特許第5717867号(P5717867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5717867電極板及びその調製方法、並びにスーパーコンデンサ及びリチウムイオン電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717867
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】電極板及びその調製方法、並びにスーパーコンデンサ及びリチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/86 20130101AFI20150423BHJP
   H01G 11/36 20130101ALI20150423BHJP
   H01M 4/583 20100101ALI20150423BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20150423BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20150423BHJP
   H01M 4/1393 20100101ALI20150423BHJP
   C01B 31/02 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   H01G11/86
   H01G11/36
   H01M4/583
   H01M4/133
   H01M4/62 Z
   H01M4/1393
   C01B31/02 101Z
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-541177(P2013-541177)
(86)(22)【出願日】2010年12月22日
(65)【公表番号】特表2014-505351(P2014-505351A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】CN2010080139
(87)【国際公開番号】WO2012083538
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2013年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】511215230
【氏名又は名称】オーシャンズ キング ライティング サイエンスアンドテクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ミンジェ
(72)【発明者】
【氏名】パン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヤオビン
【審査官】 柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−527875(JP,A)
【文献】 特表2010−521782(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/027336(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/00−11/86
C01B 31/02
H01M 4/133
H01M 4/1393
H01M 4/583
H01M 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に塗布されるコーティングと、を含む電極板において、前記コーティングはフッ化グラフェン材料を含有し、
前記コーティングはさらに導電剤及び粘着剤を含み、且つ前記導電剤、粘着剤及び前記フッ化グラフェン材料の質量百分率は、それぞれx、y、zであって、x+y+z=1、x=2.8%、3%<y<15%、75%<z<95%である、
ことを特徴とする電極板。
【請求項2】
前記導電剤は、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、導電黒鉛及び導電カーボンブラックのうちの少なくとも1種で、前記粘着剤は、ポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレンのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項に記載の電極板。
【請求項3】
前記コーティングの厚さは、10μm〜200μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の電極板。
【請求項4】
電極板の製作方法において、
フッ化グラフェン材料を調製または提供し、前記フッ化グラフェン材料を導電剤、粘着剤と混合してコーティング液に調製するステップと、
前記コーティング液を基板に塗布してコーティングを形成し、乾燥した後極片を形成するステップと、
