(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
我が国は、国土の大半が山間部で占められ、しかも急峻な地形であることから、地方に整備される道路は多くの橋梁に頼っているのが現状である。一方、都市部では無数の構造物が密集しており、そこへ新たな道路を計画するとなれば、跨道橋、跨線橋、高架橋など、やはり多くの橋梁に頼ることとなる。
【0003】
橋梁は、その損壊時における社会的影響を考えるまでもなく重要な構造物であり、そのため古くから「道路橋示方書・同解説」といった設計基準を整備して厳格に設計され、そして極めて高い品質で施工されている。このように橋梁は高品質が求められる一方で、社会的要請と技術力の向上から、より経済的に、より短い工期で、施工されることも求められるようになってきた。
【0004】
橋梁の上部工を構成する床版は、新設時に設置されるのは当然のことながら、既設橋の改修時にも設置されるものであり、近年では次のような理由から既設橋改修が頻繁に行われるようになり、これに伴って高付加価値床版への取替の機会も増加している。
【0005】
東京オリンピックを目前にした昭和30年代は、いわゆる建設ラッシュといわれ多くのコンクリート構造物が構築された。これらのコンクリート構造物も、現在では約50年が経過しようとしている。コンクリートの耐久性は50年とも100年ともいわれるが、これについては未だ検証されておらず、仮に50年とすると我が国の多くのコンクリート構造物、例えば橋梁のコンクリート床版は何らかの補強対策を必要としていることになる。実際、昨今では地方自治体を中心に橋梁点検が実施されており、多くのコンクリート床版の劣化や損傷が発見されている。このような状況から、盛んに既設橋コンクリート床版の改修工事が行われている。
【0006】
前述のとおり橋梁工事は急速施工が要請されるところであり、既設橋の改修工事の場合は特に工期短期が求められている。例えば高速道路など自動車専用道路の高架橋は、膨大な交通量を確保して我が国の流通産業を支えており、供用停止による経済的損失を考えると一日でも早く工事を完成することが強く望まれる。
【0007】
以上のような背景から、橋梁の床版にはプレキャスト床版が多用されるようになってきた。従来から採用されている場所打ちコンクリート工法では、型枠設置からコンクート打設、さらには養生期間と、長い施工期間を必要としていたが、プレキャスト床版は工場で製作され、しかも容易に設置できるため、現場を占有する期間が極めて短くなる。しかも技術の進歩によりプレキャスト床版の適用範囲が大幅に広がり、例えば鋼・コンクリート合成床版形式とすることで、10mを超える長支間や、半径100m以下の曲線橋、斜角45°程度の斜橋などにも適用可能で、プレキャスト床版が採用しやすくなってきたことも、プレキャスト床版の採用を後押ししている。
【0008】
なお、一般的に「プレキャスト」とは、工場や製造ヤード(施工現場も含む)などの場所で、あらかじめコンクリート部材を製作しておくことであり、このプレキャストによって製作された床版は「プレキャスト床版」と呼ばれる。
【0009】
一方で、プレキャスト床版は、製作場所から施工現場までの公道輸送を伴うため、あまり大きな部材とすることができない。従って、複数のプレキャスト床版を橋軸方向(あるいは橋軸直角方向)に並べ、それぞれプレキャスト床版同士を連結して、床版全体を完成させている。
【0010】
複数のプレキャスト床版を連結する場合、プレキャスト床版とプレキャスト床版との間にはいわゆる「継手」が設けられる。そしてこの継手には大きく2つの問題が挙げられる。一つは構造上の問題で、もう一つは施工上の問題である。
【0011】
橋梁の床版は、自重や上載荷重、その他衝撃荷重等を受け、その結果、床版には断面力(軸力、せん断力、曲げモーメント)が発生する。床版全体を一体構造として(例えば現場打ちコンクリート工法で)構築すれば、部材全体で荷重を負担し、任意箇所で断面力が集中することはない。一方、プレキャスト床版を連結して橋梁床版を構築した場合、その継手箇所が構造上の弱点となって、せん断力、曲げモーメントが集中してしまうおそれがあるというのが、構造上の問題である。
【0012】
プレキャスト床版は、工事の急速施工を可能にすることが大きな特長であるが、継手箇所での連結作業に手間がかかると、その分だけ急速という効果が減じてしまう。ところが、従来におけるプレキャスト床版の継手では、上記した構造上の問題を補う目的で、補強鉄筋を配置したり、鋼線や鋼棒を緊張してテンションを与えたり、特殊な治具で隣接するプレキャスト床版同士を固定したり、継手箇所にコンクリートやモルタルを打設するなど、種々の「連結補強作業」が行われていた。その結果、プレキャスト床版の大きな特長である急速施工が十分に生かされないというのが、施工上の問題である。特に、継手箇所に打設するコンクリートやモルタルの量が多いと、その打設のために割かれる時間が工期全体に大きな影響を及ぼすこととなる。
【0013】
構造上の問題を解決するため、従来では次のような手法でプレキャスト床版を連結していた。プレキャスト床版の端部には、構造鉄筋(主筋や配力筋のこと)を突出させた継手用鉄筋が設けられており、連結しようとする双方のプレキャスト床版の継手用鉄筋を重ね合わせ、結束線で連結していた。双方の継手用鉄筋を重ね合わせる場合、定着長として所定長さ(鉄筋径Dの30倍以上)を要するため、継手用鉄筋はプレキャスト床版から30D以上の長さで突出させなければならず、つまり連結しようとする双方のプレキャスト床版は、30D以上の間隔を設けて配置されなければならない。例えば構造鉄筋がD22の場合、双方のプレキャスト床版の間隔は700〜800mm程度となり、この700〜800mmに版厚を乗じた空間にモルタルもしくはコンクリートを打設することになる。
【0014】
上記のような継手構造とすれば構造上の問題は解決できるものの、モルタル打設量が大きくなってしまい一方の施工上の問題は解決できない。さらに、連結しようとするプレキャスト床版の継手用鉄筋どうしを結束する必要から、双方の継手用鉄筋の大きなズレ(誤差)が許されず、製作時の鉄筋の位置(ピッチ)や、設置する際の配置には、厳しい精度管理が要求されていた。
【0015】
これまでも構造上の問題あるいは施工上の問題を解決すべく、プレキャスト床版の継手に関する改良技術が提案されており、例えば特許文献1では、「継手部」に打設する間詰めコンクリート容積を減量することで工期短縮とコスト縮減を図った継手構造が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら特許文献1によるプレキャスト床版の継手構造は、プレキャスト床版内の鉄筋に圧縮板を設置するものであり、隣接対向するプレキャスト床版のそれぞれの圧縮板間にコンクリートを挟むことによって、本来は鉄筋に発生する曲げ引張力を圧縮力としてコンクリートに負担させようとするものである。したがって、鉄筋に圧縮板やリブ板を設置するための工場製作が煩雑となり、そのうえ複雑に配置された圧縮板やリブ板を狭隘な継手箇所で配置しながら(しかもリブ板に設けられた貫通孔に鉄筋を通過させる)、隣接対向するプレキャスト床版を連結する必要があり、継手に係る施工は困難であって且つ相当な施工時間を要する。
【0018】
