(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1シート部、又は、前記第2シート部は、シリコーンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、塩化ビニル系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、又は、アミド系エラストマーによって形成される、請求項1乃至7のいずれか一項記載のRFIDタグ。
前記アンテナは、導電粒子と、当該導電粒子と混合されるバインダーとを含む導電ペーストによって形成されており、前記バインダーは、シリコーンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、又は、ウレタンゴムである、請求項1乃至8のいずれか一項記載のRFIDタグ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明のRFIDタグを適用した実施の形態について説明する。
【0028】
<実施の形態1>
図2は、実施の形態1のRFIDタグ100を示す図であり、(A)は長手方向の断面を示す図、(B)は平面図、(C)は短手方向の断面を示す図である。
図2(A)に示す断面は、
図2(B)におけるA−A’矢視断面を示し、
図2(C)に示す断面は、
図2(B)におけるB−B’矢視断面を示す。
【0029】
図2(A)〜(C)に示すように、RFIDタグ100は、ベース部10、アンテナ20、ICチップ30、カバー部40、及び補強部50A、50Bを含む。
【0030】
ベース部10は、可撓性及び弾性を有するシート状の部材であり、第1シート部の一例である。ベース部10の一方の面には、カバー部40と貼り合わせる前に、アンテナ20が形成されるとともに、ICチップ30が実装される。
【0031】
ベース部10は、例えば、カレンダーロール機を用いたカレンダー成形、又は、押し出し成形等によって製造することができる。
【0032】
ここで、ベース部10を形成する可撓性及び弾性を有する部材としては、例えば、エントロピー弾性のある部材を用いることができる。エントロピー弾性には、例えば、ゴム弾性とエラストマー弾性がある。このため、ベース部10を形成する可撓性及び弾性を有する部材の材料としては、ゴム弾性のあるゴム系の材料、又は、エラストマー弾性のあるエラストマー系の材料を用いることができる。
【0033】
ゴム系の材料としては、例えば、シリコーン(シリカケトン)ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、又はウレタンゴムを用いることができる。
【0034】
エラストマー系の材料としては、塩化ビニル系、スチレン系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系、又はアミド系のエラストマーを用いることができる。
【0035】
なお、ベース部10は、可撓性及び弾性を有していればよいため、上述の材料で形成される部材に限定されず、エントロピー弾性のある部材にも限定されない。
【0036】
アンテナ20は、ベース部10とカバー部40とを貼り合わせる前に、ベース部10の一方の表面に形成される。アンテナ20は、可撓性及び弾性を有し、導電粒子を含む。
【0037】
アンテナ20は、例えば、可撓性及び弾性を有する銀ペーストによって形成される。
【0038】
なお、アンテナ20の平面視でのパターンと、接続部20Aについては、
図3を用いて後述する。また、アンテナ20の材料である銀ペーストと、アンテナ20の形成方法については、
図4を用いて後述する。
【0039】
ICチップ30は、ベース部10とカバー部40とを貼り合わせる前に、ベース部10の一方の面に実装され、アンテナ20に接続される。
【0040】
ICチップ30は、アンテナ20を介してRFIDタグ100のリーダライタからRF(Radio Frequency)帯域の読み取り用の信号を受信すると、受信信号の電力で作動し、アンテナ20を介して識別情報を発信する。これにより、リーダライタでRFIDタグの識別情報を読み取ることができる。
【0041】
カバー部40は、可撓性及び弾性を有するシート状の部材であり、第2シート部の一例である。カバー部40の平面視でのサイズは、ベース部10の平面視でのサイズと等しい。また、カバー部40の厚さは、ベース部10の厚さと等しいものとする。カバー部40は、ベース部10と同一のシート状の部材を用いることができる。
【0042】
カバー部40は、ベース部10に張り合わされ、ベース部10との間でアンテナ20及びICチップ30を覆う。
【0043】
カバー部40は、例えば、カレンダーロール機を用いたカレンダー成形、又は、押し出し成形等によって製造することができる。
【0044】
カバー部40を形成する可撓性及び弾性を有する部材としては、ベース部10と同様の部材を用いることができる。
【0045】
なお、カバー部40を形成する可撓性及び弾性を有する部材は、ベース部10を形成する可撓性及び弾性を有する部材と異なってもよい。
【0046】
補強部50Aは、ベース部10の表面10A(
図2中の下側の面)のうち、ICチップ30、及び、ICチップ30とアンテナ20との接続部20Aの下に位置する部分に接着される。すなわち、補強部50Aは、ベース部10を介してICチップ30及び接続部20Aを覆っている。
【0047】
補強部50Bは、カバー部40の表面40A(
図2中の上側の面)のうち、ICチップ30、及び、ICチップ30とアンテナ20との接続部20Aの上に位置する部分に接着される。すなわち、補強部50Bは、カバー部40を介してICチップ30及び接続部20Aを覆っている。
【0048】
補強部50A、50Bは、例えば、カレンダーロール機を用いたカレンダー成形、又は、押し出し成形等によって製造することができる。
【0049】
