特許第5717898号(P5717898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイソン テクノロジー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許5717898-ファン組立体 図000002
  • 特許5717898-ファン組立体 図000003
  • 特許5717898-ファン組立体 図000004
  • 特許5717898-ファン組立体 図000005
  • 特許5717898-ファン組立体 図000006
  • 特許5717898-ファン組立体 図000007
  • 特許5717898-ファン組立体 図000008
  • 特許5717898-ファン組立体 図000009
  • 特許5717898-ファン組立体 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717898
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】ファン組立体
(51)【国際特許分類】
   F04F 5/16 20060101AFI20150423BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20150423BHJP
   F04D 23/00 20060101ALI20150423BHJP
   F04F 5/46 20060101ALI20150423BHJP
   F04F 5/54 20060101ALI20150423BHJP
   F24F 6/14 20060101ALI20150423BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   F04F5/16
   F04D25/08 307E
   F04D23/00 B
   F04F5/46 C
   F04F5/54
   F24F6/14
   F24F6/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-78888(P2014-78888)
(22)【出願日】2014年4月7日
(62)【分割の表示】特願2012-167517(P2012-167517)の分割
【原出願日】2012年7月27日
(65)【公開番号】特開2014-156862(P2014-156862A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2014年4月8日
(31)【優先権主張番号】1112911.1
(32)【優先日】2011年7月27日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1203887.3
(32)【優先日】2012年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1203888.1
(32)【優先日】2012年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジョセフ スタニフォース
(72)【発明者】
【氏名】ジュード ポール ピューレン
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−313019(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3146538(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F 5/16
F04D 23/00
F04D 25/08
F04F 5/46
F04F 5/54
F24F 6/00
F24F 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルと、
前記ノズルが装着された本体と、
を備えた加湿装置であって、
前記ノズルが、少なくとも1つの第1の空気入口と、少なくとも1つの第1の空気出口と、前記少なくとも1つの第1の空気入口から前記少なくとも1つの第1の空気出口へ空気を運ぶための第1の内部通路と、少なくとも1つの第2の空気入口と、少なくとも1つの第2の空気出口と、前記少なくとも1つの第2の空気入口から前記少なくとも1つの第2の空気出口へ空気を運ぶための第2の内部通路と有し、前記ノズルがボアを定め、該ボアを通じて、前記2つの空気出口から放出された空気によって加湿装置の外部からの空気が引き込まれ、
前記本体が、基部と、該基部上に装着される水タンクとを有し、前記基部が、前記第1の内部通路を通る第1の空気流及び前記第2の内部通路を通る第2の空気流を発生させるための流れ発生手段と、前記水タンクからの水を受け入れるための容器と、該容器に蓄えられた水を霧化するための変換器と、前記第1の空気流を前記少なくとも1つの第1の空気入口へ運ぶための第1の空気通路と、前記第2の空気流を前記容器の上に且つ前記少なくとも1つの第2の空気入口へ運ぶための第2の空気通路とを含む、
ことを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記第1の内部通路が、前記第2の内部通路から分離される、
ことを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記第1の内部通路が、前記ノズルの前記ボアを取り囲む、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記第2の内部通路が、前記ノズルの前記ボアを取り囲む、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の空気出口が、前記ボアの周囲に位置する複数の第1の空気出口を含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第2の空気出口が、前記ボアの周囲に位置する複数の空気出口を含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項7】
