(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5717963
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】溶融炉中で処理された製品の汚染を最小化するための蒸気補強された膨張する体積のガス
(51)【国際特許分類】
F27B 14/04 20060101AFI20150423BHJP
B22D 45/00 20060101ALI20150423BHJP
F27D 7/06 20060101ALI20150423BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20150423BHJP
B22D 23/00 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
F27B14/04
B22D45/00 A
F27D7/06 B
F27D7/02 Z
B22D23/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2009-525119(P2009-525119)
(86)(22)【出願日】2007年8月15日
(65)【公表番号】特表2010-501820(P2010-501820A)
(43)【公表日】2010年1月21日
(86)【国際出願番号】IB2007002353
(87)【国際公開番号】WO2008023229
(87)【国際公開日】20080228
【審査請求日】2010年8月13日
(31)【優先権主張番号】60/839,776
(32)【優先日】2006年8月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11/829,115
(32)【優先日】2007年7月27日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】ラ・ソーダ、テレンス・デー.
【審査官】
増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−224332(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0070488(US,A1)
【文献】
米国特許第04990183(US,A)
【文献】
特開平10−002675(JP,A)
【文献】
特開昭57−150784(JP,A)
【文献】
特開2004−068139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 14/04
B22D 23/00
B22D 45/00
F27D 7/02
F27D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属を収容するための開放容器であって、前記容器は底壁と、側壁と、開口とを含むものと、
イナート寒剤の源であって、前記イナート寒剤が液体流成分と蒸気状流成分とを含むものと、
前記開口に隣接して配置された送給装置であって、
入口および出口を含み、前記入口が前記イナート寒剤の源と接続されているランス、および
前記ランスの前記出口に接続されたフードであって、前記フードは前記イナート寒剤の成分を前記溶融金属に向けて導くものとを含む送給装置とを含み、前記フードは、前記液体流成分が前記溶融金属と接触して膨張するガスを形成するように前記容器の前記底壁に向けて前記イナート寒剤の前記液体流成分を導くように構成され、
前記フードが、さらに、前記膨張するガスの膨張速度を抑制するために前記溶融金属に向けて前記蒸気状流成分を導くように構成され、かつ
前記フードが、前記容器の前記側壁に隣接した溶融金属の表面上に、局在化された液体寒剤の溜りを形成するために液体寒剤の流れを導くことが可能となるように構成され、前記フードが前記容器の前記側壁に隣接して配向される加熱装置。
【請求項2】
前記フードが、入口と、前記入口の下流に位置する出口とを含む湾曲したハウジングを含む請求項1の加熱装置。
【請求項3】
前記フードが、0°ないし90°の度合の曲率を有する請求項2の加熱装置。
【請求項4】
前記フードが、前記容器の前記開口と同一平面にあるように配向された出口を含む請求項1の加熱装置。
【請求項5】
前記フードが、前記容器の前記開口のわずかに下方の地点で容器内に配向された出口を含む請求項1の加熱装置。