補強部50A、50Bは、可撓性及び弾性を有する部材で形成される。補強部50Aと補強部50Bは、互いに等しいサイズを有する。
【0050】
補強部50Aを形成する可撓性及び弾性を有する部材としては、ベース部10と同様の可撓性及び弾性を有する部材を用いればよい。補強部50Aを形成する可撓性及び弾性を有する部材は、ベース部10を形成する可撓性及び弾性を有する部材と異なってもよいが、同一の部材を用いることが好ましい。
【0051】
補強部50Bを形成する可撓性及び弾性を有する部材としては、カバー部40と同様の可撓性及び弾性を有する部材を用いればよい。補強部50Bを形成する可撓性及び弾性を有する部材は、カバー部40を形成する可撓性及び弾性を有する部材と異なってもよいが、同一の部材を用いることが好ましい。
【0052】
ここで、補強部50A、50Bを形成する可撓性及び弾性を有する部材の硬度は、それぞれ、ベース部10、カバー部40を形成する可撓性及び弾性を有する部材の硬度よりも高く設定される場合がある。
【0053】
これは、ベース部10、カバー部40よりも撓みにくい補強部50A、50Bをベース部10、カバー部40の外側にそれぞれ取り付けることにより、ICチップ30及び接続部20Aの近傍のベース部10及びカバー部40の部分を補強するためである。
【0054】
また、補強部50A、50Bを形成する可撓性および弾性を有する部材の硬度は、それぞれ、ベース部10、カバー部40を形成する可撓性および弾性を有する部材の硬度よりも低く設定される場合がある。
【0055】
これは、補強部50Aおよび50Bの方が、変形しやすい事を利用し、ベース部10に接続されたICチップ30に変形を伝えにくくし、ICチップ30が剥がれたり、割れたりすることを防ぐためである。
【0056】
RFIDタグ100に含まれる構成要素のうち、ICチップ30と接続部20Aは、撓むことができず、応力がかかると破損する可能性があるため、ICチップ30と接続部20Aの近傍を撓みにくくすることにより、ICチップ30と接続部20Aを保護するためである。
【0057】
なお、補強部50A、50B、ベース部10、カバー部40を形成する可撓性及び弾性を有する部材の硬度は、例えば、ゴム硬度として設定すればよい。
【0058】
例えば、ベース部10とカバー部40のゴム硬度がJIS
A 70である場合には、補強部50A、50Bのゴム硬度をJIS A 80程度に設定すればよい。
【0059】
また、例えば、ベース部10とカバー部40のゴム硬度がJIS
A 80である場合には、補強部50A、50Bのゴム硬度をJIS A 90程度に設定すればよい。
【0060】
このように、補強部50A、50Bの硬度をベース部10、カバー部40の硬度より高く設定すればよい。なお、補強部50Aと補強部50Bの硬度は等しい値に設定されることが好ましい。
【0061】
次に、
図3を用いて、ベース部10の表面に形成されるアンテナ20と、ベース部10の表面に実装されるICチップ30について説明する。
図3(B)では、ICチップ30とアンテナ20との接続部を説明するために、ICチップ30を拡大して示す。
【0062】
図3(A)は、実施の形態1のRFIDタグ100のアンテナ20を示す平面図であり、(B)は、接続部20Aを拡大して示す図である。
【0063】
図3(A)に示すように、アンテナ20は、ベース部10の一方の面10Bに、例えば、可撓性及び弾性を有する銀ペーストを印刷することによって形成される。アンテナ20は、アンテナ部21、22を含むダイポール型のアンテナである。
【0064】
アンテナ部21、22の長さは、RFIDタグ100の無線通信に用いる周波数に応じて設定すればよい。日本では、例えば、952MHz〜954MHz、又は2.45GHzの周波数帯がRFIDタグ用に割り当てられているため、アンテナ部21の端部21Bから、アンテナ部22の端部22Bまでの長さが使用周波数における波長λの1/2の長さになるようにすればよい。また、米国では915MHz、欧州(EU)では868MHzが代表的な周波数として割り当てられているため、これらの周波数における波長λの1/2の長さになるようにすればよい。
【0065】
ここで、ICチップ30が実装される領域30Aを破線で示す。ICチップ30のアンテナ20に接続される一対の端子は、アンテナ部21の端子21Aと、アンテナ部22の端子22Aに接続される。
【0066】
なお、ベース部10の一方の面10Bは、
図2に示すベース部10の表面10A(
図2中の下側の面)とは反対の面であり、この一方の面10Bの上に、カバー部40が張り合わされる。
【0067】
図3(B)に示すように、ICチップ30の通信用の端子は、ベース部10の一方の面にフリップチップ実装されることにより、アンテナ20に接続される。ICチップ30は、バンプ31、32を介して、アンテナ20の端子21A、22Aに接続される。
【0068】
ICチップ30がアンダーフィル部60によってベース部10に接続されることにより、アンテナ20の端子21A、22Aとバンプ31、32が接続され、アンテナ20とICチップ30とが電気的に接続される。
【0069】
図2に示すICチップ30とアンテナ20とを接続する接続部20Aは、
図3(B)に拡大して示す、端子21A、22B、及びバンプ31、32に対応する。
【0070】
次に、
図4を用いて、アンテナ20を形成する銀ペースト23について説明する。
【0071】
図4は、実施の形態1のRFIDタグ100のアンテナ20を形成する銀ペースト23の構造を示す図である。
【0072】
実施の形態1のRFIDタグ100のアンテナ20を形成する銀ペースト23は、導電粒子としての銀粒子24と、バインダー25とを含む導電ペーストの一例である。
図4には、銀粒子24を円で示し、円で示す銀粒子24の周りに存在する部分がバインダー25である。
【0073】
バインダー25は、可撓性及び弾性を有する部材であればよい。バインダー25としては、例えば、シリコーン(シリカケトン)ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴムを用いることができる。銀粒子24は、バインダー25と混合されている。
