(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のスリットが、前記放射線検出器立てに複数の前記放射線検出器カードが並ぶ間隔に応じた間隔で前記整列部材に設けられる請求項1に記載の放射線検出器モジュール。
前記複数のスリットがそれぞれ、前記突き出し部が挿入される側から離れる方向に向かって徐々に幅が狭くなるテーパー部を有する請求項1に記載の放射線検出器モジュール。
前記整列部材の前記放射線検出器カードの反対側に距離をおいて設けられる金属カバーと、前記金属カバーの前記放射線検出器カードの反対側に、前記放射線が通過する複数の開口を有して設けられるコリメーターとを更に備える請求項1または請求項4に記載の放射線検出器モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に係る2次元マトリックスアレイ放射線検出器においては、単位素子の端子ピンが2次元マトリックス基板に挿入されているだけであり、予め定められた位置に単位素子を保持することが困難な場合がある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、半導体素子の位置を予め定められた位置に保持できる放射線検出器モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、放射線を検出可能な半導体素子と、前記半導体素子を搭載し、前記半導体素子から離れる方向に突き出る突き出し部を端部に含む基板とを有する放射線検出器カードと、
複数の放射線検出器カードが挿入される複数の溝を有し、複数の前記放射線検出器カードの前記突き出し部の反対側を保持する放射線検出器立てと、前記放射線検出器立てに保持されている複数の前記放射線検出器カードが有する前記突き出し部のそれぞれが挿入される複数のスリットを有する整列部材と
を備え、
前記整列部材の複数のスリットのそれぞれに、前記複数の放射線検出器カードの前記突き出し部を挿入して保持する放射線検出器モジュールが提供される。
【0007】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、複数のスリットが、放射線検出器立てに複数の放射線検出器カードが並ぶ間隔に応じた間隔で整列部材に設けられてもよい。
【0008】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、複数のスリットがそれぞれ、突き出し部が挿入される側から離れる方向に向かって徐々に幅が狭くなるテーパー部を有してもよい。
【0009】
また、
本発明の他の放射線検出器モジュールとして、放射線を検出可能な半導体素子と、前記半導体素子を搭載し、前記半導体素子から離れる方向に突き出る突き出し部を端部に含む基板とを有する放射線検出器カードと、複数の前記放射線検出器カードの前記突き出し部の反対側を保持する放射線検出器立てと、前記放射線検出器立てに保持されている複数の前記放射線検出器カードが有する前記突き出し部のそれぞれが挿入される複数のスリットを有する整列部材とを備える放射線検出器モジュールであって、前記複数のスリットがそれぞれ、前記突き出し部が挿入される側から離れる方向に向かって徐々に幅が狭くなるテーパー部を有し、前記突き出し部が、前記テーパー部の最大の幅より厚さが薄く、前記スリットの最小の幅より厚さが厚い部分を有する放射線検出器モジュールが提供される。
【0010】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、整列部材が、中心から縁に向かう方向において、放射線検出器立てから離れる方向の反りを有してもよい。
【0011】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、整列部材が、各縁から放射線検出器立て側に延びる複数の壁部を有してもよい。
【0012】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、整列部材が、絶縁性を有する樹脂材料から主として構成されてもよい。
【0013】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、基板が、突き出し部が設けられている部分を除く端部に整列部材が突き当たるストッパ部を有し、放射線検出器カードが、スリットに突き出し部が挿入され、整列部材がストッパ部において基板に突き当たった状態で放射線検出器立てに固定されてもよい。
【0014】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、整列部材が、整列部材の放射線検出器立ての反対側の表面に描かれた線を有してもよい。
【0015】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、整列部材の放射線検出器カードの反対側に距離をおいて設けられる金属カバーと、金属カバーの放射線検出器カードの反対側に、放射線が通過する複数の開口を有して設けられるコリメーターとを更に備えることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る放射線検出器モジュールによれば、半導体素子の位置を予め定められた位置に保持できる放射線検出器モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施の形態]
