(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記操作力量制御手段は、上記操作リングが手動操作されていないときには上記振動子を非駆動状態にして当該操作リングを摩擦接触力により固定保持し、上記位置検出手段によって上記操作リングの手動操作が開始されたことを検出したときには上記操作リングの摩擦接触力を軽減すると共にクリック感を付与するように上記振動子を駆動制御することを特徴とする請求項4記載の駆動制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る駆動制御装置を適用したデジタルカメラの構成例を示すブロック図である。
【0018】
図1に示したデジタルカメラは、交換式レンズ100とカメラ本体200を含み、それらがI/F300を介して通信可能に接続されている。
交換式レンズ100は、フォーカスレンズ101、ズームレンズ102、絞り103、ドライバ104、105、113、レンズ用マイクロコンピュータ106、Flashメモリ107、モード切替操作部108、位置センサ109、振動子110、操作リング111、及び圧電体制御回路112を含む。
【0019】
カメラ本体200は、メカシャッター201、撮像素子202、アナログ処理部203、アナログ/デジタル変換部(以下「A/D変換部」という)204、AE処理部205、画像処理部206、AF処理部207、画像圧縮展開部208、LCDドライバ209、LCD210、メモリインターフェース(以下「メモリI/F」という)211、記録媒体212、SDRAM213、本体用マイクロコンピュータ214、Flashメモリ215、操作部216、及びバス217を含む。
【0020】
なお、位置センサ109は位置検出手段の一例であり、レンズ用マイクロコンピュータ106及び又は本体用マイクロコンピュータ214は操作力量制御手段の一例である。
フォーカスレンズ101は、被写体の光学像を撮像素子202に集光させる。ズームレンズ102は、被写体の光学像を変倍する。また、フォーカスレンズ101も光学像を変倍するときに、動作される構成の交換レンズ100であっても、勿論良い。
【0021】
レンズ用マイクロコンピュータ106は、ドライバ104、113、105、I/F300、Flashメモリ107、モード切替操作部108、位置センサ109、及び圧電体制御回路112と接続されている。レンズ用マイクロコンピュータ106は、Flashメモリ107に記憶されている情報の読み込み・書き込みを行うとともに、ドライバ104、105、113、圧電体制御回路112を制御する。レンズ用マイクロコンピュータ106は、また、I/F300を介して、本体用マイクロコンピュータ214と通信することができ、様々な情報を本体用マイクロコンピュータ214へ送信し、また、本体用マイクロコンピュータ214から様々な情報を受信する。例えば、レンズ用マイクロコンピュータ106は、モード切替操作部108の出力信号に応じた情報や位置センサ109の出力信号(検出信号)に応じた情報を本体用マイクロコンピュータ214へ送信する。また、例えば、レンズ用マイクロコンピュータ106は、圧電体制御回路112の制御情報を本体用マイクロコンピュータ214から受信する。レンズ用マイクロコンピュータ106は、さらに、本体用マイクロコンピュータ214から受信した制御情報に基づいて、圧電体制御回路112を制御する。或いは、モード切替操作部108の出力信号及び位置センサ109の出力信号に基づいて、圧電体制御回路112を制御することもできる。
【0022】
ドライバ104は、レンズ用マイクロコンピュータ106の指示を受けて、フォーカスレンズ101を駆動させてフォーカス位置の変更を行う。ドライバ105は、レンズ用マイクロコンピュータ106の指示を受けて、ズームレンズ102を駆動させて焦点距離の変更を行う。ドライバ113は、レンズ用マイクロコンピュータ106の指示を受けて、絞り103を駆動する。絞り103は、被写体の光量や被写体の像のボケ量を調節する。
【0023】
圧電体制御回路112は、レンズ用マイクロコンピュータ106の制御の下、振動子110(詳しくは振動子110に含まれる圧電体)を駆動する。
モード切替操作部108は、操作リング(操作環)111の操作モードを指示するためのボタンである。モード切替操作部108が押される毎に、レンズ用マイクロコンピュータ106(又は本体用マイクロコンピュータ214であってもよい)は、操作リング111の操作モードの設定を、フォーカスモード、ズームモード、撮影モード、ISO感度モード、シャッター速度モード、絞りモード、ホワイトバランスモード、ART(アート)モード(撮影した画像を白黒画像や、絵画調画像にしたりする複数の画像処理を選択できるモード)の何れかへ順次切り替える。なお、操作リング111は、詳しくは後述するように、例えば、交換式レンズ100の外周部に光軸回りに回転自在に嵌合しており、ユーザによる手動操作により回転可能に構成されている。なお、操作リング111は、カメラ本体200側に設けた回転ダイヤル部材や、スライドレバー部材で構成しても良い。カメラ本体200側に操作部材を設けた場合は、操作部材の操作情報は必要に応じて、I/F300を通じて交換レンズ100側のマイクロコンピュータ106に入出力される。
【0024】
振動子110は、圧電体制御回路112からの制御信号を受けて、操作リング111の回転抵抗力を制御する。すなわち、振動子110は、圧電体制御回路112を介してレンズ用マイクロコンピュータ106によって制御される。なお、振動子110は、詳しくは後述するように、例えば、積層された圧電体と接触体を含む。
【0025】
位置センサ109は、操作リング111の回転量と回転方向を検出し、その検出信号をレンズ用マイクロコンピュータ106へ出力する。なお、位置センサ109は、詳しくは後述するように、例えば、操作リング111の内周側に設けられた磁気スケールに対向して設けられたGMR素子(巨大磁気抵抗素子)である。
【0026】
メカシャッター201は、本体用マイクロコンピュータ214の指示を受けて駆動し、撮像素子202に被写体を露光する時間を制御する。
撮像素子202は、各画素を構成するフォトダイオードの前面に、ベイヤー配列のカラーフィルタが配置された撮像素子である。ベイヤー配列は、水平方向にR画素とG(Gr)画素が交互に配置されたラインと、G(Gb)画素とB画素が交互に配置されたラインとを有し、さらにその2つのラインを垂直方向にも交互に配置することで構成されている。この撮像素子202は、フォーカスレンズ101及びズームレンズ102により集光された光を、画素を構成するフォトダイオードで受光して光電変換することで、光の量を電荷量としてアナログ処理部203へ出力する。なお、撮像素子202は、CMOS方式のものでもCCD方式のものでも良い。また、ベイヤー配列に限らずFovionのような積層型の撮像素子や、後述のアナログ処理部203やA/D変換部204までを含むような撮像素子等でもよい。
【0027】
アナログ処理部203は、撮像素子202から読み出された電気信号(アナログ画像信号)に対し、リセットノイズ等を低減した上で波形整形を行い、さらに目的の明るさとなるように、ゲインアップを行う。A/D変換部204は、アナログ処理部203から出力されたアナログ画像信号をデジタル画像信号(以後、画像データという)に変換する。
【0028】
バス217は、デジタルカメラ内部で発生した各種データをデジタルカメラ内の各部に転送するための転送路である。バス217は、AE処理部205、画像処理部206、AF処理部207、画像圧縮展開部208、LCDドライバ209、メモリI/F211、SDRAM213、本体用マイクロコンピュータ214に接続されている。
【0029】
A/D変換部204から出力される画像データは、バス217を介して一旦SDRAM213に記憶される。SDRAM213は、A/D変換部204において得られた画像データや、画像処理部206、画像圧縮展開部208において処理された画像データ等の各種データが一時的に記憶される記憶部である。
【0030】
画像処理部206は、SDRAM213から読み出した画像データに対して様々な画像処理を施す。画像処理部206によって各処理が行われた後の画像データは、SDRAM213に記憶される。
【0031】
AE処理部205は、画像データから被写体輝度を算出する。被写体輝度を算出するためのデータは、専用の測光センサの出力であってもよい。AF処理部207は、画像データから高周波成分の信号を取り出し、AF(Auto Focus)積算処理により、合焦評価値を取得する。
【0032】