本願発明の課題は、従来技術が抱えていた構造上の問題と施工上の問題を同時に解決することであり、具体的には、構造的な弱点を十分に補いつつ、間詰め材の量を著しく低減させるプレキャスト床版(鋼・コンクリート合成床版形式を含む)と、その継手構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願発明のプレキャスト床版は、桁の上に設置され、継手構造により連結されて使用されるプレキャスト床版において、前記プレキャスト床版がプレキャストコンクリート床版又は鋼床版の上にコンクリート床版を備えたプレキャスト鋼・コンクリート合成床版等のプレキャスト床版であり、版軸方向に延伸する本体部と、その本体部の版軸方向の一端又は両端に設けられる継手端部とを備え、前記継手端部は版軸方向に複数の凸部と凹部を備え、前記凹部と凸部は版軸直角方向に間隔をあけて交互に設けられ、前記凹部又は凸部は、連結するプレキャスト床版を、版軸直角方向両側面を揃えて対向配置すると、一方のプレキャスト床版の凹部と他方のプレキャスト床版の凹部又は凸部が対向する位置関係に設けられ、前記凹部は継手端部の版厚方向途中までの深さの凹部空間の下に底部を備えた有底凹部であり、対向配置されて連結される二枚のプレキャスト床版に跨がせて配置する継手用鉄筋の半分(略半分を含む)を収容可能な長さの細長であり、収容された継手用鉄筋の周囲に間詰め材を充填可能な充填空間が確保される広さであり、横リブがプレキャスト床版の版軸直角方向に設けられ、前記横リブはプレキャスト床版の本体部においてコンクリート内に埋設され、凹部においては凹部の底面から凹部空間内に突出して、凹部空間内に配置される継手用鉄筋を前記底面から浮かせて凹部内に支持して、当該継手用鉄筋の下方を含む周囲に間詰め材を充填可能な間詰め空間を確保することができるものである。
【0020】
本願発明のプレキャスト床版は、桁の上に設置され、継手構造により連結されて使用されるプレキャスト床版において、前記プレキャスト床版がプレキャストコンクリート床版又は鋼床版の上にコンクリート床版を備えたプレキャスト鋼・コンクリート合成床版等のプレキャスト床版であり、版軸方向に延伸する本体部と、その本体部の版軸方向の一端又は両端に設けられる継手端部とを備え、前記継手端部は版軸方向に複数の凹部と凸部を備え、前記凹部と凸部は版軸直角方向に間隔をあけて交互に設けられ、前記凹部又は凸部は、連結するプレキャスト床版を、版軸直角方向両側面を揃えて対向配置すると、一方のプレキャスト床版の凹部と他方のプレキャスト床版の凹部又は凸部が対向する位置関係に設けられ、前記凹部は継手端部の版厚方向途中までの深さの凹部空間の下に底部を備えた有底凹部であり、対向配置されて連結される二枚のプレキャスト床版に跨がせて配置する継手用鉄筋の半分(略半分を含む)を収容可能な長さの細長であり、収容された継手用鉄筋の外周に間詰め材を充填可能な充填空間が確保される広さであり、凸部の先方に継手用鉄筋が突設され、継手用鉄筋は版厚方向に一
段に設けられ、軸方向一端側が凸部内に埋設され、軸方向他端側が凸部の先端面の外に突設され、前記他端側は前記凸部の版軸直角方向のうち、対向配置されるプレキャスト床版の凹部内に収容配置できる箇所に突設されたものとすることもできる。
【0021】
【0022】
本願発明のプレキャスト床版は、前記プレキャスト床版において、プレキャスト鋼・コンクリート合成床版の凹部における鋼床版に、ボルト挿通孔を具備する添接部が設けられ、連結する両プレキャスト床版の添接部と、それに沿わせた添接板をボルト固定することによって、双方のプレキャスト床版の鋼床版を連結可能なものとすることもできる。
【0023】
本願発明のプレキャスト床版は、前記プレキャスト床版において、プレキャスト鋼・コンクリート合成床版の凹部における鋼床版に、底面に対して垂直又は略垂直な添接面が設けられ、この添接面はボルト挿通孔を備え、連結する両プレキャスト床版の添接面をボルト固定することによって、双方のプレキャスト床版の鋼床版を連結可能なものとすることもできる。
【0024】
【0025】
本願発明のプレキャスト床版の継手構造は、版軸方向に延伸する本体部と、その本体部の版軸方向の一端又は両端に設けられる継手端部とを備えたプレキャスト床版同士を連結する継手構造において、プレキャスト床版が請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプレキャスト床版であり、連結する一方のプレキャスト床版の凹部は、連結する他方のプレキャスト床版の凹部又は凸部に対向配置され、継手用鉄筋が前記凹部の凹部空間内に凹部空間の下の底部から浮かして配置され、その継手用鉄筋の下方を含む周囲に充填された間詰め材の内部に埋設された構造である。
【0026】
本願発明のプレキャスト床版の継手構造は、前記プレキャスト床版の継手構造において、プレキャスト床版が請求項1記載のプレキャスト床版であり、連結する一方のプレキャスト床版の凹部は連結する他方のプレキャスト床版の凹部に対向し、対向する双方の凹部によって形成される収容空間に継手用鉄筋が収容されて横リブの上に配置されて凹部空間の底部の上方に浮かされ、その継手用鉄筋の下方を含む周囲に充填された間詰め材の内部に埋設された構造とすることもできる。
【0027】
本願発明のプレキャスト床版の継手構造は、前記プレキャスト床版の継手構造において、プレキャスト床版が請求項2記載のプレキャスト床版であり、連結する一方の凹部が連結する他方の凸部に対向し、凸部から突出している継手用鉄筋が前記凹部内に収容配置され、その継手用鉄筋の下方を含む周囲に充填された間詰め材の内部に埋設された構造とすることもできる。
【0028】
【0029】
本願発明のプレキャスト床版の継手構造は、前記プレキャスト床版の継手構造において、プレキャスト床版が請求項3記載のプレキャスト床版であり、連結する双方のプレキャスト床版の添接部と、その双方の添接部に添設した添接板がボルト固定されて、双方のプレキャスト床版の鋼床版同士が連結された構造とすることもできる。
【0030】
本願発明のプレキャスト床版の継手構造は、前記プレキャスト床版の継手構造において、プレキャスト床版が請求項4記載のプレキャスト床版であり、連結する双方のプレキャスト床版の鋼床版の添接面同士がボルト固定されて、双方のプレキャスト床版の鋼床版が連結された構造とすることもできる。
【0031】
本願発明において、プレキャスト床版継手は次のようにして施工することができる。版軸方向に延伸する本体部と、その本体部の版軸方向の一端又は両端に設けられる継手端部と、を備えたプレキャスト床版同士を、継手により連結する方法において、前記プレキャスト床版の継手端部は、版軸方向に切り欠かれて形成された複数の凹部を具備するとともに、この凹部によって形成される複数の凸部を具備し、連結する一方の前記プレキャスト床版の前記凸部が、連結他方の前記凹部又は凸部に対向するように、双方のプレキャスト床版を配置し、前記凹部に、間詰め材を填充することができる。
【0032】
前記プレキャスト床版継手は、連結する一方のプレキャスト床版の凹部が、連結他方の凹部に対向するように、双方のプレキャスト床版を配置し、対向する双方の凹部によって形成される収容空間に、継手用鉄筋を設置することもできる。
【0033】
前記プレキャスト床版継手は、プレキャスト床版の凸部に、版軸方向に突出する継手用鉄筋が設けられ、連結する一方のプレキャスト床版の凹部が、連結他方の凸部に対向するように、双方のプレキャスト床版を配置し、前記凹部に、対向する凸部の継手用鉄筋を設置することもできる。
【0034】
