(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717844
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】投入用突出拡張部を備えるガラス溶融槽及びこの種のガラス溶融槽内で装填物を加熱する方法
(51)【国際特許分類】
C03B 5/16 20060101AFI20150423BHJP
【FI】
C03B5/16
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-509463(P2013-509463)
(86)(22)【出願日】2011年5月4日
(65)【公表番号】特表2013-526473(P2013-526473A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】EP2011002217
(87)【国際公開番号】WO2011141136
(87)【国際公開日】20111117
【審査請求日】2012年12月26日
(31)【優先権主張番号】102010020176.6
(32)【優先日】2010年5月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】593135697
【氏名又は名称】ベタイリグンゲン ゾルク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マティアス リンディヒ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ゾルク
【審査官】
大工原 大二
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許第00406577(GB,B)
【文献】
英国特許第01067240(GB,B)
【文献】
特開平06−279031(JP,A)
【文献】
特開昭52−111912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 1/00− 5/44
C03B 8/00− 8/04
C03B 19/12−20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装填物(14)の供給のための少なくとも1つの投入用突出拡張部(6)と、
少なくとも1つの装填装置(12,20)と、
を備えるU字炎槽として形成されるガラス溶融槽(1)であって、
前記投入用突出拡張部(6)内の前記装填物(14)の搬送経路は、前記装填物(14)が前記投入用突出拡張部(6)内で少なくとも部分的に溶融するまで加熱されるような長さに形成されており、
前記投入用突出拡張部(6)は、
前記溶融槽(1)に向かって少なくとも2,250mmの内法の長さ(LV)を有し、かつ
少なくとも1,200mmの長さ(LG)の絶縁性のルーフ(7)を有し、
該ルーフ(7)は、前記装填装置(12,20)に向かって端壁(8)を有し、該端壁(8)は、前記ルーフ(7)とともに、前記溶融槽(1)に向かって開いたガス室(9)を囲繞し、かつ
前記投入用突出拡張部(6)を通る前記装填物(14)のスループット(P:トン/時)と、前記投入用突出拡張部(6)の内側の表面積(F:m2)とが、所定の搬送経路において、特性値(K)として知られている比P/Fを形成し、該比は、前記投入用突出拡張部(6)の前記寸法(LV)及び(LG)において3.50より小さな値を有している、
ことを特徴とする、ガラス溶融槽。
【請求項2】
前記端壁(8)は下縁(11)を有し、該下縁(11)は、上側の槽縁部(1b)が配置されている平面(E−E)より上に位置し、装填間隙(11a)を画成している、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記装填装置(12)は、前記装填物(14)の所定の分量(17)を、前記装填間隙(11a)を通して前記投入用突出拡張部(6)内に、溶融物(2)上へと調量して装入可能な、周期的に運動可能な投入薄板(15)を有する、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記装填装置(20)は、前記装填物(14)を前記投