(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718220
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】占有時間を増大させるペット用チュー
(51)【国際特許分類】
A01K 29/00 20060101AFI20150423BHJP
A23K 1/18 20060101ALI20150423BHJP
A23K 1/10 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
A01K29/00
A23K1/18 A
A23K1/10 Z
【請求項の数】27
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-500787(P2011-500787)
(86)(22)【出願日】2009年3月11日
(65)【公表番号】特表2011-515087(P2011-515087A)
(43)【公表日】2011年5月19日
(86)【国際出願番号】US2009001552
(87)【国際公開番号】WO2009117063
(87)【国際公開日】20090924
【審査請求日】2012年2月29日
(31)【優先権主張番号】61/133,995
(32)【優先日】2008年7月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/130,290
(32)【優先日】2008年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/069,988
(32)【優先日】2008年3月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114270
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 朋也
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】フィリピ, ネヴェンカ
(72)【発明者】
【氏名】ヒル, ネイサン, エヴェレット
【審査官】
松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0217604(US,A1)
【文献】
特開昭55−019089(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0099224(US,A1)
【文献】
特表2005−514905(JP,A)
【文献】
実開昭63−038787(JP,U)
【文献】
特表2001−501095(JP,A)
【文献】
特表2002−538793(JP,A)
【文献】
特開2005−312336(JP,A)
【文献】
特開2008−017841(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3114876(JP,U)
【文献】
特表2009−539385(JP,A)
【文献】
特表2009−540836(JP,A)
【文献】
特表2008−525475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K29/00
A23K1/00−3/04
C14B1/00−99/00
C14C1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可食材料を含む芯と、
前記芯を取り囲む殻であって、牛の生皮を含む殻と、
前記殻を取り囲む外層であって、穀物、粉砕した生皮及びそれらの組合せからなる群から選択される可食成分を含む外層と、
を含むチュー。
【請求項2】
前記可食材料は、炭水化物、糖、塩、タンパク質、脂肪、繊維、増粘剤、乳化剤及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項1に記載のチュー。
【請求項3】
前記可食材料は、風味成分、香り成分、嗜好性増強剤、ビタミン、ミネラル、保存料及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項1又は2に記載のチュー。
【請求項4】
前記可食材料は、粉砕した生皮、植物粉、動物消化物、ピーナッツバター及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のチュー。
【請求項5】
前記殻がバイオプラスチックを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のチュー。
【請求項6】