(放射線検出器モジュールの構成の概要)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの斜視図の一例を示す。
【0019】
第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール5は、カード型の形状を呈し、γ線、X線等の放射線を検出する放射線検出器カード1と、複数の放射線検出器カード1を保持する放射線検出器立て3と、複数の放射線検出器カード1の放射線検出器立て3の反対側に設置され、複数の放射線検出器カード1のそれぞれを整列させる整列部材としての整列板7と、放射線検出器立て3の周囲を囲む板金部6とを備える。放射線検出器モジュール5は、特定の方向(例えば、放射線検出器カード1に向かう方向)に沿って伝搬してくる放射線が通過する複数の開口を有するコリメーターを介して放射線を検出することができる。
【0020】
(放射線検出器立て3の構成)
図2は、放射線検出器立ての斜視図の概要を示す。なお、
図2においては、放射線検出器立て3に1枚の放射線検出器カード1が挿入された状態を示す。
【0021】
まず、
図2に示すように、放射線検出器立て3は、一対の支持体2と、一対の支持体2を互いに平行になる配置で固定する支持板2eとを有する。一対の支持体2はそれぞれ、複数の放射線検出器カード1が並べられる間隔に対応した予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、複数の放射線検出器カード1が挿入される複数の溝2bを含む。また、一対の支持体2はそれぞれ、放射線検出器カード1の幅に対応する間隔を有して支持板2e上に設けられる。そして、一対の支持体2はそれぞれ複数の壁部2aを有しており、各壁部2aの間に溝2bが形成される。壁部2aには、一方の表面にくぼみ部2cが設けられ、一方の表面に対向する他方の表面に平坦面2dが設けられる。なお、溝2bは、支持体2の長手方向に略垂直な方向に沿って支持体2の内側の表面に形成される。
【0022】
また、支持板2eは、一方の支持体2と他方の支持体2との間に、複数の放射線検出器カード1のそれぞれが挿入され、外部の電気回路と複数の放射線検出器カード1のそれぞれとを電気的に接続する複数のコネクタを有する(なお、コネクタは図示しない。)。更に、放射線検出器立て3は、一対の支持体2の端部同士、及び一対の支持体2の側面に固定される板金部6を有する。一対の支持体2の端部同士を板金部6で連結することにより、一対の支持体2間の間隔が予め定められた間隔に保持される。なお、板金部6は、例えば、SUS等の金属材料を用いて形成される。
【0023】
また、放射線検出器立て3は、各側面にガスケット50を更に備えることもできる。ガスケット50は、外力により圧縮する中心部材と、中心部材の表面を覆う導電性を有する表面層とを有する。複数の放射線検出器モジュール5を並べた時に、一の放射線検出器モジュール5のガスケット50と他の放射線検出器モジュール5のガスケット50とが接触する。これにより、ガスケット50の下側(すなわち、放射線検出器カード1の反対側)からの電磁ノイズの放射線検出器カード1側への伝搬が抑制される。
【0024】
なお、放射線検出器立て3(特に一対の支持体2)は、金属材料、又は伝熱性及び電気伝導性を有する樹脂材料から形成される。例えば、放射線検出器立て3は、アルミニウムを用いて形成することができる。また、放射線検出器立て3は、金属材料の削りだしにより作製できる。
【0025】
(放射線検出器カード1の構成)
図3は、放射線検出器カードの斜視図の一例を示す。
【0026】
図3において放射線100は、紙面の上方から下方に沿って入射してくる。すなわち、放射線100は、放射線検出器カード1の半導体素子10からカードホルダ30及びカードホルダ31に向かう方向に沿って入射して放射線検出器カード1に到達する。そして、放射線検出器カード1は、半導体素子10の側面(つまり、
図3の上方に面している面)に放射線100が入射する。したがって、半導体素子10の側面が放射線100の入射面になっている。このように、半導体素子10の側面を放射線100の入射面とする放射線検出器カード1を、エッジオン型の放射線検出器カード1と称する。
【0027】
具体的に、放射線検出器カード1は、放射線100を検出可能な一対の半導体素子10と、複数の半導体素子10を搭載すると共に、半導体素子10から離れる方向に突き出る突き出し部200を端部に含む薄い基板20と、一対の半導体素子10の端から離れた位置で基板20を支持する支持部材としてのカードホルダ30及びカードホルダ31とを有する。また、放射線検出器カード1は、放射線検出器カード1の長手方向に沿ったカードホルダ30の両端部のそれぞれに板ばね等の弾性部材32を有する。なお、放射線検出器立て3は、複数の放射線検出器カード1の突き出し部200の反対側のそれぞれを保持する。
【0028】
