(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上部フレーム構造体と前記側部フレーム構造体との間の前記ヒンジ連結部は、複数本の前記周方向フレーム部材の上部フレーム部の下端部をトンネルの延長方向に延設する上側接合金物を介して一体として接合すると共に、複数本の前記周方向フレーム部材の側部フレーム部の上端部をトンネルの延長方向に延設する下側接合金物を介して一体として接合し、前記上側接合金物と前記下側接合金物とを回動可能にピン結合することによって構成されている請求項1記載のトンネル覆工コンクリートの養生システム。
前記上部フレーム構造体と前記側部フレーム構造体とを前記トンネルのアーチ形状部分に沿って連設させた状態で、前記上側接合金物と前記下側接合金物とに跨って固定金物を接合固定することにより、前記下側接合金物が前記上側接合金物に対して回動しないようにして、前記上部フレーム構造体と前記側部フレーム構造体とを前記トンネルのアーチ形状部分に沿って連設させた状態で固定する請求項2記載のトンネル覆工コンクリートの養生システム。
前記トンネル覆工型枠は、前記トンネルの底盤部に敷設された前記走行レールに沿って移動可能な移動式セントルを用いて設置される請求項1〜3のいずれか1項記載のトンネル覆工コンクリートの養生システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい一実施形態に係るトンネル覆工コンクリートの養生システムは、例えば山岳トンネルを構築するためのトンネル工事において、
図1(a)〜(d)に略示縦断面図として示すように、トンネル20の坑内を移動可能な公知の移動式セントル21を用いて設置されたトンネル覆工型枠22と、好ましくは吹付けコンクリートによる一次覆工によって覆われたトンネル20の内壁面20aとの間の空間に、コンクリートを打設することで形成された覆工コンクリート23を、外周部分に保湿養生層11を備える複数台のアーチ状フレーム構造体10(
図2〜
図4参照)と、各アーチ状フレーム構造体10を各々移動可能に支持する移動架台12(
図2、
図3参照)とを用いて、移動式セントル21に後続して、効率良く湿潤養生してゆくためのシステムとして採用されたものである。
【0016】
すなわち、本実施形態のトンネル覆工コンクリートの養生システムは、保湿養生層11を覆工コンクリート23の内周面に密着させて、複数のアーチ状フレーム構造体10が移動式セントル21の後方に連設して固定されている状態から(
図1(a)参照)、最後部のアーチ状フレーム構造体10を移動架台12によって支持させて前方に移動させる際に(
図1(b)参照)、最後部のアーチ状フレーム構造体10を、これの前方に連設して固定されている他のアーチ状フレーム構造体10の内側を通過可能な形状となるように容易に変形させることで、当該他のアーチ状フレーム構造体10の内側をスムーズに通過させながら移動させることを可能にする機能を備えている。また、本実施形態のトンネル覆工コンクリートの養生システムは、前方に
移動させた最後部のアーチ状フレーム構造体10を、移動式セントル21の直後の最前部において固定して、新たに露出した脱型後の覆工コンクリート23の湿潤養生を行えるようにすると共に、このような、移動式セントル21の前進に伴って最後部のアーチ状フレーム構造体10を最前部に移動して固定し直す工程を繰り返し行うことで、1台のみの移動架台12を用いて、簡易に且つ効率良く覆工コンクリート23の湿潤養生を行えるようにする機能を備えている。
【0017】
そして、本実施形態のトンネル覆工コンクリートの養生システムは、トンネル20の内壁面20aを覆って形成される覆工コンクリート23を、トンネル覆工型枠22を脱型した後に湿潤状態で養生するための養生システムにおいて、
図1(a)〜(d)に略示縦断面図として示すように、トンネル20の延長方向に連設して設置される、外周部分に保湿養生層11を備える複数台(本実施形態では4台)のアーチ状フレーム構造体10(
図2〜
図4参照)と、アーチ状フレーム構造体10の内側に配置される、アーチ状フレーム構造体10を各々昇降可能に支持すると共に、トンネル20の底盤部20bに敷設された走行レール13に沿って移動可能な移動架台12(
図2、
