特許第5717900号(P5717900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5717900
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】三次元形状の積層造形物の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 67/00 20060101AFI20150423BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20150423BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   B29C67/00
   B22F3/16
   B22F3/105
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-101522(P2014-101522)
(22)【出願日】2014年5月15日
【審査請求日】2014年9月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 秀二
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−225994(JP,A)
【文献】 特開2013−195041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00〜8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁と底壁をなすテーブルとを有し前記周壁と前記テーブルの高さ方向の相対的な位置関係を変更可能に構成された造形槽に、粉末材料を供給して粉末層を積層しながら形成しつつ、前記粉末層の表層にビームを照射して該ビームの照射部分を固化し前記粉末材料を用いた造形物を形成する三次元形状の積層造形物の製造装置において、
前記造形槽は、前記造形物が形成される造形空間と前記造形物が形成されない非造形空間を有し、前記非造形空間において伸縮自在に形成された伸縮部材を備え、前記伸縮部材は、上端が周壁の上部に支持され、下端が前記テーブルの上面に配置され、前記テーブルの高さ方向の相対位置の変更にともなって容積が変わるように伸縮することにより、前記非造形空間の容積を変更することを特徴とする三次元形状の積層造形物の製造装置。
【請求項2】
前記伸縮部材は、蛇腹状をなすことを特徴とする請求項1に記載の三次元形状の積層造形物の製造装置。
【請求項3】
前記伸縮部材は、前記周壁と前記テーブルとの高さ方向の相対的な位置関係が変更され前記テーブルの深さが深くなったときに前記高さ方向に伸長し、前記テーブルの深さが浅くなったときに前記高さ方向に縮小することを特徴とする請求項1に記載の三次元形状の積層造形物の製造装置。
【請求項4】
前記伸縮部材は、上端を前記周壁の上部に支持され、下端を前記テーブルの上面に支持されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の三次元形状の積層造形物の製造装置。
【請求項5】
前記伸縮部材は、前記造形槽に着脱自在に支持されることを特徴とする請求項4に記載の三次元形状の積層造形物の製造装置。
【請求項6】
前記周壁の上部に側方に延びる第1の支持部材を設けるとともに、前記伸縮部材の上端に額部を設け、該額部を前記第1の支持部材に差し込むことにより、前記伸縮部材の上端を前記周壁の上部により支持することを特徴とする請求項5に記載の三次元形状の積層造形物の製造装置。
【請求項7】
前記第1の支持部材は、前記伸縮部材の額部の上面側を支持する上部側凸部と下面側を支持する下部側凸部からなることを特徴とする請求項6に記載の三次元形状の積層造形物の製造装置。
【請求項8】
前記上部側凸部および前記下部側凸部は、短尺なピン状をなすことを特徴とする請求項7に記載の三次元形状の積層造形物の製造装置。
【請求項9】
前記伸縮部材の下端に額部を設けるとともに、前記テーブルに側方に延びる第2の支持部材を設け、前記額部の上面側に前記第2の支持部材を当接させることにより、前記伸縮部材の下端を前記テーブルにより支持することを特徴とする請求項5に記載の三次元形状の積層造形物の製造装置。
【請求項10】
前記伸縮部材の額部は、フランジ状とすることを特徴とする請求項6または請求項9に記載の三次元形状の積層造形物の製造装置。
【請求項11】
前記周壁は、左右側壁および前後壁からなり、前記伸縮部材は、前記左右側壁のうち少なくともいずれか一方および/または前記前後壁のうち少なくともいずれか一方に沿って設けられることを特徴とする請求項1に記載の三次元形状の積層造形物の製造装置。
【請求項12】