(半導体素子10の詳細)
化合物半導体から主として構成される半導体素子10は、略直方体状に形成される。つまり、半導体素子10は、正面視にて略四角状に形成される。放射線検出器カード1は、例えば、8つの半導体素子10(つまり、4組の一対の半導体素子10)を有する。一例として、一対の半導体素子10が4組、基板20を挟み込む位置において基板20に固定される。すなわち、各組の一対の半導体素子10は、基板20の一方の面と他方の面とのそれぞれに基板20を対称面として対称の位置に固定される。
【0029】
そして、半導体素子10は、基板20側の第1の面と、第1の面の反対側の第2の面とのそれぞれに電極を有する。基板20側の第1の面の電極は、基板20の表面に設けられる素子接続部に電気的に接続される。そして、半導体素子10の第2の面の電極は、基板20が有する複数の基板端子22のそれぞれに電気的に接続する。半導体素子10の第2の面の電極と
図3に示す基板20が有する基板端子22とは、例えば、配線パターンを有するフレキシブル基板40により電気的に接続することができる。
【0030】
例えば、フレキシブル基板40は、一対の半導体素子10の一方の半導体素子10側、及び他方の半導体素子10側の双方に設けられる(例えば、4組の一対の半導体素子10の一方の半導体素子10側のそれぞれと、他方の半導体素子10側のそれぞれとの双方に、フレキシブル基板40がそれぞれ設けられる)。そして、フレキシブル基板40の複数の配線パターンの一方の端のそれぞれが半導体素子10の第2の面の電極に電気的に接続し、他方の端のそれぞれが複数の基板端子22のそれぞれに電気的に接続する。
【0031】
半導体素子10を構成する化合物半導体としては、例えば、CdTeを用いることができる。また、γ線等の放射線を検出できる限り、半導体素子10はCdTe素子に限られない。例えば、半導体素子10として、CdZnTe(CZT)素子、HgI
2素子等の化合物半導体素子を用いることもできる。
【0032】
(基板20の詳細)
基板20は、半導体素子10を搭載する側の端部の一部又は全部に、半導体素子10から離れる方向に向かって突き出る突き出し部200を有する。すなわち、基板20は、正面視にて基板20の長辺の一部又は全部に、半導体素子10の放射線が入射する面から突き出た突き出し部200を有する。突き出し部200は、後述する整列板7のスリット70に挿入される部分である。
図3においては、突き出し部200は、半導体素子10の長さの2倍程度の幅を有して形成される。
【0033】
基板20は、金属導体等の導電性材料からなる導電性薄膜(例えば、銅箔)が表面に形成された薄肉基板(例えば、FR4等のガラスエポキシ基板)を、ソルダーレジスト等の絶縁材料からなる絶縁層で挟んで可撓性を有して形成される。また、基板20は、半導体素子10の電極に電気的に接続する素子接続部を有する。素子接続部の表面の一部の領域には導電性を有する銀ペースト等の導電性接着材が設けられる。半導体素子10の第1の面の電極は、素子接続部の表面に設けられる導電性接着材を介して素子接続部に電気的に接続されると共に、基板20に固定される。なお、基板20は、一例として、0.3mm以下の厚さを有して形成される。
【0034】
(カードホルダ30及びカードホルダ31の詳細)
基板20はカードホルダ30とカードホルダ31とに挟み込まれて支持される。カードホルダ30とカードホルダ31とはそれぞれ同一形状を有して形成され、カードホルダ30が有する溝付穴34にカードホルダ31が有する突起部36が嵌め合うと共に、カードホルダ31が有する溝付穴34(図示しない)にカードホルダ30が有する突起部36(図示しない)が嵌め合うことにより基板20を支持する。カードホルダ30及びカードホルダ31は、例えば、SUS等の金属材料を用いて形成される。
【0035】
(整列板7の詳細)
図4は、整列板の上面図の一例を示す。
【0036】
整列板7は、放射線検出器立て3に保持されている複数の放射線検出器カード1が有する突き出し部200のそれぞれが挿入される複数のスリット70を有する。複数の放射線検出器カード1はそれぞれ、放射線検出器立て3に保持されると共に、整列板7に設けられている複数のスリット70のそれぞれに突き出し部200のそれぞれが挿入される。複数のスリット70は、放射線検出器立て3に複数の放射線検出器カード1が並ぶ間隔に応じた間隔で整列板7に設けられる。すなわち、複数のスリット70は、複数の放射線検出器カード1が並ぶ間隔に応じ、予め定められた間隔で整列板7に設けられる。
【0037】
整列板7は、絶縁性を有する硬質な樹脂材料を用いて形成される。例えば、整列板7は、金型を用いたインジェクションモールドが容易であるエンジニアリングプラスチックを用いて形成される。エンジニアリングプラスチックとしては、一例として、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)を用いることができる。また、整列板7は、例えば、上面視にて40mm角程度の大きさを有すると共に、0.5mm以上1mm以下程度の厚さを有して形成される。整列板7は、一例として、正面視にて40mm×40mmの大きさを有し、0.7mmの厚さを有して形成される。
【0038】