前記バイオプラスチックは、押出し米、押出しトウモロコシ、押出し雑穀、押出し小麦及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載のチュー。
【請求項7】
前記外層は、溶けた状態のゼラチン、溶けた状態の生皮、溶けた状態のコラーゲン及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を用いて前記殻に付着させたものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のチュー。
【請求項8】
前記外層は、マルトデキストリン、嗜好性増強剤及びそれらの組合せからなる群から選択されるたれ材料を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のチュー。
【請求項9】
前記嗜好性増強剤は、着色料、風味成分、ビタミン、ミネラル、保存料、炭水化物、糖、塩、タンパク質、脂肪、繊維、増粘剤、乳化剤及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載のチュー。
【請求項10】
前記穀物は、ソバ、大麦、燕麦、小麦、米、ファッロ、亜麻仁、ライ麦、トウモロコシ、スペルト小麦、テフ、アマランス、雑穀、キノア、ソルガム、ライ小麦及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のチュー。
【請求項11】
動物の意識を占有するための方法であって、
可食材料を含む芯と、前記芯を取り囲む殻であって、牛の生皮、及び牛の生皮とバイオプラスチックとの組合せからなる群から選択される材料を含む殻と、前記殻を取り囲む外層であって、穀物、粉砕した生皮及びそれらの組合せからなる群から選択される可食成分を含む外層と、を含むチューを用意するステップと、
前記チューを当該動物に与えるステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記外層は、マルトデキストリン、嗜好性増強剤及びそれらの組合せからなる群から選択されるたれ材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
チューを作製する方法であって、
可食材料を含む芯を用意するステップと、
前記芯を、牛の生皮、及び牛の生皮とバイオプラスチックとの組合せからなる群から選択される材料を含む殻で取り囲むステップと、
前記殻を、穀物、粉砕した生皮及びそれらの組合せからなる群から選択される可食成分を含む外層で取り囲むステップと、
を含む方法。
【請求項14】
前記可食材料は、炭水化物、糖、塩、タンパク質、脂肪、繊維、増粘剤、乳化剤及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記可食材料は、風味成分、香り成分、嗜好性増強剤、ビタミン、ミネラル、保存料及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
溶けた状態のゼラチン、溶けた状態の生皮、溶けた状態のコラーゲン及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を用いて前記外層を前記殻に付着させるステップを含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
マルトデキストリン、嗜好性増強剤及びそれらの組合せからなる群から選択されるたれ材料を前記外層に塗布するステップを含む、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記嗜好性増強剤は、着色料、風味成分、ビタミン、ミネラル、保存料、炭水化物、糖、塩、タンパク質、脂肪、繊維、増粘剤、乳化剤及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記穀物は、ソバ、大麦、燕麦、小麦、米、ファッロ、亜麻仁、ライ麦、トウモロコシ、スペルト小麦、テフ、アマランス、雑穀、キノア、ソルガム、ライ小麦及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項13〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
チューを作製する方法であって、
牛の生皮、及び牛の生皮とバイオプラスチックとの組合せからなる群から選択される材料を含む殻を用意するステップと、
前記殻に、可食材料を含む芯を充填するステップと、
前記殻を、穀物、粉砕した生皮及びそれらの組合せからなる群から選択される可食成分を含む外層で取り囲むステップと、
を含む方法。
【請求項21】