前記伸縮部材は、L字状とすることを特徴とする請求項11に記載の三次元形状の積層造形物の製造装置。
【請求項13】
前記伸縮部材の下端に所定の重量を有するウエイトを設けることを特徴とする請求項4に記載の三次元形状の積層造形物の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元形状の積層造形物の製造装置に関し、特に、造形槽における造形空間の容積を変更することができる三次元形状の積層造形物の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元形状の積層造形物の製造装置は、例えば粉末材料からなる粉末層にビームを照射して焼結させることによって焼結層を形成し、この焼結層の上に新たな粉末層を敷き、その新たな粉末層にビームを照射して焼結させることによって下の焼結層と接合した新たな焼結層を形成し、そして、これを繰り返すことによって、複数の焼結層が積層一体化した所望の三次元形状の積層造形物を製造する。
【0003】
このような製造装置は、例えば特許文献1に開示されており、同文献1の製造装置においては、粉末供給装置から平坦化装置に粉末材料を供給し、平坦化装置により造形槽に粉末材料を供給して粉末層を形成しながら粉末層の表層を敷均す構成となっている。平坦化装置はY軸方向に長尺な構造となっており、粉末供給装置により平坦化装置の長手方向(Y軸方向)の所定の位置まで粉末材料を供給し、平坦化装置をX軸方向の所定の位置まで移動させることにより、所望の造形空間に対応して粉末材料を供給することが可能となる。造形空間に供給された粉末材料にはレーザー(レーザービーム)が照射されて焼結層が形成され、形成された焼結層は、エンドミル(切削加工装置)により端部(外表面)が切削加工されて造形物が成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4351218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、造形槽に余分に供給された粉末材料は、切削加工装置による切削加工後に除去されるとともに、除去された粉末材料は、切削加工により生じた切粉と再生可能な粉末材料に分別される。つまり、造形に寄与しない非造形空間に供給される余分な粉末材料が多い程、分別作業等の後作業が多くなるため、造形槽に極力余分に粉末材料を供給することなく造形物を成形することが必要となる。このため、従来の製造装置においては、上述の如く、平坦化装置の長手方向(Y軸方向)の所定の位置まで粉末材料を供給するとともに、平坦化装置をX軸方向の所定の位置まで移動させることにより、造形槽の全空間に粉末材料を供給することなく、造形空間に対応した粉末材料の供給を可能としていた。
【0006】
しかしながら、従来の製造装置においても、粉末材料の供給は、積層された粉末層が崩れることを考慮して本来の造形空間よりもかなり広い空間に行わざるを得ず、造形に寄与しない非造形空間への粉末材料の供給を一層低減させることが求められていた。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、造形槽における空間の容積を変更することにより、非造形空間への粉末材料の供給量を低減させることができる三次元形状の積層造形物の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、三次元形状の積層造形物の製造装置に係る請求項1の発明は、周壁と底壁をなすテーブルとを有し前記周壁と前記テーブルの高さ方向の相対的な位置関係を変更可能に構成された造形槽に、粉末材料を供給して粉末層を積層しながら形成しつつ、前記粉末層の表層にビームを照射して該ビームの照射部分を固化し前記粉末材料を用いた造形物を形成する三次元形状の積層造形物の製造装置において、造形槽は、造形物が形成される造形空間と造形物が形成されない非造形空間を有し、非造形空間において伸縮自在に形成された伸縮部材を備え、伸縮部材は、上端が周壁の上部に支持され、下端がテーブルの上面に配置され、テーブルの高さ方向の相対位置の変更にともなって容積が変わるように伸縮することにより、非造形空間の容積を変更することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、造形槽は、造形物が形成される造形空間と造形物が形成されない非造形空間を有し、非造形空間において伸縮自在に形成された伸縮部材を備え、伸縮部材は、上端が周壁の上部に支持され、下端がテーブルの上面に配置され、テーブルの高さ方向の相対位置の変更にともなって容積が変わるように伸縮することにより、非造形空間の容積を変更することとしたので、非造形空間の容積を減少させて、非造形空間への粉末材料の供給量を低減させることができる。
【0010】