前記極片を圧延、切断して、電極板を形成するステップと、を含み、
前記導電剤、粘着剤及びフッ化グラフェン材料の質量百分率は、それぞれx、y、zであって、x+y+z=1、x=2.8%、3%<y<15%、75%<z<95%である、
ことを特徴とする電極板の製作方法。
【請求項5】
前記フッ化グラフェン材料を調製することは、
黒鉛原料を使用して酸化グラフェンを調製するステップと、
前記酸化グラフェンを液相還元してグラフェンを調製するステップと、
前記グラフェンをN及びFによって構成される混合ガスと50℃〜500℃下で反応させて前記フッ化グラフェン材料を調製するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項に記載の電極板の調製方法。
【請求項6】
前記導電剤は、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、導電黒鉛及び導電カーボンブラックのうちの少なくとも1種で、前記粘着剤は、ポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレンのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項に記載の電極板の調製方法。
【請求項7】
前記コーティングの厚さは、10μm〜200μmである、ことを特徴とする請求項に記載の電極板の調製方法。
【請求項8】
スーパーコンデンサにおいて、請求項1〜のいずれか1項に記載の電極板を含む、ことを特徴とするスーパーコンデンサ。
【請求項9】
電池負極を含むリチウムイオン電池において、前記電池負極は、請求項1〜のいずれか1項に記載の電極板である、ことを特徴とするリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電極板及びその調製方法に関し、また、本発明はさらに該電極板が使用されたスーパーコンデンサ及びリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーコンデンサは、スーパー容量電気化学コンデンサとも呼ばれ、一般にコンデンサと二次電池との間に介在する新型のエネルギー貯蔵装置である。スーパーコンデンサの貯蔵するエネルギー密度は従来のコンデンサの10倍以上であり、電池に比べ、パワー密度がより高く、充放電時間が短く、充放電効率が高く、循環使用寿命が長い等の長所を有し、同時に、スーパーコンデンサはさらに動作温度範囲が広く(−40℃〜75℃)、信頼性がよく、省エネルギー及び環境保護等の特徴を有するため、微小機械の予備用電源、ソーラー充電装置、警報装置、家電、カメラフラッシュ及びフライトの点火装置等に汎用されることができ、特に電気自動車分野における開発応用は、すでに世界的に注目されている。
【0003】
スーパーコンデンサ及びリチウムイオン電池の基本的な要求は、容量が大きく、体積が小さく、エネルギー密度及びパワー密度が高いことである。エネルギー密度の計算式E=1/2CUに基づいて分かるように、エネルギー密度を向上させようとするとき、容量比が向上すれば実現でき、容量比は主にその電極材料に関連する。但し、スーパーコンデンサ及びリチウムイオン電池を製作するための従来の電極材料は、導電性に限度がある等の問題が普通に存在しているため、生産されたスーパーコンデンサ及びリチウムイオン電池のエネルギー密度は向上しにくい。
【発明の概要】
【0004】
これに鑑みて、導電性の優れた電極板を提供することが必要である。
【0005】
基板と、前記基板に塗布されるコーティングと、を含む電極板であって、コーティングはフッ化グラフェン材料を含有する。
【0006】
好ましくは、コーティングは、さらに導電剤及び粘着剤を含み、且つ導電剤、粘着剤及びフッ化グラフェン材料の質量百分率は、それぞれx、y、zであって、x+y+z=1、2%<x<15%、3%<y<15%、75%<z<95%である。
【0007】
好ましくは、導電剤は、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、導電黒鉛及び導電カーボンブラックのうちの少なくとも1種で、前記粘着剤は、ポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレンのうちの少なくとも1種である。
【0008】
好ましくは、コーティングの厚さは、10μm〜200μmである。
【0009】
前記電極板の製作は、優れた導電性を有するフッ化グラフェンが使用されており、比較的高いエネルギー密度及び電気伝導効率を有する。また、フッ化グラフェンは、電解液材料との浸潤性がよく、且つフッ化グラフェンは放電反応過程において炭素を生成し、材料の利用率がほぼ100%に達しており、放電する時に内部抵抗が増加しておらず、放電電圧が放電の末期までも安定できるため、電極板全体は比較的高い安定性を有する。
【0010】
また、導電性の優れた電極板の製作方法を提供することが必要である。
【0011】