前記基部及び前記水タンクの各々が円筒形の外面を有し、前記基部及び前記水タンクの前記外面が、実質的に同じ半径を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン組立体に関する。好ましい実施形態では、本発明は、部屋又はオフィスなどの家庭環境内において、湿り空気流、及び湿り空気を分散させる空気流を発生させるための加湿装置を提供する。本発明は、環境内で温かい、冷たい、香りを付けた、又はイオン化した空気流を分散させるために使用することもできる。
【背景技術】
【0002】
家庭用加湿装置は、一般に、所定量の水を蓄えるための水タンクを含むケーシングと、ケーシングの空気ダクトを通る空気流を生み出すためのファンとを有する携帯型電気器具の形をしている。蓄えられた水は、通常は重力により、受け取った水から水滴を発生させるための噴霧装置へ運ばれる。この噴霧装置は、変換器などの高周波振動装置の形をとることができる。水滴は、空気ダクトを通過する空気流に入り込み、これにより環境内にミストが放出される。この電気器具は、環境内の空気の相対湿度を検出するためのセンサを含むことができる。このセンサは、検出した相対湿度を示す信号を駆動回路に出力し、この駆動回路は、環境内の空気の相対湿度を所望のレベル付近に維持するように変換器を制御する。通常は、検出した相対湿度が所望のレベルよりも約5%高くなると変換器の作動が停止し、検出した相対湿度が所望のレベルよりも約5%低くなると再始動する。
【0003】
このような加湿器から放出される空気の流量は、例えば、毎秒1〜2リットルという比較的低い傾向にあるので、湿り空気が室内に分散される速度は非常に遅いものとなり得る。さらに、加湿器の局所環境内における空気の相対湿度は、ユーザの局所環境内における空気の相対湿度と比較して比較的急速に上昇するので、センサにより検出される相対湿度は、少なくとも最初は、ユーザの近くの空気の相対湿度を示しているわけではない。この結果、ユーザの局所環境内における空気の相対湿度が所望のレベルを著しく下回ったときに変換器の作動が停止することがある。湿り空気が室内に分散する速度が比較的遅いので、検出される相対湿度が変換器の作動を再開させるレベルまで下がるには、ある程度の時間がかかることがある。この結果、ユーザの局所環境内における空気の相対湿度が所望のレベルに達するのに長時間を要することがある。
【0004】
国際公開第2010/100462号には、湿り空気を大気中に放出するための加湿器と、この加湿器の前に位置するファン組立体とを含み、ファン組立体が、空気流を生み出すためのモータ駆動式羽根車を収容する本体と、この本体に装着され、空気流を受け入れる内部通路及び空気流を放出するための空気出口を含む環状ノズルとを有する加湿装置が記載されている。ノズルはボアを定め、このボアを通じて、ノズル外部からの空気と加湿器から放出された湿り空気の両方が、口部から放出された空気流によって引き込まれる。
加湿器の出口は、ノズルのボアの最下部と同じレベルに位置する。加湿器から放出された湿り空気を、ファン組立体によって生じた空気流内に同伴させることにより、湿り空気を、加湿器から最大数メートルの距離まで急速に運ぶことができる。これにより、加湿器からこの距離に位置するユーザが、その局所環境内における空気の相対湿度の急速な上昇を体感できるようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/100462号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本発明は、
ノズルと、
前記ノズルが装着された本体と、
を備えたファン組立体であって、
前記ノズルが、少なくとも1つの第1の空気入口と、少なくとも1つの第1の空気出口と、前記少なくとも1つの第1の空気入口から前記少なくとも1つの第1の空気出口へ空気を運ぶための第1の内部通路と、少なくとも1つの第2の空気入口と、少なくとも1つの第2の空気出口と、前記少なくとも1つの第2の空気入口から前記少なくとも1つの第2の空気出口へ空気を運ぶための第2の内部通路と有し、前記ノズルがボアを定め、該ボアの周囲を前記2つの内部通路が延び、前記ボアを通じて、前記2つの空気出口から放出された空気によってファン組立体の外部からの空気が引き込まれ、
前記本体が、前記第1の内部通路を通る第1の空気流及び前記第2の内部通路を通る第2の空気流を発生させるための流れ発生手段と、前記第1の空気流を前記少なくとも1つの第1の空気入口へ運ぶための第1の空気通路と、前記第2の空気流を前記少なくとも1つの第2の空気入口へ運ぶための、前記流れ発生手段から下流に前記第1の空気通路からの空気を受け入れるように配置された第2の空気通路を含み、
前記第2の空気流の温度、湿度、組成及び電荷のうちの1つを変化させるための手段をさらに備える、
ことを特徴とするファン組立体を提供する。
【0007】
図示の実施形態では、ファン組立体が、第2の空気流を加湿するための加湿器を含むが、このファン組立体は、第2の空気流の別のパラメータを変化させるための加熱器、冷却器、空気清浄器及びイオン化装置をうちの1つを代わりに含むこともできる。
【0008】
本発明のファン組立体を、加湿した空気流を放出するために使用した場合と、国際公開第2010/100462号に記載される加湿装置との違いは、本発明では、ファン組立体のノズルが、湿った第2の空気流と、この湿り空気流を環境内へ運ぶ第1の空気流の両方を放出するように配置されている点にある。対照的に、国際公開第2010/100462号では、ファン組立体の後方に位置する加湿装置の出口から湿り空気流が放出され、ファン組立体によって生じる空気流の下方部分に同伴される。従って、本発明では、ノズルの1又はそれ以上の異なる空気出口から湿り空気流が放出されるようにすることができる。これらの空気出口を、例えばノズルのボアの周囲に配置して、湿り空気流が第1の空気流内で比較的均一に分散されるようにすることができる。上述の第2の空気流のパラメータの1つを変化させるための手段は、ファン組立体の本体内に位置することが好ましい。第2の空気流の湿度を変化させる構成要素を本体内に配置することにより、ファン組立体の外観がコンパクトになり、構成要素の数が減少し、従って製造コストを削減することができる。