画像圧縮展開部208は、所定の圧縮方式による画像データの圧縮、及び、所定の圧縮方式により圧縮された画像データの展開(伸長)を行う。例えば、取り扱う画像データが静止画である場合にはJPEG方式等による圧縮及び展開を行い、取り扱う画像データが動画である場合にはMotion−JPEG方式やH.264方式等による圧縮及び展開を行う。静止画に係る画像データの記録する場合、画像圧縮展開部208は、SDRAM213から画像データを読み出し、読み出した画像データを例えばJPEG圧縮方式に従って圧縮して、圧縮したJPEG画像データを、SDRAM213に一旦記憶する。本体用マイクロコンピュータ214は、SDRAM213に記憶されたJPEG画像データに対して、JPEGファイルを構成するために必要なJPEGヘッダを付加してJPEGファイルを作成し、作成したJPEGファイルを、メモリI/F211を介して記録媒体212に記録する。記録媒体212は、例えばカメラ本体200に着脱可能なメモリカードからなる記録媒体であるが、これに限定されるものではない。
【0033】
LCDドライバ209は、LCD210に画像を表示させる。画像の表示には、撮影直後の画像データを短時間だけ表示するレックビュー表示、記録媒体212に記録されたJPEGファイルの再生表示、および、ライブビュー表示等の動画の表示が含まれる。記録媒体212に記録されたJPEGファイルを再生する場合、画像圧縮展開部208は、記録媒体212に記録されているJPEGファイルを読み出して伸張処理(展開処理)を施した上で、伸張した画像データを一旦SDRAM213に記憶させる。LCDドライバ209は、伸張された画像データをSDRAM213から読み出し、読み出した画像データを映像信号へ変換した後でLCD210へ出力して、画像の表示を行う。
【0034】
本体用マイクロコンピュータ214は、カメラ本体200の各種シーケンスを統括的に制御する。本体用マイクロコンピュータ214には、操作部216およびFlashメモリ215が接続されている。
【0035】
操作部216は、電源ボタン、レリーズボタン、再生ボタン、メニューボタン、動画ボタン、各種入力キー等の操作部材である。ユーザによって、操作部216の何れかの操作部材が操作されることにより、本体用マイクロコンピュータ214は、ユーザの操作に応じた各種シーケンスを実行する。電源ボタンは、当該デジタルカメラの電源のオン/オフ指示を行うための操作部材である。電源ボタンが押されたときに、本体用マイクロコンピュータ214は、当該デジタルカメラの電源をオン又はオフする。レリーズボタンは、ファーストレリーズスイッチとセカンドレリーズスイッチの2段スイッチを有して構成されている。レリーズボタンが半押しされて、ファーストレリーズスイッチがオンされた場合に、本体用マイクロコンピュータ214は、AE処理やAF処理等の撮影準備シーケンスを行う。また、レリーズボタンが全押しされて、セカンドレリーズスイッチがオンされた場合に、本体用マイクロコンピュータ214は、撮影シーケンスを実行して撮影を行う。再生ボタンは、記録媒体212に記録されているファイルの再生指示を行うための操作部材である。再生ボタンが押されたときに、本体用マイクロコンピュータ214は、再生シーケンスを実行して再生を行う。メニューボタンは、カメラ設定を変更可能にするメニューの表示指示を行うための操作部材である。メニューボタンが押されたときに、本体用マイクロコンピュータ214は、カメラ設定シーケンスを実行してメニュー表示等を行う。動画ボタンは、動画撮影指示を行うための操作部材である。動画ボタンが押されたときに、本体用マイクロコンピュータ214は、動画撮影シーケンスを実行して動画撮影を行う。
【0036】
Flashメモリ215は、ホワイトバランスモードに応じたホワイトバランスゲインやローパスフィルタ係数等のデジタルカメラの動作に必要な各種パラメータ、および、デジタルスチルカメラを特定するための製造番号などを記憶している。また、Flashメモリ215は、マイクロコンピュータ214にて実行する各種プログラムも記憶している。マイクロコンピュータ214は、Flashメモリ215に記憶されているプログラムに従い、またFlashメモリ215から各種シーケンスに必要なパラメータを読み込み、各処理を実行する。
【0037】
図2及び
図3は、本実施形態に係る駆動制御装置を適用したデジタルカメラで行われるメインの処理フローを示すフローチャートである。なお、この処理フローは、ユーザにより電源ボタンが押されて、デジタルカメラの電源がオンになると、開始する。
【0038】
図2に示したように、この処理フローが開始すると、まず、本体用マイクロコンピュータ214は、デジタルカメラの各部を初期化する処理を行う(S101)。この初期化の処理では、例えば、動画記録中であるか否かを示すフラグ(以下、「動画記録中フラグ」という)をリセットする(オフにセットする)処理を行う。また、操作リング111の操作モードの設定をフォーカスモードへ切り替え、操作リング111の操作性としてフォーカスモードに応じた操作性が得られるように振動子110の制御を変更する処理等も行う。
【0039】
続いて、再生ボタンが押されたか否かを判定する(S102)。ここで、その判定結果がYesの場合には、再生処理(再生シーケンス)を行う(S103)。この再生処理では、記録媒体212に記録されているファイルをLCD210に一覧表示し、その中でユーザにより選択決定されたファイルを再生する等の処理を行う。
【0040】
S103の後は、処理がS102へ戻る。
一方、S102の判定結果がNoの場合には、メニューボタンが押されたか否かを判定する(S104)。ここで、その判定結果がYesの場合には、カメラ設定処理(カメラ設定シーケンス)を行う(S105)。このカメラ設定処理では、カメラ設定を変更可能にするメニューをLCD210に表示し、その中でユーザにより選択決定されたカメラ設定に応じて、カメラ設定を変更する等の処理を行う。この処理において、ユーザは、例えば、静止画の記録モードの設定を、JPEG記録、JPEG+RAW記録、RAW記録等の何れかへ変更することができる。また、動画ファイルの記録形式の設定を、AVI:Motion−JPEG、AVCHD:H.264、MP4:H.264等の何れかへ変更することができる。
【0041】
S105の後は、処理がS102へ戻る。
一方、S104の判定結果がNoの場合には、レンズ操作有りか否かを判定する(S106)。すなわち、モード切替操作部108が押されたか否か、又は、操作リング111が回転操作されたか否かを判定する(S106)。ここで、その判定結果がYesの場合には、レンズ操作処理(レンズ操作シーケンス)を行う(S107)。このレンズ操作処理の詳細については、
図4を用いて後述する。
【0042】
S107の後は、処理がS102へ戻る。
一方、S106の判定結果がNoの場合には、動画ボタンが押されたか否かを判定する(S108)。
【0043】
S108の判定結果がYesの場合には、動画記録中フラグを反転する(S109)。なお、動画記録中フラグを反転するとは、動画記録中フラグがオフであった場合にはオンに反転し、動画記録中フラグがオンであった場合にはオフに反転することをいう。
【0044】
S109の後、動画記録中であるか否かを判定する。すなわち、動画記録中フラグがオンであるか否かを判定する(S110)。ここで、その判定結果がYesの場合には、動画記録を開始するため、記録用に新しい動画ファイルを生成する(S111)。
【0045】
一方、S108がNoの場合、S110がNoの場合、又は、S111の後は、
図3に示したように、動画記録中であるか否かを判定する。すなわち、動画記録中フラグがオンであるか否かを判定する(S112)。
【0046】
S112の判定結果がNoの場合には、レリーズボタンが押されていない状態からレリーズボタンが押されてファーストレリーズスイッチがオンした状態へ遷移したか否かを判定する(S113)。ここで、その判定結果がYesの場合には、撮影準備シーケンスを行う(S114、S115)。この撮影準備シーケンスでは、AE処理(S114)及びAF処理(S115)を行う。
【0047】
一方、S113の判定結果がNoの場合には、レリーズボタンが押されてセカンドレリーズスイッチがオンしたか否か判定する(S116)。ここで、その判定結果がYesの場合には、撮影シーケンスを行う(S117乃至S120)。この撮影シーケンスでは、メカシャッター201による撮影処理を行い(S117)、得られた画像データに対し静止画撮影用の画像処理を施す(S118)。そして、その画像データを、極短時間だけLCD210に表示するレックビュー表示を行い(S119)、その後、JPEGファイルとして記録媒体212に記録する(S120)。
【0048】
一方、S112がYesの場合、又は、S116がNoの場合には、動画撮影のためのAE処理を行って(S121)、電子シャッターによる撮影処理を行い(S122)、得られた画像データに対し動画撮影用の画像処理を施して(S123)、その画像データをLCD210に表示するライブビュー表示を行う(S124)。そして、動画記録中であるか否かを判定する。すなわち、動画記録中フラグがオンであるか否かを判定する(S125)。ここで、その判定結果がYesの場合には、その画像データを設定されている形式で圧縮してS111で生成されている動画ファイルへ記録する(S126)。
