特許第5717892号(P5717892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5717892
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】リアアクスルフレーム
(51)【国際特許分類】
   B60G 9/02 20060101AFI20150423BHJP
   B60B 35/16 20060101ALI20150423BHJP
   B62D 3/12 20060101ALI20150423BHJP
   B66F 9/075 20060101ALI20150423BHJP
   B62D 5/04 20060101ALN20150423BHJP
【FI】
   B60G9/02
   B60B35/16 B
   B60B35/16 D
   B62D3/12 509A
   B66F9/075 A
   !B62D5/04
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-19321(P2014-19321)
(22)【出願日】2014年2月4日
【審査請求日】2014年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】ニチユ三菱フォークリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 雅博
(72)【発明者】
【氏名】藤田 広之
【審査官】 杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−216898(JP,A)
【文献】 実開昭55−083109(JP,U)
【文献】 特開平11−130397(JP,A)
【文献】 特開2013−203114(JP,A)
【文献】 特開2000−038154(JP,A)
【文献】 特開2000−006624(JP,A)
【文献】 特開2003−011633(JP,A)
【文献】 実開昭59−083162(JP,U)
【文献】 米国特許第3982604(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0119627(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00−99/00
B60B 35/16
B62D 3/12
B66F 9/00−11/04
B62D 5/04
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトに設けられるリアアクスルフレームであって、
前記フォークリフトは、
走行用の一対の前輪と、操舵用の一対の後輪と、操舵ハンドルの回転を伝達することで、前記後輪の方向を変更するステアリング機構と、を備え、
前記ステアリング機構は、
車体の左右方向に延設すると共に、前記後輪を支持するリアアクスルと、前記リアアクスルを軸方向に移動するラックピニオン機構と、前記ラックピニオン機構を駆動する操舵モーターと、前記操舵モーターの出力を前記ラックピニオン機構に伝達する伝達ギヤと、を備え、
前記リアアクスルフレームは、
前記車体の左右方向に延設する上板部と、
前記上板部の長さ方向の中央に設けられると共に、前記車体の前後方向に水平に延設し、前記リアアクスルフレームが揺動可能なように前記車体に軸支される揺動軸と、
前記車体の左右方向に延設する下板部と、
前記上板部と前記下板部とを連結すると共に、前記車体の上下方向に垂直に延設し、前記リアアクスル、前記ラックピニオン機構、前記操舵モーター及び前記伝達ギヤを支持する中間壁部と、
前記車体の左右方向に所定間隔を置いて、その間に前記操舵モーターが配置されるように、前記車体の上下方向に延設すると共に、前記中間壁部に設けられた一対の上防護壁と、を備える
ことを特徴とするリアアクスルフレーム。
【請求項2】
前記上板部は、
前記上板部の長さ方向の中央と前記上板部の長さ方向の一方端との間に配置されると共に、前記中央から前記一方端に向けて前記車体の下方向に傾斜する第1板部と、
前記上板部の長さ方向の中央と前記上板部の長さ方向の他方端との間に配置されると共に、前記中央から前記他方端に向けて前記車体の下方向に傾斜する第2板部と、で構成されており、