図3参照)と、アーチ状フレーム構造体10の下端部とトンネル20の底盤部20bとの間に介在して着脱可能に設置されて、アーチ状フレーム構造体10の外周部分に設けられた保湿養生層11を覆工コンクリート20の内周面20aに密着させた状態で、アーチ状フレーム構造体10を固定する固定サポート部材14(
図2、
図4参照)とを含んで構成されている。
【0018】
最後部のアーチ状フレーム構造体10による覆工コンクリート23の湿潤養生期間が経過したら、移動架台12によって最後部のアーチ状フレーム構造体10を支持すると共に(
図1(a)参照)、固定サポート部材14による固定状態を解除して、最後部のアーチ状フレーム構造体10を前方に連設されたアーチ状フレーム構造体10の内側を通過させて、最前部まで移動させた後に(
図1(b)参照)、最前部において、移動させたアーチ状フレーム構造体10の保湿養生層11を覆工コンクリート23の内周面に密着させると共に、保湿養生層11を密着させた状態でアーチ状フレーム構造体10を固定サポート部材14によって
固定するようになっている(図1(c)参照)。
【0019】
図2〜
図4に示すように、アーチ状フレーム構造体10は、トンネル20のアーチ形状部分20cに沿って周方向に延設する複数本の周方向フレーム部材15と、これらの周方向フレーム部材15をトンネル20の延長方向に連結する複数本の連結フレーム部材16とを含んで形成されている。アーチ状フレーム構造体10は、トンネル20のアーチ形状部分20cの上部に配置される上部フレーム構造体10aと、上部フレーム構造体10aの両側に配置される側部フレーム構造体10bとからなり、上部フレーム構造体10aと側部フレーム構造体10bとは、ヒンジ連結部17を介して折れ曲がり可能に、且つトンネル20のアーチ形状部分20cに沿って連設した状態で固定可能に設けられている。
固定サポート部材14は、側部フレーム構造体10bの下端接合金物18cに、回動可能に連結されている。
【0020】
また、本実施形態では、上部フレーム構造体10aと側部フレーム構造体10bとの間のヒンジ連結部17は、
図5〜
図7にも示すように、複数本の周方向フレーム部材15の上部フレーム部15aの下端部をトンネル20の延長方向に延設する上側接合金物18aを介して一体として接合すると共に、複数本の周方向フレーム部材15の側部フレーム部15bの上端部をトンネル20の延長方向に延設する下側接合金物18bを介して一体として接合し、上側接合金物18aから突出させて設けた上側結合片19aと、下側接合金物18bから突出させて設けた下側結合片19bとを、ピン結合部19において回動可能にピン結合することによって構成されている。
【0021】
本実施形態では、トンネル覆工型枠22(
図1(a)〜(d)参照)は、好ましくは、例えば特開2009−186184号公報に記載の移動式セントルと同様の構成を備える公知の移動式セントル21を用いて、トンネル20の内壁面20aを内側から覆うように設置される。移動式セントル21は、主として、トンネル20の内壁面20aとの間に覆工コンクリート23の厚さに相当する幅の空間を保持して配設されるトンネル覆工型枠22と、このトンネル覆工型枠22を支持する支持フレーム24と、トンネル20の底盤部20cにおいてトンネル20の延長方向に敷設されて、支持フレームを走行可能に支持する走行レール13とによって構成される。
【0022】
また、トンネル覆工型枠22は、トンネル20の内壁面20aに沿って配置されて、当該内壁面20aとの間に覆工コンクリート23の打設空間を保持した状態から、コンクリートを打設して初期強度が発現された後に、形成された覆工コンクリート23から径方向内側に引き離されることで、脱型されるようになっている。脱型された後のトンネル覆工型枠22は、移動式セントル21と共に走行レール13に沿ってトンネル20の延長方向の前方に移動して、次の施工スパンの覆工コンクリート23の打設作業が行われるようになっている(
図1(a)、(b)参照)。本実施形態では、移動式セントル21は、例えば10.5m程度のトンネル20の延長方向の長さを有しており、これによって、例えば10.5m程度の長さを1施工スパンとして、覆工コンクリート23を、トンネル20の延長方向に順次打設しながら形成して