図5の(a)は、第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュールにおいて、突き出し部とスリットとの断面の概要を示し、(b)は、第1の実施の形態の変形例に係る放射線検出器において、突き出し部とスリットとの断面の概要を示す。
【0039】
まず、整列板7の複数のスリット70はそれぞれ、突き出し部200が挿入される側から離れる方向に向かって徐々に断面幅が狭くなるテーパー部70aと、テーパー部70aの端部から突き出し部200が挿入される側から離れる方向に向かって略同一の断面幅の貫通孔70bとを有する。整列板7の貫通孔70bが設けられている側の表面から貫通孔70bとテーパー部70aとの境界までの整列板7の厚さt
1は、一例として0.3mm程度である。また、整列板7のテーパー部70aが設けられている側の表面からテーパー部70aの端部(つまり、テーパー部70aと貫通孔70bとの境界)までの整列板7の厚さt
2は、一例として0.4mm程度である。
【0040】
ここで、基板20の突き出し部200は、断面視において、テーパー部70aの最大の幅より厚さが薄く、スリット70の最小の幅(すなわち、貫通孔70bの断面幅)より厚さが厚い部分を有する。例えば、
図5(a)に示すように、突き出し部200の先端部分に銅パターン等のパターン210を設けることにより、スリット70の最小の幅より厚さが厚い部分が設けられる。また、
図5(b)に示すように、パターン210の表面にめっき215を設けることもできる。
【0041】
整列板7は樹脂材料を用いて形成されていることから、突き出し部200がスリット70に挿入されると、挿入時にはスリット70の幅が拡がる。これにより、突き出し部200のパターン210が貫通孔70bを通り、パターン210の端部は、貫通孔70bが設けられている側の整列板7の表面に対するストッパーとしての機能を有することになる。パターン210により、突き出し部200は整列板7に強固に保持される。これにより、薄い基板20に撓み、反りが生じうるとしても、当該撓み、反りを抑制できる。
【0042】
図6は、基板の端と整列板との位置関係の概要を示す。
【0043】
基板20に搭載されている複数の半導体素子10の端と、整列板7の半導体素子10側の表面との間には間隔が設けられる。具体的には、基板20は、突き出し部200が設けられている部分を除く基板20端部に整列板7の半導体素子10側の表面が突き当たるストッパ部20aを有する。ストッパ部20aは、例えば、基板20の縁である。放射線検出器カード1は、突き出し部200がスリット70に挿入され、整列板7がストッパ部20aにおいて基板20に突き当たった状態で放射線検出器立て3に固定される。ここで、整列板7の半導体素子10側の表面から半導体素子10の端までの正面視における距離l
1は、一例として、0.1mmである。
【0044】
(放射線検出器モジュール5とコリメーター9との詳細)
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュールに金属カバーとコリメーターとを設置した場合における断面の概要を示す。
【0045】
放射線検出器モジュール5は、整列板7の放射線検出器カード1の反対側に距離をおいて設けられる金属カバー8と、金属カバー8の放射線検出器カード1の反対側に、放射線100が通過する複数の開口92を有して設けられるコリメーター9とを更に備えることができる。複数の開口92の間には、基板20の厚さと同程度の幅を有するセプタ90が設けられ、一の開口92に入射した放射線が、他の開口92に侵入することを防止する。
【0046】
ここで、コリメーター9と半導体素子10との間は2mm〜3mm程度に制御される。そして、金属カバー8は、半導体素子10に対する機械的ダメージを防止すること、及び電気的なシールドをすることを目的として、コリメーター9と半導体素子10(すなわち、放射線検出モジュール5)との間に設けられる。金属カバー8は、例えば、アルミニウム等の金属材料を用いて形成することができる。
【0047】
半導体素子10には500V〜1000V程度のバイアス電圧が加えられており、金属カバー8への漏電を防止することが要求される。特に、医療機器では、3000V程度の短時間の耐圧が要求される。本実施の形態においては、絶縁性の整列板7が金属カバー8と半導体素子10と間に設けられているので、半導体素子10と金属カバー8との間の絶縁が保たれている。
【0048】
図8は、整列板の反りの状態を概念的に示す。
【0049】
整列板7は、複数のスリット70を有する。そして、複数のスリット70は、整列板7の一方の面、すなわち、突き出し部200が挿入される側の面に複数のテーパー部70aを含む。したがって、テーパー部70aが設けられている側の整列板7の表面(以下、第1の面という)と、当該表面の反対側の面(以下、第2の面という)とを比べると、第1の面(つまり、テーパー部70aが設けられている部分を除く領域)の面積の方が第2の面(つまり、貫通孔70bが設けられている部分を除く領域)の面積より小さい。これにより、整列板7は、中心から縁に向かう方向において、放射線検出器立て3から離れる方向の反りを有することになる。すなわち、整列板7は、第2の面側が収縮する力が第1の面側より大きくなることから、第2の面側が凹状になるように反ることになる。
