特許第5718061号(P5718061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイボン プロダクツ インコーポレーテッドの特許一覧

特許5718061超疎水性フィルムを与えるための化粧品組成物
<>
  • 特許5718061-超疎水性フィルムを与えるための化粧品組成物 図000011
  • 特許5718061-超疎水性フィルムを与えるための化粧品組成物 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718061
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】超疎水性フィルムを与えるための化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20150423BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20150423BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20150423BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20150423BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   A61K8/19
   A61K8/89
   A61K8/81
   A61K8/31
   A61Q1/10
【請求項の数】10
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2010-549694(P2010-549694)
(86)(22)【出願日】2009年2月5日
(65)【公表番号】特表2011-513407(P2011-513407A)
(43)【公表日】2011年4月28日
(86)【国際出願番号】US2009033135
(87)【国際公開番号】WO2009111128
(87)【国際公開日】20090911
【審査請求日】2011年11月29日
(31)【優先権主張番号】61/033,536
(32)【優先日】2008年3月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399130393
【氏名又は名称】エイボン プロダクツ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100123618
【弁理士】
【氏名又は名称】雨宮 康仁
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100071755
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 武彦
(72)【発明者】
【氏名】ラーナデー,ラフル エイ
(72)【発明者】
【氏名】ガリソン,マーク エス
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−181136(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/063903(WO,A1)
【文献】 特開2005−225867(JP,A)
【文献】 特開2007−238690(JP,A)
【文献】 特表2003−518024(JP,A)
【文献】 特開平08−269332(JP,A)
【文献】 特開2000−072622(JP,A)
【文献】 特開2000−327528(JP,A)
【文献】 特表2011−507865(JP,A)
【文献】 特開平01−139521(JP,A)
【文献】 特開昭63−072616(JP,A)
【文献】 特開2007−246525(JP,A)
【文献】 特表2001−518929(JP,A)
【文献】 特表2001−503071(JP,A)
【文献】 特開2000−119139(JP,A)
【文献】 特開2006−306860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性無水溶媒、
(アクリレート/ジメチコン)コポリマー、(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、及び(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマーを含む疎水性フィルム形成剤、
カーボンブラック、及び
少なくとも1種のアルキルシラン処理された酸化鉄顔料、少なくとも1種のペルフルオロアルキルシラン処理された酸化鉄顔料、又はそれらの混合物を含み、且つ、0.05μmから20μmの平均粒子を有する疎水性に変性された酸化鉄顔料
を含有する、表面上に超疎水性フィルムを形成するための無水化粧品組成物であって
前記化粧品組成物全体の重量に対する前記化粧品組成物中の不揮発性で水溶性又は水分散性の有機成分の総重量の割合が、15%未満であり、
前記化粧品組成物は、揮発性成分が蒸発した後に、水との接触角が140°よりも大きいフィルムを表面上に付与することが可能である
ことを特徴とする、化粧品組成物。
【請求項2】
前記疎水性に変性された酸化鉄顔料は、トリアルコキシアルキルシラン処理された酸化鉄顔料、ペルフルオロアルキルトリアルコキシシラン処理された酸化鉄顔料、及びそれらの混合物とからなる群から選ばれている、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
前記トリアルコキシアルキルシラン処理された酸化鉄顔料は、トリエトキシカプリリルシラン処理された酸化鉄顔料であり、前記ペルフルオロアルキルトリアルコキシシラン処理された酸化鉄顔料は、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン処理された酸化鉄顔料である、請求項2に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
前記疎水性フィルム形成剤:前記カーボンブラックの重量比が1:10〜10:1である、請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
前記疎水性フィルム形成剤:(前記疎水性に変性された酸化鉄顔料と前記カーボンブラックの重量の合計)の重量比が、1:5〜2:1である、請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記化粧品組成物全体の重量に対する前記化粧品組成物中の前記不揮発性で水溶性又は水分散性の有機成分の総重量の割合は、2%未満である、請求項1からのいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
前記カーボンブラックは、平均粒子サイズが0.1μm〜1μm、表面積が50m/g〜500m/gである、請求項1からのいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
前記疎水性フィルム形成剤:前記カーボンブラックの重量比は、1:10〜2:1である、請求項1からのいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
前記化粧品組成物全体の重量に対する前記化粧品組成物中のポリオールの総重量の割合が1%未満である、請求項1からのいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載の化粧品組成物をまつげに塗布して、共存する揮発性成分を揮発させ、それによって、水との接触角が少なくとも140°となるような疎水性フィルムを形成することを特徴とするまつげに超疎水性フィルムを形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面上に疎水性フィルムを与えるための方法と、そのための組成物に関する。より具体的に言えば、本発明は皮膚或いは毛髪上に超疎水性フィルムを形成するための方法とそのための化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
蓮の葉は、卓越した撥水性と自己清浄性を呈する。蓮は川辺の湿地や沼などに植生するものであるが、花は汚れていない状態にあり、本質的にぬらすことができない。蓮は、極度に疎水性の高い表面を持った葉や花を作ることでこの効果を達成している。葉が水と接触した場合、水滴は実質的に球形のビーズ状に収縮し、表面を転げ落ち、それが出会うすべての汚れの粒子を取り去る。
【0003】
非常に親水性の高い表面においては、水滴は完全に拡がり、有効接触角は基本的に0°となる。これは、表面の水に対する親和性が大きい場合に起こる現象であり、水を吸収する物質から成る場合も含まれる。多くの親水性表面においては、水滴との接触角は約10°〜約30°となる。これとは対照的に、疎水性の表面は水との相性が悪く、接触角の値がより大きくなることが観測され、典型的な場合には約70°〜約90°或いはそれ以上である。高疎水性物質の中には水との接触角が120°〜130°となるものもある。テフロン(商標)はその例であり、疎水表面のベンチマークとして広く認識されている。
【0004】
このような背景に対して、蓮の葉が水との接触角約160°を達成することができ、テフロン(商標)の疎水性をかなり凌いでいる点は特筆すべきである。このように、蓮の葉は「超疎水性」表面の一例である。現在の目的のためには、超疎水性表面とは、水との接触角が約140°より大きいものを指すものとしてよい。この効果は、ワックスの結晶が自己組織化してナノメートル、或いはマイクロメートルのスケールの表面凹凸を形成している、葉の三次元的表面構造のために生じると考えられている。疎水性の表面突起は、水との有効表面接触面積を低減させ、そのため、水の付着や、葉全体への拡散が妨げられる。
【0005】
上記の蓮の葉の性質が発見され、その機構が解明されたため、様々な超疎水性表面が工業的に生産されるに至った。これらの超疎水性表面の水との接触角は、約140°〜約180°の範囲にある。これらの表面をぬらすことは極端に困難である。これらの表面の上で、水滴は表面上にただ留まっているのみであり、実際には有意な程度には少しもぬれていない。これまでに超疎水性表面は様々な方法で得られてきた。それらの疎水性の高い物質のいくつかは、自然界に見いだされる。その他の疎水性物質は合成されたものであり、自然界の物質の模倣である場合もある。
【0006】
特許文献1には、ぬらすことが困難な表面を製造するためのコーティング組成物について記載されている。この組成物は、細かく砕かれた粉末を備え、粉末の粒子は多孔質で疎水性の表面を備え、フィルム形成バインダーと組み合わせて使用され、粉末とバインダーとの比は1:4である。
【0007】
特許文献2には、自己洗浄への応用のための超疎水性物質の製造工程について記述されている。
【0008】
特許文献3には、自己洗浄型表示装置が記載されている。
【0009】
特許文献4には、織物、織地、薄織物の仕上げに使用される、撥水性の最終層の貼り付け方法について記載されている。
【0010】
特許文献5には、ガラス、セラミック、プラスチックのための自己洗浄基質の製造方法について記載されている。
【0011】
特許文献6には、2種類の異なるサイズ分布を持つ疎水性の金属酸化物粗粒子のフィルムを貼り付けることで、水の抗力を低減するための方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許6,683,126号明細書
【特許文献2】米国特許6,852,389号明細書
【特許文献3】米国特許6,946,170号明細書
【特許文献4】米国特許7,056,845号明細書
【特許文献5】米国特許6,800,354号明細書
【特許文献6】米国特許5,500,216号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
疎水性物質、或いは超疎水性物質については上で述べたが、一方、皮膚、毛髪、或いは爪のような表面上に超疎水性フィルムを形成するためには、化粧品組成物中に疎水性、超疎水性物質が存在する必要がある。従来の防水性或いは耐水性の化粧品組成物は、一般的に水中油型エマルション或いは油中水型エマルションから作られる。油中水型エマルションは油っぽい感触を与えるため、用途が限られている。防水性或いは耐水性の化粧品組成物を作るための従来型アプローチは、耐水性障壁を形成する際に疎水性フィルム形成剤(例えばワックス)の使用に依存している。このような従来型の化粧品は、本発明に係る超疎水性フィルムとは対照的に、良くても疎水性である。
【0014】
従来の防水性或いは耐水性外用組成物が超疎水性でない一番の理由は、それらがナノスケール或いはマイクロスケールの表面凹凸を有していないためである。ナノスケール或いはマイクロスケールの表面凹凸がない場合、現在知られている疎水性素材でできた滑らかな表面の接触角は、超疎水性を呈する範囲にはない。つまりそれらは140°より小さい。撥水性、自己洗浄能、時間的耐性を改善するために、超疎水性フィルムを形成する化粧品用フィルムを提供することが望ましい。
【0015】
上記に鑑みて、本発明の目的は、皮膚、毛髪、或いは爪に塗布され、その上に超疎水性フィルムを形成する化粧品組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、耐水性、自己洗浄性、および/或いは時間耐性が獲得されるように、皮膚、毛髪或いは爪に超疎水性フィルムを形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記或いはその他の目的に鑑みて、本発明は、表面上に、望ましくは皮膚、爪、或いは毛髪等の生物の外皮に、超疎水性フィルムを形成するための組成物と、この超疎水性フィルムを形成する方法を提供する。
【0017】
最も大局的な観点からすれば、本発明において、表面に疎水性を持たせるために、次のものを備える組成物が提供される。
(a)1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤、
(b)1種類の或いは複数種類の疎水性に加工された酸化鉄顔料
【0018】
ここにおいて、前記1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤と、前記1種類の或いは複数種類の疎水性に加工された酸化鉄顔料との重量比が約1:10〜約5:1の範囲にある。又、前記組成物中において、不揮発性かつ水溶性有機成分、或いは不揮発性かつ水分散性有機成分の凝集物の総量が、組成物全体の重量を基準にすると重量百分率にして15%より小さい。
【0019】