電極板の製作方法であって、フッ化グラフェン材料を調製または提供し、前記フッ化グラフェン材料を導電剤、粘着剤と混合してコーティング液に調製するステップと、前記コーティング液を基板に塗布してコーティングを形成し、乾燥した後極片を形成するステップと、前記極片を圧延、切断して、電極板を形成するステップと、を含む。
【0012】
好ましくは、フッ化グラフェン材料を調製することは、黒鉛原料を使用して酸化グラフェンを調製するステップと、前記酸化グラフェンを液相還元してグラフェンを調製するステップと、前記グラフェンをN及びFによって構成される混合ガスと50℃〜500℃下で反応させて前記フッ化グラフェン材料を調製するステップと、を含む。
【0013】
好ましくは、前記導電剤、粘着剤及びフッ化グラフェン材料の質量百分率は、それぞれx、y、zであって、x+y+z=1、2%<x<15%、3%<y<15%、75%<z<95%で、より好ましくは、導電剤、粘着剤及びフッ化グラフェン材料の質量百分率は、1:1:8、1:1:18、2:1:8.5で、前記導電剤は、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、導電黒鉛及び導電カーボンブラックのうちの少なくとも1種で、前記粘着剤は、ポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレンのうちの少なくとも1種である。
【0014】
好ましくは、前記コーティングの厚さは10μm〜200μmで、より好ましくは、コーティングの厚さは50μm〜100μmである。
【0015】
前記調製方法は、操作が簡単で、設備に対する要求が低いため、汎用されることができる。
【0016】
また、エネルギー密度の比較高いスーパーコンデンサ及びリチウムイオン電池を提供することが必要である。該スーパーコンデンサは、前記電極板を使用して製作され、比較的高いエネルギー密度及び電気伝導効率を有する。前記電極板はさらに、リチウムイオン電池の負極として使用されることができ、製作されたリチウムイオン電池のエネルギー密度が比較的高く、安定性が比較的よい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明実施形態の電極板の調製フローチャートである。
図2図2は、実施例1において製作されたスーパーコンデンサの定電流充放電の曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、主に図面及び具体的な実施例を参照して、電極板及びその調製方法、並びにスーパーコンデンサ及びリチウムイオン電池に対してさらに詳細に説明する。
【0019】
本発明の実施形態の電極板は、基板と、基板に塗布されるコーティングと、を含み、コーティングはフッ化グラフェン材料を含有する。
【0020】
基板は、導電性のよい金属基板、例えばアルミ基板、銅基板及びニッケル基板などが好ましい。
【0021】
コーティングの厚さは10μm〜200μmである。好ましくは、コーティングはさらに導電剤及び粘着剤を含み、且つ前記導電剤、粘着剤及びフッ化グラフェン材料の質量百分率は、それぞれx、y、zであって、x+y+z=1、2%<x<15%、3%<y<15%、75%<z<95%である。より好ましくは、導電剤、粘着剤及びフッ化グラフェン材料の質量比は1:1:8、1:1:18、2:1:8.5である。導電剤はアセチレンブラック、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、導電黒鉛及び導電カーボンブラックのうちの少なくとも1種であってもよく、粘着剤はポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレン等の電池粘着剤のうちの少なくとも1種であってもよい。
【0022】
前記電極板の製作は、優れた導電性を有するフッ化グラフェンが使用されているため、比較的高いエネルギー密度及び電気伝導効率を有する。また、フッ化グラフェンは電解液材料との浸潤性がよく、フッ化グラフェンは、放電反応過程において炭素を生成し、材料の利用率がほぼ100%に達しており、放電する時に内部抵抗が増加されておらず、放電電圧が放電の末期までも安定できるため、電極板全体は比較的高い安定性を有する。
【0023】
図1に示すように、前記電極板の製作方法であって、以下のステップを含む。
【0024】
(ステップS1:フッ化グラフェン材料を提供し、前記フッ化グラフェン材料を導電剤、粘着剤と混合してコーティング液に調製する。)
フッ化グラフェン材料は、以下の方法によって調製されることができる。
【0025】
<ステップS11黒鉛原料を提供し、前記黒鉛原料を使用して酸化グラフェンを調製する。>
黒鉛粉末、過硫酸カリウム及び五酸化二リンを70℃〜100℃の濃硫酸に加え、撹拌して均一にした後6時間以上冷却し、ろ過を行い、沈殿物を中性になるまで洗浄し、乾燥した後0℃の濃硫酸に加え、その後過マンガン酸カリウムを加え、且つ反応系の温度を20℃以下に2時間〜4時間維持し、さらに35℃のオイルバスオイルバスに2時間〜4時間保持し、その後反応系の色がブリリアントイエローになるまで反応系に対して過酸化水素含有の脱イオン水溶液を加え、真空ろ過し、塩酸で沈殿物を洗浄し、真空乾燥した後、酸化グラフェンを得る。