ゆくことができるようになっている。
【0023】
本実施形態では、トンネル覆工コンクリートの養生システムは、移動式セントル21によるトンネル覆工型枠22によって形成された覆工コンクリート23を、脱型後に、移動式セントル21に後続して湿潤養生してゆくためのシステムであって、上述のように、トンネル20の延長方向に連設して設置される4台のアーチ状フレーム構造体10と、アーチ状フレーム構造体10の内側に配置されて、トンネル20の底盤部20bに敷設された走行レール13に沿って移動可能な1台の移動架台12と、アーチ状フレーム構造体10の下端部10aとトンネル20の底盤部20bとの間に介在して着脱可能に設置される固定サポート部材14(
図2、
図4参照)とを含んで構成される。
【0024】
アーチ状フレーム構造体10は、
図2〜
図4に示すように、例えば太さが20mm程度の鋼製のパイプ部材を、トンネル20のアーチ形状部分20cの内周面に沿った形状に湾曲加工して得られた複数本の周方向フレーム部材15と、これらの周方向フレーム部材15をトンネル20の延長方向に連結する、例えば一辺の幅が50mm程度の山形鋼からなる複数本の連結フレーム部材16とを、これらの交点部分を互いに溶接等により接合することによって形成されている。また、本実施形態では、連結フレーム部材16は、好ましくは周方向フレーム部材15を3〜5本毎に連結一体化するように取り付けられている。なお、本実施形態では、複数本の周方向フレーム部材15は、トンネル20の延長方向に例えば450mm程度のピッチで配設されると共に、複数本の連結フレーム部材16は、トンネル20の周方向に例えば1000mm程度のピッチで配設されており、各アーチ状フレーム構造体10は、全体として、移動式セントル11と同様の例えば10.5m程度のトンネル20の延長方向の長さを有するように組み立てられている。
【0025】
また、アーチ状フレーム構造体10は、当該アーチ状フレーム構造体10を構成する各周方向フレーム部材15が、上部フレーム部15aと、これの両側の一対の側部フレーム部15bとに3分割されており、複数本の上部フレーム部15aの両側の下端部を、トンネル20の延長方向に延設する例えば幅が100mm程度の溝形鋼からなる上側接合金物18a介して一体として接合し(
図5(a)、(b)参照)、複数本の側部フレーム部15bの上端部を、トンネル20の延長方向に延設する例えば幅が100mm程度の溝形鋼からなる下側接合金物18b介して一体として接合すると共に(
図6(a)、(b)参照)、複数本の側部フレーム部15bの下端部を例えば太さが40mm程度の鋼製のパイプからなる下端接合金物18cを介して一体として接合することで(
図6(a)、(b)参照)、上部フレーム構造体10aと両側の側部フレーム構造体10bとに3分割された構成を備えている(
図2参照)。
【0026】
なお、本実施形態では、上側接合金物18aや下側接合金物18bや下端接合金物18cは、
図3及び
図4に示すように、連結フレーム部材16と同様に、好ましくは周方向フレーム部材15の上部フレーム部15aや側部フレーム部15bを3〜5本毎に接合一体化するように取り付けられている。これらの上側接合金物18aや下側接合金物18bや下端接合金物18cを、同じ高さに配置されてトンネル20の延長方向に隣接する他の上側接合金物18aや下側接合金物18bや下端接合金物18cとの間で、例えば接合プレート部材25(
図7(b)、(c)参照)を介してトンネル20の延長方向に接合一体化することで、上部フレーム構造体10aと、両側の側部フレーム構造体10bとが、アーチ状フレーム構造体10の全長に亘って、移動架台12の作動によって一体となって上下に昇降したり、ヒンジ連結部17を介して一体となって回動したりできるようになっている。
【0027】
また、本実施形態では、上部フレーム部15aは、
図2及び
図5(a)、(b)に示すように、その製造時においては、左右対称に2分割された一対の分割上部フレーム部15cとして形成されており、複数本の分割上部フレーム部15cの上端部をトンネル20の延長方向に延設する例えば一辺の幅が90mm程度の溝形鋼からなる上端固定金物18dを介して一体として接合して、一対の分割上部フレーム構造体10cを各々組み立てると共に、これらの分割上部フレーム構造体10cを、上端部において上端固定金物18dを介して互いに接合固定することによって、これらが周方向に一体となった上部フレーム構造体10aが得られるようになっている。