ここにおいて、組成物は表面上にフィルムを形成することが可能で、このフィルムは、共存する全ての揮発性成分を蒸発させた後であれば、水との接触角が約140°より大きくなるという性質を持つ。
【0020】
疎水性に加工された酸化鉄顔料は、限定するものではないが、アルキル、アリル類、ビニル類、アリール、アルキル−アリール、アリール−アルキル、シラン類、シリコーン類、ジメチコン類、脂肪酸、シランポリマー類、ポリウレタン類、エポキシド類、或いはそれらのフルオロ或いはペルフルオロ誘導体から成る群の中から選ばれた化合物による表面加工を備えてよい。
【0021】
次の素材を備える、外皮に超疎水性フィルムを形成するための化粧品組成物もまた提供される。
(a)1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤、
(b)1種類の或いは複数種類のアルキルシラン加工された酸化鉄顔料であって、(酸化鉄顔料の表面加工率)/(酸化鉄顔料の平均粒子サイズ)の数値が約2.3より大きいもの。
【0022】
ここにおいて、1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤と、1種類の或いは複数種類のアルキルシラン加工された酸化鉄顔料との重量比が、約1:10〜約5:1の範囲であり、典型的な場合であれば約1:5〜約2:1の範囲にあり、より典型的な場合であれば約1:2〜約1:1の範囲にある。又、組成物中において、不揮発性かつ水溶性有機成分、或いは不揮発性かつ水分散性有機成分の、凝集物の総量が、組成物全体の重量を基準にすると重量百分率にして15%より小さく、典型的な場合であれば10%より小さく、好適には5%より小さく、より好適には2%より小さい。凝集物中のポリオールの総量の重量百分率は好適には1%より小さい。
【0023】
またここにおいて、組成物は表面上にフィルムを形成することが可能で、このフィルムは、全ての揮発性成分を蒸発させた後であれば、水との接触角が約140°より大きくなるという性質を持つ。
【0024】
実施形態のうちのいくつかにおいて、1種類の或いは複数種類のアルキルシラン加工された酸化鉄顔料は、トリアルコキシアルキルシラン加工された酸化鉄顔料を備え、特にトリエトキシカプリリルシラン加工された酸化鉄顔料を備える。顔料は好適には、(表面加工率)/(平均粒子サイズ)の数値が約2.5よりも大きいであろう。
【0025】
下記のものを備える外皮に超疎水性フィルムを形成するための化粧品組成物もまた提供される。
(a)1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤と、
(b)1種類の或いは複数種類のフルオロシラン加工された酸化鉄顔料であって、(前記酸化鉄顔料の表面加工率)/(前記酸化鉄顔料の平均粒子サイズ)の数値が約1.2より大きいもの。
【0026】
ここにおいて、1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤と、1種類の或いは複数種類のフルオロシラン加工された酸化鉄顔料との重量比が約1:10〜約5:1の範囲にあり、典型的な場合においては約1:5〜約2:1の範囲に、より典型的な場合には約1:2〜約1:1の範囲にある。又、組成物中において、不揮発性かつ水溶性有機成分、或いは不揮発性かつ水分散性有機成分の、凝集物の総量が、組成物全体の重量を基準にすると重量百分率にして15%より小さく、典型的な場合であれば10%より小さく、好適には5%より小さく、より好適には2%より小さい。また、凝集物中のポリオールの総量の重量百分率は好適には1%より小さい。
【0027】
また、ここにおいて組成物は表面上にフィルムを形成することが可能で、このフィルムは、揮発性成分を蒸発させた後であれば、水との接触角が約140°より大きくなるという性質を持つ。
【0028】
実施形態のうちいくつかにおいて、フルオロシラン加工された顔料には、1種類の或いは複数種類のフルオロアルキルシラン加工された酸化鉄顔料が含まれる。これは例えば、ペルフルオロアルキルトリアルコキシシラン加工された酸化鉄顔料であって、例えばペルフルオロオクチルトリエトキシシラン加工された酸化鉄顔料が好適である。フルオロシラン加工された酸化鉄顔料は、(表面加工率)/(平均粒子サイズ)の数値が約1.5より上であってよい。
【0029】
下記のものを備える、外皮に超疎水性フィルムを形成する化粧品組成物もまた提供される。
(a)1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤と、
(b)カーボンブラック;好適には平均粒子サイズが約0.01μm〜約1μmの範囲にあるカーボンブラック、および/或いは表面積が約200m/g〜約260m/gの範囲にあるカーボンブラック;
【0030】
ここにおいて、1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤と、カーボンブラック粉末との重量比が約1:10〜約5:1の範囲にあり、典型的な場合には約1:5〜約2:1の範囲に、より典型的な場合には約1:2〜約1:1の範囲にある。又、組成物中において、不揮発性かつ水溶性有機成分、或いは不揮発性かつ水分散性有機成分の、凝集物の総量が、組成物全体の重量を基準にすると重量百分率にして15%より小さく、典型的な場合であれば10%より小さく、好適には5%より小さく、より好適には2%より小さい。凝集物中のポリオールの総量の重量百分率は好適には1%より小さい。
【0031】
また、ここにおいて組成物は表面上にフィルムを形成することが可能で、このフィルムの特性として、揮発性成分を蒸発させた後であれば、水との接触角が約140°より大きく、より典型的な場合には約145°より大きく、好適には約148°より大きくなるという性質を持つ。
【0032】
本発明の特段に予期せぬ側面として、疎水性に加工された酸化鉄顔料とカーボンブラック顔料との間に相乗効果が観測された。この側面により、以下のものを備える、外皮に超疎水性フィルムを形成するための化粧品組成物が提供される。
(a)1種類の或いは複数種類のフィルム形成剤;及び、
(b)以下の疎水性顔料を備える組み合わせ:(i)1種類の或いは複数種類の疎水性に加工された酸化鉄顔料;及び(ii)カーボンブラック;前記1種類の或いは複数種類の疎水性に加工された酸化鉄顔料と、前記カーボンブラックとの重量比が約1:10〜約10:1の範囲にある。
【0033】
ここにおいて、前記1種類の或いは複数種類のフィルム形成剤と、前記複合疎水性顔料との重量比は約1:10〜約5:1の範囲にあり、典型的な場合には約1:5〜約2:1の範囲に、より典型的な場合約1:2〜約1:1の範囲にある。又、組成物中において、不揮発性かつ水溶性有機成分、或いは不揮発性かつ水分散性有機成分の、凝集物の総量が、組成物全体の重量を基準にすると重量百分率にして15%より小さく、典型的な場合であれば10%より小さく、好適には5%より小さく、より好適には2%より小さい。凝集物中のポリオールの総量の重量百分率は好適には1%より小さい。
【0034】
ここにおいて、組成物は表面上にフィルムを形成することが可能で、このフィルムは、揮発性成分を蒸発させた後であれば、水との接触角が約140°より大きくなり、より典型的な場合には約145°より大きくなる性質を持つ。また好適には約148°より大きくなり、より好適には約150°より大きくなる。
【0035】
カーボンブラックの粉末は、好適には平均粒子サイズが約0.01μm〜約1μmの範囲にあり、また/或いは表面積が約200m/g〜約260m/gの範囲にある。
【0036】
本実施形態の疎水性に加工された酸化鉄顔料は、任意の酸化鉄顔料であってよく、例えばアルキルシラン加工された酸化鉄顔料や、ペルフルオロアルキルシラン加工された酸化鉄顔料を含む。トリアルコキシアルキルシラン加工された酸化鉄顔料は、限定するものではないがトリエトキシカプリリルシラン加工された酸化鉄顔料を含む。ペルフルオロアルキルトリアルコキシシラン加工された酸化鉄顔料は、限定するものではないがペルフルオロオクチルトリエトキシシラン加工された酸化鉄顔料を含む。しかしながら、疎水性に加工された酸化鉄顔料の選択肢は、カーボンブラックと共に用いられる場合にはさほど限定的ではない。また、他の実施形態において論じられた表面加工率の粒子サイズ対する比は、好適にカーボンブラックとの相乗効果的な組み合わせを持つ実施形態に対しては厳密に当てはまらない。
【0037】
本発明の他の側面において、疎水性フィルム形成剤ポリマーと、アルキルシラン加工された酸化鉄、フルオロシラン加工された酸化鉄、フルオロアルキルシラン加工された酸化鉄、ペルフルオロアルキルシラン加工された酸化鉄、カーボンブラック、及びそれらの組み合わせを備える一群の中から選ばれた顔料とを備える化粧品フィルムが提供される。フィルムの特性として、水との接触角が少なくとも140°である。本発明の化粧品フィルムを施された、ケラチン繊維(例えばまつげ)のような基質もまた提供される。
【0038】
疎水性フィルムをまつげに施す方法が提供され、この方法は本発明の組成物を塗布し、揮発成分を蒸発させ、水滴との接触角が少なくとも140°となる特性を持った超疎水性フィルムを形成することによって達成される。
【0039】
1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤は、本発明の組成物に含める上で特に制約はなく、例えば、アクリル酸アルキル類、ポリウレタン類、フルオロポリマー類、シリコーン類、及びそれらのコポリマーより成る一群の化合物の中から選ばれたフィルム形成剤を備えてよい。好適な疎水性フィルム形成剤はアクリレート/ジメチコンコポリマーである。1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤はまた、スチレン(S)、アルキルスチレン(AS)、エチレン/ブチレン(EB)、エチレン/プロピレン(EP)、ブタジエン(B)、イソプロペン(I)、アクリレート(A)、及びメタクリレート(MA)、の中から選ばれた2つの或いはそれ以上のブロックによるコポリマーを備えてもよい。
【0040】
望ましい超疎水効果を達成するために、組成物中において、不揮発性かつ水溶性有機成分、或いは不揮発性かつ水分散性有機成分の、凝集物の総量が、重量百分率にして15%より小さくなければならず、典型的な場合であれば10%より小さく、好適には5%より小さく、理想的な場合には2%より小さい。また、保湿グリセリンを含むポリオールの総量の重量百分率は、組成物の総量を基準にすると5%より小さくなければならず、好適には2%より小さく、理想的には1%以下である。このような成分は水との親和性が高く、フィルムの表面を被覆して結果的に疎水性が低減するためである。
【0041】
組成物は、数例を挙げれば、化粧製品(マスカラ、ファンデーション、アイシャドウ、リップスティック、マニキュア液等)、スキンケア製品、日焼け止め、ヘアケア製品、ペットケア製品を含む多様な製品に対して効果的であると考えられる。望ましい実施例においては、組成物はマスカラ製品として形成され、まつげに時間耐性、移動耐性(transfer−resistance)、撥水性を与えることが可能である。
【0042】
超疎水性フィルムを、皮膚或いは毛髪に施す方法もまた提案される。この方法は一般的に、本発明の組成物を皮膚或いは毛髪に乗せ、揮発性の成分を蒸発させる過程を備える。そこで、水滴との接触角が少なくとも140°となる特性を持つ疎水性フィルムが形成される。
【0043】
本発明の上記とその他の側面は、下記の発明の詳細な説明、図とそれに続く特許請求の範囲を読めば、当技術分野の当業者にとって明確となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、接触角のプロットであり、横軸はカーボンブラック顔料の、アルキルシラン加工された酸化鉄顔料に対する比である。複合体における測定値は、実線と(□)のマーカーで表示され、超疎水性に対して相乗効果的な改善が見て取れる。比較対象として、カーボンブラックとアルキルシラン加工された酸化鉄顔料の個別の寄与に基づく予測値を、破線と(◇)のマーカーで表示した。
図2図2は、接触角のプロットであり、横軸はカーボンブラック顔料の、ペルフルオロアルキルシラン加工された酸化鉄顔料に対する比である。複合体における測定値は、実線と(□)のマーカーで表示され、超疎水性に対して相乗効果的な改善が見て取れる。比較対象として、カーボンブラックとペルフルオロアルキルシラン加工された酸化鉄顔料の個別の寄与に基づく予測値を、破線と(◇)のマーカーで表示した。
【発明を実施するための形態】
【0045】
ここで使用されている、「超疎水性」という言葉は、一般的には水との接触角が約140°より大きな任意の表面に対して使用される。超疎水性は、接触角ゴニオメーターを用いて水との接触角を計測することによって、或いは他の当業者に知られている類似の手段によって定量的に評価できる。或いは撥水性の目視検査・観察によって、すなわち水滴がキャスト膜の上を転げ落ちるところを観察することによって、定性的に評価してよい。
【0046】
本明細書において言及した粒子サイズ中心値或いは平均粒子サイズは、体積を基準とする。重量百分率で与えられる全ての量は、特に断らない限り、組成物の総量に対する相対値である。断らない限り、「アルキル」という言葉は、直鎖、分岐、或いは環状炭化水素を指し、詳細には炭素原子数が1から20の炭化水素を指し、より詳細にはC1−12の炭化水素を指す。
【0047】
超疎水性は、表面に撥水性を与え、結果的に、皮膚、爪、或いは毛髪に塗布した後の化粧品組成物の時間耐性や自己洗浄性に影響を与える。さらに、組成物は、表面エネルギーの不均衡のために、皮膚、爪、或いは毛髪への汚染物質、汚れ、その類似物等の付着を低減すると考えられる。結果的に、汚染物質、汚れ、その類似物を、水を用いて、或いは用いずに容易に除去することが可能であり、これは自己洗浄性をもたらす。さらに重要な点として、組成物が水に対する障壁となり、皮膚や毛髪が汗や雨等のような水に接触した際にぬれないか、或いはわずかしかぬれない
【0048】
超疎水性フィルムを形成するための化粧品組成物は、好適な場合、マスカラとしての形態を持ち、好適には油中水型エマルションの形態を持ってよいものの、一般的に無水性である。ここで用いられているように、油中水型エマルションにはシリコーン中水型エマルションを含む。
【0049】
組成物は好適には、表面にフィルムを形成することができ、フィルム形成は揮発性溶媒を蒸発させた後に起こり、その特性として、水滴の接触角が約140°より大きく、好適には約145°より大きく、より好適には約150°より大きい。接触角は表面の疎水性の尺度であり、液/気界面が固体表面と接触するときの角度である。接触角は、接触角ゴニオメーターを用いて適切に計測できる。多くの実施形態において、水との接触角は約140°、約141°、約142°、約143°、約144°、約145°、約146°、約147°、約148°、約149°、約150°、であろう。