【0074】
ここで、バインダー25として可撓性及び弾性を有する部材を用いるのは、アンテナ20に可撓性と弾性を持たせることにより、RFIDタグ100が圧力脱水にかけられて折り曲げられたような場合に、アンテナ20が破損することを抑制するためである。
【0075】
アンテナ20は、ベース部10の面10B上に
図3に示すように銀ペースト23を印刷し、さらに加熱してバインダー25を熱硬化させることによって形成される。熱硬化を行った後の銀ペーストは可撓性及び弾性を有するので、可撓性及び弾性を有するアンテナ20を形成することができる。
【0076】
なお、ここでは導電粒子として銀粒子24を含む銀ペースト23について説明するが、導電粒子として銅粒子を含む銅ペースト、又は、導電粒子としてニッケル粒子を含むニッケルペーストを銀ペースト23の代わりに用いてもよい。
【0077】
次に、
図5及び
図6を用いて、RFIDタグ100の各部の寸法について説明する。
【0078】
図5及び
図6は、実施の形態1のRFID100を示す図である。
図5(A)は折り曲げられていない状態のRFIDタグ100を示す断面図、
図5(B)は折り曲げられていない状態のRFIDタグ100を示す平面図である。
図5(A)に示す断面は、
図2(A)に示す断面と同一であり、
図5(B)におけるA−A’矢視断面である。
【0079】
図6(A)はコの字型に折り曲げられた状態のRFIDタグ100を示す断面図、
図6(B)はコの字型に折り曲げられた状態のRFIDタグ100を示す平面図である。
図6(A)に示す断面は、
図6(B)におけるB−B’矢視断面である。
【0080】
図6(C)は、斜めに捻られてコの字型に折り曲げられた状態のRFIDタグ100を示す平面図、
図6(D)は、圧力がかかった状態でコの字型に折り曲げられた状態のRFIDタグ100を示す断面図である。
図6(D)に示す断面は、
図6(B)におけるB−B’矢視断面に対応する断面である。
【0081】
ここで、
図5(A)に示すICチップ30の横方向の辺の長さをX1とする。ICチップ30は平面視で正方形であるものとし、
図5(B)に示すように、縦方向の長さX2は横方向の長さX1と等しいものとする。ここで、横方向の長さX1と、縦方向の長さX2とを特に区別しない場合に、長さXと称することとする。
【0082】
また、補強部50A、50Bについても同様に、
図5(A)に示す補強部50A、50Bの横方向の長さをL1とする。補強部50A、50Bは、サイズが等しく、縦方向の長さは、ともにL2であるものとする(
図5(B)参照)。ここで、横方向の長さL1と、縦方向の長さL2とを特に区別しない場合に、長さLと称することとする。
【0083】
また、ベース部10とカバー部40とは、すべてのサイズが等しく、
図5(A)に示すように、厚さをD1とする。また、補強部50A、50Bの厚さをD2とする。
【0084】
ここで、
図5(A)、(B)に示すRFIDタグ100は、補強部50B及びカバー部40を内側にして
図5(A)に示す矢印Aの方向に折り曲げられると、
図6(A)、(B)に示すようにコの字型に折り曲げられた状態になる。
【0085】
また、RFIDタグ100は、
図5(A)、(B)に示す状態から斜めに捻られながら折り曲げられると、
図6(C)に示すように斜めに捻られて、かつ、コの字型に折り曲げられた状態になる。
【0086】
また、RFIDタグ100は、
図5(A)、(B)に示す状態からコの字型に折り曲げられ、コの字を押し潰すように圧力がかかると、
図6(D)に示す状態になる。
図6(D)に示すRFIDタグ100は、矢印P1、P2の方向の圧力がかかることにより、
図6(A)に示す状態のRFIDタグ100よりも、ベース部10、カバー部40、補強部50A、50Bが厚さ方向に押し潰されている。
【0087】
図6(A)〜(C)に示すような状態は、RFIDタグ100が取り付けられたシーツ等が洗濯機等で洗濯されるときに生じ得る状態である。また、特に、圧力脱水によってRFIDタグ100に圧力がかけられると、
図6(D)に示すように、折り曲げられた上に、押し潰されることがあり得る。
【0088】
RFIDタグ100にとって最も過酷な状態は、
図6(C)に示すように斜めに捻られてコの字型に折り曲げられた上で、さらに圧力によって
図6(D)に示すように押し潰される状態である。
【0089】
図6(D)に示すようにRFIDタグ100に矢印P1、P2の方向の圧力がかかることにより、ベース部10とカバー部40の厚さはD1’(D1’<D1)になり、補強部50A、50Bの厚さはD2’(D2’<D2)になる。
【0090】
ベース部10及びカバー部40は、可撓性及び弾性を有するため、
図6(D)に示すように変形可能である。同様に、アンテナ20は可撓性及び弾性のある銀ペーストによって形成されているため、
図6(D)に示すように変形可能である。
【0091】
しかしながら、ICチップ30及び接続部20Aは、変形すると破損する可能性があるため、
図6(C)に示すように斜めに捻られてコの字型に折り曲げられた上で、さらに圧力によって
図6(D)に示すように押し潰される状態においても、変形から守られなければならない。
【0092】
そこで、実施の形態1のRFIDタグ100は、ICチップ30及び接続部20Aを保護するために、ICチップ30の長さX、補強部50A、50Bの長さLと厚さD2、及び、ベース部10とカバー部40の厚さD1の間に次の関係式(1)〜(3)が成り立つようにする。
【0093】
L > X ・・・(1)
α> √2×X ・・・(2)
α=2×{(D1−δ1)+(D2−δ2)} ・・・(3)
ここで、δ1は、ベース部10とカバー部40に所定の圧力がかかった場合に、ベース部10とカバー部40の厚さが(D1よりも)薄くなる分(変形量)を表す。また、δ2は、補強部50A、50Bに所定の圧力がかかった場合に、補強部50A、50Bの厚さが(D2よりも)薄くなる分(変形量)を表す。
