(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718156
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 7/10 20060101AFI20150423BHJP
E06B 7/23 20060101ALI20150423BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
E06B7/10
E06B7/23 A
E06B7/22 F
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-119596(P2011-119596)
(22)【出願日】2011年5月27日
(65)【公開番号】特開2012-246683(P2012-246683A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2013年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小石 恵
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−144438(JP,A)
【文献】
実公昭61−020238(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの空間の境界に設けられる建具であって、
前記2つの空間を連通する開口を形成する枠体と、
前記開口を開閉自在に前記枠体に設けられた障子と、
前記枠体に設けられ、前記障子の上部に、前記2つの空間のうちの一方の空間側から当接される水密部材と、
を有し、
前記枠体は、
前記開口の上方に位置する上枠と、見付け方向において前記開口の両側に位置する縦枠との、前記2つの空間のうちの他方の空間に臨む部位に長手方向に沿って設けられ、前記他方の空間に向かって開放された、前記水密部材が嵌合される水密部材嵌合部と、
前記水密部材嵌合部の上方に、前記他方の空間に臨む部位より前記他方の空間側に突出する突出部と、
を有し、
前記縦枠の前記水密材嵌合部の上縁は、見付け方向における前記上枠の両端部より内側にて当該上枠の前記水密材嵌合部の下面に当接され、前記上枠の前記水密材嵌合部は、前記縦枠の前記水密材嵌合部が当接されている部位より外側にて下方に開放されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記突出部と前記水密部材とが互いに離間していることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記水密部材嵌合部の上方には、前記一方の空間側から前記他方向の空間側に向かって漸次高さが低くなる傾斜部が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項3に記載の建具であって、
前記傾斜部は、前記突出部の先端まで続いていることを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の建具であって、
前記突出部は、前記他方の空間に臨む部位より前記他方の空間側に、鉛直面を有する鉛直部を有していることを特徴とする建具。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の建具であって、
前記水密部材は、前記障子が当接されて弾性変形することにより前記障子と密着し、
前記突出部は、前記水密部材の弾性変形を妨げない突出量であることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの空間の境界に設けられる建具に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの空間の境界に設けられる建具としては、例えば、枠体が形成する開口を閉止自在な障子の上部に、枠体に設けられた水密部材が当接されて、障子の上部の水密性を確保している建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような建具は、水密部材を嵌合するための溝状をなす嵌合部が、枠体の上部に設けられている。この溝状をなす嵌合部は、開放された部位が障子側に向くように形成されており、水密部材は、嵌合部に障子側から嵌合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−144438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような建具は、水密部材を嵌合部に嵌合しやすくするために、嵌合部のサイズは水密部材の嵌合される部位のサイズより大きく形成されている。このため、枠体の水密部材より上側の水分が枠体を伝って下方に流れると、嵌合部と水密部材との隙間から嵌合部内に浸入する場合がある。開閉に伴う振動や嵌合部内に水分が浸入した状態にて障子が開閉されることにより水密部材が押圧されたり押圧が解除されたりすると、水密部材と嵌合部とがポンプのように作用して、嵌合部材内の水分が嵌合部外に排出されて水密性が確保されない虞があるという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、建具の上部におけるより高い水密性を備えた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、2つの空間の境界に設けられる建具であって、前記2つの空間を連通する開口を形成する枠体と、前記開口を開閉自在に前記枠体に設けられた障子と、前記枠体に設けられ、前記障子の上部に、前記2つの空間のうちの一方の空間側から当接される水密部材と、を有し、前記枠体は、