【0050】
最初に必要となる組成物の成分はフィルム形成剤である。フィルム形成剤は好適には疎水性物質を備える。疎水性フィルム形成剤は、化粧品組成物に使用するのに適した疎水性フィルム形成剤であればどのようなものを用いてもよく、限定するものではないが、疎水性フィルム形成ポリマーを含む。フィルム形成ポリマーという言葉は、それ単体で、或いは1つ以上の補助フィルム形成試薬の存在の元で、表面に粘着し、特定の物質のバインダーとして機能する、連続的なフィルム形成可能なポリマーを指すものと解釈されてよい。「疎水性」フィルム形成ポリマーとは、特に、水への溶解度が25℃において約1%より小さい(重量%)か、或いはモノマー単体において水への溶解度が25℃において約1%より小さい(重量%)ポリマーを指す。一方、「疎水性」フィルム形成ポリマーは、等体積の水とオクタノール混合物と混合させた場合にオクタノール相に主に分配されるものを指すとしてもよい。ここで「主に」とは重量で50%より多いものを指すが、好適には重量で75%より多い、より好適には重量で95%より多い割合でオクタノールに分配される。
【0051】
フィルム形成剤は自然物、合成物のどちらであってもよく、ポリマー、非ポリマーのどちらであってもよく、樹脂、バインダーであってよく、低分子量、高分子量のどちらであってもよい。ポリマーフィルム形成剤は自然物、合成物のどちらであってもよく、付加重合体、縮合重合体、ホモチェーン(homochain)、ヘテロチェーン(heterochain)、単分散或いは多分散、無機或いは有機、ホモポリマー或いはコポリマー、直鎖或いは分岐或いは架橋、荷電或いは非荷電、熱可塑性、熱硬化性、弾性、結晶或いはアモルファス或いはその両方、イソタクチック或いはシンジオタクチック或いはアタクチックのどれであってもよい。
【0052】
ポリマーフィルム形成剤には、ポリオレフィン類、ポリビニル類、ポリアクリル酸類、ポリウレタン類、シリコーン類、ポリアミド類、ポリエステル類、フルオロポリマー類、ポリエーテル類、ポリアセテート類、ポリカーボネート類、ポリイミド類、ゴム類、エポキシド類、ホルムアルデヒド樹脂類、およびそれらのホモポリマー類或いはコポリマー類が含まれる。
【0053】
好適な疎水性(親油性)フィルム形成剤ポリマーは、限定するものではないが、Kalafskyらによる米国特許第7,037,515号、Maらによる米国特許第6,685,952号、De La Poterieらによる米国特許第6,464,969号、Bodelinらによる米国特許第6,264,933号、Kellerらによる米国特許第6,683,126号、Samourらによる米国特許第5,911,980号に記述され、それらの公報は参照として本明細書に含まれる。
【0054】
スチレン(S)、アルキルスチレン(AS)、エチレン/ブチレン(EB)、エチレン/プロピレン(EP)、ブタジエン(B)、イソプレン(I)、アクリル酸(A)、メタクリル酸(MA)或いはそれらの組み合わせの中から選ばれた1種類の或いは複数種類のブロックによるコポリマーが、好適な疎水性フィルム形成剤であると考えられる。Penreco社からイソドデカン中のゲル化剤として(Gellants in IDD)Versagel MD 1600の商標名で市販されている製品を含む、エチレン/プロピレン/スチレン コポリマー、ブチレン/エチレン/スチレン コポリマーについて、特に言及しておく。
【0055】
ポリアルキレン類について特に言及しておく。特にポリブチレンのようなC−C20アルケンコポリマー、エチルセルロースのような直鎖、分岐、飽和或いは不飽和のC−Cのアルキルラジカルを持ったアルキルセルロース、ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、特にビニルピロリドンと、C〜C40のアルケン、より望ましくはC〜C40のアルケンとのコポリマー、ビニルピロリドンとエイコセン或いはドデカンモノマーとのコポリマー、Ganex V 220、Ganex V 216 Polymersの商標名で市販されている(ISP社、ウェーン、ニュージャージー州)シリコーンポリマーとポリ有機シロキサン、限定するものではないがポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンを含み、ポリジメチルシロキサンについては特に言及しておく。Chevron社から市販されている商標名PA−18のようなポリ無水物樹脂、無水マレイン酸とオクダデセン−1のようなC〜C40アルケンから合成されるコポリマー、PerformaV825(New Phase Technologies社)や、Gonzalezらによる米国特許第7,150,878号に公開されているようなポリウレタンポリマー。この文献は参照として本明細書に含まれる。ビニル酸モノマーのエステルから合成されるポリマー及びコポリマーであって、限定するものではないが、アクリル酸エステル(メタクリル酸エステル)(アクリレート、メタクリレートとも記述される)を含む。例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレートであって、アルキル基は直鎖、分岐、環状(C−C30)アルキル、例えば、(C−C20)アルキルアクリレート、(C−C20)アルキルメタクリレート、およびさらに(C−C10)アルキルアクリレート、(C−C10)アルキルメタクリレート。上述のアルキルアクリレート(アルキルメタクリレート)には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、およびその類似物のなかから選ばれた化合物がある。上述のアリールアクリレート(アリールメタクリレート)の中には、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、及びその類似物の中から選ばれた化合物がある。上述のエステルのアルキル基は、例えばフッ化及び全フッ素置換アルキル基のなかから選ばれる。つまりアルキル基のいくつかの或いは全ての水素原子がフッ素原子で置換されている。アクリルアミド(メタクリルアミド)のような酸モノマーのアミドについても言及しておく。例えば(C−C20)アルキルのようなN−アルキルアクリルアミド(N−アルキルメタクリルアミド)であって、限定するものではないがN−エチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、N−ウンデシルアクリルアミドを含む。疎水性フィルム形成剤ポリマーのためのビニルポリマーは、ビニルエステル、オレフィン(フッ化オレフィンを含む)、ビニルエーテル、スチレンモノマーの中から選ばれた少なくとも1種のモノマーの単重合及び共重合によって得られてよい。例えば、それらのモノマーは、上述のような、少なくとも1つの酸モノマー、それらのエステル、それらのアミドと共に共重合されてよい。すでに言及したビニルエステルの限定するものでない例は、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、t−ブチル安息香酸ビニル、の中から選ばれた化合物である。次のオレフィンにも言及しておく。例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、オクテン、オクタデセンの中から選ばれた化合物、及び、例えばテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロペン、及びクロロトリフルオロエチレン、の中から選ばれるポリフッ化オレフィン。また例えば、スチレン、α−メチルスチレン、の中から選ばれるスチレンモノマーにも言及しておく。上述のモノマーのリストは限定するものではなく、アクリルモノマー、ビニルモノマーの分類に属する(シリコーン鎖によって改変されたモノマーを含む)、疎水性フィルムを形成するものであれば、当業者にとって既知のどのようなモノマーであっても用いることが可能である。この点に鑑みて、市販のフィルム形成剤であるシクロペンタシロキサン、(および)アクリレート/ジメチコン コポリマー(KP−545、信越化学工業株式会社)に特に言及しておく。
【0056】
当技術分野において知られている他のフィルム形成剤も組成物中で好適に用いることができる。これらには以下のものが含まれる。アクリル酸コポリマー、アクリル酸/メタクリル酸アルキルC12−22コポリマー、アクリル酸/オクチルアクリルアミドコポリマー、アクリル酸/VAコポリマー、アモジメチコン、AMP/アクリル酸コポリマー、ベヘン酸/イソステアリル、ブチル化PVP,PVM/MAコポリマーのブチルエステル、カルシウム/ナトリウム PVM/MAコポリマー、ジメチコン、ジメチコンコポリマー、ジメチコン/メルカプトプロピルメチコン コポリマー、ジメチコン ベヘン酸プロピルエチレンジアミン、ジメチコルノル エチルセルロース(dimethicolnol ethylcellulose)、エチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/MA コポリマー、エチレン/VAコポリマー、フッ化C2−8アルキルジメチコン、C30−38オレフィン/マレイン酸イソプロピル/MAコポリマー、水素化スチレン/ブタジエンコポリマー、ヒドロキシエチル エチルセルロース、イソブチレン/MAコポリマー、メタクリル酸メチル クロスポリマー、メチルアクリロイル エチル ベタイン/アクリル酸 コポリマー、オクタデセン/MA コポリマー、オクタデセン/無水マレイン酸 コポリマー、オクチルアクリルアミド/アクリル酸/メタクリル酸ブチルアミノエチル コポリマー、酸化ポリエチレン、ペルフルオロポリメチルイソプロピルエーテル、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリプロピレン、PVM/MA デカジエン クロスポリマー、PVM/MA コポリマー、PVP、PVP/デセン コポリマー、PVP/エイコセン コポリマー、PVP/ヘキサデセン コポリマー、PVP/MA コポリマー、PVP/VA コポリマー、アクリル酸ナトリウム/ビニルアルコール コポリマー、ステアロキシジメチコン、ステアロキシトリメチルシラン、ステアリルアルコール、ステアリルビニルエーテル/MA コポリマー、スチレン/DVB コポリマー、スチレン/MA コポリマー、テトラメチル テトラフェニル トリシロキサン、トリアコンタニル(tricontanyl)PVP、トリメチル ペンタフェニル トリシロキサン、トリメチルシロキシシリケート、VA/クロトン酸 コポリマー、VA/クロトン酸/プロピオン酸ビニル コポリマー、VA/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニル コポリマー、ビニル カプロラクタム/PVP/メタクリル酸ジメチルアミノエチル コポリマー、及びビニルジメチコン。
【0057】
疎水性フィルム形成剤ポリマーのさらなる代表例は、限定するものではないが、次の化合物の中から選ばれる少なくとも1つの縮重合体を含む。ポリウレタン、アクリルポリウレタン、ポリウレタン−ポリビニルピロリドン、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素/ポリウレタン。ポリウレタンは例えば、次の中から選ばれた少なくとも1つの化合物であってよい。脂肪族・脂環式・芳香族ポリウレタン、ポリ尿素ウレタン(polyurealurethanes)、次のもののうち少なくとも1つの連続部分を備えたポリ尿素コポリマー。少なくとも1つの脂肪族ポリエステル由来・脂環式ポリエステル由来・芳香族ポリエステル由来の連続部分、少なくとも1つの分岐或いは非分岐シリコーン連続部分、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、少なくとも1つのフルオロ基を備える連続部分。縮重合体のさらなる代表例は、限定するものではないが、次の化合物のなかから選んでよい。ポリエステル、ポリエステルアミド、脂肪族鎖状ポリエステル、ポリアミド樹脂、エポキシエステル樹脂、アリルスルホンアミド−エポキシ樹脂、ホルムアルデヒドとアリルスルホンアミドの縮重合によって得られる樹脂。
【0058】
疎水性フィルムは、皮膚、爪、或いは毛髪に塗布した後に硬化するような樹脂を使用することによって、その場(in situ)で形成されてもよい。それらの樹脂には例えば、ヒドロシランとオレフィン置換シロキサンのその場(in situ)でのヒドロシリル化(hydrosilation)、或いはアルコキシ置換されたシロキサンのその場(in situ)での縮重合、によって形成されるポリジメチルシロキサンフィルムを含む。
【0059】
好適なポリマーフィルム形成剤は、以下の化合物を含む。アクリル酸、アクリル酸アルキル、ポリウレタン、フルオマー(ポリペルフルオロペルヒドロフェナントレン)のようなフルオロポリマー、及びシリコーンポリマー。とくに好適であるものは、KP−545或いはKP550(信越化学工業株式会社)の商標名で市販されているアクリル酸/ジメチコンコポリマーのようなアクリル酸シリコーンである。
【0060】
その他のフィルム形成剤は、限定するものではないが、天然ワックス、ミネラルワックス、および/或いは合成ワックスを使用してよい。天然ワックスには、動物由来のものでは、限定するものではないが蜜ろう、鯨ろう、羊毛脂、セラックワックスを含み、植物由来のものでは、限定するものではないがカルナバワックス、カンデリラワックス、ベイベリーワックス、サトウキビワックス、及びそれらの類似物を含む。有用であると考えられるミネラルワックスには、限定するものではないが、オゾケライト、セレシン、モンタンワックス、パラフィン、微結晶ワックス、石油、ワセリンを含む。合成ワックスには、例えば、フィッシャー・トロプシュ(Fischer Tropsch、FT)ワックス、および、エチレンホモポリマー、エチレン−プロピレン コポリマー、エチレン−ヘキセン コポリマーのようなポリオレフィンワックスを含む。エチレンホモポリマーワックスの代表例は、POLYWAX(商標)Polyethylene(ベーカー・ヒューズ社、Baker Hughes Incorporated)の商標名で市販されている製品である。市販のエチレン−α−オレフィンコポリマーワックスには、PETROLITE(商標)Copolymers(ベーカー・ヒューズ社、Baker Hughes Incorporated)の商標名で市販されている製品を含む。その他の好適なワックスは、Noveon社のULTRABEE(商標)ジメチコンエステルの商標名のジメチコノール蜜ろうである。
【0061】