入用突出拡張部(6)内に、溶融物(2)上へと調量して装入可能なスクリューコンベヤ(21)を有する、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記スクリューコンベヤ(21)は、シールされた状態で前記投入用突出拡張部(6)の端壁(8)に挿入されているハウジング(21a)を有する、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記ルーフ(7)は、前記投入用突出拡張部(6)の長手方向で上向きに湾曲して形成されている、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記投入用突出拡張部(6)のルーフ(7)は、前記溶融槽(1)に向かって上り勾配をなして形成されている、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記ガス室(9)は、槽縁部(1b)の平面(E−E)の上に少なくとも600mmの高さ(H)を有する、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記投入用突出拡張部(6)は、前記溶融槽(1)に向かって開いた、0〜45°の角度(α)を互いに形成する側壁(6a,6b)を有する、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記投入用突出拡張部(6)は、前記溶融槽(1)への入口に、少なくとも1,000mmの幅(BV)を有する、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記投入用突出拡張部(6)のルーフ(7)の長さ(LG)は、前記投入用突出拡張部(6)の内法の長さ(LV)の少なくとも70%である、請求項1記載の装置。
【請求項12】
装填物(14)の供給のための装填装置(12)を備える少なくとも1つの投入用突出拡張部(6)を備えるU字炎槽として形成されるガラス溶融槽(1)内で前記装填物(14)を加熱する方法であって、
前記装填物(14)を前記投入用突出拡張部(6)内で上方から、槽空間から前記投入用突出拡張部(6)への熱放射の進入により加熱して焼結し、
前記装填物(14)を前記投入用突出拡張部(6)内で下方から前記ガラス溶融物(2)の流動及び進入により、少なくとも部分的に溶融するまで加熱して焼結し、
前記装填物(14)を少なくとも部分的に溶融した状態で前記ガラス溶融物(2)の表面上を、前記溶融槽(1)内へと移動させ、かつ
前記投入用突出拡張部(6)を通る前記装填物(14)のスループット(P:トン/時)と、前記投入用突出拡張部(6)の内側の表面積(F:m2)との間の比を形成する特性値(K)が、前記投入用突出拡張部(6)の寸法(LV及びLG)に応じた前記投入用突出拡張部(6)を通る搬送経路において、3.50の値を超過しないようにする、
ことを特徴とする、ガラス溶融槽内で装填物を加熱する方法。
【請求項13】
前記投入用突出拡張部(6)内の装填物(14)の搬送経路を2.25〜5mに選択する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記投入用突出拡張部(6)内の装填物(14)の搬送経路の、前記溶融槽(1)への入口における幅(BV)を少なくとも1.0mに選択する、請求項12記載の方法。
【請求項15】
ガス室(9)内の溶融物液面の位置を、ルーフ(7)の最高位の箇所に対して600mmの最低間隔が残されているように選択する、請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装填物の供給のための少なくとも1つの
投入用突出拡張部と、少なくとも1つの装填装置と、を備えるガラス溶融槽に関する。
【0002】