【0026】
<ステップS12:前記酸化グラフェンを液相還元してグラフェンを調製する。>
前記得た酸化グラフェンを脱イオン水に溶かして酸化グラフェンの懸濁液を得、懸濁液を超音波分散し、それに対してヒドラジン水和物を加えて且つ90℃〜120℃まで加熱して24時間〜48時間反応させ、ろ過を行い、得た沈殿物を順に水及びメタノールを使用して洗浄し、真空乾燥してグラフェンを得る。
【0027】
<ステップS13:前記グラフェンをN及びFによって構成される混合ガスと50℃〜500℃下で反応させて前記フッ化グラフェン材料を調製する。>
乾燥された後のグラフェンを反応装置に加えて乾燥の窒素ガスを0.5時間〜4時間注入した後フッ素・窒素混合ガスを注入し、50℃〜500℃下で3時間〜120時間反応させて、フッ化グラフェンを得、フッ素・窒素混合ガスにおけるフッ素ガスの占める体積比は10%〜30%である。
【0028】
導電剤、粘着剤及びフッ化グラフェン材料の質量百分率は、それぞれx、y、zであって、x+y+z=1、2%<x<15%、3%<y<15%、75%<z<95%であり、導電剤はアセチレンブラック、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、導電黒鉛及び導電カーボンブラックのうちの少なくとも1種であってもよく、粘着剤はポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレン等の電池粘着剤のうちの少なくとも1種であってもよい。
【0029】
(ステップS2:前記コーティング液を基板に塗布してコーティングを形成し、乾燥した後極片を形成する。)
好ましくは、コーティングの厚さは10μm〜200μmである。
【0030】
(ステップS3:前記極片を圧延、切断して、電極板を形成する。)
前記製作方法は、操作が簡単で、設備に対する要求が低く、汎用できる。
【0031】
前記電極板は、優れた導電性を有するため、スーパーコンデンサ及びリチウムイオン電池の製造分野に汎用できる。
【0032】
例えば、前記電極板を使用して製作されたスーパーコンデンサは、比較的高いエネルギー密度及び電気伝導効率を有する。該スーパーコンデンサは、製作するときにグローブボックスにおいて電極板と対応する隔膜及び電解液とをスーパーコンデンサの製作プロセスに基づいて組み立て、その後一日静置した後充放電試験を行う。スーパーコンデンサに応用される隔膜は、ポリプロピレン隔膜が好ましく、本分野における常用のその他の隔膜によって代用されることもでき、スーパーコンデンサに応用される電解液は通常の電解液であってもよく(例えば水系のKOH等、有機系のNMeBF等)、イオン液体電解液(例えばLiTFSI/EMITFSI等)であってもよい。
【0033】
前記電極板を使用して電池負極とするリチウムイオン電池は、エネルギー密度が比較的高く、安定性が比較的よい。リチウムイオン電池に常用される電解液は、有機系電解液(例えばLiFPC EC等)であってもよく、イオン液体電解液(例えばLiTFSI/ BMITFSI)であってもよい。電池を組み立てた後、24時間静置した後性能を測定する。
【0034】
以下は、具体的な実施例である。
【0035】
(実施例1)
(1)電極材料フッ化グラフェンの調製:黒鉛→酸化グラフェン→グラフェン→フッ化グラフェン
使用されたグラフェンの純度は99.5%である。
【0036】
<酸化グラフェンの調製>
改良されたHummers法によって酸化グラフェンを調製し、まず50メッシュの黒鉛粉末20g、10gの過硫酸カリウム及び10gの五酸化二リンを80℃の濃硫酸に加え、撹拌して均一にし、6時間以上冷却し、ろ過を行い、沈殿物を中性になるまで洗浄した後乾燥する。乾燥された後の沈殿物を0℃、230mlの濃硫酸に加え、さらに60gの過マンガン酸カリウムを加え、混合物の温度を20℃以下に維持し、その後35℃のオイルバスオイルバスにおいて2時間保持した後、920mlの脱イオン水を徐々に加える。15分後、さらに2.8Lの脱イオン水(そのうち、30%濃度の過酸化水素50mlを含有する)を加えると、その後混合物の色がブリリアントイエローになる。熱のうちに真空ろ過し、さらに濃度が10%である塩酸5Lを使用して洗浄を行い、真空ろ過し、60℃下で48時間真空乾燥して酸化グラフェンを得る。
【0037】
<グラフェンの調製>
100mgの酸化グラフェン及び100mlの脱イオン水を250mlの丸底フラスコに加え、この時溶液が黄褐色の懸濁液である。その後懸濁液を150Wの超音波で超音波分散する。最後にそれに対してヒドラジン水和物(1ml 98%)を加えて且つ100℃まで加熱して48時間反応する。得たグラフェンをろ過した後順に水300ml及びメタノール300mlで洗浄を行い、80℃下で真空乾燥箱において48時間乾燥する。