前記開口の上方に位置する上枠と、見付け方向において前記開口の両側に位置する縦枠との、前記2つの空間のうちの他方の空間に臨む部位に
長手方向に沿って設けられ、前記他方の空間に向かって開放された、前記水密部材が嵌合される水密部材嵌合部と、前記水密部材嵌合部の上方に、前記他方の空間に臨む部位より前記他方の空間側に突出する突出部と、を有し、
前記縦枠の前記水密材嵌合部の上縁は、見付け方向における前記上枠の両端部より内側にて当該上枠の前記水密材嵌合部の下面に当接され、前記上枠の前記水密材嵌合部は、前記縦枠の前記水密材嵌合部が当接されている部位より外側にて下方に開放されていることを特徴とする建具である。
【0007】
このような建具によれば、枠体の水密部材嵌合部の上方に、他方の空間に臨む部位より他方の空間側に突出する突出部を有しているので、突出部により水密部材と水密部材嵌合部との間が覆われている。このため、たとえ枠体の水密部材嵌合部より上方に水等があったとしても、水密部材と水密部材嵌合部との間、及び、水密部材嵌合部に水等は浸入しにくいので、建具の上部において、より高い水密性を備えることが可能である。このとき、水密部材と水密部材嵌合部との間を水等が浸入可能な方向と、突出部と水密部材との間を水等が浸入可能な方向とが相違しているので、水等がより浸入しにくい建具を提供することが可能である。
また、縦枠に設けられた水密部材嵌合部の上縁が、上枠の水密材嵌合部の下面に当接されるとともに、縦枠が当接されている部位より外側にて上枠の水密部材嵌合部が下方に開放されている。このため、たとえ、上枠の水密材嵌合部に水等が浸入したとしても、その水等を上枠の水密部材嵌合部が下方に開放されている部位から縦枠の水密部材嵌合部より外周側、すなわち縦枠に設けられた水密部材より外周側に排出させることが可能である。
【0008】
かかる建具であって、前記突出部と前記水密部材とは互いに離間していることが望ましい。このような建具によれば、前記突出部と前記水密部材とが互いに離間しているので、前記水密部材嵌合部に前記水密部材を挿入する際に、挿入が硬くなることがなく作業性が良好な建具を提供することが可能である。
【0009】
かかる建具であって、前記水密部材嵌合部の上方には、前記一方の空間側から前記他方向の空間側に向かって漸次高さが低くなる傾斜が設けられていることが望ましい。
【0010】
このような建具によれば、水密部材嵌合部の上方が、一方の空間側から他方向の空間側に向かって漸次高さが低くなるように傾斜しているので、水密部材嵌合部上に水等が溜まることを防止することが可能である。
【0011】
かかる建具であって、前記傾斜は、前記突出部の先端まで続いていることが望ましい。
【0012】
このような建具によれば、開口の縁から中央に向かって漸次高さが低くなるように傾斜が水密部材嵌合部の上方から突出部の先端まで続いているので、水密部材嵌合部上に水等が溜まることを防止するばかりでなく、そのまま突出部より先方に排出させることが可能である。このとき、水が流れる方向は、水密部材嵌合部に浸入可能な方向と反対なので、水密部材嵌合部への水等の浸入をより抑えることが可能である。
【0013】
かかる建具であって、前記突出部は、前記他方の空間に臨む部位より前記他方の空間側に、鉛直面を有する鉛直部を有していることが望ましい。
【0014】
このような建具によれば、突出部が他方の空間に臨む部位より他方の空間側に有する鉛直部を有しているので、水密部材嵌合部側から突出部に移動した水等は、突出部を越える際に、急激に水密部材側に落下するので、落下の勢いにより、鉛直部より障子側に水等を移動させることが可能である。
【0015】
かかる建具であって、前記水密部材は、前記障子が当接されて弾性変形することにより前記障子と密着し、前記突出部は、前記水密部材の弾性変形を妨げない突出量であることが望ましい。
【0016】
このような建具によれば、突出部は、障子が当接されたときの水密部材の弾性変形を妨げない突出量なので、突出部を備えて水密性を確保しつつも、水密部材と障子とを確実に密着させることが可能である。このため、より高い水密性を備えることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、建具の上部におけるより高い水密性を備えた建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4】上枠の上シール材嵌合部に設けられた切欠部を説明するための斜視図である。