【請求項6】
前記送給装置が、前記溶融金属の表面積に基づいて13.78982Pa(0.002lb/in2)ないし34.4738Pa(0.005 lb/in2)の範囲にあるイナート寒剤の流量を発生させるように操作可能である請求項1の加熱装置。
【請求項7】
前記送給装置がさらに、前記ランスの前記出口に配置され、かつ前記フード内に収容されたディフューザーを含み、前記ディフューザーは前記液体流成分を前記蒸気状流成分から分離するように操作可能である、請求項1の加熱装置。
【請求項8】
前記フードは、入口と、前記入口の下流に位置する出口とを含む湾曲したハウジングを含み、
前記フードの前記出口は、前記容器の前記開口と同一平面にあるか、または前記容器の前記開口の下方に配置されるかのいずれかであり、
前記送給装置は、前記溶融金属の表面積に基づいて13.78982Pa(0.002lb/in2)ないし34.4738Pa(0.005 lb/in2)の範囲にあるイナート寒剤の流量を発生させるように操作可能である請求項1の加熱装置。
【請求項9】
前記フードの前記出口が、前記容器の前記側壁に隣接して配向される、請求項1の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
関連出願についての相互参照
この出願は、「EGAL」と題されて2006年8月23日に出願された米国仮特許出願第60/839,776号の優先権を主張する。この仮特許出願の開示は、全体として参照によってここに組入れられる。
【0002】
背景
分野
この発明は、処理の間の溶融金属の汚染を最小化することに関する。
【0003】
関連技術
金属鋳造産業において、金属(鉄または非鉄)は炉内で溶融され、次に鋳型に注がれて鋳物に固められる。鋳造所における溶融操作では、金属は一般に電気誘導炉内で溶融される。金属(その合金成分を含む)の酸化を最小化するために、空気に暴露することなく金属を溶融し、輸送することはしばしば有利であり、それは収率および回収効率を増大させるだけでなく、鋳造欠陥(介在物)を引き起して最終製品の品質を下げ得る金属酸化物の形成も減らす。さらに、溶融金属は、孔のようなガス由来の鋳造欠陥を引き起すガス(主に酸素および水素)を雰囲気(周囲空気)から吸収する傾向がある。
【0004】
金属の周囲空気への暴露を防ぐために、真空処理およびガスまたは液体によるイナーティング(inerting)を含む種々の方法が利用される。真空処理においては、流体密封の炉チャンバーが金属の加熱に先立って実質的に全ての周囲酸素を真空排気される。しかしながら、この方法は特別な真空炉を必要とし、一般に少量バッチ操作に適切であるのみである。さらに、真空炉の使用は、プラントの生産性を下げるかなり長い冷却時間を必要とすることにもなる。
【0005】
ガスイナーティングの場合は、イナートガスの連続流を炉チャンバーに注入する。これは、チャンバーから周囲酸素をパージするイナートガスのブランケットを形成し、周囲空気がチャンバーに入ることを防ぐ。しかしながら、この方法は、実質的に流体密封であるチャンバーを用いてもなお、方法の間に使用される極めて大きな体積のガスを必要とする。さらに、前記方法は、大抵の金属製品上への酸化層の形成を防ぐために十分なほど低い残留酸素の濃度を維持することができない。高温炉内からの高温熱上昇気流は、流入する冷たいイナートガスを絶えず金属表面から押上げ、そして押しやる。したがって、高温空気およびガスが上昇するにつれて、誘起された気流は新鮮な冷たい空気を絶えず炉の方に引っ張る。注入されたイナートガスは、また、炉に注入された時に、それと一緒に周囲空気を連行するであろう。これらの効果により、金属の表面に直接、真のイナート(0% O
2)雰囲気を提供することは、ガスイナーティング技術については不可能ではないにしても困難である。
【0006】
液体イナーティングの場合は、液体寒剤(典型的にN
2またはAr)が金属 (すなわち、高温の固体金属または溶融金属)の全ての露出表面を覆う。液体寒剤は、その気相および空気よりも高い密度を持つので、熱上昇気流によって溶融表面から押上げられ、そして押しやられる可能性がはるかに低い。金属表面に接触した後、短時間内で液体はガスへと気化する。寒剤は液体から気体へと沸騰するので、それが上昇するときにおよそ600〜900倍だけ体積膨張する。結果として、膨張は金属の表面から周囲空気を押しやり、酸化を防ぐ。液体イナーティングの1つの欠点は、液体寒剤を液体状態で炉の内部に効率的に送給することの難しさである。液化されたガスは極めて冷たい。貯蔵タンクおよび分配配管中で、液体イナートガスは周囲から絶えず熱を吸収し、貯蔵タンクおよび分配配管の内部で液体の一部を沸騰させて蒸気にする。この蒸気は、液体がチャンバーに注入される前に排出されなければ