溶けた状態のゼラチン、溶けた状態の生皮、溶けた状態のコラーゲン及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を用いて前記外層を前記殻に付着させるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
動物の衛生又は健康を増進するための方法であって、
当該方法は、衛生又は健康を増進する量の少なくとも1種のチューを当該動物に与えるステップを含み、前記チューは、
可食材料を含む芯と、
前記芯を取り囲む殻であって、牛の生皮を含む殻と、
前記殻を取り囲む外層であって、穀物、粉砕した生皮及びそれらの組合せからなる群から選択される可食成分を含む外層と、
を含む方法。
【請求項23】
前記チューは、1種又は複数の衛生又は健康増進剤を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記チューは、1種又は複数の薬物、ビタミン、ミネラル、プレバイオティクス、プロバイオティクス、ペプチド模倣薬、電解質、抗酸化剤、ペプチド、中鎖トリグリセリド又はハーブ抽出物を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記チューは、1種又は複数のプレバイオティクス又はプロバイオティクスを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
動物の口腔衛生を改善するための方法であって、
可食材料を含む芯と、前記芯を取り囲む殻であって、牛の生皮を含む殻と、前記殻を取り囲む外層であって、穀物、粉砕した生皮及びそれらの組合せからなる群から選択される可食成分を含む外層と、を含むチューを当該動物に与えるステップを含む方法。
【請求項27】
歯及び歯茎の健康を増進するための方法であって、
可食材料を含む芯と、前記芯を取り囲む殻であって、牛の生皮を含む殻と、前記殻を取り囲む外層であって、穀物、粉砕した生皮及びそれらの組合せからなる群から選択される可食成分を含む外層と、を含むチューを当該動物に与えるステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[0001]本願は、2008年3月19日出願の米国特許仮出願第61/069,988号、2008年5月29日出願の米国特許仮出願第61/130,290号及び2008年7月3日出願の米国特許仮出願第61/133,995号に対する優先権を主張するものである。これらの出願の開示内容は、ここで参照されることにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野:
[0002]本発明は、概して動物用チュー(chew)及びトリーツ(treat)に関し、特に、占有時間を増大させるペット用チュー並びにペット用チューの作製方法及び使用方法に関する。
【0003】
関連技術の説明:
[0003]ペット用チュー及びトリーツは当技術分野でよく知られている。米国特許第6840196号には、第1の生皮シートを第2の生皮シートの周りに折り重ねることによって作製した生皮製のペット用チューが開示されている。第2の生皮シートは、ペットの食欲をそそるように風味付けされており、風味は第2の生皮シートに染み込む。米国特許第7194981号には、第1の生皮シートを少なくとも第2の生皮シート及び第3の生皮シートの周りに折り重ねることによって作製した生皮製のペット用チューが開示されている。第2及び第3の生皮シートは、ペットの食欲をそそるように風味付けされており、風味は第2及び第3の生皮シートに染み込む。米国特許第7147888号には、咀嚼中にペットの口腔内に放出される物質(例えば、エマルション、界面活性剤、調整剤、風味料及び/又は活性成分)を含有するエマルション含浸生皮製チューが開示されている。米国特許第7288275号には、結合剤と基材の混合物を巻いてシートにすることによって形成した動物用チューが開示されている。ここでは、可食材料(デンプン、タンパク性物質、植物性物質が挙げられるが、それらに限定されない。)等からなる基材が結合剤と混合される。次いで、混合物がスクリューコンベアに供給され、更にローラーに導入されてシートが形成される。次いで、シートが所望の形状に切断される。米国特許出願公開第2006/081195A1号には、生皮材料及び自然骨を含む肉食家畜用チューであって、前記自然骨が前記生皮に包まれていることを特徴とするチューが開示されている。米国特許出願公開第2007/113796A1号には、魚油を始めとする少なくとも1種の栄養補助剤を含むペット用チューが開示されている。米国特許出願公開第2007/289552A1号には、生皮及び食用樹脂から形成された動物用チューが開示されている。食用樹脂は、生皮の外表面に配置され、及び/又は生皮内に保持される。食用樹脂は、デンプン、グルテン、植物性タンパク質、炭水化物又は脂肪又はそれらの混合物を含んでもよい。国際公開第07/038655A2号には、生皮製チューの漂白剤としてカルシウム(好ましくは沈降炭酸カルシウム)を含浸させたペット用チューが開示されている。