【0028】
そして、本実施形態では、上部フレーム構造体10aと側部フレーム構造体10bとは、
図2に示すように、ヒンジ連結部17を介して折れ曲がり可能に、且つトンネル20のアーチ形状部分20cに沿って連設した状態で固定可能に設けられている。
【0029】
すなわち、本実施形態では、
図5〜
図7にも示すように、上部フレーム構造体10aの両側の下端部に各々配置された、複数本の上部フレーム部15aの下端部を一体として接合する上側接合金物18aには、上部フレーム部15aの接合箇所を避けた適宜の位置に(
図5参照)、溝形鋼からなる上側接合金物18aの中間辺部27aの背面側から斜め下方に突出して、ピン結合孔が形成された略半長円形状の上側結合片19aが、各々一対が組となって複数箇所に設けられている(
図7(a)〜(c)参照)。また側部フレーム構造体10bの上端部に配置された、複数本の側部フレーム部15bの上端部を一体として接合する下側接合金物18bには、側部フレーム部15bの接合箇所を避けた上側結合片19aと対応する適宜の位置に(
図5参照)、溝形鋼からなる下側接合金物18bの中間辺部27bの背面側から斜め上方に突出して、ピン結合孔が形成された略半長円形状の上側結合片19aが、複数箇所に設けられている(
図7(a)〜(c)参照)。
【0030】
そして、上部フレーム構造体10aの上側接合金物18aから突出する一対が組となった上側結合片19aの間隔部分に、側部フレーム構造体10bの下側接合金物18bから突出する下側結合片19bを挿入し、ピン結合孔を互いに合致させた状態で固定ピンを装着係止することによってピン結合部19を形成して、上部フレーム構造体10aの上側接合金物18aと側部フレーム構造体10bの下側接合金物18bとを、回動可能にピン結合することができるようになっている。
【0031】
また、本実施形態では、上部フレーム構造体10aと側部フレーム構造体10bとをトンネル20のアーチ形状部分20cに沿って連設させた状態において(
図2の左半分の部分参照)、上側接合金物18aと下側接合金物18bとに跨って固定金物26を接合固定することにより、下側接合金物18bが上側接合金物18aに対して回動しないようにして、上部フレーム構造体10aと側部フレーム構造体10bとをトンネル20のアーチ形状部分20cに沿って連設させた状態で固定することができるようになっている。
【0032】
すなわち、本実施形態では、上部フレーム構造体10aと側部フレーム構造体10bとをトンネル20のアーチ形状部分20cに沿って連設させた状態で、
図7(a)〜(c)に示すように、溝形鋼からなる上側接合金物18aの内側突出辺部28aと、同じく溝形鋼からなる下側接合金物18bの内側突出辺部28bとに跨って、例えば山形鋼からなる固定金物26を、好ましくはボルトナット29を用いて着脱可能に接合固定することにより、下側接合金物18bが上側接合金物18aに対して回動しないように固定して、上部フレーム構造体10aと側部フレーム構造体10bとを、トンネル20のアーチ形状部分20cに沿って連設させた状態のまま保持させることができるようになっている。
【0033】
なお、上述のように、上側接合金物18aや下側接合金物18bは、好ましくは周方向フレーム部材15の上部フレーム部15aや側部フレーム部15bを3〜5本毎に接合一体化するように取り付けられており、これらの上側接合金物18aや下側接合金物18bを、トンネル20の延長方向に隣接する他の上側接合金物18aや下側接合金物18bとの間で、例えば鋼板からなる接合プレート部材25を用いて、ボルト接合や溶接接合等によってトンネル20の延長方向に接合一体化することで、上部フレーム構造体10aと、両側の側部フレーム構造体10bとを、アーチ状フレーム構造体10の全長に亘って、移動架台12の作動によって一体として上下に昇降させたり、ヒンジ連結部17を介して一体として回動させたりすることができるようになっている。
【0034】
そして、本実施形態では、
図2に示すように、アーチ状フレーム構造体10の外周部分には、当該アーチ状フレーム構造体10に支持させて、これの略全体を外側から覆うようにして保湿養生層11が設けられている。保湿養生層11は、例えば