【0009】
ファン組立体の本体は、第1の空気流をノズルの(単複の)第1の空気入口へ運ぶための第1の空気通路と、第2の空気流をノズルの(単複の)第2の空気入口へ運ぶための第2の空気通路とを含むことができる。従って、上述した第2の空気流のパラメータを変化させるための手段は、少なくとも部分的に第2の空気通路内に位置することもできる。
【0010】
本体は、第1の空気流をファン組立体内に流入できるようにするための空気流入口を含むことができる。空気流入口は、単一の開口を含むこともできるが、複数の開口を含むことが好ましい。これらの開口は、本体の外面の一部を形成するメッシュ、グリル又はその他の成形した構成要素によって設けることができる。
【0011】
第1の空気通路は、空気流入口からノズルの(単複の)第1の空気入口へ延びることが好ましい。第2の空気通路は、第1の空気通路からの空気を受け入れるように配置される。接合部を流れ発生手段から下流に配置する利点は、流れ発生手段が、単一の羽根車と、この羽根車から下流に第1及び第2の空気流に分割された空気流を発生させるためのモータとを含むことができる点である。この羽根車は、混成流羽根車であっても、又は軸方向羽根車であってもよい。
【0012】
第1の空気流は、第1の空気流量で放出され、第2の空気流は、第1の空気流量よりも低い第2の空気流量で放出されることが好ましい。第1の空気流量は、可変空気流量であってもよく、従って第2の空気流量は、第1の空気流量によって変化してもよい。
【0013】
空気通路は、とりわけ、空気流入口の場所及び第2の空気流の湿度又は温度を変化させるための選択手段の性質に応じて、本体内にあらゆる所望の構成で配置することができる。本体のサイズを縮小させるために、第1の空気通路を第2の空気通路に隣接させて配置してもよい。各空気通路は本体内を垂直に延び、第2の空気通路は第1の空気通路の前で垂直に延びることができる。
【0014】
第1の(単複の)空気出口は、第2の空気流が第1の空気流内でノズルから離れて運ばれるように、第2の(単複の)空気出口の後方に位置することが好ましい。各内部通路は環状であることが好ましい。ノズルのこれら2つの内部通路をノズルのそれぞれの構成要素によって定め、これらを組み立て中に互いに接続することができる。或いは、ノズルの共通の内壁と外壁の間に位置する隔壁又はその他の分割部材によって、ノズルの内部通路を分離することもできる。上述したように、第1の内部通路は第2の内部通路から分離されることが好ましいが、第1の内部通路から第2の内部通路に比較的少量の空気を抽気して、第2の空気流がノズルの(単複の)第2の空気出口を通るように促すこともできる。
【0015】
第1の空気流の流量は、第2の空気流の流量よりも大きいことが好ましいので、ノズルの第1の内部通路の容量は、ノズルの第2の内部通路の容量よりも大きいことが好ましい。
【0016】
ノズルは、単一の連続する第1の空気出口を含むことができ、この空気出口はノズルのボアの周囲に延びることが好ましく、またボアの軸を中心とすることが好ましい。或いは、ノズルは、ノズルのボアの周囲に配置された複数の第1の空気出口を含むこともできる。例えば、この第1の空気出口をボアの両側に配置することができる。(単複の)第1の空気出口は、ボアの少なくとも前部を通じて空気を放出するように配置されることが好ましい。(単複の)第1の空気出口は、ボアの一部を定める面上に空気を放出し、ボアを通じて引き込まれる空気容量を、第1の空気出口から放出される空気によって最大にするように配置することができる。或いは、(単複の)第1の空気出口を、ノズルの端面から空気流を放出するように配置してもよい。
【0017】
ノズルの(単複の)第2の空気出口は、このノズルの面上に第2の空気流を放出するように配置することができる。或いは、(単複の)第2の空気出口をノズルの前端に配置し、ノズルの面から離れて空気を放出するように配置することもできる。従って、(単複の)第1の空気出口を、(単複の)第2の空気出口に隣接させて配置することができる。ノズルは、ノズルの軸の周囲に延びることができる単一の連続する第2の空気出口を含むことができる。或いは、ノズルが、ノズルの前端の周囲に配置できる複数の第2の空気出口を含むこともできる。例えば、第2の空気出口を、ノズル前端の両側に配置することができる。複数の空気出口の各々は、例えば、スロット、複数の線形に配列されたスロット、又は複数の開口などの、1又はそれ以上の開口を含むことができる。第1の空気出口は、第2の空気出口に対して平行に延びることができる。
【0018】
好ましい実施形態では、ファン組立体が、ノズルから第2の空気流が放出される前に、この第2の空気流の湿度を増加させるように構成された加湿システムを含む。外観がコンパクトで構成要素の数が少ないファン組立体を提供するために、加湿システムの少なくとも一部をノズルの下方に配置することができる。加湿システムの少なくとも一部を、羽根車及びモータの下方に配置することもできる。例えば、水を霧化するための変換器をノズルの下方に配置することができる。この変換器は、モータを制御するコントローラによって制御することができる。第2の空気通路は、水タンクからの水を受け入れるための容器上に、及び容器内に存在する水を霧化するための変換器上に第2の空気流を運ぶように配置することができる。
【0019】
本体は、加湿手段に水を供給するための取り外し可能な水タンクを含むことができる。外観がコンパクトな本体を提供するために、水タンクは、流れ発生手段の周囲に延びることが好ましい。好ましい実施形態では、水タンクが流れ発生手段を取り囲む。水タンクは、第1の空気通路の少なくとも一部及び第2の空気通路の少なくとも一部を取り囲むことができる。本体は、ファン組立体に入る空気が通過する空気入口を含む基部を含むことができ、この基部上に水タンクを装着することができる。基部及び水タンクは、円筒形の外面を各々が有し、この基部及び水タンクの外面は、実質的に同じ半径であることが好ましい。このことは、ファン組立体のコンパクトな外観にさらに寄与することができる。
【0020】
第2の態様では、本発明は、