【0004】
[0004]一般に、動物は比較的短い期間でチューを消費する。例えば、チューは通常、イヌのような典型的な動物によって数分以内に消費される。そのため、そのようなチューを用いて比較的長期間動物を占有し又は楽しませるには、動物に数個のチューを与えることが必要となる。これにより、動物に多数のチューを与えることによって引き起こされる高カロリー摂取及び栄養不均衡といった食餌性の問題が動物に生じ得る。したがって、動物にとって魅力的で、占有時間を増大させる新規のチューが求められている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]一態様において、本発明は、可食材料を含む芯と、芯を取り囲む殻と、殻を取り囲む外層と、を含むペット用チューを提供する。外層は、可食成分(例えば、穀物、粉砕した生皮又はそれらの組合せ)を含み、また、任意にたれ材料(basting material)を含む。
【0006】
[0006]可食材料は、動物による消費に適した任意の材料でよい。一実施形態において、可食材料は、炭水化物、糖、塩、タンパク質、脂肪、繊維、増粘剤、乳化剤又はそれらの組合せ、等の1種又は複数の成分を含む。他の実施形態において、可食材料は、風味成分、香り成分、嗜好性(palatability)増強剤、ビタミン、ミネラル、保存料又はそれらの組合せ、等の1種又は複数の成分を含む。更なる実施形態において、可食材料は、粉砕した生皮、小麦粉、動物消化物(animal digest)、ピーナッツバター又はそれらの組合せ、等の1種又は複数の成分を含む。
【0007】
[0007]殻は、ペット用チューを作製するのに適した任意の材料でよい。好ましい実施形態において、殻は、生皮、バイオプラスチック又はそれらの組合せ、の少なくとも1種を含む。種々の実施形態において、バイオプラスチックは、押出し米、押出しトウモロコシ、押出し雑穀、押出し小麦又はそれらの組合せである。
【0008】
[0008]外層は、殻に付着させるのに適した任意の材料でよい。好ましい実施形態において、外層は、マルトデキストリン、嗜好性増強剤又はそれらの組合せ、等のたれ材料を含む。種々の実施形態において、嗜好性増強剤は、着色剤、風味成分、ビタミン、ミネラル、保存料、炭水化物、糖、塩、タンパク質、脂肪、繊維、増粘剤、乳化剤又はそれらの組合せである。
【0009】
[0009]穀物は、動物による消費に適した任意の穀物、例えば、ソバ、大麦、燕麦、小麦、米、ファッロ、亜麻仁、ライ麦、トウモロコシ、スペルト小麦、テフ、アマランス、雑穀、キノア、ソルガム、ライ小麦又はそれらの組合せ、でよい。
【0010】
[0010]外層は、当業者に公知の任意の適切な方法を用いて殻に付着させることができる。好ましい実施形態において、外層は、溶けた状態のゼラチン、溶けた状態の生皮、溶けた状態のコラーゲン又はそれらの組合せ、等の材料を用いて殻に付着させる。
【0011】
[0011]他の態様において、本発明は、動物を楽しませ又は動物の意識を占有するための方法を提供する。この方法は、可食材料から作製された芯と、芯を取り囲む殻と、殻を取り囲む外層と、を含むチューを動物に与えるステップを含む。殻は、生皮、バイオプラスチック又はそれらの組合せ、等の材料を含むことができる。外層は、穀物、粉砕した生皮又はそれらの組合せ、等の可食成分を含むことができる。外層は、本明細書に記載の通り、たれ材料、嗜好性増強剤又はそれらの組合せを含んでもよい。上記チューは、可食成分(例えば、穀物、粉砕した生皮又はそれらの組合せ)及び任意的なたれ材料を有しない同等のチューに比べて長期間動物の意識を占有する。
【0012】
[0012]他の態様において、本発明はチューの作製方法を提供する。この方法は、可食材料から作製された芯を用意するステップと、芯を殻で取り囲むステップと、を含む。殻は、生皮、バイオプラスチック又はそれらの組合せ、等の材料を含むことができる。上記方法は、殻を外層で取り囲むステップを更に含む。外層は、穀物、粉砕した生皮又はそれらの組合せ、等の可食成分を含むことができる。一実施形態において、上記方法は、溶けた状態のゼラチン、溶けた状態の生皮、溶けた状態のコラーゲン又はそれらの組合せ、等の任意の適切な材料を用いて外層を殻に付着させるステップを含む。他の実施形態において、上記方法は、たれ材料を外層に塗布するステップを含む。たれ材料としては、マルトデキストリン、嗜好性増強剤又はそれらの組合せを使用できる。更に別の実施形態において、本発明はチューの作製方法を提供する。この方法は、生皮、バイオプラスチック又はそれらの組合せ、等の材料から作製された殻を用意するステップと、殻に、可食材料を含む芯を充填するステップと、を含む。この方法は、殻を外層で取り囲むステップを更に含む。外層は、穀物、粉砕した生皮又はそれらの組合せ、等の可食成分を含むことができる。