【0038】
<フッ化グラフェンの調製>
乾燥されたグラフェンを反応装置に加え、まず乾燥の窒素ガスを3時間注入し、その後フッ素・窒素混合ガスを注入してグラフェンと250℃下で6時間反応させて、フッ化グラフェンを得る。フッ素・窒素混合ガスにおけるフッ素ガスは混合ガスの30%を占め、窒素ガスはフッ素ガスの希釈ガスとして使用される。
【0039】
(2)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
<極片の製作>
フッ化グラフェン1.25g、アセチレンブラック0.25g、ポリフッ化ビニリデン0.25gを混合し、NMP(N−メチルピロリドン)を滴下して前記混合物をスラリー状に変化させ、十分に撹拌して均一に混合させた後金属アルミ箔に塗布し、塗布の厚さは200μmであり、その後100℃下で12時間真空乾燥した後取り出し、前記極片を形成する。
【0040】
<極片の圧延>
得た極片をロール圧延装置で圧延し、圧延された後の厚さは165μmである。
【0041】
<切断>
圧延された極片を孔抜き装置で直径10mmの円状極片にして、精確に秤量する。
【0042】
(3)スーパーコンデンサの組み立て
グローブボックスにおいて電極板、隔膜及び電解液をスーパーコンデンサの製作プロセスに基づいてスーパーコンデンサに組み立て、隔膜はcelgard2000(米国納徳社製品)で、電解液は0.5mol/Lの1−エチル−3−メチルイミダゾールテトラフルオロホウ酸塩溶液である。
【0043】
図2は製作されたスーパーコンデンサの定電流充放電の曲線図(横軸:時間(time)、単位秒(s)、縦軸:電圧(Voltage)、単位ボルト(V))であり、そのうち、電圧範囲が0ボルト〜2.5ボルトで、電流が1A/gの電極片である。図2から分かるように、該スーパーコンデンサの充放電曲線は比較的よいリニア特徴を有し、充放電曲線が正三角形に近く、放電曲線の電位と時間とがリニア関係を有し、顕著な電気二重層の特徴を表す。且つ電圧降下が非常に小さいため、材料の内部抵抗が非常に小さく、快速な充放電に適することを表し、容量は111.32F/gである。表1から分かるように該スーパーコンデンサの充電比容量は118.48 F/gで、放電比容量は111.32 F/gと、充放電効率は93.96%で、充放電の効率は比較的高い。
【0044】
(実施例2)
(1)電極材料フッ化グラフェンの調製:実施例1と同じ。
【0045】
(2)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
<極片の製作>
フッ化グラフェン2.5g、カーボンナノチューブ0.25g、ポリテトラフルオロエチレン0.25gを混合し、エタノールを滴下して前記混合物をスラリー状に変化させ、十分に撹拌して均一に混合させた後発泡ニッケルに塗布し、塗布の厚さは160μmであり、その後100℃下で12時間真空乾燥した後取り出し、前記極片を形成する。
【0046】
<極片の圧延>
得た極片をロール圧延装置で圧延し、圧延された後の厚さは120μmである。
【0047】
<切断>
圧延された極片を孔抜き装置で直径8mmの円状極片にして、精確に秤量する。
【0048】
(3)スーパーコンデンサの組み立て
グローブボックスにおいて電極板、隔膜及び電解液をスーパーコンデンサの製作プロセスに基づいてスーパーコンデンサに組み立て、隔膜はcelgard2000(米国NADER社製品)で、電解液は1mol/Lの水酸化カリウム溶液である。
【0049】
表1から分かるように、該スーパーコンデンサの充電比容量は239.56F/gで、放電比容量は230.69F/gで、充放電効率は96.30%で、充放電の効率は比較的高い。
【0050】
(実施例3)
(1)電極材料フッ化グラフェンの調製:実施例1と同じ。
【0051】
(2)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
<極片の製作>
フッ化グラフェン3.75g、導電黒鉛0.25g、ポリフッ化ビニリデン0.25gを混合し、NMPを滴下して前記混合物をスラリー状に変化させ、十分に撹拌して均一に混合させた後金属銅箔に塗布し、塗布の厚さは100μmであり、その後100℃下で12時間真空乾燥した後取り出し、前記極片を形成する。
【0052】
<極片の圧延>
得た極片をロール圧延装置で圧延し、圧延された後の厚さは80μmである。
【0053】
<切断>
圧延された極片を孔抜き装置で直径12mmの円状極片にして、精確に秤量する。
【0054】
(3)スーパーコンデンサの組み立て
グローブボックスにおいて電極板、隔膜及び電解液をスーパーコンデンサの製作プロセスに基づいてスーパーコンデンサに組み立て、隔膜はcelgard2000(米国NADER社製品)で、電解液は1mol/LのNMe4BF4/PC溶液である。
【0055】
表1から分かるように、該スーパーコンデンサの充電比容量は98.53F/gで、放電比容量は95.96F/gで、充放電効率は97.39%で、充放電の効率は比較的高い。