図8に示すように、保形性を付与するための、好ましくはプラスチックダンボールからなる4mm程度の厚さの中間層11aと、中間層11aの内側に配置される、好ましくは独立気泡や連続気泡等の空隙を内部に有するスポンジ等の発泡部材からなる保温層11bと、中間層11aの外側に配置される保湿マット11cとを含んで形成されている。保湿マット11cとしては、水分を吸収可能であり、且つ吸収した水分を保持可能な物性を備える、公知の各種の保湿マットを使用することができる。好ましくは、市販のコンクリート保温・保湿養生用マットである商品名「うるおんマット」(フジモリ産業株式会社製)を使用することができる。
【0035】
また、例えば覆工コンクリート23を所定の温度に加温しながら湿潤養生を行う必要がある場合には、保湿養生層11に、好ましくは通電することにより発熱して加温することが可能な面状発熱体を、ヒータ部材として積層しておくことができる。ヒータ部材は、例えば制御機構に接続することで、保湿養生層11の各所に配置された複数の接触温度センサーが検知する温度に基づいて、加温出力をフィードバック制御できるようになっていることが好ましい。
【0036】
保湿養生層11を外周部分に備えるアーチ状フレーム構造体10の内側に配置されて、アーチ状フレーム構造体10を昇降可能に支持して走行レール13に沿って移動させる移動架台12は、
図2及び
図3に示すように、主として、例えばH形鋼や、溝形鋼、山形鋼等を門形形状に組み付けて形成された、脚柱部34aの下端部に走行車輪部30を備える下部架台12aと、下部架台12aによって支持されると共に、公知の昇降装置(図示せず。)を介して、下部架台12aに対して昇降可能に設置された上部架台12bとによって構成されている。上部架台12bの上部作業台部31には、各種の駆動機構や制御機構が設けられていて、移動架台12の走行移動や、上部架台12bの下部架台12aに対する昇降や、アーチ状フレーム構造体10の側部フレーム構造体10bの上部フレーム構造体10aに対する回動を操作できるようになっている。
【0037】
また、本実施形態では、上部架台12bの上部作業台部31から上方に立設して、複数の支柱部材32が設けられている。これらの支柱部材32の上端係止部32aを、上部フレーム構造体10aの連結フレーム部材16に添設した例えば単管パイプからなる係止パイプ33(
図5(a)、(b)参照)に、下部架台12aに対する上部架台12bの上昇に伴って下方から係止することで、支柱部材32を介してアーチ状フレーム構造体10の上部フレーム構造体10aを、上部架台12bの上部作業台部31から安定した状態で支持できるようになっている。
【0038】
さらに、本実施形態では、門形形状の上部架台12bの脚柱部34bの中間部分に回動可能にピン結合されて、伸縮ロッド35が設けられている。例えば、伸縮ロッド35の先端係止部35aを、側部フレーム構造体10bの側部フレーム部15bに着脱可能に係止した状態で、伸縮ロッド35を伸長することで、側部フレーム構造体10bを上部フレーム構造体10aに対して回動させることが可能になる。これによって、側部フレーム構造体10bを、これの外周部分の保湿養生層11を覆工コンクリート23のアーチ形状部分20cの側部内周面に押し付けて密着させた状態で配置することが可能になる。またこれによって、側部フレーム構造体10bを、保湿養生層11をアーチ形状部分20cの上部内周面に押し付けて密着させた上部フレーム構造体10aに連設させて、トンネル20のアーチ形状部分20cに沿って配置することが可能になる。
【0039】
一方、伸縮ロッド35を伸長させた状態から収縮させることで、側部フレーム構造体10bを上部フレーム構造体10aに対して回動させて、側部フレーム構造体10bを、これの外周部分の保湿養生層11と共に、覆工コンクリート23のアーチ形状部分20cの側部内周面から引き離すことが可能になる。
【0040】