伸縮部材は、蛇腹状をなすこととすれば、造形槽内において伸縮部材を容易に伸縮させることができる(請求項)。
【0011】
伸縮部材は、周壁とテーブルとの高さ方向の相対的な位置関係が変更されテーブルの深さが深くなったときに高さ方向に伸長し、テーブルの深さが浅くなったときに高さ方向に縮小することとすれば、伸縮部材をテーブルの深さに応じて容易に伸縮させることができる(請求項)。
伸縮部材は、例えば、上端を周壁の上部に支持され、下端をテーブルの上面に支持される(請求項)。
【0012】
伸縮部材は、造形槽に着脱自在に支持されることとすれば、非造形空間の容積の変更に対応して容易に伸縮部材を交換することができる(請求項)。
ここで、周壁の上部に側方に延びる第1の支持部材を設けるとともに、伸縮部材の上端に額部を設け、該額部を第1の支持部材に差し込むことにより、伸縮部材の上端を周壁の上部により支持することができる(請求項)。
【0013】
第1の支持部材は、例えば、伸縮部材の額部の上面側を支持する上部側凸部と下面側を支持する下部側凸部からなり(請求項)、上部側凸部および下部側凸部は、より詳しくは短尺なピン状をなすこととすることができる(請求項)。
更に、伸縮部材の下端に額部を設けるとともに、テーブルに側方に延びる第2の支持部材を設け、額部の上面側に第2の支持部材を当接させることにより、伸縮部材の下端をテーブルにより支持することができる(請求項)。
【0014】
伸縮部材の額部は、例えば、フランジ状とすることができる(請求項10)。
周壁は、左右側壁および前後壁からなり、伸縮部材は、左右側壁のうち少なくともいずれか一方および/または前後壁のうち少なくともいずれか一方に沿って設けられることとすれば(請求項11)、例えば、伸縮部材は、L字状とすることとすれば、非造形空間の容積をX軸方向およびY軸方向のいずれにも確実に低減させることができる(請求項12)。
【0015】
なお、伸縮部材の下端に所定の重量を有するウエイトを設けることとすれば、周壁とテーブルの高さ方向の相対位置の変更に応じて確実に伸縮部材を伸長させることができより好ましい(請求項13)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、造形槽における造形空間の容積を変更することにより、非造形空間への粉末材料の供給量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る三次元形状の積層造形物の製造装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】同製造装置の造形槽の構成を示す正面図である。
図3】同製造装置の造形槽の構成を示す平面図である。
図4】第2の支持部材の構成を示す平面図である。
図5】造形槽内の伸縮部材の動作を説明するための正面図である。
図6】本発明の変形例を示す平面図である。
図7】本発明の別の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施形態を示す三次元形状の積層造形物の製造装置(以下、単に製造装置と称する場合がある)の全体構成を示す斜視図である。なお、以下においては、装置の正面側から見て左側を左、右側を右、手前側を前、後方側を後、上側を上、下側を下とし、左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、高さ方向をZ軸方向として説明するものとする。
【0019】
図1を参照して製造装置1の概要を説明すると、製造装置1は、材料供給装置(図示せぬ)により供給された金属の粉末材料を造形槽10により貯留して粉末層20を形成する。製造装置1は、貯留された粉末層20の表層を平均化装置2により敷均して平均化し、平均化した表層にビーム照射装置3によりレーザービームの光を照射する。製造装置1は、レーザービームの光を照射することにより、該照射部分を焼結し焼結層を形成して固化する。
【0020】
そして、製造装置1は、固化した粉末層(焼結層)20aの表層に新たな粉末層20を形成するとともに、粉末層20の平均化、ビームの照射による粉末層20の固化を繰り返し行うことにより造形槽10内において積層しながら造形物を形成する。製造装置1は、形成された造形物の外表面を工具を用いて切削加工装置4により切削加工して三次元形状の積層造形物を造形する。
【0021】
製造装置1は、更に自動工具交換装置5、高さ方向(Z軸方向)位置変更機構6、水平方向位置変更機構7、および排出槽8を備えている。自動工具交換装置5は、切削加工装置4に用いられる工具を自動で交換し、高さ方向位置変更機構6は、造形槽10の深さを調節して粉末層20の高さを変更し、水平方向位置変更機構7は、ビーム照射装置3と造形槽10の水平方向(X軸方向およびY軸方向)の相対的な位置関係を変更し、排出槽8は、粉末層20の平均化の際に造形槽10から溢れる粉末材料を排出する。