【0050】
したがって、本実施の形態では、第1の面側を放射線検出器モジュール5側に向け、整列板7の端部を放射線検出器モジュール5側に引っ張りつつ、整列板7を放射線検出器立て3に固定する。例えば、粘着テープを整列板7の端部と放射線検出器立て3の側面とに接着させることにより、整列板7の反りを矯正しつつ整列板7を放射線検出器立て3へ固定する。すなわち、
図8においては、矢印Aの方向に向けて整列板7の端部を引っ張ることになる。なお、整列板7の第2の面側への反りを更に大きくすることを目的として、複数のテーパー部70aの間に、整列板7の第1の面の表面に溝等の切り欠き部75を形成することもできる。
【0051】
(第1の実施の形態の効果)
本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール5は、複数の放射線検出器カード1の突き出し部200のそれぞれが、整列板7の複数のスリット70のそれぞれに挿入される。そして、整列板7は、例えば、金型を用いたインジェクションモールド等により、複数のスリット70の間隔を高精度に制御して製造されることから、基板20の厚さの薄さに起因する反りが基板20に発生するとしても、整列板7の製造時に制御された精度に応じて基板20の反りを矯正することができる。これにより、放射線検出器カード1の位置精度の向上を図ることができる。また、放射線検出器カード1間の間隔を正確に制御できることから、電極間容量の増大に基づく放射線検出器モジュール5の放射線検出特性の低下を抑制できる。
【0052】
また、本実施の形態に係る放射線検出器モジュール5は、複数の放射線検出器カード1のカードホルダ30及びカードホルダ31側が放射線検出器立て3により支持され、複数の放射線検出器カード1の突き出し部200のそれぞれが整列板7により固定される。これにより、放射線検出器モジュール5に振動、衝撃が加わった場合であっても、複数の放射線検出器カード1同士が互いに衝突することを抑制できる。
【0053】
また、本実施の形態に係る放射線検出器モジュール5は、絶縁性の整列板7が半導体素子10と金属カバー8との間に設けられるので、半導体素子10から金属カバー8への漏電を防止することができる。これにより、放射線検出器モジュール5と金属カバー8との間に、別途、絶縁シートを設けることを要さない。
【0054】
更に、本実施の形態に係る放射線検出器モジュール5は、テーパー部70aの断面幅が徐々に狭まっているので、突き出し部200をスリット70に挿入しやすくすることができる。これにより、放射線検出器モジュール5の組立て性を向上させることができる。
【0055】
[第2の実施の形態]
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る放射線検出器モジュールが備える整列板の上面図の概要を示す。
【0056】
第2の実施の形態に係る放射線検出器モジュールは、整列板7aが第1の実施の形態に係る整列板7とは異なる構成を有することを除き、第1の実施の形態と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0057】
整列板7aは、整列板7aの放射線検出器立て3の反対側の表面に描かれた線77を有する。例えば、整列板7aは、整列板7aの上面視にて、一の辺の中点と当該一の辺の対辺の中点を結ぶ直線と、一の辺に垂直な他の辺の中点と当該他の辺の対辺の中点とを結ぶ直線とを有する。これらの線77により、放射線検出器モジュールに対するコリメーターの位置等の位置決めが容易になる。
【0058】
[第3の実施の形態]
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る放射線検出器モジュールが備える整列板の斜視図の一例を示す。また、
図11は、本発明の第3の実施の形態に係る整列板の角部分を整列板の裏側から見た場合の拡大図の概要を示す。
【0059】
第3の実施の形態に係る放射線検出器モジュールは、整列板7bが第1の実施の形態に係る整列板7とは異なる構成を有することを除き、第1の実施の形態と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0060】
整列板7bは、各縁から放射線検出器立て3側に延びる複数の壁部72を有する。すなわち、整列板7bは、整列板7bの表面に垂直方向に各辺から放射線検出器立て3側に延びる壁部72を有する。ここで、一の壁部72と一の壁部72の隣の壁部72との間には空隙72aが設けられる。
【0061】
整列板7bの各角部の空隙72aは、整列板7bを裏側(すなわち、半導体素子10を覆う側)から見ると、半導体素子10の隅の近傍に設けられる。
図11を参照すると、整列板7bの角から各壁部72までの距離l
2は、例えば、1mm程度である。空隙72aを設けることにより、壁部72が半導体素子10に接触することが確実に防止される。
【0062】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。