【0049】
S115の後、S120の後、S126の後、又は、S125がNoの場合には、電源ボタンが押されてデジタルカメラの電源がオフになったか否かを判定する(S127)。ここで、その判定結果がNoの場合には、処理が
図2のS102へ戻り、Yesの場合には、本処理フローが終了する。
【0050】
図4は、レンズ操作処理(S107)の処理フローの詳細を示すフローチャートである。
図4に示したように、この処理フローが開始すると、まず、本体用マイクロコンピュータ214は、S106がYesと判定されたときのレンズ操作がモード切替操作部108の押下であったか否かを判定する(S201)。ここで、その判定結果がYesの場合には、操作リング111の操作モードの設定を所定の順序に従って切り替える(S202)。ここで、所定の順序とは、例えば、フォーカスモード、ズームモード、撮影モード、ISO感度モード、シャッター速度モード、絞りモード、そして絞りモードの後は再びフォーカスモードに戻るといった順序である。この場合、例えば、操作モードの設定がフォーカスモードであったときにモード切替操作部108が押されると、操作モードの設定がフォーカスモードからズームモードに切り替わることになる。
【0051】
S202の後は、切り替えられた操作モードの設定に応じて、操作リング111の回転感触を変更する処理を行う(S203)。なお、この回転感触変更処理の詳細については、
図5を用いて後述する。
【0052】
一方、S201の判定結果がNoの場合、すなわち、S106がYesと判定されたときのレンズ操作が操作リング111の操作であった場合には、操作リング111の回転方向及び回転量に応じて、操作モードの設定に応じた処理を行う(S204)。
【0053】
このS204の処理では、操作モードの設定に応じて次のような処理を行う。なお、以下において、操作リング111を右回転させるとは、操作リング111をカメラ本体200側からみて右回転させることであり、操作リング111を左回転させるとは、操作リング111をカメラ本体200側からみて左回転させることであるとする。
【0054】
操作モードの設定がフォーカスモードである場合には、操作リング111が右回転されると至近側へ、左回転されると無限遠側へ、操作リング111の回転量に応じた移動量だけフォーカスレンズ101を移動させる処理を行う。なお、この場合には、S203の処理によって、操作リング111の回転抵抗力が常に最小になるように振動子110の制御が行われている。そのため、ユーザは、操作リング111を手動回転させたときに、フォーカス操作に好適な回転感触を得ることができる。
【0055】
操作モードの設定がズームモードである場合には、操作リング111が右回転されると焦点距離が短くなる方向へ、左回転されると焦点距離が長くなる方向へ、操作リング111の回転量に応じた移動量だけズームレンズ102を移動させる処理を行う。なお、この場合には、S203の処理によって、操作リング111の回転抵抗力が常に最小になるように振動子110の制御が行われている。そのため、ユーザは、操作リング111を手動回転させたときに、ズーム操作に好適な回転感触を得ることができる。
【0056】
操作モードの設定が撮影モードである場合には、操作リング111が右回転されると、操作リング111の回転量に応じて、撮影モードの設定を所定の順序に従って順次切り替える処理を行う。ここで所定の順序とは、撮影モードが例えば、P(プログラム)、A(絞り優先)、S(シャッター速度優先)、M(マニュアル)、ART(アート)という順序である。ここで、ARTは、撮影した画像にアーティスティックな処理(例えばポスターや絵画で見る独特の色調や特殊な効果を施す処理)をして記録することができる撮影モードである。一方、操作リング111が左回転されると、操作リング111の回転量に応じて、撮影モードの設定を右回転の場合とは逆の順序に従って順次切り替える処理を行う。なお、操作モードの設定が撮影モードである場合には、S203の処理によって、操作リング111の回転感触として、操作リング111の所定の5つの等角度間隔の回転角度においてクリック感が得られるように振動子110の制御が行われている。ここで、所定の5つの等角度間隔の回転角度は、操作リング111の基準位置(絶対位置)からの回転角度であり、上記の5つの撮影モード(P、A、S、M、ART)に対応する。そのため、ユーザは、操作リング111を手動回転させたときに、撮影モードの設定操作に好適な回転感触を得ることができる。
【0057】
操作モードの設定がISO感度モードである場合には、操作リング111が右回転されると、操作リング111の回転量に応じて、ISO感度の設定を所定の順序に従って順次切り替える処理を行う。ここで所定の順序とは、ISO感度が例えば、100、200、400、800、1600、3200、6400、12800という順序である。一方、操作リング111が左回転されると、操作リング111の回転量に応じて、ISO感度の設定を右回転の場合とは逆の順序に従って順次切り替える処理を行う。なお、操作モードの設定がISO感度モードである場合には、S203の処理によって、操作リング111の回転感触として、操作リング111の所定の8つの等角度間隔の回転角度においてクリック感が得られるように振動子110の制御が行われている。ここで、所定の8つの等角度間隔の回転角度は、操作リング111の基準位置からの回転角度であり、上記の8つのISO感度(100、200、400、800、1600、3200、6400、12800)に対応する。そのため、ユーザは、操作リング111を手動回転させたときに、ISO感度の設定操作に好適な回転感触を得ることができる。
【0058】
操作モードの設定がシャッター速度モードである場合には、操作リング111が右回転されると露光時間を短くする方向へ、左回転されると露光時間を長くする方向へ、操作リング111の回転量に応じて、シャッター速度の設定を切り替える処理を行う。ここで、露光時間を短くする方向とは、シャッター速度を高速にする方向でもあり、露光時間を長くする方向とは、シャッター速度を低速にする方向でもある。なお、この場合には、S203の処理によって、操作リング111の回転感触として、操作リング111の所定の回転角度範囲においては操作リング111の回転角度が大きくなるほど回転抵抗力が大きくなると共に、その所定の回転角度範囲外においては急激に回転抵抗力が大きくなるように振動子110の制御が行われている。ここで、所定の回転角度範囲は、操作リング111の基準位置からの回転角度の範囲であり、予め、切り替え可能なシャッター速度の範囲と対応づけされている。従って、その回転角度範囲の下限は、最も高速なシャッター速度に対応し、その回転角度範囲の上限は、最も低速なシャッター速度に対応する。そのため、ユーザは、操作リング111を手動回転させたときに、シャッター速度の設定操作に好適な回転感触を得ることができる。例えば、ユーザは、所望のシャッター速度の設定へ切り替える際に、そのための操作リング111の回転方向を操作リング111の回転抵抗力感によって判断することができる。また、ユーザは、切り替え可能なシャッター速度の範囲を超えて切り替えを行おうとしていることを、操作リング111の急激に大きくなる回転抵抗力感によって、知覚することができる。
【0059】
操作モードの設定が絞りモードである場合には、操作リング111が右回転されると絞り103を絞る方向へ、左回転されると絞り103を開放する方向へ、操作リング111の回転量に応じて、絞りの設定を切り替える処理を行う。ここで、絞り103を絞る方向とは、絞り値(F値)を大きくする方向でもあり、絞り103を開放する方向とは、絞り値を小さくする方向でもある。なお、この場合には、S203の処理によって、操作リング111の回転感触として、操作リング111の所定の回転角度範囲においては操作リング111の回転角度が大きくなるほど回転抵抗力が大きくなると共に、その所定の回転角度範囲外においては急激に回転抵抗力が大きくなるように振動子110の制御が行われている。ここで、所定の回転角度範囲は、操作リング111の基準位置からの回転角度の範囲であり、予め、切り替え可能な絞りの範囲と対応づけされている。従って、その回転角度範囲の下限は、最も小さなF値に対応し、その回転角度範囲の上限は、最も大きなF値に対応する。そのため、ユーザは、操作リング111を手動回転させたときに、絞りの設定操作に好適な回転感触を得ることができる。例えば、ユーザは、所望の絞りの設定へ切り替える際に、そのための操作リング111の回転方向を操作リング111の回転抵抗力感によって判断することができる。また、ユーザは、切り替え可能な絞りの範囲を超えて切り替えを行おうとしていることを、操作リング111の急激に大きくなる回転抵抗力感によって、知覚することができる。なお、絞りの場合、操作リング111のクリック位置間の絞りの段数変化量(露光量で絞り値の変化を示したもの)は、別の操作部材で設定することが出来る。設定された段数変化量に応じてクリック数の変更と、各クリック間に対応した操作リング111の回転角の変更が行われる。
