当円直径が本来的に2〜20ミクロンの範囲内であり、さらに好ましくは3〜15ミクロンの範囲内である。フレークまたは小板形状の粒子はさらに、アスペクト比(主表面の相当円直径の厚みに対する比率)が少なくとも2、より好ましくは少なくとも5であることを特徴とする。市販の金属フレークは典型的にはアスペクト比が5〜40であるか、またはさらに高い。金属フレークの濃度は固形分の総重量に基づいて3重量%〜30重量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは、金属フレークは固形分の総重量に基づいて4重量%〜25重量%の量で使用される。
【0044】
使用可能な金属フレークの具体例として、BASF社の支社であるチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の金属フレーク、例えば酢酸エチル中のアルミニウムフレーク メタシーン(METASHEEN)91−0410、およびナノ・ダイナミクス(NanoDynamics)社製の金属フレーク、例えば銅フレーク グレードC1−4000F 4μm、固形粉体が挙げられる。別の金属フレークとしては、例えば、錫、金、銀、白金、ルビジウム、黄銅、青銅、ステンレス鋼、亜鉛およびこれらの混合物が挙げられる。純粋な金属フレークに加えて、金属または金属酸化物被覆材料、例えば、金属酸化物被覆マイカ、金属酸化物被覆ガラス、およびこれらの混合物が金属フレークとして使用できる。金色色調は本物の金で達成することができるが、代わりに、銅および亜鉛、好ましくは組成に応じて黄銅または青銅と呼ばれる合金形態のものを使用してもよい。合金における銅部分と亜鉛部分との好ましい比率は90:10〜70:30である。合金において亜鉛部分が増加すると、金属的な金色色相は赤味を帯びた色から黄味を帯びた色に、またはさらに緑色を帯びた金色色調に変化する。金色色調の色は金属の制御された酸化により増加する。銀色色調は、別の可能性のうち、アルミニウムを含有する金属フレークから生じる。
【0045】
金属フレークは、第1水相または油相への導入の前に、混和化材料(compatibilizing materials)で前処理してもよい。このような材料として、脂肪酸、アミド、無水物、エポキシド、ホスフェートまたはアミンが挙げられる。混和剤(compatibilizer)はさらに、HLB数が少なくとも8の分散剤であってもよい。分散剤のHLB数は分散剤の親水性/親油性バランスの測定値であり、以下の文献に記載のように測定することができる:「高分子界面活性剤」(界面活性剤科学シリーズ、第42巻、第221頁、アイ・ピールマ(I.Piirma)著)。好ましい分散剤の一般的な分類は、水溶性または水分散性の界面活性ポリマーである。好ましい分散剤は実際に両親媒性を有する。このような分散剤は、粒子間の引力に対して十分に大きな立体障害を提供するのに十分な長さの親油性基および親水性基の両方を当該分子中において含有する。当該分散剤は実際にノニオン性であってもよいし、またはイオン性であってもよい。このような両親媒性分散剤は一般的にはブロックコポリマーであって、直鎖状または分枝鎖状であり、セグメント化された親水性部分および親油性部分を有する。親水性セグメントはイオン性基を含有していても、含有していなくてもよく、また親油性セグメントは分極性基を含有していても、含有していなくてもよい。このような分散剤は、水性分散液の粘度増加をもたらす弾性凝集塊または別の凝集塊の形成から分散液を保護する際に本質的に立体安定剤として作用するものと考えられている。分散剤の親水性セグメントにイオン性基が存在する場合、分散粒子間のイオン性反発力により、さらなるコロイド安定化が提供される。分散剤の親油性セグメントに分極性基が存在する場合、アンカー部位(anchoring sites)により、当該分散剤と、本質的に極性を有していてもよい任意の凝集性金属粒子(flocculation-prone metallic particles)との会合が増える。好ましい分散剤は、各種のポリ(エチレンオキシド)含有ノニオン性およびアニオン性ブロックコポリマーを含む。アニオン性基を有する分散剤が特に好ましい。ホスフェート化アルキルまたはアリールフェノールアルコキシレート、例えばミリケン・ケミカル社(スパルタンバーグ、南カルフォルニア州)製のシンファック(SYNFAC)8337が最も好ましい。
【0046】