ノズルと、
前記ノズルが装着された本体と、
を備え、
前記ノズルが、少なくとも1つの第1の空気入口と、少なくとも1つの第1の空気出口と、前記少なくとも1つの第1の空気入口から前記少なくとも1つの第1の空気出口へ空気を運ぶための第1の内部通路と、少なくとも1つの第2の空気入口と、少なくとも1つの第2の空気出口と、前記少なくとも1つの第2の空気入口から前記少なくとも1つの第2の空気出口へ空気を運ぶための第2の内部通路と有し、前記ノズルがボアを定め、このボアを通じて、前記2つの空気出口から放出された空気によってファン組立体の外部からの空気が引き込まれ、
前記本体が、基部と、この基部に装着された水タンクとを含み、前記基部が、前記第1の内部通路を通る第1の空気流及び前記第2の内部通路を通る第2の空気流を発生させるための流れ発生手段と、前記水タンクから水を受け取るための容器と、この容器内に存在する水を霧化するための変換器と、前記第1の空気流を前記少なくとも1つの第1の空気入口へ運ぶための第1の空気通路と、前記第2の空気流を前記少なくとも1つの第2の空気入口へ運ぶための第2の空気通路とを含み、前記水タンクが、好ましくは前記流れ発生手段の周囲に延びる、
ことを特徴とする加湿装置を提供する。第2の空気通路は、流れ発生手段から下流で第1の空気通路に接続されることが好ましい。流れ発生手段は、羽根車と、この羽根車を駆動するためのモータとを含むことが好ましい。
【0021】
羽根車は、混成流羽根車の形であることが好ましい。第1及び第2の空気流を発生させるために混成流羽根車を使用する利点は、回転する混成流羽根車から放出される空気流の圧力が、例えば、基部を通る空気流が第1の空気流と第2の空気流に分かれるとき、及び第2の空気流が、第2の空気通路に沿ってノズルの少なくとも1つの第2の空気入口へ移動するときに遭遇するあらゆる流れ障害に第2の空気流が打ち勝てるほど十分に高い点である。
【0022】
第3の態様では、本発明は、
本体と、
この本体上に装着されたノズルと、
を備えた加湿装置であって、
前記本体が、混成流羽根車と、この羽根車を駆動させて空気流を発生させるためのモータと、前記空気流を加湿するための加湿手段へ前記空気流を運ぶための第1のダクトと、湿り空気流を前記ノズルへ運ぶための第2のダクトとを含み、
前記ノズルが、前記湿り空気流を受け入れるための少なくとも1つの空気入口と、前記湿り空気流を放出するための少なくとも1つの空気出口とを含み、前記ノズルが、このノズルから放出された空気によって前記装置の外側からの空気を引き込む開口部の周囲に延びる、
ことを特徴とする加湿装置を提供する。
【0023】
本体は、羽根車を収容する羽根車ハウジングを備えることができる。この羽根車ハウジングは、空気入口と空気出口とを備え、第1のダクトは、羽根車ハウジングの空気出口からすぐ下流に位置する入口ポートを備えることができる。
【0024】
本発明の第1の態様に関連して上述した特徴は、本発明の第2及び第3の態様の各々にも等しく適用可能であり、逆もまた同様である。
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態をほんの一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】ファン組立体の正面図である。
図2】ファン組立体の側面図である。
図3】ファン組立体の背面図である。
図4図1の線A−Aに沿って切り取った側断面図である。
図5図1の線B−Bに沿って切り取った上部断面図である。
図6図5の線C−Cに沿って切り取った断面図である。
図7図1の線D−Dに沿って切り取った上部断面図である。
図8図7に示す領域Pの拡大図である。
図9】ファン組立体の制御システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1図3は、ファン組立体10の外観図である。大まかに言えば、このファン組立体10は、ファン組立体10に入る空気が通過する空気入口を含む本体12、及び本体12上に装着された環状ケーシングの形のノズル14を含み、このノズル14は、ファン組立体10から空気を放出するための複数の空気出口を含む。
【0028】
ノズル14は、2つの異なる空気流を放出するように配置される。ノズル14は、後側部分16、及びこの後側部分16に接続された前側部分18を含む。各部分16、18は環状の形であり、これらはノズル14のボア20の周囲に延びる。ボア20は、各部分16、18の中心がボア20の軸X上に位置するように、ノズル14の中心を貫いて延びる。
【0029】
この例では、各部分16、18が、ボア20の両側に位置する2つのほぼ直線部分と、この直線部分の上端を接合する湾曲した上部と、直線部分の下端を接合する湾曲した下部とを含むという点で「レーストラック」形状を有する。しかしながら、部分16、18は、あらゆる所望の形状を有することができ、例えば、円形又は長円形であってもよい。この実施形態では、ノズル14の高さの方がノズルの幅よりも大きいが、ノズル14の幅の方がノズルの高さよりも大きくなるようにノズル14を構成することもできる。
【0030】
ノズル14の各部分16、18は、空気流のそれぞれ一方が通る流路を定める。この実施形態では、ノズル14の後側部分16が、ノズル14を通過する第1の空気流が通る第1の空気流路を定め、ノズル14の前側部分18が、ノズル14を通過する第2の空気流が通る第2の空気流路を定める。
【0031】
図4も参照すると分かるように、ノズル14の後側部分16は、環状内側ケーシング部分24に接続されてこの周囲に延びる環状外側ケーシング部分22を含む。各ケーシング部分22、24は、ボア軸Xの周囲に延びる。各ケーシング部分は、複数の接続部品から形成することができるが、この実施形態では、各ケーシング部分22、24がそれぞれの単一の成形部品から形成される。図7及び図8も参照すると分かるように、第1の外側ケーシング部分22の後部26は、ボア軸Xの方向に内向きに湾曲して、ノズル14の後端及びボア20の後部を定める。組み立て中、第1の外側ケーシング部分22の後部26の端部は、例えば接着剤を使用して内側ケーシング部分24の後端に接続される。第1の外側ケーシング部分22は、ノズル14の第1の空気入口30を定める管状基部28を含む。