【0060】
なお、上述の各操作モードの設定に応じた処理では、操作リング111の回転方向に応じて行う処理を逆に行うことも可能である。すなわち、操作リング111が左回転されたときに行われていた処理を操作リング111が右回転されたときに行い、操作リング111が右回転されたときに行われていた処理を操作リング111が左回転されたときに行うようにすることも可能である。
【0061】
そして、S204の後、又は、S203の後は、本処理フローがリターンする。
図5は、回転感触変更処理(S203)の処理フローの詳細を示すフローチャートである。
【0062】
図5に示したように、この処理フローが開始すると、まず、本体用マイクロコンピュータ214は、S202で切り替えられた操作モードの設定が、フォーカスモード又はズームモードであるか否かを判定する(S301)。ここで、その判定結果がYesの場合には、操作リング111の回転抵抗力が常に最小になるような振動子110の制御を開始する(S302)。
【0063】
一方、S301の判定結果がNoの場合には、S202で切り替えられた操作モードの設定が、撮影モード又はISO感度モードであるか否かを判定する(S303)。ここで、その判定結果がYesの場合には、操作リング111の回転感触として、操作リング111の所定の5つ又は8つの等角度間隔の回転角度においてクリック感が得られるような振動子110の制御を開始する(S304)。
【0064】
一方、S303の判定結果がNoの場合には、S202で切り替えられた操作モードの設定がシャッター速度モード又は絞りモードの場合である。この場合には、操作リング111の回転感触として、操作リング111の所定の回転角度範囲においては操作リング111の回転角度が大きくなるほど回転抵抗力が大きくなると共に、その所定の回転角度範囲外においては急激に回転抵抗力が大きくなるような振動子110の制御を開始する(S305)。
【0065】
そして、S302の後、S304の後、又は、S305の後は、本処理フローがリターンする。
図6は、S304の処理によって振動子110の制御が開始されたときの、操作リング111の回転角度と回転抵抗力との関係の一例を示す図である。
【0066】
図6において、横軸は操作リング111の基準位置からの回転角度を示し、縦軸は操作リング111の回転抵抗力(回転時の抵抗)を示している。また、実線は、操作リング111を右回転させたときの回転角度と回転抵抗力との関係を示し、点線は、操作リング111を左回転させたときの回転角度と回転抵抗力との関係を示している。なお、操作リング111は、右回転させると回転角度が大きくなり、左回転させると回転角度が小さくなる。
【0067】
また、3つの矢印が指し示す3つの回転角度は、上述した操作リング111の所定の5つ又は8つの等角度間隔の回転角度に含まれる3つの等角度間隔の回転角度であると共に、撮影モード又はISO感度の設定が切り替わる回転角度でもある。
【0068】
S304の処理によって振動子110の制御が開始され、操作リング111が右回転又は左回転されると、
図6に示したように、撮影モード又はISO感度の設定が切り替わる回転角度の手前において回転抵抗力が次のように変化する。すなわち、設定が切り替わる回転角度の手前において、まず、一定の傾きで回転抵抗力が増加する。そして、設定が切り替わる回転角度に更に近づいたところで、一定の傾きで回転抵抗力が減少し、設定が切り替わる回転角度に達したところで元の回転抵抗力に戻る。このような操作リング111の回転抵抗力の変化によって、ユーザは、設定が切り替わる回転角度に操作リング111が達したところでクリック感を得ることができる。
【0069】
図7は、S305の処理によって振動子110の制御が開始されたときの、操作リング111の回転角度と回転抵抗力との関係の一例を示す図である。
図7において、横軸は操作リング111の基準位置からの回転角度を示し、縦軸は操作リング111の回転抵抗力(回転時の抵抗)を示している。
【0070】
また、2つの矢印が指し示す2つの回転角度は、上述した操作リング111の所定の回転角度範囲の下限と上限とを示している。また、その下限及び上限は、最も高速なシャッター速度及び最も低速なシャッター速度、又は、最も小さなF値及び最も大きなF値に対応する。
【0071】
S305の処理によって振動子110の制御が開始され、操作リング111が回転されると、
図7に示したように、回転抵抗力が次のように変化する。すなわち、操作リング111の所定の回転角度範囲においては、操作リング111の回転角度が大きくなるほど回転抵抗力が大きくなり、操作リング111の回転角度が小さくなるほど回転抵抗力が小さくなる。このような操作リング111の回転抵抗力の変化によって、ユーザは、所望の設定へ切り替える際に、そのための操作リング111の回転方向を操作リング111の回転抵抗力感によって判断することができる。また、操作リング111の所定の回転角度範囲外においては、急激に回転抵抗力が大きくなる。このような操作リング111の回転抵抗力の変化によって、ユーザは、切り替え可能な設定の範囲を超えてシャッター速度又は絞りの設定の切り替えを行おうとしていることを知覚することができる。
【0072】
次に、交換式レンズ100の具体例を示すと共に、操作リング111において操作モードに応じた操作性を実現するための具体的な構成例について詳細に説明する。
図8Aは、交換式レンズ100の概要を示す断面図である。また、
図8Bは、
図8Aの1群枠を駆動する機構を説明するための、主要部品を被写体の側から見た図である。ここでは交換式レンズ100の被写体側を前方、カメラ本体側を後方とする。
【0073】
交換式レンズ100の後端にはカメラ本体200(不図示)に取り付けるための、いわゆるバヨネット式のマウント121が設けられている。マウント121はビス等で固定枠122に固定されている。また、マウント121には不図示の電気信号端子が設けられており、カメラ本体200に交換式レンズ100が装着されることでキバン123と電気的に接続されて、カメラ本体200と交換式レンズ100との電気通信や、電力供給が行なわれる。
【0074】
交換式レンズ100は前方から2枚のレンズを保持する1群枠124と、次の2枚のレンズを保持する2群枠125と、残りの4枚のレンズを保持し、絞り機構を保持した3群枠126からなる。
【0075】
各枠の駆動機構は同様な機構に構成されているので、ここでは1群枠124の駆動機構についてのみ説明する。固定枠122の内周側突出部の穴に、リードネジが形成された軸状の1群送りネジ127の一端部が嵌合し、他端が固定枠122に固定された前固定枠162の穴に嵌合し、光軸に平行な軸回りに回転自在に1群送りネジ127は保持されている。1群送りネジ127の後端部には1群ネジギア128がカシメや圧入等で固着されている。一方、固定枠122の別の突出部に板状の1群モータ台129と一体の1群モータ130がビス等で固定されている。そして、1群モータ130の回転軸の一端には1群モータギア131が圧入等で固定され、1群モータギア131には1群ネジギア128が噛合している。さらに、1群モータ130の回転軸の他端には回転軸中心に対して放射状に複数のスリットを設けた1群位置検出ハネ132が圧入等で固定されている。1群枠124の外周側に設けられた突起には1群送りネジ127にネジ嵌合する雌ネジが形成されている。1群送りネジ127の設置位置と光軸に対して反対側には固定枠122の内周側の突出部に両端を固定され、光軸に平行に設置された1群ガイド軸133が保持されている。1群ガイド軸133は1群枠124の外周に設けられた突起に形成された光軸に対して放射方向に延びる長穴に嵌合し、1群送りネジ127のネジ嵌合とで固定枠122に位置決めされて保持されている。
【0076】
次に1群枠124の動作について説明する。1群モータ130を回転させると、1群モータギア131に噛合している1群ネジギア128が回転し、1群ネジギア128と一体の1群送りネジ127が回転する。すると、1群送りネジ127に噛合している1群枠124は1群送りネジ127の回転軸回りに回転する力が作用するが、1群枠124の回転は1群ガイド軸133により止められているので、1群送りネジ127の1回転で、そのネジピッチ分、光軸方向に移動する。この時、1群送りネジ127の部分で発生するガタや、1群ガイド軸133の部分で発生するガタは夫々、不図示のバネ等でガタが無くなるように押圧して、1群モータ130の回転が確実に1群枠124に伝わるようにしている。このような構成で、モータ軸他端に取り付けた1群位置検出ハネ132でモータ軸の回転を検出することにより、1群枠124の位置を正確に検出することが可能となる。
【0077】