さらにまた、本実施形態では、門形形状の上部架台12bの脚柱部34bの下端部から延設させて、固定サポート部材14を回動操作させるための操作ロープ36が設けられている。操作ロープ36は、これの一端部が、側部フレーム構造体10bの下端接合金物18cに回動可能に連結された固定サポート部材14の下端部分に接合されている。これによって、固定サポート部材14によるアーチ状フレーム構造体10の固定状態を開放した際に、上部架台12bの上部作業台部31からの操作によって、固定サポート部材14の下端部分を、脚柱部34b側に引き寄せるように回動させることで、上方に持ち上げることが可能になる。またこれによって、例えばアーチ状フレーム構造体10の前方への移動時に、上部架台12bを下部架台12aに対して下降させて、上部フレーム構造体10aを保湿養生層11と共に覆工コンクリート23のアーチ形状部分20cの上部内周面から引き離した際に、固定サポート部材14を、トンネル20の底盤部20bに接触しないように、底盤部20bから離間させた状態で保持することが可能になる。
【0041】
アーチ状フレーム構造体10の下端接合金物18cによる下端部とトンネル20の底盤部20bとの間に介在して設置されて、アーチ状フレーム構造体10を着脱可能に固定する固定サポート部材14は、
図2及び
図4に示すように、例えば伸縮ジャッキとして公知の複数本のパイプサポート37を用いて構成される。すなわち、固定サポート部材14は、複数本のパイプサポート37を、例えば上下に一対配置した単管パイプからなる連結パイプ38を介して連結一体化することによって形成される。また、固定サポート部材14は、上方の連結パイプ38と、側部フレーム構造体10bの下端接合金物18cに添設された単管パイプからなる支保パイプ39との間に、同じく単管パイプからなる接合パイプ40を掛け渡すと共に、掛け渡した接合パイプ40と、連結パイプ38及び支保パイプ39とを、各々公知の直交クランプを用いて連結することによって、側部フレーム構造体10bの下端接合金物18cに取り付けられている。
【0042】
これによって、固定サポート部材14は、直交クランプを緩めることで、側部フレーム構造体10bに対して回動可能として、アーチ状フレーム構造体10の下端接合金物18cによる下端部とトンネル20の底盤部20bとの間から容易に取り外すことが可能になる。また、アーチ状フレーム構造体10をトンネル20のアーチ形状部分20cに沿って固定する際には、固定サポート部材14を回動させ、アーチ状フレーム構造体10の下端接合金物18cによる下端部とトンネル20の底盤部20bとの間に介在させて設置した後に、直交クランプを締め付けることで、強固に且つ安定した状態でアーチ状フレーム構造体10を固定することが可能になる。
【0043】
また、アーチ状フレーム構造体10をトンネル20のアーチ形状部分20cに沿って固定する際には、例えば複数本のパイプサポート37の各々のベースプレート部37aを、トンネル20の底盤部20bの両側の側縁部に各々設置した、例えばH形鋼からなる支圧台41に当接させる。しかる後に、各パイプサポート37を伸長させながら、各々の先端当接プレート部37bを、アーチ状フレーム構造体10の下端部の下端接合金物18cやこれに添設された支保パイプ39に当接させて、これらを押し上げることで、外周部分に設けられた保湿養生層11を覆工コンクリート20の内周面20aに密着させた状態で、アーチ状フレーム構造体10を安定した状態で固定することが可能になる。また、伸長させた各パイプサポート37を収縮させることで、固定状態を開放させて、固定サポート部材14を容易に取り外すことが可能になる。
【0044】
上述の構成を備える本実施形態のトンネル覆工コンクリートの養生システムによれば、
図1(a)〜(d)に示すように、以下のようにして、移動式セントル21に後続して、脱型後の覆工コンクリート23の湿潤養生を行ってゆくことができる。すなわち、
図1(a)に示すように、移動式セントル21に後続して配置された4台のアーチ状フレーム構造体10によって、覆工コンクリート23の湿潤養生を行っている状態から、最後部のアーチ状フレーム構造体10による覆工コンクリート23の湿潤養生期間が経過したら、移動架台12によって最後部のアーチ状フレーム構造体10を支持すると共に、固定サポート部材14による固定状態を解除する。
【0045】
また、移動式セントル21が設置された施工スパンにおいて、打設したコンクリートの初期強度が発現されるようになったら、トンネル覆工型枠22を脱型した後に、