前記フォークリフトは、さらに、
前記第1及び第2板部の上方に配置され、前記リアアクスルフレームの揺動を制限するためのストッパを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のリアアクスルフレーム。
【請求項3】
前記操舵モーターは、
その出力軸が突出する一方端と、前記一方端に対向する他方端と、を備え、
前記車体の前後方向に延設すると共に、前記揺動軸の下方に配置され、さらに、前記一方端が前記中間壁部の近くに設けられ、前記一方端から前記他方端に向けて前記車体の上方向に傾斜する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のリアアクスルフレーム。
【請求項4】
前記リアアクスル、前記ラックピニオン機構及び伝達ギヤは、前記中間壁部に支持されたハウジングに収納され、
前記操舵モーターは、前記ハウジングの上部に支持され、
前記中間壁部は、さらに、
前記車体の前後方向に向けて膨らむ第1膨出部と、前記第1膨出部に設けられると共に、前記車体の前後方向に貫通する第1開口部と、を備え、
前記下板部は、さらに、
前記車体の前後方向に向けて膨らむ第2膨出部と、前記第1開口部に対して前記車体の上下方向に整列すると共に、前記車体の上下方向に貫通する第2開口部と、を備え、
前記ハウジングは、
前記第1および第2膨出部に嵌り、前記ハウジングの下端が前記下板部の下面から突出せず、前記伝達ギヤの入力軸が前記中間壁部から突出しないように、配置される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリアアクスルフレーム。
【請求項5】
前記リアアクスルフレームは、さらに、
前記車体の左右方向に所定間隔を置いて、その間に前記中間壁部に支持された前記ハウジングの下部が配置されるように、前記車体の上下方向に延設すると共に、前記中間壁部に設けられた一対の下防護壁を備え、
前記上防護壁は、前記リアアクスルの上方に配置され、
前記下防護壁は、前記リアアクスルの下方に配置される
ことを特徴とする請求項4に記載のリアアクスルフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトの車体の後方に設けられ、後輪のリアアクスル等を支持するためのリアアクスルフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
カウンタバランス型フォークリフト(以下、「フォークリフト」という)は、特許文献1に開示されている。特許文献1の通り、フォークリフトは、走行用の一対の前輪と、操舵用の一対の後輪と、操舵ハンドルの回転に基づいて、後輪の方向を変更するためのステアリング機構と、を備える。そして、ステアリング機構は、車体の左右方向に延設され、後輪を支持するリアアクスルと、リアアクスルを軸方向に移動するラックピニオン機構と、ラックピニオン機構を駆動する操舵モーターと、操舵モーターの出力をラックピニオン機構に伝達する伝達ギヤと、を備える。
【0003】
そして、リアアクスルフレームは、リアアクスル、ラックピニオン機構、操舵モーター及び伝達ギヤを支持する。特許文献1の通り、従来のリアアクスルフレームは、略ひし形の底板部と、その周囲を囲むリブ部材とからなるバケット形状からなり、さらに、リブ部材に車体の前後方向に突出する揺動軸を備え、揺動軸が車体に軸支されることによって、路面に対する後輪の上下運動に応じてリアアクスルフレームが揺動するように構成されている(特許文献1の
【0004】
図7図9等に記載されたリアアクスルフレーム19の説明を参照)。
【0005】
そのため、従来のリアアクスルフレームは、車体の前後方向に対してコンパクトな構造となっていないので、フォークリフトの車体の前後方向の長さが長くなり、フォークリフトの旋回半径を小さくできないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−216898号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、車体の前後方向に対してコンパクトなリアアクスルフレームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るリアアクスルフレームは、