実施形態のうちいくつかにおいて、拡散性、エマルション安定性などを改善する目的で、親水性、或いは水溶性フィルム形成剤(例えば、セルロース誘導体、ポリクオタニウム等)を組成物に加えることが望ましいであろう。好適さにはより劣るものの、このような親水性或いは水溶性フィルム形成剤を含めることは本発明の範囲内である。親水性、或いは水溶性フィルム形成剤の量についての制限は無い。ただし、高レベルにおいては(例えば、フィルム形成剤の総量に対する重量比が20%以上)、表面の疎水性の低減に対抗するために、フィルム形成剤中の疎水性粒子の割合を増加させる必要があるであろう。実施形態のうちいくつかにおいて、親水性或いは水溶性フィルム形成剤の総量の重量百分率は、フィルム形成剤の総量を基準として、約20%より低く、好適には約15%より低く、より好適には約10%より低く、さらにより好適には約5%より低い。好適な実施形態において、親水性フィルム形成剤の重量比は、エマルション中でのフィルム形成剤の総量を基準にして、約2%より低い。一つの実施形態において、実質上、エマルションには水溶性フィルム形成剤が含まれない。このことは、他の条件を同一として水溶性フィルム形成剤のみを取り除いた組成物を比較対象とした場合、組成物中に存在する水溶性フィルム形成剤の存在に起因する水との接触角の差が、観測可能な程度は生じないことを意味する。
【0062】
ポリマー性と非ポリマー性のフィルム形成剤との組み合わせも含め、前述のフィルム形成剤同士のあらゆる組み合わせもまた、好適であると考えられる。
【0063】
2番目の不可欠な成分は、粒子状物質であり、これは生来疎水性であるものか、表面加工やそれに類似した加工によって疎水性に加工されたものである。ここでも用いられているが、生来疎水性を呈する粒子状物質には、疎水性有機ポリマーを備えるポリマー粒子(上記で定義される)が含まれる。また、表面が疎水性を呈する無機粒子もまた含まれ、例えば元素状炭素系の粒子状物質が含まれる。ここで用いられているように、疎水性に加工された粒子とは表面修飾が施されたものであり、表面修飾が施されていない顔料と比較して親水性が低減或いは疎水性が増加している。
【0064】
特定の理論に拘束されるものではないが、粒子状物質は、フィルムの表面にナノスケール(1nm〜1,000nm)或いはマイクロスケール(1μm〜200μm)の表面凹凸、或いは表面構造を与えると考えられる。これは、表面に水滴が載ることのできる突起を与え、これによって疎水性を与え、それによって水と表面全体との接触を最小化する。つまり、水の表面への吸着を低減する。表面凹凸はAFMやSEM、或いは類似の測定方法によって観測或いは測定をすることができる。実施形態のうち、全てではないがいくつかにおいて、粒子状物質は多孔質ではない。
【0065】
好適な粒子状物質は、疎水性に加工された酸化鉄である。ここで用いられている「酸化鉄」という言葉は、限定するものではないが、次のものを含むことを意図している。化学種FeO、Fe、Fe、それらの組み合わせ、それらの水和物、INCI名が酸化鉄(Iron Oxides)であるすべての顔料、すなわち、黒色酸化鉄(Black Iron Oxide)、ベンガラ(Red Iron Oxide)、鉄黄(Yellow Iron Oxide)、褐色酸化鉄(Brown Iron Oxide)、オレンジ酸化鉄(Orange Iron Oxide)、青色酸化鉄(Blue Iron Oxide)、及びそれらの類似化学種。これらの顔料は、当該技術分野において、酸化鉄(Iron Oxides)(CI77489、CI77491、CI77492、CI77499、等)として指定される。黒色酸化鉄(Black Iron Oxide)(CI77499)が好適である。
【0066】
酸化鉄顔料は、特に疎水性コーティングを形成するために表面加工される。表面加工には、粒子の疎水性をより高めるものであればどのような加工を用いてもよい。粒子の表面は、例えば共有結合的に或いはイオン結合的に、有機分子やシリコーンベースの分子と結合し、或いはそれらに吸収されてよい。或いは粒子は疎水性物質の層で物理的にコーティングされてよい。疎水性を施す際の加工の性質については、基本的に何の制限も無い。アルキル、アリール、アリルシラン、シリコーン、ジメチコン、脂肪酸(例えばステアリン酸塩類)、およびシランポリマーについて言及しておく。それらのフルオロ、ペルフルオロ誘導体も同様である。疎水性化合物の酸化鉄粒子への結合は、任意の好適なカップリング剤、リンカ基、官能基(例えばシラン、エステル、エーテル等)によって達成されてよい。疎水性化合物は、たとえばアルキル、アリール、アリル、ビニル、アルキル−アリール、アリール−アルキル、有機シリコーン、及びそれらのフルオロ及びペルフルオロ誘導体の中から選ぶことができる疎水部分を備える。ポリウレタン、エポキシ及び類似したものを含む疎水性ポリマーコーティングもまた、有用であると考えられる。
【0067】
疎水的に加工された粒子状物質と、疎水的に加工された粒子状物質の製造方法についっては当該技術分野においてよく知られている。例えば、Schutteらによる米国特許第3,393,155号、Wagnerらによる米国特許第2,705,206号、Wagnerらによる米国特許第5,500,216号、Kellerらによる米国特許第6,683,126号、Muellerらによる米国特許第7,083,828号、Russellらによる米国特開第2006/0110541号、及びDietzらによる米国特開第2006/0110542号に記載され、これらの公開公報は参照として本明細書に含まれる。実施形態の一つにおいて、疎水性粒子は、例えば、アルキル基、シリコーン、シロキサン、アルキルシロキサン、有機シロキサン、フッ化シロキサン、ペルフルオロシロキサン、有機シラン、アルキルシラン、フッ化シラン、ペルフルオロシラン、及び/或いはジシラザンとその類似物、のような非極性ラジカルによって表面が被覆された(例えば共有結合的に結合した)酸化鉄粒子によって形成されてよい。Farerらによる米国特許第6,315,990号に、フルオロシランでコーティングされた粒子状物質についての記載がある。この公開公報は参照として本明細書に含まれる。この粒子状物質は、酸素やヒドロキシル基のような求核基を持った粒子状物質を、含ケイ素化合物と反応させることによって形成される。ここで含ケイ素化合物は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたヒドロカルビル基と、求核基によって置き換わることができる反応性の高いヒドロカルビロキシ基を有する。このような化合物の一例は、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランであり、DYNASILANE(商標)F8261の商標名でシベント社(ニュージャージー州、ピスカタウェイ)から市販されている。
【0068】
実施形態の一つにおいて、酸化鉄顔料はアルキルシランによって表面加工されてきており、その例はC1−20アルキルシラン、或いはより典型的にはC1−12アルキルシランであり、酸化鉄がC8アルキルシラン(例えば、カプリリルシラン)によって表面加工されている実施例を含む。顔料は、酸化鉄をトリエトキシカプリリルシラン(INCI)のようなトリアルコキシアルキルシランによって処理することで調製してよい。カプリリルシランによって表面修飾された酸化鉄顔料は、数例を挙げると、以下の商標名のものが利用可能である。AS−5146アルキルシラン加工黒色酸化物(Alkyl Silane Treated Black Oxide)、カラーテクニクス社(Color Techniques)、AS−5123アルキルシラン加工赤色酸化物(Alkyl Silane Treated Rec Oxide)、カラーテクニクス社(Color Techniques)、AS−5126アルキルシラン加工赤色酸化物(Alkyl Silane Treated Rec Oxide)、カラーテクニクス社(Color Techniques)、AS−5131アルキルシラン加工黄色酸化物(Alkyl Silane Treated Yellow Oxide)、カラーテクニクス社(Color Techniques)、AS−5137アルキルシラン加工黄色酸化物(Alkyl Silane Treated Yellow Oxide)、カラーテクニクス社(Color Techniques)、黒色酸化鉄AS(Black Iron Oxide AS)、カードレ社(Cardre)、赤色酸化鉄AS(Red Iron Oxide AS)、カードレ社(Cardre)、黄色酸化鉄AS(Yellow Iron Oxide AS)、カードレ社(Cardre)、Black NF−11S2、コーボー社(Kobo)。
【0069】
他の実施形態において、酸化鉄顔料はフルオロアルキルシランによって表面加工され、また特にペルフルオロシランによって表面加工され、酸化鉄がCペルフルオロアルキルシランで表面加工される実施例も含め、その例はC1−20ペルフルオロアルキルシラン、特に典型的にはC1−12ペルフルオロアルキルシランである。顔料は酸化鉄をトリアルコキシフルオロアルキルシランで加工することによって調製してよく、一例は、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン(INCI)である。ペルフルオロオクチルシラン基で表面修飾された好適な酸化鉄顔料は、数例を挙げると次の商標名のものが利用可能である。Cardre Black Iron Oxide FS、カードレ社(Cardre)、Cardre Red Iron Oxide FS、カードレ社(Cardre)、Cardre Yellow Iron Oxide FS、カードレ社(Cardre)、Unipure Black LC 989を含むセンシエント社のUnipure系列。
【0070】
酸化鉄顔料の平均粒子サイズは、必ずしも、という訳ではないが、典型的には約0.05μm〜約20μmであり、より典型的には約0.1μm〜約15μmである。多くの実施形態において、酸化鉄顔料の平均粒子サイズは、約0.1μm〜約5μm、約0.2μm〜約2.5μm、或いは約0.25μm〜約2.5μmである。ある限定しない実施形態において、酸化鉄顔料は約0.4μm〜約0.75μm、約0.75μm〜約1.75μmである。
【0071】
商業的に利用可能な酸化鉄顔料の表面加工の程度には、大きなばらつきがある。ここで用いられているように、表面加工の程度は表面加工率(ST)で表され、表面加工試薬(例えば、トリエトキシアルキルシラン、ペルフルオロアルキルトリエトキシシラン等)の重量の、金属酸化物構成成分(例えば、酸化鉄)の重量に占める割合を百分率で表すものとして計算される。このようにして、Black NF−11S2(Kobo)或いはBlack Iron Oxide AS(Cadre)のような、トリエトキシカプリリルシラン(INCI)で加工された黒色酸化鉄(Black Iron Oxide)の実施例においては、表面加工率(ST)は次の通りに与えられる。
【数1】
【0072】
ここでWはトリエトキシカプリリルシランの重量、Wは金属酸化物の重量で、この場合は酸化鉄である。市販の酸化鉄のST値は約0.8%〜約3%の範囲にある場合がより一般的であるが、ここでの表面加工率STは典型的には約0.5%〜約5%の範囲にある。
【0073】
多くの酸化鉄顔料からは超疎水性フィルムを生産できないことが分かっており、その理由の一つは表面加工率が低いことである。しかしながら、顔料の平均粒子サイズもまた非常に小さく、アルキル鎖が相互作用する粒子の表面積が大きいという条件の下では、STが低いということは、それ単独では上記の効果に対する弊害が大きいとは必ずしもいえない。顔料の平均粒子サイズが増加すると、理論上、超疎水性フィルムを達成するためには、表面加工率(ST)もまた増加する必要がある(アルキル基或いはペルフルオロアルキル基の鎖長が一定である場合)。粒子の疎水性を保つためにはSTが増加する必要があるからである。このように、STの、ミクロン単位の平均粒子サイズ(「mean」)に対する比によって定義される変数((ST)/(ミクロン単位の平均粒子サイズ))が、フィルムの疎水性と相関が高いことが分かっている。この変数はここにおいては「ST:mean」と呼ばれる。
【0074】
超疎水性を達成するために必要なST:mean値の的確な値は、表面加工の性質に依存する。(ペルフルオロアルキル鎖は、対応するアルキル鎖よりも高い疎水性を与える。)一般的に、ST:meanの比の値、0.5、0.75、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.25、3.5、3.75、4、4.25、4.5、5.75、6、7、8、9及び10は、それぞれ独立の実施形態であるといってよい。
【0075】
一つの或いは複数のフッ素原子を備える表面加工の場合、ST:mean値が1.1より大きいことが望ましく、その例は、フルオロアルキルシラン及びペルフルオロアルキルシラン表面加工である。より典型的には、ST:mean値は1.2より大きい、1.3より大きい、1.4より大きい、1.5より大きい、1.6より大きい、1.7より大きい、1.8より大きい、1.9より大きい、或いは2.0より大きい。
【0076】
同様に、フッ素原子を含まない、アルキル、アリール、或いはシリコーンベースの表面加工の場合、ST:mean値は約2.3より大きいことが望ましく、これには、アルキルシラン、シリコーン、ジメチコン、ステアリン酸塩類、シランポリマー類による表面加工或いは類似の表面加工を含む。より典型的には、ST:mean値は2.4より大きい、2.5より大きい、2.6より大きい、2.7より大きい、2.8より大きい、2.9より大きい、或いは3.0より大きいであろう。
【0077】
酸化鉄をアルキル基で表面修飾した場合の、超疎水性を達成するために必要なST:mean値は、酸化鉄を対応するペルフルオロアルキル基で表面修飾した場合のそれに比べて、粗く見積もって二倍であることが観察されるであろう。
【0078】
他の実施形態において、粒子状物質は炭素であり、その例はカーボンブラックである。好適なカーボンブラック粉末は、典型的には平均粒子サイズが約0.01μm〜約5μmであり、より典型的には約0.01μm〜約1μm、好適には約0.01μm〜約0.1μm(つまり、約10〜約100ナノメートル)であろう。カーボンブラック粉末の表面積は、窒素BET測定によると、約50〜約500メートル(m)/グラム、より典型的には約100〜約350メートル/グラム、より典型的には約150〜約300メートル/グラムであってよい。好適なカーボンブラックはD&C Black No.2であり、芳香族系石油原料の燃焼によって形成され、基本的には凝集した微細粒子として形成される純炭素から成り、窒素BETによると表面積が200〜260メートル/グラムの範囲にある。D&C Black No.2はセンシエント社からUnipure black LC 902の商標名で市販されている。この物質の平均粒子サイズは約0.04μmである。
【0079】