U字炎槽(U−Flammenwanne)における装填物の投入が、横方向バーナ槽(Querbrennerwanne)と比較して、著しく困難であり、かつあまり満足のいくものではないことが判っている。U字炎槽においては、槽長手方向軸線の片側又は両側に、投入用突出拡張部(Verbauten)、いわゆる「ドッグハウス」あるいは「投入口」が設けられている。投入用突出拡張部には、装填物が上方から投入され、溶融槽に向かって押し込まれる。その際、投入用突出拡張部は、予焼結ゾーンとして機能する。投入用突出拡張部が著しく小型に形成されると、表面において、まだ予溶融されていない混合物は、高速でその上を流動する火炎に曝される。このことは、溶融槽における強いダスト発生に至らしめる。ダストは、側壁や槽カバーに積もり、耐火材料とともに低融点の化合物を形成する。このことは、耐火材料の腐食との関連で知られている。さらに、ダストの一部は、再生チャンバに持ち込まれる。ダストは、再生チャンバにおいても耐火材料と反応し、腐食に至らしめる。さらにダストは、再生チャンバ内の格子(Gitterung)を塞ぎ、空気予熱の効率を下げてしまう場合もある。特に予熱される混合物を使用した場合、この種のダスト汚染はさらに強まり、上述の結果を伴う。
Prof.Dr.Wolfgang Trierは、彼の著書「Glasschmelzoefen,Konstruktion und Betriebsverhalten(Springer−Verlag Berlin Heidelberg New York Tokyo 1984年)」の第154頁においてこの問題について記載しており、特に、投入用突出拡張部を相応に拡大することを提案している
。
上述の有害なダスト発生とは無関係に、短く形成された投入用突出拡張部の場合、装填物は雰囲気中に、溶融プロセスのために失われる熱エネルギも失う。
【0003】
それゆえ本発明の課題は、
冒頭で述べた形態のガラス
溶融槽
における装填技術を改良して、雰囲気への熱損失及び
溶融槽の上炉へのダスト搬送が減じられ、それにもかかわらず装填物の加熱が強化されるようにすることである。
【0004】
上記課題を解決するために
、本発明では、
投入用突出拡張部内の装填物の搬送経路は、装填物が投入用突出拡張部内で少なくとも部分的に溶融するまで加熱されるような長さに形成されており、
突出拡張部
は、
溶融槽に向かって少なくとも2,250mmの内法の長さ「LV」を有し、かつ
少なくとも1,200mmの長さ「LG」
の絶縁性のルーフを有し、
ルーフは、装填装置に向かって端壁を有し、端壁は、ルーフとともに、溶融槽に向かって開いたガス室を囲繞し、
かつ
投入用突出拡張部を通る装填物のスループット(P:トン/時)と、投入用突出拡張部の内側の表面積(F:m2)とが、所定の搬送経路において、特性値「K」として知られている比P/F
を形成し、比は、投入用突出拡張部の寸法「LV」及び「LG」において3.50
より小さな値を有しているようにした
。
【0005】
投入用突出拡張部の上部構造の本発明による変更との関連での投入用突出拡張部の拡大により、十分な放射熱が投入用突出拡張部内に存在することが達成される。放射熱は、混合物が予熱され焼結され、突出拡張部の領域内での「溶融物の固化」の危険が生じないように働く。この理由は、投入用突出拡張部の拡大が、溶融槽の中央(高温のガラス)からこの投入用突出拡張部への還流の強化につながるからである。このことは、混合物の下方からの溶融を加速させるために役立つ熱の搬送を伴う。投入用突出拡張部の領域におけるガラス流は、熱対流により規定される
。
本発明の上述の構成の別の利点は、本来の溶融槽の領域では、溶融が時間的かつ空間的に短縮される。このことは、設備の性能向上につながる。
【0006】
本発明の好ましい一態様において、端壁は下縁を有し、下縁は、上側の槽縁部が配置されている平面「E−E」より上に位置し、装填間隙を画成している
。
本発明の別の態様において、装填装置は、装填物の所定の分量を、装填間隙を通して
投入用突出拡張部内に、溶融物上へと調量して装入可能な、周期的に運動可能な投入薄板を有する
。
本発明の別の態様において、装填装置は、装填物を
投入用突出拡張部内に、溶融物上へと調量して装入可能なスクリューコンベヤを有する
。スクリューコンベヤは、
本発明の一態様では、シールされた状態で
投入用突出拡張部の端壁に挿入されているハウジングを有する
。
本発明の別の態様において、投入用突出拡張部のルーフは、
投入用突出拡張部の長手方向で上向きに湾曲して形成されている
。投入用突出拡張部のルーフは、
好ましくは、溶融槽に向かって上り勾配をなして形成されている
。
本発明の別の態様において、ガス室は、槽縁部の平面E−Eの上に少なくとも600mmの高さ「H」を有する
。