絞り103は、絞りハネ134と光軸回りに回転自在に絞り台135と絞りフタ136で保持された絞り板137と、複数の絞りハネ134との間にカムとピンの機構を設けている。この機構により、絞り板137が回転すると、複数の絞りハネ134が同時にカムに沿って動作し、絞りフタ136の開口を絞る、いわゆる虹彩絞りを形成する。絞り板137の外周側突出部に歯車が設けられており、モータ軸の一端に取り付けられた絞りモータギア138が噛合している。
【0078】
従って、絞り台135に絞りモータ台139を介して取り付けられている絞りモータ140が回転すると、絞り板137が回転し、絞りハネ134が形成する虹彩絞りの大きさを変化させることができる。
【0079】
次に、操作リング111について説明する。操作リング111は固定枠122の外周部に光軸回りに回転自在に嵌合している。操作リング111の内周側には円筒状のスケール141が設けられている。スケール141は等ピッチでN極、S極が交互に円周方向に帯状(帯の幅方向は光軸方向)に並んだ磁気スケールである。スケール141と対向して固定枠122の外周部に設けられた位置センサ109は例えばGMR素子(巨大磁気抵抗素子)であり、スケール141の磁場変化によりその抵抗が変化し、電圧信号の変動としてスケール141との相対位置変化を出力する。この電気信号に応じて、各モータを制御することにより、手動で各枠を制御することも可能である。手動にするか自動(例えばオートフォーカス)にするかは、不図示のカメラ本体200の操作部216に含まれる操作部材の操作でもって設定可能としている。若しくは、交換式レンズ100に、ボタンあるいはレバー、ダイヤル等の操作部材を設け、その操作でもって設定可能に構成することも可能である。
【0080】
上に述べたモータ、位置センサはフレキシブル基板を通して、撮影レンズの主要回路が搭載されたキバン123に電気接続されており、そのキバン123に搭載されたレンズ用マイクロコンピュータ106で各々制御される。
【0081】
ここで示したモータは回転電磁モータであるが、圧電体を用いた圧電モータでも良いし、光軸方向に直接動作するリニアモータでも良い。モータをステッピングモータとすれば、モータの位置検出器は不要となる。
【0082】
また、枠の位置はモータにつけた位置検出ハネをフォトインターラプタで検出する方法をとったが、GMRとかホール素子のような磁気検出方式でも良いし、静電容量の変化を検出する静電方式等でも良い。さらに、モータの回転を検出するのでは無く、枠の動きを直接検出する方法でも良い。ここでは、記載がないが、位置の原点位置を検出するための位置検出器を設置すると、原点位置を所定の状態で確認する動作をすると、位置検出をより正確にすることが可能となる。
【0083】
操作リング111の位置検出に関しても、磁気式でなく、光式の検出器でも良いし、静電式の検出器でも良い。
操作リング111の回転抵抗力を制御する振動子110は、積層された圧電体142と、一端に設けられた接触体143からなる。固定枠122に振動子110の一端が固定されている。ここで、固定枠122は、振動子110が配置された固定部材の一例である。接触体143の先端面は操作リング111の内周側の円筒面に押圧接触しており、圧電体142に電圧が加わらない状態では、摩擦力を発生し、操作リング111と固定枠122の相対位置を保つようになっている。従って、例えば、操作リング111が手動操作されていない場合には振動子110を非駆動状態にして操作リング111を摩擦接触力により固定保持しるようにすることも可能である。圧電体142に周波電圧を発生させると、振動子110は交換式レンズ100の光軸に対して放射方向に振動し、摩擦力を低減させる。圧電体142への周波電圧の供給を停止すると、摩擦力が操作リング111と固定枠122の間に発生し、操作リング111の操作力量が著しく大きくなり、抵抗力が大きくなる。従って、周波電圧の供給と停止を繰り返すことによって、操作リング111にクリック感を作ることが可能となる。また、抵抗力であるクリック力量に当たる上記の摩擦力は振動子110の振動振幅を圧電体142に印加する電圧を制御することによって変更することが可能であり、クリック力量も制御することが可能である。また、周波電圧の周波数を所定の値にすると振動子110は共振して非常に大きな振動振幅を発生させることが可能で、摩擦力を非常に小さくすることができる。この時、振動振幅は周波数を共振周波数から少し変えることによって変更可能で、周波数を変えることによっても摩擦力を変えることが出来る。
【0084】
なお、
図8Aにおいて、その他の符号は次のとおりである。
符号144はゴムである。符号145はフレキである。符号146は絞り位置検出ハネである。符号147は3群ガイド軸である。符号148は絞り位置検出器である。符号149は3群送りネジである。符号150は3群位置検出ハネである。符号151は3群モータである。符号152は3群モータ台である。符号153は3群ネジギアである。符号154は3群モータギアである。符号155は2群送りネジである。符号156は2群位置検出ハネである。符号157はボールである。符号158はバネである。符号159は2群モータ台である。符号160は2群モータギアである。符号161は2群ネジギアである。符号162は前固定枠である。符号163は2群モータである。
【0085】
図8A、
図8Bに示した操作リング111に関係する構成は、次のように変形することも可能である。
図9Aは、操作リング111に関係する構成の変形例を示す図であり、
図8Aにおける操作リング111を含む部分に相当する部分のみを示している。
図9Bは、
図9AのAA側断面図である。なお、
図9Aは、
図9BのBB側断面図でもある。
【0086】
図8A、
図8Bに示した構成と異なる部分は、振動子110を、押圧力を発生させる板バネである押圧バネ164を介して、操作リング111側に配置したことである。操作リング111の円周上で、振動子110に対して略120°のところには、夫々ボール157を保持する穴が設けられ、夫々のボール157を光軸方向に押し付けるためのビス165が螺合されており、このビス165の押し付け量を調節することにより、振動子110の固定枠122への押圧力を調整することができるように構成されている。振動子110はその端面を押圧バネ164の中心部に設けられた平坦部に接着固定されている。押圧バネ164は円周接線方向2ヶ所をビス166で固定されている。なお、操作リング111が1回転以上の回転をする場合は、固定枠122と操作リング111との間に摺動導電切片を設け、円筒面を形成した導電パターンに接触させて電気信号が圧電体142に供給される。
【0087】
図10は、
図9A、
図9Bに示した振動子110の保持部の部分拡大図である。振動子110の接触体143側は操作リング111に設けられた穴の内周に振動減衰性がある部材からなるゴム167が固着されている。ゴム167はウレタン等のエラストマーや、ゴム部材、軟質の例えばポリアセタール樹脂、コルク、フェルト等で形成できる。また、ゴム167は振動子110の押圧方向への振動を阻害しないように押圧方向には変形容易に形成され、一方、押圧方向と直交する方向には位置が変動しないように圧電体142を囲むように形成されている。固定枠122の接触体143が接触される部分は表面の粗さを小さく押えて、接触体143との磨耗が発生しないような、コーティングがされた摺動部122aが形成されている。コーティングはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の樹脂や、ダイヤモンドライクカーボンなどの摺動性の良い材料であると、安定した接触が得られ、振動子110が振動していない状態で、操作リング111を、固定枠122に対して相対回転させたとしても、接触体143、摺動部122aが磨耗するのを抑えることが可能となる。接触体143の材質は、摺動部122aが上記のような材料であった場合に、セラミックや、金属の比較的硬い素材で形成し、表面の粗さを抑えたものが好ましい。接触体143と摺動部122aの材質は上記の材質を逆に使用しても勿論かまわない。
【0088】
図11及び
図12は、振動子110を構成する圧電体142の構成を示している。
図11は圧電体142の詳細を示す分解斜視図である。圧電体142はチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックスで作られた圧電体単板を多数枚積み重ねて構成された積層圧電体からなっている。基本構成は内部電極である電極C401cが片側の面に形成された矩形板状の圧電体板A401と内部電極である電極C402cが片側の面に形成された矩形板状の圧電体板B402がペアとなり、これらが複数ペア積層されている。各電極C401c、402cは異なる側面位置に引き出され、圧電体板A、Bが積層され、さらに内部電極を持たない圧電体板Cが積層されて焼成されたものの側面に形成された電極A、Bにより圧電体板1枚おきに内部電極が接続され、最外面の圧電体板C403の表面に2つの電極が形成されている。
図11では圧電体単板を複数枚積み重ねているが、圧電体単板を折り畳んだ形態で製作しても同様な構成が可能である。なお、