フォークリフトに設けられるリアアクスルフレームであって、
フォークリフトは、
走行用の一対の前輪と、操舵用の一対の後輪と、操舵ハンドルの回転を伝達することで、後輪の方向を変更するステアリング機構と、を備え、
ステアリング機構は、
車体の左右方向に延設すると共に、後輪を支持するリアアクスルと、リアアクスルを軸方向に移動するラックピニオン機構と、ラックピニオン機構を駆動する操舵モーターと、操舵モーターの出力をラックピニオン機構に伝達する伝達ギヤと、を備え、
リアアクスルフレームは、
車体の左右方向に延設する上板部と、
上板部の長さ方向の中央に設けられると共に、車体の前後方向に水平に延設し、リアアクスルフレームが揺動可能なように車体に軸支される揺動軸と、
車体の左右方向に延設する下板部と、
上板部と下板部とを連結すると共に、車体の上下方向に垂直に延設し、リアアクスル、ラックピニオン機構、操舵モーター及び伝達ギヤを支持する中間壁部と、
車体の左右方向に所定間隔を置いて、その間に操舵モーターが配置されるように、車体の上下方向に延設すると共に、中間壁部に設けられた一対の上防護壁と、を備える。
【0009】
好ましくは、
上板部は、
上板部の長さ方向の中央と上板部の長さ方向の一方端との間に配置されると共に、中央から一方端に向けて車体の下方向に傾斜する第1板部と、
上板部の長さ方向の中央と上板部の長さ方向の他方端との間に配置されると共に、中央から他方端に向けて車体の下方向に傾斜する第2板部と、で構成されており、
フォークリフトは、さらに、
第1及び第2板部の上方に配置され、リアアクスルフレームの揺動を制限するためのストッパを備える。
【0010】
好ましくは、
操舵モーターは、
その出力軸が突出する一方端と、一方端に対向する他方端と、を備え、
車体の前後方向に延設すると共に、揺動軸の下方に配置され、さらに、一方端が中間壁部の近くに設けられ、一方端から他方端に向けて車体の上方向に傾斜する。
【0011】
好ましくは、
リアアクスル、ラックピニオン機構及び伝達ギヤは、中間壁部に支持されたハウジングに収納され、
操舵モーターは、ハウジングの上部に支持され、
中間壁部は、さらに、
車体の前後方向に向けて膨らむ第1膨出部と、第1膨出部に設けられると共に、車体の前後方向に貫通する第1開口部と、を備え、
下板部は、さらに、
車体の前後方向に向けて膨らむ第2膨出部と、第1開口部に対して車体の上下方向に整列すると共に、車体の上下方向に貫通する第2開口部と、を備え、
ハウジングは、
第1および第2膨出部に嵌り、ハウジングの下端が下板部の下面から突出せず、伝達ギヤの入力軸が中間壁部から突出しないように、配置される。
【0012】
好ましくは、
リアアクスルフレームは、さらに、
車体の左右方向に所定間隔を置いて、その間に中間壁部に支持されたハウジングの下部が配置されるように、車体の上下方向に延設すると共に、中間壁部に設けられた一対の下防護壁を備え、
上防護壁は、リアアクスルの上方に配置され、
下防護壁は、リアアクスルの下方に配置される。
【発明の効果】
【0013】
上記の通り、本発明に係るリアアクスルフレームは、揺動軸が上板部に設けられるように構成されているので、従来のリアアクスルフレームに比べて、車体の前後方向の長さがコンパクトになる。その結果、フォークリフトの車体の前後方向の長さがコンパクトになるので、フォークリフトの旋回半径を小さくすることができる。
【0014】
さらに、操舵モーターは、上防護壁、上板部及び中間壁部に囲まれるように構成され、特に、一対の上防護壁が車体の左右方向に間隔を置いて配置され、一対の上防護壁の間に操舵モーターが配置され、そして、一対の後輪は、一対の上防護壁の外側に配置されるので、走行時などに、後輪からの泥や小石などが操舵モーターに侵入し難いようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】フォークリフトを示す側面図。
図2】ステアリング機構を説明するための側面図。
図3】リアアクスルフレームの後側を示す斜視図。
図4】リアアクスルフレームの前側を示す斜視図。
図5】リアアクスルフレームの後側を示す背面図。