前記プレキャスト床版継手は、プレキャスト床版が、底面側に鋼床版を具備した鋼・コンクリート合成床版形式であり、双方の凹部の鋼床版に、ボルト挿通孔を具備する添接部が設けられ、連結する一方の前記添接部と、連結他方の添接部と、添接板と、をそれぞれボルト固定して双方のプレキャスト床版の鋼床版を連結することもできる。
【0035】
前記プレキャスト床版継手は、プレキャスト床版が、底面側に鋼床版を具備した鋼・コンクリート合成床版形式であり、凹部の鋼床版に、底面に対して垂直又は略垂直な添接面が設けられ、この添接面は、ボルト挿通孔を具備し、連結する一方の前記添接面と、連結他方の添接面と、をボルト固定して双方のプレキャスト床版の鋼床版を連結することもできる。
【0036】
前記プレキャスト床版継手は、上面開放で版軸直角方向に貫通した開口部が凸部に設けられ、ぞれぞれの開口部が版軸直角方向に一列又は略一列に配置され、前記開口部に、凸部と凹部を貫通する補強鉄筋を配置するとともに、間詰め材を填充することもできる。
【発明の効果】
【0037】
本願発明のプレキャスト床版と、その継手構造には、次のような効果がある。
(1)継手端部を、凹部と凸部からなる構成としたので、継手箇所に充填する間詰め材の量が著しく低減され、この結果、経済性に優れるとともに、床版構築にかかる工期を大幅に短縮することができる。
(2)凹部は版軸方向に切欠かれて形成されており、小さいスペースでありながら、継手用鉄筋を配置できるうえに間詰め材も充填できるので、継手における構造上の弱点を十分に補うことができる。
(3)特別な部材を必要とせず、床版の一部を切欠くだけで完成するため、容易に製作できる。
(4)従来のように、継手用鉄筋同士を結束する必要がないので、その手間が省ける。
(5)連結双方の凹部(又は、凸部と凹部)が対向するように配置すればよいので、プレキャスト床版を配置する際にある程度の誤差が許容され、製作、施工ともにその手間が軽減される。
(6)充填された間詰め材量が極めて少量であり、収縮に伴うひび割れなどの発生を抑制することができるので、構造的な劣化を及ぼす心配がない。
(7)従来、プレキャスト床版間の縮小を図る目的で、継手用鉄筋の定着長を短くできるループ状の継手用鉄筋が採用されており、この場合、鉄筋の曲げ半径(鉄筋径Dの2.5倍)の都合上プレキャスト床版厚が大きくなる傾向にあった。本願発明はループ状の継手用鉄筋を採用せずにプレキャスト床版間を縮小できるので、鉄筋の曲げ加工の影響を受けずに版厚を小さくすることができる。
(8)鋼・コンクリート合成床版形式の鋼床版に添接面を設けると、連結の際の添接板を省略できるので、さらに施工性や経済性の点で優れる。
(9)継手用鉄筋が配置される前に、添接板の設置(上部から設置する場合)や、添接板のボルト連結を行うことができるので、継手用鉄筋が邪魔にならず容易に作業することができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[実施形態]
本願発明のプレキャスト床版と、プレキャスト床版の継手構造の一実施形態について、図に基づいて説明する。
【0040】
(全体構成)
図1は床版設置中の橋梁を示す全体図であり、
図1(a)はその側面図、
図1(b)はその平面図、
図1(c)は
図1(b)に示すD部の詳細図である。
図1(a)に示すように、この橋梁には既にいくつかのプレキャスト床版1が橋桁2の上に並べられており、いま一つのプレキャスト床版1が揚重機で吊られて橋桁2上に設置されるところである。
図2にも示すように、プレキャスト床版1は2以上の橋桁2(図では3つの橋桁2)の上に架けられ、橋軸方向に並べられていく。もちろん、道路幅員が広い橋梁の場合など、橋軸直角方向にもプレキャスト床版1が並べて配置されることもある。
【0041】
橋桁2上の所定位置に並べられたプレキャスト床版1は、隣接する他のプレキャスト床版1と連結されていく。ここでいう「連結」とは、それぞれ独立したプレキャスト床版1をまとめて一体化することであり、具体的には断面力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を伝達し得るようにプレキャスト床版1同士を結合することである。例えば、鋼・コンクリート合成床版形式のプレキャスト床版1の場合、コンクリート部材を連結したうえで、さらに鋼床版も連結することとなる。このように、橋桁2上で隣接する一方のプレキャスト床版1と他方のプレキャスト床版1の連結が、順次行われていき橋梁の床版全体が完成される。
【0042】
図1(a)や
図2に示すように、プレキャスト床版1を橋桁2上に配置する際、通常は隣接するプレキャスト床版1が既に橋桁2上に配置されており、それぞれのプレキャスト床版1は所定の位置関係となるように並べられる。例えば
図1(b)に示すように、連結しようとする2つのプレキャスト床版1の間に隙間Nを設けて配置することができる。双方のプレキャスト床版1同士を接触させて配置することもできるが、この場合は製造誤差や設置誤差の影響から微小な隙間が生じることもあるので、あらかじめ隙間Nを設けた配置とすることが望ましい。なお、この隙間Nにはモルタルなどの間詰め材が充填されるため、その間隔はモルタル等の打設可能な幅(例えば30mm以上など)とする。以下、連結のため隣接配置される2つのプレキャスト床版1を「双方のプレキャスト床版1」と呼び、「双方のプレキャスト床版1」のうち一つを「一方のプレキャスト床版1」、残りを「連結他方のプレキャスト床版1」と呼ぶ。また、双方のプレキャスト床版1が連結するために所定配置に置かれた状態を、「連結状態」と呼ぶこととする。
【0043】
連結状態に配置された双方のプレキャスト床版1は、それぞれの端部が向き合って(対向して)おり、
図1(a)に示す継手箇所Pを形成している。この継手箇所Pにおいて、後述する継手用鉄筋の配置や間詰め材の充填、あるいは鋼床版の連結が行われることで、双方のプレキャスト床版1は連結される。
【0044】
以上説明したように、プレキャスト床版1は橋桁2上に並べられ、連結状態となった双方のプレキャスト床版1は継手箇所Pで連結される。これを順次繰り返すことで、橋梁の床版全体が完成される。なお
図1(a)〜(c)や
図2では、単純梁形式の橋梁を示しているが、これに限らずあらゆる構造形式(多径間形式など)で本願発明を実施することができる。また、ここではプレキャスト床版1を橋軸方向で連結する場合の継手構造について説明しているが、橋軸直角方向にプレキャスト床版1を連結する場合であっても同様に本願発明を実施することができる。
【0045】
<プレキャスト床版>
プレキャスト床版1は、工場や製造ヤード(施工現場も含む)などの場所で、あらかじめ(床版設置の事前に)製作されるものであり、おもに主筋や配力筋(以下、まとめて「構造鉄筋3」という。
図3(a)参照)とコンクリートからなるものである。本願発明のプレキャスト床版1には、RC(Reinforced Concrete)のものや、PC(Prestressed Concrete)のものをはじめ、従来から用いられるあらゆる構造のプレキャスト版が含まれる。さらに、後に詳しく説明する鋼・コンクリート合成床版形式をはじめとする種々の合成床版も含まれる。
【0046】
一般的なプレキャスト床版1の形状は、