ならず、さもなくばフロースパッタリング(flow sputtering)およびサージング(surging)が生じる(配送パイプ中の液体の流れを閉塞させるガスの傾向によって生じる)。結果として、寒剤供給の大部分が沸騰によって失われる。
【0007】
したがって、多大な体積のイナートガスを失うことなく、パージ処理を通じて低い残留酸素濃度を達成するための需要が当技術分野にはいまだにある。
【0008】
概要
誘導炉、タンディッシュなどのような容器中の金属表面上に効果的なイナートブランケットを提供する装置および対応する方法がここに記載される。前記装置は、金属(例えば、高温固体(仕込み)金属または溶融金属)の容器と、2相のイナート寒剤を前記金属に向けて送給するように構成された装置とを含む。前記送給装置は、前記容器の頂部に隣接して配置されたランスを含み得る。前記ランスは、液体寒剤流と蒸気状寒剤流との両方を前記金属の表面に向けて導くフードを含む。前記液体寒剤は前記金属の表面に移動し、気化して、一の体積の膨張するガスを発生する。さらに、前記蒸気状寒剤は前記膨張するガスに向けて下向きに導かれる。前記蒸気状寒剤は膨張するガスを補強し、その膨張速度を減速させ、前記金属の表面上に前記膨張するガスを維持する。このようにして、液体および蒸気状ガスは金属の酸化を防ぐように協力して働く。
【0009】
前記装置は、以下の特徴のいずれか1つまたは組合わせを含むいくつかの異なる特徴を含み得る:
溶融金属を収容するための開放容器であって、前記容器は底壁と、側壁と、開口とを含む;
イナート寒剤の源であって、前記イナート寒剤は液体流成分と、蒸気状流成分とを含む;
前記開口に隣接して配置された送給装置であって、前記送給装置は、入口と出口とを含むランス(1)および/または前記ランスの前記出口の端に連結したフード(2)を含み、前記入口は前記イナート寒剤源に接続され、前記フードは前記イナート寒剤成分を前記溶融金属に向けて導く;
前記イナート寒剤の液体成分を、前記液体成分が前記溶融金属に接触し、膨張速度を持った膨張する体積のガスを形成するように前記容器の前記底壁に向けて導くために構成されたフード;
前記膨張する体積のガスの膨張速度を抑制するために、前記蒸気状成分を前記溶融金属に向けて導くようにさらに構成されたフード;
入口と、この出口の下流に位置する出口とを具備した湾曲したハウジングを有するフード、;
出口が前記容器の前記開口と一般的に同一の平面にあるか、または前記容器の前記開口の下にあるように配置されたフード;
前記溶融金属の表面積を基準としておよそ0.002 lb/in
2ないしおよそ0.005 lb/in
2の範囲にあるイナート寒剤の流量を発生させるように操作可能な送給装置;
前記蒸気状流成分から前記液体流成分を分離するように操作可能なディフューザー;および
およそ0°ないしおよそ90°の度合の曲率を有するフード。
【0010】
容器内で処理された材料の上に蒸気ブランケットを提供する方法もここに記載される。前記方法は、以下の特徴のいずれか1つまたは組合せを含むいくつかの異なる特徴を含み得る:
容器内で溶融金属を形成することであって、前記溶融金属は、表面積を規定する露出表面を有する;
2相のイナート寒剤を発生させることであって、前記イナート寒剤は液体流成分と蒸気状流成分とを含む;
前記液体流成分を前記溶融金属と接触させるように導き、膨張速度を持つ膨張するガス体積を発生させること;
前記蒸気状流成分を前記容器中に導き、前記ガス体積の膨張速度を抑制すること;
前記溶融金属の露出表面と実質的に同一の広がりを持つ膨張するガス体積を発生させるために有効な流量で、2相のイナート寒剤の流を導くこと;
前記溶融金属の表面積を基準として流量を決定すること;
前記溶融金属の表面積を基準としておよそ0.002 lb/in
2ないしおよそ0.005 lb/in
2の範囲の流量を提供すること;
盛上がった中央部のメニスカス部分と下部の縁のメニスカス部分とを持つ一般的にメニスカス形状を有する溶融金属を提供し、前記液体流成分を前記下部のメニスカス部分に接触させるように導くこと;
前記液体流成分を前記溶融金属の露出表面の部分内に局在化させるように前記流量を維持すること;