【0013】
[0013]本発明の利点は、改良されたペット用チューを提供する点にある。本発明の他の利点は、改良されたペット用チュー作製方法を提供する点にある。本発明の更に別の利点は、動物を楽しませる手段を提供する点にある。本発明の更に別の利点は、改良された長期持続型チューを提供する点にある。
【0014】
[0014]本発明の更なる目的、特徴及び利点は当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のチューの一実施形態を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態におけるチューの層を示す図である。
【0016】
[0017]本発明は、概して、ペット用チュー並びにペット用チューの作製及び使用方法を対象とする。例えば、一実施形態において、ペット用チューは、動物がその製品を完全に咀嚼して消費するのにより多くの時間咀嚼することが必要となるような構造及び成分の独自の組合せを有する。ペット用チューは、魅力的な風味と視覚的に快い外観を有する。したがって、このペット用チューは、典型的な動物用チュー又はトリーツ、特に、可食成分(例えば、穀物、粉砕した生皮又はそれらの組合せ)及び任意的なたれ材料を有しない同等のチュー、と比べて長期間動物を楽しませ又は占有する。このチューは、動物に与えた際に長期間動物の意識を占有し又は動物を楽しませる長期持続型ペット用チューである。更に、このペット用チューは、動物の衛生(health)及び健康(wellness)若しくは健全性(well−being)に有益な成分の栄養学的組合せを含む。「動物」という語は、チューを消費する能力がある動物を意味し、例えば、イヌ科動物、ウマ科動物及びネコ科動物が挙げられる。好ましくは、チューはイヌ用である。
【0017】
[0018]
図1及び2に示す実施形態では、本発明は、可食材料を含む芯20、芯20を取り囲む可食性の殻30、及び殻30を取り囲む外層40を含むチュー10を提供する。殻30は、部分的、実質的又は完全に芯20を取り囲むことができる。外層40は、穀物、粉砕した生皮又はそれらの組合せ、等の可食成分50を含むことができる。
【0018】
[0019]
図1及び2に示すチュー10は細長い棒状であるが、チュー10は、別の実施形態では、芯、殻及び外層を有する任意の適切な形状を含むことができる。チュー10は、任意の所望の寸法を有することができる。概して、製品は約1〜24インチの長さと約0.25〜4インチの直径、好ましくは約2〜12インチの長さと約0.5〜2インチの直径、最も好ましくは約2〜6インチの長さと約0.5〜1インチの直径を有する棒状、ロール状又は筒状である。
【0019】
[0020]芯20は、動物の嗜好に合う任意の可食材料を含有することができる。例えば、可食材料は、炭水化物、糖、塩、タンパク質、脂肪、繊維(例えば、柑橘類の繊維)、増粘剤(例えばキサンタンガム)、乳化剤(例えばレシチン)又はそれらの組合せ、等の1種又は複数の成分を含むことができる。可食材料は、風味成分(例えば、鶏肉、牛肉、魚肉等)、香り成分、嗜好性増強剤、ビタミン、ミネラル、保存料又はそれらの組合せ、等の1種又は複数の成分を含んでもよい。可食材料は、粉砕した生皮、植物粉、動物消化物、ピーナッツバター又はそれらの組合せ、等の1種又は複数の食物成分を更に含んでもよい。
【0020】
[0021]一実施形態において、殻30は、生皮(例えば牛皮)から作製される。当業者には分かることだが、生皮は、動物(例えば、ウシ、シカ等の有蹄動物)を屠殺した際の副産物である。生皮は、動物の皮及び腱から作製することができる。一般に、動物から得た生皮は約65〜70%の水分と30〜35%の乾燥材料とを含有する。乾燥材料は、例えば、線維状タンパク質、コラーゲン、ケラチン、エラスチン及びレチクリンで構成される。そのような生皮を乾燥させて殻を形成することができる。生皮は、乾燥しているときは丈夫で硬いが、湿っているときは扱いやすく展性を有する。
【0021】