【0022】
図2に示すように、造形槽10は、周壁11と底壁12を有し、周壁11は、左右側壁11a,11bおよび前後壁11c,11dからなり、底壁12は、粉末層20を積載し高さ方向に昇降するテーブル12として機能する。テーブル12は、昇降台13の上面に設けられており、昇降台13に上述した高さ方向位置変更機構7が備えられている。
【0023】
すなわち、高さ方向位置変更機構7を動作させることにより昇降台13を昇降させてテーブル12を昇降させ、周壁11とテーブル12の高さ方向の相対的な位置関係を変更する。これにより、テーブル12の深さを調節し粉末層20の高さを変更することができる。テーブル12の上面右側の空間にはスペーサ14を介して基板15が設置されており、基板15の上面に粉末層20が積層される。
【0024】
つまり、図3に示すように、造形槽10は、基板15の上面上の空間を造形物が形成される造形空間16とし、基板15が配置されていない左側の空間を造形物が形成されない非造形空間17としている。伸縮部材30は、左側壁11aに沿って非造形空間17に備えられている。すなわち、伸縮部材30は、伸縮自在に形成されており、伸縮部材30を伸縮することにより、造形槽10における空間の容積を変更、より詳しくは非造形空間17の容積を変更することができる。
【0025】
伸縮部材30は、造形槽10の上部開口からテーブル12の上面にかけて配置されており、水平方向に所定の幅寸法および奥行き寸法が設定され略直方体形状をなしている。伸縮部材30は、高さ方向に山折りと谷折りが交互に繰り返される蛇腹状をなしており、造形槽10内において伸縮部材30を容易に伸縮させることができる。この伸縮部材30の上端および下端には、フランジ状の額部31,32が設けられている。額部31,32は、蛇腹部分30aの側方から外側に張り出している。
【0026】
すなわち、周壁11の上部には側方に延びる第1の支持部材18が設けられており、第1の支持部材18は、上部側凸部18aと下部側凸部18bからなる。上部側凸部18aは、上端額部31の上面側31aを支持し、下部側凸部18bは、下面側31bを支持している。これら上部側凸部18aおよび下部側凸部18bは、短尺なピン状をなしている。上部側凸部18aと下部側凸部18bの高さ方向の間隔は、上端額部31の厚みと略同等に設定されている。
【0027】
つまり、伸縮部材30は、上端額部31を、第1の支持部材18の上部側凸部18aと下部側凸部18bの間に差し込んで支持されており、伸縮部材30は、周壁11の上部に着脱自在となっている。
また、テーブル12の上面に設置されたスペーサ14には、側方に延びる板状の第2の支持部材19が設けられている。図4に示すように、第2の支持部材19は、コの字状をなしており、コの字状の凹部内に蛇腹部分30aを配置しながら、下端額部32の上面側32aにその下面側19aを当接させている。これにより、伸縮部材30の下端額部32をテーブル12の上面により着脱自在に支持している。
【0028】
このように伸縮部材30を造形槽10内に支持することにより、図5に示すように、テーブル12が積層造形物の製造開始位置にある状態、すなわちテーブル12が最上端位置にある状態(図5(a))から、高さ方向位置変更機構6により周壁11とテーブル12の高さ方向の相対位置が変更され、テーブル12の深さが相対的に深くなったときに、伸縮部材30は、その相対位置の変更に応じて高さ方向に伸長する(図5(b))。
【0029】
次いで、積層造形物の製造が終了して次の積層造形物の製造に移行するとき等、高さ方向位置変更機構6により周壁11とテーブル12の高さ方向の相対位置が変更され、テーブル12の深さが相対的に浅くなったときに、伸縮部材30は、その相対位置の変更に応じて高さ方向に縮小する(図5(a))。つまり、伸縮部材30をテーブル12の深さに応じて容易に伸縮させることができ、非造形空間17の容積を減少させることができる。また、伸縮部材30を、造形槽10に着脱自在に支持することとしたので、非造形空間17の容積の変更に対応して容易に伸縮部材30を交換することができる。
【0030】
以上説明したように本発明によれば、造形槽10は、伸縮自在に形成された伸縮部材30を備え、該伸縮部材30を伸縮することにより、造形槽10における空間の容積を変更することとしたので、より詳しくは、造形槽10は、造形物が形成される造形空間16と造形物が形成されない非造形空間17を有し、伸縮部材30を、非造形空間17に備えることとしたので、非造形空間17の容積を減少させて、非造形空間17への粉末材料の供給量を低減させることができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更実施が可能である。