底壁と、側壁と、開口とを含む容器を提供し、前記液体流成分が前記側壁に隣接した地点で前記溶融金属と接触するように、前記液体流成分を前記側壁に隣接して導くこと;
前記蒸気状流成分から前記液体流成分を分離するためにディフューザーを通して源から液体イナート寒剤を導くこと;
液体流が前記溶融金属の露出表面よりも小さな領域内に局在化されるように、前記イナート寒剤の流量を維持すること。
【0011】
ここに記載された装置および方法の上記のおよびさらなる目的、特徴および利点は、特に添付の図面ともに把握される場合は、以下の具体的な態様の詳細な記述を考慮することで明らかになるであろう。図において、同じ参照数字は同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の1つの態様に従う、加熱された金属の仕込みを具備した容器および2相のイナート寒剤のための送給装置の典型的な態様の断面図を描く。
【0013】
好ましい態様の記載
本発明は、溶融炉または移送装置(取鍋、樋など)のような容器中で、金属表面(例えば、溶融金属および/または加熱された金属仕込み)の上に蒸気で補強された膨張する体積のイナートガス (例えば、アルゴン、窒素または二酸化炭素)が展開され、かつ維持される装置および方法を提供する。前記補強された膨張する体積のイナートガスは、前記容器の内側表面の1つ以上の側面に接触して位置付けられた液体寒剤の気化する体積から発生され、かつ維持され得る。前記膨張するガスの体積は、前記炉の頂部のランス装置からの、液体寒剤の気化する体積を補充する液体寒剤の連続流によって維持され得る。
【0014】
図1は、本発明の1つの態様に従う装置10を示す。図示されるように、前記装置10は容器100と、2相の寒剤の送給装置200とを含む。前記容器100は、底壁105と、側壁110と、縁120によって規定される開口115とを含む。前記容器100は、金属300(例えば、溶融金属および/または加熱された仕込み材料)を収容する。一例として、前記容器100は、溶融金属浴、誘導炉または取鍋、樋などの金属収容容器および/または移送装置であり得る。前記溶融金属中に存在する対流運動および/または表面張力は、盛上がった中央部310と、前記容器100の前記側壁110沿いに配置された下部の縁のメニスカス部分320とを有する収束メニスカス(converging meniscus)形成する。
【0015】
前記2相の寒剤の送給装置200は、液体および蒸気状イナート寒剤を前記容器100に送給する。前記装置200は、前記容器100の頂部に配置されたランス210を含み得る。前記ランス210は、イナート液体寒剤源400(例えば、貯蔵容器)と連通し得る。前記イナート液体寒剤は、アルゴン、窒素または二酸化炭素を含み得るが、これに限定されない。
【0016】
先述したように、前記イナート液体寒剤は、前記源400から前記容器100への移動の際に熱を吸収し、蒸気状/ガス状成分を形成する。従って、ディフューザー220は前記液体成分から前記蒸気状成分を(すなわち、前記液体寒剤から前記蒸気状寒剤を)分離するために、前記ランス210と連結され得る。前記ディフューザー220は、例えばランス210の放出端に配置された、焼結された10〜80μレベルのプラグを含み得る。前記ディフューザー220は、前記ディフューザーを出る前記液体およびガス成分を前記容器100に導くように構成されたシュラウドまたはフード230内に収容される。具体的には、前記フード230は、前記2相の流または寒剤(すなわち、液体寒剤流500Aおよび蒸気状寒剤流500B)を前記金属300の表面に向けて導くように成形される。
【0017】
図2は、
図1に示された前記フード230の拡大図を示す。図示された態様において、前記フード230は入口端235と、第1の部分237と、第2の部分239と、出口端240とを含む。前記フード230は、前記フードの長手軸(Xで示される)から離れて下向きに湾曲しており、第1のまたは外側湾曲部245および第2のまたは内側湾曲部250を作る。曲率の程度は、およそ0°(前記出口240が軸Xに対して一般的に垂直となる)ないしおよそ90°(前記出口240が前記軸Xに対して一般的に平行となる)の範囲の下向きの曲率を含み得るが、これに限定されない。前記フードの寸法は、先述した目的に適切な任意のものでよい。一例として、前記フード230は、およそ4〜6インチ(10.6 cm〜15.24 cm)の全長を持ち得る。