【
図5】上シール材嵌合部と縦シール材嵌合部との接合部を下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態の建具1は、
図1〜
図3に示すように、2つの空間としての浴室と脱衣室との境界に設けられ、浴室と脱衣室とを仕切る障子としての折戸22を備えた浴室用の建具1を例に挙げて説明する。
【0023】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の浴室用の建具1を浴室側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、浴室用の建具1が備える各部材は、単体として説明する場合であっても、建物等に取り付けられた状態で上下方向、見付け方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
【0024】
本実施形態の建具1は、枠体13と、枠体13内に装着され、蝶番等で折り畳み自在に連結された障子としての2枚の扉14、15を有する折戸22と、を有している。本実施形態では、
図1、
図3において右側に位置する扉が吊元扉14をなし、左側に位置する扉が移動扉15をなしている。
【0025】
吊元扉14及び移動扉15はそれぞれ、透光性を有する樹脂製やガラス製の面材23を有している。吊元扉14は、面材23を囲むように上框17及び下框18の両端部側に吊元框21と縦中框20とが配置されて、吊元框21と縦中框20側から上框17、下框18側に進入するビスにて螺着されて矩形状に框組みされている。また、移動扉15は面材23を囲むように上框17及び下框18の両端部側に戸先框19と縦中框20とが配置されて、戸先框19と縦中框20側から上框17、下框18側に進入するビスにて螺着されて矩形状に框組みされている。
【0026】
枠体13は、浴室と脱衣室とを連通する開口13aを形成し、開口13aの上方に位置する上枠10と、開口13aの下側に位置する下枠11と、開口13aの見付け方向における両側に配置される左右の縦枠12とが矩形状に枠組みされている。上枠10、下枠11、左右の縦枠12は、いずれも押出成形部材であり、矩形状に形成された際に開口13aの内周側に水密部材としてのシール材30、31、32が開口13aを囲むように設けられている。
【0027】
シール材30、31、32は、折戸22を閉じたときに、吊元扉14及び移動扉15の上框17、戸先框19と縦中框20と吊元框21の上部、及び、戸先框19と縦中框20と吊元框21の上端部に取り付けられた上部キャップ(図示せず)に上シール材30が、吊元扉14及び移動扉15の下框18、戸先框19と縦中框20と吊元框21の下部、及び、戸先框19と縦中框20と吊元框21の下端部に取り付けられた下部キャップ(図示せず)に下シール材32が、吊元扉14の吊元框21と吊元框21に取り付けられた上部キャップ及び下部キャップと、移動扉15の戸先框19と戸先框19に取り付けられた上部キャップ及び下部キャップとに縦シール材31が、それぞれ脱衣室側から当接されて密着するように構成されている。ここで、シール材30、31、32が折戸22に当接される側となる、2つの空間のうちの一方の空間は、脱衣室に相当する。
【0028】
上枠10は、見込み方向に沿って配置され板状なす上枠本体部10aと、上枠本体部10aから開口13aの中央側に向かって延出された上枠延出部10bと、上枠延出部10bの先端側に設けられて上シール材30が嵌合される水密部材嵌合部としての上シール材嵌合部10cと、を有している。
【0029】
上枠延出部10bは、上枠10の長手方向に沿って上枠本体部10aから垂設された板状の部位であり、上シール材嵌合部10cは、上枠延出部10bの浴室に臨む面に設けられている。
【0030】
上シール材嵌合部10cは、浴室側に向かって開放された溝状の部位であり、溝の側壁を形成する上壁部10dと下壁部10eとを有している。下壁部10eは、上枠延出部10bの下端からほぼ水平をなすように、浴室側に延出されており、浴室側の縁部が上方に延出されて、嵌合される上シール材30と係合する下係合部10fをなしている。
【0031】
上壁部10dは、脱衣室側から浴室側に向かって漸次高さが低くなるような傾斜を有する傾斜部であり、下壁部10eの下係合部10fと対向する位置には下方に向かって延出された上係合部10hが設けられている。また、上係合部10hと上壁部10dとの境界部分には、ほぼ水平方向に突出された突出部10iが設けられている。また、下壁部10e及び下係合部10fは、見付け方向における両端部が切り欠かれて、下方に開放された切欠部10jをなしている。ここで、上係合部10h及び下係合部10fの浴室側の面が、他方の空間としての浴室に臨む部位に相当する。
【0032】
縦枠12は、見込み方向に沿って配置され板状なす縦枠本体部12aと、縦枠本体部12aから開口13aの中央側に向かって延出された縦枠延出部12bと、縦枠延出部12bの先端に設けられて縦シール材31が嵌合される水密部材嵌合部としての縦シール材嵌合部12cとが設けられている。