電子写真用トナーに一般的に存在する各種の添加剤は、本発明で使用される多孔質トナー粒子の連続ポリマー相に添加されてもよく、例えば、帯電制御剤、ワックスおよび潤滑剤が挙げられる。適切な帯電制御剤は、例えば、米国特許3,893,935号明細書、同4,079,014号明細書、同4,323,634号明細書、同4,394,430号明細書、および英国特許第1,501,065号明細書および1,420,839号明細書に記載されている。有用な別の帯電制御剤は、米国特許第4,624,907号明細書、同4,814,250号明細書、同4,840,864号明細書、同4,834,920号明細書、同4,683,188号明細書および同4,780,553号明細書に記載されている。帯電制御剤の混合物も使用できる。帯電制御剤は一般的には少量で使用され、例えば、総固形分重量に基づいて0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.2重量%〜3.0重量%で使用される。
【0047】
本発明において有用なワックスとして以下のワックスが挙げられる:低分子量ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブテンなど;加熱により軟化可能なシリコーン樹脂;脂肪酸アミド、例えばオレアミド、エルカミド、リシノールアミド、およびステアラミド;植物性ワックス、例えばカルナウバワックス、ライスワックス、カンデリラワックス、ジャパンワックス、およびホホバオイル;動物性ワックス、例えば蜜ろう;ミネラルワックスおよび石油ワックス、例えばモンタンワックス、オゾセライト(ozocerite)、セレシン(ceresine)、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびフィッシャー・トロプシュワックス;およびそれらの変性物。起源に関係なく、融点が30〜150℃の範囲内のワックスが好ましく、融点が40〜140℃の範囲内のワックスがより好ましい。ワックスは、例えば、総粒子重量に基づいて1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%の量で使用されてもよい。ワックスはトナーに幾つかの方法により導入されてもよい。ワックスはまず、溶融配合により適切なポリマーバインダー中に分散された後、溶媒と混合して、有機相を形成してもよい。別法において、ワックスは、適切な分散助剤により有機相中、分散液形態に処理して、有機相へ導入させてもよいし、または水分散液の形態に処理して、第1水性相へ導入させてもよい。全ての場合において、ワックスは微小固形粒子として最終粒子中に存在する。
【0048】
別の方法においては、封入された金属フレークを含有する多孔質粒子は米国特許出願第12/766,944号明細書に記載されているスプレー・アンド・フリーズ・ドライ法(spray and freeze draying process)により形成されてもよい。このような方法においては、ポリマー材料を有機溶媒に溶解させて有機相を形成し、これに金属または金属フレークを添加して懸濁液を形成し、例えば当該懸濁液を細管ノズルからスプレーすることにより、得られた懸濁液の液滴を形成する。液滴は、冷環境に噴霧されることにより凍結され、そこで、液滴中の溶媒は迅速に凍結されてポリマー内に凍結溶媒領域を形成し、得られた冷固形液滴を、好ましくは減圧下で乾燥して溶媒を除去し、多孔質ポリマー粒子を捕集する。
【0049】
本発明の金属フレーク含有多孔質トナー粒子は、デジタル式印刷法、好ましくは静電印刷法、より好ましくはL.B.シャイン著「電子写真法と現像物理特性」(第2版、ラプラシアン出版、モルガン・ヒル、カルフォルニア州、1996年(ISBN1−885540−02−7))に記載されている電子写真式印刷法により支持体に適用されてもよいし、または塗布法、好ましくは静電式塗布法、より好ましくは2002年1月29日に発行の米国特許第6,342,273号明細書で記載されているような電磁ブラシ式塗布法により適用されてもよい。本発明の実施態様においては、電子写真画像の製造方法は特に以下の工程を含んでいてもよい:静電潜像を一次画像形成体上に形成する工程;該静電潜像を、封入された金属フレークを含有する多孔質トナー粒子と近接近させることにより現像し、多孔質トナー粒子を含む現像画像を形成する工程;該現像画像を適切な支持体に静電的に転写させる工程;および多孔質トナー粒子を支持体に融着させることにより、現像画像を支持体に恒久的に定着させる工程。
【0050】