【0094】
(D1−δ1)は、
図6(D)に示すようにRFIDタグ100に矢印P1、P2の方向の圧力がかかったときのベース部10とカバー部40の厚さD1’である。また、(D2−δ2)は、
図6(D)に示すようにRFIDタグ100に矢印P1、P2の方向の圧力がかかったときの補強部50A、50Bの厚さD2’である。
【0095】
なお、
図6(D)に示すベース部10とカバー部40の厚さD1’と、補強部50A、50Bの厚さD2’は、RFIDタグ100がコの字型に折り曲げられた上で、さらに圧力によって押し潰された状態における寸法であり、RFIDタグ100は
図6(C)に示すように捻られてはいない。しかし、ベース部10とカバー部40の厚さと、補強部50A、50Bの厚さは、
図6(C)に示すように斜めに捻られてコの字型に折り曲げられた上で、
図6(D)に示すように押し潰されても、
図6(D)に示す厚さD1’、D2’と略同一である。このため、ここでは、捻りの有無にかかわらず、RFIDタグ100がコの字型に折り曲げられた上で、さらに圧力によって押し潰された状態では、ベース部10とカバー部40の厚さはD1’であり、補強部50A、50Bの厚さはD2’であるものとして取り扱う。
【0096】
式(1)は、補強部50A、50Bの平面視でのサイズが、ICチップ30の平面視でのサイズよりも大きいことを表す(
図5(B)参照)。
【0097】
また、式(2)は、
図6(D)に示すように、コの字型に折り曲げられて、かつ、矢印P1、P2の方向に圧力がかかった場合に、
図6(D)に示す寸法αが、ICチップ30の最大の寸法(√2×X)よりも大きいことを表す。式(2)は、寸法αがICチップ30の最大寸法より大きければ、ICチップ30及び接続部20Aに変形は生じず、ICチップ30及び接続部20Aの破損を抑制できることから導出される条件である。
【0098】
ここで、ICチップ30の最大の寸法(√2×X)は、平面視で矩形状のICチップ30の対角線上の長さである。
【0099】
また、寸法αは、
図6(D)に示す状態において、ベース部10及びカバー部40の内側に存在する補強部50Bの厚さ(D2−δ2)と、カバー部40の厚さ(D1−δ1)とによって得られる寸法であり、式(3)で表される。
【0100】
寸法αは、RFIDタグ100がベース部10又はカバー部40のどちらが内側になってコの字型に折れ曲がり、かつ、圧力がかかっても、ICチップ30の内側に位置する補強部50Aとベース部10、又は、補強部50Bとカバー部40によって確保される寸法である。
【0101】
このように、実施の形態1のRFIDタグ100によれば、補強部50A、50Bの平面視でのサイズがICチップ30の平面視でのサイズよりも大きく(式(1)参照)、かつ、
図6に示す寸法αが、ICチップ30の最大の寸法(√2×X)よりも大きい(式(2)参照)。
【0102】
このため、
図6(C)に示すように、RFIDタグ100が斜めに捻られてコの字型に折り曲げられた上で、さらに
図6(D)に示すように圧力によって押し潰されても、補強部50A、50B、ベース部10、カバー部40によってICチップ30と接続部20Aの破損を抑制することができる。
【0103】
従って、例えば、圧力脱水のように過酷な状況に晒されても、ICチップ30と接続部20Aの破損を抑制でき、耐久性の非常に高いRFIDタグ100を提供することができる。
【0104】
なお、変形量δ1は、ベース部10及びカバー部40の材質と、ベース部10及びカバー部40にかかる圧力によって異なる。同様に、変形量δ2は、補強部50A、50Bの材質と、補強部50A、50Bにかかる圧力によって異なる。
【0105】
このため、ベース部10及びカバー部40の厚さD1は、ベース部10及びカバー部40の材質と、RFIDタグ100を取り付けるシーツ等の物品がかけられる圧力脱水の圧力とに応じて決まる変形量δ1を考慮して式(2)が成立するように決定すればよい。
【0106】
同様に、補強部50A、50Bの厚さD2は、補強部50A、50Bの材質と、RFIDタグ100を取り付けるシーツ等の物品がかけられる圧力脱水の圧力とに応じて決まる変形量δ2を考慮して式(2)が成立するように決定すればよい。
【0107】
なお、ここでは、ICチップ30は平面視で正方形である場合について説明したが、ICチップ30が平面視で長方形である場合は、式(1)、(2)を満たす長さXとしてICチップ30の平面視における長方形の長辺の長さを持ち入ればよい。
【0108】
同様に、ここでは、補強部50A、50Bの平面視における横方向の長さL1と縦方向の長さL2が等しい場合について説明したが、長さL1と長さL2が異なる場合は、長さL1と長さL2のうち長い方を式(1)を満たす長さLとして用いればよい。すなわち、補強部50A、50Bが平面視で長方形である場合は、式(1)を満たす長さLとして、補強部50A、50Bの平面視における長辺の長さを用いればよい。
【0109】
また、式(2)では、ICチップ30の最大の寸法を(√2×X)としたが、ICチップ30の辺の長さXを√2倍しなくてもICチップ30の破損を抑制できる場合には、√2倍せずに、式(2)を以下の式(2’)のように変形してもよい。
【0110】
α> √2×X ・・・(2’)
次に、
図7乃至
図9を用いて、RFIDタグ100の製造方法について説明する。
【0111】
図7乃至
図9は、実施の形態1のRFIDタグ100の製造方法を示す図である。
図7(A)、(C)、
図8(A)、(C)、及び
図9(A)は、それぞれ、製造過程におけるRFIDタグ100を示す断面図である。
図7(B)、(D)、
図8(B)、(D)、及び
図9(B)は、製造過程におけるRFIDタグ100を示す平面図である。
図7(A)、(C)、
図8(A)、(C)、及び
図9(A)に示す断面は、それぞれ、
図7(B)、(D)、
図8(B)、(D)、及び
図9(B)におけるA−A’矢視断面を示す。