【0033】
縦枠延出部12bは、縦枠12の長手方向に沿って縦枠本体部12aから開口13aの中央側に延出された板状の部位であり、縦シール材嵌合部12cは、縦枠延出部12bの浴室に臨む面に設けられている。縦シール材嵌合部12cは、浴室側に向かって開放された溝状をなす部位であり、溝の側壁を形成し開口13aの内側に設けられた内壁部12dと外側に設けられた外壁部12eとを有している。内壁部12dと外壁部12eとは、縦枠延出部12bから見込み方向に沿って浴室側に延出されており、内壁部12dと外壁部12eとの先端には、互いに対向する側に向かって突出して、嵌合される縦シール材31を保持するための突起12fがそれぞれ設けられている。
【0034】
上枠10に取り付けられる上シール材30、及び、縦枠12に取り付けられる縦シール材31は、いずれも弾性変形可能な樹脂製の押出成形部材であり、上枠10及び縦枠12の長手方向の全域に設けられている。
【0035】
上シール材30は、上シール材嵌合部10cに嵌合される上嵌合片30aと、上嵌合片30aが嵌合された際に、上嵌合片30aとともに、上係合部10h及び下係合部10fを挟むように位置する上シール材基部30bと、上嵌合片30aと上シール材基部30bとを連結する上シール材連結部30fと、上シール材基部30bの下端から浴室側に延出された下ヒレ部30cと、シール材基部30bの上端から浴室側に延出された上ヒレ部30dと、下ヒレ部30cの先端から、上ヒレ部30d側に屈曲して延出され折戸22に当接される上当接部30eと、を有している。
【0036】
上シール材30は、折戸22が当接された場合には、主に下ヒレ部30c、上ヒレ部30d、上当接部30eが弾性変形して上当接部30eの先端が、上ヒレ部30dの先端を覆うように係合して、上シール材30の上シール材基部30b、下ヒレ部30c、上ヒレ部30d、上当接部30eが、ほぼ矩形状をなすように折戸22に押圧されるように構成されている。そして、下ヒレ部30c、上ヒレ部30d、上当接部30eは弾性変形しやすいように、軟質樹脂にて形成されており、上嵌合片30aと上シール材基部30bとは軟質樹脂より硬いが、ある程度までの変形を許容する硬質樹脂にて形成されている。尚、
図2、
図3、
図6においては、硬質樹脂の部位を濃いグレーにて、軟質樹脂の部位を淡いグレーにて示している。
【0037】
また、浴室側から押圧される上ヒレ部30dの弾性変形を妨げないように、上シール材30の上に位置する突出部10iは、上シール材嵌合部10cに嵌合された上シール材30のうち弾性変形しにくい上シール材基部30bより脱衣室側に、先端が位置するように構成されている。すなわち、折戸22が当接されたときの上シール材30の弾性変形を妨げない突出量は、弾性変形しにくい硬質樹脂にて形成された部位である上シール材基部30bの見込み方向の幅より小さいことが望ましい。また、上シール材30を上シール材嵌合部10cに嵌合しやすいように、突出部10iと上シール材30とは互いに離間している。
【0038】
縦シール材31は、縦シール材嵌合部12cに嵌合される縦嵌合片31aと、縦嵌合片31aが嵌合された際に、縦嵌合片31aとともに一対の突起12fを挟むように位置する縦シール材基部31bと、縦嵌合片31aと縦シール材基部31bとを連結する縦シール材連結部31fと、縦シール材基部31bにおける開口13aの中央側の端から浴室側に延出された縦ヒレ部31cと縦ヒレ部31cの先端から、屈曲可能に延出され折戸22に当接される縦当接部31dと、を有している。縦シール材31は、折戸22が当接された場合には、縦当接部31dと縦ヒレ部31cとの間にて屈曲するとともに弾性変形して、吊元扉14の吊元框21及び移動扉15の戸先框19に沿うように当接されて押圧されている。
【0039】
そして、上シール材嵌合部10cに上シール材30が取り付けられた上枠10と、縦シール材嵌合部12cに縦シール材31が取り付けられた縦枠12とは、縦枠12の縦枠延出部12bと縦シール材嵌合部12cをなす外壁部12e、内壁部12d、及び、突起12fが、縦枠12の上端部側にて切除されており、切除された部位に上枠10の端部が配置されるとともに、上枠10の両縁が縦枠本体部12aに当接されて固定されている。
【0040】
このとき、上シール材嵌合部10cに上嵌合片30aが嵌合された状態では、上枠10の上係合部10hより浴室側に突出された突出部10iが、上係合部10hと上シール材基部30bとが対向する上枠10と上シール材30との境界部分を覆うように配置されている。
【0041】
また、縦枠12の縦シール材嵌合部12cの上縁は、見付け方向における上枠10の両端部より内側、すなわち開口13aの中央側にて、上枠10の上シール材嵌合部10cの下面、すなわち下壁部10eの下面に当接され、上枠10の上シール材嵌合部10cは、縦枠12の縦シール材嵌合部12cが当接されている部位より外側に位置する下壁部10eと下係合部10fとが切りかかれた切欠部10jを有しており、上シール材嵌合部10cは切欠部10jにて下方に開放されている。ここで、切欠き後の下壁部10eを縦枠延出部12bの浴室に臨む面と略同一の位置、あるいは縦枠延出部12bの浴室に臨む面より浴室側に突出させて縦枠12の端面を浴室側に露出させないことで、上枠10と縦枠12の当接部分からの水等の侵入を防ぐことができる。