[0022]他の実施形態において、殻30はバイオプラスチックから作製される。バイオプラスチックは、飼料成分中の展伸材料(expanded material)から作製することができる。例えば、バイオプラスチックは、押出し米、押出しトウモロコシ、押出し雑穀、押出し小麦又はそれらの組合せ、の形をとることができる。バイオプラスチック材料は、ゼラチン、第二リン酸カルシウム、栄養素混合物、反応性糖、アミノ酸、高アミロース又は高アミロペクチン成分(デンプン等)及び/又は不活性(又は非消化性)充填剤、等の付加的成分を含むことができる。バイオプラスチック材料は、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、パラヒドロキシ安息香酸メチル、プロピオン酸カルシウム及び/又はプロピオン酸、等の保存料を更に含んでもよい。バイオプラスチック及びバイオプラスチック作製方法の更なる例は、米国特許出願第10/542,661号、米国特許出願公開第2006/0292288A1号、国際公開第2004/066748A1号に見られる。他の実施形態において、「バイオプラスチック」は、国際公開第2007/073903A1号に開示のもののような高い構造的完全性(structural integrity)を有する可食性組成物を含む。
【0022】
[0023]別の実施形態において、生皮及び/又はバイオプラスチックから作製される殻30は、外層40を塗布する前に、1種又は複数の風味料及び保存料で更に処理することができる。例えば、殻30は、風味付けされた溶液/保存溶液に浸すことができる。或いは、風味付けしたコーティング又はグレイビー/保存料のコーティング又はグレイビーを殻30に塗布することができる。風味付けされた溶液/保存溶液を殻30にかけたり溶液に殻30を浸したりした場合、溶液が殻の表面で乾燥することがある。風味付けされた溶液/保存溶液は、殻30の表面にとどまらせず、殻30内に染み込ませることもできる。
【0023】
[0024]外層40用の粉砕した生皮は、任意の適切な顆粒又は粉末形態をとることができる。穀物の非限定的な例としては、ソバ、大麦、燕麦、小麦、米、ファッロ、亜麻仁、ライ麦、トウモロコシ、スペルト小麦、テフ、アマランス、雑穀、キノア、ソルガム及び/又はライ小麦が挙げられる。
【0024】
[0025]外層40は、任意の適切な方法で、例えば適切な接着材料を用いて、殻30に塗布、付着させ又は設けることができる。接着材料は、外層40を殻30に接着させるのに適した任意の可食性接着剤でよい。一実施形態において、外層40は、溶けた状態のゼラチン、溶けた状態の生皮、溶けた状態のコラーゲン又はそれらの組合せ、等の材料を用いて殻30に付着させる。例えば、粉砕した生皮及び/又は穀物は、上記溶けた状態の材料と混合し、次いで任意の適切な方法で殻30に塗布することができる。外層40は、部分的、実質的又は完全に殻30を取り囲むことができる。
【0025】
[0026]他の実施形態において、外層40は、マルトデキストリン、嗜好性増強剤又はそれらの組合せ、等のたれ材料を含む。嗜好性増強剤としては、着色料、風味成分、ビタミン、ミネラル、保存料、炭水化物、糖、塩、タンパク質、脂肪、繊維、増粘剤、乳化剤又はそれらの組合せを使用できる。たれ材料は溶液形態をとることができ、はけ塗り、コーティング、噴霧等の任意の適切な方法で外層40に塗布することができる。
【0026】
[0027]好ましい実施形態において、外層40は、1種又は複数の穀物、粉砕した生皮又はそれらの組合せを含み、また、たれ材料(例えば、マルトデキストリン、嗜好性増強剤又はそれらの組合せ)を含む。外層は、殻に穀物及び/又は粉砕した生皮を塗布し、次いで、穀物及び/又は粉砕した生皮の上にたれ材料を塗布することによって作製される。
【0027】
[0028]一実施形態において、チューは、チューに組み込まれた1種又は複数の衛生又は健康増進剤を更に含む。「衛生又は健康増進剤」という語は、動物の衛生又は健康を増進するのに有用な任意の化合物、組成物又は薬物を意味し、疾患を予防又は治療するためのそれらを包含する。上記剤は、チューの任意の要素(例えば、芯、殻、外層又はたれ付けした層又はたれ材料)に組み込むことができる。上記剤は、チューに適合し、かつ動物の衛生又は健康を増進する任意の剤でよく、例えば、薬物、ビタミン、ミネラル、プレバイオティクス、プロバイオティクス、ペプチド模倣薬、電解質、抗酸化剤、ペプチド、中鎖トリグリセリド、ハーブ抽出物が挙げられる。これらのチューは、動物に剤(特に医薬)を摂取させることが困難な場合に有用である。
【0028】
[0029]他の態様において、本発明は、動物を楽しませ又は動物の意識を占有するための方法を提供する。この方法は、可食材料を含む芯と、芯を取り囲む殻と、殻を取り囲む外層と、を含むチューを用意するステップを含む。殻は、生皮、バイオプラスチック又はそれらの組合せ、等の材料を含むことができる。外層は、穀物、粉砕した生皮又はそれらの組合せ、等の可食成分を含むことができる。好ましい実施形態において、上記方法は、チューを動物に与えるステップを含む。
【0029】
[0030]本発明の実施形態におけるチューは、外層(例えば、穀物でコーティングした層又はたれ付けした層)を有しない同等の動物用トリーツよりも咀嚼時間が長い。理論に縛られるものではないが、明らかに、動物はかなり多くの時間を費やして外層/たれ付けした層を消費し、その後芯及び殻を消費する。動物がチューを完全に消費するのに長期間を要するので、動物を長時間占有することができる。