疎水性の改善への相乗的効果は、疎水性に加工された酸化鉄顔料とカーボンブラック顔料とを組み合わせて用いた場合に得られると考えられる。組み合わせの相乗効果は酸化鉄顔料とカーボンブラックの比の全ての範囲にわたって見られると期待される。ただし、ある実施形態においては酸化鉄顔料のカーボンブラックに対する比の範囲は約1:10〜約10:1、より典型的には約1:5〜約5:1であり、約1:4〜約4:1、約1:3〜約3:1、約1:2〜約2:1の範囲、及び約1:1の混合比を持つ等重量混合物を含む。相乗効果的組み合わせによって、フィルムの持つ水との接触角は、それぞれの効果が単に加算的であったと仮定した場合に期待される値と比較して大きくなる。
【0080】
組成物中における、粒子状物質のフィルム形成剤に対する比は、望みの超疎水性効果を持つ組成物を製造するために調節される。酸化鉄および/或いはカーボンブラック顔料は、典型的には組成物とフィルムの両方の中に全体的に存在し、その重量比は疎水性フィルム形成剤を基準にすると約1:10〜約10:1、或いは約1:5〜5:1である。例えば、疎水性フィルム形成剤と粒子状物質との重量比の範囲は、約1:2〜約2:1であり、約1:2、約1:1.75、約1:1.5、約1:1.25、約1:1、約1.25:1、約1.5:1、約1.75:1及び約2:1を含む。疎水性フィルム形成剤と粒子状物質との重量比が約1:1である時に特によい結果が得られている。
【0081】
疎水的に加工された酸化鉄および/或いはカーボンブラック顔料に加えて、組成物はさらに、1種類の或いは複数種類の疎水性粒子状物質を付加的に備えてよい。好適な粒子状物質は、疎水的に加工されたシリカ(SiO)粉末であり、ヒュームドシリカ或いは焼成シリカ(例えば、粒子サイズの範囲が約7nm〜約40nmのもの)を含む。その他の特筆すべき粒子状物質は、疎水的に加工された金属酸化物及び半金属酸化物であり、限定するものではないが、二酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、およびそれらの組み合わせを含む。
【0082】
粒子状物質は、組成物に付加的機能を与えるものであってよく、付加的機能には例えば、二酸化チタンや酸化亜鉛粒子状物質の場合に見られる紫外線(UV)吸収・散乱特性、或いは、色(例えば顔料)、光沢(例えば雲母)のような美容的特性を含み、これらは有益である。粒子状物質は、例えば、有機系或いは無機系粒子状顔料を基にしてよい。有機系粒子状顔料の例はレーキ類を含み、特にアルミニウムレーキ、ストロンチウムレーキ、バリウムレーキ、および類似物である。無機系粒子状物質の例は、酸化鉄、特にベンガラ(Red Iron Oxide)、鉄黄(Yellow Iron Oxide)、黒色酸化鉄(Black Iron Oxide)、二酸化チタン、酸化亜鉛、フェリシアン化カリウム(KFe(CN))、フェロシアン化カリウム(KFe(CN))、フェロシアン化カリウム三水和物(KFe(CN)・3HO)、及びそれらの混合物である。粒子状物質は無機充填剤に基づくものであってもよく、その例はタルク、雲母、シリカ及びそれらの混合物、或いは欧州特許第160419号において公開されている全ての粘土類であり、この公開公報は参照として本明細書に含まれる。
【0083】
Kellerらによる米国特許第6,683,126号に記載の疎水性に加工された粒子状物質は全て有用であると考えられ、これらには、限定するものではないが、酸化物(例えば、SiO、TiO等)を(ペルフルオロ)アルキル基を含む化合物で加工することによって得られるものを含む。ただしここでアルキル基を含む化合物は少なくとも一つの反応性の高い官能基を含み、この官能基が酸化物を保持する粒子の表面近傍のOH基と化学反応を起こす。酸化物を保持する粒子は、例えばヘキサメチルジシラザン、オクチルトリメトキシシラン、シリコーン油、クロロトリメチルシラン、及びジクロロジメチルシランを含む。上記公報は本明細書に参照として含まれる。
【0084】
疎水性に加工されたヒュームドシリカ粒子は好適には、限定するものではないが、デグッサ社(Degussa Corporation of Parsippany、ニュージャージー州)から提供されているAEROSIL(商標)R 202、AEROSIL(商標)R 805、AEROSIL(商標)R 812、AEROSIL(商標)R 812S、AEROSIL(商標)R 972、AEROSIL(商標)R 974、AEROSIL(商標)R 8200、AEROXIDE(商標)LE−1、AEROXIDE(商標)LE−2、AEROXIDE(商標)LE−3を含む。その他の好適な粒子状物質は、Tegotop(商標)105(デグッサ・ゴールドシュミット・ケミカルズ社、Degussa/Goldschmidt Chemical Corporation)の名で市販されている粒子状シリコンワックス、およびMincor(商標)300(BASF社)の名で市販されている粒子状ビニルポリマーを含む。シリカ(SiO)及び疎水的に加工されたシリカは、いくつかの実施形態においては特段有用性が高いと考えられるが、他の実施形態においては、組成物はシリカ或いは疎水的に加工されたシリカを実質的に含まない。ここで、シリカ或いは疎水的に加工されたシリカを実質的に含まないとは、1種類の或いは複数種類の粒子状物質に対して、これらの成分が重量にして約2%より少ないか、好適には約1%より少ないか、さらに好適には約0.5%より少ないことを意味する。疎水的に加工されたアルミナ粒子は好適には、デグッサ社のALU C 805である。Dietzらによる米国特開2006/0110542に記載の、疎水的に加工されたシリカ素材は、特に好適であると考えられる。この公報は参照として本明細書に含まれる。いくつかの実施形態において、組成物はアルミナ或いは疎水的に加工されたアルミナを実質的に含まない。
【0085】
1種類の或いは複数種類の粒子状物質は、粒子状有機ポリマーを備えてもよく、その例はポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、セルロース誘導体類及びそれらの類似物で、それらは微細な粉末状である。その他に、粒子状物質は米国特開2005/0000531に記載されている任意の殻物質を備えるマイクロカプセルであってよい。この公報は参照として本明細書に含まれる。
【0086】
1つ又は複数の付加的粒子状物質は、典型的には形状が粉末状で、粒子サイズの中央値が約1nm(ナノメートル)〜約1mm(ミリメートル)であり、より典型的には約5nm〜500μm(マイクロメートル)、好適には約7nm〜約1μm、約5μm、約20μm、約50μm、或いは約100μmである。複数の粒子状物質が用いられている場合(例えば、加工されたTiO及び加工されたSiO)、それぞれの粒子サイズの中央値は好適には上述の範囲内にある。
【0087】
粒子サイズの中央値が約1mmより大きい粒子状物質は、その粒子自体が適切なサイズ範囲の表面凹凸を持っていない限り、大きすぎるであろう。例えば、大きな粒子を20nmの範囲のポリマー鎖によって表面加工すれば、許容範囲内の表面凹凸を与えるであろう。できあがったフィルムの表面凹凸は、加工前の粒子のサイズ、凝集物中の塊状粒子のサイズ、或いは粒子サイズの分布によって特徴づけられるであろう。
【0088】
一般的に、1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤と、疎水性粒子状物質との重量比は、約1:10〜約10:1、約1:10〜約5:1、約1:5〜約5:1、約1:5〜約2:1、或いは約1:2〜約1:1であり、粒子状物質の割合の高い方が望ましい。1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤の疎水性粒子状物質に対する比については、次の値について言及しておく:約1:15、約1:10、約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1.5、約1:1、約1.5:1、約2:1、約3:1、約4:1、及び約5:1。
【0089】
1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤及び疎水性粒子状物質が化粧品組成物全体の中で集合的に占める割合は、組成物全体の重量に対して、最小で例えば約0.1%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、或いは25%、最大で約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%であろう。多くの実施形態の中で、1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤及び疎水性粒子状物質が化粧品組成物全体の中で集合的に占める割合は、組成物全体の重量に対して、約0.1%〜約90%、又は約10%〜約75%、又は約25%〜約60%であろう。多くの実施形態の中で、1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤及び疎水性粒子状物質が化粧品組成物全体の中で集合的に占める割合は、組成物全体の重量に対して、約1−5%、約5−10%、約10−15%、約15−20%、約20−25%、約25−30%、約30−35%、約35−40%、約40−45%、約45−50%、約50−55%、約55−60%、約60−65%、約65−70%、約70−75%、約75−80%、約80−85%、約85−90%、約90−95%、約95−100%であろう。
【0090】
組成物がマスカラとして形成される場合、1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤及び疎水性粒子状物質の集合的な重量は、典型的には約30%〜約70%であろう。毛髪用製品では、一般に他の化粧品製品に比べて揮発性成分の含有量が多く、1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤及び疎水性粒子状物質の集合的な重量は、典型的には約1%〜約25%であろう。液体ファンデーションの場合、1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤及び疎水性粒子状物質の集合的な重量は、典型的には約0.5%〜約30%であろう。頬紅のような粉末化粧品においては、1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤及び疎水性粒子状物質の集合的な重量は、典型的には約1%〜約30%であろう。口紅については、1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤及び疎水性粒子状物質の集合的な重量は、典型的には約30%〜約70%であろう。
【0091】
疎水性フィルム形成剤と酸化鉄顔料及び/或いはカーボンブラック粒子状物質は、集合的に、組成物の不揮発性部分のうち少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%を重量として占めてよい。化粧品製品に慣例的に使用されている他の原料に適合するため、典型的には、疎水性フィルム形成剤と粒子状物質の総量が組成物中の不揮発性部分に占める割合は、重量にして約95%未満、約90%未満、約85%未満である。一つの実施形態において、疎水性フィルム形成剤と顔料素材の総量が組成物中の不揮発性部分に占める割合は、重量にして約80%〜約90%である。
【0092】
(無水物の形成)
組成物は、無水物として提供されてよい。「無水物」という言葉は、組成物中の水の重量百分率が約1%未満であることを意味する。好適には、無水物である組成物は実質上水を含まず、このことが意味するところは、組成物に意図的には水が加えられず、水の含有レベルが、空気からの水の吸収により期待されうる量以下であることを意味する。
【0093】
無水組成物は典型的には揮発性疎水性溶媒を備え、その例は揮発性炭化水素、揮発性シリコーン、及びそれらに類似した溶媒である。揮発性炭化水素の中では、Permethyl−99A(Presperse社)の商標名で利用可能なイソドデカンについて特に言及しておく。
【0094】
酸化鉄顔料がペルフルオロアルキル基によって表面加工されている場合、すくなくとも少量のフッ素化された溶媒或いはポリマーを組成中に含むことで、付加的な利点が得られると考えられている。フッ素化された溶媒或いはバインダーを用いた場合、ペルフルオロアルキル基を持つ顔料の分散性が疎水性フィルム形成剤中において増し、このため、結果物のフィルムの疎水性が優れたものとなる。好適なフッ素化された溶媒及びポリマーは、限定するものではないが以下のものを含む。ペルフルオロエーテル、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロメチルデカリン、ペルフルオロジメチルシクロヘキサン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロノナン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロペンタン、例えばペルフルオロノニルジメチコンのようなフッ化シリコーン。このような、フッ素化された溶媒やポリマーは、組成物中に任意の割合で存在してよいが、典型的には重量にして約0.05%〜約20%、より典型的には重量にして約0.1%〜約10%、好適には重量にして約0.5%〜約5%を占めるであろう。
【0095】
(油中水型エマルション)
組成物は油中水型エマルションとして形成されてよい。これらのエマルションは、含油連続相と不連続水相を備える。
【0096】
含油相は典型的には、エマルション全体の重量の約10%〜約99%、好適には約20%〜約85%、より好適には約30%〜約70%を占めるであろう。また、水相は典型的にはエマルション全体の重量の約1%〜約90%、好適には約5%〜約70%、より好適には約20%〜約60%を占めるであろう。水相は典型的には、水の重量の約25%〜約100%、より典型的には約50%〜約95%を占めるであろう。
【0097】
含油相は1種類の油或いは複数種類の油によって構成されてよい。疎水性の高い油が好適であるが、基本的に、任意の油が有用であると考えられる。限定するものではないが、好適な例には植物油を含む。パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルのようなエステル類。ジカプリルエーテルのようなエーテル。セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールのような脂肪族アルコール、イソオクタン、イソドデカン、イソヘキサデカンのようなイソパラフィン、ジメチコン、環状シリコーン、ポリシロキサンのようなシリコーン油。鉱油、ワセリン、イソエイコサン、ポリイソブテンのような炭化水素油。天然及び合成ワックス。及びそれらの類似物。