【0032】
ノズル14の前側部分18は、環状前側ケーシング部分34に接続されてこの周囲に延びる環状第2の外側ケーシング部分32を含む。この場合も、各ケーシング部分32、34はボア軸Xの周囲に延び、複数の接続部品から形成することができるが、この実施形態では、各ケーシング部分32、34がそれぞれ単一の成形部品から形成される。この例では、前側ケーシング部分34が、外側ケーシング部分22の前端に接続された後部36と、形状がほぼ裁頭円錐形の、ボア軸Xから離れて後部36から外向きに広がる前部38とを含む。前側ケーシング部分34は、内側ケーシング部分24と一体化することができる。第2の外側ケーシング部分32は、形状がほぼ円筒形であり、第1の外側ケーシング部分22と前側ケーシング部分34の前端との間に延びる。第2の外側ケーシング部分32は、ノズル14の第2の空気入口42を定める管状基部40を含む。
【0033】
ケーシング部分24、34は、ノズル14の第1の空気出口44を一体に定める。第1の空気出口44は、内側ケーシング部分24の表面と前側ケーシング部分34の後部36の表面を、第1の空気出口44が、ノズル14の前端から空気を放出するよう配置されるように重ね合わせ又は向かい合わせることによって定められる。この第1の空気出口44は、環状スロットの形をしており、ボア軸Xの周囲に0.5mm〜5mmの比較的一定の幅を有する。この例では、第1の空気出口44が約1mmの幅を有する。内側ケーシング部分24、34が、それぞれの構成要素から形成される場合、ケーシング部分24、34の重なり合った部分を離して付勢するためのスペーサ46を第1の空気出口44の周囲に離間させて、第1の空気出口44の幅を制御することができる。これらのスペーサは、ケーシング部分24、34のいずれかと一体化することができる。ケーシング部分24、34が単一の構成要素から形成される場合、スペーサ46を、内側ケーシング部分24と前側ケーシング部分34を互いに接続するためのフィンに置き換えて、これを第1の空気出口44の周囲に離間させる。
【0034】
ノズル14は、第1の空気流を第1の空気入口30から第1の空気出口44へ運ぶための環状の第1の内部通路48を定める。第1の内部通路48は、第1の外側ケーシング部分22の内面と内側ケーシング部分24の内面によって定められる。先細になった環状口部50が、第1の空気流を第1の空気出口44へ導く。従って、ノズル14を通る第1の空気流路は、第1の空気入口30、第1の内部通路48、口部50及び第1の空気出口44から形成されると考えることができる。
【0035】
前側ケーシング部分34は、ノズル14の複数の第2の空気出口52を定める。第2の空気出口52も、例えば、成形又は機械加工によって、ノズル14の前端のボア20のそれぞれの側に各々が形成される。第2の空気出口の各々は、第1の空気出口44から下流に位置する。この例では、各第2の空気出口52が、0.5mm〜5mmの比較的一定の幅のスロットの形をしている。この例では、各第2の空気出口52が約1mmの幅を有する。或いは、各第2の空気出口52は、ノズル14の前側ケーシング部分34に形成された1列に並んだ円形の開口又はスロットの形であってもよい。
【0036】
ノズル14は、第2の空気流を第2の空気入口42から第2の空気出口52へ運ぶための環状の第2の内部通路54を定める。第2の内部通路54は、ケーシング部分32、34の内面、及び第1の外側ケーシング部分22の外面の前部によって定められる。第2の内部通路54は、ノズル14内で第1の内部通路48から分離される。従って、ノズル14を通る第2の空気流路は、第2の空気入口42、第2の内部通路54及び第2の空気出口52によって形成されると考えることができる。
【0037】
本体12は、ほぼ円筒形である。本体12は、ノズル14が装着される基部56を含む。基部56は、円筒形の外部外壁57を有し、この外壁は空気入口58を含む。この例では、空気入口58が、基部56の外壁57に形成された複数の開口を含む。基部56は、第1の空気流をノズル14を通じて第1の空気流路へ運ぶための第1の空気通路60と、第2の空気流をノズル14を通じて第2の空気流路へ運ぶための第2の空気通路62とを含む。
【0038】
基部56の前部は、ファン組立体10のユーザインターフェイスを含むことができる。このユーザインターフェイスについては図9に概略的に示しており、以下でより詳細に説明する。基部56に形成された開口を通じて、ファン組立体10に電力を供給するための主電力ケーブル(図示せず)が延びる。
【0039】
第1の空気通路60は、基部56を通じて空気入口58からノズル14の第1の空気入口30へ延びる。一般に、第1の空気通路60は、基部56の管状上壁63によって定められる。ノズル14の管状基部28は、上壁63の開放上端に挿入される。上壁63は、第1の空気通路60を通じて、第1の空気流を発生させるための羽根車64の周囲に延びる。この実施形態では、羽根車64が混成流羽根車の形をしている。羽根車64は、この羽根車64を駆動するためのモータ66から外向きに延びる回転シャフトに接続される。この実施形態では、モータ66がDCブラシレスモータであり、このモータの速度は、ユーザによる速度の選択に応答して駆動回路68によって可変である。モータ66の最大速度は、5,000〜10,000rpmであることが好ましい。モータ66は、下部72に接続された上部70を含むモータバケット内に収容される。モータバケットの上部70は、湾曲した羽根を有する静止円盤の形のディフューザ74を含む。ディフューザ74は、ノズル14の第1の空気入口30の下方に位置する。
【0040】
モータバケットは、ほぼ裁頭円錐形の羽根車ハウジング76内に位置してこれに装着される。さらに、羽根車ハウジング76は、上壁63から内向きに延びる環状支持体78上に装着される。羽根車ハウジング76の底部には、空気流を羽根車ハウジング76内へ導くための環状入口部材80が接続される。羽根車ハウジング76と環状支持体78の間には環状密封部材82が位置して、羽根車ハウジング76の外面の周囲を入口部材80に空気が通過するのを防ぐ。環状支持体78は、駆動回路68からモータ66へ電気ケーブルを導くためのガイド部分84を含むことが好ましい。