【0030】
[0031]チューは、多層製品を作製するための任意の適切な方法によって作製することができる。チューは、手動で(例えば手作業で)又は自動化されたプロセスを用いて作製することができる。一実施形態において、本発明は、チューを作製する方法を提供する。この方法は、可食材料を含む芯を用意するステップと、芯を殻で取り囲むステップと、を含む。例えば、芯を作製し、次いで、芯の周囲に、人の手で又は機械を用いて自動で殻を装着することができる。殻は、生皮、バイオプラスチック又はそれらの組合せ、等の材料を含むことができる。上記方法は、任意の手動又は自動の塗布プロセスを用いて殻を外層で取り囲むステップを更に含む。外層は、穀物、粉砕した生皮又はそれらの組合せ、等の可食成分を含むことができる。
【0031】
[0032]一実施形態において、上記方法は、溶けた状態のゼラチン、溶けた状態の生皮、溶けた状態のコラーゲン又はそれらの組合せ、等の材料を用いて外層を殻に付着させるステップを含む。例えば、外層の成分を上記溶けた状態の材料と合わせ、次いで、これを任意の適切な方法で殻に塗布することができる。たれ材料を外層に塗布してもよい。たれ材料としては、マルトデキストリン、嗜好性増強剤又はそれらの組合せを使用できる。
【0032】
[0033]更に別の実施形態において、ペット用チューの作製方法は、生皮、バイオプラスチック又はそれらの組合せ、等の材料から作製された殻を用意するステップと、殻に、可食材料を含む芯を充填するステップと、を含む。例えば、殻を予め作製し、次いで、人の手で又は充填/注入機を用いて自動でそれに充填することができる。この方法は、殻を外層で取り囲むステップを更に含む。外層は、穀物、粉砕した生皮又はそれらの組合せ、等の可食成分を含むことができる。或いは、芯を充填する前に既に殻が外層を有していてもよい。
【0033】
[0034]一態様において、本発明は、動物の衛生及び/又は健康を増進するための方法を提供する。この方法は、可食材料を含む芯と、芯を取り囲む殻と、殻を取り囲む外層と、を含む少なくとも1種のチューを動物に与えるステップを含む。外層は、穀物、粉砕した生皮又はそれらの組合せ、等の可食成分を含む。チューは動物を占有し、動物の食物への欲求を満たす助けとなる。その結果、動物の食物消費が少なくなり、健康な体重が維持される。チューを消費すること、特に長期間にわたって消費することで得られる満足感は、動物の全般的な健康に寄与する。上記方法は、任意の年齢又は区分の動物(例えば、高齢(senior)動物、老齢(geriatric)動物、肥満(obese)動物、過体重(overweight)動物)の衛生又は健康を増進するのに有用である。「動物の衛生又は健康」という語は、疾患又は衰弱がないだけではなく、動物が身体的、精神的及び社会的に完全に健全であることを意味する。
【0034】
[0035]更なる態様において、本発明は、(a)本発明のチューを動物に与える方法、(b)動物の衛生又は健康を増進するために本発明のチューを使用する方法、又は(c)動物を占有し又は楽しませるために本発明のチューを使用する方法、の少なくとも1つについての情報又は指示を伝達するための手段を提供する。この手段は、上記情報又は指示を含む文書、デジタルストレージメディア、光学ストレージメディア、オーディオプレゼンテーション又はビジュアルディスプレイを含む。ある実施形態において、上記伝達手段は、上記情報又は指示を含む、表示されたウェブサイト、ビジュアルディスプレイキオスク、パンフレット、製品ラベル、添付文書、広告、チラシ、広報、オーディオテープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピュータ可読チップ、コンピュータ可読カード、コンピュータ可読ディスク、コンピュータメモリ又はそれらの組合せである。有用な情報としては、消費者が本発明及びその使用について質問がある場合に用いる1つ又は複数の連絡先情報が挙げられる。
【0035】
[0036]他の態様において、本発明は、本発明のチューを含有するのに適したパッケージであって、チューを動物の衛生又は健康を増進するために使用可能である旨を示す表示手段を含むパッケージを提供する。上記表示は、本発明が動物の衛生又は健康を増進することを示す任意の言葉、写真、デザイン、頭字語、スローガン、フレーズ又は他の手段又はそれらの組合せでよい。一般に、そのような手段は、パッケージに印刷された形で、「衛生又は健康を増進する」又は「健全性を増強する」又は「長期持続型ペット用チュー」又は「占有し楽しませる」といった文言又はそれに相当する表現を含む。例えば、メラトニンを含有するのに適した任意のパッケージ又はパッケージング材料(例えば、紙、プラスチック、箔、金属等から製造される袋、箱、瓶、缶、パウチ等)は本発明において有用である。