【0098】
疎水性炭化水素油は好適には飽和或いは不飽和であり、脂肪族の性質を持ち、直鎖或いは分岐した鎖をもつか、脂環式或いは芳香族の環を持ってよい。炭化水素油は炭素原子数が6−20のものを含み、より好適には炭素原子数が10−16のものを含む。代表的な炭化水素にはデカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、およびC8−20イソパラフィンを含む。パラフィン系炭化水素はISOPARS(商標)の名でエクソン(Exxon)から、およびパーメチル・コーポレーション(Permethyl Corporation)から市販されている。さらに、パーメチル・コーポレーション(Permethyl Corporation)からPermethyl 99A(商標)の商標名で製造されているC12イソパラフィン(イソドデカン)のようなC8−20炭化水素パラフィンもまた好適であると考えられる。イソヘキサデカン(商標名Permethyl R(商標))のような様々な商業的に利用可能なC16イソパラフィンも好適である。好適な揮発性炭化水素の例は、イソドデカンやイソデカンのようなポリデカンであり、その例にはPermethyl 99A(Presperse社)及びエクソンケミカルズ(Exxon Chemicals)から市販のIsopar Series のようなC−C〜C12−C15イソパラフィンがある。代表的な炭化水素溶媒はイソドデカンである。
【0099】
エマルションが、従来使用されているいくつかの保湿剤も含め、不揮発性・親水性成分をわずかにしか含まない或いは全く含まないことは、決定的に重要な意味を持つ。プロピレングリコール、エトキシジグリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールを含んだ、グリセリンやポリオールのような成分は、取り除かれる必要があるか、もしくは、ある水準以下に保っておく必要がある。すなわち、不揮発性・親水性成分が、凝集物中において、重量にして15%を超えず、好適には重量にして10%未満、5%未満、2%未満、1%未満である必要がある。グリセリンは特に超疎水性の達成を阻害することが知られており、それゆえ、2%未満のレベルに維持するか、或いは完全に除去する必要がある。
【0100】
優れた疎水性を与えるフィルムを得るためには、乳化剤の選択とその量が重要であることが分かっている。乳化剤それ自体が、超疎水性フィルムの形成に対して有害である可能性があるため、組成物は、安定なエマルションを形成するのに必要な最低限の量の乳化剤を有することが望ましい。乳化剤の量は、組成物全体の重量に対して、典型的には約0.001wt%〜10wt%、好適には約0.01〜約5wt%、最も好適な場合には、約0.1wt%〜約1wt%であろう。
【0101】
油中水型エマルションにおいては、乳化剤自体のHLB値が低くなければならず、好適には10未満、より好適には8.5未満である必要がある。1つ以上の乳化剤を組み合わせて用いることも考慮の範囲内であるが、そのような乳化剤は個別においてもそれぞれHLB値が低いことが必要である。このため、合計で低い(例えば、8.5未満)HLB値が得られるように、高いHLB値を持つ乳化剤と低いHLB値を持つ乳化剤の組み合わせを用いることは好適ではなく、この理由は、HLBの合計値が8.5未満となったとしても、高いHLB値を持つ乳化剤が超疎水性フィルムの形成に対して阻害的な役割を果たすためである。もし存在する場合には、HLBが10以上の乳化剤の量は、重量にして1%未満、より好適には0.5%未満、さらにより好適には0.2%未満であろう。
【0102】
乳化剤が、−(CHCHO)−型の鎖を備えるポリエトキシレート系(例えば、ポリオキシエチレンエーテル或いはエステル)のものである場合、好適にはnは20未満、より好適には10未満、最も好適な場合には5未満である。プロポキシ化乳化剤もまた好適であると考えられる。プロポキシ化乳化剤の酸化プロピレン単位の数は、好適には20未満、より好適には10未満、最も好適な場合には5未満である。
【0103】
組成物のために利用できる乳化剤は、限定するものではないが、以下に数例を挙げる乳化剤の中の1つ或いは複数を含む。ソルビタンエステル。ポリグリセリル−3−ジイソステアレート。モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ものオレイン酸ソルビタン。グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエートのようなグリセロールエステル。ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノールのようなポリオキシエチレンフェノール。ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルのようなポリオキシエチレンエーテル。ポリオキシエチレングリコールエステル。ポリオキシエチレンソルビタンエステル。ジメチコンコポリマー。ポリグリセリル−3−ジイソステアレートのようなポリグリセリルエステル。グリセリルラウレート。ステアレス−2、ステアレス−10、ステアレス−20。さらなる乳化剤は、INCI Ingredient Dictionary and Handbook、11版、2006年、に記載されており、この公開内容は本明細書に参照として含まれる。
【0104】
好適であると考えられる非常に低いHLB値を持つ乳化剤の例は、Span 83であり、2:1のモル分率のモノオレエートとジオレエートのセスキエステルであり、HLB値は3.7である。モノステアリン酸ソルビタン(INCI)はその他の好適な乳化剤であり、HLB値は4.7である。
【0105】
水相は1種類の或いは複数種類の付加的溶媒を含んでよい。好適には揮発性の溶媒で、下級アルコールを含み、その例はエタノール、イソプロパノール、およびそれらの類似物である。揮発性溶媒は、化粧品として許容できるエステルであってもよく、その例は酢酸ブチル、酢酸エチル、アセトン或いはエチルメチルケトンのようなケトン、或いは類似物である。揮発性溶媒は、水相にあれば、典型的には水相の重量に対して約0.1%〜約75%を占め、より典型的には重量にして最大約35%、好適には重量にして最大約15%を占める。水と付加的揮発性溶媒は、超疎水性フィルムの形成を促進すると考えられる。これは、粒子状物質は、溶媒が揮発する際にフィルムの表面の方へ押し出される傾向にあるためである。
【0106】
(シリコーン中水型エマルション)
1種の油中水型エマルションが有用であることが発見された。これはシリコーン中水型エマルションであり、含シリコーン連続油相と不連続水相を有する。
【0107】
含シリコーン相は典型的には、エマルションの全重量の約20%〜約95%を占め、好適には約25%〜約85%を占め、より好適には約35%〜約70%を占めるであろう。水相は典型的には、エマルションの全重量の約5%〜約90%を占め、好適には約10%〜約70%を占め、より好適には約20%〜約60%を占めるであろう。水相は典型的には、水の重量の約25%〜約100%を占め、より典型的には約50%〜約95%を占めるであろう。
【0108】
シリコーン油相は揮発性シリコーン油、或いは不揮発性シリコーン油、或いはそれらの組み合わせであってよい。揮発性シリコーン油とは、室温において即座に揮発する油を意味する。典型的には、揮発性シリコーン油の蒸気圧は、25℃において約1Pa〜約2kPaの範囲にあるであろう。また、好適には25℃における粘度が約0.1〜約10センチストークス、好適には約5センチストークス或いはそれ未満、より好適には約2センチストークス或いはそれ未満であろう。また、大気圧における沸点が35℃〜250℃であろう。
【0109】
揮発性シリコーンには、環状或いは直鎖の揮発性ジメチルシロキサンシリコーンが含まれる。1つの実施形態において、揮発性シリコーンはシクロジメチコンを含んでよく、テトラマー(D4)、ペンタマー(D5)、ヘキサマー(D6)シクロジメチコン、或いはそれらの混合物を含む。揮発性シクロメチコン−ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチル−シクロテトラシロキサン、デカメチル−シクロペンタシロキサン、について特に言及しておく。好適なジメチコンは、ダウコーニング(Dow Corning)社からDow Corning 200(商標)Fluidの名で市販されており、粘度は0.65〜600,000センチストークスの範囲であるか、それより高い。好適な非極性、揮発性液体シリコーン油は、米国特許第4,781,917号に開示されており、この公開公報の全てが本明細書に参照として含まれる。さらなる揮発性シリコーン素材は、Toddらによる「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」、Cosmetics and Toiletries、91:27−32(1976)に記載されており、この文献の全てが本明細書に参照として含まれる。直鎖の揮発性シリコーンは、一般的に粘度が25℃において約5センチストークス未満であり、環状シリコーンは粘度が25℃において約10センチストークス未満である。様々な粘性を持つ揮発性シリコーンの例は以下のものを含む。Dow Corning 200、Dow Corning 244、Dow Corning 245、Dow Corning 344、Dow Corning 345、(ダウコーニング社)、SF−1204及びSF−1202 Silicone Fluids(GEシリコーンズ社、G.E. Silicones)、GE 7207及び7158(ゼネラル エレクトリック社、General Electric Co.)、SWS−03314(SWS シリコーン・コーポレーション、SWS Silicones Corp.)直鎖、揮発性シリコーンには、数例を挙げれば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びドデカメチルペンタシロキサンのような低分子量のポリジメチルシロキサン化合物を含む。
【0110】
不揮発性シリコーン油は典型的にはポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、或いはそれらの混合物を備えるであろう。ポリジメチルシロキサンは好適な不揮発性シリコーン油である。不揮発性シリコーン油の粘度は典型的には25℃において約10〜約60,000センチストークス、好適には約10〜約10,000センチストークス、さらにより好適には、約10〜約500センチストークスであり、大気圧中での沸点は250℃より高いであろう。限定するものではないが、その例にはジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、フェニルトリメチコン、及びジフェニルジメチコンが含まれる。
【0111】
揮発性及び不揮発性シリコーン油は、必要な場合には、様々な官能基によって置換してよい。数例を挙げれば、アルキル、アリール、アミン基、ビニル、ヒドロキシル、ハロアルキル基、アルキルアリール基、アクリレート基である。
【0112】
シリコーン中水型エマルションは、非イオン性界面活性剤(乳化剤)によって乳化される。好適な乳化剤は、ポリジオルガノシロキサン−ポリオキシアルキレン ブロックコポリマーを含み、米国特許第4,122,029号に記載されているものを含む。この公開公報は本明細書に参照として含まれる。これらの乳化剤は、一般的にポリジオルガノシロキサン骨格を備え、その典型的な例はポリジメチルシロキサンであり、−(EO)−および/或いは−(PO)−基を備えた側鎖を有する。ここでEOはエチレンオキシ基、POは1,2−プロピレンオキシ基であり、側鎖は典型的には末端が水素或いは低級アルキル基(例えば、C1−6、典型的にはC1−3)でキャップされている、或いは終わっている。側鎖に含まれるEOおよび/或いはPO単位の数は50或いはそれ以下であり(例えば、m+n=<50)、好適には20或いはそれ以下、より好適には10或いはそれ以下であろう。アルコキシ化された側鎖に加え、シリコーン乳化剤は、シリコーン骨格からのアルキル鎖のペンダント基を備えてもよい。さらなる好適なシリコーン中水型乳化剤は、米国特許第6,685,952号に開示されており、この公開公報は本明細書中に参照として含まれる。市販の利用可能なシリコーン中水乳化剤には、ダウコーニング社から市販されている商標指定3225C及び5225CFORMULATION AID、ゼネラルエレクトリック社から市販のSILICONE SF−1528、ゴールドシュミットケミカルコーポレーション(Goldschmidt Chemical Corporation、バージニア州ホープウェル)から市販のABIL EM 90及びEM 97、OSI Specialties(コネチカット州ダンブリー)から市販のSILWET(商標)系列の乳化剤が含まれる。
【0113】
シリコーン中水型乳化剤の例は、限定するものではないが、以下のものを含む。ジメチコンPEG10/15クロスポリマー、ジメチコンコポリオール、セチルジメチコンコポリオール、PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー、ラウリルメチコンクロスポリマー、シクロメチコン及びジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオール(及び)カプリル/カプリントリグリセリド、ポリグリセリル−4イソステアレート(及び)セチルジメチコンコポリオール(及び)ラウリル酸ヘキシル、ジメチコンコポリオール(及び)シクロペンタシロキサン。
【0114】
シリコーン中水型乳化剤の好適な例は、限定するものではないが、次のものを含む。PEG/PPG−18/18ジメチコン(商標名5225C、ダウコーニング社)、PEG/PPG−19/19ジメチコン(商標名BY25−337、ダウコーニング社)、Cetyl PEG/PPG−10/1ジメチコン(商標名Abil EM−90、ゴールドシュミットケミカルコーポレーション)、PEG−12ジメチコン(商標名SF 1288、ゼネラルエレクトリック社)、ラウリルPEG/PPG−18/18メチコン(商標名5200 FORMULATION AID、ダウコーニング社)、PEG−12ジメチコンクロスポリマー(商標名9010及び9011シリコーンエラストマーブレンド、ダウコーニング社)、PEG−10ジメチコンクロスポリマー(商標名KSG−20、信越化学工業)、ジメチコンPEG−10/15クロスポリマー(商標名KSG−210、信越化学工業)。
【0115】
組成物中に存在するシリコーン中水型乳化剤の量は典型的には重量にして約0.001%〜約10%、典型的には重量にして約0.01%〜約5%、より好適には重量にして1%以下である。