具体的な例として、前記第1の部分237(前記入口235から前記湾曲部245/250へと延びる)はおよそ3〜5インチ(7.62 cm〜12.7 cm) (例えば、4インチ(10.16 cm))であるが、前記第2の部分(前記湾曲部245/250から前記出口240へと延びる)はおよそ0.5〜3インチ(1.27 cm〜7.62 cm) (例えば、およそ1.5インチ (3.81 cm))であり得る。前記フードのチャネルの径(Dとして表示される)は、およそ0.5インチないし2インチ(1.27 cm〜5.08 cm) (例えば、1インチ(3.54 cm))であり得る。好ましくは、前記チャネルの径Dは、前記入口235から前記出口240へと実質的に連続している。前記フードを形成する材料はステンレス鋼管であるが、これに限定されない。
【0018】
前記フード230は、前記液体寒剤500Aおよび蒸気状寒剤500Bを前記容器に導入するように配向されて配置される。例えば、前記フード230は、前記容器100の前記開口115に隣接した地点に配置され得る。具体的な例として、前記出口240は、前記容器100の前記開口115と一般的に同一平面にあり得るか、または前記容器の内側に突き出るように前記開口115のわずかに下方に配置され得る。前記フード230は、さらに、前記フードの前記内側湾曲部250が前記側壁110に隣接して配置されるように前記容器上で配向され得る。
【0019】
この構成によって、前記液体寒剤500Aは、前記容器100の前記側壁に沿いに、または前記側壁に隣接して導かれ、前記液体寒剤は前記金属300に到達し、前記下部のメニスカス部分320沿いに局在化された液体寒剤の溜
り500Cを作ることができる。これは、金属表面全体の上に液体のブランケットを導く従来の液体寒剤の送給装置とは異なる。
その代わりに、本発明の前記配送装置200は、前記液体寒剤500Aを前記金属300上に局在化させるようにパラメータを制御する。すなわち、前記液体寒剤500Aは、前記金属表面の一部のみを覆い、前記容器100の前記側壁110に一般的に隣接した領域内に前記液体寒剤を局在化させる。
【0020】
先述したように、液体寒剤の前記溜り500Cは、前記容器の前記側壁110に隣接して形成される。前記メニスカス領域に送給される前記寒剤を最大化するために、および、前記金属の環境内(例えば、炉の最も低い部位)で、液体寒剤の溜り500Cを最低の高さで形成するために、前記容器の前記側壁110を下って(前記メニスカスの下部320に向けて)前記液体寒剤500Aを送給することはより有効である。その一方で、前記液体寒剤500Aを前記メニスカスの上部310に送給することは、前記
液体寒剤
の溜り500Cが前記仕込み材料(熱サイクルの間に溶融する固体仕込み)の内部、またはその上で捕捉されるので、前記メニスカスの下部320に(前記側壁110沿いに)実際に送給される寒剤の量を抑制するであろう。また、前記送給装置200を前記容器100の前記側壁110に沿って(例えば、炉の注ぎ口に垂直かつ隣接して)配置することは、移送取鍋、樋、タンディッシュ鋳型などへの前記金属の流し込みのイナート保護を自動的に促進するという更なる利点を提供する。
【0021】
したがって、先述のフードの構成によって、液体寒剤流500Aは、液体寒剤の溜り500Cを前記金属300の表面上かつ前記側壁110に隣接して形成する。前記溶融金属300の表面で発生した熱および炉壁110によって放射された熱に起因し
て前記液体寒剤の溜り500Cは気化し、前記金属300の露出表面全体に渡って拡がる膨張する体積のイナートガス600を発生させる。この膨張は、前記金属300の表面から周囲空気を押しやり、前記溶融表面で溶融している全ての仕込み材料を浸透させる。ついで、これは前記溶融表面で直接、真のイナート雰囲気を提供する。前記ガス600の膨張速度は、イナートブランケットの形成に利用されるイナートガス(例えば、アルゴン、窒素または二酸化炭素)のタイプに一般的に依存する。一例とし
て、前記液体寒剤の溜り500Cは液体から沸騰してガスになるので、それが膨らむに従っておよそ600〜900倍だけ体積膨張し得る。具体的な例として、アルゴンは、-302°F (-185℃)から室温までの加熱の間に液体の体積の840倍まで膨張する。
【0022】