【0036】
[0037]他の態様において、本発明は、動物の口腔衛生を改善するための方法を提供する。この方法は、可食材料を含む芯と、芯を取り囲む殻と、殻を取り囲む外層であって、穀物、粉砕した生皮及びそれらの組合せからなる群から選択される可食成分を含む外層と、を含むチューを動物に与えるステップを含む。チューにより、歯をきれいにし、歯茎と相互作用する機械的作用がもたらされる。この機械的作用は、歯の劣化及び歯肉疾患を予防又は抑制することによって口腔衛生を改善する。
【0037】
[0038]他の態様において、本発明は、歯及び歯茎の健康を増進するための方法を提供する。この方法は、可食材料を含む芯と、芯を取り囲む殻と、殻を取り囲む外層であって、穀物、粉砕した生皮及びそれらの組合せからなる群から選択される可食成分を含む外層と、を含むチューを動物に与えるステップを含む。チューにより、歯をきれいにし、歯茎と相互作用する機械的作用がもたらされる。この機械的作用は、歯の劣化を予防又は抑制することによって歯の健康を増進し、また、歯の劣化及び歯肉疾患を予防することによって歯茎の健康を増進する。
【実施例】
【0038】
[0039]本発明は、更に、以下の実施例により具体的に説明される。ただし、これらの実施例は単に説明のために挙げられたものであり、特に断らない限り、本発明の範囲を限定することを意図したものでないことは理解されよう。
【0039】
実施例1:
[0040]燕麦を含有せず、たれ材料を含有しないチューを作製した。20匹のイヌに秤量したチューを与え、チューが消費されるまで観察した。動物にチューを与えてからチューが消費されるまでの経過時間を記録した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例2:
[0041]燕麦を含有するが、たれ材料を含有しないチューを作製した。20匹のイヌに秤量したチューを与え、チューが消費されるまで観察した。動物にチューを与えてからチューが消費されるまでの経過時間を記録した。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
実施例3:
[0042]燕麦を含有しないが、たれ材料を含有するチューを作製した。20匹のイヌに秤量したチューを与え、チューが消費されるまで観察した。動物にチューを与えてからチューが消費されるまでの経過時間を記録した。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
実施例4:
[0043]燕麦を含有し、たれ材料を含有するチューを作製した。20匹のイヌに秤量したチューを与え、チューが消費されるまで観察した。動物にチューを与えてからチューが消費されるまでの経過時間を記録した。結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】
[0044]上記実施例において、データは、本発明のチューが、本発明の付加的成分を有しないチューよりも咀嚼時間が長いこと、すなわち、本発明のチューは、穀物、粉砕した生皮及びそれらの組合せからなる群から選択される可食成分及び/又はたれ材料を含む外層を有しないチューと比べて、占有時間が増大することを示している。
【0048】
[0045]本明細書で引用又は参照された全ての特許、特許出願、出版物、技術的及び/又は学術的論文及び他の文献は、ここで参照されることにより、適用法により許容される範囲でその全体が本明細書に組み込まれる。これらの文献についての議論は、単にその主張内容を要約することを意図したものである。そのような特許、特許出願、出版物又は文献又はそれらの任意の一部が関連技術又は先行技術であることを認めるものではない。そのような特許、特許出願、出版物及び他の文献が関連技術又は先行技術であるとのいかなる主張に関しても、その正確性及び妥当性について異議を申し立てる権利は特に留保されている。本明細書で完全には引用されていない出版物についての全引用は本明細書の最後に記載されている。
【0049】
[0046]本明細書では、本発明の代表的な好ましい実施形態が開示されている。特定の用語が使用されているが、それらは単に一般的かつ説明的な意味で使用したものであり、限定を意図したものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲に記載の通りである。上述の教示内容を踏まえると、明らかに、本発明の多くの修正及び改変が可能である。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内で、特に記載されている以外の形態でも実施可能であることが理解されよう。