図11において、符号404はフレキである。符号404aはフレキ404のパターンAである。符号404bはフレキ404のパターンBである。符号403aは圧電体板C403の電極Aである。符号403bは圧電体板C403の電極Bである。符号401aは圧電体板A401の電極Aである。符号401bは圧電体板A401の電極Bである。符号402aは圧電体板B402の電極Aである。符号402bは圧電体板B402の電極Bである。
【0089】
このように形成された積層圧電体は電極A、電極B間に高電圧を印加することで各圧電体板A、Bが板厚方向で同じ方向に分極される。従って、
図12に示すように分極された圧電体142の電極A,電極Bの一方を圧電体制御回路112のグランド169につなぎ、他方に圧電体制御回路112の信号出力端子につなげて周波電圧を印加すると板厚方向に圧電体142は伸び縮みする。
【0090】
次に、
図9A、
図9B、及び
図10に示した接触体143の接触部の摩擦低減について、主要部品を概念的に示した
図13(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g) と振動子110の動作を概念的に示した
図14を用いて説明する。
【0091】
図13(a) に示すように、操作リング111に押圧バネ164に一端を固着された振動子110が設置されており、固定枠122外周に設けた摺動部122aに、振動子110の端部に固着されている接触体143の球面凸部が、押圧バネ164により押圧されている。
【0092】
押圧力の発生は、
図10のように板バネでも良いし、押圧バネ164の剛性を高くし、押圧バネを固定するビス166の軸に嵌る圧縮コイルバネを介してビス166を締める形態でも良いし、磁石による磁力等、接触体143と摺動部122aの間に圧力が発生できるものであればどのような機構でも良い。
【0093】
図13(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g) は、
図10で圧電体142に周波電圧を与えて振動させた場合の固定枠122と振動子110の様子を所定の時間ごとに表示している。
図14は
図13(a) の時間T0から
図13(g) の時間T6までに対応する圧電体11に印加される電圧信号を示す。
【0094】
圧電体142に正弦波の20kHz以上の電圧を加え、接触体143の固定枠122との接触面に1μm程度の超音波振動を発生させると、振動子110が、固定枠122から浮き上がり、接触体143は殆ど固定枠122には接触しない状態となる。詳しく説明すると、圧電体142に電圧が印加されない初期状態の
図13(a) では接触体143は固定枠122に押圧バネ164の押圧力で押圧されて接触している。圧電体142を振動させると、接触体143には超音波振動による数万m/s
2レベルの加速度が加わる。従って、接触体143は剛性の高い金属とかセラミックスが好ましく、可聴音の抑制のためには剛性の高いPPS等の樹脂にセラミック粉、ガラス繊維、炭素繊維等の材料を混ぜたものがより好ましい。また、接触体143と圧電体142の接合は剛性の高いエポキシ系の接着剤等で行なうのが良い。一方、接触する摺動部122aは剛性が高く、耐摩耗性の金属やセラミックスにするのが好ましい。
【0095】
次に圧電体142が延びるように圧電体142に電圧が印加されると圧電体が変位する加速度と振動子110の質量の積の力があらたに加わった状態で接触体143は摺動部122aに押圧され、変位加速度は次第に減少して0となり、最大電圧が印加されて圧電体142が最大に伸張した状態になる(
図13(b) 参照)。初期の発生加速度が非常に大きな場合は、条件によってはこの状態で接触体143が摺動部122aに接触しない場合も発生する。
【0096】
最大に変形した後に圧電体142は縮みはじめ、初期状態に戻る。この時、圧電体が発生した加速度による変位を押圧バネ164は充分引き戻すことは出来ない(圧電体は時定数が小さいが押圧バネ164は時定数が相対的に非常に大きいため応答遅れが生ずる)ので接触体143は摺動部122aに接触しない状態が実現する(
図13(c) 参照)。
【0097】
圧電体142には続いて圧電体142を縮める方向の最大電圧印加状態でも接触体143は摺動部122aには接触しない状態が継続する(
図13(d) 参照)。
次に圧電体142に印加される電圧は小さくなって0になり、圧電体142は初期状態の変位に戻るが、接触体143は摺動部122aに接触しない(
図13(e) 参照)。
【0098】
さらに圧電体142に伸張する方向に電圧が加わり、圧電体142が延びると所定のところで接触体143は摺動部122aに接触し、固定枠122には、接触体143から離れる方向に加速度が加えられる(
図13(f) 参照)。
【0099】
再び圧電体142に縮む方向に電圧が加わり、圧電体142が初期状態の変位に戻ると、接触体143と摺動部122aは再び接触しない状態になる(
図13(g) 参照)。
以上に示したように
図13(c) から
図13(g) までを1周期として繰り返しの動作となる。
図13(a) から
図13(c) までは静止状態から定常振動発生までの過渡特性の状態となるので定常状態では
図13(c) から
図13(g) が繰り返される。
【0100】
図13(c) から
図13(g) までの1周期で接触体143が摺動部122aに接触するのは
図13(f) の付近の一瞬のみとなり、1周期の大部分の時間は非接触状態であり、その間は摩擦力Ffは0となる。従って1周期の平均の摩擦力Ffは非常に小さくなる。実際には非接触時に操作リング111を動作すれば、摩擦力Ffは0で動作し、圧電体142の振動周期の間隔で瞬間摩擦力でブレーキがかかる状態になるが、振動周期が非常に小さいために摩擦力が定常的に小さくなったように滑らかに動作する。この動作からもわかるように、圧電体142の振動振幅を変えることで、接触体143の摺動部122aとの接触時間が変化する。振動振幅を非常に小さくする(振幅を0に近い値とする)と接触体143と摺動部122aは常時接触した状態と殆ど変わりなくなり、摩擦力Ff≒μFpとなる。ここで、μは接触体143と摺動部122aの接触面の摩擦係数であり、Fpは押圧バネ164の押圧力である。
【0101】
図15は、圧電体142の圧電体制御回路112の構成を概略的に示す回路図である。
図16は、
図15の圧電体制御回路112における各構成部材から出力される各信号形態を示すタイムチャートである。
【0102】
ここに例示した圧電体制御回路112は
図15に示す如くの回路構成を有し、その各部において、
図16のタイムチャートで表わす波形の信号(Sig1〜Sig4)が生成され、それらの信号に基づいて次のように制御される。
【0103】
圧電体制御回路112は、
図15に例示の如く、N進カウンタ170、1/2分周回路171、インバータ172、複数のMOSトランジスタQ00,Q01,Q02、トランス173及び抵抗R00から構成されている。
【0104】
上記トランス173の1次側に接続されたMOSトランジスタQ01及びMOSトランジスタQ02のON/OFF切替え動作によって、そのトランス173の2次側に所定周期の信号(Sig4)が発生するように構成されており、この所定周期の信号に基づき圧電体142を駆動させ、
図14に示すような振動を発生させるようになっている。
【0105】
レンズ用マイクロコンピュータ106は、制御ポートとして設けられた2つのIOポートP_PwCont及びIOポートD_NCntと、このレンズ用マイクロコンピュータ106内部に存在するクロックジェネレータ168を介して圧電体制御回路112を次のように制御する。クロックジェネレータ168は、圧電体142へ印加する信号周波数より充分に早い周波数でパルス信号(基本クロック信号)をN進カウンタ170へ出力する。この出力信号が、
図16中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig1である。そしてこの基本クロック信号はN進カウンタ170へ入力される。
【0106】
N進カウンタ170は、当該パルス信号をカウントし所定の値“N”に達する毎にカウント終了パルス信号を出力する。即ち、基本クロック信号を1/Nに分周することになる。この出力信号が、
図16中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig2である。
【0107】
この分周されたパルス信号はHighとLowのデューティ比が1:1ではない。そこで、1/2分周回路171を通してデューティ比を1:1へ変換する。尚、この変換されたパルス信号は、
図16中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig3に対応する。
【0108】