図1(b)に示すように、移動式セントル21を次の施工スパンに移動させて、コンクリートの打設作業が行われると共に、移動架台12によって支持された最後部のアーチ状フレーム構造体10を、前方に連設された3台のアーチ状フレーム構造体10の内側を通過させて、移動式セントルの直後の最前部の覆工コンクリート23の養生スパンまで移動させる。
【0046】
移動架台12に支持させて、最後部のアーチ状フレーム構造体10を最前部の覆工コンクリート23の養生スパンまで移動させたら、
図1(c)に示すように、移動させたアーチ状フレーム構造体10を、固定サポート部材14を用いて、外周部分に設けられた保湿養生層11を覆工コンクリート20の内周面20aに密着させた状態で固定する。
【0047】
移動させたアーチ状フレーム構造体10を、最前部の覆工コンクリート23の養生スパンに固定したら、
図1(d)に示すように、固定したアーチ状フレーム構造体10を残したまま、移動架台12を最後部のアーチ状フレーム構造体10の内側まで後方に移動させて、当該最後部のアーチ状フレーム構造体10を支持させることで、
図1(a)の工程に復帰する。
【0048】
以後、同様の工程を繰り返すことで、移動式セントル21に後続して、脱型後の覆工コンクリート23の湿潤養生を順次行ってゆくことが可能になる。またこれによって、1台の移動架台12を用いて各々のアーチ状フレーム構造体10を移動させることが可能になり、複数台のアーチ状フレーム構造体10に対して複数台の移動架台12を各々設けることなく、湿潤養生工程を、効率良く安価に行うことが可能になる。
【0049】
そして、本実施形態のトンネル覆工コンクリートの養生システムによれば、外周部分に保湿養生層11を備えるアーチ状フレーム構造体10を、簡易な構成によって、前方に連設されたアーチ状フレーム構造体10の内側を通過可能な形状に容易に変形させることができるようにして、移動架台12によって支持させた最後部のアーチ状フレーム構造体10を、前方に連設されたアーチ状フレーム構造体の内側を通過させながら最前部までスムーズに移動させることが可能になる。
【0050】
すなわち、本実施形態によれば、養生システムは、トンネル20の延長方向に連設して設置される複数台のアーチ状フレーム構造体10と、アーチ状フレーム構造体10を昇降可能に支持する、走行レール13に沿って移動可能な移動架台12と、アーチ状フレーム構造体10を固定する固定サポート部材14とを含んで構成されており、アーチ状フレーム構造体10は、トンネル20のアーチ形状部分20cの上部に配置される上部フレーム構造体10aと、上部フレーム構造体10aの両側に配置される側部フレーム構造体10bとからなり、上部フレーム構造体10aと側部フレーム構造体10bとは、ヒンジ連結部17を介して折れ曲がり可能に、且つトンネル20のアーチ形状部分20cに沿って連設した状態で固定可能に設けられている。したがって、アーチ状フレーム構造体10がトンネル20のアーチ形状部分20cに沿って固定されている状態から、アーチ状フレーム構造体10を支持する移動架台12を下降させることで、上部フレーム構造体10aをトンネル20のアーチ形状部分20cの上部内周面から引き離すと共に、側部フレーム構造体10bをヒンジ連結部17を介して内側に回動させながら折り曲げることで、側部フレーム構造体10bをトンネル20のアーチ形状部分20cの側部内周面から引き離すだけの簡易な構成によって、アーチ状フレーム構造体10を、前方に連設されたアーチ状フレーム構造体10の内側を通過できる形状に容易に変形させることが可能になる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、トンネル20の延長方向に連設して設置されるアーチ状フレーム構造体は、4台である必要は必ずしもなく、3台又は5台以上連設していても良い。また、トンネル覆工型枠は、移動式セントルを用いて設置されるものである必要は必ずしもない。さらに本発明の養生システムは、トンネル覆工型枠の直後に配置されて、脱型直後の覆工コンクリートを湿潤養生するものである必要は必ずしもなく、当該養生システムとトンネル覆工型枠との間に他の養生装置や養生システムを介在させて、これらに後続して、引き続き湿潤養生してゆくためのシステムとして採用することもできる。