図6図5のA−A線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明に係るリアアクスルフレームを説明する。
【0017】
図1の通り、フォークリフトは、メインフレームにより構成される車体5を備える。フォークリフトは、車体5の前部に走行用の一対の前輪50と、車体5の後部に操舵用の一対の後輪51と、を備える。フォークリフトは、走行制御および油圧制御をするための制御部(不図示)と、運転者が座るための運転席57と、運転席57の下部に設けられた大型のバッテリー58と、を備える。
【0018】
フォークリフトは、車体5の前部に立設されたマスト53と、マスト53に沿って昇降可能に支持された荷役用のフォーク54と、油圧装置により供給される作動油により伸縮してフォーク54を昇降するリフトシリンダ55と、を備える。また、フォークリフトは、車体5の後部に、フォーク54による荷役の際に車体5の重量バランスをとるためのカウンタウエイト56を備える。
【0019】
フォークリフトは、車体5の前部に駆動モーター(不図示)を備えており、駆動モーターによって前輪50を駆動して、車体5を前進及び後進する。フォークリフトは、運転席57の前方に操舵ハンドル52を備えており、操舵ハンドル52の回転に基づいて後輪51の方向を変更して、車体5の進行方向を変更する。
【0020】
図2の通り、フォークリフトは、操舵ハンドル52の回転を伝達して、後輪51の方向を変更するステアリング機構3を備える。ステアリング機構3は、操舵ハンドル52に連結されたハンドルシャフト34を備えており、ハンドルシャフト34は、操舵ハンドル52の回転に同期して回転する。
【0021】
ステアリング機構3は、第1ジョイント35及び第1スプロケットホイール36を備えており、ハンドルシャフト34の回転が、第1ジョイント35を介して第1スプロケットホイール36に伝達される。ステアリング機構3は、チェーン37及び第2スプロケットホイール38を備えており、第1スプロケットホイール36の回転が、チェーン37を介して第2スプロケットホイール38に伝達される。
【0022】
ステアリング機構3は、操舵トルク検出器39を備えており、操舵トルク検出器39の入力軸が、第2スプロケットホイール38と一体となっている。ステアリング機構3は、第2ジョイント40及びベベルギヤ41を備えており、操舵トルク検出器39に伝達された回転が、第2ジョイント40を介してベベルギヤ41に伝達されることで、回転軸の方向が垂直方向から水平方向へ変換される。ステアリング機構3は、水平方向に延設した第3ジョイント42を備えており、ベベルギヤ41に伝達された回転が、第3ジョイント42に伝達される。第3ジョイント42は、車体の前後方向5aに延設しており、バッテリー58の下方に配置される。
【0023】
ステアリング機構3は、互いに噛み合った複数のギヤからなる伝達ギヤ33を備えており、第3ジョイント42に伝達された回転が、伝達ギヤ33に接続された入力軸43に伝達される。ステアリング機構3は、リアアクスル30を備え、リアアクスル30は、車体の左右方向5bに延設すると共に、一対の後輪51を両端で支持する。ステアリング機構3は、リアアクスル30を軸方向(車体の左右方向5b)に移動するラックピニオン機構31と、ラックピニオン機構31を駆動する操舵モーター32と、を備える。
【0024】
ラックピニオン機構31は、ピニオン部310と、リアアクスル30に設けられたラック部311と、を備える(図6)。入力軸43に伝達された回転は、ピニオン部310に伝達される。ピニオン部310の回転は、ラック部311へ出力されて、リアアクスル30を軸方向(車体の左右方向5b)に移動する。さらに、操舵トルク検出器39によって検出された回転トルクに応じて、操舵モーター32が駆動する。そして、操舵モーター32の出力が、伝達ギヤ33を介してピニオン部310に伝達される。その結果、操舵モーター32の出力が、入力軸43の回転をアシストして、リアアクスル30を軸方向(車体の左右方向5b)に移動する。
【0025】
図3及び図4の通り、フォークリフトは、車体5の後部にリアアクスルフレーム1を備える。リアアクスルフレーム1は、リアアクスル30と、ラックピニオン機構31と、操舵モーター32と、伝達ギヤ33と、を支持する。また、リアアクスルフレーム1は、その両端にタイロッド60及びナックルアーム61を備える。リアアクスル30は、タイロッド60及びナックルアーム61を介して後輪51に連結しており、リアアクスル30の軸方向(車体の左右方向5b)の移動によって、後輪51の方向が変更する。