この変換されたパルス信号のHigh状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタQ01がONする。一方、MOSトランジスタQ02へはインバータ172を経由してこのパルス信号が印加される。従って、パルス信号のLow状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタQ02がONする。トランス173の1次側に接続されたMOSトランジスタQ01とMOSトランジスタQ02が交互にONすると、2次側には
図16中の信号Sig4の如き周期の信号が発生する。
【0109】
トランス173の巻き線比は、電圧制御回路174の出力電圧と圧電体142の駆動に必要な電圧とから決定される。尚、抵抗R00はトランス173に過大な電流が流れることを制限するために設けられている。また、電源回路175は、例えばボディ本体200内に設けられており、その出力電圧は、I/F300(
図1参照)を通してボディ本体200(
図1参照)から交換レンズ100(
図1参照)に設けられた電圧制御回路174に供給される。
【0110】
レンズ用マイクロコンピュータ106のVcntからは、電圧制御回路174の出力電圧が設定され、圧電体142への印加電圧が決まる。電圧制御回路174の出力電圧により、圧電体142の振動振幅が決まる。具体的に振動振幅を電圧制御回路によって変えた状態を示すグラフが
図17である。この場合、接触体143と固定枠122の摺動部122aとのY方向の接触位置は、基準振幅に対し、振幅拡大したとき、変化する。すると、振幅拡大により、接触体143が摺動部122aに接触する時間が小さくなり、接触体143と摺動部122aの摩擦力が変わる。但し、振動振幅を拡大していっても、摩擦力は0になることはなく、0に近い一定の摩擦力F0に収束する。一方、振動子110が振動をしていなくて、振動振幅が0の場合は、接触体143と摺動部122aの間の摩擦係数をμとすると、押圧力をFpとして、発生する摩擦力F=μ×Fpであり、振動振幅を電圧制御回路174で制御すると摩擦力はFからF0まで変化させることが出来る。クリック感を出すためには、接触体143と摺動部122aの間の摩擦力を操作リング111の回転位置に対応させて変化させれば良く、振動振幅を操作リング111の位置に対応して変化すれば実現できる。
図18はクリック感を発生させるための操作リング111の対応回転角と操作リング111の操作力量及びそれに対応した振動子110の振動振幅をグラフにしたものである。
図18は一例であり、このグラフを形を変化することは可能である。例えば、
図18は、操作リング111の1回転で10箇所のクリックであるが、数は自由に変更が可能である。また、
図18はクリックを全周に等間隔に振付けているが、所定の角度(例えば180°)内につけ、残りの180°の間では摩擦力Fに設定も可能である。さらに、クリックを等間隔ではなく不等間隔にわりつけることも可能である。クリック感の必要のないフォーカシングに操作リング111を設定した場合は、振動振幅を操作リング111の位置によらず、一定にすれば、接触体143と摺動部122aの間の摩擦力は一定となり、操作リング111の操作力量は一定になる。また、操作リング111の操作力量は、振動子110の振動振幅を異なる値に設定すれば、異なる操作力量に操作リング111を設定できる。また、
図19に示すように、
図18に示したものとは異なる入力電圧信号を圧電体142に与えることによって、
図18に示したものとは異なるクリック感が得られるようにすることも可能である。
【0111】
圧電体142を駆動するに際しては、MOSトランジスタQ00がON状態にあり、且つ、電圧制御回路174からトランス173のセンタータップに電圧が印加されていなければならない。そして、この場合において、MOSトランジスタQ00のON/OFF制御は、レンズ用マイクロコンピュータ106のIOポートP_PwContを介して行われるようになっている。N進カウンタ170の設定値“N”は、レンズ用マイクロコンピュータ106のIOポートD_NCntから設定でき、よって、レンズ用マイクロコンピュータ106は、設定値“N”を適宜に制御することで、圧電体142の駆動周波数を任意に変更可能である。また、駆動周波数を振動子110の共振周波数として振動子110の振動振幅を拡大し、低い電圧で動作するようにしても良い。共振周波数とする場合は圧電体142の振動状態を検出し、共振周波数を追尾する制御が必要となる。振動状態の検出は、例えば、共振周波数では圧電体のインピーダンスが小さくなるため、圧電体142に入力される電流を検知することで検出可能である。あるいは、圧電体142の積層される単板の一部を振動検出の圧電体とし、振動検出の圧電体から出力電圧の電圧、または、位相を検出することにより、振動子110の共振を検出することが出来る。
【0112】
ここで、次の(1)式により、圧電体制御回路から出力される周波数は算出可能である。即ち、
fdrv=fpls/2N …(1)
但し、NはN進カウンタ170への設定値、fplsはクロックジェネレータ168の出力パルスの周波数、fdrvは圧電体142に印加される信号の周波数である。尚、この(1)式に基づいた演算は、例えばレンズ用マイクロコンピュータ106で行われる。
【0113】
また、fdrvは本実施形態では20kHz以上の周波数とするのが良い。圧電体142は、fdrvの周波数で振動することになるが、この周波数帯は超音波領域であり、人間には聞こえない。
図1に示したデジタルカメラは動画の撮影にも使われるが、その時は音声を同時に記録する場合があり、駆動音が小さいことが求められる。超音波帯の音は人間の可聴域を超えるため、通常のマイクが検出することがない。
【0114】
図20は、操作リング111の操作感を制御するレンズ用マイクロコンピュータ106の処理フローの一例を示すフローチャートである。ここでは、一例として、クリック感様の操作感を得る場合の処理フローを示す。
【0115】
図20に示したように、この処理フローが開始すると、まず、レンズ用マイクロコンピュータ106は、操作リング111の操作モードをFlashメモリ107から読み出す(S401)。なお、本例では、モード切替操作部108の押下に応じて操作モードの設定が切り替えられると、その切り替えられた操作モードの情報がFlashメモリ107に格納されるものとする。ここでは、撮影モード又はISO感度モードが読み出されたとする。
【0116】
続いて、位置センサ109の出力信号に基づいて操作リング111の位置xを検出する(S402)。なお、操作リング111の位置xは、操作リング111の基準位置に対する位置である。
【0117】
続いて、周波数Noscf0と、S402で検出された位置xに対応する電圧Vconv(x)を、Flashメモリ107から読み出す(S403)。なお、本例では、Flashメモリ107に、予め、周波数Noscf0と位置xに対応する電圧Vconv(x)の情報が格納されているものとする。ここで、位置xに対応する電圧Vconv(x)は、例えば、実験的に、対応する従来の機械的なクリック機構から得られた力量データに基づいて決定されたものである。また、位置xは、
図18や
図19に示した操作リング111の回転角に対応する。
【0118】
続いて、S403で読み出された周波数Noscf0を周波数Noscfに設定し(S404)、S403で読み出された電圧Vconv(x)を電圧Vconvに設定する(S405)。
【0119】
続いて、S404で設定された周波数Noscfを、レンズ用マイクロコンピュータ106のIOポートD_NCntを介して、N進カウンタ170に設定する(S406)。また、S405で設定された電圧Vconvを、レンズ用マイクロコンピュータ106のIOポートVcntを介して、電圧制御回路174に設定する(S407)。
【0120】
続いて、レンズ用マイクロコンピュータ106のIOポートP_PwContをHiに設定する(S408)。これにより、圧電体142の振動が開始する。そして、待機状態となる(S409)。なお、待機状態においては、上記設定の下で圧電体142の振動が継続する。
【0121】
続いて、操作リング111が操作されたか否かを判定する(S409)。ここで、その判定結果がNoの場合には処理がS409へ戻る。
一方、S409の判定結果がYesの場合には、圧電体の駆動を停止するか否かを判定する(S411)。ここでは、例えば再生ボタンが押される等の操作が行われると、圧電体の駆動を停止すると判定する。S411の判定結果がNoの場合にはS402へ戻り、S402以降の処理が再び繰り返される。
【0122】
一方、S411がYesの場合には、レンズ用マイクロコンピュータ106のIOポートP_PwContをLoに設定する(S408)。これにより、圧電体142の振動が停止する。そして、本処理フローが終了する。
【0123】