本発明で使用される金属フレーク含有多孔質トナー粒子は2成分現像剤および1成分現像剤の両方に適している。可視像または現像された着色像は、一次画像形成体から、紙、透明素材、金属、各種ポリマーおよび熱硬化性材料などの最終受像体へ直接的に転写させることができる。転写は当該分野で知られている熱処理法または熱利用処理法を用いて達成することができるが、静電式転写を用いることが好ましい。静電式転写はコロナ帯電器などの既知の手段を用いて達成することができるが、静電界を印加しながら、電気バイアス式転写ローラを用いて、受像体を、画像を支持する一次画像形成体と接触させて押圧することが好ましい。本発明を実施する別の方式においては、現像されたトナー画像はまず、受像体として機能するが最終受像体としては機能しない中間転写体に転写された後、当該中間転写体から最終受像体に転写されてもよい。
【0051】
トナー画像を最終的な受像用支持体の表面に定着させるために、加熱式ローラ融着法のような接触式融着法、またはオーブン融着法、熱気融着法、輻射融着法、フラッシュ融着法、溶剤融着法、もしくはマイクロ波融着法のような非接触式融着法を使用してもよい。当該画像は典型的には、トナー粒子のガラス転移温度より高い温度に表示粒子を加熱することにより、最終受像体に定着する。トナー粒子のガラス転移温度は好ましくは45℃〜70℃、より好ましくは50℃〜65℃、最も好ましくは50℃〜58℃であってもよい。本発明の一実施態様においては、封入された金属フレークおよび気孔を含有する多孔質トナー粒子の使用は、当該フレーク状顔料が高温融着により受像用支持体表面とより平行になるようにバインダー内で再配向する空間を提供するので、金属色相がより高く、かつ光沢またはきらめき効果を示す印刷物が得られる。さらなる実施態様においては、このような金属フレーク含有多孔質トナー粒子を同様の電子写真印刷法により使用して、印刷回路のような相対的に導電性のあるパターン画像を形成してもよい。このような、さらなる実施態様においては、融着による金属フレークの再配向は同様に、支持体とより平行に整列されたフレークをもたらすので、金属フレーク間での電気的接触が良くなり、印刷回路の導電性が増大する。さらに高い反射能のために、または電気抵抗を低下させることが望ましいときのために、文献に記載されている既知の技術を用いて画像を加熱式均しウェブまたはローラに当てることができる。
【0052】
本発明の方法を幾つかの実施例を参照してさらに詳細に説明するが、当該実施例はさらなる発明の特徴を明らかにするものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0053】
以下の実施例で使用された花王バインダーNポリエステル樹脂は日本の花王株式会社の一部である花王スペシャルティーズ・アメリカズLLCから入手した。カルボキシメチルセルロースは分子量約250Kのものをナトリウム塩としてアクアロン(Aqualon)(ヘラクレス(Hercules)社)から入手した。コロイダルシリカNALCO1060はナルコ(NALCO)社から50重量%分散液として入手した。アルミニウムフレークOBRON SF−121(平均粒径9ミクロン)はカメオケミカルズ社から入手した。SYNFAC8337は南カルフォルニアのスパルタンバーグのミリケン・ケミカルズ社から入手した。実施例で使用されたワックスはNOF社製のエステルワックスWE−3(登録商標)であった。帯電制御剤は日本のフジクラカセイ社製のFCA2508Nであった。他の薬品はアルドリッチから購入し、受け取ったものを使用した。
【0054】
ワックス分散液の製造:WE−3ワックス(ニッポン・オイル・アンド・ファット社、25.0g)、TUFTEC P2000分散剤(AKエラストマー、5.0g)および酢酸エチル(70.0g)の混合物を含有するガラス瓶に、ジルコニアビーズ(直径1.2mm、100mL)を添加した。その後、容器をパウダーグラインダー(スウェコ(Sweco)社)上に置き、ワックスを3〜5日間微粉砕した。その後、ビーズをスクリーンによる濾過により取り出し、固形粒子分散液を回収したところ、粒子は0.55ミクロンの平均粒径を有していた。
【0055】
実施例1:(発明)アルミニウムフレークを含有する多孔質トナー