【0041】
第2の空気通路62は、第1の空気通路60からの空気を受け入れるように配置される。第2の空気通路62は、第1の空気通路60に隣接して位置する。第2の空気通路62は、ディフューザ74から放出された空気流の一部を受け入れるための、ディフューザ74から下流に位置する入口ポート86を含む。第2の空気通路62は、入口ポート86からの第2の空気流を受け入れるように配置された入口ダクト88によって定められる。図5及び図6を参照して分かるように、入口ダクト88は上壁63によって定められ、第1の空気通路60の一部に隣接して、この例では第1の空気通路60の前に位置する。第2の空気通路62は、入口ダクト88からの第2の空気流を受け入れ、この空気流をノズル14の第2の空気入口42へ運ぶように配置された出口ダクト90によってさらに定められる。第2の空気流は、入口ダクト88及び出口ダクト90を通じてほぼ逆方向に運ばれる。ノズル14の第2の外側ケーシング部分32の基部40は、出口ダクト90の開放上端に挿入される。
【0042】
この例では、ファン組立体10が、第2の空気流がノズル14に入る前にこの第2の空気流の湿度を増加させるための加湿手段を含み、この手段は、ファン組立体10の本体12内に収容される。図4図6を参照して分かるように、この加湿手段は、本体12の基部56上に取り外し可能に装着できる水タンク100を含む。水タンク100は、基部56上に水タンク100が装着されたときに基部12の外観が円筒形になるように、本体12の基部56の外部外壁57と同じ半径の円筒形の外壁102を有する。水タンク100は、基部56の上壁63と同じ形状を有してこれを取り囲む環状内壁104を有する。外壁102及び内壁104は、水タンク100の上壁106及び下壁108とともに、水を蓄えるための環状容量を定める。従って、水タンク100は、羽根車64及びモータ66、すなわち第1の空気通路60の少なくとも一部及び第2の空気通路62の少なくとも一部を取り囲む。
【0043】
水タンク100は、2〜4リットルの容量を有することが好ましい。水タンク100の上壁106は、ハンドル110を定めるように成形されて、ユーザが水タンク100を基部56から片手で持ち上げることができるようにされる。水タンク100の外壁102には窓111を設けて、基部ステーション56上に水タンク100が配置されたときに、ユーザが水タンク100内の水のレベルを確認できるようにする。
【0044】
水タンク100の下壁108には、例えば、協働するネジ接続を通じて、放出口112が取り外し可能に接続される。この例では、基部56から水タンク110を取り外し、放出口112が上方へ突出するように水タンク110を反転させることにより、水タンク110が充填される。次に、水タンク100から放出口112をねじって外し、水タンク100から放出口112を外したときに露出される開口を通じて水タンク100内に水を導入する。水タンク100が充填されると、ユーザは、放出口112を水タンク100に再接続し、水タンク100を再び反転させて、水タンク100を基部56上に置き直す。放出口112内には、水タンク110を再反転させたときに、放出口112の水出口116を通る水の漏出を防ぐためのバネ仕掛け弁114が位置する。この弁114は、弁114のスカート部が放出口112の上面と係合する位置の方へ付勢されて、水タンク110から放出口112に水が入るのを防ぐ。
【0045】
基部56は、水タンク100からの水を受け入れるための水容器118を定める内壁117を含む。この例では、水容器118が200mlの容量を有する。水タンク100が基部56上に位置するときには、上方へ延びる基部56のピン120が、放出口112内に突出する。このピン120は、弁114を上方に押して放出口112を開き、これにより水が重力によって水タンク100から水容器118内に流入できるようにする。この結果、ピン120の上面と実質的に同一平面上にあるレベルまで水容器118に水が満たされるようになる。水容器118内には、水容器118内の水のレベルを検出するための磁気レベルセンサ122が配置される。
【0046】
基部56の内壁117は、水容器118に蓄えられた水を霧化するためのそれぞれの圧電変換器126の表面を各々が露出させるための開口124を含む。下壁117と変換器126の間には、変換器126から離れて熱を運ぶための金属ヒートシンク128が位置する。ヒートシンク128の一部は、このヒートシンク128から本体12の基部56の外面に形成された第2の開口の組を通じて熱が伝わるように、この開口に隣接して位置することができる。変換器126とヒートシンク128の間には、環状密封部材が不透水性シールを形成する。駆動回路68は、変換器126の超音波振動を作動させて、水容器118内の水を霧化させる。
【0047】
水容器118内の水の最高レベルよりも上方には、入口ダクト88と出口ダクト90の開放底端部が各々位置し、これらのダクト88、89の間において、水容器118内に存在する水の水面上を第2の空気流が通過するようにする。出口ダクト90は、水タンク100によって定められる。
【0048】
本体12のケーシング部分の側壁には、ファン組立体の動作を制御するためのユーザインターフェイスが位置する。図9に、このユーザインターフェイス及びファン組立体10のその他の電気構成要素を含む、ファン組立体10の制御システムを概略的に示す。この例では、ユーザインターフェイスが、複数のユーザ操作可能ボタン140a、140b及び140c、並びにディスプレイ142を含む。第1のボタン140aは、モータ66を作動及び停止させるために使用され、第2のボタン140bは、モータ66の速度、従って羽根車64の回転速度を設定するために使用される。第3のボタン140cは、部屋、オフィス又はその他の家庭内環境などの、ファン組立体10が存在する環境の所望の相対湿度レベルを設定するために使用される。例えば、第3のボタン140cを繰り返し作動させることにより、この所望の相対湿度レベルを20℃において30%〜80%の範囲内で選択することができる。ディスプレイ142は、現在選択されている相対湿度レベルを示す。