このような処理フローにより、メカ的なクリック感と同様の感触を有する操作リング111を実現することができる。また、位置xに対応する電圧Vconv(x)の情報として、撮影モードに応じた情報やISO感度モードの情報等をFlashメモリ107に格納しておくことにより、撮影モードやISO感度モード等に応じて、異なる位置間隔(角度間隔)でクリック感を有する操作リング111を実現することができる。なお、圧電体142は、1ms未満の高速応答が可能で瞬時に摩擦を変更することができるので、操作リング111のクリック感を得るのに好適である。
【0124】
操作リング111の操作モードの設定は、上述のとおり、モード切替操作部108の押下により行うほか、次のような構成によってそれを行うことも可能である。
例えば、
図9A、
図9B等に示した操作リング111を、
図21A、
図21Bに示したように、手動により、交換式レンズ100の光軸方向に前後にスライド可能に構成する。但し、
図21A、
図21Bに示した例では、
図9A、
図9B等に示した振動子110と摺動部122aとが反転して設けられるように構成される。すなわち、振動子110が固定枠122側に設けられ、摺動部122aが操作リング111側に設けられる。このような構成では、例えば、操作リング111が前後へスライドする際には、操作リング111の回転抵抗力が小さくなるように振動子110の振動が制御される。この場合、操作リング111のスライドは、位置センサ109により検出するよう構成することもできる。この場合には、位置センサ109が操作リング111のスライド開始を検出したときに、操作リング111の回転抵抗力が小さくなるよう振動子110の振動を制御することができる。また、例えば、操作リング111のスライド位置は、図示しないスイッチによって検出される。この場合、少なくとも、前にスライドされたときの操作リング111の位置と、後ろにスライドされたときの操作リング111の位置とを検出できるようにスイッチが設けられる。そして、スイッチがオンする毎に、操作モードの設定を切り替えるように処理が行われる。なお、このような構成では、例えば、前にスライドされているときの操作リング111のボール157をガイドするボールガイド176と、後ろにスライドされているときの操作リング111のボール157をガイドするボールガイド177とが、固定枠122に設けられる。また、スケール141は、操作リング111が前と後ろにスライドされた状態であっても位置センサ109による操作リング111の回転方向の位置検出が可能になるような大きさで設けられる。
【0125】
また、このように操作リング111を前後にスライド可能に構成する場合において、操作リング111を前後方向に一往復させたときに、スイッチが一度だけオンするように構成することも可能である。すなわち、操作リング111を、前から後ろ、そして前へというように一往復スライドさせたとき、又は、後ろから前、そして後ろへというように一往復スライドさせたときに、スイッチが一度だけオンするように構成することも可能である。例えば、操作リング111を、前から後ろ、そして前へというように一往復スライドさせたときに、スイッチが一度だけオンするように構成した場合には、操作リング111の回転操作が、操作リング111を前へスライドさせた位置において行われるようになる。さらに、操作リング111は機械的にスライドさせることなく、スライド方向に操作リングを押し付けた時に圧力を検知する圧力センサにてスライド操作を検出し、スイッチの代わりとしても良い。
【0126】
上述のデジタルカメラにおいては、更に、次のような変形も可能である。
例えば、デジタルカメラで行われる
図2や
図20等に示した処理を、ボディ用マイクロコンピュータ214のみが実行するように構成することも可能であるし、レンズ用マイクロコンピュータ106のみが実行するように構成することも可能である。或いは、ボディ用マイクロコンピュータ214とレンズ用マイクロコンピュータ106が協働して実行するように構成することも可能である。
【0127】
また、例えば、操作リング111を、カメラ本体200に設けるように構成することも可能である。この場合、例えば、操作リング111をダイヤル等のような回転式の操作部材としてカメラ本体200に設けることも可能である。
【0128】
また、デジタルカメラは、レンズ交換可能なタイプのカメラに限らず、例えばコンパクトカメラ等のようにレンズ交換ができないタイプのカメラとすることも可能である。この場合は、例えば、そのカメラのレンズ鏡筒に操作リング111を設けるようにすることも可能であるし、上記のように、操作リング111をダイヤル等のような回転式の操作部材として設けることも可能である。
【0129】
また、上述のデジタルカメラでは、操作リング111の基準位置からの回転角度に応じて、設定の切り替えが行われるものであり、その基準位置は絶対位置であったが、その基準位置を相対位置とすることも可能である。この場合は、例えば、操作モードの設定の切り替えが行われた時点の操作リング111の位置を基準位置として、その基準位置からの操作リング111の回転方向及び回転量に応じて設定の切り替えを行うように構成することも可能である。なお、この場合には、その回転方向及び回転量に応じて操作リング111の回転抵抗力も、例えば
図6や
図7等に示したように、変更されることは勿論である。
【0130】
また、操作リング111は、無限に回転可能に構成することも可能であるし、例えば180度等のように一定の回転角度範囲しか回転しない構成することも可能である。この場合、例えば、上記の基準位置を相対位置とする場合には、操作リング111を無限に回転可能な構成とすることも可能であるし、上記の基準位置を絶対位置とする場合には、操作リング111が一定の角度範囲しか回転しない構成とすることも可能である。
【0131】
以上のように、本実施形態によれば、操作リング111の操作性を、フォーカスモード、ズームモード、撮影モード、ISO感度モード、シャッター速度モード、絞りモードといった操作モードに応じて、適切な操作性に変更することができる。
【0132】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0133】
(付記1)
被写体像を撮像して画像データを得る撮像手段と、
固定枠と、
上記固定枠に対して手動で回転可能に配置される操作リングと、
上記固定枠または上記操作リングの一方に配置されていて、当該固定枠または当該操作リングの他方の対向面と接触するように配置された振動子と、
上記固定枠に対する上記操作リングの位置を検出する位置検出手段と、
上記振動子の駆動を制御して、上記固定枠または上記操作リングと接触する際の接触摩擦力を変更する操作力量制御手段と、
を具備し、
上記操作力量制御手段は、上記固定枠に対して上記操作リングを手動回転させた際、当該操作リングにかかる接触摩擦力がクリック感となるように上記振動子を制御することを特徴とする撮像装置。
【0134】
(付記2)
上記操作力量制御手段は、設定されているモードに応じて上記クリック感を変更することを特徴とする付記1記載の撮像装置。
【0135】
(付記3)
上記操作リングは、モードを変更すべく、上記固定枠に対して手動でスライド可能に配置されており、
上記操作力量制御手段は、上記位置検出手段によって上記操作リングがスライド方向に変位した、あるいは変位力が加えられたことが検出された際に、接触摩擦力を軽減するように上記振動子を制御することを特徴とする付記1記載の撮像装置。
【0136】
(付記4)
上記振動子は、上記操作リングの内周面に圧接付勢されていることを特徴とする付記1記載の撮像装置。
【0137】
(付記5)
上記操作力量制御手段は、上記操作リングの内周面への圧接方向の振動振幅を変更するように上記振動子を駆動制御することを特徴とする付記4記載の撮像装置。
【0138】
(付記6)
上記操作力量制御手段は、上記操作リングが手動操作されていないときには上記振動子を非駆動状態にして当該操作リングを摩擦接触力により固定保持し、上記位置検出手段によって上記操作リングの手動操作が開始されたことを検出したときには上記操作リングの摩擦接触力を軽減すると共にクリック感を付与するように上記振動子を駆動制御することを特徴とする付記1記載の撮像装置。
【0139】
(付記7)
上記操作力量制御手段は、上記振動子の駆動電圧を制御して上記振動子の振動振幅を変更することによってクリック力量を制御することを特徴とする付記1記載の撮像装置。
【0140】
(付記8)
上記操作力量制御手段は、上記振動子の駆動電圧として周波電圧の供給と停止を繰り返すことによってクリック感を付与することを特徴とする付記1記載の撮像装置。
【0141】
(付記9)
上記操作リングが所定の回転位置へ手動回転される場合、又は、上記操作リングが上記所定の回転位置を通過するように手動回転される場合、上記操作力量制御手段は、上記所定の回転位置の手前において上記操作リングにかかる接触摩擦力を増加させて減少させ、上記所定の回転位置にて上記操作リングにかかる接触摩擦力を元の接触摩擦力に戻すように上記振動子を制御することにより、上記所定の回転位置にてクリック感を付与することを特徴とする付記1記載の撮像装置。