【0026】
リアアクスルフレーム1は、車体の左右方向5bに延設する上板部10を備える。また、リアアクスルフレーム1は、車体の前後方向5aに延設する揺動軸13を備える。揺動軸13は、上板部10の長さ方向の中央に設けられる。揺動軸13は、路面に対する後輪51の上下運動に応じてリアアクスルフレーム1が揺動できるように、車体5に軸支されている。また、リアアクスルフレーム1は、車体の上下方向5cに上板部10から所定間隔を置いて、車体の左右方向5bに延設する下板部11を備える。
【0027】
さらに、リアアクスルフレーム1は、車体の上下方向5cに延設する中間壁部12を備える。中間壁部12は、上板部10と下板部11とを連結する。リアアクスル30の中央部分、ラックピニオン機構31及び伝達ギヤ33は、ハウジング300に収納されている。操舵モーター32は、ハウジング300の上部に支持されると共に、ハウジング300内の伝達ギヤ33に係合する。
【0028】
上記の通り、揺動軸13は、上板部10に設けられているので、従来のリアアクスルフレームに比べて、リアアクスルフレーム1の車体の前後方向5aの長さをコンパクトにできる。その結果、フォークリフトの車体の前後方向5aの長さが短くなり、フォークリフトの旋回半径を小さくすることができる。
【0029】
図4の通り、中間壁部12は、車体の左右方向5bの中央に、車体の前方向に向けて膨らむ第1膨出部12bを備える。中間壁部12は、車体の前後方向5aに貫通する第1開口部12aを備える。第1開口部12aは、第1膨出部12bに設けられる。ハウジング300から突出する入力軸43は、第1開口部12aを通じて第3ジョイント42に連結される。
【0030】
また、下板部11は、車体の左右方向5bの中央に、車体の前方向に向けて膨らむ第2膨出部11bを備える。下板部11は、車体の上下方向5cに貫通する第2開口部11aを備える。第2開口部11aは、第2膨出部11bの後方に設けられ、第1開口部12aに対して車体の上下方向5cに整列する。ハウジング300内には伝達ギヤ33及びラックピニオン機構31のための潤滑油が充填されており、この潤滑油を交換する際に、第2開口部11aを通じてハウジング300の下端から潤滑油を排出できる。
【0031】
図5の通り、上板部10は、第1板部14と第2板部15とで構成される。第1板部14は、上板部10の長さ方向の中央と上板部10の長さ方向の一方端10aとの間に配置されると共に、中央から一方端10aに向けて車体の下方向に傾斜する。また、第2板部15は、上板部10の長さ方向の中央と上板部10の長さ方向の他方端10bとの間に配置されると共に、中央から他方端10bに向けて車体の下方向に傾斜する。
【0032】
また、第1板部14及び第2板部15の上方のそれぞれに、リアアクスルフレーム1の揺動を制限するためのストッパ62が配置される。ストッパ62は、第1板部14及び第2板部15から所定間隔を置いて、車体のメインフレーム63に固定されており、リアアクスルフレーム1がストッパ62に当接することで、リアアクスルフレーム1の揺動を制限し、その結果、後輪51がメインフレーム63等に衝突することを防止する。
【0033】
第1板部14及び第2板部15は、車体の下方向に傾斜しているので、第1板部14及び第2板部15の上方に大きな空間を形成でき、この空間にストッパ62を配置できる。仮に上板部10が傾斜せずに水平に延設していると、上板部10の上方に大きな空間を形成できないので、ストッパ62の高さだけ車体5の全体の高さが大きくなる。しかし、本発明のリアアクスルフレーム1では、上板部10の上方に大きな空間を形成できるので、車体5の全体の高さを小さくすることができる。
【0034】
図6の通り、操舵モーター32は、車体の前後方向5aに延設すると共に、揺動軸13の下方に配置される。操舵モーター32は、出力軸320が突出する一方端32aと、一方端32aに対向する他方端32bと、を備える。操舵モーター32は、一方端32aが中間壁部12の近くに設けられ、一方端32aから他方端32bに向けて車体の上方向に傾斜する。そして、揺動軸13は、車体の前後方向5aに水平に延設する。これによって、操舵モーター32と揺動軸13との間に大きな空間32cを形成できる。その結果、空間32cが操舵モーター32と大気との熱交換を促進して、操舵モーター32の放熱性を向上できる。