【0049】
ユーザインターフェイスは、ボタンの1つが作動されたときに駆動回路68に制御信号を出力し、駆動回路68により出力された制御信号を受け取るユーザインターフェイス回路144をさらに含む。このユーザインターフェイスは、加湿装置の状態に応じて視覚的警告を与えるための1又はそれ以上のLEDを含むこともできる。例えば、駆動回路68がレベルセンサ122から受け取った信号によって水タンク100が空になったことが示された場合、このことを示す第1のLED146aを駆動回路68によって点灯させることができる。
【0050】
外部環境内の空気の相対湿度を検出し、この検出した相対湿度を示す信号を駆動回路68に供給するための湿度センサ148も設けられる。この例では、ファン組立体10内に引き込まれた空気流の相対湿度を検出するために、湿度センサ148を空気入口58のすぐ後方に配置することができる。ユーザインターフェイスは、湿度センサ148からの出力が、ファン組立体10に入る空気流の相対湿度がユーザにより設定された所望の相対湿度レベル以上であることを示す場合に駆動回路68によって点灯される第2のLED146bを含むことができる。
【0051】
ファン組立体10を動作させるには、ユーザが第1のボタン140aを作動させ、これに応答して駆動回路68がモータ66を作動させて羽根車64を回転させる。羽根車64が回転すると、空気入口58を通じて本体12内に空気が引き込まれるようになる。空気流が、羽根車ハウジング76及びディフューザ74を通過する。ディフューザ74の下流において、ディフューザ74から放出された空気の一部が入口ポート86を通じて入口ダクト88に入り込むのに対し、ディフューザ74から放出された空気の残りは、上壁63によってノズル14の第1の空気入口30へ運ばれる。従って、羽根車64及びモータ66は、第1の空気通路60によってノズル14へ運ばれ第1の空気入口30を通じてノズル14に入り込む第1の空気流を発生させると考えることができる。
【0052】
この第1の空気流は、ノズル14の後側部分16の基部において第1の内部通路48に入る。この第1の内部通路48の基部において、空気流は、ノズル14のボア20の周囲を反対方向に通過する2つの空気ストリームに分かれる。この空気ストリームが第1の内部通路48を通過すると、空気がノズル14の口部50に入る。口部50内への空気流は、ノズル14のボア20の周囲で実質的に均一であることが好ましい。口部50は、この空気流をノズル14の第1の空気出口44の方へ導き、ここを通じて空気流がファン組立体10から放出される。
【0053】
第1の空気出口44から放出された空気流は、外部環境からの、特に第1の空気出口44の周囲領域及びノズル14の後部周囲からの空気を同伴することにより第2の空気流を生じるようになる。この二次空気流の一部は、ノズル14のボア20を通過するのに対し、二次空気流の残りは、ノズル14の前方の第1の空気出口から放出された空気流に同伴される。
【0054】
上述したように、羽根車64の回転とともに、入口ダクト88の入口ポート86を通じて第2の空気通路62に空気が入り込む。モータ66が作動すると同時に、駆動回路68が、好ましくは1〜2MHzの周波数f1で変換器126の振動を作動させて、水容器118内に存在する水を霧化する。これにより、水容器118内に存在する水の上に水飛沫が生じる。水容器118内の水が霧化されるにつれ、水容器118には水タンク100から水が絶えず補給され、水容器118内の水のレベルは実質的に一定を保つ一方で、水タンク100内の水のレベルは徐々に低下するようになる。
【0055】
羽根車66の回転とともに、第2の空気流が入口ダクト88を通過し、水容器118内に存在する水の上に直接放出されて、第2の空気流内に水飛沫が同伴するようになる。今や湿気を帯びたこの第2の空気流は、第2の空気通路62の出口ダクト90を通ってノズル14の第2の空気入口42まで上方に移動し、ノズル14の前側部分18内の第2の内部通路54に入る。
【0056】
第2の内部通路54の基部において、この第2の空気流は、ノズル14のボア20の周囲を反対方向に通過する2つの空気ストリームに分かれる。この空気ストリームが第2の内部通路54を通過すると、各空気ストリームは、ノズル14の前端の第1の空気出口44の前に位置する第2の空気出口52のそれぞれの一方から放出される。放出された第2の空気流は、ノズル14から第1の空気流が放出されることによって生じた空気流内でファン組立体10から離れて運ばれ、これによりファン組立体10から数メートルの距離で湿度の高い空気流が急速に体感できるようになる。
【0057】
湿度センサ148によって検出したファン組立体に入る空気流の相対湿度が、第3のボタン140cを使用してユーザにより選択された相対湿度レベルよりも20℃において1%高くなるまで、この湿り空気流がノズル14から放出される。その後、ノズル14からの湿り空気流の放出は、好ましくは変換器126の振動の周波数を周波数f2に低下させることにより(f1>f2≧0)、駆動回路68によって終了することができる。任意に、ノズル14から空気流が放出されないようにモータ66を停止することもできる。しかしながら、湿度センサ148がモータ66のすぐ近くに位置する場合は、モータ66を継続的に動作させて、湿度センサ148の局所環境における不適切な温度変化を避けることが好ましい。
【0058】
ファン組立体10からの湿り空気流の放出が終了したことを受けて、湿度センサ148により検出される相対湿度は低下し始める。湿度センサ148に近い環境の空気の相対湿度が、ユーザにより選択された相対湿度レベルを20℃において1%下回るまで低下すると、駆動回路68は、変換器126の振動を周波数f1で再始動する。モータ66が停止している場合、駆動回路68は、同時にモータ66を再始動する。上述したように、湿度センサ170によって検出される相対湿度が、ユーザにより選択された相対湿度レベルよりも20℃において1%高くなるまでノズル14から湿り空気流が放出される。
【0059】