【0116】
実施形態の1つにおいて、表面に疎水性フィルムを形成するための組成物は油中水型エマルションを備える。油中水型エマルションは次のものを含む。(i)連続油相、(ii)不連続(内部)水相、(iii)HLB値が10未満であるような乳化剤、好適には8.5未満、(iv)1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤、(v)疎水性に加工された酸化鉄顔料および/或いはカーボンブラック。
【0117】
関連する実施形態において、表面に疎水性フィルムを形成するための組成物はシリコーン中水型エマルションを備える。シリコーン中水型エマルションは次のものを含む。(i)連続シリコーン油相、(ii)不連続水相、(iii)−(EO)−及び/或いは(PO)−基を備える側鎖を有するオルガノシロキサンポリマーを備える乳化剤、ここでnおよびmは0から約20までの整数で、nとmの和は50或いはそれ未満で、側鎖の末端は水素或いは下級アルキル基である。(iv)1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤、(v)疎水性に加工された酸化鉄顔料および/或いはカーボンブラック。
【0118】
油中水型エマルションとシリコーン中水型エマルションの両方において、1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤と、疎水性に加工された酸化鉄顔料および/或いはカーボンブラックとの重量比は、上述の通りであり、好適には、例えば、約1:10〜約10:1、約1:10〜約5:1、約1:5〜約5:1、約1:5〜約2:1、或いは約1:2〜約1:1であってよく、好適であるのは粒子状物質の割合の高いものである。1種類の或いは複数種類の疎水性フィルム形成剤と、疎水性に加工された酸化鉄顔料および/或いはカーボンブラック素材の総量は、油中水型エマルション或いはシリコーン中水型エマルションの重量を基準として、少なくとも重量で約1%を占め、好適には少なくとも重量で約2%を占め、より好適には少なくとも重量で約5%を占めてよい。また、エマルション全体の重量を基準にして、最大で10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、或いは90%を占めてよい。
【0119】
好適な実施例において、疎水性フィルム形成剤及び疎水性顔料は、最初に油或いはシリコーン相に分散或いは溶解される。続いて、油或いはシリコーンは水相と混合されてエマルションが形成される。エマルション中では、典型的には、疎水性フィルム形成剤と疎水性顔料は、大部分が油相或いはシリコーン相に分散或いは溶解される。
【0120】
(化粧品)
化粧品組成物には、限定するものではないが、カラー化粧品、スキンケア製品、ヘアケア製品、及びパーソナルケア製品が含まれる。カラー化粧品には、例えばファンデーション、マスカラが含まれる。スキンケア製品には、限定するものではないが、サンスクリーン、日焼け後ケア製品、ローション、クリームを含む。さらなる応用には、ヘアケア製品中での使用、虫除け、デオドラント、制汗剤、リップスティック、外耳道用製品、赤ちゃん用おしりふき、ベビークリーム、或いはベビーローション、すでに塗布された化粧品に防水或いは耐水性能を与えるためのトップコート、パーソナルケア製品、ヘアケア製品、或いは応急処置用製品が含まれる。例えば、組成物は、防水或いは耐水性能を改善するために、すでに塗布された下地の上に塗布するトップコートとして応用しうる。同様に、組成物は、抗生物質の軟膏或いはスプレー、包帯、創傷包帯のような応急処置用品の上のトップコートとして応用しうる。
【0121】
化粧品としては、マスカラが好適である。組成物はさらに、化粧品業界で、特にマスカラ製品において慣例的に用いられているどのような原料を備えてもよい。それらの様々な原料の量は典型的には、組成物の重量に対して約0.01〜約20wt.%の範囲にあるであろう。それらの原料の性質とそれらの量は、超疎水性フィルムにとって有害とならないように、注意深く選択されなければならない。この観点からして、不揮発性、親水性の凝集成分は、組成物の重量の15%未満、好適には10%未満に保つ必要がある。
【0122】
酸化鉄顔料および/或いはカーボンブラックに加えて、マスカラは、この製品に通常使用される顔料、真珠光沢顔料、および/或いは着色料を追加として備えてよい。無機顔料には二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、紺青(ferric blue)、および雲母を含む。有機顔料は、バリウムレーキ、ストロンチウムレーキ、カルシウムレーキ、アルミニウムレーキ、ウルトラマリン、カーボンブラックを含む。着色料は、D&C Green#3、D&C Yellow#5、D&C Blue#1を含む。顔料および/或いは着色料には、水相および/或いはワックス相への拡散を補助するために、1種類の或いは複数種類の可溶化剤(compatibilizers)によって表面のコーティングまたは加工を施してよい。好適な顔料および/或いは着色料は、ジメチコンコポリオールで表面加工されたものである。
【0123】
様々な充填剤や追加構成成分を加えてよい。好適な充填剤は、限定するものではないが、シリカ、修飾シリカ、タルク、ステアリン酸亜鉛、雲母、カオリン、Orgasol(商標)のような粉末ナイロン、粉末ポリエチレン、テフロン(商標)、でんぷん、窒化ホウ素、Expancel(商標)(Nobel Industies社)のようなマイクロスフェア、Polytrap(商標)(ダウコーニング)、シリコーン樹脂のマイクロビーズ(Tospearl(商標)、東芝)、及びそれらの類似物を含む。
【0124】
さらなる顔料/粉末充填剤は、限定するものではないが、次のもののような無機粉末を含む。ゴム、チョーク、フラー土、カオリン、絹雲母、白雲母、金雲母、合成雲母、鱗雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、ケイ酸アルミニウム、でんぷん、スメクタイト粘土、アルキル及び/或いはトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾されたケイ酸アルミニウム・マグネシウム、有機修飾されたモンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、アルミニウムスターチコハク酸オクテンケイ酸バリウム(aluminum starch octenyl succinate barium silicate)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、金属タングステン(metal tungstate)、マグネシウム、シリカ・アルミナ(silica alumina)、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼成石膏)、リン酸カルシウム、フッ化アパタイト、ヒドロキシアパタイト、粉末セラミック、金属石けん(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム及びステアリン酸アルミニウム)、コロイド状二酸化ケイ素(colloidal silicone dioxide)、及び窒化ホウ素。また、次のような有機粉末を含む。粉末ポリアミド樹脂(粉末ナイロン)、シクロデキストリン、粉末ポリメタクリル酸メチル、スチレンとアクリル酸の粉末コポリマー、ベンゾグアナミン粉末樹脂、粉末ポリ4フッ化エチレン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチル・セルロース、カルボキシメチル・セルロース・ナトリウム、のような粉末セルロース、エチレングリコールモノステアレート。また、酸化マグネシウムのような無機白色顔料を含む。また、例えばBentone Gel、Rheopearl TT2のような、安定化剤/レオロジー調製剤を含む。その他の有用な粉末は米国特許第5,688,831号に開示され、この公開公報は本明細書に参照として含まれる。
【0125】
マスカラ組成物は1種類の或いは複数種類のワックスを備えてよく、例えば以下のものを含む。米ぬかワックス、カルナバワックス、オウリカリワックス(ouricurry wax)、カンデリラワックス、モンタン・ワックス、さとうきびワックス、オゾケライト、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュ(Fischer Tropsch、FT)ワックス、蜜ろう、微結晶ワックス、シリコーンワックス、フッ化ワックス、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0126】
組成物、特にマスカラ組成物は、カチオン性ポリマーであるフィルム形成剤をさらに備えてよい。好適なカチオン性ポリマーは、限定するものではないが、次のものを含む。Polyquaternium−4、Polyquaternium−5、Polyquaternium−6、Polyquaternium−7、Polyquaternium−10、Polyquaternium−22、Polyquaternium−37、Polyquaternium−47、或いはそれらの任意の組み合わせ。Polyquaternium−7は特に好適である。Polyquaternium−7は、塩化アクリルアミド/ジメチルジアリルアンモニウムコポリマーの4級アンモニウム塩である。Polyquaternium−7は、SALCARE(商標)Super7(Ciba Specialty Chemicals社より市販)として市販されている。
【0127】
組成物は、典型的に化粧品やパーソナルケア製品に関連する他の活性・不活性原料を必要に応じて備えてよく、それらは限定するものではないが、以下のものを含む。賦形剤、充填剤、乳化剤、抗酸化剤、界面活性剤、フィルム形成剤、キレート試薬、ゲル化剤、増粘剤、皮膚軟化剤、保湿剤(humectant)、保湿剤(moisturizer)、ビタミン、ミネラル、粘土および/或いはレオロジー調整剤、サンスクリーン、角質溶解剤、脱色剤、レチノイド、ホルモン化合物、αヒドロキシ酸、αケト酸、抗抗酸菌薬、抗真菌薬、抗菌剤、抗ウイルス剤、鎮痛剤、脂質化合物、抗アレルギー薬、H1或いはH2抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗刺激剤、抗新生物薬、免疫を後押しする薬(immune system boosting agent)、免疫抑制剤、抗ニキビ剤、麻酔剤、防腐剤、虫除け、皮膚清涼化合物(skin cooling compound)、皮膚保護薬、皮膚浸透促進剤、皮膚摩擦剤(exfollient)、潤滑油、香料、着色料、汚染剤、脱色剤、色素沈着緩和剤(hypopigmenting agent)、保存料、安定剤、医薬品、光安定化剤、及びそれらの混合物。それらが存在する場合には、エマルションが超疎水性フィルムを形成する能力に対して、阻害するような影響を及ぼさないように、追加的な成分の水準を注意深く選択するべきである。そのような追加的な成分の総量は、組成物全体を基準にして好適には重量の5%未満、より好適には重量の2%未満、さらにより好適には重量の1%未満であることが必要である。
【0128】
疎水性フィルム形成ポリマーと疎水性顔料(例えば、疎水性に加工された顔料、カーボンブラック、等)との組み合わせは、典型的には化粧品組成物の約0.5%〜約99%を占める。より典型的には、疎水性フィルム形成ポリマーと疎水性顔料との組み合わせは、化粧品組成物の重量を基準にして約1〜5%、約5〜10%、約10〜15%、約15〜20%、約20〜25%、約25〜30%、約30〜35%、約40〜45%、約45〜50%、約50〜55%、約55〜60%、約60〜65%、約65〜70%、約70〜75%、約75〜80%、約80〜85%、約85〜90%、約90〜95%を占めてよい。
【0129】
疎水性顔料は、典型的には、乾燥したフィルムの重量の約20%〜約95%を占めてよく、乾燥したフィルムとは、化粧品組成物から形成され、共存するあらゆる揮発性成分が揮発した後のフィルムを意味する。様々な実施形態において、疎水性顔料は重量を基準にして、乾燥したフィルムの約20〜25%、約25〜30%、約30〜35%、約40〜45%、約45〜50%、約50〜55%、約55〜60%、約60〜65%、約65〜70%、約70〜75%、約75〜80%、或いは約80〜85%を占めるであろう。フィルム形成剤の分子量が大きい場合(例えば、セルロース誘導体)や、フィルムが不揮発性かつ水溶性成分、あるいは不揮発性かつ水分散性成分を多く含み、それらがフィルム表面において顔料をコーティング或いは被覆する場合には、乾燥したフィルム中の疎水性顔料の量は、理想的には前述の範囲の数値の高い方に調節される。乾燥したフィルム中の不揮発性かつ水溶性成分、或いは不揮発性かつ水分散性成分の総量は、好適には、乾燥したフィルム全体の重量を基準にして、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約2.5%未満であろう。いくつかの実施形態において、超疎水性フィルムが備える不揮発性かつ水溶性成分、或いは不揮発性かつ水分散性成分の量は、重量にして1%未満であろう。
【0130】
疎水性顔料は、疎水性に加工された酸化鉄を備えるか、本質的に疎水性に加工された酸化鉄から成るか、或いは単に疎水性に加工された酸化鉄から成ってよい。「本質的に」疎水的に加工された酸化鉄から成る、とは、その他の疎水性顔料の含有量が、結果物であるフィルムの接触角に測定可能な影響を与えない程度に抑えられているということを意味する。いくつかの実施形態において、そのような疎水性顔料成分の含有量は、疎水性に加工された酸化鉄の重量に対して、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上であってよい。
【0131】
疎水性顔料は、カーボンブラックを備えるか、本質的にカーボンブラックから成るか、或いは単にカーボンブラックから成ってよい。「本質的に」カーボンブラックから成る、とは、その他の疎水性顔料の含有量が、結果物であるフィルムの接触角に測定可能な影響を与えない程度に抑えられているということを意味する。いくつかの実施形態において、そのような疎水性顔料成分の含有量は、疎水性に加工された酸化鉄の重量に対して、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上であってよい。
【0132】
マスカラはさらに、この製品に慣例的に使用される原料であればどのようなものを備えてもよく、これには、International Cosmetic Ingredient Dictionary Handbook 12版、2008年、P.3435−3438に挙げられているマスカラ原料を含む。この文献は、参照として本明細書に含まれる。