前記膨張するガス600がより速く膨張するほど、より迅速に前記容器100から逃げ、周囲環境へと失われることになる。このような損失は、前記イナートブランケットの効率を減じるだけでなく、周囲雰囲気を変えてしまう(例えば、使用者をイナートガスに暴露する)。前記容器100からの前記膨張する体積のガス600の損失率を最少化する、および/または消去するために、前記送給装置200はさらに蒸気状寒剤500Bのシュラウドを容器に導き
、前記液体寒剤の溜り500Cから発生する前記膨張する体積のイナートガス600を補強し、前記膨張する体積のイナートガス600を、露出された金属表面に隣接して維持する。具体的には、前記フード230は前記蒸気状寒剤500Bを前記膨張するガス600に向けて導き、前記膨張するガスを補強し、かつその膨張速度および前記容器100の上方の雰囲気中への拡散速度を抑制する。これは、イナート寒剤の大きな部分が失われる(例えば、ランスのスパッタリングを避けるために排出されたときに)という従来の液体イナーティングの重大な欠点(先述している)を緩和する。
【0023】
前記源400からの前記2相の寒剤500Aおよび500Bの流量は、膨張するイナートガス600の連続した体積を提供し、局在化された液体寒剤の溜り500Cを前記金属300の表面上に維持し(すなわち、前記液体寒剤500Aが前記金属300表面全体を覆う
液体寒剤の溜り500Cを形成するのを防ぐ)、前記金属表面に向けて蒸気状寒剤500Bを補強する流を維持するために効果的であるべきである。好ましくは、前記流量は前記金属300の表面積の関数として決定される。これは、金属の体積を用いて流量を計算する先行技術の方法とは異なる。好ましくは、前記寒剤の連続する流は、前記容器100中の露出された金属表面積につきおよそ0.002 lb/in
2ないしおよそ0.005 lb/in
2(およそ0.14 g/cm
2ないしおよそ0.35 g/cm
2)の流量に維持される。これは、前記膨張するガス600を補強することができる有効な量の蒸気状寒剤500Bを発生させるために効果的な速度に寒剤の流を維持する。例えば、前記ランス210を出る蒸気状寒剤500Bに対する液体寒剤500Aの比率は、前記寒剤の送給装置の熱特性および前記寒剤供給タンクの作動圧力に依存して、およそ99/1ないしおよそ51/49であり得る。前記好ましい範囲を超えた流量は処理コストを上昇させ、かつ、液体から蒸気への変化による前記
液体寒剤
の溜り500Cの体積膨張および機械的膨張(mechanical expansion)に起因した、前記金属300の、前記容器100の外への「ポッピング」を引き起こす傾向がある。これは、前記容器100の周りの領域において、使用者に危険な状況を作り出す。
【0024】
操作において、前記フード230は前記液体寒剤500Aを前記容器100に導き、前記液体寒剤を前記ランス210から前記側壁110に隣接して降下させ、液体寒剤の溜り500Cを、前記容器100の前記側壁に隣接して前記金属300の表面上に形成する。前記液体寒剤の溜り500Cは気化し、前記金属300の表面全体に渡って拡がる膨張するガス600を形成する。同時に、前記フード230は前記
液体寒剤の溜り500Cを下方に、かつ前記金属表面に向けて導き、前記膨張するガス600の膨張を抑制し、前記金属300の表面近くに前記補強された蒸気を維持する。
【0025】
従来の方法は、前記容器中の前記溶融金属および/または仕込み材料のための保護バリアとして、既に膨張されたイナートガスまたはイナート極低温液体のいずれかを使用する。イナートブランケットに対する前記蒸気補強された膨張するガスというアプローチは、炉の操作者に対してより高いレベルの安全性、前記イナートブランケット増大した堅実性および効果、ならびに高いイナートガスの効率およびより低い適用コストを提供するという点において、このような従来の方法とは区別される。それは、前記イナート生成物全体を前記送給装置200を通じて前記源400から前記容器100の内部雰囲気の前記溶融界面の上方の地点に導く。
【0026】
この先述した装置は、前記蒸気状寒剤500Bを前記容器100に案内するために有効であり、前記膨張するガス600を補強するためにそれを使用することによって前記蒸気状寒剤の完全な利用を提供する。従来の装置においては、フラッシュ損失(flash losses)に起因してランスの先端から3〜15%のイナート寒剤が失われる。本装置は、フラッシュ損失を最小化するためおよび/または回避するために有効な仕方で(速度および量で)蒸気状寒剤を前記容器100に導くので、前記蒸気状寒剤500Bを完全に利用することによってこれらの損失を避ける。