上記した蒸発限定凝集(evaporative limited coalescence)(ELC)法を併用する多段階エマルション法を用いて、本実施例の多孔質トナーを製造した。4重量%カルボキシメチルセルロース水溶液37.5gを、水34.6gおよびOBRON SF121アルミニウムフレーク2.5gとSYNFAC8337 5gの予備混合ペーストとともに用いて第1水性相(W1)を製造した。花王N樹脂の29.6%酢酸エチル溶液141.7g、ワックスに対して20重量%のP2000分散剤を含有するWE−3ワックスの24.4%酢酸エチル分散液16.4g、帯電制御剤FCA2508N 0.75gおよび酢酸エチル88.5gを用いて、油性相を製造した。この油性相にW1相を添加した後、大型孔式解砕用ヘッド(large holed disintegrating head)を備えたシルバーソンL4Rミキサー(Silverson L4R Mixer)により混合した。得られたウォーター・イン・オイル(W1/O)型エマルションの一部(326g)を、pH4シトレート/ホスフェート緩衝液中にNALCO1060 10.4gを含有する水性相(W2)544gに電磁撹拌により穏やかに撹拌した。ブッチ・ロタ・ベーパー RE120(Buchi ROTA VAPOR RE120)を用いて減圧下、30℃で酢酸エチルを蒸発させ、粒子中に離散した細孔および多数の金属フレーク領域を有する多孔質粒子を得た。このような多段階エマルション法により製造された粒子の内部細孔構造は米国特許出願公開2008/0176157号公報、2008/0176164号公報および2010/0021838号公報の図面に示されている。トナー表面のシリカを、1N水酸化カリウムを15分間用いてpH12で除去した。その後、粒子を洗浄および乾燥した。ホリバLA−920を用いて測定したメジアン粒径(median particle size)は56マイクロメーターであった。
【0056】
実施例2(比較):アルミニウムフレークを含有する中実トナー(Solid Toner)
花王N樹脂を酢酸エチルに溶解させ、29.6%溶液として、OBRON SF121アルミニウムフレーク2.5gとSYNFAC8337 5gの予備混合ペーストに添加した。これに、ワックスに対して20重量%のP2000分散剤を含有するWE−3ワックスの24.4%酢酸エチル分散液16.4gを添加および混合した後、帯電制御剤FCA2508N 0.75gを添加および混合した。得られたこの油性相を、NALCO1060 10.5gを含有するpH4シトレート/ホスフェート緩衝液534gに分散させた後、電磁撹拌した。ブッチ・ロタ・ベーパー RE120を用いて減圧下、30℃で酢酸エチルを蒸発させ、金属フレークを含有する花王Nの中実粒子を得た。トナー表面のシリカを、水酸化カリウムを用いてpH12.5で15分間撹拌することにより除去した。その後、粒子を洗浄および乾燥した。ホリバLA−920を用いて測定したメジアン粒径は67マイクロメーターであった。
【0057】
融着:金属フレークを含有する中実トナー対多孔質トナー
融着時における金属フレークの光反射能を測定するために、まず、常套のステンレススチール被覆ブロック(conventional stainless steel coating block)および10mil間隙のドクターブレードを用いて、過剰量の粒子を118gsmラストログロス支持体(118 gsm Lustrogloss substrate)の表面に散布することにより、多孔質試料(実施例1)および中実試料(実施例2)を調製した。ドクターブレードの使用により、各支持体上での粒子均一層の形成を確保した。試料の製造後、両方の試料を、内部加熱式オフライン融着台(internally-heated offline fuser breadboard)のニップに185Cで通過させた。このような融着台は、スプレー塗布されたフッ素ポリマー被膜を有する内部加熱式上部融着ローラおよびステンレススチール製下部加圧ローラからなるものであった。融着精度(fusing consistency)のために、上部融着ローラは市販のギヤモーターにより駆動させ、スチール製加圧ローラは回転自由であった。このような融着工程の後、両方の試料を反射光光学顕微鏡法により試験した。融着領域内での金属フレークの配向について特別に注意を払った。図1および図2はそれぞれ、比較用中実トナー粒子(実施例2)および本発明の金属フレーク含有多孔質トナー粒子(実施例1)から形成された融着トナー粒子の反射光学画像である。このような反射光学画像から明らかなように、本発明のトナー粒子は、支持体表面に対する金属フレークの整列度が高いために、より大きな反射率を示した。その結果として、このようなトナー粒子で形成される画像の金属的な外観は改善される。
図1
図2