【0042】
本実施形態の建具1によれば、枠体13が有する上枠10の上シール材嵌合部10cの上方に、上係合部10hの浴室側の面より浴室側に突出する突出部10iを有しているので、突出部10iにより上シール材30と上シール材嵌合部10cとの間が覆われている。このため、たとえ上枠10の上シール材嵌合部10cより上方に水等があったとしても、上シール材30と上シール材嵌合部10cとの間、及び、上シール材嵌合部10cに水等が浸入しにくいので、建具1の上部において、より高い水密性を備えることが可能である。このとき、上シール材30と上シール材嵌合部10cとの間を水等が浸入可能な方向と、突出部10iと上シール材30との間を水等が浸入可能な方向とが相違しているので、水等がより浸入しにくい建具1を提供することが可能である。
【0043】
また、上シール材嵌合部10cの上部が、脱衣室側から浴室側に向かって漸次高さが低くなるように傾斜しているので、上シール材嵌合部10c上に水等が溜まることを防止することが可能である。
【0044】
また、上枠10が有する突出部10iは、折戸22が当接されたときの上シール材30の弾性変形を妨げない突出量に形成されているので、突出部10iを備えて水密性を確保しつつも、上シール材30と折戸22とを確実に密着させることが可能である。このため、より高い水密性を備えることが可能である。また、突出部10iと上シール材30とが互いに離間しているので、上シール材嵌合部10cに上シール材30を挿入する際に、突出部10iにより上シール材30の挿入が妨げられることはない。このため、上シール材30をスムーズに嵌合することが可能な作業性に優れた建具1を提供することが可能である。
【0045】
また、縦枠12に設けられた縦シール材嵌合部12cの上縁が、上枠10の下壁部10eの下面に当接されるとともに、縦枠12が当接されている部位より見付け方向において外側、すなわち、縦シール材31の外側に上枠10の切欠部10jが設けられて上シール材嵌合部10cが下方に開放されているので、たとえ、上枠10の上シール材嵌合部10cに水等が浸入したとしても、その水等を上枠10の切欠部10jから縦枠12の縦シール材嵌合部12c、すなわち縦枠12に設けられた縦シール材31より外周側に排出させることが可能である。
【0046】
上記実施形態においては、上シール材嵌合部10cの上部が、脱衣室側から浴室側に向かって漸次高さが低くなる傾斜が設けられている例について説明したが、傾斜は必ずしも設けられていなくともよく、例えば
図6(a)に示すように、ほぼ水平な上壁部10kと繋がって突出部10iが設けられていてもよい。
【0047】
また、
図6(b)に示すように、上壁部10dの傾斜が、突出部10iの先端まで続いていてもよい。この場合には、脱衣室側から浴室側に向かって漸次高さが低くなるような傾斜が上シール材嵌合部10cの上部の上壁部10dから突出部10iの先端まで続いているので、上シール材嵌合部10c上に水等が溜まることを防止するばかりでなく、そのまま突出部10iより浴室側に排出させることが可能である。このとき、水が流れる方向は、上シール材嵌合部10cに浸入可能な方向と反対なので、水等の上シール材嵌合部10cへの浸入をより確実に抑えることが可能である。
【0048】
また、傾斜を有する部位および突出部10iは、必ずしも上壁部10dと一体である必要はなく、例えば
図6(c)に示すように、傾斜を有する部位及び突出部10iは、上シール材嵌合部10cとは別に、上枠10に設けられていても良い。
【0049】
また、
図6(d)に示すように、突出部10nが、浴室に臨む部位としての上係合部10h及び下係合部10fの浴室側の面より浴室側に、ほぼ鉛直な面を有する鉛直部10mを有し、鉛直部10mの下端が、上シール材30に近接していてもよい。この場合には、上シール材嵌合部10c側から突出部10nに移動した水等は、突出部10nの鉛直部10mを越える際に、急激に上シール材30側に落下するので、落下の勢いにより、鉛直部10mより折戸22側に水等を移動させることが可能である。
【0050】
また、上記実施形態では折戸を備えた建具について説明したがこれに限ることなく、たとえば、引き違いタイプの建具や、片引きタイプ、開き戸、3枚引戸等の建具であっても構わない。
【0051】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0052】
1 建具、10 上枠、10c 上シール材嵌合部、10d 上壁部、
10e 下壁部、10f 下係合部、10h 上係合部、10i 突出部、
10j 切欠部、10m 鉛直部、10n 突出部、12 縦枠、
12c 縦シール材嵌合部、13 枠体、13a 開口、14 吊元扉、15 移動扉、
17 上框、19 戸先框、20 縦中框、21 吊元框、22 折戸、
30 上シール材、30b 上シール材基部、30e 上当接部、31縦シール材