この変換器126(及び任意にモータ66)の、検出される湿度レベルをユーザにより選択されたレベル付近に維持するための作動シーケンスは、ボタン140aが再び作動されるまで、又は水容器118内の水のレベルが最低レベルまで低下したことを示す信号をレベルセンサ122から受け取るまで続く。ボタン140aが作動された場合、駆動回路68は、モータ66及び変換器126を停止してファン組立体10のスイッチを切る。
【0060】
本発明は、以下のような態様であっても良い。
[1]
ノズルと、
前記ノズルが装着された本体と、
を備えたファン組立体であって、
前記ノズルが、少なくとも1つの第1の空気入口と、少なくとも1つの第1の空気出口と、前記少なくとも1つの第1の空気入口から前記少なくとも1つの第1の空気出口へ空気を運ぶための第1の内部通路と、少なくとも1つの第2の空気入口と、少なくとも1つの第2の空気出口と、前記少なくとも1つの第2の空気入口から前記少なくとも1つの第2の空気出口へ空気を運ぶための第2の内部通路と有し、前記ノズルがボアを定め、該ボアの周囲を前記2つの内部通路が延び、前記ボアを通じて、前記2つの空気出口から放出された空気によってファン組立体の外部からの空気が引き込まれ、
前記本体が、前記第1の内部通路を通る第1の空気流及び前記第2の内部通路を通る第2の空気流を発生させるための流れ発生手段と、前記第1の空気流を前記少なくとも1つの第1の空気入口へ運ぶための第1の空気通路と、前記第2の空気流を前記少なくとも1つの第2の空気入口へ運ぶための、前記流れ発生手段から下流に前記第1の空気通路からの空気を受け入れるように配置された第2の空気通路とを含み、
前記第2の空気流の温度、湿度、組成及び電荷のうちの1つを変化させるための手段をさらに備える、
ことを特徴とするファン組立体。
【0061】
[2]
前記第1の内部通路が、前記第2の内部通路から分離される、
ことを特徴とする上記[1]に記載のファン組立体。
【0062】
[3]
前記第1の内部通路が、前記ノズルの前記ボアを取り囲む、
ことを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載のファン組立体。
【0063】
[4]
前記第2の内部通路が、前記ノズルの前記ボアを取り囲む、
ことを特徴とする上記[1]から上記[3]のいずれかに記載のファン組立体。
【0064】
[5]
前記少なくとも1つの第1の空気出口が、前記ボアの少なくとも前部を通じて前記第1の空気流を放出するように配置される、
ことを特徴とする上記[1]から上記[4]のいずれかに記載のファン組立体。
【0065】
[6]
前記少なくとも1つの第1の空気出口が、前記ボアの周囲に位置する複数の第1の空気出口を含む、
ことを特徴とする上記[1]から上記[5]のいずれかに記載のファン組立体。
【0066】
[7]
前記少なくとも1つの第2の空気出口が、前記ノズルの前端に位置する、
ことを特徴とする上記[1]から上記[6]のいずれかに記載のファン組立体。
【0067】
[8]
前記少なくとも1つの第2の空気出口が、前記ボアの周囲に位置する複数の空気出口を含む、
ことを特徴とする上記[7]に記載のファン組立体。
【0068】
[9]
前記複数の空気出口の各々が、1又はそれ以上の開口を含む、
ことを特徴とする上記[1]から上記[8]のいずれかに記載のファン組立体。
【0069】
[10]
前記第2の空気流の温度、湿度、組成及び電荷のうちの1つを変化させるための前記手段が、前記本体内に位置する、
ことを特徴とする上記[1]から上記[9]のいずれかに記載のファン組立体。
【0070】
[11]
前記第2の空気流の温度、湿度、組成及び電荷のうちの1つを変化させるための前記手段が、少なくとも部分的に前記第2の空気通路内に位置する、
ことを特徴とする上記[1]から上記[10]のいずれかに記載のファン組立体。
【0071】
[12]
前記第2の空気流の温度、湿度、組成及び電荷のうちの1つを変化させるための前記手段が、前記第2の空気流を加湿するように構成される、
ことを特徴とする上記[1]から上記[11]のいずれかに記載のファン組立体。
【0072】
[13]
前記第2の空気流の温度、湿度、組成及び電荷のうちの1つを変化させるための前記手段が、水タンクを含む、
ことを特徴とする上記[1]から上記[12]のいずれかに記載のファン組立体。
【0073】
[14]
前記本体が、前記本体に入る空気が通過する空気入口を有する基部を含み、前記水タンクが前記基部上に装着される、
ことを特徴とする上記[13]に記載のファン組立体。
【0074】
[15]
前記基部及び前記水タンクの各々が円筒形の外面を有し、前記基部及び前記水タンクの前記外面が、実質的に同じ半径を有する、
ことを特徴とする上記[14]に記載のファン組立体。
【0075】
[16]
前記第2の空気流の温度、湿度、組成及び電荷のうちの1つを変化させるための前記手段が、前記水タンクからの水を受け入れるための容器と、該容器に蓄えられた水を霧化するための変換器とを含み、前記第2の空気通路が、前記容器の少なくとも一部の上に前記第2の空気流を運ぶように配置される、
ことを特徴とする上記[13]から上記[15]のいずれかに記載のファン組立体。
【符号の説明】
【0076】
10 ファン組立体
12 本体
14 ノズル
16 後側部分
18 前側部分
22 外側ケーシング部分
24 内側ケーシング部分
32 前側ケーシング部分
34 後側ケーシング部分
26 後部
28 管状基部
30 第1の空気入口
40 管状基部
42 第2の空気入口
44 第1の空気出口
48 第1の内部通路
52 第2の空気出口
54 第2の内部通路
56 基部
57 外壁
58 空気入口
60 第1の空気通路
62 第2の空気通路
63 上壁
64 羽根車
66 モータ
70 上部
72 下部
74 ディフューザ
76 羽根車ハウジング
78 環状支持体
80 環状入口部材
82 環状密封部材
84 ガイド部分
86 入口ポート
88 入口ダクト
90 出口ダクト
100 水タンク
102 外壁
104 内壁
106 上壁
108 下壁
110 ハンドル
111 窓
117 内壁
118 水容器
128 ヒートシンク
X 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9