【0112】
図7乃至
図9では、
図3(B)と同様に、ICチップ30とアンテナ20との接続部と、補強部50A、50Bを拡大して示す。
【0113】
まず、カレンダーロール機を用いたカレンダー成形、又は、押し出し成形等によって製造したベース部10を用意し、ベース部10の一方の面10Bの上に、アンテナ20を形成するために、銀ペースト23を印刷する。
【0114】
また、銀ペースト23をベース部10の一方の面10Bの上に形成した状態で、銀ペースト23を加熱することにより、バインダー25を熱硬化させ、可撓性及び弾性を有する状態にする。これにより、可撓性及び弾性を有するアンテナ部21、22を含むアンテナ20が形成される。アンテナ部21、22は、それぞれ、
図7(B)に示すように、端子21A、22Aを含む。
【0115】
次に、
図7(C)、(D)に示すように、ベース部10の一方の面10Bのうち、アンテナ部21の端子21Aと、アンテナ部22の端子22Aとの間の部分に、接着剤61を塗布する。接着剤61は、例えば、
図7(C)に示すように、シリンジ62を用いてベース部10の一方の面10B上に塗布すればよい。
【0116】
接着剤61としては、例えば、ICチップ30をベース部10の一方の面10B上にフリップチップ実装するための熱硬化性のあるエポキシ系の接着剤を用いればよい。接着剤61が塗布される部分は、端子21A、22Aの間に位置する。
【0117】
次に、
図8(A)、(B)に示すように、ベース部10の一方の面10BにICチップ30を実装する。ICチップ30の下面のアンテナ接続用の端子にバンプ31、32を取り付け、バンプ31、32をアンテナ部21、22の端子21A、22Aにそれぞれ位置合わせして、ICチップ30を接着剤61の上に搭載する。
【0118】
この状態で、ICチップ30をベース部10に押圧しながら、接着剤61を加熱して熱硬化させることにより、バンプ31、32と端子21A、22Aと圧着させることにより、電気的な接続を確保する。このとき、接着剤61は熱硬化してアンダーフィル部60になる。
【0119】
バンプ31、32、端子21A、22A、及び、アンダーフィル部60は、ICチップ30とベース部10との接続部である。
【0120】
次に、
図8(C)、(D)に示すように、ベース部10の上に、カバー部40を取り付ける。カバー部40は、例えば、カレンダーロール機を用いたカレンダー成形、又は、押し出し成形等によって製造することができる。実施の形態1では、カバー部40は、ベース部10と同一のシート部材である。
【0121】
カバー部40は、アンテナ20及びICチップ30が実装されたベース部10の一方の面10B(
図8(A)、(B)参照)の上に、接着剤によって固定される。これにより、アンテナ20及びICチップ30は、ベース部10との間でカバー部40によって覆われることになる。
【0122】
カバー部40をベース部10に接着する接着剤としては、カバー部40とベース部10の可撓性及び弾性を保持した状態でカバー部40とベース部10とを接着できる接着剤であれば、どのような接着剤であってもよい。
【0123】
好適には、例えば、カバー部40、ベース部10と同様の素材を含む接着剤を用いればよい。例えば、カバー部40とベース部10がシリコーン(シリカケトン)ゴム、ブチルゴム、又はニトリルゴムで形成されている場合は、それぞれ、シリコーン(シリカケトン)ゴム系の接着剤、ブチルゴム系の接着剤、又はニトリルゴム系の接着剤を用いればよい。
【0124】
なお、カバー部40とベース部10との接着は、接着剤を用いた接着に限定されず、例えば、カバー部40をベース部10に熱圧着してもよい。この場合は、例えば、カバー部40の表面40Aとは反対側の面(ベース部10の一方の面10Bに接着される面)を加熱して溶融させてから、カバー部40をベース部10に圧着することにより、カバー部40をベース部10に取り付ければよい。
【0125】
次に、
図9(A)、(B)に示すように、補強部50A、50Bをベース部10とカバー部40の表面10A、40Aにそれぞれ取り付ける。
【0126】
補強部50Aは、ベース部10の表面10Aのうち、ICチップ30、端子21A、22A、及びバンプ31、32の下に位置する部分に接着される。ここで、端子21A、22A、及びバンプ31、32は、ICチップ30とアンテナ20との接続部20A(
図2参照)である。
【0127】
補強部50Bは、カバー部40の表面40Aのうち、ICチップ30、端子21A、22A、及びバンプ31、32の上に位置する部分に接着される。
【0128】
補強部50A、50Bのベース部10、カバー部40の表面10A、40Aへの固定は、例えば、接着剤を用いて行えばよい。補強部50A、50Bとベース部10、カバー部40との固定に用いる接着剤は、補強部50A、50B、ベース部10、及びカバー部40の可撓性及び弾性を保持した状態で接着できる接着剤であれば、どのような接着剤であってもよい。
【0129】
好適には、例えば、補強部50A、50B、ベース部10、及びカバー部40と同様の素材を含む接着剤を用いればよい。例えば、補強部50A、50B、ベース部10、及びカバー部40がシリコーン(シリカケトン)ゴム、ブチルゴム、又はニトリルゴムで形成されている場合は、それぞれ、シリコーン(シリカケトン)ゴム系の接着剤、ブチルゴム系の接着剤、又はニトリルゴム系の接着剤を用いればよい。
【0130】
なお、補強部50A、50Bとベース部10、カバー部40との接着は、接着剤を用いた接着に限定されず、例えば、熱圧着してもよい。この場合は、例えば、補強部50A、50Bの接着面を加熱して溶融させた状態で、それぞれ、ベース部10、カバー部40の表面10A、40Aに圧着することにより、ベース部10、カバー部40に取り付ければよい。以上により、RFIDタグ100が完成する。
【0131】
このように、実施の形態1のRFIDタグ100によれば、補強部50A、50Bの平面視でのサイズがICチップ30の平面視でのサイズよりも大きく(式(1)参照)、かつ、寸法α(