本発明の別の態様において、投入用突出拡張部は、溶融槽に向かって開いた、0〜45°の角度
、好ましくは5〜30°の角度「α」を互いに形成する側壁を
有する
。
本発明の別の態様において、投入用突出拡張部は、溶融槽への入口に、少なくとも1
,000mmの幅「BV」を有する
。これにより、溶融槽への装填物の確実な移行が保証されている。
ガラス溶融槽における投入用突出拡張部の任意のスループット(装填量)のために、Kに関して、投入用突出拡張部のルーフの長さ「LG」
が、
投入用突出拡張部の長さ「LV」の少なくとも70%である
ことが生じる。
【0007】
本発明は、装填物の供給のための装填装置を備える少なくとも1つの
投入用突出拡張部を備えるガラス溶融槽で装填物を加熱する方法にも関する。
【0008】
同一課題を解決する本発明に係る方法は、
装填
物を投入用突出拡張部内で上方から、槽空間から
投入用突出拡張部への熱放射の進入により
加熱して焼結し、
装填
物を投入用突出拡張部内で下方からガラス溶融物の流動及び進入により、少なくとも部分的に溶融するまで加熱
して焼結し、
装填物を少なくとも部分的に溶融した状態でガラス溶融物の表面上を、溶融槽内へと移動させ、
かつ
投入用突出拡張部を通る装填物のスループット(P:トン/時)と、投入用突出拡張部の内側の表面積(F:m2)との間の比を形成する特性値(K)が、投入用突出拡張部の寸法(LV)及び(LG)に応じた投入用突出拡張部を通る搬送経路において、3.50
t/h・m2の値を超過
しないようにする、
ことを特徴とする
。
このような方法では、装填物が、投入用突出拡張部からガラス溶融物の表面上に移動する際、十分に焼結されていることが保証されている。
【0009】
投入用突出拡張部内の装填物の搬送経路を2.25〜5mに選択する;かつ/又
は投入用突出拡張部内の装填物の搬送経路の、溶融槽への入口における幅「BV」を少なくとも1.0mに選択する
と、有利であることが判っている。
投入用突出拡張部内のガス室とガラス溶融物上のガス室との間の特に良好な熱交換は、投入用突出拡張部内のガス室内の溶融物液面の位置を、ルーフの最高位の箇所に対して600mmの最低間隔が残されているように選択すると達成される。
【0010】
本発明
の構成に基づいて、投入用突出拡張部の領域に、言及に値するほどのガス流動が形成されないので、ダスト搬送の危険は、著しく軽減される。槽カバーの下では、燃焼領域のコア流(Kernstrom)内に10〜15m/秒の平均流速が測定される一方、
投入用突出拡張部内の平均流速は、1m/秒より下にすぎない。しかし、1,300℃を超えるまでの温度が測定される。このことは、約50kW/m
2の高いエネルギ伝達に至る。
【0011】
本発明の形態
、利点
及び利用可能性は、2つの実施の形態についての以下の説明及び図面から看取可能であり、
図4及び7
は、従来技術と
の比較
を示している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】2つの
投入用突出拡張部の垂直縦断面図と関連付けた
本発明に係るガラス溶融槽の垂直横断面図である。
【
図3】槽角隅部及び隣接する
投入用突出拡張部の水平断面図の一部拡大図である。
【
図4】一般的な
投入用突出拡張部を備える従来技術
におけるガラス溶融槽の、図1に相当する図である。
【
図5】装填装置としての投入薄板が運転状態にある、
図1の左半分の拡大図である。
【
図6】装填装置としてのスクリューコンベヤが運転状態にある、
図1の左半分の拡大図である。
【
図7】運転状態における、焼結されていない装填物からなるマット状物を備える
ガラス溶融槽の平面図である
(従来技術)。
【
図8】
図7と類似の、ただし焼結された装填物からなるマット状物を備える
本発明に係るガラス溶融槽の内容物の平面図である。
【0013】
図1及び
図2には、
ガラス溶融槽1が示されている。
ガラス溶融槽1の内容物、すなわちガラス溶融物2は、バーナバッテリ(Brennerbatterie)3により加熱される。バーナバッテリ3は、溶融槽1の端壁1a内に、燃焼空気のための各1つのシャフト4の開口部の下に配置されている。これらのシャフト4は、熱交換器、例えば再生器の群よりなる熱交換器と連通している。バーナバッテリ3及びシャフト4は、公知の形式で、例えば15乃至30分サイクルで交互に運転される。すなわち、一方のバーナバッテリ3が運転される間、排ガス