【0056】
(実施例4)
(1)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
(2)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
<極片の製作>
フッ化グラフェン9.5g、気相成長炭素繊維0.25g、ポリフッ化ビニリデン0.25gを混合し、NMPを滴下して前記混合物をスラリー状に変化させ、十分に撹拌して均一に混合させた後金属銅箔に塗布し、塗布の厚さは10μmであり、その後100℃下で12時間真空乾燥した後取り出し、前記極片を形成する。
【0057】
<極片の圧延>
得た極片をロール圧延装置で圧延し、圧延された後の厚さは8μmである。
【0058】
<切断>:圧延された極片を孔抜き装置で直径12mmの円状極片にして、精確に秤量する。
【0059】
(3)スーパーコンデンサの組み立て
グローブボックスにおいて電極板、隔膜及び電解液をスーパーコンデンサの製作プロセスに基づいてスーパーコンデンサに組み立て、隔膜はcelgard2000(米国NADER社製品)で、電解液は1mol/LのNMe4BF4/PC溶液である。
【0060】
表1から分かるように、該スーパーコンデンサの充電比容量は106.85F/gで、放電比容量は102.29F/gで、充放電効率は95.73%で、充放電の効率は比較的高い。
【0061】
(実施例5)
(1)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
(2)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
<極片の製作>
フッ化グラフェン6.25g、導電カーボンブラック0.25g、ポリフッ化ビニリデン0.25gを混合し、NMPを滴下して前記混合物をスラリー状に変化させ、十分撹拌して均一に混合させた後金属銅箔に塗布し、塗布の厚さは50μmであり、その後100℃下で12時間真空乾燥した後取り出し、前記極片を形成する。
【0062】
<極片の圧延>
得た極片をロール圧延装置で圧延し、圧延された後の厚さは45μmである。
【0063】
<切断>
圧延された極片を孔抜き装置で直径12mmの円状極片にして、精確に秤量する。
【0064】
(3)スーパーコンデンサの組み立て
グローブボックスにおいて電極板、隔膜及び電解液をスーパーコンデンサの製作プロセスに基づいてスーパーコンデンサに組み立て、隔膜はcelgard2000(米国NADER社製品)で、電解液は1mol/LのNMe4BF4/PC溶液である。
【0065】
表1から分かるように、該スーパーコンデンサの充電比容量は87.81F/gで、放電比容量は83.24F/gで、充放電効率は94.80%で、充放電の効率は比較的高い。
【0066】
(実施例6)
(1)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
(2)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
<極片の製作>
フッ化グラフェン7.5g、導電黒鉛0.25g、ポリフッ化ビニリデン0.25gを混合し、NMPを滴下して前記混合物をスラリー状に変化させ、十分に撹拌して均一に混合させた後金属銅箔に塗布し、塗布の厚さは40μmであり、その後100℃下で12時間真空乾燥した後取り出し、前記極片を形成する。
【0067】
<極片の圧延>
得た極片をロール圧延装置で圧延し、圧延された後の厚さは35μmである。
【0068】
<切断>
圧延された極片を孔抜き装置で直径12mmの円状極片にして、精確に秤量する。
【0069】
(3)スーパーコンデンサの組み立て
グローブボックスにおいて電極板、隔膜及び電解液をスーパーコンデンサの製作プロセスに基づいてスーパーコンデンサに組み立て、隔膜はcelgard2000(米国NADER社製品)で、電解液は1mol/LのNMe4BF4/PC溶液である。
【0070】
表1から分かるように、該スーパーコンデンサの充電比容量は120.03F/gで、放電比容量は116.26F/gで、充放電効率は96.86%で、充放電の効率は比較的高い。
【0071】
(実施例7)
(1)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
(2)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
<極片の製作>
フッ化グラフェン9g、導電黒鉛0.25g、ポリフッ化ビニリデン0.25gを混合し、NMPを滴下して前記混合物をスラリー状に変化させ、十分に撹拌して均一に混合させた後金属銅箔に塗布し、塗布の厚さは120μmであり、その後100℃下で12時間真空乾燥した後取り出し、前記極片を形成する。
【0072】
<極片の圧延>
得た極片をロール圧延装置で圧延し、圧延された後の厚さは100μmである。
【0073】
<切断>
