【実施例】
【0031】
以下に実施例をもって本願発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
実施例1 グルコース定量における添加回収試験
1.試料の作製
<ブランク試料>
・比較品;生理食塩水(0.9% NaCl)
・本発明品;10U/mL POD水溶液(10,000Uのパーオキシダーゼ(東洋紡社製)を、精製水1Lで溶解した)
<校正用試料>
・グルコース濃度既知ヒト全血(グルコース濃度94mg/dL)
<グルコース添加ヒト全血試料>
0、200、400、600、800、1000mg/dLの濃度のグルコース水溶液100μLとヒト全血(グルコース濃度が94mg/dLである全血)900μLを混合した。
【0033】
2.ブランク試料、校正用試料及びグルコース添加ヒト全血試料の測定
生化学自動分析装置JCA−BM9130(日本電子)を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。
<基質試薬(第一試薬)>
以下の成分を含む100mM MES(2−Morpholinoethanesulfonic acid,monohydrate、同仁化学研究所社製)緩衝液、pH6.0
1mM ESBmT(N−ethyl−N−sulfobutyl−m−toluidine、積水メディカル社製)
1U/mL Mutarotase(天野エンザイム社製)
0.1%プルロニックF88(ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(40)グリコール、ADEKA社製)
<発色試薬(第二試薬)>
以下の成分を含む100mM MES緩衝液pH6.0
2mM 4−アミノアンチピリン(和光純薬工業社製)
2U/mL パーオキシダーゼ(東洋紡社製)
200U/mL グルコースオキシダーゼ(東洋紡社製)
【0034】
各試料5μLを精製水100μLで希釈した希釈試料15μL及び第一試薬60μLをセルに分注し37℃で5分間加温後、主波長598nm、副波長805nmの吸光度を測定した(Abs1)。続いて第二試薬20μLを添加し、37℃で5分間加温後、主波長598nm、副波長805nmの吸光度を測定した(Abs2)。
各試料のAbs1(OD)及びAbs2(OD)から、下記式Aを用いて各試料の吸光度変化量(測定値)を算出した。
式A:吸光度変化量(ΔAbs)=Abs2−Abs1×75÷95
各試料の感度を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1から明らかなように、ブランク試料として生理食塩水を測定したときは過酸化物を測り込むため、過酸化物のシグナルが生じるのに対し、10U/mL POD水溶液を測定したときは試料が含有するパーオキシダーゼ活性により過酸化物は消去されるため、ブランク値が低減されていた。
【0037】
3.検量線の作成
ブランク試料(生理食塩水、10U/mL POD水溶液)と校正用試料の2点より一次検量線を作成した。
図1に示す。
【0038】
4.グルコース添加ヒト全血試料の定量
上記3で作成した検量線を用いて、グルコース添加ヒト全血試料のグルコース濃度を算出した結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
表2から分かるように、10U/mL POD水溶液をブランク試料として使用したときはグルコースの添加回収率は概ね100%の回収率であったのに対して、生理食塩水をブランク試料として使用したときにはグルコースの回収率は大きな誤差が生じた。このように検量線作成において、過酸化物を含む試薬で測定を行うとき、パーオキシダーゼを含有するブランク試料を盲検として測定することにより正確な測定ができることが判明した。
【0041】
実施例2 HbA1cの定量
1.試料の作製
<ブランク試料>
・比較品;生理食塩水(0.9% NaCl)
・本発明品;10U/mL POD水溶液(10,000Uのパーオキシダーゼ(東洋紡社製)を、精製水1Lで溶解した)
<校正用試料>
・ヘモグロビンA1c校正用試料L(HbA1c(%)5.27%、凍結乾燥品)、(積水メディカル製、HbA1cコントロールL)
・ヘモグロビンA1c校正用試料M(HbA1c(%)7.64%、凍結乾燥品)、(積水メディカル製、HbA1cコントロールM)
・ヘモグロビンA1c校正用試料H(HbA1c(%)10.81%、凍結乾燥品)、(積水メディカル製、HbA1cコントロールH)
いずれも下記検体希釈液300μLで溶解して測定に供した。
なお、校正用試料であるHbA1cコントロールのHb濃度(μmol/L)及びHbA1c濃度(μmol/L)は、HbA1cコントロールをノルディアN HbA1c用HbA1c前処理液(積水メディカル製)300μLで溶解したものを、ノルディアN HbA1c試薬(積水メディカル製)で測定して値を付した。
<HbA1c実検体試料>
予め、4℃、2,000rpmで5分間遠心分離した試料(NaF添加血漿8例)の血球層15μLを下記検体希釈液500μLで希釈して、溶血させた溶血試料を測定に供した。
【0042】
2.ブランク試料、A1c検量線作成用試料及びA1c検体試料の測定
日立7170形自動分析装置を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。
<検体希釈液>
10mM 亜硝酸ナトリウム
<プロテアーゼ含有基質試薬(第一試薬)>
以下の成分を含む50mM リン酸ナトリウム緩衝液 pH7.0
1.5% アンヒトール20BS(花王社製)
2.0mg/mL プロチンPC10F(大和化成工業社製)
1mM N−エチルマレイミド(東京化成工業社製)
0.01% アジ化ナトリウム(キシダ化学社製)
50μM DA−67(10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンナトリウム、和光純薬工業社製)
<発色試薬(第二試薬)>
以下の成分を含む50mM リン酸ナトリウム緩衝液 pH7.0
10U/mL フルクトシルペプチドオキシダーゼ(キッコーマン社製)