図2にも示すように、平面視が概ね長方形で、厚さが比較的薄い板状を呈している。プレキャスト床版1は橋桁2に架け渡されるため、橋桁2方向(橋軸方向)は任意の寸法とすることができるが、橋軸直角方向の寸法は橋桁2の間隔に制約され、通常は橋軸方向が短辺で橋軸直角方向が長辺の平面形状となる。プレキャスト床版1の平面形状を例示すれば、長辺が5〜10mで、短辺が1〜3mの長方形とすることができる。もちろん本願発明は、このような形状に限定されるものではないが、便宜上、本実施形態ではプレキャスト床版1の平面形状が長方形の場合で説明する。なお以下の説明のため、
図1(b)に示すようにプレキャスト床版1の平面上に2軸を設け、一方の軸を「版軸方向」とし、他方の軸を「版軸直角方向」とする。版軸方向は、連結状態で連結他方のプレキャスト床版1が置かれる方向であり、本実施形態では
図1(b)に示すようにプレキャスト床版1の短辺方向である。また、版軸直角方向は、文字どおり版軸方向に対して直角方向であり、本実施形態では
図1(b)に示すようにプレキャスト床版1の長辺方向である。すなわち、プレキャスト床版1が橋軸方向で連結される場合、連結状態では版軸方向と橋軸方向が一致し、版軸直角方向と橋軸直角方向が一致する。
【0047】
プレキャスト床版1は、本体部と継手端部で構成される。継手端部とは、
図1(b)に示すように、プレキャスト床版1のうち版軸方向における端部側に設けられるもので、
図1(c)に示すように、凸部4と凹部5で形成される。そしてプレキャスト床版1のうち、継手端部を除く部分で主体となる部分が本体部である。なお継手端部は、プレキャスト床版1の両端(版軸方向)又は一端に設けられる。例えば、
図1(b)に示すように、橋梁床版の端部に配置されるプレキャスト床版1(図では左端)は一端側にのみ継手端部を設け、スパン中間に配置され両側ともに連結されるプレキャスト床版1は両側に継手端部を設けるとよい。場合によっては(版軸直角方向にも連結する場合など)、長方形のうち3辺あるいは4辺に継手端部を設けることもできる。
【0048】
前記したように、本願発明のプレキャスト床版1は、鋼・コンクリート合成床版形式とすることもできる。なお、ここでは便宜上、鋼・コンクリート合成床版形式のプレキャスト床版1を、「鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1」という。
【0049】
鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1は、
図3(b)(c)に示すように、鋼製の板材等からなる鋼床版6の上に鉄筋コンクリートを構築する合成床版である。この鋼床版6は、剛性を高める部材であるとともに、製作時には鉄筋コンクリートの型枠として用いられる極めて合理的な部材である。また、鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1は、鉄筋コンクリートと鋼床版6が一体となって荷重に抵抗する構造であり、コンクリートとの付着を高める目的で、鋼床版6にズレ止め(ジベル)を設けることができる。このズレ止めには、棒状の突起物であるスタッド(頭付きスタッド、異径棒鋼スタッド、等)、トラス形状の突起物であるトラス型ジベル、形鋼(山形鋼、溝形鋼、I形鋼、H形鋼、CT形鋼、突起付きT形鋼、球平形鋼、等)、鉄筋やボルト、あるいは板状の突起物であるリブ(孔空きリブ)をジベルとするものなど、様々な形式のものが使用することができる。通常、鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1は下側が曲げ引張となるため、鋼床版6が底面側となるよう設置される。
【0050】
<継手端部>
図1(b)に示すように、継手端部には複数の凸部4と凹部5が繰り返し配置されている。この凹部5は、
図1(c)に示すように、版軸端(版の端面のことで、図では右端)から版軸方向に切り欠かれたもので、略長方形となっている。この凹部5には、後述するように継手用鉄筋が配置され、且つ間詰め材が充填されるので、これに必要な空間が確保できれば、長方形に限らず任意の形状とすることができる。また、この凹部5は、版軸直角方向に間隔をあけて複数形成されており、切欠かれずに残った部分が凸部4であり、換言すれば凸部4は凹部5を設けることで形成されている。
【0051】
連結状態に配置された双方のプレキャスト床版1は、一方のプレキャスト床版1の凹部5と連結他方のプレキャスト床版1の凹部5とが向き合う(以下、「対向している」という。)か、若しくは一方のプレキャスト床版1の凸部4と連結他方のプレキャスト床版1の凹部5とが対向している。双方の凹部5同士が対向する場合、両方の凹部5で形成される収容空間には継手用鉄筋7が収容され、凸部4と凹部5が対向する場合、凸部4先端から突出する継手用鉄筋7が凹部5内に収容される。このとき、それぞれの凹部5が収容する継手用鉄筋7の長さは、鉄筋の定着に必要な長さ(以下、「定着長」という)以上、例えば鉄筋径をDとすると30D以上の長さを確保する。継手用鉄筋7を収容することから、凹部5の切欠き長さ(版軸端から版軸方向に切り欠かれる長さ)は、継手用鉄筋7の長さや、連結状態で設けられる隙間N(
図1(b))の間隔などに合わせて設計される。
【0052】
双方のプレキャスト床版1を連結する場合、凹部5やプレキャスト床版1間に設けられる隙間Nには、間詰め材が充填される。よって、凹部5には間詰め材を充填するための空間(充填空間)が必要で、所定の切欠き幅(版軸直角方向の寸法)で切欠かれる必要がある。例えば間詰め材をモルタルとした場合、凹部5の切欠き幅は30mm以上とするのが望ましい。なお、凹部5の切欠き幅は、通常、継手用鉄筋7の鉄筋径よりも大きく、つまり継手用鉄筋7は凹部5内で幅方向に余裕が生ずるので、製造過程における継手用鉄筋7の配筋誤差や、プレキャスト床版1設置時における配置誤差を吸収することができる、という効果を奏する。
【0053】
定着長以上の継手用鉄筋7が収容された凹部5に間詰め材が充填され、この間詰め材が硬化すると継手用鉄筋7は固定される。双方の凹部5同士が対向する場合、定着長以上の継手用鉄筋7が凹部5内で固定されることによって、この継手用鉄筋7は双方のプレキャスト床版1に定着される。あるいは、凸部4と凹部5が対向する場合、一方の凸部4先端から突出する定着長以上の継手用鉄筋7が他方の凹部5内で固定されることによって、この継手用鉄筋7は連結他方のプレキャスト床版1に定着される。このように、継手用鉄筋7をプレキャスト床版1に定着させることによって、双方のプレキャスト床版1は連結される。従来では、双方のプレキャスト床版1から構造鉄筋3を突出させ、これらを結束線で一体にすることで、双方のプレキャスト床版1を連結していた。これに対して、本願発明では継手用鉄筋7をプレキャスト床版1内に、いわば呑み込ませることで、双方のプレキャスト床版1を連結している。すなわち、従来では双方のプレキャスト床版1の間に鉄筋の定着長分(鉄筋径Dの30倍以上)だけ間隔を設けてそこに間詰め材を充填する必要があったが、本願発明ではこのような間隔を設ける必要がない。そのため本願発明は、従来に比べると間詰め材の充填量を著しく軽減することができて、間詰め材のひび割れといった構造面、材料費といった経済面、施工手間や施工時間といった施工面で有利な効果を奏する。
【0054】
(間詰め材)
前記したように、凹部5が継手用鉄筋7を収容した後にできる充填空間と、連結状態で双方のプレキャスト床版1に設けられる隙間Nには、間詰め材が充填される。一般的には、この間詰め材にはモルタルが用いられるが、もちろん状況に応じてコンクリート、繊維補強モルタルやポリマーモルタルなどを採用してもよい。