【0027】
本発明をその具体的な態様を参照して詳細に記載しているが、その精神および範囲から離れることなく種々の変形および変更がなされ得ることは、当業者に明らかであろう。例えば、前記フード230は、記載された目的(前記容器に2相の流を導くこと)に適切な任意の寸法および形状を持ち得、かつ、製造コスト、製造方法および適用する領域のパラメータのような要素に基づいて変更され得る。さらに、前記流量は、一次的には前記膨張するガス600による保護を必要とする前記容器100の中の前記金属300の表面積に依存するが、保護される合金または金属の反応性、換気装置の存在および強度ならびに製造される金属に対する最終使用者の要求品質のような二次的な要素が前記液体寒剤の流量を決定するために使用され得る。さらに、単一のイナート寒剤の源400が図示されているが、複数の源400がランス210に接続され、前記容器に混合物を含む複数のタイプのイナート寒剤が提供され得ることが理解される。
【0028】
さらに、記載されている装置および方法は、炉の中の仕込みの加熱の間に種々の操作パラメータのモニターおよび制御を容易にするための任意の1つ以上の適切なコントローラーおよび/またはセンサーを含み得る。1つ以上の適切なセンサーおよび関連する装置は、炉内のガス種の濃度を測定およびモニターするために、好ましくは仕込みの表面の直近の位置に提供されることもあり得る。また、前記容器100が誘導炉である場合は、前記誘導炉は、前記炉内の窒素および/またはその他のガス種の温度、圧力、流量および濃度の1つ以上をモニターするための、任意の適切な数および異なるタイプのセンサーを含み得る。
【0029】
本発明において使用され得る「頂部」、「底部」、「正面」、「背面」、「側面」、「高さ」、「長さ」、「幅」、「上部」、「下部」、「内部」、「外部」などの用語は、単に参照する部分を記述するだけで、本発明をいずれかの特定の位置および構成に限定するものではない。したがって、本発明は、添付された請求項およびその均等物の範囲内にある限りにおいて、この発明の変更および変形をカバーすることを意図している。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
溶融金属の酸化を減らすための方法であって、前記方法は、
(a) 容器内で溶融金属を形成すること(前記溶融金属は表面積を規定する露出表面を有する)、
(b) 液体流成分と蒸気状流成分とを含む2相のイナート寒剤を発生させること、
(c) 前記液体流成分を前記溶融金属に接触させるように導き、膨張速度を有する膨張するガス体積を発生させること、
(d) 前記蒸気状流成分を前記容器中に導き、前記ガス体積の膨張速度を抑制すること
を含む方法。
[請求項2]
(b)が、(b.1) 前記溶融金属の露出表面と実質的に同一の拡がりを持つ前記膨張するガス体積を発生させるのに有効な流量で2相のイナート寒剤を導くことを含む[1]の方法。
[請求項3]
前記流量が、前記溶融金属の表面積に依存する[2]の方法。
[請求項4]
前記流量が、前記溶融金属の表面積に基づいておよそ0.002 lb/in2ないしおよそ0.005 lb/in2の範囲にある[2]の方法。
[請求項5]
前記溶融金属は、盛上がった中央部のメニスカス部分と、下部の縁のメニスカス部分とを具備した一般的にメニスカス形状を持ち、(c)が、(c.1) 前記液体流成分を前記下部のメニスカス部分と接触するように導くことを含む[1]の方法。
[請求項6]
(e) 前記液体流成分を前記溶融金属の露出表面の部分内に局在化させるように前記流量を維持することをさらに含む[1]の方法。
[請求項7]
前記容器が、
底壁と、
側壁と、
開口と
を含み、(c)が、前記液体流成分が前記側壁に隣接した地点で前記溶融金属と接触するように前記液体流成分を前記側壁に隣接して導くことをさらに含む[1]の方法。
[請求項8]
液体流が前記溶融金属の露出表面の総表面積よりも小さな領域内に局在化するように前記イナート寒剤の流量が維持される[7]の方法。
[請求項9]
前記流量が、前記溶融金属の表面積に基づいておよそ0.002 lb/in2ないしおよそ0.005 lb/in2の範囲にある[8]の方法。
[請求項10]
前記容器が側壁を含み、
前記溶融金属が、盛上がった中央部のメニスカス部分と、前記側壁に隣接して位置する下部の縁のメニスカス部分とを有する一般的にメニスカス形状を持ち、