は他方のシャフト4を介して排出され
、他方のバーナバッテリ3が運転される間、排ガスは一方のシャフト4を介して排出される。
【0014】
溶融槽1の両側には、鏡面対称の配置で、上向きに湾曲していてよい各1つのルーフ7と、ルーフ7とともにガス室9を包囲する端壁8とを備える
投入用突出拡張部6(短く「突出拡張部(Vorbauten)」6とも云う)が存在する。
投入用突出拡張部6は、溶融槽1内のガラス溶融物2上のガス室10と連通している。溶融槽1及び
投入用突出拡張部6は、上方に向かって、1つの共通の水平の平面E−E内で終わっている。
【0015】
端壁8は、下方に向かっ
て下縁11で終わっている。下縁11は、平面E−E上に、装填物を調量して装入するための、可及的狭隘に画成された装填間隙11aを開放している。ルーフ7下のガス室9の長さ「LG」は、最小で
投入用突出拡張部6の内法の長さ「LV」の約70%であり、具体的には、端壁8と、溶融槽1及び
投入用突出拡張部6の隣接する縁部との間に、ガラス溶融物2上に装填物14を載置するための面がなおも開放されているようにしている
。
【0016】
図2及び図3から看取可能であるように、上述の平面E−E上のガス室9の高さ「H」
は、放射及び/又は火炎ガスによるエネルギの入力を促進するために最低でも600mmであることが望ましい。
しかし、900mmまで及び900mmを超える値も可能である。ルーフ7が外方に下り勾配をなして延在している場合、寸法「H」は、溶融槽1のガス室10内への突出拡張部6の入口における高さに該当する。
【0017】
図3からは、
投入用突出拡張部6が、溶融槽1に結合されている2つの側壁6a,6bを備え、側壁6aと側壁6bとの間に角度「α」が形成されていること
が看取可能である。角度「α」は、溶融槽1に向かって開いており、0°〜45°、好ましくは5°〜30°であってよい。この角度「α」と、少なくとも1
,000mm、好ましくは少なくとも1,500mmの、移行箇所における幅「BV」とは、ガラス溶融物の流動経路が、
投入用突出拡張部6の内部にも延びて、かなりの規模で熱交換に寄与することを可能にする
。
【0018】
図4は、従来技
術を相応に示して
おり、対応する部材の理解を助けるために、上で用いた符号を一貫して維持している。溶融槽1の側壁1cには、著しく短い
投入用突出拡張部6の上方に開口が配置されている。開口の上流には、遮断スライダ1dが配置されている。これにより画成される空間は、ごく小さく、火炎ガスも、火炎ガスの放射も、上方からの装填物14への入熱に関して、言及に値すべき程の影響を有しない。下方からのガラス溶融物2を通した入熱(太字の矢印)も、極めて限定的であるので、装填物14は、焼結されず(ungesintert)に溶融槽1内へと移動する。効果については、
図7との関連で詳細に説明する。
【0019】
図5は、本発明
に係る相応の一実施の形態を示している。
本実施の形態では、投入用突出拡張部6及びルーフ7に装填装置12が配設されている。装填装置12は
、装填物14のための制御可能な底部出口13aを有する貯蔵容器13を含む。貯蔵容器13の下には、傾斜して位置する投入薄板15が配置されている。投入薄板15は、
図5では概略的にのみ示した駆動装置16によって、低い振動数での周期的な振動に曝される。これにより、装填物14は、装填間隙11aに向かって所定の分量毎にガラス溶融物2の表面上に送給され、枕状物(Kissen)17の形態でガス室9を通して溶融槽1に向かって移動する。溶融槽1内において装填物14は、溶融物出口に向かって変向される。
【0020】
図6は
、別の実施の形態を示している。ルーフ7の内法の長さは、本実施の形態では、
図2及び
図3に示した
投入用突出拡張部6の内法の長さ「LV」に等しい。
投入用突出拡張部6の外
側には、装填装置20が配置されている。装填装置20は
、装填物14のための制御可能な底部出口を有する貯蔵容器13を含む。貯蔵容器13の下には、水平のスクリューコンベヤ21が配置されている。スクリューコンベヤ21は、モータMにより駆動される。スクリューコンベヤ21は、柱状あるいは円柱状のハウジング21aを備える。ハウジング21aは、シールされた状態で端壁8を貫いて案内されている。これにより、装填物14は、