1U/mL パーオキシダーゼ(東洋紡社製)
【0043】
<測定パラメータ>
分析方式:3ポイントエンド
測定波長(Hb、副/主):800/505
(HbA1c、副/主):800/660
測光ポイント(Hb):0−14
(HbA1c):16−34
反応時間:10分
サンプル量:12μL
第一試薬:180μL(R1) 第3試薬(R2):60μL
【0044】
各試料12μL及び第一試薬180μLをセルに分注し37℃で5分間加温後、主波長660nm、副波長800nmの吸光度の差(Abs1)、及び主波長505nm、副波長800nmの吸光度の差(Abs3)を測定した。続いて第二試薬60μLを添加し、37℃で5分間加温後、主波長660nm、副波長800nmの吸光度の差を測定した(Abs2)。
各試料のAbs1(mOD)及びAbs2(mOD)から下記式Bを用いて各試料の吸光度変化量(測定値)を算出した。
式B:吸光度変化量(ΔAbs)=Abs2−Abs1×192÷252
各試料の感度を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
表3から明らかなように、ブランク試料として生理食塩水を測定したときは過酸化物を測り込むため、過酸化物のシグナルが生じるのに対し、10U/mLPOD水溶液を測定したときはパーオキシダーゼ活性により過酸化物は消去されるため、ブランク値が低減されていた。
【0047】
3.検量線の作成
ブランク試料(生理食塩水、10U/mL POD水溶液)と校正用試料の4点のΔAbsよりHbA1cの検量線を作成した。検量線のグラフを
図2に示す。
図2から明らかなように、生理食塩水をブランク試料として検量線を作成した場合、ブランク試料の感度が校正用試料の感度を上回ることにより、特にHbA1c低濃度域において正確な測定値を算出できないのに対し、10U/mL POD水溶液をブランク試料として検量線を作成した場合、ブランク試料、校正用試料の4点がほぼ直線上に位置し正確な定量が可能となった。
また、ブランク試料(生理食塩水、10U/mL POD水溶液)とブランク試料と校正用試料(HbA1cコントロールL)の2点のAbs3よりHbの検量線を作成した。
【0048】
4.実検体試料のHbA1cの定量
上記3で作成した検量線を用いて、実検体試料のHbA1c濃度(μmol/L)及びHb濃度(μmol/L)を算出し、さらに下記式C(日本糖尿病学会グリコヘモグロビン標準化HbA1c値に換算するために自動分析装置の項目間演算式、日本臨床化学会 糖尿病関連指標専門委員会:ADA、EASD、IFCC、IDFによるヘモグロビンA1c測定の国際標準化に関するコンセンサス・ステートメントに対する糖尿病関連指標専門委員会の見解、臨床化学 36、310(2007))を用いてHbA1c(%)を算出した。
式C HbA1c(%)=HbA1c(μmol/L)÷Hb(μmol/L)×96.3+1.62
結果を表4に示す。なお、対照としてHPLC法でHbA1c(%)の定量を行った。
【0049】
<HPLC法によるHbA1c値の測定>
東ソー自動グリコヘモグロビン分析計HLC−723G8を用い、HbA1c(%)を測定した。
【0050】
【表4】
【0051】
表4から分かるように、10U/mL POD水溶液をブランク試料として使用したときに測定値は対照であるHLC−723 G8に対して、HbA1c(%)で+0.1〜−0.3%の差異であった。それに対して生理食塩水をブランク試料として使用したときに、測定値は特にHbA1c低濃度の試料においてHbA1c(%)で最大2.6%の誤差が生じる結果であった。このように検量線作成において、過酸化物を含む試薬で測定を行うとき、パーオキシダーゼを含有するブランク試料を盲検として測定することにより正確な測定ができることが判明した。
【0052】
実施例3 ブランク試料の測定1.ブランク試料の作製
・比較品;生理食塩水(0.9% NaCl)
・本発明品;50,000U/mL カタラーゼ水溶液(和光純薬工業社製)
・本発明品;10,000U/mL カタラーゼ(和光純薬工業社製)+1,000U/mL PODの混合溶液
【0053】
2.測定
日立7170形自動分析装置を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。
<界面活性剤含有基質試薬(第一試薬)>
以下の成分を含む100mM MES(2−Morpholinoethanesulfonic acid,monohydrate、同仁化学研究所社製)緩衝液、pH6.0
1mM ESBmT(N−ethyl−N−sulfobutyl−m−toluidine、積水メディカル社製)
1U/mL Mutarotase(天野エンザイム社製)
1%プルロニックF88(ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(40)グリコール、ADEKA社製)
<発色試薬(第二試薬)>
以下の成分を含む100mM MES緩衝液pH6.0
2mM 4−アミノアンチピリン(和光純薬工業社製)
2U/mL パーオキシダーゼ(東洋紡社製)
200U/mL グルコースオキシダーゼ(東洋紡社製)
【0054】
各試料3μL及び第一試薬180μLをセルに分注し37℃で5分間インキュベートした後、600nmの吸光度と800nmの吸光度を測定した(Abs1)。続いて第二試薬60μLを添加し、37℃で5分間インキュベートした後、600nmの吸光度と800nmの吸光度を測定した(Abs2)。
各試料のAbs1(OD)及びAbs2(OD)から、下記式Dを用いて各試料の吸光度変化量(測定値)を算出した。
式D:吸光度変化量(ΔAbs)=Abs2−Abs1×183÷243)
各試料の感度を表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
表5から明らかなように、ブランク試料として生理食塩水を測定したときは過酸化物を測り込むため、過酸化物のシグナルが生じるのに対し、本発明品を測定したときは試料が含有するカタラーゼ、POD活性により過酸化物は消去されるため、ブランクが低減されていた。