前記2相のイナート寒剤を発生させる(b)が、(b.1) 前記液体流成分を前記蒸気状成分から分離するために、液体イナート寒剤をディフューザーを通して源から導くことを含み、
前記液体流成分を導く(c)が、(c.1) 前記下部のメニスカス部分に接触して前記下部の縁のメニスカス部分内に局在化された一の体積の気化する液体寒剤を形成するように、前記液体流成分を前記側壁沿いに導くことを含む
[1]の方法。
[請求項11]
前記2相のイナート寒剤を発生させる(b)が、(b.1) 前記液体流成分を前記蒸気状流成分から分離するために、液体イナート寒剤をディフューザーを通して源から導くことを含む[1]の方法。
[請求項12]
溶融金属を収容するための開放容器であって、前記容器は底壁と、側壁と、開口とを含むものと、
イナート寒剤の源であって、前記イナート寒剤が液体流成分と蒸気状流成分とを含むものと、
前記開口に隣接して配置された送給装置であって、
入口および出口を含み、前記入口が前記イナート寒剤の源と接続されているランス、および
前記ランスの前記出口に接続されたフードであって、前記フードは前記イナート寒剤の成分を前記溶融金属に向けて導くものとを含む送給装置と
を含み、前記フードは、前記液体成分が前記溶融金属と接触して膨張速度を持つ膨張する体積のガスを形成するように前記容器の前記底壁に向けて前記イナート寒剤の前記液体成分を導く、ように構成され、
前記フードが、さらに、前記膨張する体積のガスの膨張速度を抑制するために前記溶融金属に向けて前記蒸気状成分を導くように構成される加熱装置。
[請求項13]
前記フードが、入口と、前記入口の下流に位置する出口とを含む湾曲したハウジングを含む[12]の加熱装置。
[請求項14]
前記フードが、およそ0°ないしおよそ90°の度合の曲率を有する[13]の加熱装置。
[請求項15]
前記フードが、前記容器の前記開口と一般的に同一平面にあるように配向された出口を含む[12]の加熱装置。
[請求項16]
前記フードが、前記容器の前記開口のわずかに下方の地点で容器内に配向された出口を含む[12]の加熱装置。
[請求項17]
前記送給装置が、前記溶融金属の表面積に基づいておよそ0.002 lb/in2ないしおよそ0.005 lb/in2の範囲にあるイナート寒剤の流量を発生させるように操作可能である[12]の加熱装置。
[請求項18]
前記フードが、前記容器の前記側壁に隣接して配向される[12]の加熱装置。
[請求項19]
前記送給装置がさらに、前記ランスの前記出口に配置され、かつ前記フード内に収容されたディフューザーを含み、前記ディフューザーは前記液体流成分を前記蒸気状流成分から分離するように操作可能である、[12]の加熱装置。
[請求項20]
前記フードは、入口と、前記入口の下流に位置する出口とを含む湾曲したハウジングを含み、
前記フードの前記出口は、前記容器の前記開口と一般的に同一平面にあるか、または前記容器の前記開口の下方に配置されるかのいずれかであり、
前記送給装置は、前記溶融金属の総表面積に基づいておよそ0.002 lb/in2ないしおよそ0.005 lb/in2の範囲にあるイナート寒剤の流量を発生させるように操作可能である
[12]の加熱装置。
[請求項21]
前記フードの前記出口が、前記容器の前記側壁に隣接して配向される、[20]の加熱装置。
[請求項22]
溶融金属を収容するための開放容器であって、前記容器は底壁と、側壁と、開口とを含むものと、
イナート寒剤の源であって、前記イナート寒剤は液体流成分と、蒸気状流成分とを含むものと、
前記開口に隣接して配置された送給装置とを含み、前記送給装置は、
入口および出口を含み、前記入口は前記イナート寒剤の源に接続されるランスと、
前記液体寒剤を前記ランスから受け、かつ前記液体成分が前記溶融金属と接触して、膨張速度を持つ膨張する体積のガスを形成するように前記容器の前記底壁に向けて前記イナート寒剤の前記液体成分を導くための手段とを含み、前記イナート寒剤を受けるための手段は、さらに、前記膨張する体積のガスの膨張速度を抑制するために前記溶融金属に向けて前記蒸気状成分を導くように構成される加熱装置。
[請求項23]
前記送給装置が、前記溶融金属の表面積に基づいておよそ0.002 lb/in2ないしおよそ0.005 lb/in2の範囲にあるイナート寒剤の流量を発生させるように操作可能である、[22]の加熱装置。
[請求項24]
前記イナート寒剤を受けるための手段が、前記容器の前記側壁に隣接して配向される、[22]の加熱装置。