【0055】
急速施工という観点から、使用する間詰め材が硬化に要する時間は短い方が望ましい。例えば、超速硬モルタルを用いれば、充填から1時間程度で使用に耐える強度発現が期待できるので、好適である。また、短繊維補強したモルタルを使用すれば、引張強度が増してひび割れ抵抗性や変形性能が向上するので、さらに好適となる。
【0056】
(補強鉄筋)
後述するように、継手部には版軸直角方向に配置される補強鉄筋8(
図3(a))を設置することができる。本来構造上の弱点となっていた継手箇所P(
図1(a))が、この補強鉄筋8によってさらに補強されるので好適である。補強鉄筋8は版軸直角方向に配置されるので、継手端部の凸部4と凹部5を貫通するように設置される。この場合、工場製作の過程で、凸部4と凹部5に貫通させるように補強鉄筋8をプレキャスト床版1に固定することもできるし、後述するように凸部4に開口部を設けることで、現地(プレキャスト床版1の設置現場)にて補強鉄筋8を設置することもできる。また、連結状態で設けられる隙間N(
図1(b))に、補強鉄筋8を設置することもできる。
【0057】
(緊張材)
補強鉄筋8に加えて(あるいは代えて)継手箇所P(
図1(a))に緊張材を設置することもできる。緊張材としては、PC鋼材を例示することができるが、現地で緊張しテンションを付与するいわゆるポストテンション方式でプレストレス(緊張力)を導入することができるものであれば種々のものを採用することができる。緊張材を設置するためには、連結状態での双方のプレキャスト床版1の間に隙間N(
図1(b))を設ける必要がある。この隙間Nにあらかじめシース管を配置しておき、そのシース管内に緊張材を挿入して、間詰め材を充填する。そして間詰め材が硬化した後(例えば超速硬モルタルであれば、充填から1時間後)に緊張材の両端を版軸直角方向に緊張し、その状態でシース管内にグラウト注入するとともに定着具を装着してプレストレスを付与する。
【0058】
なお、シース管を必要としないプレグラウトPC鋼材を使用することも可能で、この場合、シース管の設置や、シース管内へのグラウト注入が省略でき、しかもグラウトの硬化時間も短縮できるので好適である。
【0059】
(プレキャスト床版の類型)
本願発明のプレキャスト床版1は、鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1とする場合とそうでない場合、あるいは鋼床版6の連結方式の違いによって、種々の類型があり、これに伴い継手構造と施工方法にも種々の類型が存在する。以下、類型ごとに説明する。
【0060】
<第1の類型>
図3は、第1の類型のプレキャスト床版1を示す説明図であり、
図3(a)は第1の類型のプレキャスト床版1の単体を示す平面図、
図3(b)は
図3(a)に示すA−A矢視の断面図、
図3(c)は
図3(a)に示すB−B矢視の断面図である。また
図4は、連結状態の第1の類型のプレキャスト床版1を示す説明図であり、
図4(a)は連結状態の第1の類型のプレキャスト床版1を示す平面図、
図4(b)は
図4(a)に示すA−A矢視の断面図、
図4(c)は
図4(a)に示すB−B矢視の断面図である。
【0061】
1.鋼・コンクリート合成プレキャスト床版
第1の類型のプレキャスト床版1は、鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1であり、鋼床版6を備えている。この鋼床版6には、ズレ止めとして、版軸直角方向に配列された横リブ9が溶接等により固定されている。この横リブ9に複数の孔を設けて、さらにコンクリートとの付着を高めることもできし、横リブ9に加えて、版軸方向に配列された縦リブ(図示しない)を設けた鋼床版6とすることもできる。なお、本願発明では、必ずしもズレ止めを必要とせず、ズレ止めを設置しない鋼床版6とすることもできる。
【0062】
2.鋼床版
鋼床版6は、本体部と凸部4と凹部5を覆うように略全面に配置される。そして、鋼床版6の版軸方向端は、凸部4の版軸端面(
図1(b))と一致させることもできるし、凸部4の版軸端面よりやや突出させることもできる。連結状態での双方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の間に隙間N(
図1(b))を設ける場合、鋼床版6を凸部4の版軸端面から突出させると、隙間Nへの間詰め材を充填する際、この突出分が型枠として利用できるので好適である。この場合、連結する一方の鋼床版6の突出長を隙間Nと同じ長さとすることもできるし、双方の鋼床版6の突出長を隙間Nの1/2とすることもできる。
【0063】
3.凹部
図3(b)は凹部5を示す断面図である。この図に示すように凹部5は、添接部51とコンクリート部52によって構成され、断面視では添接部51とコンクリート部52に段差が設けられた階段状を呈している。なお、添接部51はコンクリート部52よりも端部側(図では右側)に設けられる。コンクリート部52では、継手用鉄筋7を収容するための空間を設けるべく、版厚の略半分が切欠かれている。継手用鉄筋7を収容するための空間を設けることができれば、この切欠き高さは任意に設計できて、例えば版厚全部を切欠くこともできるが、間詰め材の充填量を低減させることを考えれば切欠き高さは小さい方が望ましい。
【0064】
4.鋼床版の連結
添接部51には
図3(a)に示すように、ボルト挿通孔51aが設けられている。添接部51は凹部5の端部側に設けられているので、双方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1が連結状態に置かれると、双方のボルト挿通孔51aが接近する。
図4(b)(c)に示すように、接近した双方のボルト挿通孔51aに添接板10が宛がわれ、添接板10に設けられたボルト孔と凹部5のボルト挿通孔51aとの位置を合わせた上でボルト固定される。このように、一方の添接部51と連結他方の添接部51との間に添接板10を添えて(架け渡して)ボルト固定することによって、一方の鋼床版6と連結他方の鋼床版6を連結することができる。なお
図4(b)(c)では、添接板10を鋼床版6の下方側から宛がってボルト固定しているが、これに限らず、鋼床版6の上方側から添接板10を宛がってボルト固定することもできる。この場合、添接部51の幅を添接板10の設置分だけやや広くする必要があるものの、従来では継手用鉄筋が配置されていたため上方から添接板10を設置することはできなかったのに対して、本願発明では上方からでも容易に添接板10を設置できるという効果を奏する。
【0065】
5.添接板
接近した状態の双方のボルト挿通孔51aに添接板10を宛がうことになるので、添接板10の幅(版軸方向長さ)は、双方のボルト挿通孔51aに届くだけの寸法を必要とする。一方、添接板10の延長(版軸直角方向長さ)は任意に設計でき、1個又は数個のボルト挿通孔51aに対応する長さとして版軸直角方向に複数設置することもできるし、全てのボルト挿通孔51aに対応する長さとして版軸直角方向に1枚だけ設置することもできる。なお、
図3(a)では全ての凹部5にボルト挿通孔51aを設けているが、堅固に連結することができれば、いくつかの凹部5でボルト挿通孔51aを省略することもできる。また、ボルト挿通孔51aを版軸方向に各1列(連結時は2列)で配置する場合に限らず、各2列以上(連結時は4列以上)とすることもできる。