【0133】
一つの実施形態において、組成物は、疎水性に加工された(つまり、表面加工された)二酸化チタン或いは酸化亜鉛を備える日焼け止めとしての形態を持つ。疎水性に加工された二酸化チタン或いは酸化亜鉛は、組成物全体に対して、重量にして約1%〜約15%を占めてよい。日焼け止めは、必要な場合は、1種類の或いは複数種類の有機UVAおよび/或いはUVBフィルター(疎水性或いは親水性)を備えてよい。ただし、疎水性有機系日焼け止めのエマルション中での含有レベルが、超疎水性表面を形成する能力を阻害する影響を与える程度であってはならず、そのような有機系日焼け止めの凝集状態の量は、好適には重量にして約10%未満、より好適には重量にして約5%未満であろう。この日焼け止めは、従来のエマルションベースの日焼け止めと比較して、耐水性が改善されたものである。
【0134】
この組成物は1種類の或いは複数種類の日焼け止め活性成分(active)を有してよい。このような日焼け止め活性成分は有機系或いは無機系、水溶性或いは脂溶性であってよい。このような活性成分はUVA及びUVB(290〜400ナノメートルの太陽輻射)予防のためのものを含む。このような日焼け止め活性成分は、限定するものではないが次のもののうち1つまたは複数を含む。ジベンゾイルメタン、オキシベンゾン、スリソベンゾン、ジオキシベンゾン、アントラニル酸メンチル、パラアミノ安息香酸(PABA)、メトキシ桂皮酸オクチル、メトキシ桂皮酸DEA、オクトクリレン、ドロメトリゾールトリシロキサン、サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチル、オクチルジメチルPABA、サリチル酸TEA、4−メチルベンジリデンカンファー、オクチルトリアゾン、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸(terephthalydiene dicamphor sulfonic acid)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、エチルPABA、ヒドロキシメチルフェニルベンゾトリアゾール、メチレンビス−ベンゾトリアゾイルテトラメチルブチルフェノール、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン、二酸化チタン、酸化亜鉛、或いはそれらの任意の誘導体、或いはそれらの任意の組み合わせ。その他の有益な日焼け止め活性成分は、米国特許第5,000,937号に開示されているものを含み、この公開公報は本明細書に参照として含まれる。好適な日焼け止めは、メトキシ桂皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、オクトクリレン、アヴォベンゾン、ベンゾフェノン−3、ポリシリコーン−15(Parsol slx)を含む。
【0135】
1つの実施形態において、組成物は皮膚に塗布され、好適には顔の皮膚に塗布される。そのような組成物はファンデーション、頬紅、アイシャドウ等の形態を持ってよい。他の実施形態において、組成物は耐水性、移動耐性(transfer−resistant)を持つリップ製品(例えばリップスティック或いはリップグロス)として提供され、この場合、組成物は唇に塗布される。その他の実施形態において、組成物はマニキュア液としての形態を持ってよい。ファンデーション、マスカラ、マニキュア液、リップスティック、アイシャドウ、及びその類似物を含むカラー化粧品は、必要であれば、1種類の或いは複数種類のさらなる着色料を備えてよく、これには染料、レーキ、顔料、或いはそれらの組み合わせが含まれる。
【0136】
他の実施形態において、組成物は毛髪(身体、頭皮の毛髪、顎ひげ、口ひげ、まつげ等)に塗布され、防水効果を与える。つまり、例えば、水に入った後で髪が濡れないように、或いは濡れるのを最小限に留めるように、水泳の前に組成物を髪に塗布してよい。濡れるのを最小限に留めるとは、水に入った後の髪の重量増加が、水に入る前の髪の重量に比べて100%以下、好適には50%以下、より好適には25%以下、さらにより好適には10%以下であることを意味する。さらに、髪を1、2度勢いよく振れば、髪は基本的には乾く。基本的には乾くとは、髪の重量増加が、水に入る前の髪の重量に比べて約5%未満或いは約2.5%未満であることを意味する。上記の事項については、髪の見本品に組成物を塗布したものを用いてテストしてよい。同様に、組成物を、犬のようなペットの毛に水泳前に塗布してよく、これによってペットは水泳後に即座に実質上乾き、タオルで拭く等の必要がない。或いは、家畜に塗布すれば雪、雨、泥に濡れない。
【0137】
付加的成分が、充填剤として、或いは化粧品分野で慣習となっているその他の機能のために含まれてよい。しかしながら、上述の化粧品組成物と適合する付加的成分を含んでもよいが、含有される付加的材料は、超疎水性フィルムの形成に影響を与えない材料に限定される。
【実施例1】
【0138】
この実施例では、ペルフルオロアルキル基で疎水性に加工された酸化鉄を備える3種類のフィルムを、それらの水滴との接触角に基づいて比較したものである。それぞれの場合において、酸化鉄顔料は、黒色酸化鉄(INCI)を、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン(INCI)で加工したものである。これらの顔料は、粒子サイズと表面加工率が異なる。表1には、この実施例で使用されたそれぞれの酸化鉄顔料の粒子サイズの平均値及び中央値、表面加工率(ST)、粒子サイズの平均値と中央値に対する表面加工率の比が示されている。
【表1】
【0139】
表2に記載した1A、1B、1Cを形成するために、表1の酸化鉄顔料(サンプルA、B、及びC)を、イソドデカン中に無水状態で分散した疎水性フィルム形成剤に加える。表2に記載した量は全て組成物の総量に占める重量百分率である。
【表2】
【0140】
形成された1A、1B、1Cをガラススライドに塗布し、揮発性成分を揮発させ、薄い膜を形成した。それぞれのフィルムについて、水滴の接触角の測定を、Kruss Drop Shape Analysis System DDA 10 MK2を用いて行った。計測ソフトウェアによって、円適合法(circle fit method)を用いて接触角の計算を行った。水の体積(つまり、水滴のサイズ)は5μlに設定した。接触角は133°(1A)、138.6°(1B)、143.1°(1C)であると計測された。
【0141】
表3には、変数(x,y)についての相関係数(rx,y)と決定係数(r)が記載されている。ここでyは計測された接触角、xの値は次の独立変数である:表面加工率(ST)、粒子サイズ中央値(median)、粒子サイズ平均値(mean)、STと粒子サイズ中央値との比(ST:median)、STと粒子サイズ平均値との比(ST:mean)。
【表3】
【0142】
表3に記載されているように、ST:meanの比は(つまり、(表面加工率):(ミクロン単位の平均粒子サイズ))、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン(INCI)で表面加工された酸化鉄顔料において、他の独立変数と比較して、フィルムの疎水性のより良い指標となっている。
【実施例2】
【0143】
この実施例では、アルキル鎖によって疎水性に加工された酸化鉄を備える3種類のフィルムを、水滴との接触角において比較した。それぞれの場合において、酸化鉄顔料はトリエトキシカプリリルシラン(INCI)で表面加工された黒色酸化鉄(INCI)を備える。それらの顔料は、粒子サイズと表面加工率が異なる。表4には、この実施例において使用された酸化鉄顔料それぞれの粒子サイズの平均および中央値、表面加工率(ST)、表面加工率(ST)と粒子サイズの平均及び中央値との比が示されている。
【表4】
【0144】
表4に記載されたアルキルシラン加工された酸化鉄顔料(顔料サンプルD、E、及びF)を、イソドデカン中の無水的に分散された疎水性フィルム形成剤に加えて、2D、2E、2Fとして形成し、表5に記載した。表5に記載の量は、すべて全組成物に対する重量百分率で与えられる。
【表5】
【0145】
形成された2D、2E、及び2Fをガラススライドに塗布し、揮発性成分を揮発させ、薄い膜を形成した。それぞれのフィルムについて、水滴の接触角の測定を、Kruss Drop Shape Analysis System DDA 10 MK2を用いて行った。計測ソフトウェアによって、円適合法(circle fit method)を用いて接触角の計算を行った。水の体積(つまり、水滴のサイズ)は5μlに設定した。接触角は113.2°(2D)、114°(2E)、142.8°(2F)であると計測された。
【0146】
実施例1におけるペルフルオロアルキルシラン加工された酸化鉄顔料に見られるように、ST:mean値((表面加工率)/(ミクロン単位の平均粒子サイズ)の数値)と、形成されたフィルムの疎水性との間には強い相関があり、ST:mean値が最も高い顔料の場合に、疎水性の最も高いフィルムが得られる。ただし、本実施例の場合には、表面加工率(ST)単独、或いは平均粒子サイズ(mean)単独の方が、ST:meanと比較してrx,y及びrの数値が高い。この実験結果の重要性は、次の理由から割り引いて考慮される。その理由の一つはデータ数が不足であることであり、別の一つの理由は、顔料サンプルE(Sensient社のCovalumine black AS)が重量にして79%のアルミナと20%の酸化鉄を備えるのに対して、顔料サンプルDとFは金属酸化物成分として酸化鉄のみを備えることである。
【0147】
このようであるもののやはり、アルキルシラン加工された酸化鉄顔料であって、(表面加工率)/(ミクロン単位の平均粒子サイズ)の数値(ST:mean)が約2.5を上回る場合には、超疎水性フィルムを形成することが可能である、ということが立証された。
【実施例3】
【0148】
本実施例は、カーボンブラック(D&C Black #2)及び、無水媒剤(anhydrous vehicle)中の疎水性フィルム形成剤を備える、超疎水性フィルムを形成する組成物を提案する。組成物の組成は表6に記載されている。
【0149】
【表6】
【0150】
表6に記載の組成物をグラスフィルム上に載置し、揮発性成分を蒸発させることによって、フィルムを形成した。測定によると、水滴との接触角は148.2°であった。
【実施例4】
【0151】
本実施例は、カーボンブラック顔料とアルキルシラン加工された酸化鉄顔料との混合物を用いることによる、超疎水性に対する相乗効果的な改善について例示する。カーボンブラック顔料の酸化鉄顔料に対する比を、表7に記載の通りに、様々にとって組成した。
【0152】
【表7】
【0153】
実施例2において議論された通り、重量にして10%のアルキルシラン加工された酸化鉄を備えるサンプル(サンプル2D)についての水の接触角は113.2°であることが見いだされた。また実施例3において示された通り、重量にして10%のカーボンブラック(D&C Black #2)を備えるサンプルは、水との接触角が148.2°である。これらの数値を用いて、重量にして7.5%の顔料サンプルD及び2.5%のD&C Black #2;重量にして5%の顔料サンプルD及び5%のD&C Black #2;2.5%の顔料サンプルD及び7.5%のD&C Black #2、の各サンプルの接触角を予測した。ここで、個々の顔料の接触角に対する寄与が加算的であると仮定した。結果を図1にプロットし、破線と(◇)のマーカーで示した。
【0154】
上記で議論されたように、サンプル4H、4I、及び4Jを用いてフィルムを形成し、各フィルムの接触角を上記の方法で測定し、結果は144.5°(4H)、147°(4I)、145.8°(4J)であった。測定値のプロットを、実線と(□)のマーカーで図1に示した。それぞれの場合について、接触角の測定値は予測値を確実に上回り、これは、フィルムの超疎水性に関するカーボンブラックとアルキルシラン加工された酸化鉄顔料との相乗効果を示す。
【実施例5】
【0155】
本実施例は、カーボンブラック顔料とペルフルオロアルキルシラン加工された酸化鉄顔料との混合物を用いることによる、超疎水性に対する相乗効果的な改善について例示する。カーボンブラック顔料の酸化鉄顔料に対する比を、表8に記載の通りに、様々にとって組成した。
【表8】
【0156】
実施例1において議論された通り、重量にして10%のペルフルオロアルキルシラン加工された酸化鉄を備えるサンプル(サンプル1A)についての水の接触角は133°であることが見いだされた。また実施例3において示された通り、重量にして10%のカーボンブラック(D&C Black #2)を備えるサンプルは、水との接触角が148.2°である。これらの数値を用いて、重量にして7.5%の顔料サンプルA及び2.5%のD&C Black #2;重量にして5%の顔料サンプルA及び5%のD&C Black #2;2.5%の顔料サンプルA及び7.5%のD&C Black #2、の各サンプルの接触角を予測した。ここで、個々の顔料の接触角に対する寄与が加算的であると仮定した。結果を図2にプロットし、破線と(◇)のマーカーで示した。
【0157】
上記で議論されたように、サンプル5K、5L、及び5Mを用いてフィルムを形成し、各フィルムの接触角を上記の方法で測定し、結果は148.1°(5K)、149.6°(5L)、150.3°(5M)であった。測定値のプロットを、実線と(□)のマーカーで図2に示した。それぞれの場合について、接触角の測定値は予測値を確実に上回り、これは、フィルムの超疎水性に関するカーボンブラックとペルフルオロアルキルシラン加工された酸化鉄顔料との相乗効果を示す。
【0158】
本明細書及び特許請求の範囲に記載された発明は、ここに開示された具体的な実施形態の範囲に限られるものではない。なぜなら、実施形態は本発明の多数の側面の例示となることを意図したものであるためである。同様の実施形態であればどのようなものであっても、本発明の範疇となることを意図している。実際に、上述の明細書によって、ここに示され、記述されたものに付け加えて、本発明の様々な応用がこの技術分野の当業者にとって明らかとなるであろう。このような応用も、次に記述する特許請求の範囲の範疇に含まれるものとする。本明細書で引用した全ての出版物は、全体が参照として含まれる。
【0159】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年3月4日に出願された、米国仮出願第61/033,536号に対して優先権を主張する非仮出願である。前記仮出願は出願中で本明細書に参照として全てが含まれる。
図1
図2