図6参照)が、ICチップ30の最大の寸法(√2×X)よりも大きい(式(2)参照)。
【0132】
このため、
図6(C)に示すように、RFIDタグ100が斜めに捻られてコの字型に折り曲げられた上で、さらに
図6(D)に示すように圧力によって押し潰される状態においても、補強部50A、50B、ベース部10、カバー部40によってICチップ30と接続部20Aの破損を抑制することができる。
【0133】
従って、例えば、圧力脱水のように過酷な状況に晒されても、ICチップ30と接続部20Aの破損を抑制でき、耐久性の非常に高いRFIDタグ100を提供することができる。
【0134】
なお、以上では、ダイポール型のアンテナ20のパターンが直線状である形態(
図3(A)参照)について説明したが、アンテナ20は直線状のパターンのものに限定されない。
【0135】
図10は、実施の形態1の変形例のRFIDタグ100のアンテナ120を示す図である。アンテナ120は、ベース部10の一方の面10Bに形成されるアンテナ部121、122を含む。アンテナ部121、122は、折り曲げられたパターンを有する。
【0136】
アンテナ部121、122の長さは、
図3(A)に示すアンテナ部21、22と同一である。また、アンテナ120は、平面視におけるパターンがアンテナ20と異なるだけで、その他の構成は、
図3(A)に示すアンテナ20と同様である。
【0137】
図10に示すように、アンテナ120のアンテナ部121、122が折り曲げられた形状にパターニングされる場合は、ベース部10、カバー部40の平面視におけるサイズを小さくできる。
図10に示すベース部10は、
図3(A)に示すベース部10に比べて、横方向の長さが約2/3に小型化されている。
【0138】
実施の形態1のRFIDタグ100は、
図10に示すように平面視で折り曲げられたパターンのアンテナ120を含むことにより、小型化を図ってもよい。
【0139】
また、
図11は、実施の形態1のRFIDタグ100をTシャツ150に縫いつけた状態を示す図である。Tシャツ150の右肩の部分には、RFIDタグ100が縫いつけられている。実施の形態1のRFIDタグ100は、例えば、
図11に示すようにTシャツ150に縫いつけて利用してもよいし、シーツ等に縫いつけて利用してもよい。
【0140】
図12は、圧力脱水を行う脱水機500を示す図である。
【0141】
実施の形態1のRFIDタグ100を縫いつけたTシャツ150は、例えば、圧力脱水用の脱水機500にかけられ、洗濯が行われる。
【0142】
脱水機500は、筐体510、加圧ピストン520、及び排水口530を含む。筐体510内に入れられた大量の洗濯物540は、加圧ピストン520により、例えば、30kgf/cm
2〜50kgf/cm
2程度の圧力(矢印P参照)が加えられることにより、強制的に脱水が行われる。洗濯物540から脱水された水分は、排水口530を通じて排水される。
【0143】
このような洗濯物540に、
図11に示すTシャツ150が含まれていて、Tシャツに縫いつけられたRFIDタグ100が、斜めに捻られてコの字型に折り曲げられた上に押し潰されても、補強部50A、50B、ベース部10、カバー部40によってICチップ30と接続部20Aの破損は抑制される。
【0144】
従って、圧力脱水用の脱水機500にかけても、ICチップ30と接続部20Aの破損を抑制でき、耐久性の非常に高いRFIDタグ100を提供することができる。
【0145】
なお、以上では、補強部50A、50Bの硬度がベース部10、カバー部40よりも高い形態について説明したが、補強部50A、50Bとベース部10、カバー部40の硬度は上述のような形態には限られない。
【0146】
すなわち、補強部50A、50Bの硬度は、ベース部10、カバー部40よりも低くてもよく、又は、同一であってもよい。
【0147】
例えば、補強部50A、50Bの硬度をベース部10、カバー部40よりも低く設定する場合には、例えば、ゴム硬度で表すと次のように設定すればよい。
【0148】
ベース部10とカバー部40のゴム硬度がJIS A 70である場合に、補強部50A、50Bのゴム硬度をJIS
A 20〜40程度に設定すればよい。
【0149】
また、補強部50A、50Bとベース部10、カバー部40の硬度を等しくする場合には、例えば、補強部50A、50B、ベース部10、カバー部40のゴム硬度をJIS
A 70〜80程度に設定すればよい。
【0150】
なお、実施の形態1において示した補強部50A、50B、ベース部10、カバー部40の硬度は一例であり、実施の形態1において示した硬度に限定する趣旨ではない。また、硬度はゴム硬度に限られず、他の硬度で表される値に設定されてもよい。
【0151】
<実施の形態2>
実施の形態2のRFIDタグ200は、補強部250A、250Bが、それぞれベース部210、カバー部240と一体的に形成されている点が実施の形態1のRFIDタグ100と異なる。その他の構成は実施の形態1のRFIDタグ100と同様であるため、同一又は同等の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0152】
図13は、実施の形態2のRFIDタグ200を示す図であり、(A)は長手方向の断面を示す図、(B)は平面図、(C)は短手方向の断面を示す図である。
図13(A)に示す断面は、
図13(B)におけるA−A’矢視断面を示し、
図13(C)に示す断面は、
図13(B)におけるB−B’矢視断面を示す。
【0153】
補強部250Aは、ベース部210の表面210Aに形成されており、RFIDタグ200を組み立てた状態では、表面210Aの外側に突出している。これは、実施の形態1における補強部50Aと同様である。
【0154】
補強部250Aは、ベース部210と一体的に形成されている。このような補強部250Aが一体的に形成されるベース部210は、例えば、押し出し成形等によって製造することができる。