【0066】
6.補強鉄筋
図4(a)〜(c)に示すように、継手端部には版軸直角方向に配置される補強鉄筋8が設置される。補強鉄筋8は、継手端部の凸部4と凹部5を貫通するように版軸直角方向に配置され、工場製作の過程で設置される。つまり、凸部4では補強鉄筋8が埋設されているが、凹部5では補強鉄筋8は露出している。
【0067】
図4(a)〜(c)では、継手端部にそれぞれ2本(計4本)の補強鉄筋8を設置しているが、この設置本数は凹部5の切欠き長さと構造鉄筋3の間隔(版軸方向)によって決められるもので、1本の場合や3本以上となる場合もある。また、
図5(a)(b)に示すように、本来の構造鉄筋3の間隔であれば凹部5内に配置される鉄筋を、間隔をずらして凹部5の外に配置した構造鉄筋3aとすることもできる。この場合、補強鉄筋8の数を減らすことができるので、工場製作時の手間が軽減され好適となる。
【0068】
7.継手用鉄筋
図4(a)に示すように、双方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1を連結状態に配置すると、双方の凸部4同士、凹部5同士が対向する。そして、対向する一組の凹部5で形成される空間(収容空間)には、版軸方向に配置される継手用鉄筋7が設置される。
図4(b)の断面図で見るように継手用鉄筋7は、凹部5で露出している補強鉄筋8の上に載せられており、この補強鉄筋8に結束線で固定される。
【0069】
凹部5には継手用鉄筋7の約1/2(隙間Nが設けられる場合は1/2未満)が収容され、その収容長さは定着長によって決められる。つまり、凹部5の切欠き長さは、定着長によって決められる。そこで、この定着長を短くするため、
図6(a)に示すように継手用鉄筋7の両端付近にナット7aを取り付けることができる。この場合、
図6(b)に示すように、横リブ9に設置溝9aを設けて、設置溝9a内に継手用鉄筋7を挿入して設置することもできる。
【0070】
8.施工手順
第1の類型の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の設置手順、及び鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の継手構造の施工手順の一例を示すと以下のとおりである。
(1)揚重機で吊られた鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1を、既に構築された橋桁2上に降ろす。このとき、双方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の凹部5同士が対向するように、あらかじめ測量された指定位置に配置される。なお、双方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の間に隙間Nが得られる場合、版軸方向に所定の間隔をあけて鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1は設置される。
(2)双方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1が連結状態となった後、双方の鋼床版6に設けられたボルト挿通孔51aと、添接板10のボルト孔の位置が一致するように調整し、添接板10を鋼床版6の下側から宛がう。その状態で、双方のボルト挿通孔51aと添接板10のボルト孔にボルトを挿通し、ナットとともに締めて固定する。
(3)対向する凹部5で形成された収容空間内に、継手用鉄筋7を配置する。このとき、継手用鉄筋7を凹部5内の補強鉄筋8上に載せ、結束線で継手用鉄筋7と補強鉄筋8を連結する。
(4)継手用鉄筋7を収容した凹部5(充填空間)、隙間N内に、それぞれ間詰め材を充填していく。この間詰め材が硬化すれば、双方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の連結が完了する。
(5)なお、緊張材を設置する場合は、間詰め材が硬化した後に緊張材の両端を版軸直角方向に緊張し、その状態で定着具を装着してプレストレス(緊張力)を導入する。
【0071】
<第2の類型>
第2の類型のプレキャスト床版1は鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1であり、凸部4に開口部を設けて、ここに補強鉄筋8を設置するものであって、その他は第1の類型の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1と同様である。従って、第1の類型と同様の内容についてはその記載を省略し、ここでは第2の類型に特有の内容のみを記載する。
図7は、第2の類型の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1を示す説明図であり、
図7(a)は第2の類型の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の単体を示す平面図、
図7(b)は連結状態の第2の類型の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1を示す平面図、
図7(c)は
図7(b)に示すA−A矢視の断面図、
図7(d)は
図7(b)に示すB−B矢視の断面図である。
【0072】
1.開口部
図7(d)に示すように、継手端部の凸部4に、上面開放で版軸直角方向に貫通する開口部11(スリット)が設けられている。この開口部11は、補強鉄筋8を設置するためのもので、当然ながら補強鉄筋8を配置できる空間を備えている。同時に、
図7(a)(b)に示すように、一つの連結端部を構成する複数の凸部4に設けられるそれぞれの開口部11は、補強鉄筋8が配置できるように略一列(一列も含む)に並ぶように配置されている。
【0073】
2.補強鉄筋の設置
補強鉄筋8の設置手順の一例を示す。まず双方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1が連結状態に配置され(
図7(b)〜(d))、双方の鋼床版6に設けられたボルト挿通孔51aと、添接板10のボルト孔の位置が一致するように調整し、双方の鋼床版6と添接板10がボルトで連結固定される。次に、対向する一組の凹部5で形成される収容空間に、継手用鉄筋7が配置される(
図7(b))。このとき、
図7(d)に示すように横リブ9の上に継手用鉄筋7を直接載せることもできるし、開口部11内に配置高さを調整するスペーサを設置しておき、そのスペーサの上に継手用鉄筋7を直接載せることもできる。この状態で、開口部11の上方から補強鉄筋8が降ろされて、開口部11内の所定位置(平面位置)であって継手用鉄筋7の上に配置される。そして、継手用鉄筋7と補強鉄筋8が結束線で連結される。その後、開口部11内に間詰め材が充填される。なお開口部11を、上部開放とせずにそれぞれの凸部4を貫通する貫通孔とすることもできるが、間詰め材の充填しやすさを考慮すると、上部開放とする方がよい。
【0074】
図7(a)〜(c)では、継手端部にそれぞれ2列(計4列)の開口部11とそれぞれ2本(計4本)の補強鉄筋8とを設置しているが、この設置個所や本数は凹部5の切欠き長さと構造鉄筋3の間隔(版軸方向)によって決められるもので、1箇所(1本)の場合や3箇所(3本)以上となる場合もある。また、