すなわち、上述した実施形態にあっては、金属の粉末材料を用いて造形物を形成することとしているが、金属の粉末材料に限らず樹脂等の非金属の粉末材料を用いて造形物を形成することとしてもよい。
【0032】
また、上述した実施形態にあっては、ビーム照射装置3によりレーザービームの光を照射して粉末層20を焼成し固化することとしているが、ビーム照射装置3により電子ビームを照射して粉末層20を固化することとしてもよい。
更に、高さ方向位置変更機構6によりテーブル12を昇降させ、周壁11とテーブル12の高さ方向の相対的な位置関係を変更することとしているが、高さ方向位置変更機構6により周壁11を昇降させ、周壁11とテーブル12の高さ方向の相対的な位置関係を変更することとしてもよい。
【0033】
更にまた、上述した実施形態にあっては、伸縮部材30を左側壁11aに沿って備えることとしているが、非造形空間17が造形槽10の右側の空間に広がる場合には、伸縮部材30を右側壁11bに沿って備えることとしてもよい。また更に、非造形空間17が造形槽10の前方の空間に広がる場合には、伸縮部材30を前壁11cに沿って備えることとしたり、非造形空間17が造形槽10の後方の空間に広がる場合には、伸縮部材30を後壁11cに沿って備えることとしてもよい。
【0034】
つまり、伸縮部材30は、非造形空間17の形成空間に応じて、左右側壁11a,11bのうち少なくともいずれか一方および/または前後壁11c,11dのうち少なくともいずれか一方に沿って設けることとすればよい。非造形空間17が造形槽10の左側および右側のうちいずれか一方および前方および後方のうちいずれか一方に広がる場合には、図6に示すように、伸縮部材30を水平方向の断面形状をL字状とする角柱形状とすることで、非造形空間17の空間の容積をX軸方向およびY軸方向のいずれにも確実に低減させることができるので好ましい。なお、伸縮部材30は、造形槽10内において水平方向から第1の支持部材18に差し込まれるため、伸縮部材30のX軸方向およびY軸方向には、図6に示すように、例えば造形槽10のX軸方向およびY軸方向の寸法に対し、第1の支持部材18の高さdの寸法以上のクリアランスd+Δdが設定される。
【0035】
また、図7に示すように、伸縮部材30の下端額部32の下面32bに、所定の重量を有するウエイト33を設けることとすると更に好ましい。すなわち、伸縮部材30は、ウエイト33の自重により下方に常時引っ張られた状態となるため、周壁11とテーブル12の高さ方向の相対位置の変更に応じて確実に伸縮部材30を伸長させることができる。ここで、第2の支持部材19が設けられているスペーサ14は、伸縮部材30の下端額部32の厚みとウエイト33の高さの和と等しい高さまたはそれ以下の高さに設定されている。これにより、第2の支持部材19の下面を伸縮部材30の下端額部32の上面側32aに確実に当接させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、三次元形状の積層造形物の製造装置において、粉末材料の供給量を低減する場合に役立つ。
【符号の説明】
【0037】
1:三次元形状の積層造形物の製造装置
2:平均化装置
3:ビーム照射装置
4:切削加工装置
5:自動工具交換装置
6:高さ方向位置変更機構
7:水平方向位置変更機構
8:排出槽
10:造形槽
11:周壁
11a:左側壁
11b:右側壁
11c:前壁
11d:後壁
12:テーブル(底壁)
13:昇降台
14:スペーサ
15:基板
16:造形空間
17:非造形空間
18:第1の支持部材
18a:上部側凸部
18b:下部側凸部
19:第2の支持部材
19a:下面側
20:粉末層
20a:固化した粉末層
30:伸縮部材
30a:蛇腹部分
31:上端額部
31a:上面側
31b:下面側
32:下端額部
32a:上面側
32b:下面側
33:ウエイト
d:第1の支持部材の高さ
d+Δd:伸縮部材のクリアランス
【要約】
【課題】 造形槽における空間の容積を変更することにより、非造形空間への粉末材料の供給量を低減させることができる三次元形状の積層造形物の製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 周壁11と底壁をなすテーブル12とを有し周壁11とテーブル12の高さ方向の相対的な位置関係を変更可能に構成された造形槽10に、粉末材料を供給して粉末層20を積層しながら形成しつつ、粉末層20の表層にビームを照射して該ビームの照射部分を固化し粉末材料を用いた造形物を形成する三次元形状の積層造形物の製造装置1において、造形槽10は、伸縮自在に形成された伸縮部材30を備え、該伸縮部材30は伸縮することにより、造形槽10における空間の容積を変更することを特徴とする。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7