【0035】
伝達ギヤ33及びラックピニオン機構31のピニオン310の軸方向は、操舵モーター32の延設方向と平行であって、車体の上下方向5cに傾斜している。ハウジング300は、中間壁部12の第1膨出部12b及び下板部11の第2膨出部11bに嵌るように配置される。そして、ハウジング300は、その下端が下板部11の下面から突出しないように配置されている。さらに、ハウジング300は、入力軸43が中間壁部12から突出しないように配置されている。すなわち、ハウジング300及び入力軸43が中間壁部12及び下板部11から突出しないように、第1および第2膨出部11b,12bが前方に膨らんでいる。
【0036】
上板部10及び下板部11は、中間壁部12から車体の後方向に向けて突出している。ハウジング300は、連結部310aを介して中間壁部12に連結されている(図3)。そして、ハウジング300及び操舵モーター32は、中間壁部12から突出する上板部10と下板部11との間に配置されると共に、揺動軸13の下方に配置される。従って、ハウジング300、入力軸43及び操舵モーター32は、上板部10、中間壁部12及び下板部11に囲まれるので、走行時や運搬時に、ラックピニオン機構31、操舵モーター32及び伝達ギヤ33が破損し難いようになっている。
【0037】
図3及び図5の通り、リアアクスルフレーム1は、一対の上防護壁160と一対の下防護壁161とを備える。
上防護壁160,160は、車体の上下方向5cに延設すると共に、操舵モーター32の両側に配置される。下防護壁161,161は、車体の上下方向5cに延設すると共に、ハウジング300の下部の両側に配置される。
【0038】
上防護壁160はリアアクスル30の上方に配置され、下防護壁161はリアアクスル30の下方に配置される。上防護壁160と下防護壁161とが一体に構成されており、上板部10と下板部11との間に延設し、リアアクスル30が配置される部分で切り欠かれている。これによって、操舵モーター32は、上防護壁160、上板部10及び中間壁部12に囲まれ、さらに、ハウジング300の下部は、下防護壁161、下板部11及び中間壁部12に囲まれるので、走行時などに、後輪51からの泥や小石などがラックピニオン機構31、操舵モーター32及び伝達ギヤ33に侵入し難いようになっている。
【符号の説明】
【0039】
1 リアアクスルフレーム
10 上板部
10a 上板部の一方端
10b 上板部の他方端
11 下板部
11a 第2開口部
11b 第2膨出部
12 中間壁部
12a 第1開口部
12b 第1膨出部
13 揺動軸
14 第1板部
15 第2板部
3 ステアリング機構
30 リアアクスル
31 ラックピニオン機構
32 操舵モーター
320 操舵モーターの出力軸
32a 操舵モーターの一方端
32b 操舵モーターの他方端
33 伝達ギヤ
5 車体
5a 車体の前後方向
5b 車体の左右方向
5c 車体の上下方向
50 前輪
51 後輪
52 ハンドル
62 ストッパ
43 伝達ギヤの入力軸
160 上防護壁
161 下防護壁
300 ハウジング
【要約】
【課題】車体の前後方向に対してコンパクトなリアアクスルフレームを提供する。
【解決手段】リアアクスルフレーム1は、車体の左右方向5bに延設する上板部10と、上板部10の長さ方向の中央に設けられると共に、車体の前後方向5aに水平に延設し、リアアクスルフレーム1が揺動可能なように車体に軸支される揺動軸13と、車体の左右方向5bに延設する下板部11と、上板部10と下板部11とを連結すると共に、車体の上下方向5cに垂直に延設し、リアアクスル30、ラックピニオン機構、操舵モーター32及び伝達ギヤを支持する中間壁部12と、車体の左右方向5aに所定間隔を置いて、その間に中間壁部12に支持された操舵モーター32が配置されるように、車体の上下方向5cに延設すると共に、中間壁部12に設けられた一対の上防護壁160と、を備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6