図8(a)(b)に示すように、本来の構造鉄筋3の間隔であれば凹部5内に配置される鉄筋を、間隔をずらして凹部5の外に配置した構造鉄筋3aとすることもできる。この場合、開口部11補強鉄筋8の数を減らすことができるので、工場製作時の手間が軽減され好適となる。
【0075】
<第3の類型>
第3の類型のプレキャスト床版1は鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1であり、第1の類型や第2の類型で示した鋼床版6の連結方法とは異なる連結方法を採用したものであって、その他は第1の類型又は第2の類型の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1と同様とすることができる。従って、第1又は第2の類型と同様の内容についてはその記載を省略し、ここでは第3の類型に特有の内容のみを記載する。
図9は、第3の類型の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1を示す説明図であり、
図9(a)は第3の類型の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の単体を示す平面図、
図9(b)は
図9(a)に示すA−A矢視の断面図、
図9(c)は
図9(a)に示すB−B矢視の断面図である。また
図10は、連結状態の第3の類型の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1を示す説明図であり、
図10(a)は連結状態の第3の類型の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1を示す平面図、
図10(b)は
図10(a)に示すA−A矢視の断面図、
図10(c)は
図10(a)に示すB−B矢視の断面図である。
【0076】
1.添接面
図9(b)は凹部5を示す断面図である。この図に示すように凹部5は、第1の類型で示したコンクリート部52で構成され、第1の類型で示した添接部51は設けられていない。添接部51に代えて、第3の類型ではボルト挿通孔(図示しない)を具備した添接面12が設けられている。この添接面12は、鋼床版6の版軸方向における端部に設けられており、鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の底面(つまり、鋼床版6)に対して略垂直(垂直も含む)で下向きに取り付けられている。添接面12は、鋼床版6の一部を折り曲げて形成してもよいし、鋼床版6とは別体として作成した添接面12を溶接等で鋼床版6に取り付けてもよい。また、添接面12を補強する目的で、その背面側(版軸方向)に補強板13を設置することもできる。添接面12の設置位置を鋼床版6の版軸方向端部としたのは、
図10(a)〜(c)に示すように、連結状態で双方の添接面12を突き合わせてボルト固定するためであり、鋼床版6を凸部4の版軸端面から突出させる場合(第1の類型で説明)にはその突出端に設けるとよい。なお、双方の添接面12を突き合わせる場合、両者を直接接触させることもできるし、間に介入材を挟んで間接的に合わせることもできる。
【0077】
2.鋼床版の連結
このように第3の類型では、双方の添接面12同士を直接ボルト固定するので、添接板10を必要としない。この連結するボルトの数は設計計算等によって求められるものであり、版軸直角方向や鉛直方向に所定のボルト数で連結される。すなわち、添接面12には、版軸方向に所定数、鉛直方向に所定段数のボルト挿通孔が設けられる。また
図11(a)に示すように、1箇所の継手端部につき添接面12を1枚だけ設け、添接面12の長さ(版軸直角方向)を版軸直角方向全長にわたる寸法とすることができる。この場合、当然ながら1枚の添接面12には全てのボルト挿通孔が設けられる。あるいは
図11(b)に示すように、1箇所の継手端部につき複数の添接面12を設け、添接面12の長さ(版軸直角方向)をボルト1個〜数個分が配置される寸法とすることもできる。
【0078】
3.上向きの添接面
図9(a)〜(c)や
図10(a)〜(c)では、添接面12が鋼床版6に対して略垂直で下向きに取り付けられているが、
図12に示すように、鋼床版6に対して略垂直で上向きに添接面12を取り付けることもできる。この場合は第1の類型と同様、凹部5にはコンクリート部52のほかに添接部51が必要であり、この添接部51の上面側に添接面12を(補強板13を設ける場合は補強板13も)溶接等で固定する。このように添接面12や補強板13を添接部51の上面側に設けると、完成時にこれらが埋設されて露出しないので景観上好ましいが、継手用鉄筋7と鋼床版6の間に添接面12を設置しなければならないため版厚がやや大きくなる。
【0079】
4.凸部と凹部を対向配置させる鋼・コンクリート合成プレキャスト床版
添接面12を鋼床版6に対して略垂直で下向きとした場合、一方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の凸部4と、連結他方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の凹部5とを、対向させた状態で連結することもできる。以下、一方の凸部4と連結他方の凹部5とを対向配置させる鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1について、
図13(a)〜(b)と
図14(a)〜(b)を参照しながら説明する。
【0080】
図13(a)は一方の凸部4を連結他方の凹部5に対向させる場合の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の単体を示す平面図、
図13(b)は
図13(a)に示すA−A矢視の断面図である。また、
図14(a)は一方の凸部4を連結他方の凹部5に対向させて連結状態とする場合の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1を示す平面図、
図14(b)は
図14(a)に示すA−A矢視の断面図である。
【0081】
図13(a)や
図14(a)に示すように、連結する双方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1を連結状態とすると、一方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1(例えば図の左側)の凸部4は、連結他方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1(例えば図の右側)の凹部5に対向している。同様に、一方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の凹部5は、連結他方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の凸部4に対向している。このため、鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1の両端に継手端部を設ける場合、一方の継手端部における凹部5と凸部4の配列は、他方の継手端部における配列と異なっている。つまり、鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1に任意の版軸方向線を描くと、例えば右側端部では凸部4が配列されており、左側端部では凹部5が配列されることとなる。