圧延された極片を孔抜き装置で直径12mmの円状極片にして、精確に秤量する。
【0074】
(3)スーパーコンデンサの組み立て
グローブボックスにおいて電極板、隔膜及び電解液をスーパーコンデンサの製作プロセスに基づいてスーパーコンデンサに組み立て、隔膜はcelgard2000(米国NADER社製品)で、電解液は1mol/LのNMe4BF4/PC溶液である。
【0075】
表1から分かるように、該スーパーコンデンサの充電比容量は103.84F/gで、放電比容量は100.33F/gで、充放電効率は97.10%で、充放電の効率は比較的高い。
【0076】
(実施例8)
(1)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
(2)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
<極片の製作>
フッ化グラフェン2.125g、導電黒鉛0.5g、ポリフッ化ビニリデン0.25gを混合し、NMPを滴下して前記混合物をスラリー状に変化させ、十分に撹拌して均一に混合させた後金属銅箔に塗布し、塗布の厚さは180μmであり、その後100℃下で12時間真空乾燥した後取り出し、前記極片を形成する。
【0077】
<極片の圧延>
得た極片をロール圧延装置で圧延し、圧延された後の厚さは160μmである。
【0078】
<切断>
圧延された極片を孔抜き装置で直径12mmの円状極片にして、精確に秤量する。
【0079】
(3)スーパーコンデンサの組み立て
グローブボックスにおいて電極板、隔膜及び電解液をスーパーコンデンサの製作プロセスに基づいてスーパーコンデンサに組み立て、隔膜はcelgard2000(米国NADER社製品)で、電解液は1mol/LのNMe4BF4/PC溶液である。
【0080】
表1から分かるように、該スーパーコンデンサの充電比容量は95.66F/gで、放電比容量は92.92F/gで、充放電効率は97.13%で、充放電の効率は比較的高い。
【0081】
(実施例9)
(1)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
(2)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
<極片の製作>
フッ化グラフェン8.5g、導電黒鉛0.25g、ポリフッ化ビニリデン0.25gを混合し、NMPを滴下して前記混合物をスラリー状に変化させ、十分に撹拌して均一に混合させた後金属銅箔に塗布し、塗布の厚さは30μmであり、その後100℃下で12時間真空乾燥した後取り出し、前記極片を形成する。
【0082】
<極片の圧延>
得た極片をロール圧延装置で圧延し、圧延された後の厚さは25μmである。
【0083】
<切断>
圧延された極片を孔抜き装置で直径12mmの円状極片にして、精確に秤量する。
【0084】
(3)スーパーコンデンサの組み立て
グローブボックスにおいて電極板、隔膜及び電解液をスーパーコンデンサの製作プロセスに基づいてスーパーコンデンサに組み立て、隔膜はcelgard2000(米国NADER社製品)で、電解液は1mol/LのNMe4BF4/PC溶液である。
【0085】
表1から分かるように、該スーパーコンデンサの充電比容量は110.18F/gで、放電比容量は101.32F/gで、充放電効率は97.96%で、充放電の効率は比較的高い。
【0086】
(実施例10)
(1)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
(2)電極板の製作:極片→極片圧延→電極板
<極片の製作>
フッ化酸化グラフェン5.0g、カーボンナノチューブ0.25g、ポリフッ化ビニリデン0.25gを混合し、NMPを滴下して前記混合物をスラリー状に変化させ、十分に撹拌して均一に混合させた後金属銅箔に塗布し、塗布の厚さは80μmであり、その後100℃下で12時間真空乾燥した後取り出し、前記極片を形成する。
【0087】
<極片の圧延>
得た極片をロール圧延装置で圧延し、圧延された後の厚さは50μmである。
【0088】
<切断>
圧延された極片を孔抜き装置で直径12mmの円状極片にして、精確に秤量する。
【0089】
(3)リチウムイオン電池の組み立て
グローブボックスにおいて電極板を電池の負極とし、さらに相応する電池正極、ハウジング及び電解液と合わせてリチウムイオン電池の製作プロセスに基づいてリチウムイオン電池に組み立て、電解液はイオン液体電解液LiTFSI/BMITFSIである。
【0090】
[表1]スーパーコンデンサ充放電比容量及び充放電効率
前記実施例は本発明の複種の実施形態のみを述べ、その説明は比較的具体的詳しいであるが、ただし本発明の特許範囲に対する制限として認識することではない。指摘すべきなのは、本分野の当業者にとって、本発明の構想を逸脱しない前提下で、さらに複数の変形及び改良を行うことができ、これらは共に本発明の保護範囲に属する。そのため、本発明の特許の保護範囲は添付の請求項に準ずるべきである。
図1
図2