投入用突出拡張部6内でガラス溶融物2の表面上に送給され、枕状物17の形態でガス室9を通して溶融槽1に向かって移動する。溶融槽1内において装填物14は、
図6には示さない溶融物出口に向かって変向される。
【0021】
容積の空間的な形成及び
投入用突出拡張部6内での温度操作は、ガラス溶融物2内に、矢印で示すような流動プロフィールが生じるように選択されている。熱速度論的(thermokinetisch)な効果により、装填物14の下には、
投入用突出拡張部6の内側の端部に向かう流動が生じる。これにより、ガラス溶融物2は、その熱容量の一部を装填物14に放出する。冷却により、ガラス溶融物2は、
投入用突出拡張部6及び
溶融槽1の底に向かって沈み、槽1内に戻る。上方からは、装填物14は、ガス室9内に入射する熱放射によって加熱される。この組み合わせ効果により、装填物14は、粒子の部分的な溶融を促す高い温度に加熱される。このプロセスは、焼結という概念でも称呼可能であ
り、ダスト発生
を大幅に防止
する。
【0022】
図7は、従来技術にお
いて生じる焼結されていない装填物14の分布を
溶融槽の垂直平面図で示す。比較的大きな割合の溶融物表面が被覆され、溶融物2への入熱は、比較的小さい。
【0023】
図8は、本発明にお
いて生じる焼結された装填物14の分布を
溶融槽の垂直平面図で示す。明らかに大きな割合の溶融物表面が露出され
る。それゆえ、溶融物2への入熱は、相応に比較的大きい。
【0024】
図4乃至8から看取可能であるように、本発明に係るガラス溶融槽では、以下の組み合わせ効果が生じる
。容積の空間的な形成及び溶融槽1内での温度操作は
、ガラス溶融物2内に、
図4乃至6に矢印で示すような流動プロフィールが生じるように選択されている。上述の熱速度論的な効果により、装填物14の下には、端壁1a及びバーナバッテリ3に向かう流動と、
投入用突出拡張部6内への流動とが生じる。これにより、ガラス溶融物2は、ここでもその熱容量の一部を上方に、装填物14へと放出する。冷却により、ガラス溶融物2は、溶融槽1の底に向かって下降し、溶融槽の溶融物出口に向かって流動する。
これにより、装填物14は、完全な溶融に至るまで上下から加熱される。
【0025】
図8は、装填物14が、それぞれの
投入用突出拡張部6から、
図5及び
図6に示す表面流動により、焼結によって固化されて、一種の「マット状物(Teppich)」を形成し、これが溶融物表面の著しく大きな部分を露出させることを示している。このことは
、放射による入熱
を促進する。特に、これにより、溶融物出口への装填物の搬送も防止される
。
【0026】
投入用突出拡張部の設計に際し
、「特性値(Kennzahl「K」)」は、
重要な役割を果たす。
Kは、投入用突出拡張部を通る装填物のスループット(P:トン/時)
と、投入用突出拡張部の内側の表面積(F:m
2)
の比である。
特性値Kは、投入用突出拡張部の寸法LV及びLGに応じた投入用突出拡張部を通る搬送経路において、3.50
t/h・m2の値
を超過
すべきではない。
【0027】
最終的に重要なのは、十分な量の装填物を、部分的に焼結された状態で、投入用突出拡張部を介して溶融槽に投入し、かつその際に、焼結生成物の浮動性を維持する、温度的かつ機械的な前提が形成されているように、投入用突出拡張部を形成することである。
【0028】
このことは方法にとっては、装填物の加熱が装置のコンポーネントの影響下で実施されることを意味している。その際、とりわけK値は、3.50t/h・m2の値を超過すべきではない。
【符号の説明】
【0029】
BV 幅
E−E 平面
F 表面積
H 高さ
K 特性値
LG 長さ
LV 長さ
M モータ
P スループット
α 角度
1
ガラス溶融槽
1a 端壁
1b 槽縁部
1c 側壁
1d 遮断スライダ
2 ガラス溶融物
3 バーナバッテリ
4 シャフト
5 槽カバー
6
投入用突出拡張部
6a 側壁
6b 側壁
7 ルーフ
8 端壁
9 ガス室
10 ガス室
11 下縁
11a 装填間隙
12 装填装置
13 貯蔵容器
13a 底部出口
14 装填物
15 投入薄板
16 駆動装置
17 分量
20 装填装置
21 スクリューコンベヤ
21a ハウジング