【0082】
図13(b)に示すように、凸部4には、継手用鉄筋7の一部が埋設されており、残りの部分が凸部4の端(継手端面)から突出している。凸部4内に埋設される継手用鉄筋7の長さは定着長以上(例えば鉄筋径をDとすると30D以上)とし、突出する長さも定着長以上とする。また、凹部5は、連結他方の凸部4から突出する継手用鉄筋7を収容するものであり、凹部5の切欠き長さは、継手用鉄筋7の突出長さ以上とする。なお、連結状態で設けられる隙間N(
図1(b))が設けられる場合、継手用鉄筋7の突出長さや凹部5の切欠き長さは、隙間Nの分だけ長くする必要がある。なおここでは、継手用鉄筋7を構造鉄筋3とは別体としているが、構造鉄筋3(版軸方向に配置されたもの)を凸部4の端(継手端面)から定着長以上で突出させ、これを継手用鉄筋7とすることもできる。
【0083】
図14(b)に示すように、一方の凸部4から突出する継手用鉄筋7が、連結他方の凹部5に収容されると、凹部5(充填空間)に間詰め材が充填される。このようにして双方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1が連結されると、継手用鉄筋7が定着長分だけ双方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1に埋設され、双方の鋼・コンクリート合成プレキャスト床版1は堅固に連結される。すなわち、従来のように鉄筋の定着長分の間隔を設ける必要がないので、間詰め材の充填量を著しく軽減することができて、間詰め材のひび割れといった構造面、材料費といった経済面、施工手間や施工時間といった施工面で有利な効果を奏する。
【0084】
<第4の類型>
図15は、第4の類型のプレキャスト床版1を示す説明図であり、
図15(a)は第4の類型のプレキャスト床版1の単体を示す平面図、
図15(b)は連結状態の第4の類型のプレキャスト床版1を示す平面図、
図15(c)は
図15(b)に示すA−A矢視の断面図、
図15(d)は
図15(b)に示すB−B矢視の断面図である。
【0085】
1.プレキャスト床版
第4の類型のプレキャスト床版1は、鋼床版6を備えない、コンクリートと構造鉄筋を主体とする通常のプレキャスト床版1である。この場合も、継手端部には複数の凸部4と凹部5が設けられており、連結状態に配置すると双方のプレキャスト床版1の凸部4同士、凹部5同士が対向する(
図15(a)(b))。
【0086】
プレキャスト床版1内に埋設された構造鉄筋3は、
図15(c)に示すように、版厚方向に上下2段で配筋されている。なおこの図では、版軸方向の構造鉄筋3のみを表しているが、版軸直角方向にも上下2段で配筋されている。また、版軸方向の構造鉄筋は、プレキャスト床版1の本体部から凸部4にわたって、つまり版軸方向の略全長に配置されている(
図15(c))。
【0087】
2.補強鉄筋
図15(a)〜(d)に示すように、継手端部には版軸直角方向に配置される補強鉄筋8が1本〜数本(この図では3本)設置される。補強鉄筋8は、継手端部の凸部4と凹部5を貫通するように版軸直角方向に配置され、工場製作の過程で設置される。つまり、凸部4では補強鉄筋8が埋設されているが、凹部5では補強鉄筋8は露出している。なお
図15(a)(b)では、凸部4のうち両端の凸部4a(図では上端と下端)が他の凸部4よりやや短くなっており、ここだけ2本の補強鉄筋8が埋設され1本は露出している。このように、端部の凸部4aだけ短くすることもできるし、全ての凸部4を同じ長さとすることもできる。
【0088】
図15(a)〜(d)では、継手端部にそれぞれ3本(計6本)の補強鉄筋8を設置しているが、この設置本数は凹部5の切欠き長さと構造鉄筋3の間隔(版軸方向)によって決められるもので、1本や2本の場合、あるいは4本以上となる場合もある。
【0089】
3.継手用鉄筋
図15(b)に示すように、双方のプレキャスト床版1を連結状態に配置すると、双方の凸部4同士、凹部5同士が対向する。そして、対向する一組の凹部5で形成される収容空間には、版軸方向に配置される継手用鉄筋7が設置される。
図15(d)の断面図で見るように継手用鉄筋7は、凹部5で露出している補強鉄筋8を上下から挟むように2本配置される。
【0090】
この継手用鉄筋7は直筋(直線状の鉄筋)であり、従来用いられているループ状の継手用鉄筋に比べると、プレキャスト床版1の版厚を小さくすることができる。すなわち、鉄筋をループ状に曲げ加工する場合、最小曲げ半径(通常は鉄筋径Dの2.5倍)が定められており、プレキャスト床版1の版厚もその分だけ(例えば鉄筋径の5倍以上)大きくなる。一方、本類型の場合、継手用鉄筋7が直筋であるため、鉄筋の曲げ半径に制約されることなく任意に版厚を設計することができる。
【0091】
凹部5には継手用鉄筋7の約1/2(隙間Nが設けられる場合は1/2未満)が収容され、その収容長さは定着長によって決められる。つまり、凹部5の切欠き長さは、定着長によって決められる。そこで、この定着長を短くするため、
図16に示すように継手用鉄筋7の両端付近にナット7aを取り付けることができる。なお本類型では、鉄筋の曲げ半径に制約されることなく版厚を薄くすることができるため、構造鉄筋3の被りを最小限に抑えることも考えられる。この場合、継手用鉄筋7のナット7aが被りを確保できないことも考えられ、これを回避する目的で、継手用鉄筋7の両端を一部曲げることもできる(
図16ではθの角度で曲げている)。もちろん両端を折り曲げた継手用鉄筋7は、折り曲げた側がプレキャスト床版1の内部側となるように(被りが確保できるように)配置される。
【0092】
4.施工手順
第4の類型のプレキャスト床版1の設置手順、及びプレキャスト床版1の継手構造の施工手順の一例を示すと以下のとおりである。
(1)揚重機で吊られたプレキャスト床版1を、既に構築された橋桁2上に降ろす。このとき、双方のプレキャスト床版1の凹部5同士が対向するように、あらかじめ測量された指定位置に配置される。なお、双方のプレキャスト床版1の間に隙間Nが得られる場合、版軸方向に所定の間隔をあけてプレキャスト床版1は設置される。
(2)双方のプレキャスト床版1が連結状態となった後、対向する凹部5で形成された収容空間内に継手用鉄筋7を配置する。このとき、凹部5内で露出している上段の補強鉄筋8の上に、継手用鉄筋7を載せ、結束線でこの継手用鉄筋7と補強鉄筋8を連結する。そして、凹部5内で露出している下段の補強鉄筋8の下から、継手用鉄筋7を配置し、同じく結束線でこの継手用鉄筋7と補強鉄筋8を連結する。
(3)継手用鉄筋7を収容した凹部5(充填空間)、隙間N内に、それぞれ間詰め材を充填していく。この間詰め材が硬化すれば、双方のプレキャスト床版1の連結が完了する。
(4)なお、緊張材を設置する場合は、間詰め材が硬化した後に緊張材の両端を版軸直角方向に緊張し、その状態で定着具を装着してプレストレス(緊張力)を導入する。
【0093】
[その他の実施形態]
本願発明のプレキャスト床版と、その継手構造は、2つのプレキャスト床版1を突き合わせて連結する場合に限らず、
図17に示すように、一つの継手部において3つ以上のプレキャスト床版1(
図17では1a、1b、1cの3つ)を連結する場合でも利用することができる。なおこの場合であっても、プレキャスト床版1の構造、継手構造は、あるいはこれらによる作用については前記した[実施形態]と同様である。