【0155】
補強部250Bは、カバー部240の表面240Aに形成されており、RFIDタグ200を組み立てた状態では、表面240Aの外側に突出している。これは、実施の形態1における補強部50Bと同様である。
【0156】
補強部250Bは、カバー部240と一体的に形成されている。このような補強部250Bが一体的に形成されるカバー部240は、例えば、押し出し成形等によって製造することができる。
【0157】
ここで、上述のように、実施の形態2のRFIDタグ200は、補強部250A、250Bがそれぞれベース部210、カバー部240と一体的に形成されている。このため、RFIDタグ200の製造方法は、実施の形態1のRFIDタグ100の製造方法から、補強部50A、50Bをベース部10、カバー部40に取り付ける工程を省いたものである。
【0158】
従って、実施の形態2のRFIDタグ200の製造方法については説明を省略する。
【0159】
また、補強部250A、250Bは、それぞれ、ベース部210、カバー部240と一体的に形成されていること以外は、実施の形態1の補強部50A、50Bと同様である。
【0160】
従って、補強部250A、250Bの長さL及び厚さDは、実施の形態1の補強部50A、50Bの長さL及び厚さD(
図5参照)と同様であり、実施の形態1で示した式(1)乃至(3)の条件を満たす。
【0161】
従って、実施の形態2のRFIDタグ200によれば、補強部250A、250Bの平面視でのサイズがICチップ30の平面視でのサイズよりも大きく(式(1)参照)、かつ、寸法α(
図6参照)が、ICチップ30の最大の寸法(√2×X)よりも大きい(式(2)参照)。
【0162】
このため、RFIDタグ200が斜めに捻られてコの字型に折り曲げられた上で、さらに圧力によって押し潰される状態においても、補強部250A、250B、ベース部210、カバー部240によってICチップ30と接続部20Aの破損を抑制することができる。
【0163】
従って、例えば、圧力脱水のように過酷な状況に晒されても、ICチップ30と接続部20Aの破損を抑制でき、耐久性の非常に高いRFIDタグ200を提供することができる。
【0164】
<実施の形態3>
実施の形態3のRFIDタグ300は、ICチップ30がストラップ370に実装されており、ストラップ370がベース部10に取り付けられている点が実施の形態1のRFIDタグ100と異なる。また、これに伴い、補強部50A、50Bが実施の形態1の補強部50A、50Bよりも少し大きくなっている。その他の構成は実施の形態1のRFIDタグ100と同様であるため、同一又は同等の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0165】
図14は、実施の形態3のRFIDタグ300を示す図であり、(A)は長手方向の断面を示す図、(B)は平面図である。
図14(A)に示す断面は、
図13(B)におけるA−A’矢視断面を示す。
【0166】
ICチップ30は、ストラップ370にフリップチップ実装され、ストラップ370は、
図14中の下面にICチップ30が取り付けられた状態で、接続部371、372を介して、アンテナ20の端子21A、22A(
図3(A)参照)に接続される。ストラップ370は、例えば、ポリエチレン製のフィルム上の部材、又は、ベース部10と同様に、可撓性及び弾性を有するシート状の部材である。
【0167】
補強部50A、50Bは、
図14(A)、(B)における横方向の長さが、実施の形態1の補強部50A、50Bよりも少し長くなっている。
【0168】
実施の形態3において、ICチップ30は、実施の形態1とは天地が逆にされた状態でベース部10に取り付けられる。この詳細については、
図15乃至
図18を用いて製造方法と併せて説明する。
【0169】
図15乃至
図18は、実施の形態3のRFIDタグ300の製造方法を示す図である。
【0170】
図15(A)はICチップ30が実装されたストラップ370を示す断面図、
図15(B)はICチップ30が実装されたストラップ370を示す平面図である。
図15(A)に示す断面は、
図15(B)におけるA−A’矢視断面である。
【0172】
実施の形態3のRFIDタグ300に含まれるICチップ30は、
図15(A)、(B)に示すように、ストラップ370の一方の表面370Aの上にフリップチップ実装される。
【0173】
図15(A)、(B)に示すように、ストラップ370は、表面370A上に形成されたパッド373、374を有する。パッド373、374は、例えば、銅箔又はアルミ箔であればよい。
【0174】
ICチップ30は、実施の形態1においてICチップ30がベース部10に対してバンプ31、32を介してフリップチップ実装されたのと同様に、バンプを介してストラップ370にフリップチップ実装されている。ICチップ30の通信用の端子は、バンプを介してストラップ370のパッド373、374に接続されている。
【0175】
次に、
図16(A)、(B)に示すように、ベース部10のアンテナ部21、22の端子21A、22Aに導電性接着剤361をシリンジ362で塗布し、ストラップ370のパッド373、374と端子21A、22Aを導電性接着剤361を介して接続する。
【0176】
このように導電性接着剤361を用いてストラップ370のパッド373、374と端子21A、22Aとを接続することにより、端子21A、22B、パッド373、374、及び導電性接着剤361は、
図17(A)、(B)に示すように、接続部371、372になる。
【0177】
なお、導電性接着剤361は、例えば、銀ペースト又は銅ペーストであればよい。ストラップ370がポリエチレン製である場合は、実施の形態1における銀ペースト23のように、可撓性及び弾性を有するものではなくてよい。一方、ストラップ370が可撓性及び弾性を有する場合は、導電性接着剤361は、実施の形態1の銀ペースト23のように、可撓性及び弾性を有することが好ましい。
【0178】
この時点では、
図17(A)、(B)に示すように、ICチップ30は、ストラップ370を介して、ベース部10の一方の面10Aに実装されている。
【0179】
次に、カバー部40を実施の形態1のRFIDタグ100と同様に、ベース部10の上にカバー部40を接着し、さらに、補強部50A、50Bをベース部10、カバー部40の表面10A、40Aに接着することにより、
図18(A)、(B)に示すように、実施の形態3のRFIDタグ300が完成する。
【0180】
ここで、実施の形態3のRFIDタグ300では、実施の形態1において示した式(2)におけるXは、ストラップ370の長辺の長さ(
図14(B)参照)となる。実施の形態3では、アンテナ20とICチップ30との接続部371、372は、実施の形態1のようにICチップ30の下側ではなく、平面視においてICチップ30よりも外側にあり、平面視におけるストラップ370の輪郭より内側にある。このため、式(2)におけるXをストラップ370の長辺の長さに設定すれば、ストラップ370の変形を抑制することにより、ICチップ30と接続部371、372の変形を抑制できるからである。
【0181】
実施の形態3のRFIDタグ300は、ICチップ30がストラップ370を介してベース部10に実装されていることと、式(2)におけるXの値としてストラップ370の長辺の長さを用いること以外は、実施の形態1のRFIDタグ100と同様である。
【0182】
このため、RFIDタグ300が斜めに捻られてコの字型に折り曲げられた上で、さらに圧力によって押し潰される状態においても、補強部50A、50B、ベース部10、カバー部40によってICチップ30と接続部371、371の破損を抑制することができる。
【0183】
また、ICチップ30はストラップ370にフリップチップ実装されているので、ICチップ30の通信用の端子とストラップ370の接続部の破損も抑制される。
【0184】
従って、例えば、圧力脱水のように過酷な状況に晒されても、ICチップ30と接続部371、371の破損を抑制でき、耐久性の非常に高いRFIDタグ300を提供することができる。
【0185】
以上、本発明の例示的な実施の形態のRFIDタグについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態1乃至3に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
可撓性及び弾性を有する第1シート部と、
前記第1シート部の表面に形成され、可撓性及び弾性を有するアンテナと、
前記アンテナに電気的に接続されるICチップと、
前記第1シート部との間で前記アンテナと前記ICチップを覆い、可撓性及び弾性を有する第2シート部と、
前記ICチップ、及び、前記ICチップと前記アンテナとの接続部を覆い、可撓性及び弾性を有する補強部と
を含む、RFIDタグ。
(付記2)
前記補強部は、前記第1シート部又は前記第2シート部の外側に配設される、付記1記載のRFIDタグ。
(付記3)
前記補強部は、前記第1シート部又は前記第2シート部の外表面に接続されることにより、前記第1シート部又は前記第2シート部の外側に配設される、付記2記載のRFIDタグ。
(付記4)
前記補強部は、前記第1シート部又は前記第2シート部の外側において、前記第1シート部又は前記第2シート部と一体的に形成される、付記2記載のRFIDタグ。
(付記5)
前記補強部の硬度は、前記第1シート部又は前記第2シート部の硬度よりも高い、付記1乃至4のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記6)
前記補強部の硬度は、前記第1シート部又は前記第2シート部の硬度よりも低い、付記1乃至4のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記7)
前記補強部の硬度は、前記第1シート部又は前記第2シート部の硬度と等しい、付記1乃至4のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記8)
前記ICチップが一方の面に実装されるシート状のストラップをさらに含み、
前記ICチップは、前記ストラップが前記一方の面を前記第1シート部の前記アンテナが形成される面に向かい合わせて前記第1シート部に接続されることにより、前記アンテナに電気的に接続される、付記1乃至7のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記9)
第1シート部及び前記第2シートの厚さをD1、第1シート部及び前記第2シートに所定の圧力がかかったときの厚さD1の変形量をδ1、前記ICチップ(30)の長辺の長さをX、前記補強部の長辺の長さをL、前記補強部の厚さをD2、前記補強部に所定の圧力がかかったときの厚さD2の変形量をδ2とすると、L
> X、かつ、2×{(D1−δ1)+(D2−δ2)}> √2×Xを満たす、付記1乃至8のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記10)
前記第1シート部、又は、前記第2シート部は、シリコーンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、塩化ビニル系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、又は、アミド系エラストマーによって形成される、付記1乃至9のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記11)
前記アンテナは、導電粒子と、当該導電粒子と混合されるバインダーとを含む導電ペーストによって形成されており、前記バインダーは、シリコーンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、又は、ウレタンゴムである、付記1乃至10のいずれか一項記載のRFIDタグ。